JP2020157364A - H形鋼の製造方法 - Google Patents

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拓弥 藤沢
Takuya Fujisawa
拓弥 藤沢
啓之 福田
Hiroyuki Fukuda
啓之 福田
上岡 悟史
Satoshi Kamioka
悟史 上岡
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Abstract

【課題】加速冷却した場合にあってもウェブに座屈を回避してウェブ波を発生させない、H形鋼の製造方法の提供。【解決手段】鋼素材に粗圧延、次いで仕上圧延を施して1対のフランジ1およびウェブ2からなるH形鋼を製造するに当たり、前記仕上圧延後に、フランジ平均温度とウェブ平均温度との差が特定の範囲を満足する冷却を行う。【選択図】図8

Description

本発明は、H形鋼の製造方法、特にH形鋼の薄肉ウェブに形状不良を招くことのないH形鋼の製造方法に関する。
建築物の梁および柱に用いられる、圧延によって製造される圧延H形鋼(以下、H形鋼という)は、図1(a)に示すような断面形状を有する。すなわち、H形鋼は、比較的厚さの厚い部位であるフランジ1を1対で有し、このフランジ1の対を比較的厚さの薄い部位であるウェブ2を介して連結してなる。
かような断面形状を有する、H形鋼は、例えば図2に示す製造設備にて製造されるのが一般的である。すなわち、鋼素材を粗圧延機3にて断面H形状に粗造形圧延し、その後粗造形材を中間圧延機4により中間圧延した後、仕上圧延機5で仕上圧延が施され、図1(a)に示した断面形状に造形される。この熱間圧延工程中もしくはその後に、フランジ相当部分に対して冷却処理が施される。図2の製造設備では、中間圧延機4の入出側の各々に水冷装置6が、そして中間圧延機4と仕上圧延機5との間に水冷装置7および8が、配置され、各水冷装置によりフランジ1の外面が水冷され、H形鋼が製造される。更に、高強度鋼を用いるH形鋼は、鋼材の組織制御のために、仕上圧延機5の出側にて、冷却装置9により加速冷却処理される。
上記した製造工程中、フランジ1とウェブ2の板厚差やフランジ冷却のため、フランジ1とウェブ2との間に温度差が生じ、これに起因して、図1(b)に示すようにウェブ2が長手方向に波状に変形する、いわゆるウェブ波と称する形状不良が生じる問題がある。一旦、ウェブ波が発生すると、このウェブ2を平坦に矯正することは不可能に近いため、ウェブ波の発生を未然に防止する必要がある。ここで、ウェブ波発生の主な原因は、フランジとウェブとの温度差に起因した熱収縮の差であり、ウェブ波の発生を防止するには、前記温度差を抑制する必要がある。そのために、前記温度差を管理すべき工程は、大きく分けて、仕上圧延終了後および仕上圧延後に行う冷却処理中の二つである。
まず、仕上圧延終了後において、フランジとウェブとの温度差に起因するウェブ波の発生メカニズムについて説明する。図1(a)に示すように、H形鋼の断面形状は通常フランジ1の厚さがウェブ2の厚さよりも厚くなっているため、製造過程でウェブ2の冷却速度がフランジ1に比較して速くなり、仕上圧延終了後にはフランジ温度がウェブ温度よりも高くなる傾向にある。特にウェブ厚が薄い場合には、フランジ温度がウェブ温度よりも200 ℃以上も高くなる場合がある。かように仕上圧延終了時にウェブおよびフランジ間に温度差がある状態にて、そのまま室温まで冷却されると、ウェブ2に比べフランジ1の熱収縮量が大きいために、図3に示すように、フランジ1には引張応力が発生する一方、ウェブ2には圧縮応力が発生する。そして、ウェブ2の圧縮応力が臨界座屈応力を超えると、ウェブ波が発生することになる。以上のように、仕上圧延終了後の温度差が原因となり発生する、ウェブ波を圧延後座屈と呼ぶ。
次に、仕上圧延終了後に行う冷却処理において、フランジ冷却中のフランジとウェブとの温度差に起因する、ウェブ波の発生メカニズムについて説明する。通常、H形鋼を製造する際、材質確保の観点から仕上圧延後にフランジやウェブに、例えば冷却速度が5℃/s以上の加速冷却が行われる。しかしながら、フランジが強冷却されて大きく収縮すると、反力としてウェブに大きな圧縮応力が発生する。そして、ウェブ2の圧縮応力が臨界座屈応力を超えるとウェブ波が発生することになる。以上のように、仕上圧延後のフランジの過冷却によって発生する、ウェブ波を冷却中座屈と呼ぶ。
従来、仕上圧延終了後のフランジとウェブの温度差に起因する、圧延後座屈を防止するための種々の提案がなされている。例えば、特許文献1では、仕上圧延前の工程でウェブよりも高温となるフランジを冷却し、圧延後座屈の原因となるフランジとウェブとの温度差を規定された温度以下にすることによって、圧延後座屈を防止できるとしている。
特許文献2では、仕上圧延時もしくは仕上圧延後の工程でフランジを冷却し、フランジに引張塑性歪みを与え室温時の熱収縮差を低減させることによって、圧延後座屈を防止できるとしている。
また、仕上圧延後のフランジ冷却中のフランジとウェブの温度差に起因する冷却中座屈を防止するための提案もなされている。例えば、特許文献3では、仕上圧延後の工程でフランジを冷却する際、フランジの温度降下量を規定された温度以下にすることにより冷却中座屈を防止できるとしている。
特開昭58−93819号公報 特公昭58−93820号公報 特開平6−170431号公報
しかしながら、特許文献1に開示された技術は、仕上圧延前の工程でウェブよりも高温となるフランジを冷却し、圧延後座屈の原因となるフランジとウェブの温度差を規定された温度以下にすることで圧延後座屈を防止するものであり、材質確保のために仕上圧延後の冷却工程にて、フランジの加速冷却中に発生する冷却中座屈は考慮されていない。したがって、特許文献1に記載の技術だけでは、材質確保のために仕上圧延後の冷却工程にてフランジを加速冷却した際の、ウェブ波の発生は防止できないことが問題であった。
特許文献2に開示された技術は、仕上圧延後の自然放冷開始時にフランジを冷却し、フランジに引張塑性歪みを与え室温時の熱収縮差を低減させることにより、圧延後座屈を防止する技術であるが、フランジを冷却しすぎるとかえって、冷却中座屈を発生させるといった問題点があった。さらに、特許文献1に記載の技術と同様、仕上圧延後の冷却工程にてフランジを加速冷却した際の、ウェブ波の発生は防止できない。
特許文献1および2に記載の技術に対して、特許文献3に開示された技術は、冷却中座屈をも防止するものである。ところで、近年、H形鋼の高強度化および省合金化を所期して、仕上圧延後の冷却工程においてフランジを冷却速度5℃/s以上で急冷する、いわゆる加速冷却をすることが通例になってきている。この加速冷却において、フランジは短時間で大幅に温度降下し熱収縮するため、ウェブ波がより一層発生しやすい状況にある。特許文献3には、仕上圧延後のフランジ冷却における冷却速度について記載がなく、上記の加速冷却を実施した際の冷却中座屈の防止までは保証されていない。
本発明は、上記従来例の問題点を解決するためになされたものである。すなわち、仕上圧延後の冷却中のフランジとウェブの許容温度差を具体的に設定することにより、加速冷却した場合にあってもウェブに座屈を回避してウェブ波を発生させないH形鋼の製造方法について提案することを目的とする。
発明者らが上記した課題を解決する方途について鋭意究明したところ、仕上圧延後の加速冷却によるウェブ波の発生を防止するためには、H形鋼の冷却処理条件をフランジの平均温度とウェブの平均温度との差によって決定することが有効であることを見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
1.鋼素材に粗圧延、次いで仕上圧延を施して1対のフランジおよびウェブからなるH形鋼を製造するに当たり、
前記仕上圧延後に、下記式(1)を満足する冷却を行うH形鋼の製造方法。

Figure 2020157364
ここで
α:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブの線膨張係数
v:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのポアソン比
tW:仕上圧延終了後のウェブ厚
W:仕上圧延終了後のウェブ高さ
σYP:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブの降伏応力
E:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのヤング率
ΔTUF:仕上圧延終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度との差
ΔT:冷却終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度との差
2.前記ウェブは、ウェブ高さWに対するウェブ厚tの比t/Wが0.02未満である前記1に記載のH形鋼の製造方法。
3.仕上圧延機の出側に設置された前記フランジの外側面及び前記ウェブの下面に向けた冷却ノズルからの冷却水の供給により、冷却終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度とを制御する前記1または2に記載のH形鋼の製造方法。
本発明によれば、圧延H形鋼を製造する際、冷却中のフランジとウェブとの温度差を所定範囲内に制御することによってウェブ波を発生することのない製造を実現できる。特に、ウェブ高さWに対するウェブ厚さtの比であるアスペクト比t/Wが0.02未満の薄肉ウェブを有するH形鋼は、ウェブ波が発生しやすいことから、かようなH形鋼に対して偉効を奏する。
圧延H形鋼の断面を示す図およびウェブ波の断面を示す図である。 中間圧延機、仕上圧延機、フランジ冷却装置の配置を示す図である。 圧延H形鋼の残留応力分布を示す図である。 仕上圧延後のフランジ加速冷却において、ウェブ波が生じるフランジとウェブの平均温度差とウェブアスペクト比(=t/W)の関係を示す図である。 仕上圧延後にフランジを加速冷却した場合のフランジとウェブの平均温度の熱履歴を示す図である。 限界アスペクト比以下で、ウェブ振幅およびフランジとウェブの平均温度差の関係を示す図である。 限界アスペクト比以上で、ウェブ振幅およびフランジとウェブの平均温度差の関係を示す図である。 フランジ水冷ノズルとウェブ水冷ノズルを示す図である。
通常、H形鋼においてウェブに座屈が生じない最大応力である、臨界座屈応力は、ウェブ厚tとウェブ高さWによって決まるとされる。ウェブ厚tが薄い程、ウェブ高さWが大きい程、臨界座屈応力は小さくなってウェブ波が発生しやすくなる。近年では、H形鋼のウェブの薄肉かつ広幅化の製品需要があり、かような製品においてウェブ波はより一層発生しやすくなっている。さらに、H形鋼の高強度化や省合金化(良溶接性)に対する要請の高まりも相俟って、近年では、材質確保の観点から仕上圧延後にフランジの加速冷却が実施されている。そのため、フランジは大きく温度降下し収縮することになり、ウェブ波はより一層発生しやすくなっている。
そこで、発明者らは、前記の冷却中に座屈が発生するフランジ平均温度とウェブ平均温度との差△TCRを求めるべく、以下のように検討した。ここで、フランジ平均温度およびウェブ平均温度とは、フランジとウェブそれぞれの長手方向における温度を平均化したものである。
まず、H形鋼のウェブ波はウェブに作用するウェブ長手方向の圧縮応力によって生ずると考え、ウェブを板厚tおよび幅Wの板と仮定し、弾性座屈理論によりウェブの臨界座屈応力σCRを次式(2)で定義する。
Figure 2020157364
ここで、
v:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのポアソン比
t:仕上圧延終了後のウェブ厚
W:仕上圧延終了後のウェブ高さ
E:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのヤング率
k:板の境界条件に依存する座屈係数
次に、前記仕上圧延後の冷却中のフランジとウェブの平均温度差ΔT、圧縮応力σtを次式(3)と仮定する。
Figure 2020157364
ここで、
α:冷却中の線膨張係数
△TUF: 仕上圧延終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度との差
上記の式(2)および式(3)から、冷却中のフランジとウェブの平均温度差△Tについて解くと、ウェブに臨界座屈応力が生じるときのフランジとウェブとの限界温度差ΔTCRが次式(4)で算出できる。
Figure 2020157364
ただし、圧延H形鋼のウェブとフランジとが結合する境界部における収縮に関する条件(境界条件)を示す係数kは、未だ明らかにされていない。そこで、発明者らは、ウェブが比較的広幅であるW:600 mm以上となるH形鋼は、ウェブ波が2mm以上となると平坦矯正が非常に困難であるため、ウェブの振幅2mm以上をウェブ波と定義し、種々のサイズの圧延H形鋼についてフランジとウェブとの間に温度差を与え、ウェブの振幅が2mm以上となるフランジとウェブの温度差を検討した。その検討結果を図4に示す。
ここで、図4の縦軸はウェブの振幅が2mmとなったときの仕上圧延後の冷却終了後のフランジとウェブの平均温度差△Tと、仕上圧延終了後のフランジとウェブの平均温度差△TUFの和を表し、横軸はウェブ厚とウェブ高さの比を表している。ウェブ波が発生した場合を×印、ウェブ波が発生していない場合を○印と示す。図4の結果に対して、ウェブ波が発生するウェブとフランジの温度差は式(4)の係数kを1.8とすることでよく表現でき、これを線14で示している。すなわち、図4より線14を境に○印と×印とが区分けされていることが分かる。
ただし、図4中ウェブアスペクト比t/Wが0.013のとき、式(4)以上にも関わらず、ウェブ波は発生していなかった。これは、上記の式(4)は弾性力学から導かれたものであり、ウェブの弾塑性状態を反映させていないことが原因であり、このウェブの弾塑性状態を考慮する必要がある。すなわち、ウェブに塑性変形が生じる場合の、ウェブおよびフランジ間の平均温度差ΔTYPは、弾塑性力学から次式(5)で表される。
Figure 2020157364
ここで、
σYP:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブの降伏応力
この温度差ΔTYPについても、図4に線15として併記した。なお、ウェブに塑性変形が生じるフランジの平均温度とウェブの平均温度の差ΔTYPは、ウェブ温度に依存する。図4より、ウェブアスペクト比t/Wが、ウェブに塑性変形が生じる値(図中の線16、以下、限界アスペクト比と呼ぶ)より大きい領域では、仕上圧延後フランジを加速冷却してフランジの平均温度とウェブの平均温度の差ΔTを大きくした場合、ウェブに塑性変形が生じるよりも先に、ウェブ波が発生する。一方、t/Wがウェブ限界アスペクト比より小さい領域では、仕上圧延後フランジを加速冷却してフランジの平均温度とウェブの平均温度の差を大きくした場合、ウェブ波が発生するよりも先にウェブに塑性変形が生じる。
図5(a)は、仕上圧延後にフランジを加速冷却した場合のフランジとウェブの平均温度の熱履歴の一例を示し、図5(b)はこのときのフランジの平均温度とウェブの平均温度の差の履歴を示す。図5(a)および(b)の線17はフランジ、線18はウェブの平均温度を表しており、線19はフランジ加速冷却開始、線20はフランジ加速冷却終了を表している。図5から明らかなように、仕上圧延後のフランジ加速冷却により、フランジの平均温度とウェブの平均温度の差ΔTは増加する。
図6は、前記した限界アスペクト比未満における、ウェブ振幅およびフランジの平均温度とウェブの平均温度の差の関係を示す図である。図6(a)に示すように、仕上圧延後のフランジ加速冷却によりフランジの平均温度とウェブの平均温度の差△Tを増加させウェブ波が発生する温度差である線14まで冷却しても、ウェブに塑性変形が生じる温度差である線15まで冷却しなかった場合、常温でウェブ波が残留しない。一方、図6(b)に示すように、仕上圧延後のフランジ加速冷却によりフランジとウェブの温度差を増加させウェブ波が発生する温度差である線14、さらにはウェブに塑性変形が生じる温度差である線15まで冷却した場合、常温でウェブ波が残留する。換言すれば、限界アスペクト比未満は仕上圧延後のフランジの加速冷却時に、フランジとウェブの平均温度差を式(4)未満に制御すれば、常温でウェブ波は発生しないことになる。
図7は、限界アスペクト比超における、ウェブ振幅およびフランジとウェブの平均温度差の関係を示す図である。図7(a)に示すように、仕上圧延後のフランジ加速冷却によりフランジとウェブの平均温度差ΔTを増加させウェブに塑性変形が生じる温度差である線15まで冷却しても、ウェブ波が発生する温度差である線14まで冷却しなかった場合、常温でウェブ波は発生しない。一方、図7(b)に示すように、仕上圧延後のフランジ加速冷却によりフランジとウェブの温度差を増加させウェブに塑性変形が生じる温度差である線15、さらにはウェブ波が発生する温度差である線14まで冷却した場合、常温でウェブ波が残留した。換言すれば、限界アスペクト比超では仕上圧延後のフランジの加速冷却時に、フランジとウェブの平均温度差を限界温度差である式(5)未満に制御すれば、常温でウェブ波は発生しないことになる。
すなわち、ウェブの弾塑性状態まで考慮するとき、限界アスペクト比未満となるサイズのH形鋼では、フランジとウェブの平均温度差を式(4)未満に制御すれば、常温でウェブ波は発生しない。一方、限界アスペクト比超となるサイズのH形鋼では、フランジとウェブの平均温度差を式(5)未満に制御すれば常温でウェブ波は発生しない。
以上述べた過程を経て、上記した式(1)を導くに到ったのであり、該式(1)を満足する冷却を行うことによって、H形鋼におけるウェブ波の発生をサイズに関わらず未然に防ぐことができる。
次に、本発明に係る方法を実施するための装置の一具現化例について説明する。なお、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定されるものではなく、本発明の技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
さて、フランジの材質を確保しつつ冷却中座屈を防止するには、仕上圧延後加速冷却中におけるフランジとウェブの平均温度差ΔTを、上記の通り目標の温度差以下となるように制御する必要がある。
そのためには、図2に示すように、中間圧延機4の入出側および仕上圧延機5の入側に、水冷装置6、7および8を備え、かつ仕上圧延機5の出側終了後に、材質確保のために加速冷却を行う冷却装置9を備える製造設備を用いることが好ましい。さらに、水冷装置7および8の上流側並びに、水冷装置9の上流および下流側において、ウェブおよびフランジの表面温度を測定するための、温度計10、 11、 12および13を備えることが好ましい。特に、加速冷却用の冷却装置9の上流側に設置された温度計12により計測された表面温度からウェブとフランジの平均温度を演算し、加速冷却中のウェブとフランジの平均温度差ΔTが、上記した(1)式に従う許容範囲内に収まるかを判断する必要がある。
このとき、材質確保のためフランジの加速冷却を低温まで実施する必要があり、式(1)を満たすのが困難な場合には、ウェブ冷却の適用により(1)式に従う許容範囲内にΔTを収めることができる。かようなウェブ冷却を行うためには、図8に冷却装置9の具体的構成を示すように、フランジ1の冷却を司る水冷ノズル22に加えて、ウェブ2の冷却を司る冷却ノズル23を設けることが好ましい。その際、ウェブ2の冷却を上面から実施すると冷却水が排水されず、ウェブ2上に冷却水が滞留して温度コントロールが困難となることから、ウェブ2の下面側のみに水冷ノズルを設置するのが好適である。
なお、ウェブの臨界座屈応力σCRに及ぼす熱収縮の影響は無視できる程度に小さいため、ウェブ厚tWとウェブ高さWには仕上圧延後の寸法を用いることができる。
C:0.15 mass%および Mn:1.3 mass%を主成分とする、ウェブ高さW:700 mm、 フランジ幅W:200 mm、 ウェブ厚t:9mmおよびフランジ厚t:19 mmの圧延H形鋼と、ウェブ高さW:800 mm、 フランジ幅W:400 mm、 ウェブ厚t:16 mmおよびフランジ厚t:25 mmの圧延H形鋼とを、図2に示した製造装置を用いて、表1に示す条件の下に製造した。表1において、ΔTYPはウェブに塑性変形が生じるフランジの平均温度とウェブの平均温度との差(上式(5)から導出)、ΔTCRはウェブ波が生じるフランジの平均温度とウェブの平均温度との差(上式(4)から導出)、ΔTUFは、仕上圧延終了後のフランジの平均温度とウェブの平均温度との差、ΔTは加速冷却中のフランジの平均温度とウェブの平均温度との差である。
すなわち、発明例1では、仕上圧延機5の入側に設置した水冷装置6、7および8にてフランジを水冷し、その際、水冷装置7および8の水冷時間を調整することにより、仕上圧延終了後のフランジの平均温度とウェブ平均温度との差ΔTUFを−18 ℃とした。次いで、仕上圧延機5の後方に設置された水冷装置9にてフランジに加速冷却を行い、フランジの加速冷却終了後のフランジの平均温度とウェブの平均温度との差ΔTを39 ℃とした。なお、加速冷却は平均冷却速度17℃/sで行い、さらにウェブ下面冷却(平均冷却速度:9 ℃/s)を実施した。
この発明例1では、ウェブ波が発生しなかった。これは、ウェブ波発生温度差ΔTCR2が62℃であるのに対して、加速冷却終了後の温度差ΔTが39 ℃と、ウェブ波発生温度差ΔTCR未満になっていたためである。
比較例1では、仕上圧延機の入側に設置した水冷装置6、7および8にてフランジを水冷し、その際、水冷装置7および8の水冷時間を調整することにより、仕上圧延終了後のフランジの平均温度とウェブ平均温度との差ΔTUFを−13 ℃とした。次いで、仕上圧延機5の後方に設置された水冷装置9にてフランジに加速冷却を行い、フランジの加速冷却終了後のフランジの平均温度とウェブの平均温度との差ΔTを72 ℃とした。なお、加速冷却の条件は、上記の発明例1と同じであるが、ウェブ下面冷却を実施していない。この比較例1では、ウェブ波が発生した。これは、ウェブ波発生温度差ΔTCRが59 ℃であるのに対して、加速冷却終了後の温度差ΔTが72 ℃と、ウェブ波発生温度ΔTCR以上になっていたためである。
発明例2では、仕上圧延機5の入側に設置した水冷装置6、7および8にてフランジを水冷し、その際、水冷装置7および8の水冷時間を調整することにより、仕上圧延終了後のフランジの平均温度とウェブ平均温度との差ΔTUFを−15 ℃とした。次いで、仕上圧延機5の後方に設置された水冷装置9にてフランジに加速冷却を行い、フランジの平均温度とウェブの平均温度との差ΔTを60 ℃とした。なお、加速冷却は、冷却速度10 ℃/sで行い、さらにウェブ下面冷却(平均冷却速度:4℃/s)を実施した。
この発明例2では、ウェブ波が発生しなかった。これは、ウェブ波発生温度差ΔTCRが78 ℃であるのに対して、加速冷却終了後の温度差ΔTが60 ℃と、ウェブ波発生温度差ΔTCR未満になっていたためである。
比較例2では、仕上圧延機の入側に設置した水冷装置6、7および8にてフランジを水冷し、その際、水冷装置7,8の水冷時間を調整することにより、仕上圧延終了後のフランジの平均温度とウェブ平均温度との差ΔTUFを−20 ℃とした。次いで、仕上圧延機5の後方に設置された水冷装置9にてフランジに加速冷却を行い、フランジの加速冷却終了後のフランジの平均温度とウェブの平均温度との差ΔTを80 ℃とした。なお、加速冷却の条件は、上記の発明例2と同じであるが、ウェブ下面冷却を実施していない。
この比較例2では、ウェブ波が発生した。これは、ウェブ波発生温度差が73 ℃であるのに対して、加速冷却終了後の温度差ΔTが80 ℃と、ウェブ波発生温度ΔTCR以上になっていたためである。
Figure 2020157364
1 フランジ
2 ウェブ
3 粗圧延機
4 中間圧延機
5 仕上圧延機
6、7、8 冷却装置
9 (加速冷却用)冷却装置
10、11、12、13 温度計
14 ウェブの振幅が2mmとなるフランジとウェブの平均温度差
15 ウェブに塑性変形が生じるフランジとウェブの平均温度差
16 限界アスペクト比
17 フランジの平均温度
18 ウェブの平均温度
19 フランジの加速冷却開始
20 フランジの加速冷却終了
21 ウェブ振幅が2mmとなる基準線
22 フランジ水冷ノズル
23 ウェブ水冷ノズル

Claims (3)

  1. 鋼素材に粗圧延、次いで仕上圧延を施して1対のフランジおよびウェブからなるH形鋼を製造するに当たり、
    前記仕上圧延後に、下記式(1)を満足する冷却を行うH形鋼の製造方法。

    Figure 2020157364
    ここで
    α:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブの線膨張係数
    v:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのポアソン比
    tW:仕上圧延終了後のウェブ厚
    W:仕上圧延終了後のウェブ高さ
    σYP:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブの降伏応力
    E:冷却中のウェブ平均温度におけるウェブのヤング率
    ΔTUF:仕上圧延終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度との差
    ΔT:冷却終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度との差
  2. 前記ウェブは、ウェブ高さWに対するウェブ厚tの比t/Wが0.02未満である請求項1に記載のH形鋼の製造方法。
  3. 仕上圧延機の出側に設置された前記フランジの外側面及び前記ウェブの下面に向けた冷却ノズルからの冷却水の供給により、冷却終了後のフランジ平均温度とウェブ平均温度とを制御する請求項1または2に記載のH形鋼の製造方法。






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