JP4849906B2 - 熱間圧延における表面疵低減方法 - Google Patents
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Description
したがって、特許文献1で提案された方法で圧延すると、スラブ端部では顕著な表面疵低減効果がみられたが、スラブ中央部に表面疵が発生する場合があった。
エッジング圧延によりドッグボ−ンを形成する場合には、エッジング圧延における幅圧下量とエッジング圧延後、すなわち粗圧延第1パス前における幅方向のスラブ厚分布の関係が定量的に明らかにされていないため、粗圧延第1パスにおけるスラブ幅方向の圧下率分布を目標通りにできず、スラブ端部またはスラブ中央部に表面疵が発生する場合があった。スラブのエッジ部が幅中央部の厚みよりも厚くなるように研削する方法により粗圧延第1パスにおけるスラブ幅方向の圧下率分布を変更する場合でも、幅調整を目的としてエッジング圧延を行なうと、粗圧延第1パス前における幅方向のスラブ厚分布が変化するため、粗圧延第1パスにおけるスラブ幅方向の圧下率分布を目標通りにできず、スラブ端部またはスラブ中央部に表面疵が発生する場合があった。
この際、鋼種及び温度毎に予め鋼板の表面割れ発生限界応力を明らかにしておくとともに、スラブ表層部に発生する圧延方向引張応力の幅方向分布を算出し、算出した圧延方向引張応力の最大値が前記表面割れ発生限界応力よりも小さくなるように、粗圧延第1パス前の前記エッジ部の平均スラブ厚heと前記幅中央部の平均スラブ厚hcの比he/hcの目標値を設定することが好ましい。
本発明者等は、熱間圧延時に発生する表面疵の発生状況について綿密に調査した。その結果、表面疵の発生がスラブの両端からスラブ幅の1/9の区間に集中し、スラブエッジに近くなるほど多くなることが判明した。
そして、表面疵の発生原因がスラブ表層部に発生する圧延方向の引張応力であると考え、3次元剛塑性有限要素法によりスラブ表層部の圧延方向応力の解析を行い、以下の知見を得た。
なお、添付した図中に記載の「圧延方向応力」及び「真応力」はいずれも引張応力を示している。
なお、図1を含め、本明細書に添付した図面の記載は、いずれも幅1050mmのスラブを粗圧延したときに得られたデータを基に作成されたものである。
そこで、本発明者等は、前述した3次元剛塑性有限要素法により、この圧下率分布の検討を行った。その結果、スラブ端部における圧下率を大きくする範囲を変更した場合、スラブ端部の引張応力,スラブ中央部の引張応力が変化することがわかった。
したがって、圧下率を大きくする範囲としては、前記特許文献1で規定している両端からスラブ幅の1/6までの区間では広すぎ、圧下率が均一な場合に表層部において引張応力が大きくなる両端からスラブ幅の1/9までの区間、すなわち本発明で定義したエッジ部が適当であることが判明したものである。
図7に示す結果から明らかなように、引張応力低減の効果は、圧下率比re/rcでほぼ決まる。図中、□で示すように、圧下率比re/rcが大きくなるほど、スラブ端部の引張応力は減少するが、スラブ中央部の引張応力が増加する傾向となる。
粗圧延第1パスにおけるスラブ幅方向の圧下率を変更する方法としては、スラブのエッジ部が幅中央部の厚みよりも厚くなるように研削する方法や、エッジング圧延によりドッグボーンを形成する方法等がある。また、研削とドッグボーンを組み合わせることも可能である。
そこで、本発明者等は前述した3次元剛塑性有限要素法により、エッジング圧延における幅圧下量とエッジング圧延後における幅方向のスラブ厚分布の関係を検討した。まず、エッジング圧延前のスラブ形状がフラットな場合について解析した結果、図8に示すように、エッジング圧延における幅圧下量が増加するとともにドッグボ−ン量が増加するという解析結果が得られた。そして、エッジング圧延後におけるエッジ部の平均スラブ厚heと幅中央部の平均スラブ厚hcの比he/hcとエッジング圧延における幅圧下量Δwとの関係で整理してみると、図9に示すように両者が線形関係にあることが判明した。
he/hc=he’/hc’+α・Δw (1)
ここで、影響係数αはスラブ厚及びスラブ幅によって定められる定数であり、3次元剛塑性有限要素法によるシミュレーションから求められ、スラブ厚及びスラブ幅の各区分毎にテーブル設定し、或いはスラブ厚及びスラブ幅の関数として数式化される。
まず、高温引張試験により粗圧延の第1パスの圧延温度約1100℃における表面割れ発生限界応力を測定した結果、図12に示すように約100MPaであった。
従来法1による一様な圧下率分布の場合には、スラブ端部で引張応力が大きくなり、幅100mm以上にわたって表面割れ発生限界応力よりも大きくなっている。また、従来法2によるエッジング圧延による幅圧下量が5mmと不足し、粗圧延第1パスの圧下率比re/rc=1.32を満足しない場合には、従来法1に比較したらスラブ端部の引張応力は小さくなっているが、幅約50mmにわたって表面割れ発生限界応力よりも大きくなっている。
図15に、従来法1,従来法2及び本発明法による表面疵の発生頻度の幅方向分布を示す。エッジング圧延の幅圧下量が適正化されていない従来法2は、エッジング圧延を行なわない従来法1に比べてスラブ端部の表面疵発生頻度は減少するが、依然として高い。これに対して、本発明法を適用した場合には、スラブ端部の表面疵発生頻度が激減するとともに、スラブ中央部の表面疵発生頻度の増加もみられない。
Claims (2)
- 熱間圧延により鋼板を製造するに際し、粗圧延第1パス前のスラブの幅方向における両端から当該スラブ幅の1/9以内の区間(以下エッジ部と称する)の平均スラブ厚heと前記エッジ部より幅中央寄りの区間(以下幅中央部と称する)の平均スラブ厚hcの比he/hcと粗圧延第1パス前のエッジング圧延における幅圧下量との関係を表す数式モデルを予め作成し、前記スラブ厚比he/hcが目標値となるように幅圧下量を設定することを特徴とする熱間圧延における表面疵低減方法。
- 鋼種及び温度毎に予め鋼板の表面割れ発生限界応力を明らかにしておくとともに、スラブ表層部に発生する圧延方向引張応力の幅方向分布を算出し、算出した圧延方向引張応力の最大値が前記表面割れ発生限界応力よりも小さくなるように、粗圧延第1パス前の前記エッジ部の平均スラブ厚heと前記幅中央部の平均スラブ厚hcの比he/hcの目標値を設定することを特徴とする請求項1記載の熱間圧延における表面疵低減方法。
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