JPH0557302A - 圧延h形鋼の製造方法および装置 - Google Patents

圧延h形鋼の製造方法および装置

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JPH0557302A
JPH0557302A JP3217439A JP21743991A JPH0557302A JP H0557302 A JPH0557302 A JP H0557302A JP 3217439 A JP3217439 A JP 3217439A JP 21743991 A JP21743991 A JP 21743991A JP H0557302 A JPH0557302 A JP H0557302A
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cooling
heating
flange
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JP3217439A
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Inventor
Kazuo Okamura
一男 岡村
Takashi Miichi
高司 見市
Juichi Kawashima
寿一 河嶋
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧延H形鋼のウエブ波打ち変形の発生を防止
する。 【構成】 仕上げ圧延機入側においてウエブとフランジ
との温度差をある定量化した臨界量より小さくなるよう
に、フランジの冷却および/またはウエブの加熱を行
う。 【効果】 ウエブの加熱およびフランジの冷却が正確に
制御でき、ウエブ波打ち変形が効果的に防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧延H形鋼の製造方法
および装置に関する。さらに詳述すれば、圧延H形鋼の
製造に際して、仕上げ圧延後、室温にまで冷却する過程
において、H形鋼のウエブに生じる波打ち変形の発生を
防止し、良好な形状のH形鋼をそのサイズにかかわらず
安定して製造することのできる方法およびそのための装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】圧延H形鋼の製造において、特にフラン
ジ厚tf に対してウエブ厚tw が薄いサイズの場合は、
ウエブとフランジの体積差に基づく熱容量の差が大きい
ことや表面積に対してウエブの体積が小さいことから、
仕上げ圧延時にはウエブの温度がフランジに比べて著し
く低下する。このような温度状態で圧延が終了したH形
鋼が室温にまで冷却されると、フランジの方が熱収縮量
が大きいために、H形鋼の長手方向にフランジ断面内で
引張り、ウエブ断面内で圧縮の残留応力がそれぞれ発生
する。このような残留応力が発生する過程において、ウ
エブの圧縮応力が、ウエブ厚tw やウエブ幅Wで決まる
ある限界応力を越えると、ウエブに波打ち変形が発生す
ると言われている。
【0003】このときの限界応力はウエブ厚tw が薄い
程、またウエブ幅Wが大きい程小さくなる。したがっ
て、今日のようにウエブ厚twが薄くなる傾向にあるH
形鋼の場合には、ウエブ厚tw の減少に伴うウエブの仕
上げ温度低下による圧縮残留応力の増加と相俟って、ウ
エブの波打ち変形が一層発生し易くなる。このウエブ波
打ち変形は、製品の形状の外観を悪くするだけではなく
H形鋼の剛性の劣化を招くために好ましくない。また、
一旦ウエブの波打ち変形が発生するとその平坦矯正は不
可能に近いために、製造段階で確実にその発生を防止す
る必要がある。
【0004】ウエブの波打ち変形を防止するための手段
として、従来より用いられている方法は、仕上げ圧延機
の後方にて、フランジを強制冷却する方法である。これ
は強制冷却によってフランジに引張りの熱応力を発生さ
せて塑性伸び歪みを与えることにより、その後の熱収縮
歪み差を相殺するという効果によって、ウエブに生じる
圧縮残留応力を軽減しようとするものである。しかしこ
の方法では、フランジを強冷却し過ぎると冷却中にかえ
ってウエブに波打ち変形を発生させるという問題があ
り、そのために、冷却によって付与する温度差を規定し
たフランジ冷却方法 (特開平1−205028号) などが提案
されている。
【0005】しかし、熱応力を利用したこの方法の効果
には自ずから限界があり、特にウエブ肉厚の薄いサイズ
のH形鋼ではこの方法でウエブ波打ち変形を防止するこ
とは不可能である。すなわち、冷却面近傍の熱応力は引
張りとなるがその他フランジ部分は圧縮応力となりフラ
ンジ全体に長手方向塑性伸び歪みを与えることが困難で
あり、またウエブ厚tw が薄くウエブ横断面積がフラン
ジ横断面積に比べて相対的に小さい場合には、冷却によ
るフランジの引張り熱応力も相対的に小さいために十分
な塑性伸び歪みを付与できないという欠点がある。
【0006】そこでさらに、冷却中にH形鋼の長手方向
の変位を拘束し、冷却中のフランジの引張り熱応力をよ
り大きくすると共に、ウエブに作用する圧縮熱応力を軽
減する方法 (「材料とプロセス」Vol.13 (1990) p.498)
が提案されているが、H形鋼を圧延しながら拘束冷却で
きる有効な手段はいまだ明らかにされておらず、実験段
階に留まっているのが現状である。
【0007】一方、ウエブ波打ち変形の元々の原因であ
る仕上げ圧延直後のウエブとフランジの温度差を低減す
ることによって、フランジとウエブの熱収縮差を低減
し、ウエブの波打ち変形を防止しようとする提案もなさ
れている。これらには、仕上げ圧延機の手前においてフ
ランジを強制冷却する方法 (例えば特開平2−92413
号) や、圧延中にウエブを加熱する方法(特開昭62−280
02 号) 等がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、仕上げ
圧延機直後におけるウエブとフランジの温度差を低減し
ようとする前記の特開平2−92413 号や特開昭62−2800
2 号の方法においては、ウエブとフランジの温度差をど
の程度にまで低減すればウエブ波打ち変形を安定して防
止することができるかが明らかにされていない。そのた
め、H形鋼のサイズが異なる度に、適正な冷却あるいは
加熱条件を試行錯誤的に求めねばならず、その効率はき
わめて悪い。また、一旦あるサイズにおいて最適な加熱
・冷却条件を求めたとしても、仕上げ圧延機にいたるま
でのH形鋼の温度は、圧延工程の前段に設けられた加熱
炉での加熱温度や時間の変動、圧延スケジュール調整に
よる圧延時間の変動等により常に変化するために、かか
る従来法は効果的には作用しないと考えられる。
【0009】本発明の一般的な目的は、H形鋼の圧延後
の冷却過程において発生するウエブ波打ち変形を効果的
にしかも安定して防止できるH形鋼の製造方法および装
置を提供することである。本発明の具体的目的は、ウエ
ブとフランジとの適正な温度差を目標値としてH形鋼の
温度制御を行い、ウエブ波打ち変形を効果的にしかも安
定して防止できるH形鋼の製造方法および装置を提供す
ることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ウエブと
フランジとの適正な温度差を予め定量化して求めてお
き、これを目標値として、H形鋼の仕上げ圧延前の温度
状態とこの目標値とを比較演算することでH形鋼の温度
制御を行うことが上記目的達成のために有効であるとし
て、種々の検討を重ねた。
【0011】まず、H形鋼のウエブ波打ち変形は、ウエ
ブに作用する長手方向の圧縮の内部応力による座屈変形
と考えた。しかしながら、H形鋼のウエブが座屈に至る
限界の応力状態を推定することは容易ではなく、いまだ
明確な基準がない。すなわち、ウエブを図1に示すよう
に、板厚tw 、幅W (=H−2tf ) からなる鋼板と考え
た場合に、この鋼板に幅方向に一様な長手方向圧縮力が
作用する場合の臨界座屈応力σCRが次式で表されること
は弾性安定の理論から周知である。
【0012】 σCR=Kπ 2D/ (W2tw ) (1) K: 鋼板周辺の支持条件によって変化する係数 D: 鋼板の曲げ剛性 しかし、実際のH形鋼のウエブには図2に示すような応
力が発生し、ウエブ内の応力分布は幅方向に一様でな
く、この場合の臨界座屈応力状態を表わし得る評価式は
いまだ明らかにされていない。
【0013】そこで本発明者らは、まず、H形鋼ウエブ
の臨界座屈応力に関する基礎的な解析・検討から始め
た。すなわち、H形鋼に種々の形態の応力分布を与え、
座屈が生じるときの臨界座屈応力状態を有限要素法によ
る数値計算により求めた。
【0014】次に、そのような分布応力下での臨界座屈
応力状態を応力の平均値を用いて式(1) と同様の形式の
次式で表すことを考えた。 平均σCR=Kmπ2D/ (W2tw ) (2) ここで、平均σCRは座屈が生じるときのウエブ内の平均
応力であり、Km は、式(1) の係数Kに対応する分布応
力下での係数である。
【0015】この考え方そのものは、従来からなされて
いたが、本発明者らの計算結果によれば、係数Km の値
は従来用いられていた一定値ではなく、図3に示すよう
に応力分布状態によって変化すること、またその値は、
図4に示すように、変数γa =Wa /W (Wa は最大圧
縮応力の1/2 以上の圧縮応力を受けるウエブの幅) を用
いて次式で表されることがわかった。
【0016】 Km = 6.185γa +0.392 (3) 次に、本発明者らは、様々な形状のH形鋼について、種
々の仕上げ温度分布からの冷却において、仕上げ圧延後
にフランジの強制水冷を行う場合と行わない場合につい
て熱応力を計算し、式(2) 、(3) を用いて座屈の発生有
無を調査した。得られた結果について比較対照実験を行
いその妥当性を確認した結果、ウエブ座屈は仕上げ圧延
直後のウエブとフランジの温度差に依存し、座屈を発生
させないためのウエブとフランジの温度差条件を明らか
にすることができ、本発明に至った。
【0017】ここに、本発明は仕上げ圧延機出側の圧延
H形鋼のウエブの断面平均温度 (Tw ) とフランジの断
面平均温度 (Tf ) との差ΔT(=Tf −Tw )が、H
形鋼の寸法を表わす変数βに応じて下記条件式を満足す
るようにして仕上げ圧延を行うことを特徴とする圧延H
形鋼の製造方法である。
【0018】 ΔT < ΔTCR=40×104β+ΔTC β={ (Aw +Af ) /Af }×(tw /W)2 ただし、Aw : H形鋼横断面におけるウエブの断面積 Af : H形鋼横断面におけるフランジの断面積 tw : ウエブの肉厚 W : ウエブの内法幅 ΔTC : 仕上げ圧延後のフランジの冷却条件によって定
まる定数。
【0019】また、別の面からは、本発明は仕上げ圧延
機の入り側に設けた、H形鋼の相対するフランジをその
対向面の裏側から冷却するための手段およびウエブを加
熱するための手段を備えたH形鋼の加熱冷却装置と、該
加熱冷却装置の入り側、該加熱冷却装置と仕上げ圧延機
との間、および仕上げ圧延機の出側のうちの少なくとも
一箇所以上でH形鋼のウエブおよびフランジの表面温度
を測定するための温度測定装置と、表面温度の測定結果
からウエブの断面平均温度とフランジの断面平均温度と
の差ΔTの演算を行い、予め指示入力された仕上げ圧延
後のフランジの冷却条件とH形鋼の寸法とから前述のΔ
CRを演算し、ΔTとΔTCRとの両者を比較してウエブ
とフランジの温度差の必要修正量を求め、前記加熱冷却
装置の加熱および/または冷却強さに換算する比較演算
装置と、そして該比較演算装置が出力する信号を該加熱
冷却装置にフィードバックし加熱冷却強さを制御する制
御装置とを備えたことを特徴とする、圧延H形鋼の製造
装置である。
【0020】
【作用】次に、添付図面を参照しながら本発明をさらに
具体的に説明する。ここで、本発明にしたがってウエブ
とフランジの温度差を制御しながらウエブ波打ち防止を
図る操作について処理条件の限定理由とともにさらに具
体的に説明すると次の通りである。
【0021】図5はウエブとフランジの温度差ΔTと変
数βとの関係をウエブ厚さ、ウエブ座屈有無によって整
理して示すグラフである。すなわち、グラフに示す結果
からも分かるように、ウエブの座屈を防止するために
は、仕上げ圧延終了時において、H形鋼横断面における
フランジの平均温度Tf とウエブの横断面平均温度Tw
との差ΔT (=Tf −Tw ) を図5に示すように下記条
件式を満足するように保てば良い。
【0022】 ΔT<ΔTCR=Bβ+ΔTC (4) ただし、βはH形鋼のサイズを表すパラメータであり、
ウエブの横断面積をAw 、フランジの横断面積をAf
して、下式で表される。 β={ (Aw +Af )/Af }・(tw /W)2 (5) Bは定数 (40×104[℃])である。
【0023】ΔTC は鋼材の種類やウエブとフランジの
断面積比Af /Aw 、仕上げ圧延後のフランジの冷却開
始温度、冷却水量、冷却面積等によって変化する定数で
あり、冷却装置への依存性が強いので、その値を一般的
な形式で定式化することはできないが、本発明者らが実
験に用いた圧延ラインでは、仕上げ圧延後のフランジの
強制冷却を行わない場合をも含めて、 ΔTC =C1(Tf ) Af /Aw +0.11Wa −C2 (6) と表すことができ、その値は5〜90℃であった。ただ
し、C1(Tf ) は、鋼種と冷却開始時のフランジ温度に
よって決まる定数であり、Wa はフランジの冷却水量密
度、C2 はフランジの強制冷却の有無によって決まる定
数である。
【0024】式(4) の意味は次のように解釈できる。す
なわち、H形鋼に生じる応力が弾性範囲内であるとする
と、ウエブに生じる平均応力σw は、Cは定数として、
下式で表される。 平均σw =CΔT・Af /( Aw +Af ) (7) 一方、ウエブの曲げ剛性がD=Etw 3/{12(1−ν2)}
であるから、式(2) の平均σCRは (tw /W)2に比例す
る。上記の平均σw と平均σCRとにおいて、平均σw
平均σCRの条件をΔTについて解くと、βをパラメータ
とする条件式、すなわち、式(4) の右辺第1項が得られ
る。
【0025】ところが、H形鋼の冷却過程で生じる応力
は弾性範囲内になく、特にフランジの強制冷却時には既
に述べたように塑性歪が生じ、さらにまた、γ鉄からα
鉄への相変態による変態膨張が生じる。式(4) の右辺第
2項はこれらの非弾性歪の寄与を表している。
【0026】ウエブの肉厚の薄い鋼種においては通常、
式(4) の条件を満たさず、ウエブ座屈が生じる。そこで
ΔTを条件範囲内に保ちウエブ座屈を防止するために
は、式(4) および式(5) からわかるように、仕上げ圧
延前のウエブ加熱および/ またはフランジの冷却により
仕上げ圧延機終了時のΔTを小さくしてΔTCR未満とす
る方法と、仕上げ圧延後のフランジの強制冷却によ
り、フランジに塑性伸び変形を生じさせΔTCRを大きく
することによりΔTをΔTCR未満にする方法、あるいは
これら両者の併用がある。ΔTを小さくする方法とΔ
CRを大きくする方法のどちらか一方で式(4) の条件を
満たすことが可能な場合は、そのどちらが一方を採用す
れば良い。好ましくは仕上げ圧延機の入側においてH形
鋼の寸法を表わす変数βに応じてウエブの加熱および/
またはフランジの冷却を行う。
【0027】仕上げ圧延前にウエブの加熱および/また
はフランジの冷却を行うにあたっての好ましい態様を次
に述べる。ウエブの加熱とフランジの冷却を行う位置
は、一旦、減少させたΔTが熱伝導と自然放冷によって
再び大きくならないうちに、素材のH形鋼を仕上げ圧延
機に導入する必要があることから、仕上げ圧延機になる
べく近い場所で行うべきであり、フランジの冷却装置あ
るいはウエブ加熱装置の出側から仕上げ圧延機までの材
料搬送時間が10秒以内であることが好ましい。また、仕
上げ圧延前のウエブの加熱とフランジの冷却のどちらか
一方で、ΔTを式(4) の条件内に保つことができる場合
は、その両方を行う必要はなく、フランジの冷却の方が
必要エネルギーコストが少なくてすむので好ましい。
【0028】次に、本発明にかかる方法を実施するため
の装置の一具体化例についてさらに具体的に説明する。
なお、本発明にかかるH形鋼の製造装置は、慣用の装置
のように粗圧延、中間圧延そして仕上げ圧延の各圧延機
から構成されるものであってもよく、それぞれの圧延機
の構成も従来のものであってよく、本発明はこれらの点
において特に制限されるものではない。また、以下にあ
っては説明の便宜上、圧延H形鋼製造装置として中間エ
ッジャー圧延機 (中間圧延機) および仕上げ圧延機以降
を例にとって説明する。
【0029】図6は本発明にかかる装置の部分略式説明
図であり、図中、H形鋼1は中間 (エッジャ) 圧延機4
および仕上げ圧延機5を経て仕上げ圧延されてから冷却
装置7で冷却される。仕上げ圧延機5の入り側にはH形
鋼の相対するフランジをその対向面の裏側から冷却する
ための手段およびウエブを加熱するための手段を備えた
H形鋼の加熱冷却装置6が設けられている。この加熱冷
却装置6の具体的構成は特に制限されないが、後述する
ように水冷ノズルおよび燃焼バーナから構成されるもの
であってもよい。好ましくは、フランジ外面は水冷さ
れ、ウエブ面は加熱される。冷却装置7についても同様
である。なお、前述のように、本発明にあっては、場合
によっては加熱冷却装置6を設けず、冷却装置7でのフ
ランジ強制冷却条件だけを変更するものであってもよ
い。
【0030】この加熱冷却装置の入り側、該加熱冷却装
置と仕上げ圧延機との間、および仕上げ圧延機の出側の
少なくとも1箇所 (図示例ではそのいずれの箇所) にも
H形鋼のウエブおよびフランジの表面温度を測定するた
めの温度測定装置である温度センサ8が設けられてい
る。温度センサ8による表面温度の測定結果は比較演算
装置9に送られ、ウエブとフランジの断面平均温度差Δ
Tの演算を行い、予め指示入力された仕上げ圧延後のフ
ランジの強制冷却条件とH形鋼の寸法とから前述のΔT
CRを演算し、ΔTとΔTCRとの両者を比較してウエブと
フランジの温度差の必要修正量を求め、その信号を加熱
冷却装置の加熱および/ 又は冷却強さに換算する。その
信号は制御装置10に送る。この制御装置10においては、
前記信号を該加熱冷却装置にフィードバックし加熱冷却
強さを制御する。
【0031】冷却装置7におけるフランジ強制冷却条件
は比較演算装置9に送られ、ΔTCRのデータの修正が行
われる。本発明によれば、ウエブ波打ち防止のために
は、仕上げ圧延機の入り側におけるウエブ加熱およびフ
ランジ冷却を行うのが好ましい。フランジの冷却装置に
おいて、フランジを対向面の裏側から冷却する理由は、
対向面側でフランジの冷却を行うと冷却水がウエブ表面
上にも飛散し、ウエブを冷却するためである。
【0032】ところで、前述のように、本発明にかかる
装置においては、仕上げ圧延手前の加熱冷却装置の入り
側あるいは、該加熱冷却装置と仕上げ圧延との間、仕上
げ圧延機の出側のうちの少なくとも一箇所以上、好まし
くはいずれの箇所にもH形鋼のウエブならびにフランジ
の表面温度を測定するための装置を設けているが、その
理由は次の通りである。
【0033】すなわち、式(4) を適用する場合、ウエブ
とフランジの横断面平均温度を知る必要があるが、横断
面平均温度を直接測定することは不可能であるから、横
断面平均温度を求めるための方法が必要になる。既に述
べたように、仕上げ圧延でのH形鋼の温度は圧延の前段
における加熱炉での加熱状態や、圧延中のスケジュール
調整による搬送速度ならびに圧延待ち時間の変化の影響
を受けて変化する。しかしながら、中間圧延機から仕上
げ圧延機の直後までの間において、自然冷却された同一
サイズのH形鋼においては横断面平均温度に対する表面
温度の相対値は図7に示すようにほぼ一定となることが
判明した。
【0034】図 7は表面温度と断面平均温度との関係を
各サイズ毎にフランジおよびウエブについて整理したグ
ラフであって、両者にはほゞ一定の関係がみられる。
【0035】この性質を利用してH形鋼の断面平均温度
を、H形鋼の任意の表面位置において測定した代表表面
温度でもって計算することが可能である。このときの手
順は次のようになる。
【0036】(1) 仕上げ圧延前のウエブ加熱またはフラ
ンジ冷却を行わない場合: 代表表面温度を測定する部位 (代表点) を任意に選定
し、図7に示した代表表面温度と断面平均温度との関係
を各サイズ毎にウエブとフランジについて予め求めてお
く。代表点をある領域内に複数点設定し、その平均値を
用いて代表表面温度とすることは、測定誤差を減少させ
ることから好ましい。
【0037】ウエブならびにフランジについて代表表
面温度を実測し、で求めた代表表面温度と断面平均温
度との関係を用いて、断面平均温度を求める。代表表面
温度測定は仕上げ圧延機の直前、あるいは直後で行う。
仕上げ圧延機の直前で代表表面温度を測定する場合、仕
上げ圧延機での材料の冷却特性を予め調査しておき、測
定結果を補正することにより、仕上げ圧延終了時の温度
分布を求めれば良い。すなわち、この場合には、仕上げ
圧延手前の加熱冷却装置と仕上げ圧延機との間あるいは
また仕上げ圧延機の出側の少なくとも一方で、ウエブな
らびにフランジの表面温度を測定するための装置を設け
る。
【0038】(2) 仕上げ圧延前に加熱・冷却を行う場
合:一方、仕上げ圧延前にウエブの加熱および/ または
フランジの冷却 (加熱・冷却とも略記する) を行う場合
は、代表表面温度から簡単に横断面平均温度を求めるこ
とはできない。しかし、加熱・冷却によるウエブの温度
上昇量あるいはフランジの温度低下量は通常の操業にお
ける加熱・冷却前の材料温度の変動範囲 (1100〜700
℃) 内では材料温度によらず、加熱・冷却強さの影響が
支配的となる。そこでこの場合、横断面平均温度は次の
ようにして求める。
【0039】図8ならびに図9に模式的に示す加熱な
らびに冷却強さ (ガスバーナー加熱の場合は単位時間あ
たりのガス燃焼量、誘導加熱の場合は電力、冷却の場合
は水量密度) と横断面平均温度変化量との関係を加熱あ
るいは冷却時間毎に予め数値計算によって求めておく。
【0040】加熱・冷却を行わない場合と同様にし
て、加熱・冷却前のウエブならびにフランジの横断面平
均温度を求める。 実際の加熱ならびに冷却強さを監視し、で求めた関
係から、加熱によるウエブの横断面平均温度上昇量ある
いはまた強制冷却によるフランジの横断面平均温度低下
量を求める。
【0041】加熱・冷却前の横断面平均温度にで求
めた加熱・冷却による板厚平均温度の変化量を加えるこ
とにより、加熱・冷却後の横断面平均温度が求められ
る。
【0042】仕上げ圧延機での横断面平均温度の低下
量をで求めた横断面平均温度に加えることにより、仕
上げ圧延終了時のウエブ、フランジの各横断面平均温度
が求められる。
【0043】すなわち、加熱・冷却を行う(2) の場合に
は、加熱冷却装置の入り側あるいは該加熱冷却装置と仕
上げ圧延機との間にウエブならびにフランジの表面温度
を測定するための装置を設ける。次に、比較演算装置
は、上に述べたように、代表温度からウエブならびにフ
ランジの横断面平均温度を計算してウエブとフランジの
温度差ΔTを計算し、H形鋼のサイズと仕上げ圧延後の
フランジの強制冷却条件によって決まるΔTCRを計算し
て両者を比較するために必要である。
【0044】比較演算装置には、中央演算処理装置(CP
U) と主記憶装置、ならびに図7〜図9の関係を記憶す
る外部記憶装置、外部機器 (例えば温度測定装置や加熱
冷却制御装置) とのデータ通信を行うための入出力機能
を有する計算機を使用すれば良い。この比較演算装置に
は、予め製造するH形鋼のサイズと加熱炉の状態から予
測される仕上げ圧延終了時の材料温度と、予定する仕上
げ圧延後のフランジ冷却強さ (水量密度) とを与え、ま
ず、ウエブ座屈が防止可能か否かを判断し、仕上げ圧延
前の加熱・冷却の強さを仮設定する。実際に圧延が開始
した後は、既に述べたように代表温度の測定結果を比較
演算装置に連続的に入力し、横断面平均温度を求め、Δ
Tを計算してΔTがΔTCRを越える場合は、図8と図9
の関係から、ΔTをΔCR未満とするために必要な加熱・
冷却出力の修正量を求めて加熱・冷却制御装置に指示を
行う。
【0045】ΔTがΔTCRに比べて不必要に小さい場合
は、加熱出力あるいはまた冷却水量を低減することを指
示することが、エネルギーコストを低減するために好ま
しい。ΔTのこのような下限値はΔTCRの約80%とすれ
ば十分である。加熱・冷却制御装置は比較演算装置から
の指示を受けて、加熱・冷却の強さを制御するために必
要であり、指示値に従って加熱出力と冷却水量を制御す
ることにより、ΔTを適正値に保つことができる。次
に、実施例によって本発明の構成・作用をさらに具体的
に説明する。
【0046】
【実施例】実際の生産ラインに図6に示した本発明の残
留応力制御装置を設置し本発明の方法の有効性を試験し
た。試験を行った圧延ラインにおいて、仕上げ圧延前の
ウエブ加熱ならびにフランジ冷却は同一箇所にて行い加
熱冷却装置6のライン方向長さは20mであり、仕上げ圧
延機5の手前10〜30mの位置に設けられている。
【0047】第10図に示すように、ウエブの加熱はライ
ン方向に200 mmピッチでウエブ上面側に配したCOガス直
火型バーナ20で行う構造を採用しており、一本あたりの
バーナの最大出力は1×105Kcal/hr(20Nm3/hr 燃焼時)
であった。また仕上げ圧延前のフランジの水冷は、第10
図に併せて示したように、フランジの外側に高さ方向に
3段、ライン方向に250 mmピッチで配した水スプレーノ
ズル22で行った。ノズル全体で水量は500 l/min 供給で
きる。この最大水量は、フランジ外面から噴出するスプ
レー水がフランジを乗り越えてウエブの上にかからない
範囲として定めた。
【0048】仕上げ圧延後のフランジ水冷のための冷却
装置7はライン方向長さ30mであり、仕上げ圧延機5の
後方18〜48mの位置に設けられた。実際の生産ラインを
利用した本試験設備において、圧延速度2.5m/sの条件
で、サイズH550×200 ×9/22(H=550mm 、Wf =200 m
m、tw =9mm、tf =22mmを意味する) 、H700 ×250
×9/22、H650×200 ×6/16の3種類のサイズのH形鋼製
造試験をそれぞれのサイズについて10回行った。
【0049】表1に、本発明の方法に従って、ΔTを制
御した場合とΔTを制御しない比較例 (従来方) とを比
較して示す。表1において各加熱あるいは冷却装置の出
力は最大出力に対する比率で示した。
【0050】ΔTを制御した本発明例の場合はΔT/Δ
CRの割合がいずれも1未満でありウエブの波打ち変形
(ウエブ座屈) が生じないのに対して、比較例では、本
発明例における平均的な加熱・冷却出力を与えているに
も関わらずH形鋼の加熱炉での加熱条件の変動、圧延待
ち時間の変動によるΔTの変動によってΔT/ΔTCR
1以上となる場合が生じ、ウエブ座屈を防止できなかっ
た。
【0051】
【表1】
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の方法ならび
に装置によれば、H形鋼ウエブに生じる圧縮残留応力の
値を、圧延後の冷却過程においてウエブの波打ち変形が
生じない範囲に確実に抑制することができ、製品の形状
不良を防止でき、本発明の工業的価値は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】H形鋼の横断面を示す図である。
【図2】圧延冷却後、室温状態でのH形鋼横断面内の長
手方向残留応力状態を示す図である。
【図3】臨界座屈応力式の係数Km と応力分布形状との
関係を示す図である。
【図4】Km と変数γa との関係を示す図である。
【図5】ΔTと変数βとの関係を示す図である。
【図6】本発明の残留応力制御装置を適用したH形鋼圧
延ラインの概要を示す図である。
【図7】表面温度と断面平均温度との関係を模式的に示
す図である。
【図8】ウエブ加熱出力とウエブ横断面平均温度の上昇
量の関係を模式的に示す図である。
【図9】フランジの冷却水量とフランジ横断面平均温度
の減少量の関係を模式的に示す図である。
【図10】実施例に用いたウエブ加熱装置ならびにフラ
ンジ冷却装置を示す図である。
【符号の説明】
1: H形鋼、 2: ウエブ 3: フランジ、 4: 中間 (エッジャ)
圧延機 5: 仕上げ圧延機、 6: 加熱・冷却装置 7: 冷却装置、 8: 表面温度測定装置 9: 比較演算装置、 10 : 制御装置

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上げ圧延機出側の圧延H形鋼のウエブ
    の断面平均温度 (Tw ) とフランジの断面平均温度 (T
    f ) との差ΔT(=Tf −Tw )が、H形鋼の寸法を表
    わす変数βに応じて下記条件式を満足するようにして仕
    上げ圧延を行うことを特徴とする圧延H形鋼の製造方
    法。 ΔT < ΔTCR=40×104β+ΔTC β={ (Aw +Af ) /Af }×(tw /W)2 ただし、Aw : H形鋼横断面におけるウエブの断面積 Af : H形鋼横断面におけるフランジの断面積 tw : ウエブの肉厚 W : ウエブの内法幅 ΔTC : 仕上げ圧延後のフランジの冷却条件によって定
    まる定数。
  2. 【請求項2】 仕上げ圧延機の入り側に設けた、H形鋼
    の相対するフランジをその対向面の裏側から冷却するた
    めの手段およびウエブを加熱するための手段を備えたH
    形鋼の加熱冷却装置と、該加熱冷却装置の入り側、該加
    熱冷却装置と仕上げ圧延機との間、および仕上げ圧延機
    の出側のうちの少なくとも一箇所以上でH形鋼のウエブ
    およびフランジの表面温度を測定するための温度測定装
    置と、表面温度の測定結果からウエブの断面平均温度と
    フランジの断面平均温度との差ΔTの演算を行い、予め
    指示入力された仕上げ圧延後のフランジの冷却条件とH
    形鋼の寸法とから請求項1において規定するΔTCRを演
    算し、ΔTとΔTCRとの両者を比較してウエブとフラン
    ジの温度差の必要修正量を求め、前記加熱冷却装置の加
    熱および/または冷却強さに換算する比較演算装置と、
    そして該比較演算装置が出力する信号を該加熱冷却装置
    にフィードバックし加熱冷却強さを制御する制御装置と
    を備えたことを特徴とする、圧延H形鋼の製造装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6613257B2 (en) 1998-05-22 2003-09-02 Alliedsignal Inc. Process for making load limiting yarn
JP2010172936A (ja) * 2009-01-29 2010-08-12 Sumitomo Metal Ind Ltd 連続圧延機を用いた分塊圧延方法
JP2020157364A (ja) * 2019-03-27 2020-10-01 Jfeスチール株式会社 H形鋼の製造方法
JP2021154366A (ja) * 2020-03-27 2021-10-07 Jfeスチール株式会社 H形鋼の製造方法

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