JP2007196265A - 内質に優れた極厚鋼板および極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

内質に優れた極厚鋼板および極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】既存の厚板用圧延機を用いて、連続鋳造された鋳片を素材とする超音波探傷試験において欠陥のない内質の優れた高強度極厚鋼板を製造する。
【解決手段】鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上、1.0未満の範囲において、未凝固部を含む鋳片の幅中央部を、一対の圧下ロールにより3〜15mm圧下することにより鋳造された鋳片を素材として、仕上げ圧延までの圧下比rが1.5〜4.0の条件で熱間圧延して得られ、引張強度Xのレベルが400MPa級乃至600MPa級である極厚鋼板であって、該極厚鋼板の厚み中心部の中心ポロシティ体積Vpが、Vp < Vp0/rなる関係を満たすことを特徴とする極厚鋼板。ここで、Vp0は、極厚鋼板の引張強度から計算により求められる換算中心ポロシティ体積である。
【選択図】図6

Description

本発明は、超音波探傷試験において欠陥が検出されない、内質に優れた極厚鋼板の製造方法およびその素材となる鋳片を溶鋼から連続的に製造する際に、鋳片の厚さ中心部に発生する中心ポロシティの体積が小さく、内質の良好な鋳片を鋳造する連続鋳造方法に関するものである。
一般に、鋼板は、連続鋳造方法で鋳造された鋳片を素材として製造される。この鋳片の厚さ中心部には、溶鋼が凝固する際の凝固収縮や凝固後の冷却による熱収縮によって、最終凝固位置である厚さ中心付近に小さな空孔、いわゆる中心ポロシティが形成される。
鋳片に中心ポロシティが存在すると、溶鋼中に溶解していた水素が凝固時に拡散して中心ポロシティに集積する。水素が中心ポロシティに集積した鋳片を熱間圧延すると、圧延によって中心ポロシティが圧着されても、中心ポロシティに集積した水素は鋼板中に再固溶して残留することになる。このような場合、残留する水素量が多いと鋼板に割れが発生する(以下、この現象を「水素割れ」という)。
近年、金型や機械部品用の高炭素鋼(SC材)では、素材を鍛造品から圧延材に変えることによる低コスト化や、産業機械や建設機械向け鋼材、海洋構造物や各種圧力容器用鋼材に対しても、設備の大型化等に伴い、板厚が100mmを超える極厚鋼板が使用される機会が増加している。
上記の極厚鋼板の製造に鋳片を用いる場合に、鋳片に中心ポロシティが存在すると、現在一般に使用されている厚板圧延機の能力では鋳片の中心部に生成した中心ポロシティを安定して圧着させることは困難である。したがって、極厚鋼板の超音波探傷試験(以下、「UST」という)を行った場合には、未圧着の中心ポロシティが欠陥(以下、「UST欠陥」という)として検出されることが多い。このため、鋳片に発生する中心ポロシティを解消することを目的として、種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、連続鋳造によって熱間圧延用鋳片を製造するに当たり、凝固率が85%以上99%以下の位置において、面部材によって1mm以上25mm以下の軽圧下を断続的に行うことにより、鋳片板厚中心部に偏析や中心ポロシティの無い連続鋳造鋳片の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、鋳片の未凝固末端部を実質的に面を構成する部材を用いて圧下しつつ凝固させ、1パス当りの平均圧延真歪が0.2%以下で、かつ、累積圧下率が30〜99%の圧延を行うことにより、板厚中心部の靱性及び内質に優れた厚鋼板を製造する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1および2で開示される方法では、鋳片を圧下するために連続鋳造機に大規模な面圧下設備を設置しなければならず、設備面積が必要になるとともに設備費用を要するという問題がある。
特許文献3には、鋼の連続鋳造に当り、鋳片横断面の中心部における固相率が0.3〜0.7の範囲において鋳片に5〜15mmの軽圧下を加えると共に、鋳片横断面の中心部における固相率が0.8〜1.0の範囲、或いは、凝固完了後鋳片横断面の中心温度が1200℃以上の範囲において、少なくとも一方向に一段当り圧下率で30%以上の圧下を加える鋳片内質改善方法が開示されている。
また、特許文献4には、鋳片中心部の温度が固相率0.05〜0.7に相当する鋳片位置に少なくとも一対のロールを設置して鋳片を4〜20mm圧下すると共に、鋳片中心部の温度が固相率0.8以上の鋳片位置に少なくとも一対のロールを設置して5〜20%の圧下率で鋳片を圧下することで、中心ポロシティを軽減する連続鋳造方法が開示されている。
しかし、特許文献3および4で開示される方法では、鋳片の凝固末期つまり厚さ中心部の固相率が0.8以上で、圧下率が5%以上という大圧下を行うため、幅広の鋼板を対象とした鋳片では圧下力が9.8×103kN(1000ton)以上にもなり、圧下ロールや圧下設備が大規模になり、設備面積が必要になるとともに設備費用も要するという問題がある。
特許文献5には、連続鋳造法を用いて極厚鋼板を製造する方法において、連続鋳造鋳片の厚み中心部における固相率が0.6以上となる領域において、未凝固厚みの1.1倍以上2.0倍以下の圧下を加えた連続鋳造鋳片を用いることにより板厚中心部の靱性及び内質に優れた極厚鋼板を製造する方法が開示されている。しかし、この方法は、未凝固厚さの定義が明確ではなく、必要な圧下量も明瞭ではないので、中心ポロシティを解消する技術としては不十分なものである。
また、特許文献6には、C≦0.18質量%の溶鋼を連続鋳造し、その鋳片の凝固末期に鋳片の中心部の固相率が90〜98%の部分を、2〜5%の圧下加工率で1回圧下することにより、内部品質に優れた連続鋳造鋳片を製造する方法が開示されている。この方法では、圧下率が小さいため、連続鋳造機に大規模な圧下設備を設置する必要が無く、設備面積および設備費用を要しないが、圧下率が小さいことから、中心ポロシティを全て圧着することができず、それらが鋳片に残る場合があった。また、その後、鋳片を圧延する際においても残った中心ポロシティは、その大きさによっては圧着できずに、極厚鋼板に欠陥として残るという問題がある。
特許文献7には、鋳片をバルジングさせて鋳片の最大厚さを鋳型の短辺長さよりも20〜100mm厚くし、凝固完了直前にて少なくとも一対の圧下ロールによりその一対あたり20mm以上の圧下を与えて、バルジング量相当分を圧下することにより、変形抵抗の大きい鋳片両端部の圧下による塑性変形を不要とする連続鋳造方法が開示されている。しかし、この方法は、中心偏析の防止対策として行われている方法であり、中心ポロシティに対する記載がなく、その効果については不明である。また、バルジングさせて鋳片短辺(端部)を圧下しないようにしても、圧下量が大きいために凝固末期には大きな圧下力が必要となり、大規模な圧下設備および設備面積が必要になる。
また、特許文献8には、極厚鋼板で発生するUST欠陥を防止するために、中心ポロシティの厚さd0の鋳片を、900〜1300℃に加熱後、下記の(a)式を満足する圧下比rで圧延し、かつ最終圧延パスにおいて下記の(b)式の条件を満足させることにより、安定して内質の優れた極厚鋼板を製造する方法が開示されている。
r≧0.2×d0+1.0 ・・・(a)
1.67×((t0−t1)×R)1/2/t0+0.5≧1.1・・・ (b)
ここで、t0は被圧延材の最終圧延パス前の厚さ(mm)、t1は被圧延材の最終圧延パス後の厚さ(mm)、Rは圧延ロール半径(mm)を示す。
特許文献8で開示されている方法は、鋳片に存在する大きな中心ポロシティを厚板圧延だけで圧着解消させようとするものである。この方法における(a)式のd0は、試験材の中心ポロシティ厚さの大きいものから5個を抽出し、その平均をd0としている。
しかしながら、本発明者らが詳細に調査した結果、大きな中心ポロシティほどその発生比率は低くなるために平均値と最大値がかけ離れてしまう場合があること、また、大きな中心ポロシティほど圧延時に圧着されにくいためにUST欠陥として残りやすいことが判明した。そのため、圧延だけで中心ポロシティを圧着解消させようとするこの方法では、特に高強度極厚製品ニーズに対して完全にUST欠陥を解消することはできない。
さらに、前記の(b)式で最終圧延パスでの板厚中心圧縮応力(σmax)を規定しているが、圧下量(t0−t1に相当)は、被圧延材の温度や幅、変形抵抗、圧延機の圧下能力により制限され、他方、ロール半径(R)を大きくするためには圧延機自体を大型化する必要があり、現実的な技術ではない。
このように、中心ポロシティ体積が小さい、内質の優れた連続鋳造鋳片および極厚鋼板を製造するためには、解決されねばならない問題が残されている。
特開平07−276020号公報 特開平02−156022号公報 特開平05−69099号公報 特開平10−58106号公報 特開平06−106316号公報 特開平07−80615号公報 特開平09−57410号公報 特開2000−288604号公報(特許請求の範囲および段落[0030])
上述した通り、鋳片に発生する中心ポロシティの解消を目的とする従来技術には、大規模な圧下設備および設備面積が必要となり設備費用を要するというコスト面での問題や、既存の圧下設備を用いる場合に、鋳片を圧延する際に残った中心ポロシティが極厚鋼板に欠陥として残るなどの技術面での問題がある。
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、既存の厚板用圧延機を用いて製造される、UST欠陥のない内質に優れた高強度極厚鋼板およびその素材となる鋳片を溶鋼から連続的に製造する際に、鋳片の厚さ中心部に発生する中心ポロシティの体積が小さい内質の良好な鋳片を鋳造する連続鋳造方法の提供を目的としている。
本発明者らは、400MPa級鋼を対象として試験を重ねた結果、UST欠陥のない内質に優れた極厚鋼板を製造するためには、連続鋳造の際の圧下と熱間圧延の際の圧下の併用が有効であり、鋳片を凝固末期に一定の圧下条件で圧下しながら連続鋳造することにより、中心ポロシティの形成を事前に抑制できることを見出した。
さらに、鋳片および極厚鋼板の単位質量当たりの中心ポロシティ体積を定量的に把握することが可能であることを見出し、500MPa級鋼および600MPa級鋼に関しても400MPa級鋼と同様の試験を行い、検討を重ねた結果、下記の(a)〜(c)の知見を得た。
(a)鋳片の厚さ中心部およびその他の部分の比重測定に基づいて、中心ポロシティを単位質量当たりの体積割合として求め、この値を評価することにより、極厚鋼板の内質向上の指標とすることができる。
(b)鋳片を凝固末期に一定の圧下条件で圧下しながら連続鋳造することにより、極厚鋼板の内質向上に要求される中心ポロシティの低減効果が得られる。
(c)上記(b)の効果は、400MPa級鋼のみならず、さらに高強度の、500MPa級鋼および600MPa級鋼においても有効に発揮される。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)の極厚鋼板および(2)の連続鋳造方法を要旨としている。
(1)連続鋳造された鋳片を素材として、仕上げ圧延までの圧下比rが1.5〜4.0の条件で熱間圧延して得られ、引張強度Xのレベルが400MPa級乃至600MPa級である極厚鋼板であって、該鋼板の厚さ中心部の中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)が、下記(1)式および(2)式の関係を満たすことを特徴とする内質に優れた極厚鋼板。
Vp < Vp0/r ・・・(1)
Vp0=(0.020×X/10−0.085)×10-4 ・・・(2)
ここで、極厚鋼板の引張強度Xは、400MPa〜600MPaの範囲で選択される値であり、換算中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)の算出根拠となる。
(2)上記(1)に記載の極厚鋼板を熱間圧延により製造するための素材として用いる鋳片を連続鋳造する方法であって、該鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上、1.0未満の範囲において、未凝固部を含む鋳片の幅中央部を、一対の圧下ロールにより3〜15mm圧下することを特徴とする極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法(以下、この連続鋳造方法を、「凝固末期圧下法」という場合がある)。
本発明において、「内質に優れた」とは、鋼板の未圧着の中心ポロシティの体積が、USTを行った場合に、欠陥として検出されない程度に小さいことを意味する。
「極厚鋼板」とは、連続鋳造方法で鋳造された鋳片を圧延して得られる板厚80mm以上の鋼板を意味する。
本発明の極厚鋼板は、既存の厚板用圧延機を用いて製造することが可能なUST欠陥のない内質に優れた極厚鋼板であり、低コストかつ高品質の鋼板として広い用途に使用できる。
また、本発明の連続鋳造方法によれば、前記極厚鋼板の素材となる鋳片を溶鋼から連続的に製造する際に、比較的簡易な連続鋳造装置の圧下設備を用いて、中心ポロシティを低減した鋳片を鋳造することができるので、極厚鋼板の製造に大きく貢献できる。
本発明の極厚鋼板は、上述したとおり、連続鋳造された鋳片を素材として、仕上げ圧延までの圧下比rが1.5〜4.0の条件で熱間圧延して得られ、引張強度Xのレベルが400MPa級乃至600MPa級である極厚鋼板であって、該鋼板の厚さ中心部の中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)が、下記(1)式および(2)式の関係を満たすことを特徴とする。
Vp < Vp0/r ・・・(1)
Vp0=(0.020×X/10−0.085)×10-4 ・・・(2)
ここで、極厚鋼板の引張強度Xは、400MPa〜600MPaの範囲で選択される値であり、換算中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)の算出根拠となる。以下に、本発明を上記のように規定した理由および好ましい範囲について説明する。
(1)極厚鋼板の内質向上の指標
前述の従来技術に示されたとおり、中心ポロシティを低減するために固相率や圧下条件を規定する提案は数多くなされているが、鋳片または圧延製品の単位質量当たりの中心ポロシティ体積を定量的に規定したものは見当たらない。本発明者らはUST欠陥のない内質の良好な極厚鋼板を製造するためには、極厚鋼板の内質向上の指標の設定が不可欠であると考え、鋳片および極厚鋼板の単位質量当たりの中心ポロシティ体積の定量化を検討した。
本発明者らは、鋼種を400MPa級鋼、500MPa級鋼および600MPa級鋼の3水準とし、連続鋳造において様々な圧下量で鋳片を圧下し、得られた鋳片の1/4厚み位置および厚さ中心部から試料の採取を行った。
中心ポロシティの評価は、中心ポロシティ発生がほとんどないと推定される鋳片の1/4厚み位置の平均比重を基準として、厚さ中心部の比重から算出した中心ポロシティの比体積で評価する手法をとった。すなわち、1/4厚み位置の平均比重ρ0と、厚み中心の平均比重ρから、下記の(3)式で定義する中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)を求めた。
Vp=1/ρ−1/ρ0 ・・・(3)
さらに、極厚鋼板の場合にも、鋳片の場合と同様の手法で中心ポロシティ評価を行った。
圧延後の極厚鋼板は、後述するUST評価方法にて、未圧着の中心ポロシティを評価した。測定された欠陥の個数、欠陥1個当たりの最大指示長さ、密集度、占積率等が当該JISに規定された値以下の場合に、その極厚鋼板は合格とし、UST欠陥はないものと判断した。
本発明者らは、中心ポロシティは空洞であり、圧延圧下比が変わればその圧着量、体積量は変化すると考え、圧下比を考慮し、鋳片および極厚鋼板の中心ポロシティ体積の関連性を考察した。その結果、極厚鋼板の単位質量あたりの中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)は、鋳片の単位質量当たりの中心ポロシティ体積Vp0’(cm3/g)の値から圧延圧下比rに反比例することを知得し、下記の(4)式を得た。
Vp < Vp0’/r ・・・(4)
本発明者らは、さらに検討を重ね、本発明の凝固末期圧下法を適用した鋳片を素材とする極厚鋼板は、上記のUST評価において欠陥が検出されないこと、また同じ凝固末期圧下条件であっても強度レベルにより鋳片の中心ポロシティ低減への効果が異なることを知見した。
図1は、本発明の凝固末期圧下法を適用した鋳片の中心ポロシティ体積Vp0と鋼種の引張強度レベルの相関を示す図である。この関係を、引張強度レベルX(MPa)で近似的に表すことにより、極厚鋼板の内質向上に要求される鋳片の中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)を規定する下記の(2)式を得た。
Vp0=(0.020×(X/10)−0.085)×10-4 ・・・(2)
ここで、(2)式は400MPa〜600MPaの引張強度レベルで回帰分析して、極厚鋼板の引張強度Xと鋳片の中心ポロシティ体積Vp0の関係を表した式であるから、引張強度Xは同じ範囲内で選択される値を適用できる。
上記の(2)式は、極厚鋼板の引張強度の値から、極厚鋼板の内質向上に要求される鋳片の中心ポロシティ体積を規定する式であり、(2)式から定まる体積を換算中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)と定義する。
また、上記の(4)式のVp0’と換算中心ポロシティ体積Vp0を置き換えることにより極厚鋼板の内質向上に要求される極厚鋼板の中心ポロシティ体積を規定する(1)式を得た。
Vp < Vp0/r ・・・(1)
上記の(1)式および(2)式は極厚鋼板の内質向上の指標となり得るものであり、上記の(1)式を満足すれば、UST欠陥のない、内質に優れた極厚鋼板を得ることができる。
(2)圧下比1.5〜4.0
連続鋳造した鋳片を圧延する場合の圧下比rは、圧下比=(鋳造完了後鋳片厚さ/鋼板圧延仕上げ厚さ)で定義される。この圧下比は、通常の連続鋳造では、以下の理由により2.5〜4.0とされている。
圧下比が2.5未満では、鋳片に残った小さい中心ポロシティ(厚さ1mm未満程度)でも、圧延時に圧着、解消できない場合があり、製造された極厚鋼板にはUST欠陥が発見される場合がある。
また、板厚80mm以上の極厚鋼板を製造しようとする場合に、圧下比が4.0を超える圧下を要求することは、鋳型の厚さを大きくした連続鋳造機により鋳片の厚みを確保しなければならないことを意味する。このため、機長の長い巨大な連続鋳造機が必要になり、大きな設備費用がかかる。あるいは、操業時の鋳造速度を極端に遅くしなければならず、生産性が極めて悪くなるという問題がある。
本発明の極厚鋼板では、凝固末期圧下法の適用を前提とすることにより圧延圧下比を1.5〜4.0としている。
図2は、圧下比が3.0の圧延圧下を行った場合の、本発明の凝固末期圧下法の適用の有無による鋳片と極厚鋼板の中心ポロシティ体積を示した図であり、同図(a)は極厚鋼板の引張強度レベルが500MPa級の場合を示す図であり、同図(b)は極厚鋼板の引張強度レベルが600MPa級の場合を示す図である。
同図に示すように、本発明の凝固末期圧下法を適用し、中心ポロシティ形成を事前に抑制することにより、連続鋳造の際に本発明で実施している圧下ロールによる一括圧下をしていない鋳片(以下、「通常鋳片」という)を素材とする極厚鋼板よりも中心ポロシティ体積を約1/3に低減可能となる。
さらに、本発明の凝固末期圧下法を適用した鋳片および通常鋳片を素材とし、圧延によって同じ200mm厚の極厚鋼板を製造する場合の圧延後のポロシティ体積比較を表1に示す。
Figure 2007196265
300mm厚の通常鋳片から200mm厚の極厚鋼板を製造する比較材1では、圧下比は1.5となり、600mm厚の鋳片で圧下比を3.0まで上昇させた比較材2よりも中心ポロシティ体積は大きくなる。これに対して、本発明の凝固末期圧下法を適用した300mm厚の鋳片を素材とする極厚鋼板は、同じ圧下比の比較材1と比べ、中心ポロシティ体積が1/3以下に低減しているのみならず、さらには圧下比が3.0の比較材2と比べても中心ポロシティ体積が低減する結果となる。
すなわち、通常鋳片の圧延では、圧下比は2.5〜4.0とする必要があるが、本発明の極厚鋼板による圧延では、鋳片段階で従来の圧下比が3.0程度の中心ポロシティ低減効果が予め付与されている。このため、本発明で規定する圧下比が1.5〜4.0の条件は、通常鋳片の圧下比では4.5(=1.5×3)〜12.0(=4.0×3)に相当することになる。
ただし、内質向上には中心ポロシティ低減だけでなく凝固組織の微細化も重要な因子であるため、本発明の圧下比としては、1.5を下限とする。
また、本発明は、連続鋳造法により鋳造した300mm厚程度の鋳片を素材とし、板厚80mm以上の極厚鋼板を製造するため、本発明の圧下比は、4.0を上限とする。
本発明によれば、鋳片に残った小さい中心ポロシティ(厚さ1mm未満程度)が、圧下比1.5〜4.0の圧延により圧着、解消できるので、圧下比を確保できなかった極厚材の製品の製造が可能となり得る。
さらに、表1に示すように、従来は200mm厚の極厚鋼板製造の場合に、圧下比が3程度必要なため、少なくとも600mm厚以上の鋳型厚が必要であったのに対して、本発明によればその半分程度の300mm厚の鋳型で実現が可能となる。すなわち、通常その極厚鋼板を鋳造するために必要な鋳型厚以下でその半分以上の厚みの鋳型を用いることで製造が可能となり、既存の連続鋳造機により製造可能な範囲に収めることができる。従って、インゴットからの製造や、極厚専用の連続鋳造機を必要とすることなく製造が可能となる。
(3)化学組成
本発明が対象とする鋼板は、化学組成を限定するものではないが、主に最終製品である厚鋼板としての機械特性、溶接性、溶接熱影響部特性等に応じて各合金元素を組合せることが望ましい場合があり、下記の化学組成を含有することができる。以下の説明において、「%」は「質量%」を表す。
C:0.02〜0.56%
Cは強度を確保するのに有効な元素であるが、その効果を得るためには0.02%以上含有させることが望ましい。一方、構造材料等の母材や溶接部の靱性が要求されるものについては靱性確保の観点から0.18%以下(例えば、−20、−40℃の低温靱性の要求がある場合は0.09%以下)の含有量のものを用いることが望ましい。また、高硬度にして摩耗性等を向上させる用途には、必要な硬度を得るために0.56%以下の含有量のものを用いることが望ましい。
Si:0.04〜0.60%
Siは溶鋼の脱酸に必要な元素であり、その効果を得るためには0.04%以上が望ましい。しかし、0.60%を超えると溶接熱影響部靱性を劣化させるので、望ましくは0.35%以下である。
Mn:0.50〜2.00%
Mnは、Cと同様、母材強度を確保するのに有効な元素であり、効果的に強度を得るために0.50%以上含有することが望ましい。しかし、Mn含有量が多すぎると中心偏析による母材や溶接熱影響部靱性の劣化が顕著となるため、2.00%以下の範囲で用いるのが望ましい。
P:0.020%以下およびS:0.006%以下
PおよびSは鋼の靱性を著しく悪化させる元素であり、その含有量は少ない方が望ましいが、極端に低下させるためにはコストがかかるために、上記の範囲以下で用いる。
さらに、目的とする強度、硬度および溶接熱影響部靱性を確保するために、必要に応じて、Cu:0.1〜1.2%、Ni:0.1〜4.0%、Cr:0.1〜1.2%、Mo:0.01〜0.6%、Nb:0.01〜0.1%、V:0.01〜0.1%、Ti:0.01〜0.03%、B:0.0003〜0.003%、Al:0.003〜0.10%、およびN:0.001〜0.01%を単独、または、組み合わせて含有させることができる。これらの元素も上記の範囲を超えて含有すると逆に特性が悪化したり、含有による効果が合金コストに見合わなくなるものである。
また、特に溶接熱影響部靱性の性能向上を目的として、Ca、Mg、REMを1種以上含有させることができるが、その範囲はそれぞれ0.0005%以上、0.01%以下であることが望ましい。
近年、首都高速道路に使用される橋脚は、設置場所の制約から特殊な形状を採用する場合が多く、厚肉化の傾向がみられる。また、既設橋脚においては疲労亀裂が問題となるため、溶接部のUSTが厳格化されてきている。このため、圧下比を大きくできない極厚鋼板は、連続鋳造による軽圧下に加えて強圧下圧延を行ってもポロシティ欠陥がわずかに残り、高感度USTにより欠陥として検出されるため、製造が困難と考えられていた。本発明の鋼板は、上記のような用途の鋼種に適用することが望ましい。
次に、本発明の連続鋳造方法、すなわち、凝固末期圧下法について説明する。
本発明の連続鋳造方法は、前記極厚鋼板を熱間圧延により製造するための素材として用いる鋳片を連続鋳造する方法であって、該鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上、1.0未満の範囲において、未凝固部を含む鋳片の幅中央部を、一対の圧下ロールにより3〜15mm圧下することを特徴とする。本発明の凝固末期圧下法は、上述のとおり、中心ポロシティ形成を事前に抑制する効果を十分に発揮するものであるが、凝固末期圧下法を上記のように規定した理由および好ましい範囲について以下に説明する。
(4)圧下時期
本発明の連続鋳造方法では、中心固相率が0.8以上の凝固末期に圧下する、すなわち、中心固相率が0.8以上の時に圧下ロールによって圧下できるように、操業条件(鋳造速度、冷却水量等)を調整する。
中心固相率が0.8未満では、鋳片の厚さ中心部には凝固末期の溶鋼がまだ比較的多く残っているために、大きな圧下を加えると鋳片中心部に残っている溶鋼が排出され、母溶鋼に向かって流動する。
このため、凝固の進行は必ずしも均一ではなく、冷却むら等により凝固シェルの厚さは不均一になるので、圧下時の中心固相率は鋳片の位置によって厳密には異なっている。
従って、中心固相率が0.6以上0.8未満の場合、鋳片の位置によっては、中心固相率が0.8以上となっている部分が存在する可能性がある。この時、圧下により排出された溶鋼が、中心固相率が0.8以上の部分で流動できなくなり、その結果、母溶鋼まで流動して混合することが困難となる。このため、中心ポロシティは低減するものの、排出された溶鋼がそのまま鋳片に偏析として残り、中心偏析状況は逆に悪化する。
さらに中心固相率が低くなって、中心固相率が0.6未満の場合は、鋳片の内部に溶鋼が非常に多く残っているため、この溶鋼を排出するためには圧下量を大きくしなければならない。このため、大きな圧下力が必要となり、大規模な圧下設備が必要になる。
これに対して、固相率が0.8以上の場合は、鋳片の内部に凝固末期の溶鋼が少なく、大きな圧下を加えても溶鋼はほとんど流動することがない。このため、中心偏析状況が悪化することはない。そこで、本発明では、凝固末期の中心固相率が0.8以上において圧下することとしている。
このように、中心固相率が0.8以上、すなわち0.8〜1.0の領域において圧下を加えれば、中心ポロシティの圧着に効果を有する。しかし、中心固相率が1.0、すなわち完全に凝固してからでは、鋳片の厚さ中心部の温度が低下するため、変形抵抗が急激に大きくなる。このため、中心固相率が1.0になった後に大きな圧下を加えたのでは、中心ポロシティが分布している鋳片の厚さ中心部が有効に圧下されず、大きな中心ポロシティはあまり小さくならない可能性がある。
なお、中心固相率fsは、溶鋼の液相線温度TLと固相線温度TSと厚さ中心の温度Tから、fs=(TL−T)/(TL−TS)により求めることができる。鋳片の厚さ中心の温度Tが溶鋼の液相線温度TL以上の場合にはfs=0であり、前記厚さ中心の温度Tが溶鋼の固相線温度TSより小さい場合にはfs=1.0である。また、鋳片の厚さ中心の温度Tは、鋳造速度、鋳片の表面冷却、鋳造鋼種の物性等を考慮した鋳片内の非定常伝熱解析計算によって求めることができる。
(5)圧下量
本発明の連続鋳造方法において、鋳片の幅方向中央部における圧下量を3〜15mmとするのは、圧下量が3mm未満では、鋳片の中心ポロシティを確実に軽減することができないからである。つまり、圧下量が3mm未満の場合には、大きな中心ポロシティがわずかに小さくなるだけで、その後の圧延によっても圧着できずに欠陥として残るからである。
一方、中心固相率が0.8以上において、圧下量が15mmを超えて大きくなるようにするには、非常に大きな圧下力が必要であり、それゆえに油圧設備などを含めて大規模な圧下設備が必要になるからである。
(6)圧下方法
本発明では、必要圧下量が3mm〜15mmであるので、少ない圧下容量で効率よく圧下できるように鋳片の上面と下面とを対称圧下することが望ましく、そのためには、圧下時に下ロールを鋳片の下側パスラインよりも上部に突出させることが望ましい。また、鋳片バルジング量は特に規定していないが、例えば、必要圧下量が3mmの場合、バルジング量を2mmとすると、圧下時の変形抵抗の大きい鋳片短辺部の圧下量は1mmで済むこととなるので必要に応じてバルジングを併用してもよい。
本発明の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行うとともに、得られた鋳片を極厚鋼板に圧延し、超音波探傷試験により極厚鋼板の製品評価を行った。
(試験方法)
1)鋳造方法
図3は、本発明の連続鋳造方法を試験するために用いた垂直曲げ型の連続鋳造装置を模式的に示した図である。試験に用いた鋳型は、厚さが311mm、幅は2300mmの大きさのものを使用した。以下の説明では、この鋳型で鋳造した鋳片を「300mm厚鋳片」と記す。
対象とした鋼種は、400MPa級鋼、500MPa級鋼および600MPa級鋼の3水準であり、それぞれ下記の表2に示す化学組成とした。
Figure 2007196265
鋳造速度Vcは、圧下時の鋳片の中心固相率が、凝固伝熱計算により予め0.8以上となるように、Vc=0.61〜0.62(m/min)の範囲で種々変更した。また、二次冷却水量は0.62〜0.73L/kg−steelとした。
タンディッシュ(図示せず)から浸漬ノズル1を経て鋳型3に注入された溶鋼4は、鋳型3及びその下方の二次冷却スプレーノズル群(図示せず)から噴射されるスプレー水によって冷却され、凝固シェル5が形成されて鋳片8となる。鋳片8の内部に未凝固部を保持したまま、鋳片8はガイドロール6群を経て圧下ロール7により引き抜かれる。
圧下ロール7は、鋳型3の内部に形成される溶鋼湯面(メニスカス)2より21.5m下方の位置に1対設置した。圧下ロール7の径は450mmで、圧下力は最大5.88×103kN(600ton)とした。なお、試験に用いた連続鋳造機は垂直曲げ型連続鋳造機であるが、湾曲型連続鋳造機を使用しても良いことは言うまでもない。
圧下時の中心固相率は、主に鋳造速度と、鋳片の幅中央部の厚さに合わせて、種々鋳造速度を変えて一次元の伝熱計算を行い、所定の固相率になる条件を求めた。
また、タンディッシュ内の溶鋼温度は、ΔT(過熱度)=27℃〜50℃の間でほぼ一定とした。なお、ΔTは溶鋼温度と液相線温度の差である。
2)鋳片および極厚鋼板の中心ポロシティ評価
得られた鋳片は、中心ポロシティの調査のために一部から試料を採取した後、950〜1170℃に加熱し、1050〜750℃の範囲で仕上げ圧延を行い極厚鋼板を製造した。使用した仕上げ圧延機のワークロール径は1040mm、最大圧下力は6.17×104kN(6300ton)であった。中心ポロシティの調査のために極厚鋼板の一部から試料を採取した。
鋳片については、鋳片の1/4厚み位置の幅方向7箇所、厚み中心の幅方向16箇所から試料を採取した。試料形状は、比重測定の精度を勘案し長さ50mm×幅100mm×厚さ7mmとし、面の加工精度はJISに基づく上仕上げ(三角記号▽▽▽:最大表面粗さ3.2μ)程度とした。
中心ポロシティ発生がほとんどないとみられる鋳片の1/4厚み位置の平均比重を基準として、厚さ中心部の比重から算出した中心ポロシティの比体積で評価した。1/4厚み位置の平均比重ρ0と、厚み中心の平均比重ρから、下記の(3)式で定義する中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)を求めた。
Vp=1/ρ−1/ρ0 ・・・(3)
また、極厚鋼板についても、上記と同じ条件で試料採取を行ったが、各極厚鋼板で圧下比が異なるため、試料形状の厚みは極厚鋼板の厚みの約1/20で統一した。
圧延後の極厚鋼板は、下記のUST評価方法により、未圧着の中心ポロシティを評価した。UST装置は、Aスコープ表示式探傷器で、振動子直径30mm、公称周波数2MHzの垂直探傷子を用いた。測定された欠陥の個数、欠陥1個当たりの最大指示長さ、密集度、占積率等が当該JISに規定された値以下の場合に、その極厚鋼板は合格とし、UST欠陥はないものと判断した。
(UST評価方法)
本発明はUST欠陥のない内質の優れた高強度極厚鋼板を製造することを目的としているため、JIS G0801(1993)で規定するUSTよりも厳格な試験方法でUST欠陥の評価を行った。本発明で採用する垂直超音波探傷法では、JIS G0801を応用し、縦または横100mmピッチの線上探傷で、きずエコー高さ(以下「F1」という)が25%超えでその欠陥指示長さが5mm超えの欠陥が1個/平方メートル以下と規定した。
JIS G0801は、圧力容器用鋼板に対する規定であるが、便宜的にこの方法を本鋼材にも適用した。ただし、その感度設定においては、JIS G0801のままでは不十分であり、JIS G0801に基づく探傷感度設定をした後、さらにその感度を+12dBアップ(約4倍の感度)し、それをAスコープ表示装置における0〜100%表示の中で評価した。デジタル式探傷器による場合は、これに準じた。
通常のJIS G0801においては、主にF1又はF1/B1が50%超えの中欠陥及び重欠陥が判定の対象となり、F1又はF1/B1が25〜50%の〇欠陥は問題とされない場合が多いが、本発明で採用する垂直超音波探傷法の鋼板内部の評価にあっては、〇欠陥も評価の対象とした。しかも、本発明で採用する評価方法は、探傷感度を+12dBアップ(約4倍の感度)していることから、評価対象となる〇欠陥は6〜12.5%の微小な欠陥を意味し、そのような微小な欠陥が、鋼板内部でその欠陥指示長さが5mm超えの欠陥が1個/平方メートル以下という極めて厳しい鋼の内部健全性を要求するものである。
(試験結果)
表3に実施例の試験条件を、表4に試験結果をそれぞれ示す。本発明例の試験番号T1〜T4は、圧下量を12mmとして本発明の凝固末期圧下法を適用して製造した鋳片を圧延素材とした極厚鋼板についての試験であり、比較例の試験番号T5〜T8は、凝固末期圧下法を適用しなかった、すなわち圧下量を0mmとして製造した鋳片を圧延素材とした極厚鋼板についての試験である。
Figure 2007196265
Figure 2007196265
図4は、本発明例および比較例の500MPa級鋼鋳片(1/4厚みおよび1/2厚み)の比重測定結果を示す図である。同図に示すように、本発明の凝固末期圧下法を適用した本発明例の鋳片では、中心(1/2厚み)のポロシティが、凝固末期圧下法を適用しなかった比較例の鋳片よりも、明らかに改善されていた。
他の鋼種についても同様に測定を行い、前記の(3)式により算出した単位質量あたりの中心ポロシティ体積を求めた。
図5は、本発明例および比較例の鋳片の単位質量当たりの中心ポロシティ体積を示す図である。同図に示すように、本発明の凝固末期圧下法を適用した場合は、凝固末期圧下法を適用しなかった場合に比べて、400MPa級鋼、500MPa級鋼および600MPa級鋼のいずれの鋼種においても中心ポロシティ体積を1/3以下に低減する効果があることが確認された。
図6は、横軸に圧下比rを、縦軸に単位質量当たりの中心ポロシティ体積をとり、本発明例および比較例の極厚鋼板の単位質量当たりの中心ポロシティ体積の分布を示す図である。同図に示すように、本発明の凝固末期圧下法を適用した場合は、中心ポロシティ体積が曲線Vp0/rよりも下側の領域に分布し、本発明で規定する前記の(1)式の関係を満足した。これに対し、比較例の場合は、中心ポロシティ体積が全て曲線Vp0/rよりも上側の領域に分布した。
さらに、本発明で規定する前記の(1)式の関係を満足した試験番号T1〜T4は、表4に示すように、上記のUST評価においても合格する良好な結果を得た。
本発明の極厚鋼板は、既存の厚板用圧延機を用いて製造することが可能なUST欠陥のない内質に優れた極厚鋼板であり、低コストかつ高品質の鋼板として広い用途に使用できる。
また、本発明の連続鋳造方法によれば、前記極厚鋼板の素材となる鋳片を溶鋼から連続的に製造する際に、比較的簡易な連続鋳造装置の圧下設備を用いて、中心ポロシティを低減した鋳片を鋳造することができるので、極厚鋼板の製造に大きく貢献できる。
これにより、製造が困難と考えられていた極厚の高感度UST対象材の製造可能範囲を拡大することができるという利点がある。
本発明の凝固末期圧下法を適用した鋳片の中心ポロシティ体積Vp0と鋼種の引張強度レベルの相関を示す図である。 圧下比が3.0の圧延圧下を行った場合の、本発明の凝固末期圧下法の適用の有無による鋳片と極厚鋼板の中心ポロシティ体積を示した図であり、同図(a)は極厚鋼板の引張強度レベルが500MPa級の場合を示す図であり、同図(b)は極厚鋼板の引張強度レベルが600MPa級の場合を示す図である。 本発明の連続鋳造方法を試験するために用いた垂直曲げ型の連続鋳造装置を模式的に示した図である。 本発明例および比較例の500MPa級鋼鋳片(1/4厚みおよび1/2厚み)の比重測定結果を示す図である。 本発明例および比較例の鋳片の単位質量当たりの中心ポロシティ体積を示す図である。 横軸に圧下比rを、縦軸に単位質量当たりの中心ポロシティ体積をとり、本発明例および比較例の極厚鋼板の単位質量当たりの中心ポロシティ体積の分布を示す図である。
符号の説明
1.浸漬ノズル
2.溶鋼湯面(メニスカス)
3.鋳型
4.溶鋼
5.凝固シェル
6.ガイドロール
7.圧下ロール
8.鋳片

Claims (2)

  1. 連続鋳造された鋳片を素材として、仕上げ圧延までの圧下比rが1.5〜4.0の条件で熱間圧延して得られ、引張強度Xのレベルが400MPa級乃至600MPa級である極厚鋼板であって、
    該鋼板の厚さ中心部の中心ポロシティ体積Vp(cm3/g)が、下記(1)式および(2)式の関係を満たすことを特徴とする内質に優れた極厚鋼板。
    Vp < Vp0/r ・・・(1)
    Vp0=(0.020×X/10−0.085)×10-4 ・・・(2)
    ここで、極厚鋼板の引張強度Xは、400MPa〜600MPaの範囲で選択される値であり、換算中心ポロシティ体積Vp0(cm3/g)の算出根拠となる
  2. 請求項1に記載の極厚鋼板を熱間圧延により製造するための素材として用いる鋳片を連続鋳造する方法であって、
    該鋳片の厚さ中心部の固相率が0.8以上、1.0未満の範囲において、未凝固部を含む鋳片の幅中央部を、一対の圧下ロールにより3〜15mm圧下することを特徴とする極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法。
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