JP2003025008A - 熱間圧延における被圧延金属材の冷却制御方法 - Google Patents

熱間圧延における被圧延金属材の冷却制御方法

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JP2003025008A
JP2003025008A JP2001212334A JP2001212334A JP2003025008A JP 2003025008 A JP2003025008 A JP 2003025008A JP 2001212334 A JP2001212334 A JP 2001212334A JP 2001212334 A JP2001212334 A JP 2001212334A JP 2003025008 A JP2003025008 A JP 2003025008A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 スケジュールフリー圧延を行う条件下でも、
被圧延材の先端領域の巻取温度の過冷却の問題を起こす
ことなく、被圧延材の全長にわたって巻取温度の均一化
を図ることができる、熱間圧延における被圧延金属材の
冷却制御方法を提供する。 【解決手段】過冷却長X(L,h)及び過冷却量Δtを
予測計算により求め、求められた過冷却長X(L,h)
及び過冷却量Δtに基づいて被圧延金属材Sの先端から
過冷却長X(L,h)の終端に向けて変化する過冷却温
度パターンを予測し、過冷却温度パターンを目標CTパ
ターンに加算して新たな被圧延金属材Sの長手方向目標
巻取温度CTパターンとし、この新たな目標CTパター
ンを目標に、被圧延金属材Sの冷却を行うように冷却ゾ
ーン15における冷却を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱間圧延における被圧
延金属材の冷却制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱間圧延とは、金属材を数百〜千数百℃
に加熱した後、熱間圧延ライン上に供給し、搬送しつつ
ローラーで圧延して所望の厚みと幅を有する金属板ある
いは金属帯にすることをいう。例えば、帯鋼の熱間圧延
ライン100は、図5に示す、3/4連続(スリークォ
ータ)と呼ばれるタイプのものが多い。これは、被圧延
材Sの搬送方向上流から下流に向かう順に、加熱炉10
1、複数の粗圧延機(Rougher )102(多くの場合4
基。そのうち一部(多くの場合1基)を往復圧延するも
のとし、残りは一方向圧延する。しかし、4基中3基が
一方向のタイプに限らず、例えば3基中2基が一方向な
どのタイプも含め、3/4連続という)、クロップシャ
ー103、デスケーリング装置104、複数の仕上圧延
機(Finisher)105、冷却ゾーン106、巻取装置
(コイラー)107を順次配置して成る。
【0003】その他の金属の熱間圧延ラインも大同小異
で、仕上圧延機105、冷却ゾーン106、巻取装置1
07を順次配置してなる点は共通している。粗圧延機1
02及び仕上圧延機105は複数あるので、それぞれRo
ugher 、Finisherの頭文字を取り、各スタンドのナンバ
ーを付与して、R1、R2、R3、F1、F2、…F7
などと略称される。また、巻取装置107も同様に複数
あって、号機ナンバーを付与して、DC1、DC2など
と略称される。熱間圧延では、仕上圧延機105で被圧
延材Sの先端を噛み込み、圧延し、尾端を圧延し終わ
り、という動作を断続的に繰り返す、バッチ圧延と称さ
れる方式が一般的である。
【0004】この熱間圧延においては、被圧延材Sに所
望の材質、すなわち所望の強度や伸び等を与えるために
は、仕上圧延後の被圧延材Sを冷却ゾーン106にて所
望の温度に冷却した後に巻き取ることが重要であること
が知られている。このため、前述の冷却ゾーン106に
おける被圧延材Sの冷却制御が重要である。冷却ゾーン
106における被圧延材Sの冷却は、直接的には図6に
示すような被圧延材Sの幅方向に複数の冷却水噴射用ノ
ズル201を設置したヘッダ202から被圧延材Sに冷
却水を噴射することによって行われる。冷却水の噴射と
停止は、冷却水供給源に接続された中間配管203とヘ
ッダ202との間に接続されたバルブ204の開閉によ
って行われるが、被圧延材Sの仕上圧延速度の加減速が
あってもそれに応じて適宜冷却水の噴射を行うヘッダ2
02の数を増減し、被圧延材Sの全長にわたり冷却後の
温度(巻取り直前の温度 Cooling Temperature(以下、
CTと略して称する)で代表する)を一定にしようとす
る冷却制御が制御装置205によって行われる。図6
中、符号301はテーブルローラである。制御装置20
5は、図7に示すように、仮想的にいくつかの連続した
ヘッダ群からなる構成単位を、注水バンク(以下、バン
クと略して称する)と称する分割された小冷却ゾーンと
とらえ、該バンクが冷却ゾーン106の長手方向にいく
つも連なっているものとして各バンク毎に冷却水を噴射
するか停止するかの指令、即ち各バンク毎のバルブ20
4に対して 開閉指令を出力する。制御装置205によ
る冷却制御においては、仕上圧延後の被圧延材Sの速
度、温度、及び厚みをそれぞれ図示しない設定用計算機
から伝送し、これらから目標CTとするために必要な注
水量を計算し、これから注水バンクのスプレーパターン
を決定し、各バンク毎に冷却水を噴射するか停止するか
の指令を出力するようになっている。また、別途、次の
ようなセンサすなわち仕上出側速度計(図示せず)、仕
上出側板厚計206、及び仕上出側温度計207から入
力したデータによりスプレーパターンを補正するなどの
手立てが講じられることもある。なお、このような予測
に基づいたフィードフォワード制御の機能を補完し、被
圧延材Sの全長にわたって目標CTを達成するため、巻
取温度計208による巻取温度実績と目標CTとを比較
し、その差を補正するように各バンクに注水指令を行う
フィードバック制御が行われる場合も多い。
【0005】ところが、上述の如きフィードフォワード
制御とフィードバック制御とを併用する冷却制御方法に
あっても、被圧延材Sの冷却制御の結果を見ると、図8
に示すように、被圧延材Sの最先端から数十mにわたる
先端領域では、CTが局部的に低くなり、目標CTに対
して低くなる傾向にあることがわかった。その原因は、
図9に示すように、被圧延材Sの前記先端領域は、仕上
圧延後の被圧延材Sの形状が平坦でなく波打っていた
り、あるいは図10に示すように、先端領域であるがゆ
えに走行中に飛びはねが起こったりして被圧延材S上に
冷却水が溜まるため、該部分で被圧延材Sと冷却水との
境界の接触条件が変化し、熱伝達率が局部的に大きくな
って、被圧延材Sが過冷却になるから、と推定されてい
る。このように、被圧延材Sの飛びはねや平坦度の状況
に起因して被圧延材Sと冷却水との境界の接触条件が変
化し、熱伝達率が局部的に大きくなる作用は、被圧延材
Sの温度が遷移沸騰域にある状態にちょうどさしかかっ
た場合にはさらに助長される、と言われている。
【0006】この被圧延材Sの先端領域の過冷却の問題
に対する対策をとった先行技術としては、例えば、特公
平4−8125号公報や特開平3−198905号公報
に開示された技術がある。これらは、いずれも、1本の
被圧延材の冷却制御後の巻取温度実績をとらえ、その目
標CTとの乖離が大きい場合には、次の被圧延材につい
てその乖離を小さくしようとする、学習制御と呼ばれる
ものである。例えば、特公平4−8125号公報には、
仕上圧延された鋼帯の巻取温度を測温しつつ、この測温
値を用いてカルマンフィルターにより鋼帯上下各面の熱
伝達係数の学習値と熱放射率の学習値を同定し、所定式
により各冷却帯の温度降下量が所望の値となるように各
冷却帯の冷却制御を行うとともに、最終冷却帯におい
て、所定式により、鋼帯トップ部、鋼帯ボトム部、鋼帯
ミドル部のそれぞれに別個の制御ゲイン、定数を用いて
それぞれの巻取温度偏差ΔCTに対応する冷却制御量を
求め、この分の冷却補正を行なうフィードバック微調整
冷却制御を行うことが記載されている。また、特開平3
−198905号公報には、被圧延材の先端部分の巻取
温度を検出し、この検出値と、目標CTとを比較した結
果に基づいて、次に冷却される被圧延材の先端部分にお
ける目標温度を修正することが記載されている。
【0007】さて、近年、図5に示すような熱間圧延ラ
イン100での操業においては、被圧延材Sの圧延順の
制約を緩和ないしは撤廃する、いわゆるスケジュールフ
リー圧延が指向されてきている。このスケジュールフリ
ー圧延について以下に述べる。従来から熱間圧延ライン
100においては、仕上圧延機105のワークロール
(以下、単にロールという)として研磨したものを仕上
圧延機105に組み入れ、何本かの被圧延材Sを断続的
に圧延し、ロールの磨耗がある程度進展すると、再びロ
ールを研磨したものに交換する、という操業形態をとっ
ている。そして、あるロール交換から次のロール交換ま
での間に圧延する被圧延材群を、圧延順に仮想的に並べ
た構成単位を圧延サイクルと称している。ちなみに、1
つの圧延サイクル間の被圧延材Sの本数は数十本から百
本内外である。
【0008】ここで、スケジュールフリー圧延とは、図
11を参照しながら説明すると、例えば、図11(A)
に示すように、従来、圧延サイクルの1本目から最終本
目まで順に見ていったとき、圧延サイクルの前半中ほど
に圧延サイクル中の最大幅の被圧延材Sがくるように、
最大幅の被圧延材Sよりも前は圧延順にみて次第に広い
幅に変わっていき、最大幅の被圧延材Sよりも後は圧延
順にみて次第に狭い幅に変わっていくような圧延順とす
る、いわゆるコフィンスケジュールと呼ばれる圧延順幅
構成としていたのを、図11(B)に示すように、前述
の圧延順の制約を緩和ないし撤廃し、幅がジグザグの圧
延順になるような圧延順であっても圧延できるようにす
ることである。
【0009】同様に、仕上圧延後の被圧延材Sの厚み
(以下、単に厚みと称する)の接続も、従来、圧延サイ
クルの1本目から最終本目まで順に見ていったとき、圧
延サイクルの前半中ほどに圧延サイクル中の最も厚みの
薄い被圧延材Sがくるようにし、最も薄い厚みの被圧延
材Sよりも前は圧延順にみて次第に薄い厚みに変わって
いき、最も薄い厚みの被圧延材Sよりも後は圧延順にみ
て次第に厚い厚みに変わっていくような圧延順厚み構成
としていたのを、このような圧延順の制約を緩和ないし
撤廃し、厚みが凸凹の圧延順になるような圧延順であっ
ても圧延できるようにすることも、スケジュールフリー
圧延と称される。あるいは幅と厚みの両方が前述のよう
に変動するような圧延順であっても圧延できるようにす
ることもスケジュールフリー圧延と称される。
【0010】このようにスケジュールフリー圧延が指向
されるに至った理由は以下のとおりである。圧延サイク
ルをコフィンスケジュールのような圧延順制約の強い構
成にすると、熱間圧延ライン100の加熱炉101に装
入するのに先立って、被圧延材Sがスラブの段階にある
うちにそのような順番になるように準備しておかなけれ
ばならない。このように圧延サイクルを作成するのには
非常に時間と労力がかかる。また、前述のようにスラブ
を所定の順番になるように準備しておくことは、何十本
ものスラブを、何日もの間貯蔵しておかなければならな
いことにつながり、在庫資産の増加、置き場スペースの
不足、鋳造後スラブの完全冷却に伴う熱エネルギーロス
や、納期の遅延といった問題を引き起こしていたのであ
る。
【0011】そこで、これらの諸問題を解決し、圧延サ
イクル作成負荷の軽減、在庫資産の削減、置き場スペー
スの節約、納期の短縮化、省エネルギー等を目的に、と
くに、仕上圧延機について、ワークロールシフト圧延機
によるロールの熱膨張や磨耗の分散、クロスロール圧延
機によるロールクラウンの可変制御下での圧延、オンラ
インロールグラインダーによるロール磨耗段差の研削に
よる解消、といった技術が長年の開発努力の末に実用化
され、スケジュールフリー圧延が除々に実現されるに至
っているのである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このスケジ
ュールフリー圧延の実現に伴って、圧延順の隣り合う被
圧延材Sについて見た場合のCTの目標も大きく変動す
るケースが生じるようになった。例えば、SUS430
(目標CT:約700℃、許容差±40℃)と、低炭素
鋼のぶりき原板(目標CT:約600℃、許容差±40
℃)のミックス圧延をするような場合を例にとると、前
の被圧延材がSUS430で、次の被圧延材が低炭素鋼
のぶりき原板であれば、目標CTの差は約100℃にも
およぶ、というようなケースが圧延サイクル内で何度も
発生する。
【0013】このような場合において、前述の特公平4
−8125号公報及び特開平3−198905号公報に
開示された学習制御では、被圧延材の先端領域の過冷却
の問題を良好に解決できない。その理由は、学習制御と
いう、1本の被圧延材の冷却制御後の巻取温度の実績を
とらえ、その目標との乖離が大きい場合には、次の被圧
延材についてその乖離を小さくしようとする、という原
理そのものにある。
【0014】具体的に説明すると、学習制御は同じ目標
CTの被圧延材が何本も続くような場合には有効である
が、圧延順の隣り合う被圧延材について目標CTが大き
く変動するような場合には逆制御の齟齬をきたしてしま
う場合があるのである。例えば、今ある1本の被圧延材
の実績CTが目標CTに対して低めに外れた(熱伝達係
数が予測より大きいのが理由と推定されている)ので、
学習制御によりその次の被圧延材の冷却は少なめにした
ところ、次の被圧延材は前の被圧延材と材質が全然異な
り、冷却開始時の被圧延材の温度も熱伝達係数が比較的
小さい領域にあったにもかかわらず、冷却は少なめに制
御した結果、逆に実績CTが高めに外れてしまう、とい
うような場合である。前の被圧延材と次の被圧延材の材
質の関係が逆の場合は同様な理由により次の被圧延材の
実績CTが低めに外れてしまう、という問題が起こる。
【0015】従って、本発明は上述の問題に鑑みてなさ
れたものであり、その目的は、スケジュールフリー圧延
を行う条件下でも、被圧延材の先端領域の巻取温度の過
冷却の問題を起こすことなく、被圧延材の全長にわたっ
て巻取温度の均一化を図ることができる、熱間圧延にお
ける被圧延金属材の冷却制御方法を提供することにあ
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】発明者らは学習制御に頼
らず、制御モデルの工夫により1本単位でのCT制御精
度を向上する、という本来の技術的アプローチ方法に立
ち返って本発明を完成した。即ち、本発明のうち請求項
1に係る熱間圧延における被圧延金属材の冷却制御方法
は、被圧延金属材を熱間仕上圧延するとともに冷却ゾー
ンにて冷却水により冷却し、冷却された前記被圧延金属
材を巻き取る熱間圧延を行う際に、前記冷却に先立っ
て、前記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パターン
を設定し、前記被圧延金属材の先端領域の仕上圧延後温
度、前記被圧延金属材の先端領域の巻取温度、及び前記
被圧延金属材の先端領域が前記冷却ゾーンを通過する際
の注水長を予測し、該予測した注水長に基づいて前記被
圧延金属材の先端領域における巻取温度の過冷却長を予
測計算により求め、前記予測した前記被圧延金属材の先
端領域の仕上圧延後温度と前記予測した被圧延金属材の
先端領域の巻取温度又は前記長手方向目標巻取温度パタ
ーンのうち前記被圧延金属材の先端領域における目標巻
取温度とに基づいて前記被圧延金属材の先端領域におけ
る巻取温度の過冷却量を予測計算により求め、求められ
た前記過冷却長及び前記過冷却量に基づいて前記被圧延
金属材の先端から前記過冷却長の終端に向けて変化する
過冷却温度パターンを予測し、該過冷却温度パターンを
前記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パターンに加
算して新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パタ
ーンとし、該新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温
度パターンを目標に、前記被圧延金属材の冷却を行うよ
うに前記冷却ゾーンにおける冷却を制御することを特徴
としている。
【0017】また、本発明のうち請求項2に係る熱間圧
延における被圧延金属材の冷却制御方法は、被圧延金属
材を熱間仕上圧延するとともに冷却ゾーンにて冷却水に
より冷却し、冷却された前記被圧延金属材を巻き取る熱
間圧延を行う際に、前記冷却に先立って、前記被圧延金
属材の長手方向目標巻取温度パターンを設定すると共に
前記被圧延金属材の長手方向目標仕上圧延後温度パター
ンを設定し、前記被圧延金属材の先端領域の巻取温度及
び前記被圧延金属材の先端領域が前記冷却ゾーンを通過
する際の注水長を予測し、該予測した注水長に基づいて
前記被圧延金属材の先端領域における巻取温度の過冷却
長を予測計算により求め、前記長手方向目標仕上圧延後
温度パターンのうち前記被圧延金属材の先端領域におけ
る目標仕上圧延後温度と前記長手方向目標巻取温度パタ
ーンのうち前記被圧延金属材の先端領域における目標巻
取温度又は前記予測した被圧延金属材の先端領域の巻取
温度とに基づいて前記被圧延金属材の先端領域における
巻取温度の過冷却量を予測計算により求め、求められた
前記過冷却長及び前記過冷却量に基づいて前記被圧延金
属材の先端から前記過冷却長の終端に向けて変化する過
冷却温度パターンを予測し、該過冷却温度パターンを前
記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パターンに加算
して新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パター
ンとし、該新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度
パターンを目標に、前記被圧延金属材の冷却を行うよう
に前記冷却ゾーンにおける冷却を制御することを特徴と
している。
【0018】発明者らは、被圧延材のCT実績を、その
属性や制御実績と共に解析し、いかなる相関関係がある
かを綿密に調査し、その結果、次のような2つの事実を
発見した。まず、1つ目の事実とは、被圧延材の先端領
域にできるCTの過冷却部の長さ(過冷却長と称す。図
8参照)、被圧延材の先端領域が通過するときの冷却ゾ
ーンにおける注水長(図7参照)、及び仕上圧延後の被
圧延材の厚みの三者の間には相関があることである。
【0019】また、2つ目の事実とは、被圧延材の先端
領域にできる過冷却量(図8参照)は、冷却ゾーンにお
ける被圧延材の温度の降下量の大小に比例することであ
る。まず、1つ目の事実についての解析の結果を図12
乃至図15に示す。図12を参照すると、注水長が長く
なるほど、過冷却長が長くなることがわかる。また、仕
上圧延後の被圧延材の厚みの別で見た場合、被圧延材の
厚みが薄いほど、注水長が短いにもかかわらず、過冷却
長が長くなることがわかる。このように、過冷却長は、
注水長と仕上圧延後の被圧延材の厚みに明確に依存して
いることがわかる。しかも、仕上圧延後の被圧延材の厚
みの別で見た場合、過冷却長は注水長に比例する関係に
あることもわかる。
【0020】被圧延材の厚みが薄いほど、注水長が短い
にもかかわらず、過冷却長が長くなる理由は以下のとお
りである。熱間圧延では原理上、被圧延材は1本1本断
続的に圧延されるため、各被圧延材は先端領域が冷却ゾ
ーンを走行する際にはテンションフリーの状態(張力が
かからない状態)になり、厚みの薄い被圧延材ほど注水
長が短くても容易に冷却により形状が歪んで平坦でない
状態になりやすく、そこに水が溜まって持ち去られる結
果、いつまでも被圧延材の平坦度が悪くて凹んでいる部
分は冷却水と接触しつづけ、しかも該部分では局部的に
熱伝達係数が高くなることも相乗して、該部分が過冷却
にたるため、と推定されるからである。ちなみに、この
テンションフリーの状態は、被圧延材の先端が巻取装置
に巻き付くまで継続する。持ち去られた冷却水は、被圧
延材の走行中に次第に流れ落ちるが、被圧延材の形状の
歪みの程度が大きい厚みの薄い被圧延材ほど溜まった冷
却水が流れ落ちにくく、その分過冷却の程度も大きくな
るもの、と推定される。
【0021】過冷却長は、注水長と仕上圧延後の被圧延
材の厚みとに依存することがわかったので、次にこれら
の関係を定量的に表現するモデル回帰式を作成すること
を考えた。まずは、仕上圧延後の被圧延材の厚みの影響
をモデル回帰式化する。注水長30mのときの各厚みに
おける過冷却長を図13に示す。この図13に示された
プロットは、 z(h)=a×h(-b)…(1) の関係式により回帰されるもの、と仮定する。ここで、
z(h)は注水長30mのときの各厚みにおける過冷却
長、hは仕上圧延後の被圧延材の厚み、a,bは回帰係
数である。次に、図13の横軸と縦軸の両方とも対数グ
ラフ上に図示すると、前述の関係式(1)は、図14に
示すように回帰直線として表現される。ここで、回帰係
数であるa、bは、それぞれ、a=600、b=2.5
4と同定された。
【0022】次に、注水長と過冷却長と仕上圧延後の被
圧延材の厚みとの関係から被圧延材の厚みの影響を排除
した場合に、注水長と過冷却長の関係がどうなるかを調
べる。それにはまず前記(1)式を用いて注水長を補正
し、補正後の注水長と過冷却長との関係がどうなるかを
プロットする。注水長の補正は、次のようにして行っ
た。
【0023】 補正後の注水長=真(補正前)の注水長×z(h)÷z(2.0)…(2) ここで、z(2.0)は、注水長30mのときの基準厚
み2.0mmにおける過冷却長である。この(2)式で
求められる補正後の注水長と過冷却長との関係は図15
に示すようにプロットされる。図15に示されたプロッ
トを回帰すると、補正後の注水長をx、過冷却長をyと
した場合、 y=0.355x …(3) の関係があることがわかった。
【0024】以上の考察から、過冷却長X(L,h)
(m)、被圧延材の先端領域が通過するときの冷却ゾー
ンにおける注水長L(m)、及び仕上圧延後の被圧延材
の厚みh(mm)の間には、次のような関係式が成立す
るものと整理される。 X(L,h)=3.55×L×z(h)÷z(2.0)…(4) z(h)=600×h(-2.54) …(5) 次に、2つ目の事実についての解析結果を図16に示
す。図16を参照すると、被圧延材温度の降下量をx、
過冷却量をyとした場合、 y=0.140x …(6) の関係があることがわかる。ここに、被圧延材温度の降
下量xとしては、仕上圧延機出側における被圧延材の温
度(Finisher Delivery Temperature:以下、FDTと略
して称す)とCTとの差(FDT−CT)をとった。
【0025】以上の考察から、CTの過冷却量Δt
(℃)と被圧延材温度の降下量(FDT−CT)(℃)
との間には、次のような関係式が成立するものと整理さ
れる。 Δt=0.140×(FDT−CT)…(7) 以上、詳細に解析した結果、発明者らは次のような結論
に至った。即ち、被圧延金属材を熱間仕上圧延するとと
もに冷却ゾーンにて冷却水により冷却し、冷却された被
圧延金属材を巻き取る熱間圧延を行う際に、冷却に先立
って、被圧延金属材の長手方向の目標巻取温度CTのパ
ターンを設定し、被圧延金属材の先端領域の仕上圧延後
温度FDT、被圧延金属材の先端領域の巻取温度CT、
及び被圧延金属材の先端領域が冷却ゾーンを通過する際
の注水長Lを予測し、予測した注水長Lに基づいて被圧
延金属材の先端領域における巻取温度CTの過冷却長X
(L,h)を予測計算により求め、予測した被圧延金属
材の先端領域の仕上圧延後温度FDTと予測した被圧延
金属材の先端領域の巻取温度CTとに基づいて被圧延金
属材の先端領域における巻取温度CTの過冷却量Δtを
予測計算により求め、求められた過冷却長X(L,h)
及び過冷却量Δtに基づいて被圧延金属材の先端から過
冷却長X(L,h)の終端に向けて変化する過冷却温度
パターンを予測し、過冷却温度パターンを被圧延金属材
の長手方向目標巻取温度CTパターンに加算して新たな
被圧延金属材の長手方向目標巻取温度CTパターンと
し、新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度CTパ
ターンを目標に、被圧延金属材の冷却を行うように冷却
ゾーンにおける冷却を制御するようにすれば、被圧延材
の全長にわたって均一なCTに制御できる。
【0026】なお、過冷却量Δtの予測計算において
は、予測した被圧延金属材の先端領域の巻取温度CTと
長手方向目標巻取温度CTパターンのうち被圧延金属材
の先端領域における目標巻取温度CTといずれに基づい
て予測計算を行っても良く、また、予測した被圧延金属
材の先端領域の仕上圧延後温度FDTと長手方向目標仕
上圧延後温度FDTパターンのうち被圧延金属材の先端
領域における目標仕上圧延後温度FDTといずれに基づ
いて予測計算をしてもよい。
【0027】そして、前述のことは、新たな被圧延金属
材の長手方向目標巻取温度CTパターン=被圧延金属材
の長手方向目標巻取温度CTパターン+過冷却量Δt×
(1−x/過冷却長X(L,h))という式で表現でき
る。ここに、xは被圧延材における最先端からの距離で
ある。
【0028】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を図面を参照
して説明する。図1は、本発明に係る被圧延金属材の冷
却制御方法が適用されるスリークォータ式の熱間圧延ラ
インの概略構成図である。図1において、熱間圧延ライ
ン1は、被圧延材Sの搬送方向上流から下流に向かう順
に、加熱炉2、複数の粗圧延機3、クロップシャー5、
デスケーリング装置6、複数の仕上圧延機9、冷却ゾー
ン15、及び巻取装置17を順次配置して構成されてい
る。そして、粗圧延機3の出側には、粗出側温度計7
が、仕上圧延機9の最終F7スタンドには、速度計10
がそれぞれ設置されている。
【0029】ここで、粗圧延機3で粗圧延された被圧延
材Sが粗出側温度計7の真下まで搬送されてきて、その
先端が粗出側温度計7の真下に到達すると、被圧延材S
の先端の温度は粗出側温度計7から計算機13に伝送さ
れる。計算機13内では、被圧延材Sの先端の温度が所
定の閾値以上であるか否かを判断し、前記温度が所定の
閾値以上である場合には、被圧延材Sの先端が粗出側温
度計7の真下に到達したと判定する。そして、計算機1
3内では、被圧延材Sの先端が粗出側温度計7の真下に
到達した、と判定したことをトリガー信号として、上位
計算機12からの被圧延金属材の長手方向目標CTパタ
ーンを設定し、それを達成するための被圧延材長手方向
の注水バンクのスプレーパターン計算が起動される。こ
の注水バンクのスプレーパターンの計算は、上位計算機
12から伝送される、前記被圧延金属材の長手方向目標
巻取温度CTパターン、被圧延材の長手方向目標仕上圧
延後温度FDTパターン、仕上圧延後の被圧延材Sの厚
み、被圧延材Sのスレッディング速度、及び被圧延材S
のトップ速度に基づいて、計算される。ここで、被圧延
金属材の長手方向目標巻取温度CTパターンは、上位計
算機12内に設定テーブルを設け、被圧延材Sの鋼種や
仕上圧延後の厚み、幅等のデータをキーとし、被圧延材
Sの先端、中間、尾端ごとに設定される。しかし、これ
に限らず、計算機13内に設定テーブルを設けて、設定
してもよい。
【0030】計算機13内で注水バンクのスプレーパタ
ーンが計算されると、被圧延材Sの先端領域の仕上圧延
後温度FDT、被圧延材Sの先端領域の巻取温度CT及
び被圧延材Sの先端領域が冷却ゾーン15を通過する際
の注水長Lが予測される。そして、計算機13は、予測
した注水長Lに基づいて前述の過冷却長X(L,h)を
予測計算により求め、さらに、予測した被圧延材Sの先
端領域の仕上圧延後温度FDTと予測した被圧延材Sの
先端領域の巻取温度CTとに基づいて前述の過冷却量Δ
tを予測計算により求める。そして、計算機13は、求
められた過冷却長X(L,h)及び過冷却量Δtに基づ
いて被圧延材Sの先端から過冷却長X(L,h)の終端
に向けて変化する前述の過冷却温度パターン{過冷却量
Δt×(1−x/過冷却長X(L,h))}を予測し、
この過冷却温度パターンを被圧延材Sの長手方向目標巻
取温度CTパターン(基本CTパターン)に加算して新
たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度CTパターン
を設定する。なお、過冷却量Δtの予測計算において
は、予測した被圧延材Sの先端領域の仕上圧延後温度F
DTと長手方向目標仕上圧延後温度FDTパターンのう
ち被圧延材Sの先端領域における目標仕上圧延後温度F
DTといずれに基づいて予測計算を行っても良く、ま
た、予測した被圧延材Sの先端領域の巻取温度CTと長
手方向目標巻取温度CTパターンのうち被圧延材Sの先
端領域における目標巻取温度CTといずれに基づいて予
測計算をしてもよい。
【0031】計算機13は、新たな被圧延金属材の長手
方向目標巻取温度CTパターンを設定した後、この新た
な長手方向目標巻取温度CTパターンを達成するための
注水バンクのスプレーパターンの計算を再度行う。この
計算は、前記長手方向目標巻取温度CTパターン、上位
計算機12から伝送される、被圧延材Sの長手方向目標
仕上圧延後温度FDTパターン、仕上圧延後の被圧延材
Sの厚み、被圧延材Sのスレッディング速度、及び被圧
延材Sのトップ速度に基づいて、被圧延材Sの長手方向
の長さ数mピッチに仮想的に区分した連続した切板(図
1(B)参照)Saごとに、概略後述の計算ロジックに
より計算される。
【0032】ここで、計算機13内での注水バンクのス
プレーパターンの計算によって予測された被圧延材Sの
先端領域の仕上圧延後温度FDTと、前記計算によって
予測された被圧延材Sの先端領域の巻取温度CTとの差
は、被圧延材S先端部の、注水開始バンク入側温度−注
水終了バンク出側温度の計算結果に相当し、また同じ
く、注水バンクのスプレーパターンの計算によって求ま
る、注水開始バンク〜注水終了バンクの距離が注水長L
に相当する。
【0033】また、被圧延材Sのスレッディング速度及
びトップ速度とは、図2に示すように、被圧延材Sを仕
上圧延する際の加減速パターン中でいえば、被圧延材S
の先端が次々と仕上圧延機9の各スタンドにオンしてい
くときの突っ掛け防止のための低い速度をスレッディン
グ速度、また、さらに被圧延材Sの先端が進行し、巻取
装置17に巻き付いた直後に加速を開始するのである
が、被圧延材製品材質確保のための温度降下補償のため
の高い速度をトップ速度と称す。図2にあっては、被圧
延材Sの先端が仕上圧延機9のF1スタンドにオンした
とき(a)から前記先端が巻取装置17に巻き付いたと
き(b)までがスレッディング速度で通板し、先端が巻
取装置17に巻き付いた直後に加速し、そしてトップ速
度を被圧延材Sの尾端がF1スタンドからオフするとき
(c)まで維持し、さらに尾端の巻取りが完了する
(d)まで減速して通板している。
【0034】注水バンクのスプレーパターンの計算ロジ
ックの概略であるが、まず、図1(B)に示すように切
板Saを取り上げて考え、その被圧延材S中の前記切板
Saが長手方向のどこに位置するか、そして仕上圧延開
始前の被圧延材Sの状態ではどの位置に相当し、該位置
での粗出側被圧延材温度実績はいくらだったのか(粗出
側温度計7により測定される)、のデータをもとに以降
の計算が行われる。前述のスレッディング速度、トップ
速度、それに各構成設備間の機械的な距離をもとに、主
要構成設備(F1、F7、冷却ゾーン15の入側及び出
側)への到達までに要する時間を計算し、次にその所要
時間をもとに冷却ゾーン15の入側へ到達するまでの放
冷による被圧延材Sの温度降下、デスケーリング装置6
によるデスケーリング水や仕上圧延機9内のスタンド間
に設置された冷却装置(図示せず)の冷却水噴射による
被圧延材Sの温度降下、仕上圧延中の加工発熱による被
圧延材Sの温度上昇などの温度変動をその切板Saごと
に計算し、その切板Saが冷却ゾーン15の入側へ到達
したときに何℃の温度になるかを計算する。そして、そ
の温度をもとに、冷却ゾーン15を通過する際にどこど
このバンクを冷却水噴射状態とすれば、前記切板Saを
目標CTまで冷却できるかを計算する。
【0035】ここで、冷却ゾーン15を通過する際にど
こどこのバンクを冷却水噴射とすれば、前記切板Saを
目標CTまで冷却できるか、あるバンク1つから冷却水
噴射した場合、そのバンクに相当するゾーンをその切板
Saが通過するのに要する時間を前述のスレッディング
速度、トップ速度、それに各構成設備間の機械的な距離
をもとに計算した結果とから、その時間でその切板Sa
が何℃まで冷却されるかを求め、それがまだ目標CTよ
りも所定値以上高い値であれば、その直下流のバンクも
噴射した場合はどうか、を次に計算する、という一連の
計算プロセスを繰り返す収束計算により求めてもよい。
【0036】このような計算された注水バンクのスプレ
ーパターンは制御装置14に伝送され、制御装置14
は、この伝送された注水バンクのスプレーパターンによ
り冷却ゾーン15による被圧延材Sの冷却を制御する。
具体的には、冷却水を噴射するバンクと対象の切板Sa
の計算機設定に基づいて多くのデータを制御装置14に
伝送し、制御装置14は、リアルタイムにその切板Sa
の冷却水を噴射する各バンクへの到達をメジャーリング
ロール4と速度計10の両者を用いたトラッキングに基
づいて判定し、バルブ開閉から冷却水の噴射開始及び噴
射停止までの遅延時間などを適宜考慮した上で、その到
達タイミングに合わせて各バンクの各ヘッダの冷却水の
噴射開始及び噴射停止のためのバルブ開閉を制御する。
【0037】以上説明したように、過冷却温度パターン
を被圧延材Sの長手方向目標巻取温度CTパターンに加
算して新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温度CT
パターンとし、この新たな目標CTパターンを目標に、
注水バンクのスプレーパターンを計算し、この計算され
た注水バンクのスプレーパターンにより冷却ゾーン15
における被圧延材Sの冷却を制御するので、被圧延材S
のCTを全長にわたって均一に制御できる。
【0038】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、本発明はこれに限定されず、種々の変更を行う
ことができる。例えば、図1に示すように、仕上圧延機
9の入側に設置された仕上入側温度計8及び仕上圧延機
9の出側に設置された仕上出側温度計11のそれぞれの
直下に切板Saが到達したときのその切板Saの温度を
予め計算によって求めておき、前記切板Saの仕上入側
温度計8による仕上入側温度実績と計算された仕上入側
温度との偏差と、前記切板Saの仕上出側温度計11に
よる仕上出側温度実績と計算された仕上出側温度との偏
差とをとらえて、適当なゲインを掛け算して冷却ゾーン
15における冷却水噴射バンク数を加減調整するフィー
ドフォワード制御を併用してもよく、また、冷却ゾーン
15の出側に設置された巻取温度計15の直下に切板S
aが到達したときのその切板Saの温度を予め計算によ
って求めておき、前記切板Saの巻取温度計15による
巻取温度実績CTと計算された巻取温度CTとの偏差を
とらえて、適当なゲインを掛け算して冷却ゾーン15に
おける冷却水噴射バンク数を加減調整するフィードバッ
ク制御を併用してもよい。あるいはまた、粗出側温度計
7ではなく、仕上入側温度計8の真下に被圧延材Sの先
端が到達したときに被圧延材長手方向の注水バンクのス
プレーパターン計算を起動するなどしてももちろんよ
い。
【0039】また、本発明は、スリークォータ式の熱間
圧延ラインに適用対象を限定するものではなく、ステッ
ケルミルやヌーコアタイプなどのその他の形式の熱間圧
延ラインにも適用でき、また、被圧延材Sも鋼に限定す
る必要はなく、アルミニウムその他の金属であってもよ
い。
【0040】
【実施例】仕上圧延後の被圧延材の厚みが3.5mm〜
4.5mm、幅が900〜1300mmのSUS430
(目標CT:約700℃、許容差±40℃)と、仕上圧
延後の被圧延材の厚みが2.0mm〜2.6mm、幅が
700〜1000mmの低炭素鋼ぶりき原板(目標C
T:約600℃、許容差±40℃)とのミックス圧延を
行う際に、それぞれの被圧延材の圧延において本発明に
係る冷却制御方法を適用し、目標CTに対する実績CT
の偏差(実績−目標)を確認した。その結果である、前
記偏差と圧延本数との関係を図3に示す。
【0041】図3において、●印がSUS430、○印
がぶりき原板を表し、プロットはそれぞれ、仕上圧延前
のシートバーに換算して被圧延材の先端から1mの点に
ついての偏差を示す。図3を参照すると、この偏差がS
US430、ぶりき原板のいずれの場合にあっても、圧
延本数にかかわらず、±20℃以内に制御され、極めて
制御精度が良好であることがわかる。
【0042】一方、従来の学習制御を、前述と同様な被
圧延材群の同様な圧延順での圧延に適用し、目標CTに
対する実績CTの偏差を確認した。その結果である、偏
差と圧延本数との関係を図4に示す。図4においても、
●印がSUS430、○印がぶりき原板を表し、プロッ
トはそれぞれ、仕上圧延前のシートバーに換算して被圧
延材の先端から1mの点についての偏差を示している。
図4を参照すると、SUS430からぶりき原板に、ま
た、ぶりき原板からSUS430に切り替わった直後の
対象被圧延材は逆制御になる傾向があり、特に、SUS
430からぶりき原板に切り替わった直後のぶりき原板
は、偏差が許容差である40℃を超えてしまうことがあ
り、品質不良となってしまう場合があることがわかる。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る熱間圧延における被圧延金
属材の冷却制御方法によれば、被圧延金属材の先端から
過冷却長の終端に向けて変化する過冷却温度パターンを
予測し、この過冷却温度パターンを被圧延金属材の長手
方向目標巻取温度パターンに加算して新たな被圧延金属
材の長手方向目標巻取温度パターンとし、新たな被圧延
金属材の長手方向目標巻取温度パターンを目標に、被圧
延金属材の冷却を行うように冷却ゾーンにおける冷却を
制御するので、スケジュールフリー圧延を行う条件下で
も、被圧延材の先端領域の巻取温度の過冷却の問題を起
こすことなく、被圧延材の全長にわたって巻取温度の均
一化を図ることができ、高品質の製品を製造することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る熱間圧延における被圧延金属材の
冷却制御方法が適用される熱間圧延ラインの概略構成図
である。
【図2】被圧延材を仕上圧延する場合の速度について説
明するための模式グラフである。
【図3】本発明の冷却制御方法を適用した場合の、目標
CTに対する実績CTの偏差と、圧延本数との関係を示
すグラフである。
【図4】従来の学習制御による冷却制御方法を適用した
場合の、目標CTに対する実績CTの偏差と、圧延本数
との関係を示すグラフである。
【図5】一般的なスリークォータ式の熱間圧延ラインの
概略構成図である。
【図6】一般的な冷却水噴射用ヘッダの概略構成図であ
る。
【図7】従来の冷却制御方法を説明するための模式図で
ある。
【図8】図7に示した冷却制御方法によって制御された
被圧延材のCT実績を示すグラフである。
【図9】被圧延材の先端領域に水溜まりが形成されてい
る状態の説明図である。
【図10】被圧延材の先端領域に水溜まりが形成されて
いる状態の説明図である。
【図11】スケジュールフリー圧延について説明するた
めの図である。
【図12】本発明に至る解析結果の一部を説明するため
の、過冷却長と仕上圧延後の被圧延材の厚みと注水長と
の関係を示すグラフである。
【図13】本発明に至る解析結果の一部を説明するため
の、注水長30mのときの過冷却長と仕上圧延後の被圧
延材の厚みとの関係を示すグラフである。
【図14】図13における縦軸及び横軸の双方を対数グ
ラフ上に図示したグラフである。
【図15】本発明に至る解析結果の一部を説明するため
の、過冷却長と補正後の注水長との関係を示すグラフで
ある。
【図16】本発明に至る解析結果の一部を説明するため
の、過冷却量と被圧延材温度の降下量との関係を示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 熱間圧延ライン 2 加熱炉 3 粗圧延機 4 メジャーリングロール 5 クロップシャー 6 デスケーリング装置 7 粗出側温度計 8 仕上入側温度計 9 仕上圧延機 10 速度計 11 仕上出側温度計 12 上位計算機 13 計算機 14 制御装置 15 冷却ゾーン 16 巻取温度計 17 巻取装置 S 被圧延材 Sa 切板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被圧延金属材を熱間仕上圧延するとともに
    冷却ゾーンにて冷却水により冷却し、冷却された前記被
    圧延金属材を巻き取る熱間圧延を行う際に、前記冷却に
    先立って、前記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パ
    ターンを設定し、前記被圧延金属材の先端領域の仕上圧
    延後温度、前記被圧延金属材の先端領域の巻取温度、及
    び前記被圧延金属材の先端領域が前記冷却ゾーンを通過
    する際の注水長を予測し、該予測した注水長に基づいて
    前記被圧延金属材の先端領域における巻取温度の過冷却
    長を予測計算により求め、前記予測した前記被圧延金属
    材の先端領域の仕上圧延後温度と前記予測した被圧延金
    属材の先端領域の巻取温度又は前記長手方向目標巻取温
    度パターンのうち前記被圧延金属材の先端領域における
    目標巻取温度とに基づいて前記被圧延金属材の先端領域
    における巻取温度の過冷却量を予測計算により求め、求
    められた前記過冷却長及び前記過冷却量に基づいて前記
    被圧延金属材の先端から前記過冷却長の終端に向けて変
    化する過冷却温度パターンを予測し、該過冷却温度パタ
    ーンを前記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パター
    ンに加算して新たな被圧延金属材の長手方向目標巻取温
    度パターンとし、該新たな被圧延金属材の長手方向目標
    巻取温度パターンを目標に、前記被圧延金属材の冷却を
    行うように前記冷却ゾーンにおける冷却を制御すること
    を特徴とする熱間圧延における被圧延金属材の冷却制御
    方法。
  2. 【請求項2】被圧延金属材を熱間仕上圧延するとともに
    冷却ゾーンにて冷却水により冷却し、冷却された前記被
    圧延金属材を巻き取る熱間圧延を行う際に、前記冷却に
    先立って、前記被圧延金属材の長手方向目標巻取温度パ
    ターンを設定すると共に前記被圧延金属材の長手方向目
    標仕上圧延後温度パターンを設定し、前記被圧延金属材
    の先端領域の巻取温度及び前記被圧延金属材の先端領域
    が前記冷却ゾーンを通過する際の注水長を予測し、該予
    測した注水長に基づいて前記被圧延金属材の先端領域に
    おける巻取温度の過冷却長を予測計算により求め、前記
    長手方向目標仕上圧延後温度パターンのうち前記被圧延
    金属材の先端領域における目標仕上圧延後温度と前記長
    手方向目標巻取温度パターンのうち前記被圧延金属材の
    先端領域における目標巻取温度又は前記予測した被圧延
    金属材の先端領域の巻取温度とに基づいて前記被圧延金
    属材の先端領域における巻取温度の過冷却量を予測計算
    により求め、求められた前記過冷却長及び前記過冷却量
    に基づいて前記被圧延金属材の先端から前記過冷却長の
    終端に向けて変化する過冷却温度パターンを予測し、該
    過冷却温度パターンを前記被圧延金属材の長手方向目標
    巻取温度パターンに加算して新たな被圧延金属材の長手
    方向目標巻取温度パターンとし、該新たな被圧延金属材
    の長手方向目標巻取温度パターンを目標に、前記被圧延
    金属材の冷却を行うように前記冷却ゾーンにおける冷却
    を制御することを特徴とする熱間圧延における被圧延金
    属材の冷却制御方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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