JP5218435B2 - 厚鋼板の制御冷却方法 - Google Patents

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Description

本発明は圧延を完了した厚鋼板の冷却方法、特に大きな速度で冷却しながら厚鋼板幅方向の材質の均一性を確保するとともに冷却時の歪み及び残留応力を低減し得る厚鋼板の制御冷却方法さらには上記制御冷却方法を適用して得られた厚鋼板に関する。ここにおいて、「制御冷却」とは、鋼板の圧延後の冷却条件、特にオーステナイト−フェライト変態領域の冷却速度を厳密に制御して所望の特性を有する厚鋼板を製造するための冷却手段をいう。
厚鋼板(以下単に「鋼板」という場合もある)の製造に当っては、厚鋼板に要求される機械的性質、特に強度と靭性を確保するため、圧延後の鋼板に対して制御冷却が行われることがある。この制御冷却では、鋼板に要求される材質上の特性を確保するために、一般に冷却速度を大きくすることが必要とされるが、同時に材質の均一性を確保し、冷却時の歪みの発生を抑制するために冷却が鋼板面全体にわたって均一に行われることが必要である。しかしながら、現状の制御冷却技術では、冷却が、必ずしも、鋼板面全体にわたって均一に行われず、冷却中あるいは冷却後において鋼板の四周部が中央部と比較して温度が低くなる四周部過冷却現象が現れることがしばしば経験されている。
このような、四周部過冷却現象は、主として以下に示す3つのメカニズム、すなわち(1)圧延中の鋼板側面からの放冷に起因するもの、(2)水冷中の沸騰現象に起因するものおよび(3)上面における排水に起因するもの、により発生すると考えられる。
(1)圧延中の鋼板側面からの放冷に起因するもの
鋼板の圧延過程において、鋼板の四周部は上下面からの放冷冷却に加え、側面からも放冷冷却されるため、板中央部と比較して温度が低くなる温度偏差が生ずる。このような鋼板を鋼板全面に亘って均一な冷却能力で冷却すると、四周部と中央部の温度偏差がそのまま持ち来たされ、四周部過冷却現象が現れる。
(2)水冷中の沸騰現象に起因するもの
圧延終了時点において温度偏差が存在する鋼板を強制水冷したとき、冷却水の沸騰現象の違いに基づき、上記温度偏差がさらに拡大することがある。図18は高温の鋼板を冷却する際の鋼板表面温度と熱流束(単位面積、単位時間当りの抜熱量)との関係を模式的に示すグラフである。ここに示すように、鋼板表面温度が高いときには膜沸騰、鋼板表面温度が低いときには核沸騰が起こり、これらの中間温度領域では遷移沸騰となっている。鋼板表面温度が高い状態で起こる膜沸騰では、鋼板表面と冷却水の間に蒸気膜が発生し、この蒸気膜内の熱伝導により伝熱がなされる状態となり、冷却能力は低い。一方、鋼板表面温度が低い状態で起こる核沸騰では、鋼板表面と冷却水は直接接触し且つ鋼板表面から冷却水の一部が蒸発して生じた蒸気泡が直ぐ周りの冷却水により凝縮され消滅するなどの複雑な現象が起こり、蒸気泡の生成・消滅に伴って冷却水が撹拌されるため冷却能力が極めて高い。図18に示すように、上記核沸騰及び膜沸騰領域では、鋼板温度が高いほど熱流束が大きい。そのため、鋼板内に温度偏差があっても、高温部ほど冷却速度が大きくなるために冷却の結果、鋼板内の温度偏差が縮小することになる。
これら核沸騰及び膜沸騰領域の中間温度領域では、膜沸騰と核沸騰が混在した状態である遷移沸騰状態が得られる。この遷移沸騰領域では、核沸騰、膜沸騰領域と異なり、鋼板温度が低くなるにつれ熱流束が大きい(図18参照)。そのため、鋼板内に温度偏差があるときには、低温度側ほど冷却速度が大きくなり、温度偏差は冷却後において拡大することになる。
このような沸騰領域の変動は、鋼板温度のみならず冷却水量によっても影響を受ける。すなわち、図18の破線によって示すように、冷却水量を大きくすると、膜沸騰から遷移沸騰に移行する表面温度が高くなり、さらに冷却水量を大きくすると全冷却期間中核沸騰のみによって冷却することが可能になる。一方、冷却水量を小さくすると、膜沸騰から遷移沸騰に移行する表面温度が低くなり、冷却水量をさらに小さくすると、全冷却期間中膜沸騰のみによって冷却することが可能になる。
冷却過程における沸騰現象の生じ方はこのように複雑であって制御しがたい。そのため、一般的には、遷移沸騰が発生する冷却水量で冷却することが多く、冷却前に鋼板中に存在する温度偏差が拡大する傾向にある。
(3)上面における排水に起因するもの
水平に維持された厚鋼板の上面に冷却水を適用すると、鋼板の上面では図19に示すように、冷却水が鋼板長手方向中央部からその鋼板端部に向けて流れ、最終的に鋼板端部から落下する。その結果、鋼板上面の端部近傍では、厚鋼板の上面からノズルを通して噴射される冷却水に加えて、鋼板長手方向中央部から流れてくる冷却水による冷却がなされる。それにより、鋼板の端部近傍では、必然的に被水量が多くなり冷却速度が大きくなる。なお、このような現象は鋼板の下面側では鋼板に衝突した冷却水は速やかに落下するため発生しない。
制御冷却時における四周部過冷却現象のメカニズムは、ほぼ以上のとおりであり、そのため制御冷却された時点において鋼板面内に大きな温度偏差が生ずることがある。このような場合、制御冷却直後は良好な形状、たとえば平坦度が極めて良好であったとしても、制御冷却後の空冷過程において鋼板が常温まで冷却されたとき、制御冷却直後の温度偏差に起因して鋼板内に熱歪が発生して形状不良の原因となるほか、残留応力により鋼板のユーザーなどにおいて条切り加工等を行う際にいわゆる条切りキャンバーと呼ばれる反りが発生する原因になる。さらに、これらの形状不良が発生しなかったとしても、鋼板四周部では、制御冷却時において鋼板中央部に比べて低温まで冷却がなされた結果、材質が鋼板中央部と異なったもの、たとえば、強度が異常に高いものとなるなどの問題も生ずる。
このような制御冷却時の不均一冷却に伴う諸問題を解決するため、特許文献1には、鋼板の搬送方向に対して所定の角度を有し、鋼板の幅方向に対して所定の間隔をもった平行な複数個の高速の水膜状の冷却水を高温の鋼板表面に衝突させ、衝突後の冷却水は各々の水膜毎に、衝突域を境にしてほぼ均等な量で左右に分かれて鋼板表面に沿って流れる流水域を形成し、主としてこの衝突域と流水域とで鋼板を冷却する方法であって、衝突域の端部に対して鋼板の搬送方向から見て互いに重ならずに連続するように冷却水を供給する高温鋼板の冷却方法が提案されている。
また、特許文献2には、仕上圧延により所定の寸法に圧延し、矯正機により圧延波を矯正した後、制御冷却装置により冷却を行う厚鋼板に対し、制御冷却装置の入側に設けた高冷却能力を有するスリットジェットノズルから高圧水流を厚鋼板に対して斜めに噴射し、厚鋼板の幅両端部への水流を遮蔽するという手段が提案されている。
特許文献3には、圧延熱鋼板の冷却前の幅方向温度分布を測定し、この測定結果から該熱鋼板への幅方向水量分布を演算し、次いで該熱鋼板の直前に冷却した先行熱鋼板の冷却後の温度データを用いて前記演算水量分布を補正し、該補正演算冷却水量分布に基づいて熱鋼板の幅方向注水量分布を調整することを特徴とする熱鋼板の均一冷却方法が提案されている。
特許文献4には、熱間圧延後の厚鋼板の上面及び下面に冷却水を衝突させ、しかも前記厚鋼板の端部を遮蔽樋により遮蔽して前記厚鋼板の端部に上面冷却水流が直接衝突することを防ぎながら、前記厚鋼板を冷却するに当り、前記厚鋼板の板巾、上下面冷却水量、及び冷却開始時の前記厚鋼板の板巾方向温度分布に基づいて、冷却終了時に前記厚鋼板の巾方向に均一温度分布が得られるような、前記遮蔽樋による前記厚鋼板の端部の遮蔽幅を演算し、かくして得られた演算結果に基づいて前記遮蔽幅が得られるように前記遮蔽樋の位置を制御することを特徴とする厚鋼板の冷却方法が提案されている。
特許文献5には、熱鋼板を複数のロールで上下面から押圧しながら注液冷却する方法において、ロール間毎の上方および/または下方に配置したヘッダーに、任意開閉所要時間を制御できる遮断弁を設け、さらに該熱鋼板の通過位置検知手段と冷却開始前長手方向温度プロフィール検出手段ならびに冷却演算制御手段を設け、移動中の該熱鋼板の先端部および/または後端部が通過しようとする位置に相当するヘッダーの遮断弁を開閉制御することを特徴とする熱鋼板の冷却方法が提案されている。
特許文献6には、熱間圧延された高温鋼板を加速冷却して鋼板を製造する鋼板の製造方法において、粗圧延機と仕上圧延機の間に設けられた冷却装置により、加熱炉から粗圧延終了までに生じた板端部付近の温度降下量、及び仕上圧延時に生じると推定される板端部付近の温度降下量を補償するように、板幅方向に温度分布を持った冷却を行い、仕上圧延後は、幅方向に均一な冷却条件で制御冷却を行うことを特徴とする厚鋼板の製造方法が提案されている。
特許文献7には、熱間圧延が完了した後、金属板の幅エッジ部を加熱し、その後、水冷却及び/又は熱間矯正を行なうことを特徴とする金属板の平坦度制御方法が提案されている。
特開平10-58026号公報 特許第2698305号公報 特開昭61-219412号公報 特開昭58-32511号公報 特公平4-50369号公報 特開平11-267737号公報 特開2001-137943号公報
上記の特許文献1から4に開示された手段は、いずれも鋼板の制御冷却の際、鋼板の板幅方向端部が過冷却される現象を防止しようとするものであり、その効果をある程度期待することができるが、なお鋼板全体を均一に冷却する点において問題が残されている(図20参照)。さらに、これらの発明は、冷却前及び/又は冷却中に鋼板の板幅方向端部に発生する過冷却を、冷却中において幅方向端部の冷却速度を遅くすることによって冷却後の幅方向温度分布を均一化するという技術的思想に立脚しているため、鋼板の板面内の温度分布を均一にするためには、鋼板全体の平均冷却速度をある程度犠牲にせざるを得ないという側面もあり、より急速冷却をすることにより、より性能の優れた鋼板を製造することの障害になっている。
加えて、これらの提案では、鋼板の板幅方向に亘る温度均一性の確保のみが課題とされ、鋼板の先尾端部に至る温度均一性を確保することが考慮されていないため、それに起因する鋼板長手方向の冷却歪みが発生するおそれもある。また、先に述べた冷却時の沸騰現象の差異に基づく冷却時の伝熱形態の変動について考慮していないため、特に冷却条件が変化した場合に鋼板端部の冷却速度を制御することが困難である。たとえば、鋼板の厚み、冷却開始温度、冷却終了温度、冷却水量等の冷却条件が特定されれば、ある程度鋼板端部の過冷却を防止し得ても、冷却条件が変化した場合には対応仕切れないという問題もある。
これに対し、特許文献5に記載の手段は、鋼板の先尾端部に至る温度均一性を確保するために有用であると考えられるものの、鋼板の幅方向の温度均一性、特に鋼板端部の過冷却を防止することについて触れていない。そのため、かかる手段のみでは、鋼板端部の過冷却現象に起因する冷却歪みや残留応力の問題を解決することができない。
特許文献6に記載の手段は、要するに、仕上圧延時までに生じる板端部付近の温度降下量を補償するように、粗圧延機と仕上圧延機の間に設けられた冷却装置により板幅方向に温度分布をもった冷却を行い、仕上圧延後は、幅方向に均一な冷却条件で制御冷却を行うものである。しかしながら、このような冷却を粗圧延機と仕上圧延機の間で行うことは極めて困難である。すなわち、この手段では、仕上圧延時に生じる板端部付近の温度降下量の推定を伴うが、かかる推定は困難を伴い、たとえば、圧延中に施されるデスケーリングのためのウォータージェット量などが鋼板の表面状態によってかつ、オペレーターの判断によって行われるなど、圧延中において生ずる鋼板端部の過冷却量の外乱要素が大きく、上記の推定を実質的に不可能にしている。
これに対し、特許文献7に開示の手段は、圧延完了後に鋼板端部を加熱して鋼板全面の温度分布を均一化してから水冷却を行うものであるが、加熱手段として、たとえば、バーナーを使用する場合には、加熱効率を考慮して大容量バーナーを使用せざるを得ず、そのため操業コストの上昇を招くほか、さらに加熱部が酸化され表面性状が損なわれるという問題がある。一方、加熱手段として誘導加熱を用いれば、設備コスト及び操業コストが高くなるという問題がある。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決することを課題とし、圧延を完了した鋼板を制御冷却するに際して、鋼板の板面内の温度分布を幅方向、長手方向全域にわたって均一にすることができ、かつ、全体として冷却速度が大きい鋼板の制御冷却方法を提案するものである。また、上記制御冷却方法を適用することにより、板幅方向の残留応力分布が実質的に均一であり、条切りキャンバー等の加工形状不良を生じない鋼板を提供するものである。
本発明者は、上記従来技術の有する問題点について詳細に検討した。その結果、従来技術して実施されてきたものは、基本的には図20にみられるように、制御冷却(「加速冷却」と称されることもある)の開始前において鋼板の面内中央部と端部の間に温度差が存在することを前提としており、この温度差を制御冷却の終了時において実質的に消失させるために、制御冷却過程において鋼板端部に適用される冷却水量を制限する遮蔽部材を置き、あるいは冷却水量を調整する等の手段によって鋼板端部に被水する冷却水量を減らすものであることを確認した。そして、そのような手法に頼る限り、鋼板の四周部過冷却現象を避けられず、形状不良、残留応力による条切りキャンバー、さらには製品鋼板の面内材質変動などを避け得ないことを確認した。そして新たな手段として、
(1)制御冷却初期に鋼板の幅方向温度を均一化させること
(2)その後、制御冷却においては、鋼板端部から中央部に亘って同一冷却速度で冷却すること
が極めて有効であるとの知見を得て本発明を完成するに至った。本発明は具体的には以下の手段からなる。
本発明の厚鋼板の制御冷却方法は、熱間圧延を完了した厚鋼板を制御冷却するに当り、独立して制御可能な複数の冷却ゾーンを具備する通過型制御冷却装置を用い、該通過型制御冷却装置を構成する1以上の入側冷却ゾーンにおいて前記厚鋼板の幅方向に亘る温度分布を均一化させる幅方向温度分布均一化冷却処理を行い、しかる後前記入側冷却ゾーンに続く冷却ゾーンにおいて厚鋼板の幅方向に亘って実質的に同一の冷却水量によって冷却する同一速度冷却処理を行うに際して、
前記幅方向温度分布均一化冷却処理に当たっては、前記厚鋼板の鋼板端部に対して膜沸騰領域の冷却を行うとともに、鋼板中央部に対して核沸騰領域の冷却を行なって、鋼板中央部と鋼板端部の温度偏差を解消し、
前記同一速度冷却処理に当たっては、鋼板の鋼板端部及び鋼板中央部に対して同一の冷却水量により核沸騰領域の冷却を行うものである。ここにおいて、前記核沸騰領域の冷却は、冷却水を1200l/min/m 以上の水量密度で噴射することが可能な円管又はスリットジェットノズルを備える通過型制御冷却装置により行われるものとするのが好ましい。
上記発明において、幅方向温度分布均一化冷却処理は、通過型制御冷却装置を構成する1以上の入側冷却ゾーンの幅方向端部に設けた遮蔽部材を用い、厚鋼板の幅方向側端部への冷却水量を制限することによって行うのが好ましい。
また、上記各発明において、通過型制御冷却装置の冷却水量を厚鋼板の先尾端部通過時において制限して厚鋼板長手方向に亘る温度分布を均一化させる長手方向温度分布均一化冷却処理を行うのが好ましく、この先尾端部通過時における冷却水量の制限を、該厚鋼板の先尾端部の通過信号により所定時間行われることとすることができる。さらに、上記各発明において、幅方向温度分布均一化冷却処理は、該幅方向温度分布均一化冷却処理が実施される各冷却ゾーンの幅方向端部に厚鋼板通過ラインを挟んで上下に設置された遮蔽部材をそれぞれ独立に制御することにより行われるものとすることができる。
上記厚鋼板の冷却方法は、熱間圧延を完了した厚鋼板を制御冷却するに当り、該制御冷却の直前において厚鋼板板幅方向の温度分布を測定し、該測定結果に基づき鋼板端部温度降下量及び鋼板端部温度降下距離を演算し、該演算結果に基づき幅方向温度分布均一化冷却処理において冷却水を遮蔽する遮蔽ゾーン数及び該遮蔽により厚鋼板端部からの遮蔽幅を演算し、該演算結果に基づいて通過型制御冷却装置において幅方向温度分布均一化冷却処理を実施するのが好適である。
上記記載の厚鋼板の制御冷却方法を用いて製造された厚鋼板は、形状が良好であり、残留応力による条切りキャンバーを生ぜず、さらには製品厚鋼板面内材質変動が少ない。
本発明により、圧延を完了した鋼板を制御冷却するに際して、鋼板の板面内の温度分布を幅方向、長手方向全域にわたって均一にすることができる。これにより、板幅方向の残留応力分布が実質的に均一であり、条切りキャンバー等の加工形状不良を生じない鋼板を確実に製造することが可能になる。また、全体として大きな冷却速度で制御冷却を行うことができるので従来に比べて生産性よく鋼板の制御冷却を行うことができる。さらに、本発明を利用して製造された鋼板は、板幅方向の残留応力分布が実質的に均一であり、条切りキャンバー等の加工形状不良を生じないなどの優れた特性を有する。
本発明により制御冷却をしたときの厚鋼板端部と中央部の温度履歴の模式的説明図である。 本発明を実施するための厚鋼板制御冷却装置の1例を含む厚鋼板の製造ライン構成を示す概念図である。 本発明に用いる通過型制御冷却装置の1例に係る概念図である。 図4のAA視図であり、上部遮蔽部材及び下部遮蔽部材の取り付け状態を示す概念図である。 厚鋼板の幅方向端部における鋼板端部温度降下距離及び鋼板端部温度降下量を定義するための説明図である。 通過型制御冷却装置の前段における冷却水の遮蔽を実施する遮蔽ゾーン数及び該遮蔽のための遮蔽量を決定するための説明図である。 上記本発明に従い、厚鋼板板を制御冷却したときの厚鋼板幅方向の温度分布を示すグラフである。 先尾端水量制御機構の概念図である。 先尾端水量制御機構の変形例に係る概念図である。 厚鋼板の先尾端部温度降下距離及び先尾端部温度降下量を定義するための説明図である。 本発明により長手方向温度分布均一化冷却処理を先端部通板時の行うための設備構成の概念図である。 本発明により長手方向温度分布均一化冷却処理を尾端部通板時の行うための設備構成の概念図である。 通過型制御冷却装置に適用する板状遮蔽部材の取付け状況を示す概念図(正面図)である。 通過型制御冷却装置に適用する板状遮蔽部材の取付け状況を示す概念図(側面図)である。 冷却後の供試材切り出し位置を示す説明図である。 幅方向条切りキャンバー値の測定方法の説明図である。 先尾端部条切りキャンバー値の測定方法の説明図である。 高温鋼板を冷却した場合における鋼板表面温度と抜熱量の関係の説明図である。 鋼板を冷却した場合における鋼板上面における水の流れの説明図である。 従来法により鋼板幅方向端部の冷却制御をしたときの板端部と中央部の温度
図1は、本発明にしたがって制御冷却したときの鋼板端部と中央部の温度履歴の模式的説明図である。この例では、熱間圧延を完了した鋼板を制御冷却するに当り、その初期にまず幅方向温度分布均一化冷却処理として、鋼板端部に対して冷却水を遮蔽物により制限する水量制御が行われ、中央部では通常の制御冷却が実施されている。次いで鋼板中央部と鋼板端部の温度が同一になったときから、同一速度冷却処理として、鋼板端部を含む板全体が実質的に同一の冷却水量によって冷却される制御冷却が行われる。このようにすることにより、図1に示すとおり、制御冷却の同一速度冷却処理段階では、当初から鋼板端部と中央部との間での冷却速度及び冷却停止温度の不一致が解消され、板幅方向の残留応力分布が実質的に均一であり、条切りキャンバー等の加工形状不良を生じない鋼板を確実に製造することが可能になる。
ここで「幅方向温度分布均一化冷却処理」とは、鋼板の圧延終了時さらには、本発明にしたがう冷却開始時において鋼板幅方向に存在する温度偏差を解消するための処理をいい、「同一速度冷却処理」とは、上記「幅方向温度分布均一化冷却処理」完了後、鋼板面内に有害な温度偏差を発生させることなく冷却する処理をいう。そのレベルは後に実施例等により明らかにされる。また、「同一の冷却水量」とは、上記「幅方向温度分布均一化冷却処理」された鋼板を「同一速度冷却処理」に付するために必要な程度の同一水量をいい、鋼板各部位に適用される水量が極めて厳密に同一であることを意味しない。
ところで、上記図1に示す例では、幅方向温度分布均一化冷却処理として、鋼板の幅方向中央部に対しては通常の制御冷却程度の加速冷却を行いながら、鋼板端部に対しては冷却を遅らせている。この場合において、上記鋼板中央部の冷却は核沸騰領域において行わせ、鋼板端部の冷却は膜沸騰領域で行われるようにするのがよい。核沸騰領域の冷却は、冷却水の噴射圧力を高くし又は冷却水量を多くして冷却水の運動量を高くする方法若しくはスリットノズル、スリットジェットノズル等の冷却水に高い運動量を与え得る冷却ノズルを採用することによって達成できる。
一方、膜沸騰領域の冷却は、その詳細については後述するが、上記スリットノズル、スリットジェットノズル等から噴射される運動量の高い冷却水を遮蔽部材により遮断することによって鋼板端部で鋼板中央部からの冷却水が排水されて冷却が進行するようにすることによって達成できる。すなわち、鋼板端部から排水される冷却水は、鋼板の垂直方向への運動量を持っていないので、鋼板表面に発生する蒸気膜を打ち破ることができず膜沸騰となるのである。
したがって、このようにすることにより、鋼板端部では膜沸騰領域、鋼板中央部では核沸騰領域の冷却が行われることとなり、鋼板端部と中央部との間で冷却能力差を持たせることができる。これにより、鋼板中央部と端部との間の冷却速度を大きく変化させることが可能となり、極めて短い時間で鋼板端部と中央部の温度差を縮小することが可能となる。またこれにより、温度偏差を拡大させる遷移沸騰領域での冷却もなくなり、鋼板面内での温度均一化を早期に達成できるようになる。
本発明においては、幅方向温度分布均一化冷却処理に続いて、同一速度冷却処理が行われる。このように本発明では、幅方向温度分布均一化冷却処理及び同一速度冷却処理が組み合わせて行われる点に特徴がある。この同一速度冷却処理として行う制御冷却には核沸騰領域の冷却を行うのがよい。図18からも分るように、冷却中の鋼板表面温度が遷移沸騰領域になると冷却後の温度偏差は拡大するが、核沸騰領域では高温ほど冷却能力が高いため、冷却前に温度偏差が存在しても、冷却過程においてその差が縮小する。本発明では、前述のように制御冷却のうち同一速度冷却処理の段階において幅方向温度分布均一化冷却処理を行って厚鋼板端部と中央部との間の温度偏差を解消させているが、その際、上記処理過程において核沸騰領域の冷却を行うことにより、同一速度冷却処理においてより一層確実に冷却速度のばらつきを減少することが可能になる。また、核沸騰領域の冷却では冷却水の運動量の高いので、ノズルから噴射された冷却水が鋼板表面まで届き、鋼板端面から排水される水による冷却の影響を少なくすることができる。
上記のように、本発明においては、核沸騰領域の冷却が確実に行える条件を整えることが重要になる。このような核沸騰状態を達成するためには、先に述べたように冷却水の運動量を大きくすることによって達成できる。冷却ノズルとしては、スプレーノズル、ミストノズル、円管若しくはスリットラミナーノズル、円管若しくはスリットジェットノズル等を利用することができるが、水量や噴射圧力を少なくするために、運動量の高い円管又はスリットジェットノズルを採用するのが好ましい。例えばスリットジェット冷却を採用した場合、水量密度を1200l/min/m以上、さらに好適には1500l/min/m以上噴射すれようにすれば核沸騰領域の沸騰状態を確実に得ることができる。なお、設備コストやランニングコストの観点から上記水量密度は3000l/min/m以下とするのが望ましい。なお、スリットジェット冷却とは、スリット状の冷却水噴射口を有するノズルから高速の水流を噴射するものをいう。
図2は、本発明を実施するための制御冷却装置の1例を含む鋼板の製造ライン構成を示す概念図である。鋼板製造用の素材スラブは、厚板圧延機1により所定厚の厚鋼板2に圧延され、ローラーテーブル3上を移送され、通過型制御冷却装置20により所定の冷却速度で冷却停止温度まで冷却されるようになっている。通過型制御冷却装置20は、鋼板2のパスラインを挟んで上ヘッダー21及び下ヘッダー22を備えており、これらに高圧水を噴出する上スリットノズル23、下スリットノズル24が取り付けられており、鋼板2の表面に極めて高圧の噴出水を衝突させて厚鋼板2を急速冷却する機能を有する。本例では、上記のほか通過型制御冷却装置20の前後に入側温度計31、出側温度計32が設置されており制御冷却の前後で鋼板の温度測定が可能となっている。
図3は、本発明に用いる通過型制御冷却装置20の1例に係る概念図である。この例では、通過型制御冷却装置20は複数の冷却ゾーン構成されており、それぞれの冷却ゾーンは水切りロール27によって仕切られている。また、これら冷却ゾーンは個別に冷却水量が調整可能となっている。これらの冷却ゾーンは厚板圧延機1に近い方から順に第1冷却ゾーン、第2冷却ゾーン・・・と呼称する。なお、本例の通過型制御冷却装置20は、1200l/min・m以上通水できる能力を有し、核沸騰による伝熱状態を確実にして本発明の目的が確実に達成できるようになっている。
図3に示すように本例の通過型制御冷却装置20は、前段部25と後段部26に分かれている。前段部25には、これを構成する各冷却ゾーンに遮蔽部材28が設置されており、鋼板端部にかかる冷却水量を制限できるようになっている。図4に示すように、上スリットノズル23の下部であって厚鋼板幅方向両側端部通過位置に相当する箇所には左右一対の上部遮蔽部材28を、下スリットノズル24の上部であって鋼板幅方向両側端部通過位置に相当する箇所には左右一対の下部遮蔽部材29が設けられている。これら上部遮蔽部材28及び下部遮蔽部材29は前後進機構16によって鋼板2の進行方向に対して直角方法に出し入れ可能に構成されている。なお、これら上部遮蔽部材28及び下部遮蔽部材29は、前記前段部25を構成する各水冷ゾーン毎に設けられており、それら鋼板2のパスライン直角方法への出し入れは、各個別に行うことが可能である。例えば、特定の冷却ゾーン、たとえば第1冷却ゾーンのみに遮蔽部材を入れることも可能であり、前段のすべての冷却ゾーンに入れることも可能である。
本発明では、上記通過型制御冷却装置20を用い、それを構成する1以上の入側冷却ゾーンにおいて幅方向温度分布均一化冷却処理を、前記入側冷却機構に続く少なくとも1以上の冷却ゾーンにおいて同一速度冷却処理を行う。この幅方向温度分布均一化冷却処理は、具体的には前記通過型制御冷却装置20の前段部25に設けられた上部遮蔽部材28及び下部遮蔽部材29の出し入れ操作によって行われる。
この操作を行うためには、冷却水の遮蔽を実施する遮蔽ゾーン数(以下単に「遮蔽ゾーン数」という)及び該遮蔽による鋼板端部からの遮蔽幅(以下単に「遮蔽幅」という)を決定しなければならない。そのため、本発明においては、制御冷却の直前における鋼板端部の状態量を、図5を参照して、次のように定義する。
(1)鋼板端部温度降下距離:板幅方向における鋼板温度の勾配が0(ゼロ)になる位置から鋼板端部までの距離
(2)鋼板端部温度降下量:板幅方向における鋼板温度の勾配が0(ゼロ)になる位置における温度と鋼板端部の温度との差
これら鋼板端部温度降下距離及び鋼板端部温度降下量は、圧延素材の厚みやその加熱条件、圧延製品の板幅や厚み、圧延完了温度等により変動するが、一般的には鋼板端部温度降下量は40〜50℃、鋼板端部温度降下距離は100〜300mm程度と見積もられる。これらの値は、圧延素材の厚み等をパラメーターとして実測値を解析し、予めテーブル化して求めることも可能であり、あるいは通過型制御冷却装置の前面に鋼板の全面に亘る温度分布が測定可能な走査型温度計31等を設置し、その測定結果を電子計算機で演算して求めることもできる。
このようにして求められた鋼板端部温度降下距離及び鋼板端部温度降下量を基礎にして、通過型制御冷却装置20の前段における冷却水の遮蔽を実施する遮蔽ゾーン数及び遮蔽幅が決定される。本発明では、鋼板幅方向中央部では通常の制御冷却により冷却し、鋼板端部では遮蔽部材により冷却水量を制限して極力空冷に近い状態となるようして、鋼板幅方向中央部と厚鋼板端部の温度を一致させる。この幅方向温度分布均一化冷却処理では、幅方向の温度均一化の目標値を20℃以下、好ましくは10℃以下とする。
遮蔽幅、すなわち上部遮蔽部材28及び下部遮蔽部材29によって覆われる鋼板端部の幅は、前記鋼板端部温度降下距離とする(図5参照)。
一方、遮蔽ゾーン数は、図6を参照して以下のように決定する。
(1)通過型制御冷却装置20を構成する冷却ゾーン数をN、目標冷却開始温度と冷却終了温度との温度差をDT(目標冷却量)として、通過型制御冷却装置20の1ゾーンあたりの冷却量ΔTを
ΔT=DT/N
と算出する。
(2)幅方向温度分布均一化冷却処理開始時から同一速度冷却処理開始時に至る間に鋼板中央部に必要とされる温度降下量をEDとし、前記1ゾーンあたりの冷却量ΔTから厚鋼板中央部を幅方向温度分布均一化冷却処理のために冷却するに必要な冷却ゾーン数nを
n=ED/ΔT
として求める。
(3)通過型制御冷却装置の最初のゾーンである第1冷却ゾーンから前記(2)で求めた冷却ゾーン数nに至るゾーンを遮蔽ゾーンとする。
なお、上記において算出される遮蔽ゾーン数は、必ずしも整数とならないが、本例の設備例では、上面単独あるいは下面単独での遮蔽部材使用が可能であるため、その一方のみの使用を0.5ゾーンの使用とみなして、使用ゾーン数を調整する。例えば遮蔽ゾーン数が1.4と算出された場合は、これに近似する1.5ゾーン分を使用することとする。具体的には、第1冷却ゾーンでは上下部の遮蔽部材を使用し、第2冷却ゾーンでは上部遮蔽部材のみを使用する。
なお、設備構成上、各冷却ゾーンの長さを短くし、冷却ゾーン数を多くするほど、鋼板端部の温度制御性が向上する。また、遮蔽部材により冷却水をほぼ遮断して、鋼板端部では空冷に近い条件にした方がよい。これは、鋼板端部の冷却が板中央部の冷却に近づくにつれ、鋼板中央部と端部とを均一化するために要する時間が長くなり、遮蔽部材の使用ゾーン数も多くなり、その結果、制御冷却の後段側における冷却量が少なくなるため、本発明の効果である板端部と中央部の冷却速度が一致するメリットが得られにくくなるからである。
図7は、上記本発明にしたがい、板厚30mm、板幅3200mm、板長25mの鋼板を制御冷却したときの鋼板幅方向の温度分布を示すグラフである。幅方向温度分布均一化冷却処理開始前の鋼板幅中央部の温度(冷却開始温度)は750℃であり、制御冷却の冷却停止温度は550℃である。この例では、幅方向温度分布均一化冷却処理開始前における鋼板端部温度降下量は30℃、鋼板端部温度降下距離は200mmであると算出された。
制御冷却装置は図3、4に示した構造を有するものであり、冷却ゾーン数10、冷却水は、水量1800l/min・m(上下とも)のスリットジェットノズルからの噴射水とした。上述の手法により遮蔽ゾーン数を求めた結果、1.5と算出されたので、第1冷却ゾーンでは上下面において遮蔽部材を使用し、第2冷却ゾーン下面のみ遮蔽部材を使用することとした。一方、遮蔽幅は、鋼板端部温度降下距離は200mmであることに基づき200mmとし、鋼板端部から200mm入った位置まで遮蔽部材により噴射水を遮断した。
結果は、制御冷却前の温度分布(a)、制御冷却後の温度分布(b)として示すとおりである。本発明にしたがい制御冷却を行った場合には、制御冷却前の鋼板端部温度降下量30℃を制御冷却後においてほぼ0℃とすることができた。これに対し、遮蔽部材を使用しなかった場合は、制御冷却後の鋼板端部温度降下量が60℃となり、かえって温度偏差が拡大することが明らかになった。
本発明は上記のとおり幅方向温度分布均一化冷却処理及び同一速度冷却処理を順次行うことによって、所期の目的を達成するものであるが、本発明は、さらに厚鋼板の長手方向についても上記の技術的思想を拡大援用して長手方向温度分布均一化冷却処理ができるようにしている。その手法として、たとえば、通過型制御冷却装置の冷却水量を厚鋼板の先尾端部通過時において制限することによって行うことができる。
この長手方向温度分布均一化冷却処理のための鋼板の先尾端部通過時における冷却水量の制限は、図3、4に示した制御冷却装置に図8に示すように、制御冷却帯の厚鋼板2の先端通過を検知するフォトセル17を設置し、該フォトセル17による鋼板の先端通過の検知時間を基準として、図3に示す分割された冷却ゾーンに侵入してくる鋼板の先尾端部の水冷状態を調整することによって行う。
図8に示す例では、冷却ゾーン(たとえば第1冷却ゾーン)に流量計及び流量調整弁から構成される流量制御装置41及びタイマーTを設置し、前記フォトセル17による先端通過信号を基準として上ヘッダー20、下ヘッダー22への冷却水の供給を制御して、これらにつながる上スリットノズル23、下スリットノズル24から鋼板先後端部に対し所定時間、所定の制限された水量を供給できるようにしている。図9に示す例は図8に示したものの変形例であり、流量制御装置41に代えて三方弁42を設置し、タイマーにより設定された所定時間に亘り冷却水を外部放出し、これにより所定時間、所定の制限された水量を上スリットノズル23、下スリットノズル24から供給できるようにしている。
するようになっている。
上記図8あるいは図9に示した先尾端水量制御機構を利用して、本発明にしたがい制御冷却を行うためには、水量が制限された状態で適用される制御冷却装置のゾーン数(以下単に「水量制限ゾーン数」という)及び水量制限先尾端長を決定しなければならない。そのため、鋼板幅方向の幅方向温度分布均一化処理に当って採用したと同様の考え方に基づいて、先端部温度降下距離及び先端部温度降下量(尾端部においても同様の概念を利用するので以下「先尾端部温度降下距離」及び「先尾端部温度降下量」という)を図10のように定義する。この場合においても、この先尾端部温度降下量および先尾端部温度降下距離は、圧延素材の厚み、その加熱条件、圧延完了後の板幅、製品厚み、圧延完了温度等により変動するが、一般的には先尾端部温度降下量は30〜50℃程度、先尾端部度降下距離は300〜500mm程度である。これらの値は、圧延素材の厚み等をパラメーターとして実測値を解析し、予めテーブル化して求めることも可能であり、あるいは通過型制御冷却装置の前面に鋼板の長手方向の温度分布が測定可能な走査型温度計、スポット温度計等を設置し、その測定結果に基づき、電子計算機によって演算して求めることもできる。
このようにして求められた先尾端部温度降下距離及び先尾端部温度降下量を基礎にして、通過型制御冷却装置20の前段における水量制限ゾーン数及び水量制限先尾端長が決定される。この場合においても厚鋼板長手方向中央部では通常の制御冷却により冷却し、厚鋼板先尾端部では冷却水量を制限して極力空冷に近い状態となるようして、厚鋼板長手方向中央部と厚鋼板先尾端部の温度を極力一致させることが重要である。この長手方向温度分布均一化冷却処理では、長手方向の温度均一化の目標値を20℃以下、好ましくは10℃以下とする。
水量制限先尾端長は前記先尾端部温度降下距離とする(図10参照)。一方、水量制限ゾーン数は、厚鋼板端部の幅方向温度分布均一化冷却処理に当って採用した遮蔽ゾーン数と同様の手順により決定する。すなわち、
(1)通過型制御冷却装置の全冷却ゾーン数と目標冷却開始温度、冷却終了温度から、1ゾーンあたりの冷却量を算出する。
(2)冷却開始前の先尾端部温度降下量相当分だけ鋼板長手方向中央部を冷却するに要するゾーン数を前記1ゾーン当たりの冷却量から求める。
(3)制御冷却装置の最初のゾーンである第1冷却ゾーンから前記(2)で求めた冷却ゾーン数に至る冷却ゾーンまでを遮蔽ゾーン数とする。
上記において算出される遮蔽ゾーン数は、必ずしも整数とはならない。例えば冷却ゾーン数が1.4と算出された場合は、最も近い整数である1に丸めて、冷却ゾーン数とする。この場合、遮蔽を上下一方のみについて行うことはしない。幅方向温度分布均一化冷却の場合と異なり、例えば上面だけを冷却すると鋼板上下面の温度差により反りが発生する危険性があるためである。
なお、長手方向温度分布均一化冷却処理においても、先尾端部の温度制御性を向上させるためには、各冷却ゾーンの設備長をなるべく短くし、冷却ゾーン数を多くする方がよい。また、板先尾端部において冷却水はほぼ遮断して、空冷に近い条件にした方がよい。これは、板幅方向温度分布均一化冷却処理の場合と同様に、厚鋼板先尾端部の温度が板中央部の温度に近づくにつれ、鋼板中央部と先尾端部との温度を均一化するために要する時間が長くなり、流量調整を実施する水冷ゾーン数も多くなり、その結果、制御冷却の後段側における冷却量が少なくなるため、本発明の効果である板先尾端部と中央部の冷却速度が一致するメリットが得られにくくなるからである。
図11は、本発明により長手方向温度分布均一化冷却処理を先端部通板時に行うための設備構成の概念図である。この例では、図11(a)に示すように、通過型制御冷却装置20の各冷却ヘッダー21に至る冷却水の供給を停止した状態としておき、厚鋼板の先端が先端部温度降下距離だけ上スリットノズル23を超えて進んだとき、図11(b)に示すように、流量制御装置41を動作させ通常の制御冷却に必要な量の冷却水を噴射するようになっている。かかる動作制御は、先に述べたように、制御冷却帯の厚鋼板2の先端通過を検知するフォトセル17および流量制御装置41に作動時間を与えるタイマーTを設置し、該フォトセル17による厚鋼板の先端通過の検知時間を基準として流量制御装置41により冷却水の噴射状態を制御することによって可能である。
図12は、本発明により長手方向温度分布均一化冷却処理を尾端部通板時の行うための設備構成の概念図である。この例では、図12(a)に示すように、通過型制御冷却装置20の各冷却ヘッダー21に至る冷却水が通常の制御冷却を行うために通水状態とされており、厚鋼板がその尾端から尾端部温度降下距離を残して上スリットノズル23に至ったとき、図12(b)に示すように、流量制御装置41を動作させ冷却水の噴射を停止するようになっている。かかる動作制御もフォトセル17および流量制御装置41に作動時間を与えるタイマーTを設置し、該フォトセル17による厚鋼板の先端通過の検知時間を基準として流量制御装置41により冷却水の噴射状態を制御することによって可能である。
上記長手方向温度分布均一化冷却処理は、先述の幅方向温度分布均一化冷却処理と併用して行われる。これにより同一速度冷却処理に先立って鋼板の面内温度分布が鋼板の幅方向および長手方向に亘って均一化されるので、それに続く制御冷却過程(同一速度冷却処理)を核沸騰領域の冷却とすることにより、確実に同一冷却速度での冷却が可能になる。また、本発明では、上記のように幅方向温度分布均一化冷却処理と長手方向温度分布均一化冷却処理を併用するものであるが、これらの処理は互いに干渉することなく実施可能であるから、例えば幅方向端部温度降下量が30℃、先尾端部の温度降下量が70℃となっていたときでも同一速度冷却処理に先立って鋼板の面内温度分布を十分均一化できるという利点がある。
なお、本発明で用いる遮蔽部材は、鋼板の幅方向の端部をノズルから放出される水から遮断するものであれば、ブロック状、板状、樋状(湾曲)等、いかなる形状でもよい。しかしながら、この遮蔽部材は、常に高圧を受け、かつ高温高湿環境にさらされるので、耐食性の素材から構成されかつ、剛性の大きな構造を有するものとするのが好ましい。また、遮蔽部材の作成及び取扱いの点からは、その形状を板状とするのが最も好ましい。
遮蔽板を採用する場合、その出入り方向の長さは、先述の鋼板端部温度降下距離より僅かに大きいものとするのがよい。その長さが短すぎると、鋼板端部温度降下距離を遮蔽しきれず、一方長すぎると、遮蔽板の前後進機構が大きくなりすぎて、たとえば制御冷却装置内のような狭いスペースに遮蔽板を取り付けること自体が困難になる。先に述べたように鋼板端部温度降下距離は、一般に、300mm程度であるから、遮蔽板の出入り方向の長さは350〜400mm程度とすればよい。またその材質は、冷却水に含まれる塩素など腐食性物質の影響を考慮して、ステンレス鋼など耐食性鋼を用い、あるいは亜鉛、クロムなどでメッキされた表面防食処理の行われた炭素鋼などを用いることが好ましい。
図13及び14は通過型制御冷却装置の一冷却ゾーンにおいて本発明にしたがい板状の遮蔽部材を適用したときの、冷却ゾーン周りの様子の1例を示す概念図である。ここに示されている例では、遮蔽部材として、鋼板進行方向に300mm、遮蔽部材の出入り方向に350mm、厚さ7mmのZn−Niメッキ鋼板が使用されている。そして、この板状遮蔽板は、遮断した冷却水が鋼板端部の外側に導かれるように、水平面に対して15°の傾斜を付けて前後進機構(図示しない)にとりつけられている。
厚板圧延機により圧延された厚鋼板を下記の発明例及び比較例1、2の条件によって制御冷却に供した。この制御冷却に供した厚鋼板の寸法、目標特性値、制御冷却条件及び制御冷却前温度分布状態は下記のとおりであった。
(1)寸法:板厚25mm、板幅3800mm、板長25m
(2)目標特性値:490MPa級(許容範囲は490〜610MPa)
(3)制御冷却条件:制御冷却開始温度:750℃(板幅中央部)、制御冷却終了温度:550℃
(4)幅方向温度分布均一化冷却処理前温度分布状態:鋼板端部温度降下量:30℃、鋼板端部温度降下距離:200mm、板先尾端部の温度降下量:50℃、先尾端温度降下距離:500mm
(発明例)
図2〜4に記載の形式の通過型制御冷却装置を用い、遮蔽部材として図13、14に記載のものを用いた。装置の設備仕様、冷却条件は下記のとおりである。
(1)設備仕様:冷却ゾーン数:15、1ゾーン当たりの設備長:1.0m、装置全長:15m、冷却水量:1500l/min・m、冷却速度:約30℃/s
(2)幅方向温度分布均一化冷却処理条件
(a)遮蔽部材使用ゾーン:第1〜3冷却ゾーン(ただし第3冷却ゾーンは下面のみ)
(算定根拠:1ゾーン当たりの冷却量:(750℃-550℃)/15=13.3℃、幅方向端部遮蔽部材使用必要ゾーン数:30℃/13.3℃=2.26)
(b)遮蔽量:200mm(鋼板端部温度降下距離に対応)
(3)長手方向温度分布均一化冷却処理条件
(a)水量制限ゾーン:第1〜4冷却ゾーン(算定根拠:50℃/13.3℃=3.8)
(b)水量制限先尾端長:500mm(先尾端温度降下距離に対応、この間水冷を行わない)
(4)同一速度冷却処理条件:冷却速度は約30℃/s、通板速度:134m/min(冷却時間:6.6s)
(比較例1)
発明例と同一設備を用い、同一通板速度で冷却した。しかしながら幅方向温度分布均一化冷却処理及び長手方向温度分布均一化冷却処理を行わなかった。
(比較例2)
発明例と同様に図2〜4に記載の形式の制御冷却装置を用い、下記の条件によって幅方向温度分布均一化冷却処理及び長手方向温度分布均一化冷却処理を行った。この場合において冷却速度は約30℃/s、通板速度は134m/min(冷却時間:6.6s)であり、発明例の場合と同一である。
(1)幅方向温度分布均一化冷却処理条件
(a)遮蔽部材使用ゾーン:制御冷却装置の全冷却ゾーン
(b)遮蔽量:200mm(鋼板端部温度降下距離に対応)
(2)長手方向温度分布均一化冷却処理条件
(a)水量制限ゾーン:第1〜4冷却ゾーン(算定根拠:50℃/13.3℃=3.8)
(b)水量制限先尾端長:500mm(先尾端温度降下距離に対応、この間水冷を行わない)
表1に上記通過型制御冷却装置の操業条件及び操業データを対比して示す。また、表2には本発明例の効果を比較例と対比して示す。ここで、表2に記載の温度降下量とは、制御冷却直後の鋼板の幅方向温度分布に基づいて決定される値であって、鋼板幅方向における鋼板温度の勾配が0(ゼロ)になる位置における温度と、鋼板端部の温度との差で定義される値である。この値は、鋼板端部が中央部よりも低い場合は正の値をとるが、中央部よりも高い場合は負の値をとる。鋼板先尾端部についても、同様に定義されたものである。
また、表2に記載の引張り強さは、図15に示すように、冷却後の鋼板の先端部及び尾端部からそれぞれ150mmの位置から先端部供試材51、尾端部供試材52を、側端部から100mmの位置から側端部供試材53、を、また鋼板幅方向及び長手の中央位置から中央部供試材54を切り出し、それぞれについてJIS5号試験片により引張り強さを測定した結果である。なお、表2において先尾端部と表示されている値は、上記先端部供試材51、尾端部供試材52から得られた引張強さの平均値である。
一方、表2に記載の条切りキャンバー値は、図16に示すように、鋼板の先端部及び尾端部それぞれ幅3.8m(製品幅)、長さ10mの側端部条切りキャンバー測定用試材55、先尾端部条切りキャンバー測定用試材56を切り出し、これらから図16、17に示すように短冊状の試材を離すときの最大曲がり量をもって代表させる。このうち側端部条切りキャンバー値は、側端部条切りキャンバー測定用試材55を図16に示すように、厚鋼板の一方の側端部から300mm入った位置で切断し、得られた短冊状試材58の最大曲がり量をもって代表させる。一方、先尾端部条切りキャンバー値は、先尾端部条切りキャンバー測定用試材56を図17に示すように、厚鋼板の尾端から300mm入った位置で切断し、得られた短冊状試材59の最大曲がり量をもって代表させる。
Figure 0005218435
Figure 0005218435
表2から分るように、本発明を適用した場合には、全体として冷却速度が大きいにもかかわらず、冷却後の鋼板端部の温度降下量は、−4℃であり、冷却前の鋼板端部温度降下量(30℃)に比べ減少している。また、先尾端部温度降下量も10℃となり、冷却前の温度降下量(50℃)に比べ減少している。その結果、鋼板面内の残留応力も低減され、条切りキャンバー値も9mm(側端部)、5mm(先尾端部)となり、実用上、矯正を行うことなく組立て工程に供することのできる値となった。また、鋼板の引張り強さも、鋼板先尾端部及び側端部の値が550MPa程度となっており、中央部の値とほぼ一致しており、鋼板面内で安定している。
これに対し、幅方向端部及び長手方向先尾端の水量制御を行わなかった比較例1では、冷却後の幅方向及び先尾端の温度降下量が冷却前のそれと比較して拡大され、その結果、条切りキャンバー値が190mm(側端部)、34mm(先尾端部)と極めて大きな値となった。また、引張り強さも板幅方向側端部及び先尾端部の値が、中央部に比べて大きくなっており、一部のものでは許容範囲上限を超えている。
また、比較例2の場合には、冷却後の幅方向端部及び先尾端の温度が中央部と比較して高くなったため、板幅方向端部及び先尾端部の引張り強さが中央部と比較して小さくなり、一部許容範囲下限値を下回る結果となった。この場合、条切りキャンバー値は121mm(側端部)、8mm(先尾端部)であり、実用上、矯正を行うことなく組立て工程に供することのできるレベルには達していない。
履歴の説明図である。
1:厚板圧延機
2:厚鋼板
3:ローラーテーブル
16:(遮蔽部材の)前後進機構
17:フォトセル
20:通過型制御冷却装置
21:上ヘッダー
22:下ヘッダー
23:上スリットノズル
24:下スリットノズル
25:前段部
26:後段部
27:水切りロール
28:上部遮蔽部材
29:下部遮蔽部材
31:入側温度計
33:出側温度計
41:流量制御装置
42:三方弁
51:先端部引張試験試材
52:尾端部引張試験試材
53:側端部引張試験試材
54:中央部引張試験試材
55:側端部条切りキャンバー測定用試材
56:先尾端部条切りキャンバー測定用試材
58:短冊状試材
59:短冊状試材

Claims (8)

  1. 熱間圧延を完了した厚鋼板を制御冷却するに当り、独立して制御可能な複数の冷却ゾーンを具備する通過型制御冷却装置を用い、該通過型制御冷却装置を構成する1以上の入側冷却ゾーンにおいて前記厚鋼板の幅方向に亘る温度分布を均一化させる幅方向温度分布均一化冷却処理を行ない、しかる後前記入側冷却ゾーンに続く冷却ゾーンにおいて厚鋼板の幅方向に亘って実質的に同一の冷却水量によって冷却する同一速度冷却処理を行うに際して、
    前記幅方向温度分布均一化冷却処理に当たっては、前記厚鋼板の鋼板端部に対して膜沸騰領域の冷却を行うとともに、鋼板中央部に対して核沸騰領域の冷却を行なって、鋼板中央部と鋼板端部の温度偏差を解消し、
    前記同一速度冷却処理に当たっては、鋼板の鋼板端部及び鋼板中央部に対して同一の冷却水量により核沸騰領域の冷却を行うことを特徴とする厚鋼板の制御冷却方法。
  2. 核沸騰領域の冷却が、冷却水を1200l/min/m 以上の水量密度で噴射することが可能な円管又はスリットジェットノズルを備える通過型制御冷却装置により行われるものであることを特徴とする請求項1記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  3. 幅方向温度分布均一化冷却処理は、通過型制御冷却装置を構成する1以上の入側冷却ゾーンの幅方向端部に設けた遮蔽部材を用い、厚鋼板の幅方向側端部への冷却水量を制限することによって行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  4. 通過型制御冷却装置の冷却水量を厚鋼板の先尾端部通過時において制限して厚鋼板長手方向に亘る温度分布を均一化させる長手方向温度分布均一化冷却処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  5. 厚鋼板の先尾端部通過時における冷却水量の制限が、該厚鋼板の先尾端部の通過信号により所定時間行われることを特徴とする請求項に記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  6. 幅方向温度分布均一化冷却処理は、該幅方向温度分布均一化冷却処理が実施される各冷却ゾーンの幅方向端部に厚鋼板通過ラインを挟んで上下に設置された遮蔽部材をそれぞれ独立に制御することにより行われるものであることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  7. 熱間圧延を完了した厚鋼板を制御冷却するに当り、該制御冷却の直前において厚鋼板板幅方向の温度分布を測定し、該測定結果に基づき鋼板端部温度降下量及び鋼板端部温度降下距離を演算し、該演算結果に基づき幅方向温度分布均一化冷却処理において冷却水を遮蔽する遮蔽ゾーン数及び該遮蔽により厚鋼板端部からの遮蔽幅を演算し、該演算結果に基づいて通過型制御冷却装置において幅方向温度分布均一化冷却処理を実施することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の厚鋼板の制御冷却方法。
  8. 請求項1〜に記載のいずれかの方法により制御冷却することにより得られた厚鋼板。
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