JPH06254616A - 形状の優れた厚鋼板の冷却方法およびその装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 形状の優れた厚鋼板の冷却方法およびその装
置を提供する。 【構成】 本発明は、厚鋼板を熱間圧延終了後に熱間矯
正し、その後、冷却する方法において、冷却終了後に不
均一な温度分布を有する鋼板面内の高温部分に冷却を施
して、鋼板面内の温度分布を均一にする形状の優れた厚
鋼板の冷却方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は形状の優れた厚鋼板の冷
却方法およびその装置に関するものである。この方法で
製造した厚鋼板は、海洋構造物、造船、建築などの鋼構
造物に用いることができる。

【０００２】

【従来の技術】低コスト化、高品質化の要求に対応し
て、ＴＭＣＰ（オンライン加工熱処理）技術が発展して
きた。ＴＭＣＰは制御圧延あるいは制御圧延後の加速冷
却により高強度化、高靱性化を可能とする技術である。
しかしながら、鋼板をオンラインで冷却する場合、冷却
終了時の板面内の鋼板温度にばらつきが生じるため、形
状が劣化しやすい。また鋼板温度のばらつきに起因する
熱応力により、鋼板内部に残留応力が発生し、鋼板を条
切り切断した際に曲がりが生じるという問題点を有して
いる。

【０００３】このような問題点に対して、特開昭６１−
１４２０号公報では強制冷却によるオンライン熱処理終
了後の厚鋼板温度に対して、不均一な高温部分をオンラ
インにて強制補助冷却を施して温度矯正を行ない、その
後、少なくとも１回矯正機にかけて矯正することを特徴
とする熱間圧延厚鋼板の強制冷却方法が開示されてい
る。

【０００４】また特公昭５１−２０００３号公報では、
仕上圧延機後方に第１強制冷却装置、矯正装置および第
２強制冷却装置を順次直線的に連設することを特徴とす
る熱間圧延厚鋼板の冷却調整装置列が開示されている。

【０００５】しかしながら、水冷停止後の鋼板温度のば
らつきは、圧延後の鋼板の形状不良や冷却開始前の温度
ばらつきに大きく依存するために、圧延終了後に熱間矯
正を実施せずに冷却した場合には、水冷停止後の鋼板温
度のばらつきは極めて大きくなる。この場合、特開昭６
１−１４２０号公報のように強制補助冷却により温度矯
正を実施してもその制御は極めて困難であり、さらに温
度矯正後に矯正を実施する場合、矯正する温度が低くな
ると矯正により残留応力が発生するため、鋼板を条切り
切断した際の曲がりの発生を皆無にすることはできな
い。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来法の問題点を解決し、鋼板を均一に冷却する
ための冷却前の鋼板形状と冷却後の温度ばらつきを修正
する方法を明らかにすることにより、形状の優れた厚鋼
板の冷却方法を提供するものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の要旨は「厚鋼板
を熱間圧延終了後に熱間矯正し、その後、冷却する方法
において、冷却終了後に不均一な温度分布を有する鋼板
面内の高温部分に冷却を施して、鋼板面内の温度分布を
均一にすること」である。

【０００８】

【作用】以下に、図面を用いて本発明の構成および作用
について説明する。

【０００９】図１に本発明を実施する装置の概略図を示
す。発明者らの研究によれば、冷却終了後の鋼板の温度
ばらつきは種々の要因に起因することがわかった。すな
わち鋼板を均一に冷却するためには冷却前の鋼板形状を
平坦化すること、および冷却開始前の鋼板が平坦でも、
鋼板表面の性状（表面粗さやスケール）の不均一によ
り、冷却終了後の温度にばらつきが生じることが判明し
た。そこで、圧延機１の後方に熱間矯正機２、冷却装置
３、温度計測装置４、補助冷却装置５をこの順番に配置
して鋼板を製造することにより、鋼板面内の温度分布を
均一にでき、形状の優れた厚鋼板を製造できることを見
いだし、本発明に至った。

【００１０】まず、圧延機１で圧延された鋼板を、水冷
開始前に熱間矯正機２で熱間矯正しなければならない。
これは冷却を開始する前に鋼板を平坦化するためであ
り、水冷開始前の鋼板の形状が平坦でないと、鋼板面内
で受ける水圧や鋼板上の水量にばらつきが生じ、均一な
冷却が不可能となり、冷却終了時には温度のばらつきが
大きくなるためである。

【００１１】つぎに鋼板に強度と靱性を付与させるため
に、冷却装置３により鋼板を冷却する。この時、鋼板が
たとえ平坦でも鋼板の表面粗さや表面スケールの板面内
でのばらつきにより冷却能が大きく変化し、冷却終了後
の温度は必ずしも均一になるとは限らない。板幅方向や
板長さ方向の温度ばらつきは鋼板の形状や、条切り切断
時の鋼板の曲がりを発生させる。

【００１２】そこで冷却装置により冷却された鋼板の板
面内温度を温度計測装置４によりオンラインで計測し、
冷却終了後に不均一な温度分布を有する鋼板面内の高温
部分を補助例５により冷却する必要がある。これは鋼板
面内の温度を均一にするためであり、この結果、鋼板の
形状を良好に保ち、条切り切断時の鋼板の曲がりをなく
すことができる。

【００１３】

【実施例】次に本発明の実施例について説明する。図１
に示す実施例装置により厚鋼板を製造した。

【００１４】表１に鋼板の製造方法と鋼板の形状および
条切り切断後の曲がりの有無を示す。表１において、Ｎ
ｏＡは本発明法、Ｂ〜Ｅは比較法を示す。本発明法Ａは
良好な鋼板形状を有し、条切り切断時の鋼板の曲がりも
発生しない。これに対して比較法Ｂは鋼板冷却開始前の
熱間矯正しないために鋼板の温度が不均一となり、良好
な形状が得られない。比較法Ｃは冷却していないために
所定の強度が得られない。比較法Ｄは冷却終了後に鋼板
の温度を計測していないために温度が不均一となり、良
好な形状が得られない。比較法Ｅは補助冷却を実施して
いないために鋼板温度の不均一が解消されず、良好な形
状が得られない。

【００１５】

【表１】

【００１６】

【発明の効果】本発明はオンライン熱処理による厚鋼板
の製造において、冷却終了後の鋼板面内の温度を均一化
することにより形状の優れた厚鋼板を製造する手段を提
供するものであり、高品質の厚鋼板を低コストで量産で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例装置の概略図。

【符号の説明】

１…圧延機 ２…熱間矯正機 ３…冷却装置 ４…温度計測装置 ５…補助冷却装置

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 厚鋼板を熱間圧延終了後に熱間矯正し、
   その後、冷却する方法において、冷却終了後に不均一な
   温度分布を有する鋼板面内の高温部分に冷却を施して、
   鋼板面内の温度分布を均一にすることを特徴とする形状
   の優れた厚鋼板の冷却方法。
2. 【請求項２】 厚鋼板を熱間圧延終了後に熱間矯正し、
   その後、冷却する装置において、圧延機の後方に熱間矯
   正機、冷却装置、温度計測装置および補助冷却装置が順
   番に配置されていることを特徴とする形状の優れた厚鋼
   板の冷却装置。