JP6561822B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鋳片厚み中心部の偏析の発生原因となる鋳片幅方向の凝固不均一を抑制し、負偏析を増加させるための鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造を、図3,4を用いて説明する。図3は、連続鋳造機100の全体の概要を示す側面図であり、図4は、端部凝固遅れおよび軸受部凝固遅れ発生メカニズムを説明するための、一般的な連続鋳造機の一部を簡略化して示す説明図である。
図3に示すように、溶鋼容器であるタンディッシュ(図示しない)から、鋼の連続鋳造を行う過程での溶鋼の酸化防止のために鋳型102内への溶鋼供給に用いられる浸漬ノズル101を介して鋳型102内へ溶鋼を供給し、鋳型102および鋳造過程において外部から冷却することにより溶鋼を凝固させて、鋳片(「鋼片」、「スラブ」などとも称する)110を製造する。
連続鋳造機100内では、鋳型102の近傍では、鋳片110の表層のみが凝固しており、鋳造方向の下流へ向かうにつれて鋳片110の中心側に凝固層110bが進展して大きくなるとともに未凝固部110aは小さくなり、凝固部110bはさらに大きくなって凝固が完了することにより、鋳片が製造される。
図4に示すように、浸漬ノズル101の吐出口101aは、通常、横向き、すなわち鋳片110の幅方向(図4の左右方向)の両側面側へ向けて配置されている。吐出口101aからの溶鋼吐出流106の影響により、鋳片110の凝固シェルが鋳片幅方向端部のみ再溶解され、その影響によって端部での凝固遅れが生じる。
また、鋳片110を支持する隣接するサポートロール103,103間で凝固シェルが溶鋼静圧によって膨らむ鋳片バルジングにより局所的な溶鋼流動が繰り返し生じ、中心偏析の悪化を招くことの対策として、サポートロール103の設置ピッチの短縮を目的に小径ロールの使用が拡大している。
サポートロール103に小径ロールを使用する場合、1本のロールに作用する力を小さくするために、サポートロール103の長手方向(鋳片幅方向)を一体とせず分割し、分割したロール構成部分103a,103bの間に軸受105を介在させた分割ロール103が多用されている。多数の分割ロール103の設置帯を通過した鋳片110は、軸受105の設置部から流下する冷却水による冷却過多もしくは軸受105の設置部でのロール非接触による冷却不足によって、軸受105が起因となる凝固不均一が生じる。この凝固不均一が発生すると、凝固遅れ部に濃化溶鋼が流入して偏析が発生し、鋳片110の品質欠陥につながる。
鋳片110の幅方向の凝固不均一は、上述の二つの要因以外にも様々な要因により発生しており、凝固不均一に対する対策がこれまでにも提案されている。
例えば特許文献1には、鋳片の幅方向にわたって凝固完了位置をオンラインで検知できる凝固完了位置検知装置を用いて凝固完了位置を求め、求めた凝固完了位置が予め規定された基準位置の範囲外である場合には、自動的に二次冷却装置によって鋳片の幅方向へ複数設置されている水スプレーの水量を個別に調整することにより、凝固完了位置を基準範囲内に収める発明が開示されている。
特許文献2には、鋳片の幅方向側端から(B/4−H/2:ただし、B:鋳片幅、H:鋳片厚み)の区域を強化冷却することにより、鋳片の端部凝固遅れによる幅方向の冷却不均一を防止する発明が開示されている。
さらに、特許文献3には、鋳片の幅方向の中央側側面に吐出口を1個有する浸漬ノズルを2本用い、鋳型の幅方向中央側へ溶鋼を吐出することにより、上述した浸漬ノズルからの吐出流に起因した鋳片の端部での凝固遅れを抑制する発明が開示されている。
特開2008−238256号公報 特開平9−122861号公報 特開2012―110952号公報
しかし、特許文献1により開示された発明を実施するには、鋳片の幅方向の凝固完了位置を検知するために、縦波および横波を送信および受信可能な特殊な設備を設ける必要があり、設備投資が嵩む。
分割ロールを採用する連続鋳造装置によって製造される実際の鋳片の幅方向の冷却不均一部は、端部だけではなく軸受部においても発生する。このため、特許文献2により開示された発明によっては、鋳片の厚み中心部に発生する凝固不均一を抑制することはできない。
さらに、特許文献3により開示された発明によれば、浸漬ノズルからの吐出流に起因した冷却不均一を抑制することは可能であるものの、分割ロールを採用する連続鋳造装置によって製造される実際の鋳片の幅方向の冷却不均一は、浸漬ノズルからの吐出流に起因するものだけではなく、ロールの軸受の設置部においても発生する。このため、特許文献3により開示された発明によっても、鋳片の厚み中心部に発生する全ての凝固不均一を抑制することはできない。
本発明は、従来の技術が有するこのような課題に鑑みてなされたものであり、例えば、浸漬ノズルからの吐出流に起因する凝固遅れや、ロールの軸受の設置部等に起因した、鋳片の幅方向の凝固不均一による鋳片の品質欠陥の発生を防止して、幅方向の凝固プロフィールが均一であり、正偏析のない鋳片を製造することができる鋼の連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、鋳型内溶鋼面から鋳造方向の下流側に設置された電磁攪拌装置(以降、EMSと称することもある)を備える連続鋳造機により製造された多数の鋳片を解析した結果、一の鋳片を連続鋳造する際に電磁攪拌装置による溶鋼攪拌効果によって生じるホワイトバンドを有する鋳片横断面組織を求めておき、その後に他の一の鋳片を連続鋳造する際には、求めた鋳片横断面組織から算出した凝固シェル厚に基づいて鋳片の幅方向の凝固プロフィールを求め、凝固シェル厚が70mm以下の領域において、鋳片の幅方向へ噴射される冷却水量を個別に調整することにより、上記課題を解決できることを知見し、さらに検討を重ねて、本発明を完成した。本発明は、以下に列記の通りである。
(1)鋳型の内部の溶鋼面から鋳造方向の下流側へ向けて並んで設置される複数組のサポートロール対と、鋳型内溶鋼面から鋳造方向の下流側に鋳片の幅方向へ向けて複数設置される冷却水噴射装置と、前記溶鋼面から鋳造方向の下流側であって鋳片の内部に未凝固部が存在する位置に設置された電磁攪拌装置とを備える連続鋳造機を用いて一の鋳片を連続鋳造する際に、前記電磁攪拌装置による溶鋼攪拌効果によって生成するホワイトバンドを有する鋳片横断面組織を求めておき、
前記連続鋳造機を用いて前記一の鋳片の連続鋳造を行った後に他の一の鋳片を連続鋳造する際に、前記鋳片横断面組織における前記鋳片の表層からの位置から算出した凝固シェル厚に基づいて前記一の鋳片の幅方向の凝固プロフィールを求め、前記他の一の鋳片の凝固シェル厚が40〜70mm以下の領域において、求めた凝固プロフィールが前記他の一の鋳片の幅方向でほぼ均一になるように、前記冷却水噴射装置から前記他の一の鋳片の幅方向へ噴射される冷却水量を個別に調整すること
を特徴とする鋼の連続鋳造法。
(2)電磁攪拌装置を、鋳型内溶鋼面から鋳造方向下流側に5〜20mまでの範囲内に少なくとも1つ設置し、周波数1〜4Hz、磁束密度100〜500Gaussで前記鋳片に電磁力を印加し、該鋳片の未凝固部に交番攪拌を行う前記(1)項に記載の鋼の連続鋳造方法。
(a)前記連続鋳造機が、鋳片の幅方向の両側面側へ向けて配置された溶鋼吐出口を有する浸漬ノズルを介して溶鋼を供給される鋳型を備える場合や、(b)前記サポートロールが、ロール胴長方向へ直列に配置された複数のロール構成要素と隣接する二つのロール構成要素同士を接続する軸受とを有する場合に、鋳片の幅方向への凝固不均一が生じ易いため、上記本発明の効果を特に享受できる。
本発明は、電磁攪拌装置を適用した鋳片横断面組織に生成するホワイトバンドを検知して、当該ホワイトバンドの位置を基に測定した凝固シェル厚により、鋳片幅方向の凝固不均一部を特定し、冷却水量を個別に増加させる手段であり、特殊な設備を設置する等の投資を必要とすることなく、負偏析の増加が可能となる。
本発明によれば、EMSを印加した鋳片の凝固プロフィール、すなわち鋳片幅方向の凝固シェル厚の推移、鋳片幅方向の凝固不均一部の特定を一の鋳片について行った後、他の一の鋳片の凝固不均一部に対して、当該鋳片幅方向の凝固不均一部の特定を行った連続鋳造操業における冷却水量よりも、冷却水量比を選択的に増減させて連続鋳造を行うことにより、鋳片厚み中心における偏析の発生の原因となる、鋳片の幅方向の凝固不均一による鋳片の品質欠陥の発生を防止して、正偏析のない鋳片を製造することができる。
図1は、本発明に係る連続鋳造機の全体側面概要図である。 図2は、本発明に係る鋳片横断面組織の概略図である。 図3は、一般的な連続鋳造機の全体側面概要図である。 図4は、端部凝固遅れおよび軸受部凝固遅れ発生メカニズムを説明するための、一般的な連続鋳造機の一部を簡略化して示す説明図である。
以下、本発明を実施するための形態を、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る連続鋳造機0の全体側面概要図であり、図2は、本発明に係る鋳片横断面組織の概略図である。
本発明では、図1に示すように、鋳型2の内部の溶鋼面から鋳造方向の下流側へ向けて並んで設置される複数組のサポートロール3(以降、ロール3とも称する)対と、鋳型2内溶鋼面から鋳造方向の下流側に鋳片の幅方向へ向けて複数設置される冷却水噴射装置(図示しない。冷却スプレーとも称することがある。)と、溶鋼面から鋳造方向の下流側であって鋳片10の内部に未凝固部10aが存在する位置に設置された電磁攪拌装置4とを備える連続鋳造機0を用いる。
鋳片幅方向の凝固不均一部を効果的に確認するには、電磁撹拌装置(EMS)4によって鋳片にホワイトバンドを生じさせ、凝固が完了した鋳片のホワイトバンド11の位置により算出した凝固シェル厚Tに基づいて、該鋳片の凝固プロフィールを確認することが重要である。
すなわち、一の鋳片を連続鋳造する際に、電磁攪拌装置4による溶鋼攪拌効果によって生成するホワイトバンド11を有する鋳片横断面組織を求めておき、連続鋳造機0を用いて一の鋳片の連続鋳造を行った後に他の一の鋳片を連続鋳造する際に、鋳片横断面組織における鋳片の表層からの位置から算出した凝固シェル厚Tに基づいて鋳片10の幅方向の凝固プロフィールを求め、凝固シェル厚が70mm以下の領域において、求めた凝固プロフィールが鋳片の幅方向でほぼ均一になるように、冷却水噴射装置から鋳片の幅方向へ噴射される冷却水量を個別に調整する。
ここで、「ホワイトバンド」とは、連続鋳造において電磁攪拌等の外力によって生じた未凝固部の溶鋼流動により、凝固シェル前面のデンドライト樹枝間における偏析成分の濃化溶鋼が洗い流され、負偏析となり、その後凝固することにより得られる、相対的に白色を呈する帯状模様のことをいい、図2に示されるように当該部分以外の凝固層とは区別して観察されるものである。
本発明を適用する鋳片の寸法としては、使用する連続鋳造機によるため特に限定されないが、1つの冷却水噴射装置(冷却スプレー)による冷却幅が、一般的に用いられる約200mmの場合は、幅が400mm以上である鋳片が好ましく挙げられる。厚さに関しては、特に限定されない。
一の鋳片と他の一の鋳片は、鋼種や寸法が実質的に同一であれば本発明を適用することができる。
鋼種に関して、一の鋳片と他の一の鋳片は、具体的には、炭素量が下記(i)〜(iv)と規定した同一グループ内であれば、本発明を適用することができる。炭素量が異なると、(1)溶鋼の凝固完了温度が異なること、(2)凝固組織の違いにより伝熱係数が異なること、などの要因を介して凝固挙動が変化するためである。
<適用範囲>
(i)極低炭素鋼([C]≦0.02質量%)
(ii)低炭素鋼 (0.02質量%<[C]≦0.06質量%)
(iii)中炭素鋼 (0.06質量%<[C]≦0.29質量%)
(iv)高炭素鋼 (0.29質量%<[C])
寸法に関して、発明が適用可能な一の鋳片と他の一の鋳片の寸法幅の関係は、具体的には、使用する連続鋳造機の1つの冷却水噴射装置(冷却スプレー)による冷却幅によって適宜設定することができる。例えば、冷却水噴射装置の1つの冷却スプレーによる冷却幅が、一般的に用いられる約200mmの場合は、一の鋳片と他の一の鋳片の寸法幅が±500mmの範囲内であれば、本発明を適用することができる。
また、本発明が適用可能な一の鋳片と他の一の鋳片の寸法厚の関係は、特に限定されない。
本発明においては、電磁撹拌装置(EMS)4は鋳型内溶鋼面から下流方向に5〜20mまでの範囲に設置することが好ましい。
鋳型2内溶鋼面から、鋳造経路に沿って下流方向に距離20mまでの範囲に電磁攪拌装置4を設置する理由としては、当該距離が20mを超えた場合には、EMS4を印加したとしても、電磁力が効果的に作用する凝固シェル厚の範囲内でEMS4を印加できないためである。また鋳型内溶鋼面から鋳造経路に沿った距離5m以上の範囲に設置する理由としては、当該距離が5m未満である場合には、鋳型内や鋳型直下でEMS4を印加してしまうことになり、この印加位置で得られたホワイトバンドを観察しても、この印加位置より下流方向に配置される軸受部起因等の凝固不均一部を正確に評価できないためである。なお、本発明に規定される範囲を含めて、連続鋳造装置0内であって、鋳型2部に近接しない位置に設置される電磁攪拌装置4を「ストランド電磁攪拌装置(S−EMS)」と称することがある。
また、電磁攪拌装置4の印加条件は、周波数1〜4Hz、磁束密度100〜500Gauss、溶鋼流動の幅方向平等性確保のため交番攪拌とすることが望ましい。周波数1〜4Hzとした理由は、ローレンツ力の浸透深さが鋳片10厚み以上となり、かつ過度な電気容量を必要としないためである。周波数が1Hz未満であるとローレンツ力の浸透深さが鋳片10厚みに達しない場合があり、周波数が4Hzを超えると電気容量が大きくなる。また磁束密度100〜500Gaussとした理由は、磁束密度100Gauss未満で電磁撹拌を印加しても、鋳片10幅方向のホワイトバンド11が明確に確認できないということ、また、磁束密度500Gauss超の磁束密度を印加するためには、相応の電源設備と電磁撹拌コイルが必要となり、設備コスト面での課題が生じるためである。交番攪拌とした理由は、一方向攪拌を実施した場合は、鋳片幅方向の一方への継続的な溶鋼流動により、局所的に凝固シェルが再溶解され、凝固プロフィールを変化させてしまう懸念があるためである。
凝固が完了した鋳片よりホワイトバンド11を観察する方法としては、鋳片10横断面を機械研磨した後、10vol%の塩酸水溶液で腐食させて目視で観察する方法を用いることができる。鋳片10横断面とは、連続鋳造で製造した鋳片10を鋳造方向と垂直に切断したときの切断面をいい、鋳片10の幅と厚さを2辺とする長方形形状である。
ホワイトバンド11を観察することにより、電磁攪拌設置位置での凝固シェル厚を得ることができる。凝固シェル厚Tとは、鋳片表面からホワイトバンド11のバンド中心位置までの値である。
なお、ホワイトバンド11は、鋳片10内厚さ方向(図2の上下方向)に均一の位置に形成されるとは限らず、凝固不均一部12が観察される。
上記方法により確認された幅方向の凝固不均一部12に対して、以降に製造する鋳片(他の一の鋳片とも称する)を製造する際に、鋳片の巾方向の凝固不均一部に相当する箇所に該当する位置の冷却水量比を個別に増加する。
水量密度を制御する位置としては、凝固シェル厚が70mm以下の範囲となる鋳片長さ方向の位置が好ましい。凝固シェル厚が70mm以下の範囲とした理由は、凝固シェル厚が70mmを超えた状態での鋳片では、凝固シェル部の伝熱抵抗が大きいことによって、鋳片10内部の冷却が進行せず、凝固不均一部の制御が困難となるためである。
また、凝固不均一部での凝固係数k不均一部の算出には、凝固不均一部での凝固シェル厚および式(1)を用いた。ここでDは凝固シェル厚を表し、kは凝固係数、Lは鋳型溶鋼面からの距離、Vcは鋳造速度を表しており、式(1)は、一般的に知られた関係式による算出方法である。また凝固不均一部への冷却水量設定は、式(2)を用いた。ここでAは定数、xは冷却水量を示しており、凝固が均一に進行した健全部の凝固係数k均一部と比較により凝固不均一を解消するために必要な冷却水量の逆算を行った。
製造した鋳片は、凝固不均一指数や中心偏析評価指数を求めることで、その鋳片の幅方向の凝固不均一の程度を評価することができる。
(1)凝固不均一指数
凝固不均一指数とは、本発明を適用した場合の凝固不均一度を、本発明を適用しなかった場合の凝固不均一度に対する比率で示した指数である。具体的には、凝固不均一度は下記の式(3)で、凝固不均一指数は下記の式(4)で算出することができる。
凝固不均一度=D−D0AVE ・・・・・(3)
凝固不均一度は、鋳片10幅方向(図2の左右方向)に複数個所において測定した凝固シェル厚を用いて、式(2)で算出することができる。例えば、鋳片幅が2300mmである場合、100mmピッチで測定する。
凝固不均一指数=|D−D1AVE|/|D−D0AVE| ・・・・・(4)
ここでDとは、幅方向の冷却水量比を変化させない場合の凝固シェル厚の最大値もしくは最小値であって、後述する凝固シェル厚の平均値(D0AVE)に対する偏差が大きい方の値を表す。
0AVEは幅方向の冷却水量比を変化させない場合の凝固シェル厚の平均値を表す。
は本発明を適用して幅方向の冷却水量比を変化させた場合の凝固シェル厚の最大値もしくは最小値であって、後述する凝固シェル厚の平均値(D1AVE)に対する偏差が大きい方の値を表している。
1AVEは本発明を適用して幅方向の冷却水量比を変化させた場合の凝固シェル厚の平均値を表している。
(2)中心偏析評価指数
鋳片10横断面組織において厚み中心部が負偏析(図2中の14)の場合、該当箇所は相対的に白色に見える。一方、厚み中心部において、溶質が濃化したまま凝固したことによって形成された正偏析(図2中の13)は、相対的に黒色に見える。したがって、正偏析、負偏析は、その腐食状況(色合い)から判別することができる。
そのため、製造した鋳片の中心偏析を、「鋳片幅」に対する「負偏析の全長(幅方向合計長さ)」の割合から求めた中心偏析評価指数(%)を求めることで評価することができる。
鋳片厚みの中心偏析評価指数を用い、鋳片厚みの1/2に相当する長さ分(実施例の場合、150mmに相当)、両端から鋳片幅(実施例の場合、2300mm)に対する負偏析長の百分率(%)を用いて指標化を行い、中心偏析を評価することができる。
<連続鋳造による一の鋳片の製造>
機長L:28.3mである垂直曲げ型連続鋳造機を用いて、連続鋳造操業を実施し、一の鋳片を製造した。
鋳造に用いた鋼の成分は、質量%で(以下、単に「%」と表示する。)、C:0.05〜0.07%、Si:0.20〜0.30%、Mn:1.45〜1.55%、P:0.015%以下、S:0.0025%以下、Cu:0.18%〜0.23%、Cr:0.20%〜0.25%、Ni:0.18%〜0.23%、Mo:0.15%〜0.17%、V:0.045%〜0.055%、Ti:0.01%〜0.02%を含有し、残部Feおよび不純物からなる組成であり、厚鋼板として用いられている鋼種であった。
鋳造条件は、鋳片厚300mm、鋳片幅2300mm幅、溶鋼過熱度29〜40℃、鋳造速度0.80m/minとした。
電磁撹拌装置は、鋳型内溶鋼面から、鋳造経路に沿った距離9.8mの位置に設置した。なお、SEGとは「セグメント」の略称であり、一般に、連続鋳造装置は複数対のロールを一つの単位とするセグメント構造を採用しており、鋳型から鋳造方向下流に沿って番号を付与している。
電磁撹拌装置の印加条件は、周波数1.5Hz、磁束密度450Gaussとし、30秒正転、5秒停止、30秒反転の条件で行った。
<製造した一の鋳片の凝固プロフィールの確認>
上述の条件で製造した一の鋳片の横断面を機械研磨した後、10vol%の塩酸水溶液によって処理して腐食させ、一の鋳片の凝固プロフィールを求めるための鋳片横断面組織を得た。得られた鋳片横断面組織におけるホワイトバンドから、各位置での凝固シェル厚を測定し、式(1)を用いて凝固係数を算出した。
凝固シェル厚の測定は、鋳片幅方向に100mmピッチで行った。すなわち、鋳片両端を除いた22点の測定点による測定であった。
以上の方法によって鋳片の凝固プロフィールの確認を行い、凝固不均一部を特定した。
<先に連続鋳造によって製造した一の鋳片から求めた凝固プロフィールを用いた、他の一の連続鋳造鋳片製造工程への冷却水量の適用>
凝固プロフィールを確認した鋳込みとは別のタイミングで連続鋳造を行う同一鋳片サイズおよび同一鋼種(本実施例においては同一成分)の凝固不均一部に対して個別に冷却水量の調整を行った。
具体的には、連続鋳造機長さ方向において、凝固シェル厚が70mm以下に相当する範囲の鋳片長さ方向の位置において、先に確認した凝固プロフィールに基づいて、凝固不均一部に対応する系統の冷却水量比を、表1に示すように増加させた(発明例1〜3)。すなわち、ホワイトバンドに不均一が発生している軸受部において、その位置を完全に覆う系統の冷却水量を一の鋳片を製造した際の冷却水量の2〜3倍に増加させた。
また上記鋳造条件中の冷却水量は、一の鋳片において凝固が均一に進行した健全部の凝固係数と比較し、式(2)を用いて逆算することで算出した。
すなわち、本実施例では、冷却水は鋳片幅方向複数から供給されているので、凝固不均一部に相当する箇所に該当する系統の冷却水量比を個別に増加する対応を行ったことにより厚み中心幅方向の最終凝固位置での負偏析幅を増加させることを目的とした。本実施例では、ロール軸受部相当位置の水量比を変化させた。
一方、鋳片幅方向の冷却水量を増減させない以外は発明例1〜3と同様にして連続鋳造を行ったものを比較例1とした。
<評価方法>
発明例1〜3、比較例1として作成した各鋳片について、それぞれの凝固プロフィールを求め、凝固不均一指数、中心偏析評価指数を求めることで各鋳片の評価を行った。
凝固プロフィールは、先に製造した一の鋳片と同様の方法で鋳片横断面を処理して得られた鋳片横断面組織によって求めた。
水量調整をしない場合の凝固不均一度は、鋳片幅方向に100mmピッチで測定した凝固シェル厚を用いて、上述の式(3)により算出した。本実施例では、−5.0であった。
なお、本実施例においては、この凝固不均一度は、比較例1における凝固不均一度として解される。幅方向の冷却水量を増減させず鋳造を行った比較例1では、凝固不均一度<0であることから、凝固遅れが確認された。計算には凝固シェル厚の最小値を用いた。
(1)凝固不均一指数
前述の式(4)により、凝固不均一指数を求めた。各鋳片の凝固シェル厚は、鋳片幅方向に100mmピッチで測定した。
凝固不均一指数の値が小さいほど、製造した鋳片の凝固シェル厚の不均一が少ないと評価することができる。
(2)中心偏析評価指数
各鋳片横断面組織において、鋳片厚み方向中心部が相対的に白色に観察できる箇所を負偏析、鋳片厚み方向中心部が相対的に黒色に観察できる箇所を正偏析として判別し、「鋳片幅」に対する「負偏析の全長(幅方向合計長さ)」の割合から、中心偏析評価指数(%)を求め、中心偏析を評価した。
例えば、発明例1においては幅2300mm、厚み300mmのスラブに対して、負偏析の長さ(幅方向合計)は、990mmという結果が得られた。この場合の中心偏析評価指数の計算は、990/2300×100=43.04とすることができる。
以上の結果を表1に示す。なお、表1における「凝固不均一部の冷却水量比」とは、同一系統での(変更後水量/変更前水量)を意味する。
発明例1〜3では、鋳片幅方向で均一に凝固させるために、凝固が遅れている凝固不均一部に対して選択的に冷却水量比を増加させた。すなわち、発明例1〜3では、6系統で制御されているスプレーのうち、ホワイトバンド不均一部を覆う範囲(単体もしくは複数系統)の水量を意図的に増加させた。
発明例1〜3では、凝固不均一指数が改善され、連続鋳造時の中心偏析の改善が見込まれる。
1:浸漬ノズル
2:鋳型
3:ロール
4:電磁攪拌装置(EMS,S−EMS)
10:鋳片
10a:鋳片の未凝固部
10b:鋳片の凝固部
11:ホワイトバンド
12:凝固不均一部
13:正偏析部
14:負偏析部

Claims (2)

  1. 鋳型の内部の溶鋼面から鋳造方向の下流側へ向けて並んで設置される複数組のサポートロール対と、鋳型内溶鋼面から鋳造方向の下流側に鋳片の幅方向において設置される複数の冷却水噴射装置と、前記溶鋼面から鋳造方向の下流側であって鋳片の内部に未凝固部が存在する位置に設置された電磁攪拌装置とを備える連続鋳造機を用いた鋼の連続鋳造方法であって、
    の鋳片を連続鋳造し、前記電磁攪拌装置による溶鋼攪拌効果によって生成するホワイトバンドを有する鋳片横断面組織を求めておき、
    前記鋳片横断面組織における位置ごとに前記鋳片の表層からの凝固シェル厚を求め、
    前記凝固シェル厚が70mm以下の領域における前記位置ごとの凝固シェル厚に基づいて、
    前記連続鋳造機を用いて前記一の鋳片の連続鋳造を行った後に他の鋳片を連続鋳造する際に、前複数の冷却水噴射装置から前記他の鋳片の幅方向の位置において噴射される冷却水量を個別に調整し、前記他の鋳片の厚み中心幅方向の最終凝固位置での負偏析幅を増加させること
    を特徴とする鋼の連続鋳造法。
  2. 電磁攪拌装置を、鋳型内溶鋼面から鋳造方向下流側に5〜20mまでの範囲内に少なくとも1つ設置し、周波数1〜4Hz、磁束密度100〜500Gaussで前記鋳片に電磁力を印加し、該鋳片の未凝固部に交番攪拌を行う請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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