JP2009106967A - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009106967A
JP2009106967A JP2007281401A JP2007281401A JP2009106967A JP 2009106967 A JP2009106967 A JP 2009106967A JP 2007281401 A JP2007281401 A JP 2007281401A JP 2007281401 A JP2007281401 A JP 2007281401A JP 2009106967 A JP2009106967 A JP 2009106967A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
steel
less
slab
continuous casting
casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2007281401A
Other languages
English (en)
Inventor
Toru Kato
徹 加藤
Yoshiki Ito
義起 伊藤
Shinsuke Watanabe
信輔 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Industries Ltd filed Critical Sumitomo Metal Industries Ltd
Priority to JP2007281401A priority Critical patent/JP2009106967A/ja
Publication of JP2009106967A publication Critical patent/JP2009106967A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】硫黄快削鋼などを連続鋳造する際の内部割れを防止あるいは低減し、良好な品質を有する機械構造用快削鋼の鋳片を得るための連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、Sを0.03〜0.50%含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満である鋼を連続鋳造する際に、短辺に対する長辺の長さの比が1.5未満である断面形状が矩形の鋳型を用い、垂直型、完全凝固後に矯正する湾曲型、または完全凝固後に曲げおよび矯正を行う垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する連続鋳造方法であって、鋳造された鋳片の横断面における対角比を0.99以上とし、鋳片のバルジング量およびディプレッション量をそれぞれ4mm未満とする鋼の連続鋳造方法である。前記に方法において、定常状態における鋳造速度を0.6m/min未満として鋳造することが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、硫黄快削鋼などを連続鋳造する際の内部割れを防止あるいは低減し、良好な品質を有する機械構造用快削鋼の鋳片を得るための連続鋳造方法に関する。
従来、鋼の被削性を向上するために鋼中に鉛(Pb)を添加した鉛快削鋼が広く利用されてきた。しかし近年、環境保全の観点から快削鋼への鉛添加が問題視されるようになり、鉛を含有しない快削鋼の開発が進められている。これらのPb無添加の快削鋼では硫黄(S)含有率を増加させる方法がしばしば採用されるが、硫黄含有率の増加は、内部割れ感受性を高め、連続鋳造時に内部割れを発生するため、圧延後の製品の機械的特性および内部品質に悪影響を及ぼす。
従来、内部割れは、鋼の凝固過程で鋳片の凝固シェルに応力が付与され、この歪み量がその鋼種特有の限界量を超えたときに発生することが明らかにされている。この知見に基づき、例えば特許文献1には、抗張力出現温度と延性出現温度の間の温度域に存在する間に受ける歪み量の総和が、鋳造する鋼種の限界歪を超えない条件で鋳造する鋼の連続鋳造方法が開示されている。
この方法は、内部割れを防止するための優れた方法であるが、鋼種毎に異なる限界歪みを事前に何らかの方法で知る必要がある。限界歪みを事前に得るためには、実際に測定する方法、あるいは他の鋼種での実験結果に基づいて予想する方法がある。実際に測定するためには多大な工数と費用がかかるという問題がある。さらに、他の鋼種の限界歪み測定結果に基づいて予想する方法においては、従来のデータが鋼中の硫黄含有率の低い薄板用鋼種が中心であることから、この結果に基づいて硫黄含有率の高い鋼種(以下、「高S含有鋼」とも記す)にデータを外挿しても、精度の高い推測値が得られないという問題があった。
このような問題に対して、本発明者らは高S含有鋼の内部割れの発生挙動に関する検討を行い、高S含有鋼の内部割れ感受性は、特定組成範囲において著しく増加することを見いだした。この知見に基づいて、特許文献2において、質量%で、C:0.05〜0.19%、Si:1.0%以下、Mn:0.4〜2.0%、P:0.001〜0.2%、S:0.2〜0.69%、Pb:0.01%未満、Al:0.1%以下、O(酸素):0.001〜0.02%およびN:0.001〜0.02%を含有し、残部がFeおよび不純物からなり、かつMnとSの含有率が下記(1)式および(2)式の関係を満足する溶鋼を鋳造する低炭素硫黄系快削鋼の連続鋳造方法を提案した。
[Mn%]×[S%]<0.9 ・・・(1)
[S%]<0.32×[Mn%]5 ・・・(2)
ここで、[Mn%]はMn含有率(質量%)を、[S%]はS含有率(質量%)をそれぞれ表す。
さらに、成分系の異なる機械構造用の高S含有快削鋼にも同様の思想が適用できることを見いだし、特許文献3において、機械構造用快削鋼の連続鋳造方法を提案した。これらの方法は、高S含有鋼の内部割れを防止することが可能であり、鋳片品質や製品特性の優れた快削鋼を製造可能とする優れた方法である。しかしながら、このような条件を満足しても、なお内部割れが発生する場合のあることが判明した。
特開平3−174962号公報 特開2005−59096号公報 特開2006−206967号公報
本発明は、上記の課題を克服するためになされたものであり、その目的は、鉛快削鋼などの代替鋼として硫黄含有率を高めることにより被削性を向上させた鋼種を、内部割れの発生を起こすことなく連続鋳造できる方法を提供することにある。
本発明者らは、上述の高S含有鋼の連続鋳造時に鋳片内に発生する内部割れを防止するために、Mn含有率(質量%)([Mn%])とS含有率(質量%)([S%])とが下記(2)式の関係を満足すれば内部割れを発生することなく、連続鋳造することが可能であることを見いだし、特許文献2あるいは特許文献3に記載の発明を完成した。
[S%]<0.32×[Mn%]5 ・・・(2)
しかしながら、上記(2)式の関係を満足させても、S含有率の高い鋼種では鋳片内部に内部割れの発生する場合があった。そこで、種々の条件で鋳片内の内部割れの発生状況について調査を行うとともに、内部割れの発生を起こすことなく連続鋳造できる方法について検討を行い、下記の(A)〜(C)に示す知見を得た。
(A)内部割れの発生は、鋳片の断面形状と密接に関係している。鋳片の断面において顕著なバルジングあるいはディプレッションが認められる場合、あるいは横断面の両対角線の長さの比が1:1から逸脱して平行四辺形状に変形している場合には、内部割れが悪化する。すなわち、断面形状が矩形から逸脱するほど内部割れが悪化する。
(B)上記(A)の知見に基づくさらなる検討の結果、下記の事項が判明した。すなわち、内部割れを防止あるいは軽減するためには、鋳片横断面において2つの対角線のうち、短い方の対角線長さを長い方の対角線長さで除した比の値を0.99以上とし、鋳片のバルジング量を4mm未満とし、かつディプレッション量を4mm未満とする必要がある。
(C)鋳造操業の定常状態において、鋳造速度を0.6m/min未満とすることにより、鋳片内の内部割れの発生状況を一層低減できる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(6)に示す連続鋳造方法にある。
(1)質量%で、Sを0.03〜0.50%含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満である鋼を連続鋳造する際に、短辺に対する長辺の長さの比が1.5未満である矩形の断面形状の鋳型を用い、垂直型、完全凝固後に矯正する湾曲型、または完全凝固後に曲げおよび矯正を行う垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する連続鋳造方法であって、鋳造された鋳片の横断面における対角比を0.99以上とし、鋳片のバルジング量およびディプレッション量をそれぞれ4mm未満とすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)定常状態における鋳造速度を0.6m/min未満として鋳造することを特徴とする前記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)前記(1)または(2)に記載の鋼の連続鋳造方法を用いて、質量%で、C:0.2〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.003〜0.2%、S:0.03〜0.50%、Pb:0.01%未満、およびN:0.001〜0.02%を含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満であり、残部がFeおよび不純物からなる鋼を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第3発明」とも記す)。
(4)前記(1)または(2)に記載の鋼の連続鋳造方法を用いて、質量%で、C:0.2〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.003〜0.2%、S:0.03〜0.50%、Pb:0.01%未満、N:0.001〜0.02%、およびAl:0.005〜0.1%を含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満であり、残部がFeおよび不純物からなる鋼を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法(以下、「第4発明」とも記す)。
(5)Feに替えて、質量%で、Cu:1.0%、Ni:1.0%以下、Cr:2.0%以下、Mo:1.0%以下、V:0.5%以下およびNb:0.1%以下から選んだ1種または2種以上を含有する鋼を鋳造することを特徴とする前記(3)または(4)に記載の鋼の連続鋳造方法(以下、「第5発明」とも記す)。
(6)さらに、Feに替えて、質量%で、Te:0.01%以下、Bi:0.3%以下、Sn:0.3%以下、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下および希土類元素:0.01%以下から選んだ1種または2種以上を含有する鋼を鋳造することを特徴とする前記(3)〜(5)のいずれかに記載の鋼の連続鋳造方法(以下、「第6発明」とも記す)。
本発明において、「対角比」とは、鋳片の横断面における2つの対角線のうち、短い方の対角線長さを長い方の対角線長さで除した比を意味する。
また、「バルジング量」とは、鋳片横断面の長辺または短辺における部分的な膨れ量を意味し、「ディプレッション量」とは、鋳片横断面の長辺または短辺における部分的な窪み量を意味する。
「定常状態」とは、鋳込み開始初期、鋳込み終了および取鍋交換作業時期といった非定常な操業時期を除く鋳造操業状態(時期)を意味する。
本発明の連続鋳造方法によれば、鉛を含有せずに、硫黄含有率を高めることにより、従来の鉛快削鋼や鉛と他の快削元素とを複合添加した複合快削鋼に匹敵する被削性を有する機械構造鋼用快削鋼を、内部割れを発生することなく連続鋳造することができる。
1.発明の基本構成
1−1.内部割れ発生要因の規定
第1発明は、質量%で、Sを0.03〜0.50%含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満である鋼を連続鋳造する際に、短辺に対する長辺の長さの比が1.5未満である断面形状が矩形の鋳型を用い、垂直型、完全凝固後に矯正する湾曲型、または完全凝固後に曲げおよび矯正を行う垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する連続鋳造方法であって、鋳造された鋳片の横断面における対角比を0.99以上とし、鋳片のバルジング量およびディプレッション量をそれぞれ4mm未満とすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法である。
前述のとおり、内部割れは、鋼の凝固過程において鋳片の凝固シェルに応力が付与され、凝固過程における抗張力出現温度と延性出現温度との間に生ずる歪み量の総和が、その鋼種特有の限界量を超えたときに発生することが明らかにされている。したがって、抗張力出現温度と延性出現温度との温度差を拡大する、すなわち液相線温度と固相線温度との間の温度差を拡大する作用を有する溶質の濃度増加は、内部割れ感受性を高める。このような溶質元素の典型的な例としてC、P、Sなどが知られている。
一方、近年、環境保全の観点から快削鋼への鉛添加が問題とされるようになり、鉛を含有しない快削鋼の開発が進められている。これらのPb無添加の快削鋼では、硫黄含有率を増加させる方法がしばしば採用されるが、硫黄は前述のように内部割れ感受性を高める元素として知られており、連続鋳造時に内部割れを発生するという問題がある。本発明はこのような背景の下で、内部割れの発生のおそれを伴いながら製造されるS含有率が0.03〜0.50質量%の範囲内にあり、かつ、MnとSとの質量含有率の比であるMn/Sの値が20未満である鋼種を対象として、内部割れを低減または防止できる連続鋳造方法を提供するものである。
本発明者らは、上記の状況を踏まえ、鋳片の内部に発生する内部割れの発生状況を調査した。その結果、S含有率が0.03〜0.50質量%であり、かつ、Mn/Sの値が20未満である鋼種では、鋳片の内部割れは表皮下15mm以内の比較的浅い部位を起点として発生するものが多いことが判明した。内部割れは、鋼の凝固過程において、鋳片の凝固シェルに応力が生じることにより発生することから、連続鋳造機内における内部割れの発生部位は、伝熱凝固解析などを行って鋳片の凝固挙動を明らかにすることにより把握することができる。内部割れが表皮下15mm以内の領域を起点としているという事実は、内部割れが鋳型下部あるいは鋳型直下などの鋳型周辺において発生していることを示している。このような表皮近傍に発生する割れは、鋳片の曲げ、矯正またはミスアライメントによる歪みなどに起因して発生する鋳片の比較的内側で発生する内部割れと比べて、圧延や鍛造の加工過程において表面に現れる可能性が高い。したがって、製品欠陥の防止、歩留りの向上のためには、このような割れの防止技術の確立が必要である。
しかし、従来の内部割れに関する多くの研究において行われた連続鋳造機内での凝固過程における内部割れ発生の原因となる歪みの解析によれば、下記のとおりの結果であった。つまり、鋳型付近における歪み量は、決して、鋳片の曲げ、矯正歪みまたはバルジングによる歪みのように大きくはなく、鋳型付近における内部割れの発生の原因は明らかではなかった。そこで、本発明者らが、内部割れの発生状況と鋳造条件や鋳片性状などとの関係について詳細な調査を行ったところ、内部割れの発生状況は、鋳片の断面形状と強い相関関係を有することが判明した。
図1は、実機で鋳造されたS含有率が0.03〜0.50質量%、かつ、Mn/Sの値が20未満の鋼種の鋳片において調査された鋳片横断面の対角比と内部割れ発生長さとの関係を示す図である。
同図の関係は、表1に示された成分組成を有する鋼種を、完全凝固後に曲げを付与する垂直曲げ型の実機の連続鋳造機を使用して鋳造した鋳片についての調査結果である。同図の結果から、対角比が0.99未満の場合には、いずれも長さが15mm以上の粗大な内部割れが発生しており、圧延の実行および製品としての使用に支障や制約が生じる。
Figure 2009106967
さらに、図2には、これらの試験片のうち、対角比が0.99以上の鋳片において調査された内部割れに及ぼす鋳片のバルジング量およびディプレッション量の影響を示す。図2において、「割れなし」とは、鋳片サンプルにおいて割れが認められず、用途にかかわらず圧延および製品化が可能な状態を、「軽度の割れ」とは、長さが10mm未満であり割れ部の開口が認められない軽微な内部割れがあり、用途に制約が生じる状態を、そして、「重度の割れ」とは、長さが10mm以上または割れ部が開口した重度の内部割れが生じ、使用不可能あるいは特定の用途のみに使用可能な状態を意味する。
同図の結果によれば、バルジング量やディプレッション量が多い場合には、内部割れが悪化しており、バルジング量およびディプレッション量の少なくとも一方が4mm以上となる鋳片では、大半の場合に重度の内部割れが発生している。
つまり、図1および図2の結果から、鋳片の横断面における対角比が1.0から逸脱するほど、また、バルジング量やディプレッション量が大きくなるほど、内部割れが発生し、拡大することが判明した。
上記の調査により得られた断面の観察結果を下記の図3〜図5に示した。
図3は、鋳片横断面における対角比の測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。対角比は横断面における2つの対角線のうち、短い方の対角線長さを長い方の対角線長さで除した比(すなわち、図3の例では、a/bを意味する)であり、この値が1.0から逸脱した鋳片では、横断面が菱形に変形している場合や不均一収縮により異形となっている場合がある。
横断面が菱形に変形した場合には、鋳片横断面の鈍角となるコーナー近傍には凝固過程で引っ張り歪みが発生し、同図に示すような位置に内部割れが発生する。この変形は主として内部割れの拡大に悪影響を与え、対角比が1.0から大きく逸脱すると、長さが30mmを超えるような粗大な内部割れが発生することもある。
図4は、鋳片横断面におけるバルジングの測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。鋳片のバルジング量は、その横断面において、隣り合うコーナー部を結ぶ直線を基準として外部に向かって最も膨れた部分の変位量を測定することにより求めた。このようなバルジング量が大きくなると、多くの場合には、鋳片横断面に窪みとなるディプレッションが発生し、このディプレッションやバルジングの生成にともなう表面の変曲部に内部割れが発生する。
図5は、鋳片横断面におけるディプレッションの測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。鋳片のディプレッション量は、隣り合うコーナー部を結ぶ直線を基準として内部に向かって最も窪んだ部分の変位量を測定することにより求めた。このようなディプレッション量が大きくなると、窪みとなる部分の表皮下部に内部割れが発生する。この発生の形状から、ディプレッションにともなう内部割れは、主としてディプレッションの形状に基づいて発生する引っ張り応力に起因していると考えられる。
1−2.適正範囲の限定理由および調整方法
第1発明における適正範囲を前記のとおり規定した理由および適正範囲への調整方法などについて下記に説明する。
(1)Mn/S
本発明では、Sを質量%で、0.03〜0.50%含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満である鋼の連続鋳造を対象としている。S含有率の規定の理由については前述したとおりである。Mn/Sの値に関しては、その値が大きいと一般に内部割れ感受性が低下することが知られている。S含有率が0.03%以上を含有する鋼種では、Mn/Sの値が20以上であれば内部割れ感受性は小さく、鋳型出口付近で内部割れが発生することはほとんどない。そこで、本発明の対象となる鋼種を、Mn/Sの値が20未満の鋼種と規定した。もちろん、Mn/Sの値が20以上の鋼種に関しても、鋳型出口付近から二次冷却過程における鋳片の変形応力を抑制し、欠陥を防止するという本発明の技術的思想を適用することは可能である。
(2)鋳片横断面の長辺と短辺の長さの比
横断面の形状は、矩形であり、かつ横断面の長辺と短辺の長さの比が3:2未満(すなわち、1.5未満)と規定した。長辺と短辺の長さの比が1.5以上であり、一般に板の素材として使用され、スラブと呼ばれる鋳片においては、二次冷却などの条件を変化させても、平行四辺形状に変形することは少なく、対角比も大きくは変化しない。また、内部割れ感受性の高い鋼種をこのような形状の鋳片として鋳造することは希である。そこで、本発明では、鋳片横断面の長辺と短辺の長さの比を1.5未満と規定した。
(3)対角比、バルジング量、ディプレッション量
対角比、バルジング量およびディプレッション量の限定理由については、前述のとおりである。鋳片の断面形状は、鋳型内の溶鋼の流動、鋳片の冷却、連続鋳造機のアライメント状況など、種々の因子の影響を受ける。本発明において規定する対角比が0.99以上であり、鋳片のバルジング量が4mm未満、かつ、ディプレッション量が4mm未満となる鋳片を得るためには、鋳造速度の他にも、鋳型直下の二次冷却条件、鋳型の長短辺比、鋳型内における溶鋼の流動条件、鋳型テーパー、マシンアライメントなどの条件を最適化することが有効である。
鋳片寸法や鋳造速度、鋳造鋼種などにより最適条件は異なるので一概に規定することはできないが、例えば、浸漬ノズルからの吐出流が短辺などの凝固シェルに強く衝突すると、局所的にシェル厚さが薄くなり、応力集中の原因となり、内部割れの発生につながる。連続鋳造機のアライメント不良が存在すると、鋳片の変形の原因となる。二次冷却の配管条件により鋳片表面の不均一冷却が生じると、ディプレッションの原因となることがある。また、鋳型内の湯面変動が鋳片のディプレッションの原因となることもある。これらの条件はいずれも内部割れ発生の誘因となり、鋳片寸法や鋳造速度、鋳造鋼種などに応じて適正な条件を設定することが重要である。
2.連続鋳造速度の好ましい範囲
第2発明は、定常状態における鋳造速度を0.6m/min未満として鋳造する第1発明の鋼の連続鋳造方法である。
本発明が対象とするS含有率が0.03〜0.50質量%であり、Mn/Sの値が20未満である内部割れ感受性の高い鋼種においては、未凝固部を含む状態での鋳片の曲げまたは矯正により生じる歪みによっても内部割れが発生することがある。これは、上記鋳片が未凝固の段階で曲げや矯正操作を受けると、鋳片の表面から深い位置、すなわち、曲げや矯正時における凝固界面近傍において内部割れが発生しやすいからである。したがって、連続鋳造機の形式としては、垂直型、完全凝固後に鋳片を矯正する湾曲型、または完全凝固後に鋳片を曲げる形式の垂直曲げ型連続鋳造機を用いることが好ましい。
垂直型、完全凝固後に矯正する湾曲型、または完全凝固後に曲げる垂直曲げ型連続鋳造機によりこのような割れ感受性の高い鋼種を鋳造すると、曲げや矯正の操作に起因する内部割れは防止することが可能となるが、鋳片の表皮から5〜15mm程度の表皮近傍、つまり比較的浅い領域で内部割れが発生することがある。そして、これらの割れの発生位置は、鋳片が鋳型から離れる位置、つまり鋳型下部あるいは鋳型出口における鋳片内の凝固界面の深さ位置に相当する。
鋳型内では、鋳片の4面全面が鋳型内面により支持されており、凝固シェルの変形に伴う歪みの発生は少ないが、鋳型下部あるいは鋳型出口では、凝固シェルが鋳型から離れるため、凝固シェルが変形する。この時の歪により上記のような内部割れが発生するものと考えられる。凝固シェルの厚みを増加させれば、凝固シェルの強度が増し変形量が減少する。また、凝固シェルが厚い場合には、同じ変形量であっても歪み量は減少する。
図6に、同一連続鋳造機により鋳造した場合の鋳造速度と内部割れの発生率との関係を示す。同図の関係は、Sを0.03〜0.50質量%含有し、Mn/Sの値が20未満の鋼種について調査したものである。鋳造速度を0.6m/min未満とすることにより、内部割れ発生率は著しく低下し、凝固シェルが鋳型から離れる鋳型下部において厚さが十数mmの凝固シェルが生成して、内部割れ感受性を緩和することができる。このような検討結果から、鋳造速度を0.6m/min未満とすることが好ましいことが判明した。より好適には、鋳造速度を0.55m/min未満とするのがよい。
したがって、鋳型内において凝固シェルが鋳型から離れ、変形することに起因する内部割れの発生を防止するためには、凝固収縮に見合うテーパーを鋳型に設置することにより表皮下部の内部割れを防止することが有効である。
3.化学成分組成の限定理由および好ましい範囲
本発明は、被削性を備えた内部割れ感受性の高い機械構造用鋼を主な対象鋼とした連続鋳造方法である。第3発明〜第6発明において、下記のとおり含有率の適正範囲および好ましい範囲を規定した。
なお、以下の記述では、各成分元素の含有量についての「%」の表示は「質量%」を意味する。
3−1 第3発明および第4発明
C:0.2〜0.6%
Cは、鋼の引張強度を確保するために必要な元素であり、機械構造用鋼として必要な強度および靱性を付与させることができるので、その含有率を0.2%以上と規定した。一方、その含有量が0.6%を超えて高くなると、快削性の前提となる素地の加工性が損なわれる。そこで、Cの含有率を0.2〜0.6%と規定した。
Si:0.03〜1.0%
Siは、鋼の製造プロセスにおいて鋼中の酸素含有率を低減するための脱酸元素として用いられる有効な元素の一つである。溶鋼が充分に脱酸されていない状態で連続鋳造を行うと、鋼中に気泡が生成し、製品の欠陥を発生するばかりでなく、場合によってはブレークアウトを誘発し、操業が不可能になるという問題がある。
また、Siは、鋼中で固溶強化作用を有する元素でもあり、脱酸およびこれらの効果を得るためには、その含有量を0.03%以上とする必要がある。しかし、その含有率が1.0%を超えると、鋼の熱間加工性を低下させ、切削抵抗が高くなるという問題があるので、Siの含有率を0.03〜1.0%とした。さらに好ましいSi含有率の範囲は、0.1〜1.0%である。
Mn:0.4〜2.0%
Mnは、MnS系硫化物を形成する元素であるとともに、焼入れ性を向上させて鋼の引張強度を増大させるのに有効な元素であり、同時に脱酸作用も有する。このため、機械構造用などを用途とする鋼種においては、0.4%以上を含有させる必要がある。Mn/Sの値を大きくすれば割れ感受性を低下させ、内部割れを低減できることはよく知られている。しかし、Mnが2.0%を超えて多く含有されると、機械構造用鋼として必要な加工性が低下するなどの弊害があることから、含有率の上限を2.0%とした。Mn含有率の好ましい上限は1.3%である。上記の理由から、Mnの適正範囲を0.4〜2.0%とした。
P:0.003〜0.2%
Pは、鋼中の不純物元素の一つであるが、被削性を改善する効果を有する元素でもある。精錬段階においてその含有率を0.003%未満とするには、多大なコストを要するため、含有率の下限を0.003%とした。被削性の改善のためには、0.01%以上を含有させることが好ましい。一方、Pは凝固界面における元素の分配係数が小さいため、偏析を助長し、内部割れを悪化させ、熱間加工性を悪化させるとともに、靱性の劣化や延性の低下をもたらす。そこで、P含有率の上限を0.2%とした。Pの偏析に起因する熱間加工性の悪化と、加工工程における疵の発生を確実に防止するためには、P含有率の上限を0.1%とするのが好ましい。
S:0.03〜0.5%
Sは、Mnなどの元素と硫化物を形成し、被削性を改善するために必要な元素である。本発明は、被削性を備えた内部割れ感受性の高い鋼種を主な対象鋼種として、内部割れの発生を防止する連続鋳造方法である。そのため、S含有率の下限を0.03%とした。一方、Sを0.5%以上含有させると、鋼中に過剰のMnSが生成して機械構造用鋼として必要な強度および靱性を得ることができなくなる。したがって、Sの含有率の適正範囲を0.03〜0.5%とした。Sを0.2%以上含有すると、エンジン部材や自動車用足回り部材のように強度、疲労強度および耐久性を要求される用途に対しては、十分な信頼性を確保することが困難となる。そのような用途の鋼材に関しては、好ましいS含有率の範囲は0.03〜0.2%である。
Pb:0.01%未満
本発明では、Pbの含有率は特に規定しないが、本発明の目的がPbを含有しなくても良好な切削性能が得られる快削鋼の製造方法を提供することにあることから、不純物レベルのPbを含有する快削鋼の製造方法は、本発明の範囲に含まれる。スクラップからの混入などに起因して不純物として鋼中に含有されるPb含有率は、高々0.01%程度であることを考慮すれば、本発明の連続鋳造方法は、Pb含有率が0.01%未満の快削鋼の製造が対象となる。
Al:0.005〜0.1%
Alは、鋼の脱酸に有効な元素であるが、SiおよびMnにより脱酸することもできる。したがって、Alにより脱酸処理することは特に必要ではなく、Alは含有させてもさせなくてもよい。一方、Alを積極的に含有させれば、脱酸効果が高まるとともに、窒化物を形成してオーステナイト粒を微細にするので、靱性の改善効果が発揮される。これらの効果は、Alの含有率が0.005%以上において確実に得られる。
したがって、脱酸効果および靱性の改善効果を得たい場合には、Alを0.005%以上含有させてもよい。しかし、Alを0.1%を超えて多く含有させても、脱酸効果がほぼ飽和するだけでなく、窒化物が粗大化することから、かえって靱性の低下をきたす。このような理由から、Alを含有させる場合には、その含有率の上限を0.1%とした。なお、上記「Al」とは、鋼中の酸可溶Al(以下、「sol.Al」ともいう)を意味する。
N:0.001〜0.02%
Nは、窒化物を形成して結晶粒を微細化し、靱性および疲労特性を向上させる作用を有する。通常の転炉または電気炉から2次精錬を経て連続鋳造するプロセスでは、不可避的に0.001%以上を含有する。また、上記の窒化物の作用を確実なものとするためには、Nの含有率を0.001%以上とする必要がある。しかし、その含有率が0.02%を超えて高くなると、窒化物が粗大になり、かえって靱性の劣化を招く。そこで、N含有率の範囲を0.001〜0.02%とした。N含有率の好ましい範囲は0.002〜0.02%である。
3−2 第5発明および第6発明
第5発明および第6発明は、上記第3発明または第4発明の成分元素に加えて、さらに下記の(a)群および(b)群の1つ以上の群から選んだ1種以上の元素を含有する鋼の連続鋳造方法である。
すなわち、(a)群元素は、Cu、Ni、Cr、Mo、VおよびNbからなり、含有させてもさせなくてもよいが、含有させることにより、鋼の強度、靱性などの機械的特性を改善する作用を有する元素である。また、(b)群元素は、Te、Bi、Sn、Ca、Mgおよび希土類元素からなり、含有させてもさせなくてもよいが、含有させることにより、鋼の被削性をさらに改善する作用を有する元素である。
Cu:1.0%下
Cuは、鋼の焼入れ性を向上させる元素であり、その効果を得るためには、0.01%以上を含有することが好ましい。一方、その含有率が1.0%を超えて高くなると、鋼材の熱間加工性や被削性が低下する。したがって、Cuを含有させる場合は、その含有率の範囲を0.01〜1.0%とすることが好ましい。また、連続鋳造時には「スタークラッキング」と称する表面割れを誘発する元素であることから、Cuを0.03%以上含有する場合にはその1/3以上の含有率のNiを併せて含有させるのが望ましい。
Ni:1.0%以下
Niは、固溶強化によって鋼の強度を向上させる効果を有する元素である。また、焼入れ性や靭性を改善する効果も有する。これらの効果を得るには、その含有率を0.01%以上とすることが好ましい。一方、含有率が1.0%を超えて高くなると、その効果は飽和するだけでなく、被削性が低下する。したがって、Niを含有させる場合は、その含有率の範囲を0.01〜1.0%とすることが好ましい。
Cr:2.0%以下
Crは、鋼の焼入れ性を改善する効果を有する元素である。その効果を得るためには0.01%以上を含有させることが好ましい。しかし、その含有率が2.0%を超えて高くなると、被削性が劣化する。したがって、Crを含有させる場合は、その含有率の範囲を0.01〜2.0%とすることが好ましい。
Mo:1.0%以下
Moは、鋼組織を微細化し、靱性を改善する効果を有する。その効果を得るには0.01%以上を含有させることが好ましい。しかし、1.0%を超えて含有させてもその効果は飽和し、また、Moは高価な元素であることから、コスト増加につながる。したがって、Moを含有させる場合は、その含有率の範囲を0.01〜1.0%とすることが好ましい。
V:0.5%以下、Nb:0.1%以下
VおよびNbは、鋼中で炭窒化物を形成し、鋼の強度を高める効果を有する元素である。その効果を得るためには、それぞれ、0.005%以上を含有させることが好ましい。しかし、Vについては0.5%を、また、Nbについては0.1%を、それぞれ超えて高く含有させても、上記の効果が飽和するのみならず、炭化物や窒化物が過剰に生成し、被削性の劣化をきたす。したがって、これらの元素を含有させる場合は、その含有率の範囲を、Vについては0.005〜0.5%、Nbについては0.005〜0.1%とすることが好ましい。
Te:0.01%以下
Teは、Mnとともに、Mn(S、Te)を形成し、被削性の改善に有効な元素である。また、Teを含有する硫化物は、熱間加工時の硫化物の伸びを抑制する作用があるので、熱間加工後の鋼材の機械的特性の異方性を低減する作用がある。これらの効果を得るためには、0.001%以上を含有させることが好ましい。しかし、Teは、0.01%を超えて多量に含有されるとその効果が飽和し、また、極めて高価な元素であることから、コストを上昇させることとなる。したがって、Teを含有させる場合は、その含有率の範囲を、0.001〜0.01%とすることが好ましい。
Bi:0.3%以下、Sn:0.3%以下
BiおよびSnは、いずれも低融点の金属介在物として鋼材の切削加工時に潤滑効果を発揮し、被削性を改善する。その効果は、それぞれの含有率が0.005%以上で顕著になるので、これらの効果を得るためには、0.005%以上を含有させることが好ましい。他方、これらの元素が多量に含有されると、連続鋳造時に、それらの介在物が表面割れの起点となることがあり、表面品質を悪化させる原因となる。このため、これらの元素の含有率は0.3%以下とすることが好ましい。上記の理由から、BiまたはSnを含有させる場合は、いずれも、その含有率の範囲を、0.005〜0.3%とすることが好ましい。
Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下
CaおよびMgは、強力な脱酸元素であり、溶鋼中で微細な酸化物を多数生成し、MnS生成の核となる。これらの酸化物を核としたMnSは、熱間加工時に延伸が抑制される。また、CaおよびMgは、硫化物を形成し、MnS生成の核となる。このように、CaおよびMgは、硫化物を微細分散させ、その形態を制御して被削性を改善する効果を有する。この効果を得たい場合には、CaおよびMgのいずれについても、0.0001%以上含有させることが好ましい。より好ましくは、0.0005%以上含有させるのがよい。一方、これらの元素を0.01%を超えて多量に含有させてもその効果は飽和し、溶鋼の存在する高温では、蒸気圧が高くなり添加歩留まりも悪化する。したがって、CaまたはMgを含有させる場合は、それらの含有率の範囲は、いずれについても0.0001〜0.01%とすることが好ましい。
希土類元素:0.01%
希土類元素は、ランタノイドとして分類される元素群である。これらの元素を含有させる場合には、通常、これらの元素を主要成分とする安価なミッシュメタルなどを用いて添加する。本発明では、希土類元素の含有率は、希土類元素の中の1種または2種以上の元素の合計含有率により表す。希土類元素は、Sおよび酸素とともに硫化物または酸化物を形成する。形成された酸化物は微細に分散し、MnS生成の核となるので、熱間加工時の延伸を抑制し、硫化物を微細に分散させ、介在物の形態を制御して被削性を向上させる。
これらの効果を得るためには、0.0005%以上を含有させることが好ましい。しかし、希土類元素の含有率が0.01%を超えて高くなると、上記の効果が飽和するだけではなく、多量の酸化物が生成し、連続鋳造過程において浸漬ノズルを閉塞させる原因となる。また、CaおよびMgと同様に、添加歩留りが低いので、多量に含有させるのはコスト的にも不利となる。したがって、希土類元素を含有させる場合は、その含有率の範囲を、0.0005〜0.01%とすることが好ましい。
本発明の効果を確認するため、下記に示す連続鋳造試験を行い、試験により得られた鋳片サンプルを用いて内部割れの発生状況を調査し、試験結果を評価した。
試験に使用した連続鋳造機の仕様を表2に示す。
Figure 2009106967
鋳造試験には鋳片の横断面が幅425mm×厚さ320mmであり、16.7mの垂直部を有する1点曲げ、1点矯正の垂直完全凝固後曲げ型の連続鋳造機(以下、「連続鋳造機1」とも記す)、および鋳片横断面が幅435mm×厚さ310mmの5点曲げ、1点矯正の垂直曲げ型ブルーム連続鋳造機(以下、「連続鋳造機2」とも記す)を使用した。なお、連続鋳造機2は、垂直曲げ型ではあるものの、内部割れ感受性の高い高炭素鋼などの鋳造に対応して鋳片の曲げゾーンの長さを長くとり、未凝固部を含む領域で鋳片を曲げ、歪みを分散させて、内部割れを発生する歪みを減少させた連続鋳造機である。
連続鋳造により得られた鋳片から横断面および縦断面のサンプルを採取し、サルファプリントを行い、目視により最大の内部割れ発生長さを測定した。あらかじめ、内部割れと判定された部分の元素マッピング分析を行い、Mn、S、Pなどの含有率が著しく増加していることを確認し、このような判定方法により内部割れを検出できることを確認した。
(内部割れ長さ)
縦断面試料を用い、採取鋳片の幅中央部について、鋳造方向の長さ約400mmにわたり観察を行った。内部割れは、通常、一定条件で鋳造すれば、高い頻度で同じ位置に発生し、鋳造方向に400mmの試料を採取すれば、複数個の割れの発生が検出され、同じ条件における割れの発生状況についての代表性を十分に確保することができる。そこで、このような方法により調査を行い、最大の割れ長さを内部割れ長さとした。
(内部割れの評価)
最大の割れ長さが同じであっても、明瞭度が異なったり、発生頻度が異なるなどの理由により、製品としての使用可否の判定は異なる場合がある。そこで、内部割れの評価は下記のとおりとした。すなわち、鋳片サンプルにおいて割れが認められず、用途にかかわらず圧延および製品化が可能なものを割れなしとして「○評価」とし、長さが10mm未満で且つ割れ部の開口が認められない軽微な内部割れがあり、用途に制約が生じるものを軽度として「△評価」とし、長さが10mm以上または割れ部が開口しているような重度の内部割れが生じ、使用不可能あるいは特定の用途のみに使用可能なものを重度として「×評価」とした。
(対角比)
鋳片の形状は、コーナー部分にスケールの固着や切断時の返りなどがあると、測定誤差の原因となることから、これらをあらかじめブラシなどで除去し、定規を使用して目視により0.5mmの精度で測定した。対角比は、2つの対角線の長さの測定値の短い方を長い方で除して算出した。対角比が0.99以上となる条件は、対角線の長さの差が1%以下となることを意味する。
(実施例1)
表3に示される成分組成を有する鋼種の溶鋼を用い、完全凝固後曲げ型の連続鋳造機1を使用して、鋳造速度を0.5〜0.55m/minとして連続鋳造し、内部割れの発生状況を調査した。また、表4に試験条件および試験結果をまとめて示した。
Figure 2009106967
Figure 2009106967
試験においては、鋳造速度、二次冷却水量、連続鋳造機の整備状況、その他鋳造中の変動因子の影響などにより鋳片の菱形変形、バルジング、ディプレッションなどが生じる場合があった。表4において、試験番号1および2は、第1発明で規定する条件を満足する本発明例の試験であり、試験番号3〜5は、第1発明で規定する条件を満たさない比較例の試験である。
本発明例である試験番号1および2では、鋳片横断面の対角比が0.99以上であり、鋳片のバルジング量が4mm未満、かつ、ディプレッション量が4mm未満であったため、内部割れは発生しないか、または発生しても軽微なものであった。
これに対して、比較例である試験番号3では、対角比が0.99以上であるが、ディプレッション量が4mm以上となったことから、ディプレッションの発生した鋳片のコーナー近傍の短辺側に大きな内部割れが発生した。また、対角比が0.99未満となった比較例の試験番号4、および対角比が0.99未満となり、かつ、ディプレッション量が4mm以上となった比較例の試験番号5では、鋳片横断面の対角線近傍に大きな内部割れが発生した。
(実施例2)
次に、同一鋼種を用いて、鋳造速度を変化させ、また、連続鋳造機の形式を変更して鋳造を行い、鋳造条件の影響を調査した。表5に、試験条件および試験結果をまとめて示した。
Figure 2009106967
試験においては、溶鋼の供給条件や二次冷却条件、連続鋳造機のアライメントなどの設定を、極力、鋳片の変形を抑制できるような条件に選定した。
試験番号6は、完全凝固後曲げ型の連続鋳造機1を用い、鋳造速度を0.50m/minとして鋳造した本発明例の試験であり、試験番号7は、同じ連続鋳造機1を用いて、鋳造速度を0.65m/minとして鋳造し、ディプレッション量が4mm以上に達した比較例の試験である。また、試験番号8は、垂直曲げ型の連続鋳造機2を用いて、鋳造速度を0.50m/minとして鋳造した比較例の試験である。
完全凝固後曲げ型の連鋳機1を用いて鋳造速度を変化させたところ、本発明例である鋳造速度の遅い試験番号6では、内部割れが発生しなかったのに対して、鋳造速度を増加させた比較例の試験番号7では、ディプレッション量が増加し、鋳片横断面のコーナー近傍に内部割れが発生した。鋳造速度が増加することにともなって、鋳型出口付近における凝固シェルが脆弱化し、凝固シェルが変形して内部割れが発生したものと考えられる。
これに対して、内部割れ感受性の高い高炭素鋼などの鋳造に対応して、曲げ歪み量を減少するように設計された垂直曲げ型の連続鋳造機2を使用し、鋳造速度を0.50m/minとして鋳造を行った本発明例の試験番号8では、下記の結果となった。すなわち、鋳片の横断面形状の変形が抑制されたことにより、表皮近傍の割れは防止することができたが、鋳片の曲げに対応して表皮から30mmの深さの位置を起点として内部割れが発生した。鋳片の内部に発生する内部割れが製品の欠陥とならない用途であれば問題なく使用できるが、その内部割れが問題となる用途へは適用できない品質であった。
本発明の連続鋳造方法によれば、鉛を含有せずに、硫黄含有率を高めることにより、従来の鉛快削鋼や鉛と他の快削元素とを複合添加した複合快削鋼に匹敵する被削性を有する機械構造鋼用快削鋼を、内部割れを発生することなく連続鋳造することができる。よって、本発明の方法は、連続鋳造が困難であった硫黄系快削鋼の生産性および品質向上のための鋳造方法として広範に利用可能であり、当該技術分野の発展に大きく寄与できる。
実機で鋳造されたS含有率が0.03〜0.50質量%、かつ、Mn/Sの値が20未満の鋼種の鋳片において調査された鋳片横断面の対角比と内部割れ発生長さとの関係を示す図である。 対角比が0.99以上の鋳片において調査された内部割れに及ぼす鋳片のバルジング量およびディプレッション量の影響を示す図である。 鋳片横断面における対角比の測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。 鋳片横断面におけるバルジングの測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。 鋳片横断面におけるディプレッションの測定方法および内部割れの発生状況を模式的に示す図である。 同一連続鋳造機により鋳造した場合の鋳造速度と内部割れの発生率との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、Sを0.03〜0.50%含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満である鋼を連続鋳造する際に、
    短辺に対する長辺の長さの比が1.5未満である矩形の断面形状の鋳型を用い、
    垂直型、完全凝固後に矯正する湾曲型、または完全凝固後に曲げおよび矯正を行う垂直曲げ型の連続鋳造機を用いて鋳造する連続鋳造方法であって、
    鋳造された鋳片の横断面における対角比を0.99以上とし、
    鋳片のバルジング量およびディプレッション量をそれぞれ4mm未満とすることを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    ここで、対角比とは、鋳片の横断面における2つの対角線のうち、短い方の対角線長さを長い方の対角線長さで除した比を意味する。また、バルジング量とは、鋳片横断面の長辺または短辺における部分的な膨れ量を意味し、ディプレッション量とは、鋳片横断面の長辺または短辺における部分的な窪み量を意味する。
  2. 定常状態における鋳造速度を0.6m/min未満として鋳造することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
    ここで、定常状態とは、鋳込み開始初期、鋳込み終了および取鍋交換作業時期といった非定常な操業時期を除く鋳造操業状態を意味する。
  3. 請求項1または2に記載の鋼の連続鋳造方法を用いて、
    質量%で、C:0.2〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.003〜0.2%、S:0.03〜0.50%、Pb:0.01%未満、およびN:0.001〜0.02%を含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満であり、残部がFeおよび不純物からなる鋼を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  4. 請求項1または2に記載の鋼の連続鋳造方法を用いて、
    質量%で、C:0.2〜0.6%、Si:0.03〜1.0%、Mn:0.6〜2.0%、P:0.003〜0.2%、S:0.03〜0.50%、Pb:0.01%未満、N:0.001〜0.02%、およびAl:0.005〜0.1%を含有し、MnとSの質量含有率の比であるMn/Sが20未満であり、残部がFeおよび不純物からなる鋼を鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  5. Feに替えて、質量%で、Cu:1.0%、Ni:1.0%以下、Cr:2.0%以下、Mo:1.0%以下、V:0.5%以下およびNb:0.1%以下から選んだ1種または2種以上を含有する鋼を鋳造することを特徴とする請求項3または4に記載の鋼の連続鋳造方法。
  6. さらに、Feに替えて、質量%で、Te:0.01%以下、Bi:0.3%以下、Sn:0.3%以下、Ca:0.01%以下、Mg:0.01%以下および希土類元素:0.01%以下から選んだ1種または2種以上を含有する鋼を鋳造することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の鋼の連続鋳造方法。
JP2007281401A 2007-10-30 2007-10-30 鋼の連続鋳造方法 Pending JP2009106967A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007281401A JP2009106967A (ja) 2007-10-30 2007-10-30 鋼の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007281401A JP2009106967A (ja) 2007-10-30 2007-10-30 鋼の連続鋳造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2009106967A true JP2009106967A (ja) 2009-05-21

Family

ID=40776072

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007281401A Pending JP2009106967A (ja) 2007-10-30 2007-10-30 鋼の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2009106967A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109881097A (zh) * 2019-03-15 2019-06-14 四川丰元机械制造有限公司 一种高性能工模具扁钢及其生产工艺
CN110656280A (zh) * 2018-06-28 2020-01-07 北大方正集团有限公司 低氧含钙镁硫系易切削钢及其制备方法
CN113604745A (zh) * 2021-08-12 2021-11-05 山东钢铁股份有限公司 一种高硫易切削工具钢棒材及制备方法

Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59125251A (en) * 1982-12-28 1984-07-19 Nippon Steel Corp Method for preventing surface flaw in continuous casting of high-carbon steel
JPH02160151A (en) * 1988-12-13 1990-06-20 Nippon Steel Corp Method for forming shape of cast billet in continuous casting machine
JPH06134558A (ja) * 1992-10-26 1994-05-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼の連続鋳造機
JPH07204811A (ja) * 1994-01-18 1995-08-08 Kawasaki Steel Corp 連続鋳造方法
JPH07314095A (ja) * 1994-03-28 1995-12-05 Hitachi Metals Ltd 水平連続鋳造用モールド
JPH08276258A (ja) * 1995-04-03 1996-10-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造鋳片の凝固シェル厚推定方法
JP2000117405A (ja) * 1998-10-20 2000-04-25 Nippon Steel Corp ビレットの連続鋳造方法及び装置
JP2002079356A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Daido Steel Co Ltd 連続鋳造における2次冷却方法
JP2002205155A (ja) * 2001-01-11 2002-07-23 Kobe Steel Ltd 内部割れの少ない鋼の連続鋳造方法
JP2003236644A (ja) * 2002-02-19 2003-08-26 Kobe Steel Ltd 鋼の連続鋳造方法
JP2004190049A (ja) * 2002-12-06 2004-07-08 Kobe Steel Ltd 破断分割性及び被削性に優れたPbフリー鋼
JP2005059096A (ja) * 2003-07-28 2005-03-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 低炭素硫黄系快削鋼の連続鋳造方法
JP2006110618A (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Kobe Steel Ltd 割れの少ないブルーム鋳片の製造方法
JP2006181590A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Jfe Steel Kk 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法
JP2006206967A (ja) * 2005-01-28 2006-08-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 機械構造用快削鋼の連続鋳造方法
JP2007162119A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Kobe Steel Ltd 被削性に優れた低炭素硫黄快削鋼

Patent Citations (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS59125251A (en) * 1982-12-28 1984-07-19 Nippon Steel Corp Method for preventing surface flaw in continuous casting of high-carbon steel
JPH02160151A (en) * 1988-12-13 1990-06-20 Nippon Steel Corp Method for forming shape of cast billet in continuous casting machine
JPH06134558A (ja) * 1992-10-26 1994-05-17 Sumitomo Metal Ind Ltd 鋼の連続鋳造機
JPH07204811A (ja) * 1994-01-18 1995-08-08 Kawasaki Steel Corp 連続鋳造方法
JPH07314095A (ja) * 1994-03-28 1995-12-05 Hitachi Metals Ltd 水平連続鋳造用モールド
JPH08276258A (ja) * 1995-04-03 1996-10-22 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続鋳造鋳片の凝固シェル厚推定方法
JP2000117405A (ja) * 1998-10-20 2000-04-25 Nippon Steel Corp ビレットの連続鋳造方法及び装置
JP2002079356A (ja) * 2000-09-06 2002-03-19 Daido Steel Co Ltd 連続鋳造における2次冷却方法
JP2002205155A (ja) * 2001-01-11 2002-07-23 Kobe Steel Ltd 内部割れの少ない鋼の連続鋳造方法
JP2003236644A (ja) * 2002-02-19 2003-08-26 Kobe Steel Ltd 鋼の連続鋳造方法
JP2004190049A (ja) * 2002-12-06 2004-07-08 Kobe Steel Ltd 破断分割性及び被削性に優れたPbフリー鋼
JP2005059096A (ja) * 2003-07-28 2005-03-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 低炭素硫黄系快削鋼の連続鋳造方法
JP2006110618A (ja) * 2004-10-18 2006-04-27 Kobe Steel Ltd 割れの少ないブルーム鋳片の製造方法
JP2006181590A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Jfe Steel Kk 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法
JP2006206967A (ja) * 2005-01-28 2006-08-10 Sumitomo Metal Ind Ltd 機械構造用快削鋼の連続鋳造方法
JP2007162119A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Kobe Steel Ltd 被削性に優れた低炭素硫黄快削鋼

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110656280A (zh) * 2018-06-28 2020-01-07 北大方正集团有限公司 低氧含钙镁硫系易切削钢及其制备方法
CN109881097A (zh) * 2019-03-15 2019-06-14 四川丰元机械制造有限公司 一种高性能工模具扁钢及其生产工艺
CN113604745A (zh) * 2021-08-12 2021-11-05 山东钢铁股份有限公司 一种高硫易切削工具钢棒材及制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2016068139A1 (ja) フェライト系ステンレス鋼板、鋼管およびその製造方法
EP2163658B9 (en) Ferritic stainless steel sheet having excellent corrosion resistance against sulfuric acid, and method for production thereof
JP4830612B2 (ja) 極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法
EP2975149B1 (en) H-shaped steel and process for manufacturing same
CN105838992A (zh) 抗氢致开裂性优异的高强度管线管用钢板和高强度管线管用钢管
JP4325497B2 (ja) 低炭素硫黄系快削鋼の連続鋳造方法
JP2006206967A (ja) 機械構造用快削鋼の連続鋳造方法
EP3006585B1 (en) Seamless steel pipe for line pipe used in sour environment
EP2792761A1 (en) High-strength extra-thick steel h-beam
EP3018229B1 (en) Seamless steel tube for line pipe used in acidic environment and method for its manufacture
WO2014024983A1 (ja) 内部品質に優れたNi含有高合金丸ビレットの製造方法
JP4867088B2 (ja) 高Cr系継目無鋼管の製造方法
JP2007196265A (ja) 内質に優れた極厚鋼板および極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法
JP5656432B2 (ja) プレス成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2009106967A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2011208244A (ja) イヤリングの小さいプレス成形用フェライト・オーステナイト系ステンレス鋼板およびその製造方法
JP2009052115A (ja) 成形性に優れたフェライト・オーステナイト系ステンレス鋼薄板及びその製造方法
JP4635954B2 (ja) Cr含有鋼の鋳造方法
JP2007056283A (ja) 焼入れ性及び耐脱炭性に優れた高強度厚肉電縫溶接鋼管およびその製造方法
JP5223720B2 (ja) B含有高強度厚鋼板用鋼の連続鋳造鋳片、およびその製造方法
JP4299511B2 (ja) 打ち抜き性に優れた熱延鋼板
JP5131662B2 (ja) 鋳片の連続鋳造方法
JP3417275B2 (ja) 熱間加工性及び耐硫化物応力割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼継目無鋼管
JP3598771B2 (ja) 熱間加工性及び耐硫化物応力割れ性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼及びその分塊圧延方法並びにこれらを用いた継目無鋼管及びその製造方法
WO2023286338A1 (ja) 加工性、耐食性に優れる溶接管用Ni-Cr-Mo系合金

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20091029

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101203

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20111220

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120217

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20120522