JP3345776B2 - U形鋼矢板の冷却方法およびその装置 - Google Patents

U形鋼矢板の冷却方法およびその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ウェブを有し搬送
ライン上を逆U字姿勢で搬送されながら熱間圧延で製造
されるU形鋼矢板の製造時の冷却方法およびその装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ウェブを有するU形鋼矢板は、一般に素
材を加熱し、粗圧延機、一台以上の中間圧延機、仕上げ
圧延機の各孔形圧延によって製造される。
【0003】図15はこのような圧延工程を経て製造さ
れた一般的なU形鋼矢板の各部分を説明する説明図であ
る。図において、1はU形鋼矢板、2はそのウェブ部、
3はそのフランジ部、4はそのフィレット部、5はその
フランジ両端に形成された爪部、Wはウェブ下面の内法
を示す。
【0004】このようなU形鋼矢板1は、一般にウェブ
部2の肉厚がフランジ部3の肉厚よりも厚いため、圧延
終了直後の各部の平均温度はウェブ部2の方がフランジ
部3より50〜150℃あるいはそれ以上に温度が高
い。そのため、図16の(a)(b)に示すように変態
点Ar3以上の変態開始前の温度で圧延が終了し、冷却
床で放冷させると、圧延後の真直な状態から、放冷され
るにつれて熱収縮差により、温度が高いウェブ2部がフ
ランジ部3に比べて相対的に短くなって全長曲がりが生
じ、最終的にウェブ部2を内側に、爪部5,5を外側に
して、図17示すような上下方向の大きな反り(上反
り)が発生し、搬送上のトラブルや、冷間矯正が難しく
なる等の不具合が多々発生する。なお、図17中のhは
反り量である。
【0005】このような上反りの解消・あるいは低減さ
せる手法として従来以下のようなものが提案されてい
る。例えば特開昭57-149003 号公報(第1従来例)に
は、最終仕上げ圧延直前にU形鋼矢板のフランジ部を変
態点Ar3と変態点Ar1との間の温度に冷却処理を行
ってから最終仕上げ圧延することで、上反り発生を抑え
るようにしたものが示されている。
【0006】また、例えば特開昭58-215203 号公報(第
2従来例)には、図18及び図19に示すようにフラン
ジ部3とウェブ部2の温度調整を、逆U字姿勢に置かれ
たU形鋼矢板1の上下に配置したフルコーンスプレー様
のノズル6よりそれぞれの部位に水を噴射することで行
なうとともに、その際、仕上げ圧延前のウェブ部2の温
度をフェライト変態開始温度の変態点Ar3以下とし、
かつフランジ部3とウェブ部2の平均温度差を50℃以
内に抑えるようにして、上反り発生を抑えるようにした
ものが示されている。
【0007】また、例えば特開昭59-7419 号公報(第3
従来例)には、最終仕上げ圧延前から仕上げ圧延後に至
るまでウェブ部の水冷を行なうともに、その際、最終仕
上圧延時点から圧延後におけるフェライト変態終了時点
までのウェブ部の平均温度Twとフランジ部の平均温度
Tfとの平均温度差(Tw−Tf)を50℃以下に保持
させ、かつ圧延前の冷却姿勢は逆U字姿勢、圧延後の冷
却姿勢はU字姿勢として、いずれも下方に配置したノズ
ルよりウェブ部位に水を噴射することで行ない、これに
よって上反り発生を抑えるようにしたものが示されてい
る。
【0008】また、例えば特開昭63-220917 号公報(第
4従来例)には、圧延終了後、強制的にU形鋼矢板を拘
束して、水冷などの強制冷却による手段を用いて冷却
し、変態点を下回る温度あるいは必要な部分を冷却し
て、冷却後拘束を解くことで、上反り発生を抑えるよう
にしたものが示されている。
【0009】また、例えば特公平6-102202号公報(第5
従来例)には、仕上げ圧延の最終パスを通すに先立ち、
U形鋼矢板を拘束して冷却し、その後、最終パスを通す
再圧延を行なうことで、上反り発生を抑えるようにした
ものが示されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、最終仕
上げ圧延直前にU形鋼矢板のフランジ部を変態点Ar3
と変態点Ar1との間の温度に冷却処理を行ってから最
終仕上げ圧延する第1従来例にあっては、ウェブ部の温
度が既述したようにフランジ部より50〜150℃以上
高く、変態点Ar3以上の温度となっている。従って、
フランジ部の温度のみに着目し、ウェブ部の温度調整に
ついての考慮がないこの第1従来例では、例えフランジ
部の温度を変態点Ar3と変態点Ar1の間に調整した
としても、その温度から常温までのフランジ部の収縮率
と、その間のウェブ部の収縮率が異なるため、放冷後の
常温時の上反り発生の抑制に限界がある。
【0011】また、フランジ部とウェブ部の温度調整
を、逆U字姿勢に置かれたU形鋼矢板の上下に配置した
フルコーンスプレー様のノズルよりそれぞれの部位に水
を噴射することで行っている第2従来例にあっては、以
下のような問題が存在している。 a)ウェブ上面から冷却液をかけると、図18に示すよ
うにU形鋼矢板1表面の両フランジ部3,3から両爪部
5,5まで冷却液がかかり、フランジ部とウェブ部の両
方が水冷され、肉厚の薄い両フランジ部3,3の冷却が
進んでしまい、ウェブ部2と両フランジ部3,3の温度
差が広がってしまうばかりでなく、両フランジ部3,3
の先端が過冷却されてしまう。 b)また、ウェブ下面からウェブ部分をねらって冷却液
を噴射させると、図19示すようにU形鋼矢板1のウェ
ブ部2は当然冷却されるが、U形鋼矢板1の形状とフル
コーンスプレー様のノズルの噴射形態により、ウェブ部
2に当たった冷却液は両フランジ部3,3へ流れて接触
し、フランジ部とウェブ部の両方が水冷され、肉厚の薄
い両フランジ部3,3の冷却が進んでしまい、ウェブ部
2と両フランジ部3,3の温度差が広がってしまう。な
お、ここでいうフランジ部への冷却液の接触とは、ウェ
ブ部の面を伝って流れてくるものはもちろんのこと、ウ
ェブ部の面で跳ねてフランジ部へかかる跳水も含むもの
である。
【0012】そこで、この第2従来例では、仕上げ圧延
前のウェブ部2の温度をフェライト変態開始温度の変態
点Ar3以下とし、かつフランジ部3とウェブ部2の平
均温度差を50℃以内に抑えるようにしているが、この
場合には以下のような問題が発生する。 c)一般にU形鋼矢板は孔型圧延によって行われてお
り、フェライト変態開始温度まで温度を下げて圧延する
ことは、圧延機や圧延ローラに負荷がかかり過ぎ、仕上
げ圧延が厳しくなる。 d)逆U字姿勢に置かれたU形鋼矢板1は、フィレット
部の温度が最も高く、更にフランジ部3、ウェブ部2の
それぞれの面内における温度分布も一様でなく、その
上、フランジ部3とウェブ部2の間で平均温度差が生じ
ているため、ウェブ部とフランジ部それぞれの温度を調
整することは容易でなく、平均温度差を縮めるのに限界
がある。
【0013】また、この第2従来例では、U形鋼矢板を
U字姿勢にしてウェブ部とフランジ部を冷却することに
ついても開示されているが、この場合には以下のような
問題が発生する。 e)U形鋼矢板の圧延ライン内での搬送は一般に搬送ロ
ールにより行われており、U字姿勢にした場合、ウェブ
部の表面に疵が付くのを避けられない上、U形鋼矢板を
U字姿勢にするための反転装置が新たに必要となり、製
造上のコストアップとなる。 f)冷却時においてもU形鋼矢板を搬送せねばならず、
U字姿勢では前記e)と同様にウェブ表面に疵が発生す
るおそれがある。
【0014】また、最終仕上げ圧延前から仕上げ圧延後
に至るまでウェブ部の水冷を行なうともに、その際、最
終仕上圧延時点から圧延後におけるフェライト変態終了
時点までのウェブ部の平均温度Twとフランジ部の平均
温度Tfとの平均温度差(Tw−Tf)を50℃以下に
保持させ、かつ圧延前の冷却姿勢は逆U字姿勢、圧延後
の冷却姿勢はU字姿勢として、いずれも下方に配置した
ノズルよりウェブ部位に水を噴射することで行ない、こ
れによって上反り発生を抑えるようにした第3従来例に
あっても、前述の第2従来例と同様に前記b),d),
e),f)のような問題が存在する。
【0015】また、圧延終了後、強制的にU形鋼矢板を
拘束して、水冷などの強制冷却による手段を用いて冷却
し、変態点を下回る温度あるいは必要な部分を冷却し
て、冷却後拘束を解くことで、上反り発生を抑えるよう
にした第4従来例にあっては、大量生産されるU形鋼矢
板の製造ライン内に拘束装置が設置されることとなり、
生産性を著しく阻害するばかりでなく、拘束装置の設備
投資がかかるのは避けられない。
【0016】また、仕上げ圧延の最終パスを通すに先立
ち、U形鋼矢板を拘束して冷却し、その後、最終パスを
通す再圧延を行なうことで、上反り発生を抑えるように
した第5従来例にあっても、前述の第4従来例と同様に
製造ライン内に拘束装置が設置される関係で、生産性が
低下し、かつ設備投資が必要となる。
【0017】以上のように、いずれの従来例において
も、U形鋼矢板の厚いウェブ部を強制冷却する必要性に
触れてはいるものの、逆U字姿勢での圧延中、圧延機の
間、圧延終了後、又は拘束しながら、のいずれの時点に
おいても、フランジ部への冷却液の接触率を低減させな
がらウェブ部のみを冷却することについての考査がな
く、フランジ部とウェブ部の平均温度差を縮めるのに限
界があり、平均温度差を40〜50℃位までしか縮めら
れないのが実状であった。
【0018】本発明者等は、その原因を探求し、逆U字
姿勢におかれたU形鋼矢板のフランジ部への冷却液の接
触率を低減させてウェブ部の冷却効率をあげるには、
U形鋼矢板のフィレットと冷却液の衝突点との間に所定
幅の非冷却部を形成すること、フランジ部への冷却液
の接触率を15%以下に抑えること、前記を実現
するためには、フルコーンスプレーノズルのように冷却
液を拡散放出するノズルは不適であり、ノズルとしては
冷却液を拡散せずストレート状に噴出できて、ウェブ部
の下面に近設配置できる形態をとらせることが好ましい
こと、前記非冷却幅と噴射圧力とは密接に関係してお
り、その関係を明確にすることで、初めてフランジ部へ
の冷却液の接触率15%以下の制御が可能となること、
を発見した。
【0019】本発明は、叙上の問題点と、従来知られて
いなかった前記〜の知見に鑑み、逆U字姿勢におか
れたU形鋼矢板のフランジ部分への冷却液の接触率を大
きく低減できて、ウェブ部分のみの冷却を可能にし、フ
ランジ部とウェブ部の平均温度差を従来の限界を超えて
圧縮できるようにすることを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
U形鋼矢板の冷却方法は、搬送ライン上を逆U字姿勢で
搬送される高温のU形鋼矢板のウェブとフランジとの肉
厚差により生じる温度差を縮めるために、ウェブ下面に
冷媒を噴射してウェブ部を冷却するに際し、逆U字姿勢
で搬送されるU形鋼矢板のウェブ下面と搬送ライン面と
の間に配置した複数の噴射孔より、U形鋼矢板のフィレ
ットと冷媒の衝突点との間に所定幅の非冷却部が形成さ
れるように、かつフランジヘの冷媒の接触率が15%以
下になるように噴射圧力または噴射角度を調整して、冷
媒を噴射させることを特徴としている。
【0021】また、この方法に用いられる冷却装置は、
請求項5のように逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板の
ウェブ下面と搬送ライン面との間にて、U形鋼矢板のウ
ェブエリア内に収まる幅とフランジエリア内に収まる高
さに設定されてライン方向に延びる箱形のヘッダと、ヘ
ッダの上面に形成した多数の噴射孔と、ヘッダ内に冷媒
を供給する冷媒供給管とを有し、U形鋼矢板のフィレッ
トと冷媒の衝突点との間に所定幅の非冷却部が形成され
るように各噴射孔を配置し、かつフランジヘの冷媒の接
触率が15%以下になるように噴射圧力を調整してなる
ものである。また、この冷却装置においては、請求項6
のようにヘッダ上面の噴射孔形成部分がヘッダ幅方向の
中央部を底とする谷形に形成され、冷媒噴出方向がウェ
ブ面に対しウェブ幅方向の中央側に傾くように構成され
てなるものである。
【0022】また、本発明の請求項2に係るU形鋼矢板
の冷却方法は、逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウ
ェブ下面の冷媒が衝突する直接冷却域内において、フィ
レット寄りの両側部が中央部よりも冷却されるように、
ウェブ下面に対する冷媒の供給量をその両側部と中央部
とで異ならせることを特徴としている。
【0023】また、この方法に用いられる請求項7の冷
却装置は、ヘッダ上面の幅方向両側部における単位面積
当たりの噴射孔の合計面積が、ヘッダ上面の幅方向中央
部における単位面積当たりの噴射孔の合計面積よりも大
きくなるように設定したものである。
【0024】また、本発明の請求項3に係るU形鋼矢板
の冷却方法は、U形鋼矢板と噴射孔との心出しを行った
後、冷媒を供給することを特徴としている。
【0025】また、この方法に用いられる冷却装置は、
請求項8のようにヘッダのライン幅方向設定位置を可変
とするヘッダ位置決め機構を設けたものである。また、
この冷却装置においては、請求項9のように搬送ライン
上に、U形鋼矢板の通過ラインの位置決めを行うガイド
を設けたものである。また、この冷却装置においては、
請求項10のようにヘッダの最上流側に、先端を頂点と
する平面的にみて三角形の案内装置を設けたものであ
る。
【0026】また、本発明の請求項4に係るU形鋼矢板
の冷却方法は、冷却を、中間圧延工程と仕上げ圧延工程
の間に行うことを特徴としている。
【0027】また、この方法に用いられる請求項11
冷却装置は、搬送ライン上の中間圧延機と仕上げ圧延機
の間に冷却装置を配置したものである。
【0028】
【発明の実施の形態】実施形態1.以下、本発明の第1
の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法およびこの方法
に用いられる装置を図1乃至図5に基づき説明する。図
1はこの第1実施形態に係るU形鋼矢板の冷却装置の構
成を示す斜視図、図2はその搬送ライン方向より示す縦
断面図、図3はそのノズルの噴射によって生じるフラン
ジ部への冷媒の接触率を説明するグラフと非冷却幅Df
の説明図、図4はフランジ部への冷媒の接触率が15%
未満となる非冷却幅と噴射圧力の関係を説明するグラ
フ、図5はこの第1実施形態を適用した圧延ラインの概
略図、図6はその冷却装置最上流側に設置した案内装置
を示す斜視図、図7はこの案内装置の諸元を説明するた
めの斜視図であり、U形鋼矢板の各部の構成は前述の従
来例(図15)のものと同様であるので、同一符号を付
してある。また、ここでは冷媒として工業用水を使用し
たものを例に挙げて説明する。
【0029】この第1実施形態に係るU形鋼矢板の冷却
装置は、図1及び図2に示すように冷却装置11が、U
形鋼矢板1のウェブ部2のエリア内に収まる幅とフラン
ジ部3のエリア内に収まる高さに設定されてライン方向
に延びる箱形のヘッダ12と、ヘッダ12の上面に千鳥
状に形成した多数の噴射孔13と、ヘッダ12内に冷却
水を供給する冷却水供給管14とから成り、ヘッダ上面
が多孔板ノズル10に構成されていて、外部から供給管
14を通してヘッダ12内に冷却水を送り込み、上面の
多孔板ノズル10より噴射して、ウェブ部2の下面を冷
却するようになっている。15は搬送ローラ15aから
なる搬送ラインであり、ヘッダ12は搬送ライン15上
に配置され、冷却水供給管14は搬送ローラ15a間の
隙間より挿入されてヘッダ12に接続されている。
【0030】多孔板ノズル10の各噴射孔13は、U形
鋼矢板1のフィレット部4と冷却水の衝突点との間に所
定幅の非冷却部すなわち非冷却幅Df(図3)が形成さ
れるように配置されている。そして、フランジ部3ヘの
冷却水の接触率が15%以下になるように噴射圧力が調
整されている。なお、図5中の符号16は粗圧延機、1
7は第一中間圧延機、18は第二中間圧延機、19は仕
上げ圧延機、21は第二中間圧延機18と仕上げ圧延機
19の間の搬送ラインの一側に配置した固定ガイド、2
2は同搬送ラインの他側に配置した位置決めガイド、1
1A,11B,11Cは直列に3台設置されたこの第1
実施形態の冷却装置、20はこの冷却装置の最上流側に
設置した先端を頂点とする平面的にみて三角形の案内装
置である。
【0031】固定ガイド21と位置決めガイド22は、
U形鋼矢板1の通過ラインの位置決めを行うものであ
り、U形鋼矢板1を拘束するものではない。
【0032】案内装置20は、U形鋼矢板1と冷却装置
のヘッダ12との直接衝突を防止してヘッダ12を保護
する機能と、衝突したU形鋼矢板1を正規の通過ライン
位置に導く機能を持っている。したがって、頂点の角度
が大きいと、U形鋼矢板1が衝突した際のライン方向分
力が大きくなって、U形鋼矢板1の流れが止まってしま
い調心機能が失われるので、頂点の角度は鋭角に設定す
ることが望ましく、ここでは図7に示すように頂点の角
度を30゜に設定している。また頂点からヘッダ12に
かけて上下方向に5゜のテーパをつけてあり、搬送され
るU形鋼矢板1に下反りが発生していても、スムーズに
ヘッダ12の外側に挿入されるようになっている。案内
装置20のヘッダ12と接触する部分は、ヘッダ12の
端面と同じ大きさとなるように設定され、ここでは幅2
20mm、高さ100mm、全長410mmに設定してある。
このように、案内装置20を左右側面が傾斜する基本的
にくさび形に形成することで、主目的とする左右方向の
調心機能を高めることができる。しかし、案内装置20
の形状はこのくさび形に限定されるものでなく、先端が
尖った角錐形の採用も可能であり、この場合でもくさび
形と同等の作用効果が期待できる。
【0033】図5に示すようにこの第1実施形態の冷却
装置11A,11B,11Cは、第二中間圧延機18と
仕上げ圧延機19の間に配置されている。これ以降、1
つの冷却装置を1ゾーンと呼ぶ。
【0034】図3のグラフは、ウェブ部2の下面と多孔
板ノズル10の上面との間の距離Hを50mmに設定し
て、非冷却幅Dfが20mm、50mm、100mmのそれぞ
れの場合における多孔板ノズル10の噴射圧力とフラン
ジ部ヘの冷却水の接触率との関係を求めた実験結果を示
し、縦軸に接触率を、横軸に噴射圧力をとったものであ
る。
【0035】図3から明らかなように、噴射圧力を高く
するとフランジ部3ヘの冷却水の接触率が上がる。また
同じ噴射圧力でも冷却水がかかる直接冷却域をフランジ
部3から離すと、つまり非冷却幅Dfを大きくすると、
フランジ部3ヘの冷却水の接触率が小さくなる。またフ
ランジヘの冷却液の接触率が15%以上になるとウェブ
の冷却に対して、フランジ部の過冷却が問題となってく
る。従って、一つの冷却装置で異なるウェブ幅を冷却す
る場合、常にフランジヘの冷却液の接触率を15%未満
にするために噴射圧を変更すればよいことが分かる。例
えば非冷却幅Dfが20mmの場合は、噴射圧を0.55
kgf/cm2 G、非冷却幅Dfが50mmの場合は噴射圧を
0.88kgf/cm2 G、非冷却幅Dfが100mmの場合は
噴射圧を1.2kgf/cm2 Gに、それぞれ調整すれば、常
にフランジヘの冷却液の接触率を15%未満にすること
ができる。
【0036】図4のグラフはウェブ部2の下面と多孔板
ノズル10の上面との距離Hを50mmに設定して、フラ
ンジ部3への冷却水の接触率が15%未満となる非冷却
幅Dfと噴射圧力の関係を求めた実験結果を示し、縦軸
に噴射圧力を、横軸に非冷却幅Dfをとったものであ
る。
【0037】図4のグラフから、非冷却幅Dfに応じた
噴射圧力を決定することができる。なお、ここではウェ
ブ部下面と多孔板ノズル上面との距離Hを50mmに設定
した場合を例に挙げて説明したが、それ以外の場合につ
いても同様の手法でデータを取って、最適な条件を決定
することができることは言うまでもない。
【0038】次に、試験例に基づきこの第1実施形態装
置を用いてU形鋼矢板を冷却する方法について図1乃至
図5に基づき説明する。
【0039】試験例1.ここでは、図1及び図2に示す
冷却装置11を3台(3ゾーン)用い、これら3台の冷
却装置11A,11B,11Cを、第二中間圧延機18
と仕上げ圧延機19の間に直列に配置した。1ゾーン当
たりの冷却装置11は、長さ5000mm、幅220mm、
高さ100mmで、多孔板ノズル10は、φ3mmの噴射孔
13を960個千鳥配列で配置した。冷却装置群の入り
側の先頭部には、なめらかに鋼矢板が挿入されるよう三
角形の案内装置20を取り付け、冷媒として工業用水を
用いた。そしてウェブ部2の下面と多孔板ノズル10の
上面との距離Hを50mmに設定して、これら冷却装置群
11A,11B,11Cに、両側爪5,5間の有効幅5
00mm、フランジ高さ200mm、ウェブ厚さ24.3mm
の、いわゆる VL型といわれるU形鋼矢板1を冷却させ
た。
【0040】VL型U形鋼矢板1の第二中間圧延機18
終了時でのウェブ部2の厚さは約28mm、フランジ厚み
が約12mm、ウェブ部2の下面側の内法は約298mmで
あった。従って、非冷却幅Dfは39mmで、図4より噴
射圧力は0.8kgf/cm2 G以下にすればよい。よって、
噴射圧力をここでは0.7kgf/cm2 Gに設定し、1ゾー
ン当たりの冷却水量は約4800リットル/min、3ゾー
ンで約14400リットル/minとなるように設定した。
また VLU形鋼矢板1の冷却装置群11A,11B,1
1C上での搬送速度は1.0m/secに設定した。
【0041】以上の条件で、第二中間圧延機18終了後
の VL型U形鋼矢板1を冷却させた。第二中間圧延機1
8を終了後のウェブ部2の平均温度は986℃、フラン
ジ部3の平均温度は905℃で、平均温度差が約81℃
あった。冷却復熱後、仕上げ圧延機19前の被圧延材の
ウェブ部2の平均温度は852℃、フランジ部3の平均
温度は844℃とほぼ同じ温度にすることができた。そ
して仕上げ圧延後、常温まで放冷させた後の20m当た
りの反り量は、上側に約12mmであった。
【0042】このように、この第1実施形態の冷却方法
を用いれば、U形鋼矢板1のウェブ部2のみを選択的に
効率良く冷却することができる。搬送ライン15上の第
二中間圧延機18と仕上げ圧延機19の間に本冷却方法
を用いた冷却装置11を設置することで、ウェブ部2と
フランジ部3の温度差を従来の限界を超えて縮めること
ができ、これによって圧延終了後、放冷させて常温にな
っても熱歪みによるU形鋼矢板1の変形を防ぐことがで
きる。その結果、搬送におけるトラブルが軽減され生産
効率を上げることができる。
【0043】比較例 図8に示すように第二中間圧延機18と仕上げ圧延機1
9の間に、フルコーンスプレーノズル6のみを用いた長
さ15mの冷却装置を設置した。フルコーンスプレーノ
ズル6は、搬送ライン15の長手方向に長い楕円型に冷
却水(工業用水)を噴射するもので、長手方向に90
度、幅方向に60度の噴射特性を持っており、ウェブ部
2のみに冷却水を衝突させようとした。またノズル6
は、500mm間隔で長手方向に合計30本、搬送ロール
より15mm下側で、幅方向中央に設置した。また被圧延
材であるU形鋼矢板1の下面のウェブ部2の内法は約3
00mmであり、ノズル上面からウェブ下面までの距離が
200mmなので、幅方向に噴射角60度の角吹きフルコ
ーンノズルを用いると約230mmの有効冷却幅が得ら
れ、フィレット部4には直接冷却水が衝突しない値とな
っている。ノズル一本当たりの水量は150リットル/m
inに設定し、30本で約4500リットル/min噴射し
た。
【0044】この比較例の冷却装置に、一般に VL型と
いわれるU形鋼矢板1を冷却させた。 VL型U形鋼矢板
1の第二中間圧延機18終了時でのウェブ部2の厚さは
約28mm、フランジ部3の厚みが約12mm、ウェブ部2
の下面側の内法は約298mmであった。第二中間圧延機
18を終了後、ウェブ部の平均温度は981℃、フラン
ジ部の平均温度は903℃で平均温度差が約77℃あっ
た。この被圧延材を冷却装置上を0.5m/sで搬送させ
た。その結果、仕上げ圧延機19前の被圧延材のウェブ
部2の平均温度は852℃、フランジ部3の平均温度は
727℃と、当初77℃であった平均温度差が125℃
と広がった。この原因を検討したところ、ウェブ部2の
みを狙って噴射しているはずの角吹きフルコーンスプレ
ーノズル6の冷却水はウェブ衝突後、ウェブ部2の面を
沿って一部はフランジ部3へ流れ、また一部はウェブ部
2の面から跳水となってフランジ部3へかかり、その結
果、ウェブ部2より薄いフランジ部3の温度が大きく下
がってしまうことが判明した。なお、この被圧延材を仕
上げ圧延後常温まで放冷させたところ、20m当たり約
1800mmの上反りが発生し、搬送が困難となった。ち
なみに、冷却処理を施さない有効幅500mmのU形鋼矢
板の場合、圧延終了後常温になると、20m当たり約1
500mmの上反りが発生し、同様に搬送が困難となっ
た。
【0045】実施形態2.図9は本発明の第2の実施形
態に係るU形鋼矢板の冷却方法に用いられる装置の構成
を搬送ライン方向より示す縦断面図であり、U形鋼矢板
の各部の構成は前述の従来例(図15)のものと同様で
あるので、同一符号を付してある。また、ここでも冷媒
として工業用水を使用したものを例に挙げて説明する。
【0046】この第2実施形態に係るU形鋼矢板の冷却
装置31は、図9に示すようにヘッダ12の上面12A
を、ヘッダ幅方向の中央部12aを底とする谷形に形成
して、冷却水噴出方向をウェブ部2の下面に対しウェブ
幅方向の中央側に傾けさせたもので、谷形多孔板ノズル
10Aとして構成したものである。
【0047】この第2実施形態の冷却方法においても、
非冷却幅Dfと噴射圧力の設定を前述の図4に基づき決
定しているが、更に谷形多孔板ノズル10Aを用いて冷
却水噴出方向をウェブ部2の下面に対しウェブ幅方向の
中央側に傾けさせることで、フランジ部3ヘの跳水をよ
り下げることが可能となり、U形鋼矢板1のフランジ部
3を冷却せずにウェブ部2の下面だけを確実に冷却する
ことができて、冷却後の各部温度差を一層圧縮すること
ができ、平均温度差を従来の限界を超えて縮めることが
できる。
【0048】実施形態3.図10は本発明の第3の実施
形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に用いられる装置の構
成を搬送ライン方向より示す縦断面図、図11はその仕
上げ圧延機前でのU形鋼矢板の冷却前と冷却復熱後の各
部の温度分布を比較して示すグラフ、図12は第3の実
施形態の冷却方法により冷却してから仕上げ圧延し終了
させた場合のU形鋼矢板の各部の温度分布と冷却せずに
仕上げ圧延まで終了させた場合のU形鋼矢板の各部の温
度分布とを比較して示すグラフであり、U形鋼矢板の各
部の構成は前述の従来例(図15)のものと同様である
ので、同一符号を付してある。また、ここでも冷媒とし
て工業用水を使用したものを例に挙げて説明する。
【0049】この第3実施形態に係るU形鋼矢板の冷却
装置41は、図10に示すようにヘッダ12の上面すな
わち多孔板ノズル10Bの幅方向両側部12b,12c
における単位面積当たりの噴射孔13の数をその中央部
12aの噴射孔13の数よりも多くし、これによって単
位面積当たりの噴射孔13の合計面積が、中央部12a
よりも両側部12b,12cが大きくなるように設定し
たものである。
【0050】この第3実施形態において、多孔板ノズル
10Bより冷却水を噴射させると、多孔板ノズル10B
の幅方向両側部12b,12cから噴射される冷却水の
供給量が中央部12aよりも多くなる。その結果、ウェ
ブ下面の冷却水が衝突する直接冷却域内においては、フ
ィレット寄りの両側部が中央部よりも冷却される。図1
1に示すように、逆U字姿勢に置かれた冷却前のU形鋼
矢板1は、フィレット部4の温度が最も高く、ウェブ部
2の中央部ではフィレット部4よりも低くなっている。
【0051】この第3実施形態の冷却方法においても、
非冷却幅Dfと噴射圧力の設定を前述の図4に基づき決
定しているが、更にウェブ下面に対する冷媒の供給量を
その両側部と中央部とで異ならせ、両側部の供給量を大
きくすることで、図11に示すウェブ部2の温度勾配に
合わせた冷却が可能となり、冷却後の各部温度差をより
圧縮することができ、平均温度差を従来の限界を超えて
縮めることができる。
【0052】次に、試験例に基づきこの第3実施形態装
置を用いてU形鋼矢板を冷却する方法について図10乃
至図12に基づき説明する。
【0053】試験例2.ここでは、図10に示す冷却装
置41を3台(3ゾーン)用い、これら3台の冷却装置
を、前述の第1実施形態と同様、第二中間圧延機と仕上
げ圧延機の間に直列に配置した(図5参照)。1ゾーン
当たりの冷却装置41は、長さ5000mm、幅220m
m、高さ100mmで、多孔板ノズル10Bは、両側部1
2b,12cの各55mm幅のエリアが、φ3mmの噴射孔
13を640個均等に配置した強冷却帯として形成さ
れ、中央部12aのエリアが、φ3mmの噴射孔13を3
20個均等に配置した弱冷却帯として形成され、合計9
60個の噴射孔13を形成して構成されている。冷媒と
して工業用水を用い、ウェブ部2の下面と多孔板ノズル
10Bの上面との距離Hを50mmに設定して、これら冷
却装置群41,41,41に、両側爪5,5間の有効幅
500mm、フランジ高さ200mm、ウェブ厚さ24.3
mmの、いわゆる VL型といわれるU形鋼矢板1を冷却さ
せた。
【0054】VL型U形鋼矢板1の第二中間圧延機終了
時でのウェブ部2の厚さは約28mm、フランジ厚みが約
12mm、ウェブ部2の下面側の内法は約298mmであっ
た。従って、非冷却幅Dfは39mmで、図4より噴射圧
力は0.8kgf/cm2 G以下にすればよい。よって、噴射
圧力をここでは0.7kgf/cm2 Gに設定し、1ゾーン当
たりの冷却水量は約4800リットル/min、3ゾーンで
約14400リットル/minとなるように設定した。また
VLU形鋼矢板1の冷却装置群41,41,41上での
搬送速度は1.0m/secに設定した。
【0055】以上の条件で、第二中間圧延機終了後の V
L型U形鋼矢板1を冷却させた。図11に示すように第
二中間圧延機を終了後のウェブ部2の平均温度は978
℃、フランジ部3の平均温度は910℃で平均温度差が
約68℃あった。冷却復熱後、仕上げ圧延機前の被圧延
材のウェブ部2の平均温度は858℃、フランジ部3の
平均温度は856℃とほぼ同じ温度にすることができ
た。そして仕上げ圧延後、常温まで放冷させた後の20
m当たりの反り量は、上側に約6mmであった。
【0056】また、図12に示すようにこの第3実施形
態の冷却方法を用いて冷却してから仕上げ圧延機を終了
させた後のウェブ部2の平均温度は723℃、フランジ
3の平均温度は717℃で平均温度差が約6℃であり、
ほぼ同じ温度にすることができた。
【0057】また、図12には冷却せずに仕上げ圧延機
を終了させた比較例の各部の温度分布も示してある。こ
の比較例の場合、ウェブ部2の平均温度は813℃、フ
ランジ部3の平均温度は762℃で平均温度差が約51
℃あり、これを仕上げ圧延後、常温まで放冷させたとこ
ろ、20m当たり約1500mmの上反りが発生し、搬送
が困難となった。
【0058】実施形態4.図13は本発明の第4の実施
形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に用いられる装置の構
成を搬送ライン方向より示す縦断面図、図14は図13
の異なる態様を示す縦断面図であり、U形鋼矢板の各部
の構成は前述の従来例(図15)のものと同様であるの
で、同一符号を付してある。また、ここでも冷媒として
工業用水を使用したものを例に挙げて説明する。
【0059】この第4実施形態に係るU形鋼矢板の冷却
装置11は、図13及び図14に示すようにヘッダ12
のライン幅方向設定位置を可変とするヘッダ位置決め機
構50を設けたものである。
【0060】これを更に詳述すると、ヘッダ位置決め機
構50は、搬送ライン15の下方に側方より挿入され
て、支柱51を介しヘッダ12を支持するとともに、車
輪52によって床53上をライン幅方向に移動可能な可
動体54と、可動体54を駆動するアクチュエータ55
とから構成され、可動体54を位置決めガイド22の調
整量ストロークの半分の距離移動させることで、各種幅
のU形鋼矢板1A,1Bに対するヘッダ12の心出しを
行う機能を有している。
【0061】冷却水供給管は、少なくとも横方向に伸縮
自在なフレキシブル管からなり、ここでは噴出圧力の確
保の容易なテレスコピックパイプを用いている。なお、
56は位置決めガイド22を背面側で支持するガイド支
持体、57はガイド支持体を駆動するアクチュエータで
あり、各種幅のU形鋼矢板1A,1Bに応じて位置決め
ガイド22をライン幅方向に移動させることで、各種幅
のU形鋼矢板1A,1Bの通過ラインの位置決めを行う
機能を有している。
【0062】この第4実施形態の冷却方法においても、
非冷却幅Dfと噴射圧力の設定を前述の図4に基づき決
定しているが、更にヘッダ位置決め機構50によって各
種幅のU形鋼矢板1A,1Bに対するヘッダ12の心出
しを行わせることで、幅が異なるU形鋼矢板が通っても
対応させることができる。なお、幅が広いU形鋼矢板の
場合、被冷却部の非冷却幅Dfが広がって、そのままで
は冷却能力が多少低下することが想定される。この場合
は、非冷却幅Dfが広がった分、噴出圧力を高め、この
噴出圧力により冷却能力を調整する。
【0063】なお、前述の各実施形態では本発明の冷却
装置を搬送ライン上の第二中間圧延機と仕上げ圧延機の
間に配置したものを例に挙げて説明した。これは仕上げ
圧延前まで圧延工程が進行した段階では、U形鋼矢板の
肉厚が薄くなっていて、冷却効果が大きいこと、及び後
段の仕上げ圧延工程にて内部応力がキャンセルされるこ
と、などにより、本発明による効果の検証が容易である
ためである。しかし、本発明は設置位置に限定されるも
のでなく、粗圧延機と第一中間圧延機の間、または第一
中間圧延機と第二中間圧延機の間に配置する場合も含ま
れることは言うまでもない。
【0064】
【発明の効果】以上述べたように、本発明のU形鋼矢板
の冷却方法によれば、搬送ライン上を逆U字姿勢で搬送
されるU形鋼矢板のウェブ下面と搬送ライン面との間に
配置した複数の噴射孔より、U形鋼矢板のフィレットと
冷媒の衝突点との間に所定幅の非冷却部が形成されるよ
うに、かつフランジヘの冷媒の接触率が15%以下にな
るように噴射圧力または噴射角度を調整して、冷媒を噴
射させるようにしたので、U形鋼矢板のウェブ部を確実
にフランジ部と同じ温度レベルまで冷却することがで
き、圧延終了後、常温になったときの反り量を大幅に低
減させることができた。その結果、放冷、常温後におい
ては矯正機等の咬み込みが容易となり、矯正効果があが
り、生産性が大幅に向上した。更に拘束装置等の大型設
備が不要となり、かつ連続的に圧延が可能となって、大
幅なコスト低減を実現できた。
【0065】また、この方法に用いられる装置を、逆U
字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウェブ下面と搬送ライ
ン面との間にて、U形鋼矢板のウェブエリア内に収まる
幅とフランジエリア内に収まる高さに設定されてライン
方向に延びる箱形のヘッダと、ヘッダの上面に形成した
多数の噴射孔と、ヘッダ内に冷媒を供給する冷媒供給管
を有し、U形鋼矢板のフィレットと冷媒の衝突点との
間に所定幅の非冷却部が形成されるように各噴射孔を配
置し、かつフランジヘの冷媒の接触率が15%以下にな
るように噴射圧力を調整したので、ウェブ部の下面と噴
射孔との距離を短縮できて、噴射圧力の調整および噴射
冷媒の拡散防止が容易となり、逆U字姿勢で搬送される
U形鋼矢板のウェブ部のみをねらっての冷却が可能とな
った。
【0066】
【0067】また、この方法に用いられる装置におい
て、ヘッダ上面の噴射孔形成部分をヘッダ幅方向の中央
部を底とする谷形に形成し、冷媒噴出方向がウェブ面に
対しウェブ幅方向の中央側に傾くように構成したので、
フランジ部ヘの跳水をより下げることが可能となり、逆
U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のフランジ部を冷却せ
ずにウェブ部だけを確実に冷却することができて、冷却
後の各部温度差を一層圧縮することができ、平均温度差
を従来の限界を超えて縮めることができた。
【0068】また、本発明のU形鋼矢板の冷却方法によ
れば、逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウェブ下面
の冷媒が衝突する直接冷却域内において、フィレット寄
りの両側部が中央部よりも冷却されるように、ウェブ下
面に対する冷媒の供給量をその両側部と中央部とで異な
らせたので、逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウェ
ブ部の温度勾配に合わせた冷却が可能となった。
【0069】また、この方法に用いられる装置を、ヘッ
ダ上面の幅方向両側部における単位面積当たりの噴射孔
の合計面積が、ヘッダ上面の幅方向中央部における単位
面積当たりの噴射孔の合計面積よりも大きくなるように
設定したので、逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウ
ェブ部の温度勾配に合わせた冷媒供給量の調整が可能と
なり、これによって冷却後の各部温度差をより圧縮する
ことができた。
【0070】また、本発明のU形鋼矢板の冷却方法によ
れば、U形鋼矢板と噴射孔との心出しを行った後、冷媒
を供給するようにしたので、逆U字姿勢で搬送される各
種幅のU形鋼矢板のウェブ部と噴射孔との位置関係が明
確となり、噴射圧力の調整が容易となる。
【0071】また、この方法に用いられる装置を、ヘッ
ダのライン幅方向設定位置を可変とするヘッダ位置決め
機構から構成したので、同一ヘッダを各種幅のU形鋼矢
板に対応させることができる。
【0072】また、この方法に用いられる装置におい
て、搬送ライン上に、U形鋼矢板の通過ラインの位置決
めを行うガイドを設けたので、U形鋼矢板と噴射孔との
心出しを簡単に行うことができる。
【0073】また、この方法に用いられる装置におい
て、ヘッダの最上流側に、先端を頂点とする平面的にみ
て三角形の案内装置を設けたので、U形鋼矢板が左右方
向にずれた状態で反搬送されてきた場合でも、U形鋼矢
板とヘッダとの直接衝突を防止でき、ヘッダを保護する
ことができるとともに、案内装置に衝突したU形鋼矢板
を正規の通過ライン位置に導くことができる。
【0074】また、本発明のU形鋼矢板の冷却方法によ
れば、冷却を、中間圧延工程と仕上げ圧延工程の間に行
うようにしたので、肉厚が薄くなったU形鋼矢板に対す
る冷却効果が大きく、U形鋼矢板の各部温度の管理が容
易となり、仕上げ圧延終了後、常温になったときの反り
量を大幅に削減することができた。
【0075】また、この方法に用いられる装置を、搬送
ライン上の中間圧延機と仕上げ圧延機の間に冷却装置を
配置したので、U形鋼矢板の各部温度を仕上げ圧延に最
適な温度に調整することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷
却方法に用いられる装置の構成を示す斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に
用いられる装置を搬送ライン方向より示す縦断面図であ
る。
【図3】第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に
用いられる装置のノズルの噴射によって生じるフランジ
部への冷媒の接触率を説明するグラフと非冷却幅Dfの
説明図である。
【図4】第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に
おけるフランジ部への冷媒の接触率が15%未満となる
非冷却幅と噴射圧力の関係を説明するグラフである。
【図5】第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に
用いられる装置を適用した圧延ラインの概略図である。
【図6】第1の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法に
用いられる装置の最上流側に設置した案内装置を示す斜
視図である。
【図7】図6の案内装置の諸元を説明するための斜視図
である。
【図8】比較例である従来装置を適用した圧延ラインの
概略図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係るU形鋼矢板の冷
却方法に用いられる装置の構成を搬送ライン方向より示
す縦断面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係るU形鋼矢板の
冷却方法に用いられる装置の構成を搬送ライン方向より
示す縦断面図である。
【図11】第3の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法
における仕上げ圧延機前でのU形鋼矢板の冷却前と冷却
復熱後の各部の温度分布を比較して示すグラフである。
【図12】第3の実施形態に係るU形鋼矢板の冷却方法
により冷却してから仕上げ圧延し終了させた場合のU形
鋼矢板の各部の温度分布と冷却せずに仕上げ圧延まで終
了させた場合のU形鋼矢板の各部の温度分布とを比較し
て示すグラフである。
【図13】本発明の第4の実施形態に係るU形鋼矢板の
冷却方法に用いられる装置の構成を搬送ライン方向より
示す縦断面図である。
【図14】図13の異なる態様を示す縦断面図である。
【図15】一般的なU形鋼矢板の各部分を説明する説明
図である。
【図16】変態点Ar3以上の温度で仕上がったときの
U形鋼矢板の曲がりを説明する履歴図である。
【図17】U形鋼矢板の反りの説明図である。
【図18】従来のU形鋼矢板の冷却方法の一例を説明す
る説明図である。
【図19】従来のU形鋼矢板の冷却方法の他の例を説明
する説明図である。
【符号の説明】
1,1A,1B U形鋼矢板 2 ウェブ部 3 フランジ部 4 フィレット部 Df 非冷却部 10A 谷形多孔板ノズル 11,11A,11B,11C,31,41 冷却装置 12 箱形のヘッダ 12A ヘッダ上面 12a ヘッダ上面の中央部 12b,12c ヘッダ上面の両側部 13 噴射孔 14,14A 冷却水供給管(冷媒供給管) 15 搬送ライン 18 第二中間圧延機(中間圧延機) 19 仕上げ圧延機 20 案内装置 21 固定ガイド 22 位置決めガイド 50 ヘッダ位置決め機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 塚脇 始 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 藤井 幸生 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−257621(JP,A) 特開 昭59−7419(JP,A) 特開 昭58−215203(JP,A) 実開 昭52−108209(JP,U) 特公 平6−102202(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 320 C21D 9/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 搬送ライン上を逆U字姿勢で搬送される
    高温のU形鋼矢板のウェブとフランジとの肉厚差により
    生じる温度差を縮めるために、ウェブ下面に冷媒を噴射
    してウェブ部を冷却するに際し、 逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウェブ下面と搬送
    ライン面との間に配置した複数の噴射孔より、U形鋼矢
    板のフィレットと冷媒の衝突点との間に所定幅の非冷却
    部が形成されるように、かつフランジヘの冷媒の接触率
    が15%以下になるように噴射圧力または噴射角度を調
    整して、冷媒を噴射させることを特徴とするU形鋼矢板
    の冷却方法。
  2. 【請求項2】 逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウ
    ェブ下面の冷媒が衝突する直接冷却域内において、フィ
    レット寄りの両側部が中央部よりも冷却されるように、
    ウェブ下面に対する冷媒の供給量をその両側部と中央部
    とで異ならせることを特徴とする請求項1記載のU形鋼
    矢板の冷却方法。
  3. 【請求項3】 U形鋼矢板と噴射孔との心出しを行った
    後、冷媒を供給することを特徴とする請求項1又は請求
    項2記載のU形鋼矢板の冷却方法。
  4. 【請求項4】 冷却を、中間圧延工程と仕上げ圧延工程
    の間に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3のい
    ずれかに記載のU形鋼矢板の冷却方法。
  5. 【請求項5】 搬送ライン上を逆U字姿勢で搬送される
    高温のU形鋼矢板のウェブ下面に冷媒を噴射してウェブ
    部を下方より冷却する冷却装置であって、 逆U字姿勢で搬送されるU形鋼矢板のウェブ下面と搬送
    ライン面との間にて、U形鋼矢板のウェブエリア内に収
    まる幅とフランジエリア内に収まる高さに設定されてラ
    イン方向に延びる箱形のヘッダと、 該ヘッダの上面に形成した多数の噴射孔と、 前記ヘッダ内に冷媒を供給する冷媒供給管とを有し、 U形鋼矢板のフィレットと冷媒の衝突点との間に所定幅
    の非冷却部が形成されるように前記各噴射孔を配置し、
    かつフランジヘの冷媒の接触率が15%以下になるよう
    に噴射圧力を調整してなる ことを特徴とするU形鋼矢板
    の冷却装置。
  6. 【請求項6】 ヘッダ上面の噴射孔形成部分を、ヘッダ
    幅方向の中央部を底とする谷形に形成して、冷媒噴出方
    向をウェブ面に対しウェブ幅方向の中央側に傾けさせた
    ことを特徴とする請求項5記載のU形鋼矢板の冷却装
    置。
  7. 【請求項7】 ヘッダ上面の幅方向両側部における単位
    面積当たりの噴射孔の合計面積が、ヘッダ上面の幅方向
    中央部における単位面積当たりの噴射孔の合計面積より
    も大きくなるように設定したことを特徴とする請求項5
    記載のU形鋼矢板の冷却装置。
  8. 【請求項8】 ヘッダのライン幅方向設定位置を可変と
    するヘッダ位置決め機構を設けたことを特徴とする請求
    項5乃至請求項7のいずれかに記載のU形鋼矢板の冷却
    装置。
  9. 【請求項9】 搬送ライン上に、U形鋼矢板の通過ライ
    ンの位置決めを行うガイドを設けたことを特徴とする請
    求項5乃至請求項8のいずれかに記載のU形鋼矢板の冷
    却装置。
  10. 【請求項10】 ヘッダの最上流側に、先端を頂点とす
    る平面的にみて三角形の案内装置を設けたことを特徴と
    する請求項5乃至請求項9のいずれかに記載のU形鋼矢
    板の冷却装置。
  11. 【請求項11】 冷却装置を、搬送ライン上の中間圧延
    機と仕上げ圧延機の間に配置したことを特徴とする請求
    項5乃至請求項10のいずれかに記載のU形鋼矢板の冷
    却装置。
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