JP5741147B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳片の表面割れの防止に有用な鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造において、鋳片の表面割れを防止することは、圧延後の製品の表面品質を良好に保つために、極めて重要である。鋳片の表面割れの原因として、鋳型内での初期凝固に起因するもの、炭素鋼における初晶フェライト、オーステナイト変態後の粒界初析フェライトフィルムや、粒界に析出する炭窒化物に起因するものなどがある。いずれにしてもオーステナイト粒径を細かくすることは、相対的に脆弱なオーステナイト粒界の表面積を増やし、連続鋳造機の湾曲部から水平部に移行する段階、すなわち、鋳片の矯正時に粒界にかかる応力を分散することになるので、表面割れが生じにくくなる。また、粒界状に初析フェライトフィルムを生成させずに、オーステナイト結晶粒を微細なパーライト組織などに変態させることも、オーステナイト粒界への矯正応力の集中を避けることになるので、表面割れが生じにくくなる。
このように、表面割れを防止するために、オーステナイト組織から他の組織を経て割れにくい鋳片組織とする方法として、たとえば、鋳片を鋳型から引き抜いた後、鋳片表面をA変態温度以下に一旦冷却をした後、水量密度を0.003〜0.015リットル/cm・minとして、0.5〜2.0分間の緩冷却を行い、A変態温度を越えて復熱させることを特徴とする連続鋳造鋳片の表面割れ防止方法が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
また、連続鋳造機の鋳型下から5分間の鋳片走行範囲にあるロールのロールテーパを0.5〜2.5mm/mとし、鋳片走行範囲における鋳片の二次冷却にスプレー水を用いて、前記ロール直下において鋳片表面温度を少なくとも1回以上Ar点以下の温度とした後、復熱させて鋳片表面温度を1000°C以上として、直接熱間圧延を行うことを特徴とする鋼の直接圧延方法が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
上述した先行技術は、いずれも連続鋳造機内の鋳片温度を二次冷却によって制御し、目的とする組織として鋳片の表面割れを防止するものである。
特許第3463550号公報 特許第2910180号公報
しかしながら、鋳片の表面温度を二次冷却によって上記の先行技術に開示されるように制御するには急速な冷却を必要とするので、その冷却のための設備は、大規模となり、多大な設備費を要するという問題があった。一方、鋳片の表面割れが発生する位置が限定されている場合も多く、少なくとも湾曲型連続鋳造機や垂直曲げ型連続鋳造機の湾曲部から水平部に移行する位置、すなわち矯正点で発生する表面割れは、鋳片に引張応力が作用する鋳片の上面側に限られることがわかっている。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より効率的に鋳片の表面割れを防止する鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、鋳造空間の横断面が矩形で、上下が開放された鋳型の上方から溶鋼を供給し、該鋳型の下端から表面の凝固した鋳片を引き抜き、その後該鋳片を二次冷却すると共に引き抜き方向を漸次水平方向に転じ、最終的に内部まで凝固した該鋳片を水平方向に引き出す鋼の連続鋳造方法において、鋳片の表面温度が910°Cを下回ってから300秒を経過するまでに、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態するように、少なくとも前記短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲を、前記鋳片の厚さ方向で対となり、前記鋳片の幅方向で対となる短辺冷却用スプレーでスプレー冷却することを特徴とする。
また、本発明は、上記鋼の連続鋳造方法において、200mm〜300mm厚の鋳片を製造する場合に、スプレーノズルの中心軸が前記短辺の一端から他端反対方向に向けて10mm、他端に向けて40mmとなるまでの範囲および他端から一端反対方向に向けて10mm、一端に向けて40mmとなるまでの範囲にそれぞれ位置するように設置した短辺冷却用スプレーを用いることを特徴とする。
また、本発明は、上記鋼の連続鋳造方法において、前記鋳型の下端から引き抜き方向に5mとなるまでの範囲において、比水量が0.2リットル/kg・鋼以上で1.0リットル/kg・鋼未満となるように冷却することを特徴とする。
本発明にかかる鋼の連続鋳造方法によれば、鋳片の表面温度が910°Cを下回ってから300秒を経過するまでに、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態するので、鋳片組織は微細化され、粒界に働く矯正応力が分散されて表面割れが防止される。
図1−1は、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法を実現する垂直曲げ型の連続鋳造機を示す概念図である。 図1−2は、図1−1に示したII−II断面を示す断面図である。 図1−3は、図1−1に示したIII−III断面を示す断面図である。 図2−1は、調査対象とした鋳片を示す斜視図である。 図2―2は、図2−1に示した鋳片の鋳造方向に直交する断面を示す図である。 図2―3は、図2―2に示した鋳片の上面となる長辺側に現れた組織を示す図である。 図2―4は、図2―2に示した鋳片の側面となる短辺側に現れた組織を示す図である。 図3―1は、鋼ID=20の成分を示す図である。 図3―2は、伝熱凝固計算の結果を重ね合わせたCCT図である。 図4は、連続鋳造機において通常用いられる冷却スプレーの水量分布を示す図である。 図5は、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法において用いられる短辺冷却スプレーの水量分布を示す図である。
以下に、本発明にかかる鋼の連続鋳造方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
図1−1は、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法を実現する垂直曲げ型の連続鋳造機を示す概念図である。また、図1−2は、図1−1に示したII―II断面を示す断面図であり、図1−3は、図1−1に示したIII―III断面を示す断面図である。連続鋳造機は、鋳造空間の横断面が矩形で、上下が開放された鋳型の上方から溶鋼を供給し、該鋳型の下端から表面の凝固した鋳片を引き抜き、その後該鋳片を二次冷却すると共に引き抜き方向を漸次水平方向に転じ、最終的に内部まで凝固した該鋳片を水平方向に引き出す連続鋳造機が主流となっている。
このような形式の連続鋳造機には、鋳型自体が湾曲していて、鋳型の下端から引き抜かれた時点で既に鋳片が曲率を以って引き出される形式の湾曲型連続鋳造機と、鋳型自体は湾曲しておらず、鋳片は鋳型の下端から垂直に引き抜かれた後、二次冷却帯でロールによって曲率を付与される形式の垂直曲げ型の連続鋳造機がある。ここでは、垂直曲げ型の連続鋳造機を例に説明するが、垂直曲げ型の連続鋳造機に限られるものではなく、湾曲型の連続鋳造機であってもよい。
図1に示すように、連続鋳造機は、取鍋(図示せず)から溶鋼が注がれるタンディッシュ1と、タンディッシュ1の底部から溶鋼が注がれる鋳型2と、鋳型2から引き抜かれた鋳片をガイドするロール3とを備えている。
また、本発明の実施の形態において用いる連続鋳造機は、下記の表1に示すように、機長が27.4m、6点曲げ、3点矯正、湾曲半径が10.5m、矯正点のメニスカスからの位置が21.96mのものである。また、引き抜かれる鋳片は、断面が偏平な矩形であって、より具体的には、厚み220mm×幅2300mmの矩形断面を有している。また、鋳造速度は0.9〜1.1m/分、タンディッシュ内溶鋼温度1545〜1560°Cで鋳造するようになっている。
まず、本発明の発明者らは、鋳片の割れの実態を調査し、組織制御を実施すべき鋳片の部位の特定、および制御すべき目標組織を決定することにした。調査対象とする鋳片は、炭素鋼、より具体的には中炭素鋼であって、下記の表2に示す成分を有している。
図2−1は、調査対象とした鋳片を示す斜視図であり、図2−2は、図2−1に示した鋳片の鋳造方向に直交する断面を示す図である。また、図2−3は、図2−2に示した鋳片の上面となる長辺に現れた組織を示す図であり、図2―4は、図2−2に示した鋳片の側面となる短辺に現れた組織を示す図である。図2−1に示すように、割れは、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺面において上端となる角部から20〜30mmとなるまでの範囲に発生している。なお、水平方向に引き出された鋳片の上面となる長辺面の端部(上面側コーナー)から内側に向かった部位に、割れは発生していない。
一方、別途行った熱応力解析により、鋳片の製造に用いた連続鋳造機における鋳片矯正時に、鋳片の上面となる長辺面の端部の周囲(長辺面側および短辺面側)には、引っ張り応力が働くことがわかった。しかしながら、長辺面側には、表面割れが発生していないので、この鋳片の鋳造方向に直交する断面(C断面)の組織観察を行った。
図2−4に示すように、C断面の大部分には、初析のフェライトフィルムを有するオーステナイト粒界が明瞭に観察される。この鋼種は、C=0.15〜0.17mass%であるので、オーステナイト粒が最も粗大化しやすい成分にある。このような状態で引っ張り応力が働くと容易にオーステナイト粒界での割れが生じることが推定される。一方、図2―3に示すように、水平方向に引き出された場合に鋳片の上面となる長辺面側の組織は、微細組織となっている。
これらのことを勘案すると、鋳片の上面側コーナーを挟んで長辺面側と短辺面側に同じように引っ張り応力が働いても、長辺面側は微細組織となっているので、粒界に働く矯正応力が分散されて割れに至らず、短辺面側はオーステナイト粗大粒組織であるので引っ張り応力が粒界に集中し、割れに至ったと考えられる。
ここで、長辺面側の割れを防止したと考えられる微細組織が生じた機序を明らかにするために、この鋳造条件での伝熱凝固計算を行い、得られた温度の時間推移を溶接用連続冷却変態線図(以下、CCT図という)に重ね合わせた。CCT図は、この鋼種の成分に最も近いもの((社)日本鉄鋼協会 生産技術部門 実用構造溶鋼の基礎特性技術検討部会編 「溶接構造用鋼の溶接用CCT図集 (社)日本鉄鋼協会 1997 の68ページに掲載の鋼 ID=20」)を使用した。
図3―1は、鋼ID=20の成分を示す図であり、図3―2は、伝熱凝固計算の結果を重ね合わせたCCT図である。図3−2に示すように、短辺面側の温度履歴は、910°Cを下回ってから約1000秒にわたってオーステナイト単相を維持している。したがって、オーステナイトは粗大化し、矯正点での割れの原因になっていると推定される。一方、長辺面の温度履歴は、910°Cを下回ってから約90秒後(実際の鋳造速度=1.1m/minではメニスカスから2.5m下方の位置)で、オーステナイトからポリゴナルフェライト(FP)となっていることがわかる。これによって、鋳片組織は、微細化されたと考えられる。
そこで、発明者らは、熱間引っ張り試験装置を使用し、オーステナイト単相からフェライト組織またはパーライト組織へ変態させるまでの冷却温度を変化させて、熱間延性を測定した。この結果、910°Cを下回ってから300秒以内にフェライト組織またはパーライト組織に変態するように、冷却を行えば、熱間引っ張り試験において良好な延性が得られることがわかった。
以上を総括すると、鋳片の上面側コーナーの短辺面側に発生する表面割れは、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺面において上端となる角部から30mmとなるまでの範囲(上面側コーナーから下面側コーナーに向けて30mmとなる範囲)がオーステナイト単相からフェライト単相組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態するように、少なくとも当該範囲をスプレー冷却することにより防止される。なお、短辺面や長辺面の全面を冷却する必要はない。したがって、短辺面側に最小限の鋳片二次冷却設備を備えることにより、鋳片の表面割れを効率良く防止することができる。
具体的には、図1に示した連続鋳造機は、鋳型の直下(メニスカスから0.7m)からメニスカスの下方1.7mまでの範囲には長辺面を冷却する二次冷却スプレー4と、短辺面を冷却する短辺冷却用スプレー5とが配置されており、この短辺冷却用スプレー5の水量を増やすことにより、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺面において上端となる角部から30mmとなるまでの範囲で、目的とする組織制御が行われる。
短辺面全体を組織制御するには、多大な水量が必要であるが、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から他端(下端)に向けて30mmとなるまでの範囲であれば、長辺面側の凝固シェルは既に凝固しているので、凝固潜熱のさらなる放出がないため、短辺面側の中央部と比較すると鋳片は冷却されやすい。したがって、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から他端(下端)に向けて30mmとなるまでの範囲を組織制御するための冷却は、短辺面全域が所望の温度履歴となるように、冷却するよりも容易である。
さらに、二次冷却スプレー4の水量分布を変更して、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から他端(下端)に向けて30mmとなるまでの範囲および他端(下端)から一端(上端)に向けて30mmとなるまでの範囲の冷却を積極的に強化することにより、多大な二次冷却水を投下することなく、鋳片の表面割れを効率良く防止することができる。
図4は、連続鋳造機において通常用いられる冷却スプレーの水量分布を示す図である。また、図5は、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法において用いられる短辺冷却スプレーの水量分布を示す図である。
図4に示すように、連続鋳造機において通常用いられる冷却スプレーの水量分布は、スプレーノズルの中心軸(スプレー直下)において水量が多く、スプレーノズルの中心軸から離れるにしたがって水量が少なくなる。たとえば、スプレーノズルの中心軸から70mm〜120mm離れると、スプレーノズルの中心軸における水量の半分以下の水量となる。
たとえば、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる左右の短辺に通常用いられる冷却スプレーを一つずつ配設し、200mm〜300mm厚の鋳片(スラブ)を鋳造する場合には、投下する水量を増大させることにより、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺において、上端となる角部から下方に向けて30mmとなる範囲を冷却することになる。このため、割れの発生が多い位置、すなわち、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺において、上端となる角部から下方に向けて30mmとなる範囲を効率的に冷却することができない。
そこで、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法は、鋳片の表面温度が910℃を下回ってから300秒を経過するまでに、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から他端(下端)に向けて30mmとなるまでの範囲および他端(下端)から一端(上端)に向けて30mmとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態するように、少なくとも短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲を前後で対となり、左右で対となる短辺冷却用スプレー5でスプレー冷却する。
具体的には、200mmから300mm厚の鋳片を製造する場合に、スプレーノズルの中心軸が短辺の一端から他端反対方向に向けて10mm、他端に向けて40mmとなるまでの範囲(一端から他端に向けて―10mm〜40mmとなるまでの範囲)および他端から一端反対方向に向けて10mm、一端に向けて40mmとなるまでの範囲(他端から一端に向けて−10mm〜40mmとなる範囲)にそれぞれ位置するように設置した短辺冷却用スプレー5を用いる。そして、短辺冷却用スプレー5から射出した冷却水は、水平方向に引き出された場合に側面となる短辺に対して略垂直に吹き付けられる。
また、これら前後で対となり、左右で対となる短辺冷却用スプレー5は、図1に示した連続鋳造機において、鋳型の直下(メニスカスから0.7mの位置)からメニスカスの下方1.7mまでの範囲に複数組設置される。
このように、スプレーノズルの中心軸が短辺の一端から他端反対方向に向けて10mm、他端に向けて40mmとなるまでの範囲および他端から一端反対方向に向けて10mm、一端に向けて40mmとなるまでの範囲にそれぞれ位置するように設置した短辺冷却用スプレー5を用いれば、特殊なスプレーを用いることなく、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺において上端となる角部から下方に向けて30mmとなるまでの範囲および下端となる角部から上方に向けて30mmとなるまでの範囲を効果的に冷却することができる。
ところで、図5には、短辺の中央部から両側に110mm離れた位置にそれぞれ冷却スプレーを設置した例が示してある。したがって、鋳片の厚みが220mm(短辺の長さが220mm)の場合には、冷却スプレーのスプレーノズルの中心軸が短辺の一端(上端)と他端(下端)とに位置することになる。そして、一端および他端から30mmとなるまでの範囲は、図5において−110mm〜−80mmの範囲および80mm〜110mmの範囲となり、スプレーノズルの中心軸における水量の80%以上が確保されることになる。
同様に、鋳片の厚みが200mm(短辺の長さが200mm)の場合には、冷却スプレーのスプレーノズルの中心軸が短辺の一端と他端の外側10mmの位置に位置することになる。そして、一端および他端から30mmとなるまでの範囲は、図5において−100mm〜70mmの範囲および70mm〜100mmの範囲となり、スプレーノズルの中心軸における水量の80%以上が確保されることになる。
また、鋳片の厚みが300mm(短辺の長さが300mm)の場合には、冷却スプレーの巣部レーノズルの中心軸が短辺の一端と他端の内側40mmの位置に位置することになる。そして、一端および他端から30mmとなるまでの範囲は、図5において、−150mmから−120mmの範囲および120mm〜140mmの範囲となり、スプレーノズルの中心軸における水量の80%以上が確保される。
以上説明したように、200mm〜300mm厚の鋳片(スラブ)を鋳造する場合にスプレーノズルの中心軸が短辺の一端から他端反対方向に向けて10mm、他端に向けて40mmとなるまでの範囲および他端から一端反対方向に向けて10mm、一端に向けて40mmとなるまでの範囲にそれぞれ位置するように設置した短辺冷却用スプレー5を用いれば、水平に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺において上端となる角部から下方に向けて30mmとなるまでの範囲および下端となる角部から上方に向けて30mmとなるまでの範囲を効果的に冷却することができる。これにより、本発明の実施の形態である鋼の連続鋳造方法は、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から他端(下端)に向けて30mmとなるまでの範囲および他端(下端)から一端(上端)に向けて30mmとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態し、割れの発生を抑制できる。
投下する二次冷却の水量は、鋳型2の下端から引き抜き方向に5.0mとなるまでの範囲において、二次冷却の比水量(リットル/kg・鋼)が0.2(リットル/kg・鋼)以上、1.0(リットル/kg・鋼)未満となる条件で鋳片を冷却することが好ましい。投下する水量は、少ないほうが省エネルギーの観点から好ましい。また、スラブの温度を必要以上に低下させないことは、連続鋳造後のプロセスである熱延加熱炉や、厚板加熱炉でのエネルギー的な負担を減らすことにもつながることから、二次冷却の比水量は、1.0(リットル/kg・鋼)未満とした。
二次冷却の比水量が0.2(リットル/kg・鋼)未満の少ない水量で二次冷却を行うと、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺面において上端となる角部から30mとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト単相組織、パーライト組織またはベントナイト組織のいずれかに変態するまでの冷却を達成できない。
ここで、二次冷却の比水量Qは以下の式で決定される。
Q=W/(H×D×Vc×ρ)
ここで、
W:二次冷却の冷却水量(リットル/分)
H:鋳片の幅(m)
D:鋳片の厚さ(m)
Vc:鋳造速度(m/分)
ρ:溶鋼の密度(kg/m
図1に示した連続鋳造機を用いて、表2に示した成分の鋼を下記の表3に示すスプレーパターンで鋳造した。表3において、水準1は先行技術による鋳造例である。水準2は、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端(上端)から30mmとなるまでの範囲を組織制御するようにした例であり、水準3は、短辺におけるスプレーの水量を増して短辺面全体をオーステナイトからポリゴナルフェライトに変態するように組織制御した例である。
この三水準で鋳造した鋳片の上面側コーナーから下面側コーナーに向かう短辺面における表面割れの有無も調査して示した。水準1の先行技術による鋳造では表面割れが観察された。水準2の組織制御による鋳造では表面割れがなくなった。水準3の組織制御による鋳造では表面割れがなくなったが、短辺面側のスプレー水量は水準2の2倍となり、設備上大がかりな設備となるほか、逆に弱冷としたい鋼種では水量を絞る必要があるが、水準3のような大水量に対応するスプレーノズルを採用すると、スプレーのターンダウンに限りがあるので、最低水量でも所望する弱冷性能が得られない可能性が大きい。
したがって、水準2の組織制御によれば、連続鋳造機を合理的かつ効率的に利用しながら表面割れのない品質良好な鋳片を提供できる。
1 タンディッシュ
2 鋳型
3 ロール
4 二次冷却スプレー
5 短辺冷却用スプレー

Claims (3)

  1. 鋳造空間の横断面が矩形で、上下が開放された鋳型の上方から溶鋼を供給し、該鋳型の下端から表面の凝固した鋳片を引き抜き、その後該鋳片を二次冷却すると共に引き抜き方向を漸次水平方向に転じ、最終的に内部まで凝固した該鋳片を水平方向に引き出す鋼の連続鋳造方法において、
    鋳片の表面温度が910°Cを下回ってから300秒を経過するまでに、水平方向に引き出された場合に鋳片の側面となる短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲がオーステナイト単相からフェライト組織、パーライト組織またはベイナイト組織のいずれかに変態するように、少なくとも前記短辺の一端から他端に向けて30mmとなるまでの範囲および他端から一端に向けて30mmとなるまでの範囲を、前記鋳片の厚さ方向で対となり、前記鋳片の幅方向で対となる短辺冷却用スプレーでスプレー冷却することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  2. 200mm〜300mm厚の鋳片を鋳造する場合に、スプレーノズルの中心軸が前記短辺の一端から他端反対方向に向けて10mm、他端に向けて40mmとなるまでの範囲および他端から一端反対方向に向けて10mm、一端に向けて40mmとなるまでの範囲にそれぞれ位置するように設置した短辺冷却用スプレーを用いることを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
  3. 前記鋳型の下端から引き抜き方向に5mとなるまでの範囲において、比水量が0.2リットル/kg・鋼以上で1.0リットル/kg・鋼未満となるように冷却することを特徴とする請求項1または2に記載の鋼の連続鋳造方法。
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