JP3326712B2 - ローラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法 - Google Patents

ローラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法

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JP3326712B2
JP3326712B2 JP28367195A JP28367195A JP3326712B2 JP 3326712 B2 JP3326712 B2 JP 3326712B2 JP 28367195 A JP28367195 A JP 28367195A JP 28367195 A JP28367195 A JP 28367195A JP 3326712 B2 JP3326712 B2 JP 3326712B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数の上側ロール
及び複数の下側ロールを千鳥状に配置し構成されるロー
ラレベラの上側ロールと下側ロールとの間を金属板材を
通過させ、これによって、該金属板材の形状を矯正する
ようにしたローラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯
正方法に係り、特に、熱間形状矯正に比べて形状矯正効
果が低い傾向がある、冷間形状矯正の形状矯正効果をよ
り向上させ、ローラレベラのロール径やロールピッチ等
の形状矯正工程に求められる条件を軽減して、これによ
って例えば、設備投資を削減したり、あるいは、形状矯
正に必要となる時間を短縮したり等することができるロ
ーラレベラを用いる金属板材の形状矯正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】厚鋼板の熱間圧延過程で生じてしまう歪
み形状には、主としてストリップの先端や後端に生じて
しまうそりや、小波及び耳伸び又腹伸び等の薄物材部分
歪みなどが挙げられる。熱間圧延で生じてしまったこの
ような歪みは、後工程の熱間矯正機、一般にはローラレ
ベラで矯正され、平坦な鋼板とされる。又、このような
矯正の後、冷却床で常温近傍まで冷却される。
【0003】大半の鋼板は、熱間形状矯正により平坦と
なり、その後の切断工程やショット塗装工程及び熱処理
工程等を経て製品として出荷される。しかしながら、熱
間圧延され熱間形状矯正された鋼板については、形状の
歪みが見出されて再矯正工程へ送られる。この形状の歪
みは、例えば、熱間形状矯正機の能力不足や、何らかの
外的要因による矯正後の歪みの再発が原因となる。特
に、薄物材については、熱間形状矯正で一度平坦にされ
ても、冷却床での冷却過程で温度むらが生じて部分歪み
が再発する頻度が高い。
【0004】このように形状の歪みが発生してしまう
と、再矯正工程を行う必要がある。この再矯正工程に
は、冷却形状矯正と称するものや、保熱矯正と称するも
の等がある。
【0005】冷却形状矯正は、形状を矯正する金属板材
を加熱することなくそのまま冷間で形状矯正するもので
あるため、このように非加熱という点で作業負荷は小さ
い。しかしながら、形状矯正効果が低い傾向がある。
【0006】このため、冷間形状矯正にて平坦にならな
い場合には、600°C〜700°Cに再加熱してから
形状矯正するという、保熱矯正を行う。この保熱矯正
は、金属板材を加熱する分、形状矯正効果が高いが、作
業負荷が大変大きくなる。このため、可能な限り冷間形
状矯正で金属板材を完全に平坦にすることが非常に望ま
しいものとなる。
【0007】例えばこの保熱矯正として、特開昭62−
72430では、厚鋼板の圧延ラインにおいて、矯正機
の入側に鋼板全幅に亘って加熱し得る誘導加熱装置を配
置することで、矯正力を小さくし、矯正設備を簡素化
し、加熱装置も簡便なものを使用し、均一な加熱・矯正
を得るという技術が開示されている。
【0008】又、特開平2−99212では、圧延機出
口側において、圧延材の板幅方向板厚分布偏差を計測し
て該圧延材の板形状を求め、この板形状と予め設定され
た圧延材の目標板形状とを比較し、形状不良部を判定
し、この形状不良部にレーザを当てて加熱し、その後、
冷却して該形状不良部を矯正するという技術が開示され
ている。形状不良部にレーザが照射されると、この不良
部だけが加熱されて圧延方向に伸縮自在となる。この特
開平2−99212では、このように形状不良部を伸縮
自在とすることで、不自然な内部圧縮応力や引張り応力
を解消することができ、加熱された形状不良部が再び冷
却された時点では形状不良部が平坦になるとされてい
る。
【0009】ここで、前述の作業負荷が比較的小さな冷
間形状矯正では、ローラレベラを用いるのが一般的であ
る。又、金属板材が厚物材から薄物材まで対応する必要
がある場合、ロール径やロールピッチが大きな高荷重型
のローラレベラを用いるのが一般的である。しかしなが
ら、このようにロール径やロールピッチが大きなローラ
レベラを用いると、薄物材の部分歪み矯正では形状矯正
効果が小さくなってしまう。このため、厚物材から薄物
材まで対応する場合に、大ロール径及び大ロールピッチ
のローラレベラを備えるとともに、更に、小ロール径及
び小ロールピッチのローラレベラを備え、かつ、ロール
ベンディング機能を備えた多機能ローラレベラも用いら
れており、かなり高い形状矯正効果を発揮している例も
ある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、まず前
述のように、従来から、冷間形状矯正における形状矯正
効果は比較的小さいことが知られている。例えば、冷間
形状矯正は、熱間形状矯正や前述の保熱矯正等と比べ
て、形状矯正効果が小さいという問題がある。
【0011】一方、前述の保熱矯正では、金属板材全体
を再び加熱する必要があるため、前述のように作業負荷
が小さくなってしまうという問題がある。
【0012】又、冷間形状矯正において厚物材から薄物
材まで対応できる前述の大規模な多機能レベラでは、当
然ながら設備費が増大してしまう等の問題を生じてしま
う。又、このような多機能レベラを導入するためには現
状のレベラを完全にリプレースする必要があるため、こ
の面でも、膨大な投資が必要になっしまうという問題が
ある。
【0013】なお、前述の特開平2−99212では、
形状不良部にレーザを当てて加熱することで形状矯正を
行うとしているが、再加熱する範囲が限定されるため、
作業負荷はより抑えられるが、このように不均一に加熱
されたものが冷却された後に平坦となるとされているこ
とには疑問がある。
【0014】本発明は、前記従来の問題点を解決するべ
くなされたもので、熱間形状矯正に比べて形状矯正効果
が低い傾向がある、冷間形状矯正の形状矯正効果をより
向上させ、ローラレベラのロール径やロールピッチ等の
形状矯正工程に求められる条件を軽減して、これによっ
て例えば、設備投資を削減したり、あるいは、形状矯正
に必要となる時間を短縮したり等することができるロー
ラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法を提供す
ることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、複数の上側ロ
ール及び複数の下側ロールを千鳥状に配置し構成される
ローラレベラの上側ロールと下側ロールとの間金属板
材を通過させ、これによって、該金属板材の形状を矯正
するようにしたローラレベラを用いる金属板材の冷間形
状矯正方法において、金属板材の板厚方向に直交する
方向の圧縮部分、及び引張り部分の少なくとも一方の
位置を把握し、把握された圧縮部分及び引張り部分の少
なくとも一方の位置を、加熱もしくは冷却して圧縮部分
引張り部分の間温度差を生じさせ、該温度差によ
る熱歪みにより該金属板材の歪みを増加させた後該金
属板材をローラレベラの上側ロールと下側ロールとの間
を通過させて矯正することにより、前記課題を解決した
ものである。
【0016】又、前記ローラレベラを用いる金属板材の
冷間形状矯正方法において、形状矯正しようとする金属
板材の歪みの量を測定し、測定された前記金属板材歪み
量に前記圧縮部分と引張り部分との温度差による熱歪み
量を加えた合成歪みをローラレベラによって形状矯正し
た後であり、かつ、該温度差による熱歪みを除去した後
における形状矯正後歪み量を予測し、該形状矯正後歪み
量がゼロないし所定範囲内となるような前記熱歪み量
与える前記温度差を計算し、前記金属板材の熱膨張率が
プラスの場合、計算された前記温度差となるように、ロ
ーラレベラの前方にて、前記圧縮部分を部分的に加熱
るか、もしくは前記引張り部分を部分的に冷却し、一
方、前記金属板材の熱膨張率がマイナスの場合、計算さ
れた前記温度差となるように、ローラレベラの前方に
て、前記引張り部分を部分的に加熱するか、もしくは前
記圧縮部分を部分的に冷却することにより、前記課題を
解決するとともに、金属板材の温度が全体的に均一にな
った後の、形状がより確実に平坦になるようにしたもの
である。
【0017】以下、本発明の基本的な作用を簡単に説明
する。
【0018】まず、図1は、腹伸びとなっている金属板
材(ストリップ)を示す斜視図である。
【0019】この図1において、又後述する図2〜図8
において、Wは金属板材の幅方向を示し、Lは金属板材
の長手方向を示し、Dは金属板材の板厚方向を示す。
又、WEA及びWEBは板幅での端部を示し、WCは板
幅での中央部を示す。
【0020】この図1においては、金属板材が腹伸び状
態となっており、板幅の中央部WC付近において、符号
B1〜B3に示される如く弛み部分が生じている。この
弛み部分は周囲に比べて板厚方向に直交する方向の伸び
の度合が大きくなっているため、圧縮の応力が働いてい
る(圧縮部分)。
【0021】図2は、腹伸び状態となった図1に示した
金属板材の各部の伸び度合を示すモデル図である。この
図2において、左右方向に長い細分化された板材の長さ
は、伸び度合を表す。この図2に示される如く、端部W
EAやWEBに比べ、中央部WCでの伸び度合が大きく
なっている(腹伸び状態)。
【0022】図3は、図1に示した腹伸び状態の金属板
材の圧縮及び引張りの状態を示すモデル図である。この
図3において、符号Bを基準として示される、端部WE
Aから中央部WCを含め端部WEBまでの斜線部は、左
側となると圧縮が増大すること(圧縮状態)を示し、右
側となると引張りが増大すること(引張り状態)を示
す。この図3に示される如く、端部WEAやWEB又こ
の近傍では、金属板材内部の応力が引張り状態となって
いる。一方、中央部WCでは、金属板材の内部の応力が
圧縮状態となっている。
【0023】次に、図4及び図5は、部分歪み材となっ
ている金属板材が、ローラレベラのローラで形状矯正さ
れる様子を示すモデル図である。特に、図4は、内部応
力が引張り状態の場合であり、図5は、内部応力が圧縮
状態の場合である。
【0024】まず、図4のように引張り状態の場合、即
ち例えば図1〜図3の端部WEAやWEBの引張り状態
の場合、ローラレベラのローラにて金属板材が円弧状に
変形されると、外側の金属板材表面SAの引張り状態に
ある内部応力は更に強い引張り状態となり、塑性変形さ
れ、結果として部分歪みが矯正される。
【0025】一方、図5に示されるように内部応力が圧
縮状態にある場合、即ち例えば図1〜図3の中央部WC
の場合、ローラレベラのローラにて円弧状に変形される
と、金属板材の裏面SBの圧縮状態の内部応力は更に増
加され、塑性変形され、結果として部分歪みが矯正され
る。
【0026】次に、図6は、耳伸び状態にある金属板材
(ストリップ)の斜視図である。
【0027】この図6において、板幅での中央部WCに
比べ端部WEA及びWEBでは、板厚方向に直交する方
向、特に符号Lで示される長手方向の伸びの度合が大き
くなっている。このため、この図6の符号C1〜C4に
示される如く、金属板材には弛み部分がある。この弛み
部分は他の部分に比べて伸びの度合が大きくなっている
ため、内部応力は圧縮状態となる(圧縮部分)。
【0028】図7は、図6に示した耳伸び状態の金属板
材の各部の伸び度合を示すモデル図である。この図7で
は、前述した図2と同様、細分化された板材の左右方向
の長さが長い程、板幅方向のその位置における伸び度合
が大きくなっていることを示す。この図7では、板幅の
中央部WCに比べて端部WEAやWEBの伸びの度合が
より大きくなっている。
【0029】図8は、前述の図6の耳伸び状態にある金
属板材の内部応力の圧縮状態や引張り状態を示すモデル
図である。この図8では、前述の図4と同様、板幅方向
の端部WEAから中央部WC更には端部WEBまでの各
部における、内部応力の圧縮状態あるいは引張り状態が
示される。符号Bの位置を基準として、斜線部分の高さ
がより左側になるほど内部応力の圧縮状態が大きくな
り、斜線部分の高さが右側になる程内部応力の引張り状
態は強くなる。この図8に示される如く、耳伸び状態の
金属板材では、板幅の中央WCでは内部応力が引張り状
態であり、端部WEA及びWEBでは内部応力は圧縮状
態である。
【0030】これら図6〜図8に示されるこのような耳
伸び状態についても、図4や図5を用いて前述したよう
に、ローラレベラのローラによる曲げ応力により生じる
塑性変形によって、部分歪みが矯正される。例えば内部
応力が引張り状態にある板幅の中央部WCは図4に示さ
れるようにローラレベラのローラにて形状矯正される。
又、内部応力が圧縮状態にある、板幅の端部WEAやW
EBについては、図5に示されるようにローラレベラの
ローラにて曲げ応力を作用させて塑性変形されること
で、結果として部分歪みが矯正される。
【0031】ここで、図1〜図3に示した腹伸び状態に
ある金属板材において、又図6〜図8に示した耳伸び状
態にある金属板材において、ローラレベラの1つのロー
ルの曲げ作用での歪み低減量Δεは、概略次式のように
表すことができる。ここで、次式において、ε1 はこの
ような形状矯正の前の歪み量である。αは、部分歪み拘
束度であり、ローラで部分歪みを抑えたときどの程度内
部応力が発生するかを示す係数である。又、ηは、塑性
変形率であり、金属板材を曲げた時の板厚方向の塑性変
形の度合を示す係数である。
【0032】 Δε=αε1 /(2−η) …(1)
【0033】上記(1)式を用い、ローラレベラにおけ
るn本目のロール曲げ形状矯正の後の歪み量εn は、次
式のように表すことができる。ここで、次式において、
ε0は、当該ローラレベラでの形状矯正前の初期の歪み
量を示す。又、Σは歪み低減量Δεi を、Δε1 からΔ
εn まで総和すること、即ち、n本のロールについて総
和することを示す。Δεi は、ローラレベラの第i番目
の1本のロール曲げでの歪み低減量を示す。
【0034】 εn =ε0 −ΣΔεi …(2)
【0035】ここで、前記(1)式に示される歪み低減
量Δεは、形状矯正前の歪み量ε1が大きいほど大きく
なる。従って、前記(2)式に示されるn本のロールに
よるロール曲げ形状矯正後の歪み量εn と初期歪み量ε
0 との格差、即ち総合的な歪み低減量についても、n本
のローラを有する当該ローラレベラ前の初期歪み量ε 0
が大きいほど大きくなることが分かる。
【0036】次に、金属板材を部分的に加熱あるいは冷
却することで温度差を生じさせ、該温度差による熱歪み
を加える場合を考える。特に、形状矯正しようとする金
属板材の歪みを増大させるように、意図的に加熱あるい
は冷却して熱歪みを加える場合を考える。
【0037】このとき、線膨脹係数をβとし、部分的な
加熱あるいは冷却によって生じる温度差をΔTとする
と、このような部分的な加熱や温度差によって生じる熱
歪み量はβΔTと表すことができる。又、この熱歪み
は、本発明では特に、形状矯正しようとする歪みの量ε
0 を増加させる方向とされているため、総合的な歪み量
は(ε0 +βΔT)となる。
【0038】従って、このような熱歪みを加えた状態で
形状矯正を行う場合は、n本のロールによるロール曲げ
形状矯正の後の歪み量εn ’は、前記(2)式に基づい
て次式のように表すことができる。ここで、次式におい
て、Δεi ’は、ローラレベラの第i番目の1本のロー
ル曲げでの歪み低減量を示す。又、Σは、ローラレベラ
のn本のロールにおいて、歪み低減量Δεi ’につい
て、歪み低減量Δε1 ’から歪み低減量Δεn ’までの
総和を示す。
【0039】 εn ’=ε0 +βΔT−ΣΔεi ’ …(3)
【0040】ここで、上記(3)式は、前述のような熱
歪みを生じさせる加熱あるいは冷却をさせた状態のまま
での、ローラレベラによる形状矯正後の歪み量εn ’が
示される。ここで、このように形状矯正された金属板材
の温度が、均一になった後の歪み量εn´´ は、前記
(2)式及び前記(3)式に基づき、次式のように表す
ことができる。
【0041】 εn´´=εn ’−βΔT =ε0 +βΔT−ΣΔεi ’−βΔT =ε0 −ΣΔεi ’ …(4)
【0042】ここで、注目すべき点として、前述したよ
うにローラレベラのローラによる形状矯正の歪み低減量
は、初期の歪みが大きいほど大きくなる。このような前
提で前記(2)式中の(ΣΔεi )と、本発明を適用し
て部分的な加熱や冷却を行った後の前記(4)式中の
(ΣΔεi ’)とを比較すると、〔(ΣΔεi ’)>
(ΣΔεi )〕であることが分かる。これは、先に述べ
たように、本発明を適用して、部分的な加熱や冷却を行
って熱歪みを加え、この熱歪みの分だけローラレベラの
ローラによる形状矯正前の歪みを大きくしているため、
該歪みが大きい分だけ歪み低減量が大きくなるためであ
る。このように、本発明においては、部分的な加熱や冷
却を行って熱歪みを加えることで、形状矯正における歪
み低減量を効果的に増加させることができ、例えば、こ
のような本発明の熱歪みを加えない従来のものに比べて
形状矯正の効果を増大することができる。従って、本発
明によれば、熱間形状矯正に比べて形状矯正効果が低い
傾向がある、冷間形状矯正の形状矯正効果をより向上さ
せ、ローラレベラのロール径やロールピッチ等の形状矯
正工程に求められる条件を軽減して、これによって例え
ば、設備投資を削減したり、あるいは、形状矯正に必要
となる時間を短縮したり等することができるという優れ
た効果を得ることができる。
【0043】なお、特開昭54−142166では、幅
方向の降伏点分布が不均一な形状不良ストリップをテン
ションレベラで矯正する方法において、テンションレベ
ラ入側で、ストリップの幅方向温度分布を任意に調整す
ることによってストリップの降伏点分布を変え、その後
補正するという技術が開示されている。該技術は、スト
リップを板幅方向に局部的に加熱する点で本発明と類似
しているが、考え方や具体的な加熱方法が本発明と全く
異なる。該技術では、あくまで熱間形状矯正を対象とし
ており、局部的に加熱する目的はストリップの材料特性
を変化させることにある。又、該技術では、その表1に
示されるように中伸びとなっていたストリップについて
は端部を加熱するようにしている(本発明ではこの場合
中央部を加熱)。このような点で本発明とは全く異な
り、形状矯正効果が比較的低い本発明が対象とする冷間
形状矯正に適用することはできない。加熱することによ
って材料特性が変化するのは、あくまで熱間の状態だけ
であると考える。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、図を用いて本発明の実施の
形態を詳細に説明する。
【0045】図9は、本発明が適用された実施形態のロ
ーラレベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法を行う
ための一連の装置の構成を示す斜視図である。
【0046】この図9においては、鋼板1は、矢印M1
で示されるごとく右方から左方へと走行する。この鋼板
1は、部分歪みを伴ったものであり、この図9中では耳
伸び状態の部分歪みとなっている。又、この鋼板1は、
平坦度検出装置14、1対の加熱用ヒータ13、及び、
合計4本の上側ロール11及び合計5本の下側ロール1
2で構成されるローラレベラを、この順に通過する。
【0047】まず、平坦度検出装置14は、ローラレベ
ラによる形状矯正前の歪み形状及び歪み量を認識する。
該平坦度検出装置14で認識された歪み形状及び歪み量
は、プロセスコンピュータ15へ入力される。該プロセ
スコンピュータ15は、このように入力される歪み形状
及び歪み量に基づいて、1対の加熱用ヒータ13の、鋼
板1の幅方向の加熱位置を求めると共に、加熱量を求め
る。ここで、これら加熱用ヒータ13は、鋼板1の幅方
向に独立して移動及び位置決め可能となっている。又、
ヒータ制御装置16は、プロセスコンピュータ15で求
められた加熱位置に従って、2つの加熱用ヒータ13そ
れぞれの位置決めを行う。又、該ヒータ制御装置16
は、プロセスコンピュータ15で求められた加熱量に従
って、2つの加熱用ヒータ13それぞれの加熱量の制御
を行う。
【0048】以下、本実施形態の作用について説明す
る。
【0049】まず、前述のように、平坦度検出装置14
は、ローラレベラによる形状矯正前の鋼板1の歪み形状
及び歪み量を測定し、これら測定結果をプロセスコンピ
ュータ15に出力する。該プロセスコンピュータ15
は、これら測定結果に従って合計4本の上側ロール11
及び合計5本の下側ロール12に対応する、次に列挙す
る一連の計算式の演算を行う。ここで、図9に示される
ように千鳥状に配置された合計5本の下側ロール12及
び合計4本の上側ロール11は、入側から順に第1ロー
ル〜第nロールと定義される。この図9では、第1ロー
ルは一番入側の下側ロール12であり、第2ロールは一
番入側の上側ロール11であり、nは9であり、又、第
9ロールは一番出側の下側ロール12となる。又、次に
列挙する(5−1)、(5−2)…(5−n)は、順
に、第1ロール、第2ロール…第nロールによる曲げ後
の歪み量を求めるものである。
【0050】 ε1 ’=ε0 +βΔT−α1 (ε0 +βΔT)/(2−η1 ) …(5−1) ε2 ’=ε1 ’−α2 ε1 ’/(2−η2 ) …(5−2) … εn ’=εn-1 ’−αn εn-1 ’/(2−ηn ) …(5−n )
【0051】ここで、加熱用ヒータ13で加熱された鋼
板1が冷却され、常温(均一の温度)となったときの残
留する歪み量は、前述の(4)式と同様、次式のように
表すことができる。
【0052】 εn´´=εn ’+βΔT …(6)
【0053】従って、プロセスコンピュータ15は、前
述の(5−1)、(5−2)…(5−n)式及び(6)
式の演算を行うとともに、(6)式で示される残留する
歪み量εn´´がゼロないしは所定範囲内となるような
温度差ΔTを求める。このΔTは、平坦に形状矯正する
ために必要な熱歪みを得るための、部分的な加熱によっ
て生じる温度差を示す。又、このようにして求められた
ΔTは、プロセスコンピュータ15からヒータ制御装置
16へ出力される。
【0054】該ヒータ制御装置16は、平坦度検出装置
14で検出された歪み形状に従ってプロセスコンピュー
タ15が決定した位置決め位置へと2つの加熱用ヒータ
13をそれぞれ移動させる。又、ヒータ制御装置16
は、求められたΔTに従って、これら2つの加熱用ヒー
タ13を用いて鋼板1の加熱を行う。このような加熱に
よって、前述のような圧縮部分と引張り部分との温度差
が拡大され、熱歪みが加えられる。
【0055】この熱歪みは、形状矯正しようとする鋼板
1の歪みを増加させるものである。このように形状矯正
前に歪みが増加されることで、形状矯正効果がより増大
される。ここで、本実施形態の鋼板1の熱膨張率はプラ
スとなっている。従って、本実施形態では前述のような
圧縮部分が部分的に加熱されることで、熱歪みが加えら
れ形状矯正しようとする歪みが増加される。なお、例え
ば鋼板1の熱膨張率がマイナスの場合、逆に、引張り部
分を部分的に加熱し、これによって生じる熱歪みによっ
て形状矯正しようとする歪みを増大する。
【0056】なお、本発明は、温度差を得るために本実
施形態の如く部分的に加熱することに限定されるもので
はなく、温度差を得るために部分的に冷却するものであ
ってもよい。しかしながら、冷間形状矯正を前提とした
場合、金属板材の温度が更に低下することは形状矯正効
果向上という面で好ましくはないので、本実施形態の如
く部分的な加熱によって、温度歪みを得るための温度差
を生じさせることが好ましい。
【0057】なお、プロセスコンピュータ15で求めら
れた温度差ΔTを得るための加熱量が加熱用ヒータ13
の能力以上となってしまう場合も考えられる。このよう
な場合には、図9に示されるような一連の装置を用いた
形状矯正を、繰り返し複数パス行えばよい。
【0058】以上説明した通り、本実施形態によれば、
本発明を適用して、熱間形状矯正に比べて形状矯正効果
が低い傾向がある、冷間形状矯正の形状矯正効果をより
向上させ、ローラレベラのロール径やロールピッチ等の
形状矯正工程に求められる条件を軽減して、これによっ
て例えば、設備投資を削減したり、あるいは、形状矯正
に必要となる時間を短縮したり等することができるとい
う優れた効果を得ることができる。
【0059】特に、本実施形態においては、前述の(5
−1)式、(5−2)式…(5−n)式及び(6)式を
用いて、より厳密に温度差ΔTを決定するようにしてい
る。このため、より確実に、ローラレベラによって形状
矯正した後で、且つ、加熱用ヒータ13の加熱による温
度差による熱歪みを除去した後の、形状矯正後歪み量
(歪み量εn´´)がゼロないし所定範囲内となるよ
う、より厳密に制御することが可能となっている。
【0060】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、熱
間形状矯正に比べて形状矯正効果が低い傾向がある、冷
間形状矯正の形状矯正効果をより向上させ、ローラレベ
ラのロール径やロールピッチ等の形状矯正工程に求めら
れる条件を軽減して、これによって例えば、設備投資を
削減したり、あるいは、形状矯正に必要となる時間を短
縮したり等することができるという優れた効果を得るこ
とができる。本発明によれば、ローラレベラによる形状
矯正効果が増大されるため、例えば、これまで再矯正と
して保熱矯正へ送られていた薄物鋼板が大幅に減少さ
れ、不要工程の削減及びリードタイムの短縮を可能とす
ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が対象とする部分歪み材(腹伸び状態)
の一例を示す斜視図
【図2】上記部分歪み材の各部の伸び具合を示すモデル
【図3】上記部分歪み材の圧縮状態及び引張り状態を示
すモデル図
【図4】部分歪み材の引張り状態部分のローラレベラの
ローラによる塑性変形による矯正を示す側面図
【図5】部分歪み材の圧縮状態部分のローラレベラのロ
ーラによる塑性変形による矯正を示す側面図
【図6】本発明が対象とする部分歪み材(耳伸び状態)
の一例を示す斜視図
【図7】上記部分歪み材の各部の伸び具合を示すモデル
【図8】上記部分歪み材の圧縮状態及び引張り状態を示
すモデル図
【図9】本発明が適用されたローラレベラを用いる鋼板
の冷間形状矯正方法を行うための装置構成を示す斜視図
【符号の説明】
1…鋼板 11…上側ロール 12…下側ロール 13…加熱用ヒータ 14…平坦度検出装置 15…プロセスコンピュータ 16…ヒータ制御装置 AB1〜AB4、M1…矢印 D…板厚方向 L…長手方向 SA…表面 SB…裏面 W…幅方向 WC…中央部 WEA、WEB…端部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−182445(JP,A) 特開 昭63−93429(JP,A) 特開 平6−304656(JP,A) 特開 平8−90067(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21D 1/05 B21D 1/02

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の上側ロール及び複数の下側ロールを
    千鳥状に配置し構成されるローラレベラの上側ロールと
    下側ロールとの間金属板材を通過させ、これによっ
    て、該金属板材の形状を矯正するようにしたローラレベ
    ラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法において、 金属板材の板厚方向に直交する方向の圧縮部分、及
    び引張り部分の少なくとも一方の位置を把握し、把握された圧縮部分及び引張り部分の少なくとも一方の
    位置を、加熱もしくは冷却して 圧縮部分引張り部分
    の間温度差を生じさせ、該温度差による熱歪みにより
    金属板材の歪みを増加させた後該金属板材を ローラレベラの上側ロールと下側ロールと
    の間を通過させて矯正するこを特徴とするローラレベ
    ラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法。
  2. 【請求項2】請求項1において、形状 矯正しようとする金属板材の歪みの量を測定し、 測定された前記金属板材歪み量に前記圧縮部分と引張り
    部分との温度差による熱歪み量を加えた合成歪みをロー
    レベラによって形状矯正した後であり、かつ、該温度
    差による熱歪みを除去した後における形状矯正後歪み量
    を予測し、 該形状矯正後歪み量がゼロないし所定範囲内となるよう
    な前記熱歪み量を与える前記温度差を計算し、 前記金属板材の熱膨張率がプラスの場合、計算された前
    記温度差となるように、ローラレベラの前方にて、前記
    圧縮部分を部分的に加熱するか、もしくは前記引張り部
    分を部分的に冷却し、 一方、前記金属板材の熱膨張率がマイナスの場合、計算
    された前記温度差となるように、ローラレベラの前方に
    て、前記引張り部分を部分的に加熱するか、もしくは前
    記圧縮部分を部分的に冷却することを特徴とするローラ
    レベラを用いる金属板材の冷間形状矯正方法。
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