JP4846680B2 - サーマルクラウン予測方法及びサーマルクラウン予測装置 - Google Patents
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また、ワークロールが被圧延材と接触する部分の周方向の長さである接触弧長と、ワークロールの周速とにより、熱間圧延におけるワークロールのサーマルクラウンを予測するに際し、被圧延材を圧延する際の圧延荷重もその予測に反映させる技術もあった(特許文献2を参照)。
逆に、ワークロールのサーマルクラウンが予測値に比べて小さい場合、被圧延材はその板幅端部が予測よりも大目に薄く伸ばされる。よって、板形状が耳波形状となり、その程度によっては後工程において通板速度が減速したり、不良部を除去する工程が必要になったりする等の影響を来たす。
図1は、熱間圧延設備の概略構成の一例を示した図である。
図1において、熱間圧延設備1は、加熱炉2と、粗圧延機3と、仕上げ圧延機4と、ランアウトテーブル5と、ストリップシャー6と、コイル巻き取り装置7と、HMD(Hot Metal Detector)8と、圧延制御装置9とを有している。
粗圧延機3は、加熱炉2により加熱され、熱間圧延ラインに供給されたスラブ10を粗圧延し、被圧延材であるシートバー11を形成するためのものである。尚、粗圧延機3には、シートバー11の表面に高圧水を吹きつけて、その表面に形成されているスケールを除去するデスケーリング装置が設けられている。
HMD8は、仕上げ圧延機4に搬送されるシートバー11を検知するためのものである。
尚、圧延スタンドF1、F2は、シートバー11を仕上げ圧延するためのワークロールWR1〜WR4と、上記ワークロールWR1〜WR4を支持するバックアップロールBR1〜BR4とを有する4段圧延機である。
また、仕上げ圧延機4のワークロールWR1〜WR14に近接する位置には、ワークロールWR1〜WR14を冷却する冷却スプレーが設けられている。
コイル巻き取り装置7は、一般にコイラーと称されるものであり、ランアウトテーブル5により冷却されたストリップ12を巻き取るためのものである。尚、本実施形態では、2台のコイル巻き取り装置7a、7bによってストリップ12を交互に巻き取るようにしている。
ストリップシャー6は、コイル巻き取り装置7に所定の長さのストリップ12が巻き取られたときに、ストリップ12を切断するためのものである。
以上が熱間圧延設備1の概略構成であるが、図1に示した熱間圧延設備1は、ワークロールのサーマルクラウンを制御するための設備の一例を示したものに過ぎない。したがって、熱間圧延設備1は、図1に示したものに限定されない。尚、本実施形態では、被圧延材であるシートバー11が接触することにより生じるワークロールWR1〜WR14の熱膨張量を、サーマルクラウン(サーマルクラウン量)として予測する場合を例に挙げて説明する。
サーマルクラウン量計算部23は、圧延状態判定部21における判定結果と、次材検知部22における判定結果とに基づいて、ワークロールWR1〜WR14におけるサーマルクラウン量を計算(予測)する。本実施形態では、サーマルクラウン量計算部23は、以下の(1)式を用いて、サーマルクラウン量uを計算する。
u=[(θm1−θ0)β1r1 2+(θm2−θ0)β2(R−r1 2)]/R ・・・(1)
ここで、θm1、θm2は、夫々芯材31、外層材32の平均温度である。θ0は、ワークロールWR1〜WR14の初期温度である。β1、β2は、夫々芯材31、外層材32の熱膨張率である。r1は、芯材31の半径である。Rは、ワークロールWR1〜WR14の半径である。
θ=θ1(rc) (0≦rc<r1) ・・・(2)
θ=θ2(rc) (r1≦rc≦R) ・・・(3)
(1)式における芯材31、外層材32の平均温度θm1、θm2は、以下の(2)式及び(3)式で得られた温度分布θ1(rc)、θ2(rc)を用いて、以下の(4)式及び(5)式により求めることができる。
サーマルクラウン量計算部23は、シートバー11の圧延が開始されると、そのシートバー11の圧延が終了するタイミング(時刻t2)でのサーマルクラウン量u1を、(1)式等を用いて算出する。更に、サーマルクラウン量計算部23は、シートバー11の圧延が終了するタイミング(時刻t2)から次のシートバー11の圧延が開始するタイミング(時刻t3)までの期間(アイドルタイム)におけるサーマルクラウン量u2を(1)式等を用いて、所定又は任意の時間毎に複数算出する。本実施形態では、15[sec]毎にアイドルタイムにおけるサーマルクラウン量u2を算出するようにしている。このとき、サーマルクラウン量計算部23は、例えば、シートバー11の圧延開始時の物性値を使用して、サーマルクラウン量u1、u2を算出することができる。
尚、圧延実績とは、例えば、圧延時間、ロールの周速(回転速度)、板温度、ワークロールの冷却状態等の実績データをいう。
前述したように、次のシートバー11に対する圧延設定を行うタイミングになったときに、先行するシートバー11の圧延実績が取得されている場合には、先行するシートバー11の圧延が終了した時点での圧延実績を基に算出されたサーマルクラウン量u1、u2を用いて、次のシートバー11に対する圧延設定を行い(図5(a)を参照)、次のシートバー11に対する圧延設定を行うタイミングになったときに、先行するシートバー11の圧延実績が取得されていない場合には、先行するシートバー11の圧延開始時に算出されたサーマルクラウン量u1、u2を用いて、次のシートバー11に対する圧延設定を行う(図5(b)を参照)。
まず、圧延設定計算部25は、先行するシートバー11が仕上げ圧延機4から抜けた時刻と、次のシートバー11がHMD8を通過した時刻と、HMD8から仕上げ圧延機4までのシートバー11の搬送時間とに基づいて、先行するシートバー11の圧延終了タイミングと、次のシートバー11の圧延開始タイミングとの間隔(アイドルタイム)を算出する。そして、算出したアイドルタイムに対応付けられて、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されているサーマルクラウン量uを読み出す。尚、算出したアイドルタイムに対応付けられたサーマルクラウン量uが、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されていない場合、圧延設定計算部25は、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されている複数のサーマルクラウン量u1、u2を用いて補間処理を行うことにより、アイドルタイムに対応するサーマルクラウン量uを算出する。
まず、ステップS1において、圧延状態判定部21は、仕上げ圧延機4からの信号に基づいて、シートバー11の圧延が開始されたか否か(シートバー11の先端がワークロールWRに噛み込まれたか否か)を判定する。この判定の結果、シートバー11の圧延が開示されていない場合には、後述するステップS6に進む。
次に、ステップS4において、圧延制御指示部27は、圧延設定記憶部26に記憶されている圧延設定(例えば、仕上げ圧延機4の圧下量と、クラウン・形状制御アクチュエータの制御量)とを読み出す。尚、最初のシートバー11については、先行するシートバー11がないので、圧延設定が圧延設定記憶部26に記憶されていない。この場合、圧延制御指示部27は、例えば、予め定められた圧延設定の初期値を圧延設定記憶部26から読み出す。また、最初のシートバー11以降のシートバー11についての圧延設定は、後述するステップS13で得られるものである。
次に、ステップS5において、圧延制御指示部27は、ステップS4で読み出した圧延設定に関わる制御信号を仕上げ圧延機4に送信する。仕上げ圧延機4は、この制御信号に従って、次のシートバー11を圧延する。このように本実施形態では、ステップS4、S5の処理を行うことにより、制御手段(ステップ)が実現される。
一方、次のシートバー11に対する圧延設定を開始するタイミングである場合には、ステップS8に進む。ステップS8に進むと、圧延状態判定部21は、シートバー11の圧延が終了し、そのシートバー11の圧延実績が取得されたか否かを判定する。
以上のように本実施形態では、ステップS7、S8の処理を行うことによって、判定手段(ステップ)が実現される。
次に、ステップS12において、圧延設定計算部25は、先行するシートバー11の圧延終了タイミングと、次のシートバー11の圧延開始タイミングとの間隔(アイドルタイム)を算出する。そして、算出したアイドルタイムに対応付けられて、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されているサーマルクラウン量u(すなわち、次のシートバー11の圧延開始タイミングにおけるサーマルクラウン量u)を読み出す。このときに読み出すサーマルクラウン量uは、ステップS11で記憶されたサーマルクラウン量u1、u2である。尚、前述したように、算出したアイドルタイムに対応付けられたサーマルクラウン量uが、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されていない場合、圧延設定計算部25は、補間処理を行うことにより、アイドルタイムに対応するサーマルクラウン量uを算出する。そして、圧延設定計算部25は、サーマルクラウン量記憶部24に記憶されている可変データ(サーマルクラウン量u1、u2及び時間)を消去して、ステップS13に進む。以上のように本実施形態では、ステップS10〜12の処理を行うことによって、導出手段(ステップ)が実現される。また、ステップS12の処理を行うことによって、第2の計算手段(ステップ)が実現される。
図7から明らかなように、本実施形態のように、シートバー11の圧延開始時に、そのシートバー11と次のシートバー11とのアイドルタイムにおけるサーマルクラウン量uを計算し、計算したサーマルクラウン量uを利用することにより、アイドルタイムにおけるサーマルクラウン量を高精度に予測することができることが分かる。
図8に示すように、本実施形態のようにしてサーマルクラウン量を予測して圧延制御を行うことにより、板厚を高精度に制御できることが分かる。
また、次のシートバー11に対する圧延設定を行わなければならない時刻になっても、先行するシートバー11の圧延実績が取得されない場合に、先行するシートバー11の圧延開始時に算出した"アイドルタイムにおけるサーマルクラウン量"を用いて、次のシートバー11の圧延開始時のサーマルクラウン量を予測するようにしていれば、必ずしも前述したようにして動作を行う必要はない。
また、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
4 仕上げ圧延機
8 HMD
9 圧延制御装置
11 シートバー
12 ストリップ
WR ワークロール
Claims (8)
- 被圧延材を圧延するためのロールのサーマルクラウンを予測するサーマルクラウン予測方法であって、
前記被圧延材の圧延開始時に、当該被圧延材の圧延終了後のサーマルクラウンを、所定又は任意の時間毎に計算する計算ステップと、
前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得されたか否かを判定する判定ステップと、
前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得されていない場合には、前記計算ステップにより計算されたサーマルクラウンに基づいて、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延開始時におけるサーマルクラウンを導出する導出ステップと、を有することを特徴とするサーマルクラウン予測方法。 - 前記導出ステップは、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得された場合には、当該圧延実績を用いて、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延開始時におけるサーマルクラウンを導出することを特徴とする請求項1に記載のサーマルクラウン予測方法。
- 前記被圧延材の圧延が終了してから、当該被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延が開始されるまでの時間を計算する第2の計算ステップを有し、
前記導出ステップは、前記第2の計算ステップにより計算された時間に対応するサーマルクラウンを、前記計算ステップにより計算されたサーマルクラウンに基づいて導出することを特徴とする請求項1又は2に記載のサーマルクラウン予測方法。 - 前記導出ステップにより導出されたサーマルクラウンに基づいて、前記被圧延材を圧延するための圧延機を制御する制御ステップを有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のサーマルクラウン予測方法。
- 被圧延材を圧延するためのロールのサーマルクラウンを予測するサーマルクラウン予測装置であって、
前記被圧延材の圧延開始時に、当該被圧延材の圧延終了後のサーマルクラウンを、所定又は任意の時間毎に計算する計算手段と、
前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得されたか否かを判定する判定手段と、
前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得されていない場合には、前記計算手段により計算されたサーマルクラウンに基づいて、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延開始時におけるサーマルクラウンを導出する導出手段と、を有することを特徴とするサーマルクラウン予測装置。 - 前記導出手段は、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材に対する圧延機の設定を行う時刻に、前記被圧延材の圧延実績が取得された場合には、当該圧延実績を用いて、前記被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延開始時におけるサーマルクラウンを導出することを特徴とする請求項5に記載のサーマルクラウン予測装置。
- 前記被圧延材の圧延が終了してから、当該被圧延材の次に圧延される被圧延材の圧延が開始されるまでの時間を計算する第2の計算手段を有し、
前記導出手段は、前記第2の計算手段により計算された時間に対応するサーマルクラウンを、前記計算手段により計算されたサーマルクラウンに基づいて導出することを特徴とする請求項5又は6に記載のサーマルクラウン予測装置。 - 前記導出手段により導出されたサーマルクラウンに基づいて、前記被圧延材を圧延するための圧延機を制御する制御手段を有することを特徴とする請求項5〜7の何れか1項に記載のサーマルクラウン予測装置。
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