JP6927052B2 - 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置 - Google Patents

金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6927052B2
JP6927052B2 JP2018001898A JP2018001898A JP6927052B2 JP 6927052 B2 JP6927052 B2 JP 6927052B2 JP 2018001898 A JP2018001898 A JP 2018001898A JP 2018001898 A JP2018001898 A JP 2018001898A JP 6927052 B2 JP6927052 B2 JP 6927052B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal band
width direction
plate width
lubricant
steel strip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018001898A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019118943A (ja
Inventor
潤 根上
潤 根上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2018001898A priority Critical patent/JP6927052B2/ja
Publication of JP2019118943A publication Critical patent/JP2019118943A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6927052B2 publication Critical patent/JP6927052B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Straightening Metal Sheet-Like Bodies (AREA)

Description

本発明は、金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置に関する。
冷間圧延後の鋼帯には、通常、耳波や中波と呼ばれる圧延方向伸びひずみの板幅方向分布(以下、伸びひずみ差ともいう)に起因した波状の平坦度不良が発生している。このため、冷間圧延後の鋼帯は、形状矯正工程にて平坦度不良が除去される。形状矯正工程では、例えばテンションレベラ等の矯正装置によって鋼帯を矯正する。テンションレベラは、入側と出側とに設けられたブライドルロールに回転速度差を設けて張力を生じさせた状態で、ブライドルロール間に設けられた複数のロールによって鋼帯に曲げと曲げ戻しとを繰り返し加えて、鋼板の平坦度不良を矯正する装置である。
例えば特許文献1には、テンションレベラを用いた金属ストリップの形状矯正において、伸長ロールユニットの入側にロール軸方向に表面温度の変更が可能な冷却ロールを設け、冷却ロールにてストリップの幅方向に温度差を形成し、温度差に応じた張力差を生じさせた後に、伸長ロールユニットおよび矯正ロールユニットで平坦矯正を行う金属ストリップの矯正方法が開示されている。かかる矯正方法では、伸長ロール入側で金属ストリップに積極的に温度分布を形成することで、金属ストリップの伸びひずみ差を制御している。
特開2000−246338号公報
ここで、薄物かつ硬質な鋼帯をテンションレベラによって矯正する際、ロールと鋼帯の接触界面における潤滑性向上や鋼板に付着したゴミの除去による疵防止、ロール腐食防止を目的として、潤滑剤が供給される。しかし、潤滑剤が鋼帯に均一に供給されていない場合、テンションレベラでの矯正時に伸びひずみ差が生じ、板幅方向に複数列に渡ってピッチの小さな波状の平坦度不良を誘発することが判明した。そして、かかる現象は、潤滑剤の供給ムラによって鋼帯とロールとの接触界面において摩擦発熱に差が生じることによるものであるという知見を得た。摩擦発熱の差によって、鋼帯に温度ムラが生じると、温度分布に応じた張力分布が発生する。そのため、温度ムラがある状態で矯正を行うと、それに応じた伸びひずみ差が形成され、新たな平坦度不良に繋がる。すなわち、潤滑剤の供給ムラに起因した鋼帯の表面温度のムラを解消すれば、鋼帯の平坦度不良を解消することができると考えられる。
しかし、このような鋼帯の表面温度のムラに起因する平坦度不良はこれまで考慮されていなかった。上記特許文献1には、金属ストリップの板幅方向に温度差を形成して矯正することを開示されているが、特許文献1ではクラウンや機械特性偏差、幅中央と端部での平面ひずみ、平面応力状態の違いによって生じてしまう伸びひずみ差を抑制するための技術であり、矯正中に生じる温度ムラを解消するものではない。特に、板厚が薄い場合、具体的には板厚が0.4mm以下の場合には、上記特許文献1で問題としている平面ひずみ、平面応力による伸び差等の外乱の影響は小さい。また特許文献1の手法には冷却ロールが必要であり、設備の複雑化やコスト増加が懸念される。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、潤滑剤の供給ムラによって生じる平坦度不良を抑制することが可能な、新規かつ改良された金属帯の矯正方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、テンションレベラを用いた金属帯の矯正方法であって、金属帯に対して伸びを付与する伸長ユニットの入側に設けられた潤滑剤供給装置により矯正前の金属帯の表面に対して潤滑剤を供給し、伸長ユニットの少なくとも出側に設けられた温度計を用いて、板幅方向における金属帯の表面温度を測定し、測定された金属帯の表面温度の板幅方向温度分布が低減するようにテンションレベラを制御する、金属帯の矯正方法が提供される。
温度計を用いて測定された金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeasから換算された伸びひずみ差Δεmeasが、製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さくなるように、伸長ユニットへ供給される潤滑剤の供給量または金属帯の通板速度のうち少なくともいずれか一方を決定してもよい。
あるいは、金属帯に発生する板幅方向の伸びひずみ差Δεmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さくなる金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeas2を予め算出し、
温度計を用いて測定された金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeasが金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeas2となるように、伸長ユニットへ供給される潤滑剤の供給量または金属帯の通板速度のうち少なくともいずれか一方を決定してもよい。
伸長ユニットの入側には、潤滑剤を供給するノズルが板幅方向に複数配列されており、温度計を用いて測定された金属帯の板幅方向温度分布に基づき、金属帯の表面温度が相対的に高い領域に対応するノズルの、潤滑剤の供給量を増加させるようにしてもよい。
潤滑剤は金属帯に対して直接供給されるようにしてもよい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、金属帯の矯正装置であって、金属帯に対して張力を付与する一対のブライドルロールと、一対のブライドルロールの間に設置され、金属帯に対して伸びを付与する伸長ユニットと、伸長ユニットの入側に設けられ、矯正前の金属帯の表面に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置と、伸長ユニットの少なくとも出側に設けられ、板幅方向における金属帯の表面温度を測定可能な温度計と、温度計により測定された金属帯の板幅方向温度分布に基づいて、矯正装置を制御する制御部と、を備える、金属帯の矯正装置が提供される。
以上説明したように本発明によれば、潤滑剤の供給ムラによって生じる平坦度不良を抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るテンションレベラの概略構成を示す説明図である。 本実施形態に係るテンションレベラの潤滑剤供給装置及び伸長ユニットの構成を示す説明図である。 板幅方向温度分布のフィードバックによる、本実施形態に係る鋼帯の矯正方法を示すフローチャートである。 鋼帯の板幅方向温度分布を説明する説明図である。 板幅方向温度分布をセットアップする場合の、本実施形態に係る鋼帯の矯正方法を示すフローチャートである。 板幅方向における潤滑剤の供給量の制御を説明する説明図である。 実施例2として、板幅方向における潤滑剤の流量分布制御の有無による、制御開始から完了までの時間を示すグラフである。 実施例3として、潤滑剤の供給対象の違いによる、制御開始から完了までの時間を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<1.テンションレベラ構成>
まず、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係るテンションレベラの概略構成について説明する。図1は、本実施形態に係るテンションレベラ1の概略構成を示す説明図である。図2は、本実施形態に係るテンションレベラ1の潤滑剤供給装置30及び伸長ユニット40の構成を示す説明図である。
本実施形態に係るテンションレベラ1は、冷間圧延工程により製造された鋼帯にて生じた、耳波や中波といった波状の平坦度不良を矯正する装置であり、図1に示すように、巻戻し装置10と、入側ブライドルロール20と、潤滑剤供給装置30と、伸長ユニット40と、反り矯正ユニット50と、ブロア60と、出側ブライドルロール70と、巻取り装置80と、温度計90とからなる。巻戻し装置10はコイル状に巻回された鋼帯Sを払い出す装置(例えば、ペイオフリール)である。巻戻し装置10から払い出された鋼帯Sは、入側ブライドルロール20と出側ブライドルロール70との間に配置された伸長ユニット40及び反り矯正ユニット50にて矯正された後、巻取り装置80(例えば、テンションリール)にてコイル状に巻回される。
入側ブライドルロール20及び出側ブライドルロール70は、テンションレベラ1の張力を設定するためのロールである。ブライドルロール20、70間の張力は、入側ブライドルロール20のロール回転速度に対して出側ブライドルロール70のロール回転速度を調整し、回転速度差を設けることで設定される。
潤滑剤供給装置30は、伸長ユニット40に対して鋼帯Sの通板方向上流側に配置されており、伸長ユニット40及び反り矯正ユニット50による矯正前に鋼板Sの上面及び下面に対して潤滑剤を供給する。潤滑剤供給装置30は、例えば鋼帯Sの板幅方向に所定の間隔で複数配置されたスプレーノズル(図示せず。)を備え、スプレーノズルから所定の供給量で潤滑剤が鋼帯Sに供給される。この際、潤滑剤供給装置30は、図2に示すように、伸長ユニット40の入側から鋼帯Sの表面に直接潤滑剤を供給してもよい。これにより、鋼帯Sの表面における潤滑剤の供給ムラを抑制することができ、鋼帯Sの表面温度の温度ムラを解消することも可能となる。潤滑剤の供給量は、制御装置(図示せず。)によって制御される。潤滑剤としては、例えば潤滑油などがあり、洗浄性を有するものであってもよい。
伸長ユニット40は、鋼帯Sに生じた圧延方向の伸びひずみの板幅方向分布(すなわち、伸びひずみ差)を取り除くための機構であり、複数の伸長ロール群41、43、45、47からなる。各伸長ロール群41、43、45、47は、図1及び図2に示すように、鋼帯Sに接触して圧延する小径のワークロール4aと、ワークロール4aを補強する複数の中間バックアップロール4b及びバックアップロール4cとから構成されている。伸長ロール群41、43及び伸長ロール群45、47はそれぞれ対となり、通板される鋼帯Sを上下から挟むように配置されている。伸長ユニット40を通過する際に、鋼帯Sは、鋼帯Sを挟んで交互に配置された伸長ロール群41、43、45、47によって、張力が加えられた状態で交互に曲げと曲げ戻しとが加えられる。このようにして鋼帯Sの伸びひずみが相対的に小さい部分が大きい部分に比べて伸ばされることで、板幅方向の伸びひずみ差が解消され、鋼帯Sの平坦度不良が矯正される。
反り矯正ユニット50は、鋼帯Sに生じた反りを矯正するための機構であり、例えば伸長ロール群41、43、45、47よりも大径のマルチロールを鋼板Sに対して上下に複数配置して構成される。伸長ユニット40と反り矯正ユニット50との間には、鋼帯Sの反りを調整するための一対のデフロール55が設けられている。一対のデフロール55と反り矯正ユニット50との間には、潤滑剤を供給する第2の潤滑剤供給装置(図示せず。)が設けられていてもよい。第2の潤滑剤供給装置は、潤滑剤供給装置30と同様の構成であってもよい。
ブロア60は、伸長ユニット40及び反り矯正ユニット50による矯正後の鋼帯Sの表面に残存する潤滑剤を乾燥させるための装置であって、反り矯正ユニット50に対して通板方向下流側に設けられる。ブロア60は、例えば熱風を出力する熱風ブロアであってもよい。ブロア60により鋼帯Sの表面に残存していた潤滑剤が除去された後、鋼帯Sは出側ブライドルロール70を通過し、巻取り装置80によりコイル状に巻回される。
温度計90は、伸長ユニット40の出側に設けられ、板幅方向における鋼帯Sの表面温度を測定する。ここで、テンションレベラで矯正する鋼帯は板厚が小さいものが多く、厚み方向の温度分布はほとんどない。したがって、鋼帯Sの板内部の温度は、温度計90で測定された表面温度と等しいと考えても差し支えない。温度計90は、例えば放射温度計を、通板される鋼帯Sの板幅を含むように板幅方向に複数配置して構成される。温度計90により取得された鋼帯Sの板幅方向における表面温度の分布(以下、「板幅方向温度分布」ともいう。)は、制御装置(図示せず。)へ出力される。制御装置は、板幅方向温度分布に基づき、鋼帯Sの平坦度不良を解消するためのテンションレベラ1を制御する。
<2.鋼帯の矯正方法>
[2−1.潤滑剤の供給ムラと板幅方向温度分布との関係]
冷間圧延後の鋼帯Sの形状矯正工程では、テンションレベラ1を用いて冷間圧延工程にて生じた耳波あるいは中波といった波形状や反りを解消し、鋼帯Sの平坦度を高める処理が行われる。しかし、テンションレベラ1による矯正時に、鋼帯Sに対して潤滑剤が均一に供給されていない場合に、板幅方向に複数列に渡ってピッチの小さな波が発生することが判明した。最終製品として仕上られた鋼帯Sにこのような平坦度不良が生じていると、当該鋼帯Sを加工する加工工程において例えば溶接不良のような問題が生じる。
本願発明者は、鋼帯Sに平坦度不良が発生する要因を調べた結果、次の知見を得た。潤滑剤の供給ムラによって鋼帯Sと伸長ユニットのワークロール4aとの接触界面における摩擦発熱に差が生じ、鋼帯Sに温度ムラが発生する。温度ムラに応じた張力差が発生した状態で鋼帯Sが曲げと曲げ戻し変形を受けると伸び差が生じる。そこで、本願発明者は、鋼帯Sの板幅方向温度分布を測定して、鋼帯Sの表面温度のムラが所定値以下となるようにテンションレベラ1を制御することで、鋼帯Sの平坦度不良を抑制することを想到した。温度ムラを抑制するためのテンションレベラ1の制御には、潤滑剤の供給量を増加させ鋼帯Sの板幅方向に潤滑剤が均等に行き渡るようにする、あるいは、通板速度を下げて鋼帯Sに供給される潤滑剤の単位時間あたりの供給量を増加させることが考えられる。以下、鋼帯Sの平坦度不良を矯正する方法について、詳細に説明する。
[2−2.処理内容]
(1)板幅方向温度分布によるフィードバック制御
まず、図3及び図4に基づいて、測定された板幅方向温度分布に基づきフィードバックしてテンションレベラ1を制御する、鋼帯の矯正方法を説明する。図3は、本実施形態に係る鋼帯の矯正方法を示すフローチャートである。図4は、鋼帯Sの板幅方向温度分布を説明する説明図である。なお、図3に示す処理は、テンションレベラ1の制御装置(図示せず。)によって実行される。
まず、図3に示すように、テンションレベラ1を通板する鋼帯Sの板幅方向における表面温度を温度計90により測定し、伸長ユニット40の出側における鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasを取得する(S100)。板幅方向温度分布ΔTmeasは、図4に示すように、温度計90により測定された鋼帯Sの板幅方向の表面温度において、最大表面温度と最小表面温度との差により表される。
ステップS100にて板幅方向温度分布ΔTmeasが取得されると、板幅方向温度分布ΔTmeasは鋼の熱膨張係数を用いて鋼帯Sの伸びひずみ差Δεmeasに換算される(S110)。
そして、ステップS110にて算出された鋼帯Sの伸びひずみ差Δεmeasが、予め算出された鋼帯Sの製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さいか否かが判定される(S120)。測定された鋼帯Sの伸びひずみ差Δεmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さい場合には、鋼帯Sに発生している伸びひずみ差Δεmeasは製品の品質基準を満たすものと判定され、図3に示す処理を終了する。一方、ステップS120にて測定された鋼帯Sの伸びひずみ差Δεmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δε以上である場合には、製品の品質基準を満たさない程度の平坦度不良が発生していると判定され、鋼帯Sの平坦度不良の要因となっている鋼帯Sの温度ムラを抑制する制御が行われる。
まず、潤滑剤供給装置30による潤滑剤の供給量が最大であるか否かが判定される(S130)。潤滑剤の供給量が最大となっていない場合には、潤滑剤の供給量を増加し(S140)、鋼帯Sの表面に供給される潤滑剤量を増やすことで、潤滑剤の供給ムラを低減し、潤滑剤の供給ムラによる鋼帯Sの表面温度のムラを抑制する。その後、ステップS100からの処理を繰り返す。一方、ステップS130にて潤滑剤の供給量が最大となっている場合には、潤滑剤供給装置30からの潤滑剤の供給量を増加させることができないため、鋼帯Sの通板速度を低下させる(S150)。これにより、鋼帯Sの表面に供給される単位時間あたりの潤滑剤量を増加させることができるので、潤滑剤の供給ムラが低減される。その結果、潤滑剤の供給ムラによる鋼帯Sの表面温度のムラを抑制することができる。その後、ステップS100からの処理を繰り返す。
以上の処理を繰り返し、鋼帯Sの板幅方向温度分布に基づき算出される鋼帯Sの伸びひずみ差Δεmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さくなるようにすることで、製品の品質基準を満たす平坦度を有する鋼板Sとすることができる。
(2)板幅方向温度分布のセットアップ
次に、図5に基づいて、鋼帯Sの板幅方向温度分布が予め設定された板幅方向温度分布の目標値となるようにテンションレベラ1を制御する、鋼帯の矯正方法を説明する。図5は、板幅方向温度分布をセットアップする場合の本実施形態に係る鋼帯の矯正方法を示すフローチャートである。なお、図5に示す処理も、テンションレベラ1の制御装置(図示せず。)によって実行される。
鋼帯Sの板幅方向温度分布が予め設定された板幅方向温度分布の目標値となるようにテンションレベラ1を制御する場合には、図5に示すように、まず、製品の品質基準の伸びひずみ差Δεに基づき、当該製品の品質基準の伸びひずみ差Δε未満となる伸びひずみ差Δεmeasについて、当該伸びひずみ差Δεmeasとなる板幅方向温度分布ΔTmeas2を予め求める(S200)。板幅方向温度分布ΔTmeas2は、温度計90により測定される鋼帯Sの板幅方向の表面温度から求められる板幅方向温度分布ΔTmeasの目標値となる。なお、伸びひずみ差Δεmeasと板幅方向温度分布ΔTmeasとの関係、板幅方向温度分布ΔTmeasと潤滑剤の供給量または通板速度との関係は、予め実験またはシミュレーション等により求めることができる。
次いで、テンションレベラ1を通板する鋼帯Sの板幅方向における表面温度を温度計90により測定し、伸長ユニット40の出側における鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasを取得する(S210)。そして、ステップS210にて取得された鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasが、予め算出された板幅方向温度分布の目標値ΔTmeas2の所定範囲内にあるか否かが判定される(S220)。測定された鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasが予め算出された板幅方向温度分布の目標値ΔTmeas2の所定範囲内にある場合には、鋼帯Sに発生している伸びひずみ差Δεmeasは製品の品質基準を満たすものと判定され、図5に示す処理を終了する。
一方、ステップS210にて取得された鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasが、予め算出された板幅方向温度分布の目標値ΔTmeas2の所定範囲外である場合には、製品の品質基準を満たさない程度の平坦度不良が発生していると判定され、上記図3のステップS130〜S150と同様、鋼帯Sの平坦度不良の要因となっている鋼帯Sの温度ムラを抑制する制御が行われる(S230〜S250)。なお、ステップS230〜S250の処理は、図3のステップS130〜S150と同一であるため、ここでは説明を省略する。
以上の処理を繰り返し、鋼帯Sの板幅方向温度分布ΔTmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δεに基づき予め設定された板幅方向温度分布の目標値ΔTmeas2の所定範囲内となるようにテンションレベラ1を制御することで、製品の品質基準を満たす平坦度を有する鋼板Sとすることができる。また、制御開始から所望の温度ムラ(伸びひずみ差)を達成するまでに必要な鋼帯Sの材料長さを減らすことができ、歩留まり低下も抑制することができる。
なお、上記2つの矯正方法では、潤滑剤の供給量及び通板速度を考慮したが、本発明はかかる例に限定されず、潤滑剤の供給量または通板速度のうち少なくともいずれか一方を調整することでも上記効果を得ることができる。
[2−3.潤滑剤の供給]
上記鋼帯Sの矯正方法においては、潤滑剤供給装置30による潤滑剤の供給を、伸長ユニット40のワークロール4aに対して行ってもよく、鋼帯Sの表面に潤滑剤を直接供給するようにしてもよい。鋼帯Sの表面に潤滑剤を直接供給することで、鋼帯Sの表面における潤滑剤の供給ムラをより効率的に解消することができ、潤滑剤の供給ムラに起因する温度ムラも解消することができる。また、制御開始から所望の温度ムラ(伸びひずみ差)を達成するまでに必要な鋼帯Sの材料長さを減らすことができ、歩留まり低下も抑制することができる。
また、潤滑剤供給装置30が、図6に示すように鋼帯Sの板幅方向に所定の間隔で複数配置されたスプレーノズル31〜39から構成されている場合には、温度計90により測定された板幅方向における鋼帯Sの表面温度より、鋼帯表面において相対的に温度の高い部分に対応するスプレーノズルからの潤滑剤の供給量を、他のスプレーノズルからの潤滑剤の供給量よりも増加させてもよい。例えば、図6の例では、板幅中央付近で鋼帯Sの表面温度が高くなっていることから、スプレーノズル34、35、36からの潤滑剤の供給量を増加させればよい。これにより、より効果的に鋼帯Sの表面における潤滑剤の供給ムラを抑制することができ、鋼帯Sの表面温度の温度ムラを解消することも可能となる。また、制御開始から所望の温度ムラ(伸びひずみ差)を達成するまでに必要な鋼帯Sの材料長さを減らすことができ、歩留まり低下も抑制することができる。
まず、本発明に係る鋼帯の矯正方法による平坦度不良の抑制効果について検証した。実施例1として、上記図3の処理に基づき鋼帯の板幅方向温度分布を考慮して鋼帯の矯正を行い、伸長ユニットによる矯正後の形状と、板幅方向温度分布に起因する平坦度不良の発生有無を調べた。一方、比較例1では、鋼帯の板幅方向温度分布を考慮せず矯正を行い、伸長ユニットによる矯正後の形状と、板幅方向温度分布に起因する平坦度不良の発生有無を調べた。そして、伸長ユニットによる矯正後の形状と、板幅方向温度分布に起因する平坦度不良の発生有無とに基づき、最終製品の合否判定を行った。
下記表1に、実施例1及び比較例1の検証結果を示す。なお、矯正後の形状については、矯正後の急峻度が0.4%以下である場合を合格(○)とし、矯正後の急峻度が0.4%超である場合を不合格(×)とした。板幅方向温度分布に起因する平坦度不良の発生有無については、新たな平坦度不良がない場合を合格(○)、新たな平坦度不良がある場合を不合格(×)とした。最終製品の合否は、矯正後の形状及び板幅方向温度分布に起因する平坦度不良ともに合格である場合を合格(○)とし、いずれか一方が不合格である場合には不合格(×)とした。
Figure 0006927052
表1より、実施例1及び比較例1ともに、冷間圧延にて発生した耳波は矯正されていた。しかし、板幅方向温度分布を考慮しなかった比較例1では、鋼帯に波打ちが発生し、平坦度基準を満たさなかった。
次に、本発明に係る鋼帯の矯正方法において、潤滑剤供給装置による板幅方向における潤滑剤の流量分布制御の有無による効果について検証した。実施例2では、伸長ユニットによる矯正前の鋼帯の急峻度が1.0%、0.8%及び0.5%の場合について、制御開始時点での板幅方向温度分布ΔTmeasを伸びひずみ差Δεmeasに換算し、下記式(1)に基づき伸びひずみ差Δεmeasから急峻度λmeasを算出した。そして、制御開始から製品の平坦度基準である急峻度0.4%以下となるまでに要した時間(制御開始から完了までの時間)を算出した。かかる結果を図7に示す。図7においては、潤滑剤供給装置による板幅方向の流量分布制御なしの場合における制御開始から完了までの時間を1とし、無次元化して表している。
Figure 0006927052
図7に示すように、いずれの急峻度λmeasにおいても、板幅方向において潤滑剤の流量分布を制御した方が、短時間で製品の平坦度基準を満たすことがわかる。
次に、本発明に係る鋼帯の矯正方法において、潤滑剤供給装置による潤滑剤の供給を、伸長ユニットのワークロールに対して行った場合と、鋼帯の表面に直接供給した場合とについて効果を検証した。実施例3では、実施例2と同様、伸長ユニットによる矯正前の鋼帯の急峻度が1.0%、0.8%及び0.5%の場合について、制御開始時点での板幅方向温度分布ΔTmeasを伸びひずみ差Δεmeasに換算し、上記式(1)に基づき伸びひずみ差Δεmeasから急峻度λmeasを算出した。そして、制御開始から製品の平坦度基準である急峻度0.4%以下となるまでに要した時間(制御開始から完了までの時間)を算出した。かかる結果を図8に示す。図8においては、ワークロールに対して潤滑剤を供給した場合における制御開始から完了までの時間を1とし、無次元化して表している。
図8に示すように、いずれの急峻度λmeasにおいても、鋼帯の表面に直接潤滑剤を供給した方が、ワークロールに潤滑剤を供給した場合に比べて短時間で製品の平坦度基準を満たすことがわかる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、温度計は伸長ユニットの出側のみに設けたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、鋼帯の表面温度を測定する温度計は、伸長ユニットの入側にも設置されていてもよい。
1 テンションレベラ
10 巻戻し装置
20 入側ブライドルロール
30 潤滑剤供給装置
40 伸長ユニット
41、43、45、47 伸長ロール群
50 矯正ユニット
55 デフロール
60 ブロア
70 出側ブライドルロール
80 巻取り装置
90 温度計

Claims (6)

  1. テンションレベラを用いた金属帯の矯正方法であって、
    前記金属帯に対して伸びを付与する伸長ユニットの入側に設けられた潤滑剤供給装置により矯正前の前記金属帯の表面に対して潤滑剤を供給し、
    前記伸長ユニットの少なくとも出側に設けられた温度計を用いて、板幅方向における前記金属帯の表面温度を測定し、
    測定された前記金属帯の表面温度の板幅方向温度分布が低減するように前記テンションレベラを制御する、金属帯の矯正方法。
  2. 前記温度計を用いて測定された前記金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeasから換算された伸びひずみ差Δεmeasが、製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さくなるように、前記伸長ユニットへ供給される潤滑剤の供給量または前記金属帯の通板速度のうち少なくともいずれか一方を決定する、請求項1に記載の金属帯の矯正方法。
  3. 前記金属帯に発生する板幅方向の伸びひずみ差Δεmeasが製品の品質基準の伸びひずみ差Δεより小さくなる前記金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeas2を予め算出し、
    前記温度計を用いて測定された前記金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeasが前記金属帯の板幅方向温度分布ΔTmeas2となるように、前記伸長ユニットへ供給される潤滑剤の供給量または前記金属帯の通板速度のうち少なくともいずれか一方を決定する、請求項1に記載の金属帯の矯正方法。
  4. 前記伸長ユニットの入側には、潤滑剤を供給するノズルが板幅方向に複数配列されており、
    前記温度計を用いて測定された前記金属帯の板幅方向温度分布に基づき、前記金属帯の表面温度が相対的に高い領域に対応する前記ノズルの、前記潤滑剤の供給量を増加させる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属帯の矯正方法。
  5. 前記潤滑剤は前記金属帯に対して直接供給される、請求項2〜4のいずれか1項に記載の金属帯の矯正方法。
  6. 金属帯の矯正装置であって、
    前記金属帯に対して張力を付与する一対のブライドルロールと、
    前記一対のブライドルロールの間に設置され、前記金属帯に対して伸びを付与する伸長ユニットと、
    前記伸長ユニットの入側に設けられ、矯正前の前記金属帯の表面に対して潤滑剤を供給する潤滑剤供給装置と、
    前記伸長ユニットの少なくとも出側に設けられ、板幅方向における前記金属帯の表面温度を測定可能な温度計と、
    前記温度計により測定された前記金属帯の板幅方向温度分布に基づいて、前記矯正装置を制御する制御部と、
    を備える、金属帯の矯正装置。
JP2018001898A 2018-01-10 2018-01-10 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置 Active JP6927052B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018001898A JP6927052B2 (ja) 2018-01-10 2018-01-10 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018001898A JP6927052B2 (ja) 2018-01-10 2018-01-10 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019118943A JP2019118943A (ja) 2019-07-22
JP6927052B2 true JP6927052B2 (ja) 2021-08-25

Family

ID=67306660

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018001898A Active JP6927052B2 (ja) 2018-01-10 2018-01-10 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6927052B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019118943A (ja) 2019-07-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5811051B2 (ja) 金属板の冷間圧延方法及び金属板の製造方法
JP2008238241A (ja) アルミニウム金属板の製造方法
JP6927052B2 (ja) 金属帯の矯正方法及び金属帯の矯正装置
JP7311764B2 (ja) 冷間タンデム圧延設備及び冷間タンデム圧延方法
JP6922873B2 (ja) 調質圧延方法、調質圧延装置および鋼板の製造方法
JP2001334306A (ja) 熱延鋼帯の製造方法
JP2004283878A (ja) 残留応力のバラツキが少なく形状良好な鋼板を得るための矯正方法
JP6881670B2 (ja) 鋼板の圧延方法及び鋼板の製造方法
JP4525037B2 (ja) 鋼板のローラ矯正方法
JP6874794B2 (ja) 熱延鋼板の調質圧延方法
JP6680284B2 (ja) 圧延機のレベリング設定方法、圧延機のレベリング設定装置、及び鋼板の製造方法
JP3661434B2 (ja) 熱間圧延鋼板の制御冷却方法
JP6569691B2 (ja) 不等辺不等厚山形鋼の製造方法
JPH06254615A (ja) 形状の優れた厚鋼板の製造方法およびその装置
JP3326712B2 (ja) ローラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法
TWI766459B (zh) 冷軋鋼板的回火輥軋方法
JP2001137943A (ja) 金属板の平坦度制御方法及び装置
JP3848618B2 (ja) 冷間圧延工程における板幅制御方法
JP7424554B1 (ja) 金属帯の製造設備、金属帯の合否判定方法及び金属帯の製造方法
JP4849906B2 (ja) 熱間圧延における表面疵低減方法
JP4065251B2 (ja) 絞り疵発生を防止した熱間仕上圧延方法
JP4721855B2 (ja) 熱間圧延における表面疵低減方法
JPH06254616A (ja) 形状の優れた厚鋼板の冷却方法およびその装置
JP4846680B2 (ja) サーマルクラウン予測方法及びサーマルクラウン予測装置
JP2007021537A (ja) 金属帯の形状矯正方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190208

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20190419

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190422

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20190426

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200903

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210511

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210623

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210706

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210719

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6927052

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151