JP4501597B2 - 連続鋳造鋳型内におけるバルジング性湯面変動の防止方法 - Google Patents

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本発明は、スラブ鋳片の連続鋳造において、凝固シェルのロール間バルジングを原因として発生する鋳型内の湯面変動を防止する方法に関するものである。
溶融金属の連続鋳造において長周期の鋳型内湯面変動が生じる場合がある。図1に鋼の連続鋳造における鋳型内湯面変動及び鋳造速度の例を示す。図1において、鋳造領域Aでは鋳型内の湯面変動は少なく湯面レベルは安定しているが、鋳造領域Bでは周期的な湯面変動が発生しており、この周期的な湯面変動の発生に応じて鋳造速度を低下させている。この鋳型内湯面変動の周期は数秒〜十数秒であり、その振幅は数mm〜数十mmに達する。このような現象が生じると、鋳型内溶湯の上下動によって鋳型に付着しているモールドパウダーを巻き込んだり、また、湯面変動量が時間に伴って増大するような条件では溶湯が鋳型からオーバーフローしたりする恐れもあるため、鋳片品質の低下のみならず鋳造そのものの続行が困難となる場合も発生する。
このような湯面変動が発生した場合には、図1に示すように鋳造速度を下げて湯面変動量が減少するのを待つことが通常行なわれているが、鋳造速度を低下させることは生産能率の低下につながる。また、鋳造速度を低下させないで鋳造が続行できたとしても、上述のようにモールドパウダーの巻き込みによる鋳片品質の悪化が発生する。
この湯面変動の発生原因は次のように考えることができる。即ち、図2に凝固シェルのバルジングと鋳型内湯面変動との関係を模式的に示すように、凝固シェル4が静鉄圧によって鋳片支持ロール2のロール間で凸状にバルジングし、このバルジング部(凸部)が鋳片の引き抜きによって次の鋳片支持ロール2に差し掛かった時に、バルジング部が鋳片支持ロール2に沿って元に戻ることなく、凝固シェル4の一部が変形することによってバルジング部を残したまま鋳片が未凝固部側に押し戻されるような現象が発生する。このようなバルジング現象は一般に「非定常バルジング」と呼ばれている。この非定常バルジングが、同一のロールピッチの連続する区間で且つ各ロール部位で一斉に生じると、鋳片の凝固シェルは広範囲に渡って一斉に未凝固部側に押し戻され、また、逆にロール間に押し出される動きが、鋳片の引抜きに伴って周期的に発生する。これによって図1に示すような長周期の湯面変動が生じると考えられている。以降、この湯面変動を「バルジング性湯面変動」と称する。尚、図2において、1は鋳型、2は鋳片支持ロール、3は溶鋼湯面、4は凝固シェル、5は未凝固部である。
バルジング性湯面変動の解決手段としては、前述したように鋳造速度を減速し、バルジングの生じている該当ロール間での凝固シェル厚みを増大させてバルジング量を低減させ、湯面変動量を小さくする方法がある。しかしながらこの方法では、鋳造速度をどこまで減速するかは鋳造操作員の経験によって行なわれることがほとんどであり、対策が定量的でない上に過度な減速は連続鋳造の生産性を下げることになる。
また、特許文献1には、ピンチロールモーターの電流値の周期性と、湯面レベル値及び湯面制御信号値のうち何れかまたは双方の合成値の周期性とが一致したとき、非定常バルジングの発生と判断し、湯面レベル制御ゲインの変更、鋳造速度の変更、及び二次冷却条件の変更のうち、少なくとも1つの変更を行なうとしている。しかしながら、特許文献1では、これらの条件をどの程度変更すればバルジング性湯面変動を抑制できるかが明確でなく、一定量の変更を繰返し実施してバルジング性湯面変動を収束させている。
従って、この方法では一回の変更量が少なすぎるとバルジング湯面変動量の収束までに時間を要するし、一方、一回の変更量が多すぎるとオーバーシュートを生じる可能性がある。また、この方法は実操業において非定常バルジングが生じてから対策を講ずるわけであって、バルジング性湯面変動が生じにくいような鋳造条件に予め設定する手段としては用いることができない。同様の方法は特許文献2にも開示されているが、鋳型銅板温度の温度変化の周期性を検知して非定常バルジングの発生と判断しているので、特許文献1と同様に予め鋳造条件を設計するための評価手段を提供するものではない。
また、特許文献3には、バルジング性湯面変動を生じさせないための二次冷却の条件が数式によって提案されているが、前提条件として鋳造速度が0.5〜1.2m/min、また、鋳片幅が700〜1380mm、鋳片厚みが150〜200mmなどの条件が付いているため、この範囲を外れる鋳造条件には適用が困難である。
特開平11−170021号公報 特開平10−249492号公報 特開平7−303951号公報
以上説明したように、従来のバルジング性湯面変動の防止方法は、鋳造条件に基づいて予めバルジング性湯面変動を予測することが不可能であったり、予測できるものの幅広い鋳造条件には適用できないものであったりして、未だ改善の余地が十分に残されているのが現状である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、スラブ鋳片を連続鋳造するに際し、凝固シェルのロール間バルジングに起因して発生する鋳型内の湯面変動量を広範な鋳造条件であっても予測することができると同時に、鋳造条件を適宜選択することでロール間バルジングに起因して発生する鋳型内湯面変動を抑制することのできる、連続鋳造鋳型内におけるバルジング性湯面変動の防止方法を提供することである。
上記課題を解決するための発明に係る連続鋳造鋳型内におけるバルジング性湯面変動の防止方法は、スラブ鋳片の連続鋳造に際し、鋳型内におけるバルジング性湯面変動の最大振幅量を下記の(1)式によって予め鋳造の前に求め、(1)式から求められる最大振幅量が20mm以下になるように、鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度のうちの1つの鋳造条件または2つ以上の鋳造条件を調整し、鋳造条件の調整後、最大振幅量が20mm以下になるように調整した鋳造条件で鋳造することを特徴とするものである。
Figure 0004501597
但し、(1)式において、ΔXM はバルジング性湯面変動量の最大振幅量(mm)、LC は同一ロールピッチの連続長さ(mm)、δはバルジング量(mm)、Wliq は鋳片未凝固部の幅(mm)、Aは鋳型断面積(mm2 )である。ここでδは下記の(2)式で表わされる。
Figure 0004501597
但し、(2)式において、Pは静鉄圧(kg/mm2 )、Lはロールピッチ(mm)、Kは鋳造材の塑性係数(kg/mm2 )、dは凝固シェル厚(mm)である。
本発明によれば、連続鋳造鋳型内におけるバルジング性湯面変動量を、同一ロールピッチの連続長さ(LC )、鋳片のバルジング量(δ)、鋳片未凝固部の幅(Wliq )及び鋳型断面積(A)の4つの因子から求めるので、如何なる鋳造条件であっても鋳造に先立ってバルジング性湯面変動量を予め把握することが可能となる。そして、これら4つの因子から求められるバルジング性湯面変動量が所定の値以下になるように、これら4つの因子に直接影響を及ぼす鋳造条件である、鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度のうちの少なくとも1つの鋳造条件を調整するので、バルジング性湯面変動を抑えた状態で鋳造することが可能となる。換言すれば、バルジング性湯面変動量を任意の所定値以下とするために必要な鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度の4つの鋳造条件を的確に定めることが可能となる。その結果、モールドパウダーの巻き込みのない高品質の鋳片を高生産性で安定して製造することが可能となり、工業上有益な効果がもたらされる。
以下、本発明を具体的に説明する。
バルジング性湯面変動の生じにくい鋳造条件を予め設定するためには、バルジング性湯面変動量を鋳造条件から予測する式を作る必要がある。そこで先ず、鋳造条件からバルジング性湯面変動量を予測する式を検討した。
バルジング性湯面変動の発生メカニズムを前述した図2のように考えると、バルジング性湯面変動量は以下に示す溶湯のバランスで生じることになる。即ち、湯面変動による鋳型内溶湯の体積変化は、非定常バルジング起因の鋳片凝固シェルの押し戻しによって生ずる鋳片未凝固部の体積変化に一致する。
このうち、湯面変動による鋳型内溶湯の体積変化は下記の(3)式で表される。但し、(3)式において、ΔVXMは湯面変動による鋳型内溶湯の体積変化(mm3 )、ΔXM はバルジング性湯面変動量の最大振幅量(mm)、Aは鋳型断面積(mm2 )である。
Figure 0004501597
一方、非定常バルジング起因の鋳片凝固シェルの押し戻しによって生じる鋳片未凝固部の体積変化は下記の(4)式で表される。但し、(4)式において、ΔVUBは非定常バルジング起因の鋳片凝固シェルの押し戻しによって生じる鋳片未凝固部の体積変化(mm3 )、LC は同一ロールピッチの連続長さ(mm)、δはバルジング量(mm)、Wliq は鋳片未凝固部の幅(mm)である。
Figure 0004501597
ここで、ΔVXM=ΔVUBとしてΔXM について解くと、前述した(1)式が得られる。即ち、バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を、同一ロールピッチの連続長さ(LC )、鋳片のバルジング量(δ)、鋳片未凝固部の幅(Wliq )及び鋳型断面積(A)の4つの因子から求める式を得ることができる。
次に、バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を算出する上で(1)式右辺の各項の値を求める方法について説明する。
同一ロールピッチの連続長さ(LC )は、バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )の計算を行なおうとしているロール間の前後に存在する同一ロールピッチ区間の鋳込み方向長さである。従って、各々の連続鋳造機のロール配置図から求めることができる。
鋳型断面積(A)は、鋳型内面空間の鋳片引き抜き方向に直交する断面における長辺方向長さと短辺方向長さとの積として求めることができる。即ち、鋳片の鋳造方向と直交する断面積から求めることができる。
鋳片未凝固部の幅(Wliq )は、スラブ鋳片の幅から、最大振幅量(ΔXM )の計算を行なおうとしているロール間位置における短辺部凝固シェル厚みを差し引くことにより、求めることができる。短辺部凝固シェル厚みは、当該鋳造条件下で伝熱凝固計算を行なうことにより、或いは、一般に簡便な凝固シェル厚み計算法として用いられている「凝固時間の平方根に凝固厚みが比例」する計算式を適用することによって求めることができる。
鋳片のバルジング量(δ)は、種々の計算式で求めることができるが、本発明では両端支持梁モデルに基づく、前述した(2)式によって求めることとする。
このようにして定めた同一ロールピッチの連続長さ(LC )、鋳片のバルジング量(δ)、鋳片未凝固部の幅(Wliq )及び鋳型断面積(A)の4つの因子を(1)式に代入することで、バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を鋳造前に予め把握することが可能となる。
そして、求めたバルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )が所定の値よりも大きくなった場合には、鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度のうちの1つの鋳造条件または2つ以上の鋳造条件を変更して、バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を再度算出し、算出されるバルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )が所定の値以下になるまで計算を繰り返す。算出されたバルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )が所定の値以下になった鋳造条件で鋳造を実施する。バルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )の目安としては、算出される最大振幅量(ΔXM )が20mm以下望ましくは15mm以下となる鋳造条件で鋳造することが好ましい。
この場合、鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、鋳造速度の鋳造条件のうちの1つでも変更すると、鋳片の凝固シェル厚が変化するので、その都度伝熱凝固計算などにより凝固シェル厚を求め、計算の精度を高める必要がある。また、鋳片表面の割れ防止などのために、一部の鋳片支持ロール帯についてはバルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を所定値以下にすることができない場合も発生するが、一部の支持ロール帯についてのみバルジング性湯面変動量の最大振幅量(ΔXM )を所定値以下にした場合でも、それなりに鋳型内の湯面変動は抑制されるので、このような場合が生じても構わない。
このようにして設定した鋳造条件で鋳造することにより、バルジング性湯面変動を抑えた状態で鋳造することが可能となり、モールドパウダーの巻き込みのない高品質の鋳片を高生産性で安定して製造することが達成される。
スラブ連続鋳造機を用いて異なる3種類の鋳造条件で溶鋼を鋳造し、そのときのバルジング性湯面変動量と鋳造条件とを対比する試験を実施した。試験を行なった連続鋳造機は、機長が42m、垂直部が2.5mである溶鋼用の垂直曲げ型スラブ連続鋳造機であり、厚みが238mm、幅が1250mmである低炭素Alキルド鋼のスラブ鋳片を、下向き25度の2つの吐出孔を有する浸漬ノズルを用いて2.5m/minの鋳造速度で鋳造した。表1に試験を実施した連続鋳造機の仕様を示し、表2に試験鋳造時の鋳造条件を示し、また、表3に溶鋼の代表的な成分値を示す。
Figure 0004501597
Figure 0004501597
Figure 0004501597
試験は、二次冷却強度のみを3種類(水準1〜3)に変更して実施し、その他の鋳造条件は同一とした。水準1は、バルジング性湯面変動の発生を考慮せずに、連続鋳造機の上流側から下流側に向かって徐々に冷却強度が弱くなる二次冷却パターンで行なった。水準2及び水準3は、水準1におけるバルジング性湯面変動の発生状況を把握した上でバルジング性湯面変動を抑制するために行なった試験であり、水準2では、二次冷却帯の第4ゾーンに起因するバルジング性湯面変動を抑制すべく、第3ゾーン及び第4ゾーンの冷却強度を水準1よりも高めた二次冷却パターンを採用し、水準3では、二次冷却帯の第4ゾーンに加えて更に第5ゾーンに起因するバルジング性湯面変動をも抑制すべく、第3ゾーン及び第4ゾーンの冷却強度を水準2よりも更に高めた二次冷却パターンを採用した。
先ず、水準1で鋳造した。水準1はバルジング性湯面変動を考慮した二次冷却パターンではないので、18〜38mmの大きな振幅のバルジング性湯面変動が観察された。そこで、バルジング性湯面変動の原因となっている二次冷却帯のゾーンを特定するために、湯面レベル変動信号のスペクトル解析を行ない、バルジング性湯面変動の周波数を求めた。この周波数の逆数と鋳造速度(m/s)との積から相当するロールピッチが求まり、該当するロールピッチを有する冷却ゾーンを特定することができる。このケースでは、第3ゾーンから第7ゾーンまでの各ゾーンに相当するロールピッチが算出された。
そこで、水準2及び水準3では、第3ゾーン及び第4ゾーンの冷却を強化して熱伝達係数を増大させ、凝固シェル厚を増大させてバルジング量を低減し、バルジング性湯面変動量を低減することにした。
熱伝達係数を増加させる方法としては、スプレー水量を増加させる方法、また、2流体ミストスプレーではエアーの流量をスプレー水量に合わせて増加させる方法がある。また更に、他の方法としては、例えば特開2004−16846号公報及び特開2004−50121号公報に開示されている、2流体ミストスプレーノズルであってスラブ幅方向と直交する方向の噴射角度を広げたノズルを使用する方法、或いは、特開2003−275852号公報に開示されている、一流体スプレーであって10N/cm2 以上の衝突圧となる高圧水スプレーを使用する方法などがある。本実施例では上記の特開2004−50121号公報に開示されている方法を採用した。
表4及び表5に、本実施例で用いたスラブ連続鋳造機における二次冷却帯の各ゾーンのうちで第3ゾーンから第7ゾーンまでの各諸元を示す。表4には、鋳型内の溶鋼湯面から各々のゾーン入口までの距離、ロールピッチ(L)、同一ロールピッチの連続長さ(LC )、ゾーン入口での静鉄圧(P)をそれぞれ示した。これらは、各冷却ゾーンにおけるバルジング量及びバルジング性湯面変動量を計算する上での共通諸元である。表5には、各冷却ゾーンにおける鋳片表面での熱伝達係数を掲げた。熱伝達係数はスプレー冷却、ロールとの接触伝導伝熱、及び大気への放射伝熱を含んだゾーン内平均の熱伝達係数である。
Figure 0004501597
Figure 0004501597
次に、バルジング性湯面変動量の計算過程を順に説明する。先ず、水準1〜3の各冷却条件下において伝熱凝固計算を行なった。伝熱凝固計算の計算手順は、日本鉄鋼協会共同研究会熱経済部会,加熱炉小委員会編「連続鋼片加熱炉における伝熱実験と計算方法」(1971年日本鉄鋼協会発行)の68ページ「5.伝熱計算法」に示されている手順を採用した。伝熱凝固計算結果からバルジング性湯面変動量の計算に必要な諸量を求めた。求めた諸量を表6に示す。
Figure 0004501597
表6に示す塑性係数は、上述の伝熱凝固計算によって求まる凝固シェルの厚み方向平均温度に対応する値を採用した。また、凝固シェル厚は伝熱凝固計算で求まる値である。これらの数値を用いて前述の(2)式から計算した、各冷却ゾーン入口におけるバルジング量(δ)を表6に示した。また、(1)式によってバルジング性湯面変動量を計算する際に使用する鋳片未凝固部の幅(Wliq )の値についても表6に示した。鋳片未凝固部の幅(Wliq )は、「(鋳片未凝固部の幅)=(スラブ幅)−2×(シェル厚)」として求めた。
このようにして求めた値を用いて(1)式から算出されるバルジング性湯面変動量の最大振幅幅の計算値を表7に示す。
Figure 0004501597
表7に示すように、水準2及び水準3では各冷却ゾーンとも水準1と比較して最大振幅量の計算値が低下している。この実施例に示すスラブ連続鋳造機ではバルジング性湯面変動量に関して操業上・品質上問題の生じない上限値を15mmと設定している。従って、表7によれば、水準2では第4ゾーンでの最大振幅幅の計算値が15mm以下となり、この連続鋳造機の湯面変動量上限基準値を満足している。従って、水準2の条件では第4ゾーンが原因となって発生するバルジング性湯面変動による操業上・品質上の問題は生じないはずである。
ここで、前述した(1)式によるバルジング性湯面変動量の推定が妥当であるか否かを検証するために、水準1〜3の各条件における鋳造の際にバルジング性湯面変動量を実測し、前述したように湯面変動のスペクトル解析から原因となっている冷却ゾーンを割り出した。割り出した冷却ゾーン毎のバルジング性湯面変動量の実測最大値を図3に示す。また、図4では、水準1〜3において冷却ゾーン毎のバルジング性湯面変動量の(1)式に基づく計算値を横軸とし、図3に示したバルジング性湯面変動量の実測最大値を縦軸としてプロットした。図4からも明らかなように、(1)式によるバルジング性湯面変動量の計算値は、実際のバルジング性湯面変動量を良く推定していることが分かる。
水準2における第4ゾーン起因のバルジング性湯面変動量の議論に戻るが、図3においても水準2の条件下での第4ゾーン起因の湯面変動量は14.0mmとなっており、従って水準2の条件では、第4ゾーンが原因となって発生するバルジング性湯面変動による操業上・品質上の問題は生じないことが分かる。
同様に第5ゾーンについては、水準3の二次冷却パターンを採用することで、表7に示すように、この連続鋳造機の湯面変動量上限基準値である15mmをほぼクリアしており、実測値でも、図3に示すように、15mm以下を確保していた。即ち、水準3では、第4ゾーン及び第5ゾーンに起因するバルジング性湯面変動を抑制することができた。
一方、第6ゾーン及び第7ゾーンに関しては水準2及び水準3の冷却パターンでもバルジング性湯面変動量の計算値は、湯面変動量上限基準値を上回っており、実測値でも同様の傾向にある。従って、第6ゾーン及び第7ゾーンについても(1)式によりバルジング性湯面変動を良く推定できているといえる。第6ゾーン及び第7ゾーン起因のバルジング性湯面変動量を上限基準以下にするためには、第3ゾーン及び第4ゾーンの冷却強化に続いて第5ゾーン〜第7ゾーンの二次冷却を、(1)式で計算されるバルジング性湯面変動量の最大値が上限基準値よりも小さくなるように、設定することが必要であることはいうまでもない。
本実施例では、二次冷却スプレーを調節することでバルジング性湯面変動量を低減したが、鋳型冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度の1つを調節することでもバルジング性湯面変動量を抑制することが可能である。
鋼の連続鋳造における鋳型内湯面変動及び鋳造速度の例を示す図である。 凝固シェルのバルジングと鋳型内湯面変動との関係を模式的に示す図である。 実施例1の試験結果であって、湯面変動のスペクトル解析から割り出した冷却ゾーン毎のバルジング性湯面変動量の実測最大値を示す図である。 実施例1の試験結果であって、バルジング性湯面変動量の計算値を横軸とし、バルジング性湯面変動量の実測最大値を縦軸としてプロットした図である。
符号の説明
1 鋳型
2 鋳片支持ロール
3 溶鋼湯面
4 凝固シェル
5 未凝固部

Claims (1)

  1. スラブ鋳片の連続鋳造に際し、鋳型内におけるバルジング性湯面変動の最大振幅量を下記の(1)式によって予め鋳造の前に求め、(1)式から求められる最大振幅量が20mm以下になるように、鋳型冷却の強度、二次冷却の強度、同一ロールピッチの連続長さ、鋳造速度のうちの1つの鋳造条件または2つ以上の鋳造条件を調整し、鋳造条件の調整後、最大振幅量が20mm以下になるように調整した鋳造条件で鋳造することを特徴とする、連続鋳造鋳型内におけるバルジング性湯面変動の防止方法。
    ΔXM=LC×δ×Wliq/A …(1)
    但し、(1)式において各記号は以下を表すものである。
    ΔXM :バルジング性湯面変動量の最大振幅量(mm)
    C :同一ロールピッチの連続長さ(mm)
    δ:バルジング量(mm)
    liq :鋳片未凝固部の幅(mm)
    A:鋳型断面積(mm2
    ここでδは下記の(2)式で表わされる。
    δ=P×L4/(32×K×d3) …(2)
    但し、(2)式において各記号は以下を表すものである。
    P:静鉄圧(kg/mm2
    L:ロールピッチ(mm)
    K:鋳造材の塑性係数(kg/mm2
    d:凝固シェル厚(mm)
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