JP2000061501A - U形鋼矢板の製造方法 - Google Patents

U形鋼矢板の製造方法

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JP2000061501A
JP2000061501A JP24097898A JP24097898A JP2000061501A JP 2000061501 A JP2000061501 A JP 2000061501A JP 24097898 A JP24097898 A JP 24097898A JP 24097898 A JP24097898 A JP 24097898A JP 2000061501 A JP2000061501 A JP 2000061501A
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Teruo Fujibayashi
晃夫 藤林
Makoto Nakaseko
誠 中世古
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大幅な設備変更やパススケジュール等の変更
をすることなく、且つ能率を低下させることなく、圧延
後に生じる変形を低減させる。 【解決手段】 フランジ温度がAr1温度以下で仕上げ
圧延を終了し、仕上げ圧延終了時のフランジ及びウエブ
の常温までに冷却される際の収縮量がほぼ同じとなるウ
エブ温度で仕上げ圧延を終了するように、仕上げ圧延及
びその上流側圧延工程において、ウエブ、又はウエブ及
びフランジを冷却しながら圧延する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、圧延法によるU形
鋼矢板の製造方法に関し、特に圧延後に生じる変形の低
減に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、熱間圧延された形鋼は圧延中に
生じた各部位の温度差から圧延後に製品が熱歪みによっ
て変形し、その断面形状が複雑なもの、特にウエブとフ
ランジの厚みが異なる形鋼においてはその変形量が大き
く、問題となっていた。U形鋼矢板は、異なる厚みのウ
ェブとフランジを圧延機によって圧延しながら造形する
ので、最終仕上げ圧延の終了時にはウエブの温度とフラ
ンジの温度とは大きく異なり、冷却床で自然冷却される
と、冷却が進むにつれて大きな歪みがウエブとフランジ
との間に生じる。特に近年土木用の部材として用いられ
るU形鋼矢板は、建設工数や工事費削減のために大形化
しており、幅の広いU形鋼矢板が求められるようになっ
てきた。このU形鋼矢板は従来のものに比べてその幅が
500mm以上と大きく、それに伴って強度を持たせる
ためにウエブが厚く、ウエブとフランジの厚みの差が大
きくなっている。
【0003】このようにウエブ厚みとフランジ厚みが異
なるU形鋼矢板を圧延法によって製造すると、加熱炉か
ら粗圧延、仕上げ圧延と工程を経るにしたがって、厚み
の厚いウエブの温度が、厚みの薄いフランジの温度より
高くなりその温度差は徐々に広がっていく。従って、仕
上げ圧延が終了した時点では50〜120゜C程度の温
度差が生じ、仕上げ圧延終了時に曲がりの無い良好な状
態であっても冷却床で自然冷却中に温度が下がるにした
がって、通常はウエブ面を内側に反りが生じはじめる。
この反りはウエブ、フランジが常温に至った時点で最大
となる。このような反りの生じたU形鋼矢板は、形鋼で
通常用いられる、複数ロールの繰り返し曲げによって歪
みを除去する矯正機で矯正することが難しかった。
【0004】上述のようなU形鋼矢板の製造方法として
は、特開昭55−92225号公報に示されるフランジ
が変態終了するまでは圧延材を真直に拘束して後行のウ
エブの変態時には拘束を解いて放冷する方法(以下先行
技術1とする)、特開昭58−215203号公報に示
される仕上げ圧延時のウエブとフランジの温度差を50
゜C以下に保持させると共に圧延後の冷却姿勢をU字と
する方法(以下先行技術2とする)、特開昭63−28
1709号公報に示されるウエブ温度が500〜700
゜Cで断面温度差に応じて逆反りを与える方法(以下先
行技術3とする)がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の先行技術1〜3では以下に示される課題がある。 (a)冷却中に拘束する先行技術1や逆反りを与える先
行技術3では、材料を固定する設備が必要となり、特
に、近年求められている前述の大形U形鋼矢板等を製造
するに際しては、必要とされる拘束力あるいは曲げ矯正
力が大きく、実施には膨大な設備費がかかる。
【0006】(b)また、圧延後の仕上がり温度をウエ
ブとフランジとの温度差を50゜C以内とし、圧延後の
冷却姿勢をU字とする方法(先行技術2)では、仕上げ
圧延終了時のウエブ、フランジの温度差はウエブ、フラ
ンジの厚みによって異なるため、50゜C以内とするこ
とは困難であり、更にウエブとフランジの厚みの組み合
わせによっては50゜C以内としても後の放冷中に大き
な反りや曲がりが発生する。また、圧延時は通常逆U字
状で扱われる材料を、放冷する際に転回してU字状にす
るためには転回するための設備が必要であり、現実的で
はない。
【0007】また、一般に冷却中の鋼材の熱歪みを小さ
くする方法としては、仕上げ圧延後終了時にウエブとフ
ランジの温度を全く同じにしておけば、冷却途中で反り
が発生するものの最終的な変形が小さくなることが知ら
れている。しかしながら、仕上げ圧延終了時に厚みの厚
いウエブの温度をフランジの温度と同じにするために
は、粗圧延や仕上げ圧延時にウエブを選択的に冷却しな
ければならず技術的には難しい。また、フランジの温度
を下げずにウエブの温度を大幅に下げることにも限界が
ある。そのためにはフランジを保熱、加熱する方法も考
えられるが設備費等を考えると現実には無理である。
【0008】本発明は、上述のような課題を解決するた
めになされたものであり、大幅な設備変更やパススケジ
ュール等の変更をすることなく、且つ能率を低下させる
ことなく、圧延後に生じる変形を低減させることを可能
にしたU形鋼矢板の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るU形鋼矢板
の製造方法は、圧延法によってウエブの厚いU形鋼矢板
を製造するに際して、フランジ温度がAr1温度以下で
仕上げ圧延を終了し、仕上げ圧延終了時のフランジ及び
ウエブの常温までに冷却される際の収縮量がほぼ同じと
なるウエブ温度で仕上げ圧延を終了するように、U形鋼
矢板を冷却するものである。例えば、仕上げ圧延、又は
仕上げ圧延及びその上流側圧延工程の中でウエブ、又は
ウエブ及びフランジを冷却しながら圧延し、最終仕上げ
圧延完了時に上記の条件を満たすように製造する。
【0010】また、冷却については例えば次のように冷
却処理する。フランジの外面側にそれぞれ圧延方向に沿
って配置された複数のフランジサイド冷却ノズルによ
り、ガイドに設けられた開口部を介してフランジの外側
壁に冷却水を噴射し、フランジの内面下側に圧延方向に
沿って配置された複数のフランジ下部冷却ノズルにより
フランジとフィレットをねらって冷却水を噴射し、ウェ
ブの下側に圧延方向に沿って配置された複数のフランジ
下部冷却ノズルによりウエブの中心に対して水を噴射す
る。そして、出側ガイドの外側に設けられた空気噴射ノ
ズルによりU形鋼矢板のツメ部分に空気を噴射して残留
した冷却水を除去する。
【0011】次に、本発明の動作原理について説明す
る。図1は鋼の冷却中の長さの変化(ΔL/L)を模式
的に示した特性図である(Dilatation curveと呼ばれ
る)。通常鋼は1000゜C以上の高温に加熱して圧延
が施されるが、高温域では鋼の組織はオーステナイト
(γ)であるが冷却中に或る温度(通常の冷却では74
0゜C前後)でフェライト(α)への変態を開始する。
この温度をAr1温度と呼ぶ。変態が始まると鋼は変態
膨張によって長さが膨張する。やがて変態が終了すると
再び収縮を始める。このように、鋼は圧延中、冷却が進
行するに従って、(オーステナイト域)−(オーステナ
イト/フェライト域)−(フェライト域)と変態し、そ
れぞれの温度領域で収縮−膨張−収縮する。従って、フ
ランジとウエブの厚みが異なるU形鋼矢板を冷却する
と、フランジの収縮−膨張−収縮とウエブのそれとが時
間的にずれるために、その長手方向の反りが経時変化す
る。
【0012】図2は、図3(A)の端面図に示される代
表的なサイズのU形鋼矢板1をウエブ2を上にして通常
圧延した場合の仕上げ圧延終了時点を時刻ゼロとした場
合のU形鋼矢板10m当たりの反り量の経時変化を示し
た図である。この図においてプラスが上反りすなわち図
3(B)に示さるように逆U字状におかれたウエブ2の
方が収縮した状態、マイナスが下反りすなわち図3
(C)に示されるようにフランジ3の方が収縮した状態
を示す。図2の例では終始プラスなので上反りである
が、その量に経時変化が見られ、最終的には300mm
以上の上反りに終わっている。これは、仕上げ圧延終了
時のフランジ3の温度及びウエブ2の温度が変態温度以
上で、それぞれ770、890゜Cであった為、最終的
に常温(〜20゜C)まで冷やされた際の総収縮量の大
きいウエブ2側に大きく反る結果となったものである。
【0013】本発明は、このような複雑な曲がりを呈す
るU形鋼矢板の曲りの様相を変態膨張の観点から詳細に
検討した結果見い出されたものであり、ウエブ2、又は
ウエブ2及びフランジ3を圧延開始から最終仕上げ圧延
までの間に調整冷却し、フランジ3の仕上げ圧延終了温
度を変態開始のAr1以下にし、ウエブ2の変態膨張を
利用して、仕上げ圧延終了後のフランジ3とウエブ2の
収縮量がほぼ同じとなるウエブ2温度となるように仕上
げ圧延を終了させるようにしたものである。
【0014】図4は本発明の一例としてAr1温度が7
45゜Cの鋼を、仕上げ圧延終了後のフランジ3とウエ
ブ2の縮みが等しくなる温度すなわち、フランジ3を図
1のb点で示す710゜C、ウエブ2を図1のa点で示
す810゜Cとした場合の反りの具合を求めた図であ
る。この方法によれば最終的にフランジ3とウエブ2の
温度が共に常温に至った時、両者の縮み代がほぼ同じで
且つ、冷却中に大きな反りが発生することなく、従って
塑性歪みが発生することなく常温に至っている。従っ
て、後に矯正する際に、矯正荷重は小さく、且つその矯
正量が小さいので、ツメの幅が広がったり狭まったりす
る変形が発生することが無かった。
【0015】従来、常識的に考えられていた、仕上げ圧
延終了時の温度をフランジ3、ウエブ2で同じにする手
法では、この場合、フランジ温度を下げずにウエブ2の
温度のみを約120゜C下げなければならず、このため
には、パススケジュールの変更や圧延時間の変更とウエ
ブ2の水冷強化を行わなければならず、現実的にウエブ
温度のみを下げることは不可能でその差を完全に無くす
ことは難しかった。
【0016】一方、本発明の上記の例によればフランジ
3を790゜Cから710゜Cと約80゜C、ウエブ2
を890゜から810゜Cと80゜C下げ、両者の温度
の下げ幅がほぼ同じである。従って、現実的にはフラン
ジ3を弱冷却しながらウエブ2を強冷却すれば、現状の
圧延パススケジュール等を変更せずにまた能率を落とす
ことなく、上記の仕上げ温度を実現することができる。
【0017】なお、上記の図4の例は本発明の理解を容
易にするために例示したものであり、本発明の範囲を限
定するものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】図5は本発明の実施形態に係る製
造方法が適用された圧延設備及びその関連設備のレイア
ウトを示した図である。この圧延設備は、図示のよう
に、加熱炉4の下流に配置された、粗圧延機5、第1の
中間圧延機6、第2の中間圧延機7及び仕上げ圧延機8
から構成されており、それぞれのロールには各3つのカ
リバーが設けられ、合計12のカリバーで孔型圧延を行
う。圧延材はフランジ3を下にウエブ2を上にした逆U
字の状態で圧延される。また、仕上げ圧延機8の下流に
はU形鋼矢板を定尺切断するホットソー9、矯正前置き
場の冷却床10及び矯正機11が設置されている。
【0019】図6は第1の中間圧延機6、第2の中間圧
延機7及び仕上げ圧延機8にそれぞれ設けられた水冷設
備の概要を示した模式図である。これらの圧延機6,
7,8にはフランジサイド冷却ノズル15、フランジ下
部冷却ノズル16及びウエブ2冷却ノズル17が設けら
れている。フランジサイド冷却ノズル15は、フランジ
3をサイドから冷却するためのものであり、入側サイド
ガイドと出側サイドガイド13にガイドと連動して左右
に動くように支持されて、ガイドに設けられた開口部1
3aから冷却水を噴射する。フランジ下部冷却ノズル1
6は、フランジ3を下側から冷却するためのものであ
り、入側サイドガイドと出側サイドガイド13にガイド
と連動して左右に動くように支持されて、フランジ3と
フィレット(ウエブ2とフランジ3の接続部)をねらっ
て冷却水を噴射する。ウエブ冷却ノズル17は、ウエブ
2を下側から冷却するためのものであり、圧延機の入側
サイドガイド(図示せず)と出側サイドガイド13にガ
イドと連動して動くように支持されて、圧延材の中心に
対して下側から水を噴射する。
【0020】また、フランジ3のサイドの冷却は冷却水
が鋼矢板のツメの部分に乗ると、ツメの形状不良や、寸
法不良が生じる恐れがあるので好ましくなく、出来れば
フランジ3は内面下側のフランジ下部ノズル16で冷却
するのが望ましい。また、ツメに乗った冷却水を吹き飛
ばす目的で空気噴射ノズル18を出側サイドガイド13
の外側に取り付けてツメに残留した冷却水を除去し、ツ
メ部の過冷却を防止している。
【0021】この図5及び図6の装置において、U形鋼
矢板は次のように処理されて製造される。 加熱炉4で1000゜C以上に加熱したスラブをデス
ケール(表面スケールの除去)後、粗圧延機5、続いて
第1、第2の中間圧延機6、7及び仕上げ圧延機8で、
U形鋼矢板形状に圧延造形する。この圧延中に第1、第
2の中間圧延機6,7及び仕上げ圧延機8で、ウエブ2
に対してウエブ冷却ノズル17から水を噴射するととも
に、フランジ3及びフィレットに対してフランジサイド
冷却ノズル15とフランジ下部冷却ノズル16から水を
噴射し、仕上げ圧延終了時にフランジ温度は使用鋼の変
態開始温度(Ar1)以下に、ウエブ温度は仕上げ圧延
終了後のフランジ3とウエブ2の収縮量がほぼ同じとな
る温度に冷却する。
【0022】次に、このU形鋼矢板をホツトソー9で
切断し、冷却床10に搬送して自然冷却するが、大きな
反り・変形のないU形鋼矢板が得られる。最終的に変形
・形状等の微調整のために、矯正機による矯正を行いU
形鋼矢板製品となる。
【0023】ここで、フランジ3とウエブ2の仕上げ圧
延終了温度の決定方法について説明する。まず、当該U
形鋼矢板と同じ鋼の冷却時における温度と伸びの特性図
(図1)を求める。次に、その特性図において、室温ま
での収縮量が同じとなる温度の組み合わせとなる温度、
すなわち、図1のa点、b点及びc点を求める。フラン
ジ3の温度とウエブ2の温度とをこの組み合わせで仕上
げれば、室温まで冷却された時点で反りがゼロに近くな
る。当該U形鋼矢板はウエブ厚みがフランジ厚みより厚
く、圧延中にはウエブ温度が高いので仕上げ圧延終了時
のウエブ−フランジの目標温度は、ウエブa点−フラン
ジb点、ウエブa点−フランジc点、又はウエブb点−
フランジc点の3つの組み合わせがある。この時、ウエ
ブ厚みとフランジ厚みの比、圧延条件(圧延時間や圧延
中の水冷却条件)によって最も温度調整しやすい組み合
わせをこの中から選べばよい。
【0024】
【実施例】次に本発明を実施例を説明する。この実施例
は、熱間圧延によって断面が厚み250mm、幅650
mmのスラブを圧延してフランジ高さは225mm、フ
ランジのツメの幅は600mm、フランジ厚み、ウエブ
厚みはそれぞれ22mm、28mmのU形鋼矢板を製造
する例である。
【0025】図5の設備において、加熱炉4で約125
0゜Cに加熱したスラブをデスケール(表面スケールの
除去)後、粗圧延機5、続いて第1、第2の中間圧延機
6、7及び仕上げ圧延機8で圧延した。この圧延中に第
1、第2の中間圧延機6,7及び仕上げ圧延機8でウエ
ブ2に対してウエブ冷却ノズル17から水を噴射すると
ともに、フランジ3及びフィレットに対してフランジサ
イド冷却ノズル15とフランジ下部冷却ノズル16から
水を噴射しながら圧延し、最終の仕上げ温度を、フラン
ジ3はこの鋼の変態開始温度Ar1点=755゜C以下
の710゜Cに、ウエブ2はフランジ3の収縮量と同じ
になる810゜Cとなるように圧延した。このU形鋼矢
板をホツトソー9で切断し、冷却床10に搬送して自然
冷却した。その結果、最終的にフランジ3とウエブ2の
温度が共に常温に至った時、両者の総収縮量がほぼ同じ
で、且つ冷却途中で大きな反りが生じることなく、従っ
て塑性歪みが発生することなく常温に至り、大きな反
り、変形がなく、10m当たりの曲りが20mmであっ
た。
【0026】このU形鋼矢板は次に最大荷重300tの
矯正機10で矯正したが、大きな矯正を加えることなく
10m当たりの反りをほぼ0mmにすることが出来た。
また、この時、フランジ3のツメの幅が広がるような変
形等のその他の変形が生じることはなかった。
【0027】(比較例1)比較例1として、前記実施例
と同じ圧延設備(図5)において同じサイズ及び材質の
U形鋼矢板を製造した場合で、第1の中間圧延機、第2
の中間圧延機及び仕上げ圧延機では温度調整のための水
冷却を行わず仕上げ圧延終了時の温度を成り行きに任せ
た場合の製造例を以下に説明する。
【0028】本比較例1は前記実施例と同じく熱間圧延
によって断面が厚み225mm、幅500mmのスラブ
を圧延して実施例と同じサイズのU形鋼矢板を製造した
場合の例である。加熱炉で約1250゜Cに加熱したス
ラブをデスケール後、粗圧延、続いて第1、第2の中間
圧延機及び仕上げ圧延機で圧延した。この圧延中に第
1、第2の中間圧延機及び仕上げ圧延機では特にフラン
ジ及びウエブを水冷することは行わず圧延した。その結
果、仕上げ圧延終了時にフランジは770゜C、ウエブ
890゜Cであった。このU形鋼矢板をホットソーで切
断し、冷却床に搬送して自然冷却した。その結果、最終
的にフランジとウエブの温度が共に常温に至った時、両
者の総収縮量が異なり、10m当たり300〜400m
mの大きな反りが発生した。
【0029】このU形鋼矢板は次に最大荷重300tの
矯正機で矯正したが、最大荷重を加えても反りを取りき
ることが不可能であり、10m当たり反り量は100m
mであった。この反りの矯正の際に、先端、後端のフラ
ンジのツメの幅が中央部より30〜50mm広がるよう
な変形も生じた。従ってこのU形鋼矢板は製品とならな
かった。
【0030】(比較例2)比較例2として、前記実施例
と同じ圧延設備(図5)において、同じサイズのU形鋼
矢板を製造した場合で、第1の中間圧延機、第2の中間
圧延機及び仕上げ圧延機では温度調整のための水冷却を
行い、ウエブとフランジの温度を同じにすべく、仕上げ
圧延を終了させた場合の製造例を以下に説明する。
【0031】加熱炉で約1250゜Cに加熱したスラブ
をデスケール後、粗圧延、続いて第1、第2の中間圧延
機及び仕上げ圧延機で圧延した。この圧延中に第1、第
2の中間圧延機及び仕上げ圧延機ではウエブのみを水冷
却した、通常の圧延条件でフランジ仕上がり温度が79
0゜Cに対してウエブ温度を790゜Cまで冷却するこ
とが出来なかった。その結果、仕上げ圧延終了時にはフ
ランジは790゜C、ウエブは830゜Cであった。こ
のU形鋼矢板をホットソーで切断し、冷却床に搬送して
自然冷却した。その結果、最終的にフランジとウエブの
温度が共に常温に至った時、両者の総収縮量が異なるこ
とで10m当たりの反り量は100mmであった。この
矯正の際に、後端のフランジのツメの幅が中央部より3
0〜50mm広がるような変形が生じた。従ってこのU
形鋼矢板は製品とはならなかった。
【0032】以上の実施例及び比較例1,2の結果を表
1にまとめて示す。表1から明らかなように本発明によ
れば、大きな設備変更、パススケジュール等の圧延条件
の変更及び能率の低下がなく、歪みが少なく、製品歩留
まりの高いU形鋼矢板を圧延法によって安定に製造でき
ることが分かる。
【0033】
【表1】
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、フ
ランジ温度がAr1 温度以下で仕上げ圧延を終了し、且
つ仕上げ圧延終了後のフランジ及びウエブの常温までに
冷却される際の収縮量がほぼ同じとなるウエブ温度で仕
上げ圧延を終了するように、仕上げ圧延終了時の温度が
調整されているので、以下に示すような効果を得ること
が出来る。 (1)歪みの少ないU形鋼矢板を圧延によって安定に製
造することが可能である。 (2)熱歪みを矯正する際にU形鋼矢板の先端、後端の
フランジのツメの幅が中央部より30〜50mm広がる
ような変形を呈することなく、製品歩留まりが高い。 (3)冷却床での変形が少なく、搬送やクレーン吊り上
げが容易である。 (4)矯正等の精製工程が簡略化でき能率が上がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼の温度と伸びの関係を示した図である。
【図2】従来法によってU形鋼矢板を製造した場合の仕
上げ圧延終了後の自然冷却中に発生する反り量の経時変
化を示した図である。
【図3】U形鋼矢板の断面図と自然冷却中に発生する反
りを模式的に示した図である。
【図4】本発明によってU形鋼矢板を製造した場合の仕
上げ圧延終了後の自然冷却中に発生する反り量の経時変
化を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る製造方法が適用された
圧延設備及びその関連設備のレイアウトを示した図であ
る。
【図6】本発明において温度調整を行うために圧延機に
設けた水冷設備の概要を示す模式図である。
【符号の説明】 1 U形鋼矢板 2 ウエブ 3 フランジ 4 加熱炉 5 粗圧延機 6 第1の中間圧延機 7 第2の中間圧延機 8 仕上げ圧延機 9 ホットソー 10 冷却床 11 矯正機 12 圧延ロール 13 出側サイドロール 14 搬送ロール 15 フランジ冷却用のフランジサイド冷却ノズル 16 フランジ冷却用のフランジ下部冷却ノズル 17 ウエブ冷却用の冷却ノズル 18 ツメ部の冷却水を除去するための空気噴射ノズル

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧延法によってU形鋼矢板を製造するのに
    際して、フランジ温度がAr1 温度以下で仕上げ圧延を
    終了し、且つ仕上げ圧延終了後のフランジ及びウエブの
    常温までに冷却される際の収縮量がほぼ同じとなるウエ
    ブ温度で仕上げ圧延を終了するように、U形鋼矢板をそ
    の圧延過程において冷却することを特徴とするU形鋼矢
    板の製造方法。
  2. 【請求項2】仕上げ圧延、又は仕上げ圧延及びその上流
    側の圧延工程において、ウエブ、又はウエブ及びフラン
    ジを冷却しながら圧延することを特徴とする請求項1に
    記載のU形鋼矢板の製造方法。
  3. 【請求項3】 フランジの外面側にそれぞれ圧延方向に
    沿って配置された複数のフランジサイド冷却ノズルによ
    り、ガイドに設けられた開口部を介してフランジの外側
    壁に冷却水を噴射し、フランジの内面下側に圧延方向に
    沿って配置された複数のフランジ下部冷却ノズルにより
    フランジとフィレットをねらって冷却水を噴射し、ウェ
    ブの下側に圧延方向に沿って配置された複数のフランジ
    下部冷却ノズルによりウエブの中心に対して水を噴射す
    ることを特徴とする請求項1又は2記載のU形鋼矢板の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 出側ガイドの外側に設けられた空気噴射
    ノズルによりU形鋼矢板のツメ部分に空気を噴射して残
    留した冷却水を除去することを特徴とする請求項3記載
    のU形鋼矢板の製造方法。
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