JP5640416B2 - T形鋼のフランジ曲がり防止方法とフランジ曲がり防止装置及びt形鋼製造設備 - Google Patents

T形鋼のフランジ曲がり防止方法とフランジ曲がり防止装置及びt形鋼製造設備 Download PDF

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Description

本発明は、T形鋼を熱間圧延にて製造するときに生じるT形鋼のフランジ曲がりを防止する方法と装置およびT形鋼製造設備に関する。
T形鋼は船舶の構造材や橋梁材などに用いられ、その製造方法としては、二枚の鋼片をT字状に溶接接合してT形鋼を製造する方法と、T形鋼を熱間圧延にて製造する方法とがある。これらの方法で製造されるT形鋼は、通常、図11に示すように、フランジ11の厚さがウエブ12の厚さよりも厚い。このため、ウエブ12の熱容量よりもフランジ11の熱容量のほうが大きくなり、上述した後者の方法でT形鋼10を製造すると、例えば図12に示すようなフランジ曲りがT形鋼10のフランジ11に発生することがある。
そこで、加熱炉などで加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片に粗造形圧延し、粗造形圧延されたT形鋼片を製品形状に近い形状になるまで中間圧延した後、製品形状に仕上圧延してT形鋼を製造するに際して、製品形状に仕上圧延されたT形鋼のフランジ内外面に冷却水を、噴射角度が調整可能な冷却水噴射ノズルから吹き付けてT形鋼のフランジ曲がりを防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このような方法によると、熱間圧延されたT形鋼のフランジとウエブとの間に大きな温度差が生じ難くなるため、T形鋼のフランジに曲がりが生じることを防止することが可能である。また、冷却水噴射ノズルの噴射角度を冷却されるT形鋼のサイズに応じて調整することで、冷却水噴射ノズルからT形鋼のフランジ外面やフランジ内面に噴射される冷却水の噴射域が上下方向に変化するので、冷却されるT形鋼のサイズが変わった場合でもT形鋼のフランジを冷却することが可能である。
特開2009−248170号公報
しかしながら、冷却水噴射ノズルの噴射角度を調整すると、図13に示すように、T形鋼10のフランジ外面やフランジ内面に当たる冷却水CWの衝突角度が変化し、冷却水CWの衝突角度が変化することによって冷却水噴射ノズルの冷却能力がT形鋼のサイズによって変化してしまうため、T形鋼のサイズによってはフランジ曲がりの発生を防止することが難しくなるなどの問題があった。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたもので、T形鋼を熱間圧延にて製造するときにT形鋼のフランジにフランジ曲がりが発生することをT形鋼のフランジ幅に影響されることなく防止することのできるT形鋼のフランジ曲がり防止方法とフランジ曲がり防止装置を提供することを目的とするものである。また、本発明の他の目的は、高品質のT形鋼を熱間圧延にて製造することのできるT形鋼製造設備を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係る発明は、加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片に粗造形圧延し、次いで前記T形鋼片を製品形状に近い形状になるまで中間圧延した後、製品形状に仕上圧延して製造されるT形鋼のフランジ曲がりを防止する方法であって、前記T形鋼片の中間圧延工程および/又は仕上圧延工程で前記T形鋼片のフランジ上側内面、フランジ下側内面およびフランジ外面のうち少なくともフランジ上側内面とフランジ下側内面に冷却水を噴射するとともに、前記フランジ上側内面に噴射される冷却水の噴射位置を、前記フランジ上側内面に噴射される冷却水が前記フランジ上側内面と衝突する角度が前記T形鋼のフランジ幅によらず略一定となるように、前記T形鋼のフランジ幅に応じて上下方向に変更することを特徴とする。
本発明の請求項2に係る発明は、請求項1に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止方法において、前記T形鋼片の中間圧延工程および/又は仕上圧延工程で前記T形鋼片のフランジ外面に冷却水を噴射するとともに、前記フランジ外面に噴射される冷却水の噴射位置を前記T形鋼のフランジのフランジ幅に応じて上下方向に変更することを特徴とする。
本発明の請求項3に係る発明は、加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片に粗造形圧延する粗圧延機と、前記T形鋼片を製品形状に近い形状になるまで中間圧延する中間圧延機群と、該中間圧延機群で中間圧延されたT形鋼片を製品形状に仕上圧延する仕上圧延機とを備えたT形鋼製造設備の前記中間圧延機群の前後および/又は前記仕上圧延機の前側に配置されてT形鋼のフランジ曲がりを防止する装置であって、前記T形鋼片のフランジ下側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ下側内面冷却用ノズルヘッダーと、前記T形鋼片のフランジ上側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーと、該フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーを上下方向に昇降駆動するヘッダー昇降手段と、該ヘッダー昇降手段を介して前記フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーの位置を、前記フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーに設けられた冷却水噴射ノズルから噴射された冷却水が前記フランジ上側内面と衝突する角度が前記T形鋼のフランジ幅によらず略一定となるように、前記T形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段とを備えてなることを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止装置において、前記T形鋼片のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、該フランジ外面冷却用ノズルヘッダーを上下方向に昇降するヘッダー昇降手段と、該ヘッダー昇降手段を介して前記フランジ外面冷却用ノズルヘッダーの位置を前記T形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段とをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の請求項に係る発明は、請求項に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止装置において、前記T形鋼片のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有する第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、該第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーの上側または下側に配置された第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、前記第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと前記第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーに冷却水供給管を介して接続された方向切換弁と、該方向切換弁を前記T形鋼のフランジ幅に応じて切換え制御する制御装置とをさらに備えたことを特徴とする。
本発明の請求項6に係る発明のT形鋼製造設備は、請求項3〜5のいずれか一項に記載されたフランジ曲がり防止装置を備えたことを特徴とする。
なお、本発明において、「T形鋼片」とは、粗造形圧延後の断面略T字状の粗造形された状態のものだけではなく、中間圧延途中および中間圧延されて仕上圧延前の製品形状に近い形状になるまでのものを含むものとする。
本発明によると、T形鋼片のフランジ上側内面に当たる冷却水の衝突角度がT形鋼のサイズによって変化してしまうことがなく、常に一定の角度でT形鋼片のフランジ上側内面に冷却水が噴射され、これにより、T形鋼のフランジ幅が大きい場合や小さい場合でも安定した冷却能力でT形鋼片のフランジを冷却水によって冷却できるので、熱間圧延にて製造されるT形鋼のフランジにフランジ曲がりが発生することを防止することができる。
本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるT形鋼製造設備の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置の一例を示す平面図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置の一例を示す正面図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置のフランジ内面冷却装置の要部を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置のフランジ外面冷却装置の要部を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を説明するための図である。 本発明の第2の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるT形鋼製造設備の一例を示す図である。 本発明の第3の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるT形鋼製造設備の一例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置のフランジ内面冷却装置の他の例を示す図である。 本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるフランジ曲がり防止装置のフランジ外面冷却装置の他の例を示す図である。 T形鋼の断面を示す図である。 熱間圧延されたT形鋼のフランジに発生する冷却曲がりの一例を示す図である。 従来技術の問題点を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
本発明の第1の実施形態に係るT形鋼のフランジ曲がり防止方法を実施するときに用いられるT形鋼製造設備の一例を図1に示す。図1中符号20はT形鋼を熱間圧延にて製造するT形鋼製造設備であって、このT形鋼製造設備20は粗造形圧延機21、中間圧延機群22、仕上圧延機25およびフランジ曲がり防止装置26を備えている。
粗造形圧延機21は図示しない加熱炉で加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片15(図3参照)に粗造形圧延するものであって、例えば上側圧延ロールと下側圧延ロールとの間にT字形の孔型を形成して鋼片を断面略T字状のT形鋼片15に粗造形圧延するように構成されている。
中間圧延機群22は粗造形圧延機21により粗造形圧延されたT形鋼片15をT形鋼の製品形状に近い形状になるまで中間圧延するものであって、例えばエッジャ圧延機23の前後にユニバーサル圧延機24を配置して構成されている。
仕上圧延機25は中間圧延機群22で中間圧延されたT形鋼片15を製品形状に仕上圧延するものであって、中間圧延機群22からのT形鋼片15を例えば上下一対の水平ロールと水平ロールの両側または片側に配置された縦ロールとで仕上圧延するように構成されている。
フランジ曲がり防止装置26はT形鋼を熱間圧延にて製造するときにT形鋼のフランジにフランジ曲がりが発生するのを防止するものであって、中間圧延機群22の入側と出側に配置されている。
フランジ曲がり防止装置26の一例を図2〜図5に示す。図2中符号27,28は被圧延材であるT形鋼片15を長手方向に搬送するローラテーブル、29,30はローラテーブル27により搬送されるT形鋼片15の両側をガイドするサイドガイド、31,32はローラテーブル28により搬送されるT形鋼片15の両側をガイドするサイドガイドであって、フランジ曲がり防止装置26はT形鋼片15のウエブ17(図3参照)をガイドするサイドガイド29,31に設けられたフランジ内面冷却装置33と、T形鋼片15のフランジ16(図3参照)をガイドするサイドガイド30,32に設けられたフランジ外面冷却装置34とで構成されている。
フランジ内面冷却装置33はT形鋼片15の長さ方向に沿って配置された複数本(例えば三本)のフランジ下側内面冷却用ノズルヘッダー331(図3参照)を有し、このフランジ下側内面冷却用ノズルヘッダー331には、フランジ16の下側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル332が設けられている。また、フランジ内面冷却装置33はT形鋼片15の長さ方向に沿って配置された複数本(例えば三本)のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333と、これらのフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333を上下方向に昇降駆動する複数(例えば三つ)のヘッダー昇降用油圧シリンダ335(図3参照)とを有し、フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333の各々には、T形鋼片15に形成されたフランジ16の上側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル334が設けられている。
さらに、フランジ内面冷却装置33は、図4に示すように、ヘッダー昇降用油圧シリンダ335に作動油給排ライン336,337を介して接続された作動油供給回路338と、この作動油供給回路338を介してヘッダー昇降用油圧シリンダ335の作動を制御する制御装置339とを有し、この制御装置339から作動油供給回路338に送出される制御信号によってフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333の位置がT形鋼のフランジ幅W(図11参照)に応じて制御されるようになっている。
フランジ外面冷却装置34はT形鋼片15の長さ方向に沿って配置された複数本(例えば三本)のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341と、これらのフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341を上下方向に昇降駆動する複数(例えば三つ)のヘッダー昇降用油圧シリンダ343(図3参照)とを有し、フランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の各々には、T形鋼片15に形成されたフランジ16の外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル342が設けられている。
また、フランジ外面冷却装置34は、図5に示すように、ヘッダー昇降用油圧シリンダ343に作動油給排ライン344,345を介して接続された作動油供給回路346と、この作動油供給回路346を介してヘッダー昇降用油圧シリンダ343の作動を制御する制御装置347とを有し、この制御装置347から作動油供給回路346に送出される制御信号によってフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の位置がT形鋼のフランジ幅Wに応じて制御されるようになっている。
なお、フランジ内面冷却装置33とフランジ外面冷却装置34の制御装置339,347はT形鋼製造設備の操業を管理する操業管理コンピュータ(図示せず)からのフランジ幅情報に基づいてヘッダー昇降用油圧シリンダ335,343の作動を制御するように構成されている。
図1に示すT形鋼製造設備20の粗造形圧延機21で断面略T字状に粗造形圧延されたT形鋼片15は、例えば図3に示す断面形状になるまで中間圧延機群22で中間圧延された後、仕上圧延機25で仕上圧延される。このような工程を経てT形鋼を製造する際に、T形鋼片15に形成されたフランジ16の内外面は中間圧延機群22の入側と出側に配置されたフランジ曲がり防止装置26の冷却水噴射ノズル332,334,342から噴出する冷却水CW(図3及び図6参照)によって冷却される。
このとき、フランジ16の上側内面に噴射される冷却水CWは、T形鋼のフランジ幅Wに応じてフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333の位置がフランジ内面冷却装置33の制御装置339によって調整された後、フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333に設けられた冷却水噴射ノズル334から噴射される。具体的には、図6に示すように、冷却水噴射ノズル334から噴射された冷却水がフランジ上側内面と衝突する角度がフランジ幅Wによらず略一定となるように、T形鋼のフランジ幅Wが大きい場合にはフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333がヘッダー昇降用油圧シリンダ335により適正位置まで上方に駆動され、T形鋼のフランジ幅Wが小さい場合にはフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333がヘッダー昇降用油圧シリンダ335により適正位置まで下方に駆動される。
また、T形鋼片15に形成されたフランジ16の外面に噴射される冷却水CWは、T形鋼のフランジ幅Wに応じてフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の位置がフランジ外面冷却装置34の制御装置347によって調整された後、フランジ外面冷却用ノズルヘッダー341に設けられた冷却水噴射ノズル342から噴射される。具体的には、図6に示すように、冷却水噴射ノズル342から噴射された冷却水がフランジ外面と衝突する角度がフランジ幅Wによらず略一定となるように、T形鋼のフランジ幅Wが大きい場合にはフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341がヘッダー昇降用油圧シリンダ343により適正位置まで上方に駆動され、T形鋼のフランジ幅Wが小さい場合にはフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341がヘッダー昇降用油圧シリンダ343により適正位置まで下方に駆動される。
このように、加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片15に粗造形圧延し、粗造形圧延されたT形鋼片15を製品形状に近い形状になるまで中間圧延した後、製品形状に仕上圧延して製造されるT形鋼のフランジ上側内面、フランジ下側内面およびフランジ外面に冷却水CWをフランジ曲がり防止装置26の冷却水噴射ノズル332,334,342から噴射するに際して、冷却水噴射ノズル334からフランジ上側内面に噴射される冷却水CWの噴射位置と冷却水噴射ノズル342からフランジ外面に噴射される冷却水CWの噴射位置をT形鋼のフランジ幅Wに応じて上下方向に変更した後、冷却水CWを冷却水噴射ノズル332,334,342から噴射することで、T形鋼片15に形成されたフランジ16の内外面に噴射される冷却水CWの衝突角度が一定に保たれた状態でT形鋼片15のフランジ16が冷却水CWによって冷却される。
従って、T形鋼のサイズが変化してもT形鋼片のフランジに噴射される冷却水の衝突角度が変化することがないので、T形鋼を熱間圧延にて製造するときに、T形鋼のフランジ幅に影響されることなくフランジを適切に冷却することができ、それによってT形鋼のフランジにフランジ曲がりが発生することを防止することができる。また、加熱炉などで加熱された鋼片を熱間圧延してT形鋼を製造するときに高品質のT形鋼を製造することができる。
上述した第1の実施形態では、フランジ内面冷却装置33のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333やフランジ外面冷却装置34のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341を上下方向に昇降駆動する冷却水ヘッダー昇降手段として油圧シリンダを例示したが、油圧シリンダの代わりにエアーシリンダを用いてもよいし、あるいはボールねじ等を用いてフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333やフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341を上下方向に昇降駆動するようにしてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、T形鋼のフランジ幅Wに応じてフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333およびフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の位置を上下方向に変更するようにしたが、これらの変更に加えて冷却水噴射ノズル334,342の噴射角度も同時にT形鋼のフランジ幅Wに応じて変更するようにしてもよい。
また、T形鋼のフランジ幅Wに応じてフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333およびフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の位置を上下方向に変更するだけでなく、フランジ下側内面冷却用ノズルヘッダー331の位置もT形鋼のフランジ幅Wに応じて上下方向に変更してもよい。
さらに、これらのノズルヘッダー333,341,331の位置は、フランジ幅Wに加えてウエブ高さH(図11参照)に応じて変更してもよい。
さらに、上述した第1の実施形態では、フランジ曲がり防止装置26を中間圧延機群22の入側と出側に配置してT形鋼の中間圧延工程でフランジ曲がりの発生を防止するようにしたが、図7に示すように、フランジ曲がり防止装置26を仕上圧延機25の入側にも配置してT形鋼の中間圧延工程と仕上圧延工程でフランジ曲がりの発生を防止するようにしてもよいし、あるいは図8に示すように、フランジ曲がり防止装置26を仕上圧延機25の入側のみに配置してT形鋼の仕上圧延工程でフランジ曲がりの発生を防止するようにしてもよい。
また、上述した第1の実施形態では、熱間圧延にて製造されるT形鋼のフランジ上側内面、フランジ下側内面およびフランジ外面に冷却水を噴射してフランジ曲がりの発生を防止するようにしたが、少なくともT形鋼のフランジ上側内面とフランジ下側内面に冷却水を噴射してフランジ曲がりの発生を防止するようにする。これは、フランジ外面の温度よりもフランジ内面の温度のほうが高いことが多いからである。
さらに、フランジ曲がり防止装置26のフランジ内面冷却装置として、T形鋼のフランジ上側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル334を有するフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333と、フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333を上下方向に昇降駆動するヘッダー昇降手段としてのヘッダー昇降用油圧シリンダ335と、ヘッダー昇降用油圧シリンダ335を介してフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333の位置をT形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段としての制御装置339とを備えたものを例示したが、図9に示すように、T形鋼のフランジ上側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル352を有する第1のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー351と、この第1のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー351の上側(または下側)に配置された第2のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー353と、第1のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー351と第2のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー353に冷却水供給管354,355を介して方向切換弁356と、この方向切換弁356をT形鋼のフランジ幅に応じて切換え制御する制御装置357とを備えたフランジ内面冷却装置35を用いてもよい。
なお、図9に示す例では、フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー351の数は2つであるが、これに限らず、3つ以上であってもよい。
また、フランジ曲がり防止装置26のフランジ外面冷却装置として、T形鋼のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル342を有するフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341と、フランジ外面冷却用ノズルヘッダー341を上下方向に昇降駆動する冷却水ヘッダー昇降手段としてのヘッダー昇降用油圧シリンダ343と、ヘッダー昇降用油圧シリンダ343を介してフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341の位置をT形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段としての制御装置347とを備えたものを例示したが、図10に示すように、T形鋼のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズル362を有する第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー361と、この第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー361の上側(または下側)に配置された第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー363と、第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー361と第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー363に冷却水供給管364,365を介して方向切換弁366と、この方向切換弁366をT形鋼のフランジ幅に応じて切換え制御する制御装置367とを備えたフランジ外面冷却装置36を用いてもよい。
なお、図10に示す例では、フランジ外面冷却用ノズルヘッダー361の数は2つであるが、これに限らず、3つ以上であってもよい。
また、中間圧延機群22のユニバーサル圧延機24や仕上圧延機25のロール構成にもよるが、T形鋼の圧延時の姿勢が図11に示す姿勢(ウエブが水平な姿勢)で、圧延機から離れるに従って例えば図3に示す姿勢(ウエブ先端がローラテーブル27,28に接する姿勢)となる場合がある。このような場合には、ローラテーブル27,28に対するT形鋼片の姿勢すなわちフランジの角度が変化しても冷却水噴射ノズル334,342からの冷却水がフランジに適切な角度で当るように、フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333やフランジ外面冷却用ノズルヘッダー341をT形鋼の製造設備長手方向に沿って上下方向に傾斜させてもよい。具体的には、例えば中間圧延機群22のユニバーサル圧延機24や仕上圧延機25から離れるに従ってフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー333の上下方向の位置が低くなるように傾斜させてもよい。
10…T形鋼
11…フランジ
12…ウエブ
15…T形鋼片
16…フランジ
17…ウエブ
20…T形鋼製造設備
21…粗造形圧延機
22…中間圧延機群
23…エッジャ圧延機
24…ユニバーサル圧延機
25…仕上圧延機
26…フランジ曲がり防止装置
27,28…ローラテーブル
29,30,31,32…サイドガイド
33…フランジ内面冷却装置
331…フランジ下側内面冷却用ノズルヘッダー
332…冷却水噴射ノズル
333…フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー
334…冷却水噴射ノズル
335…ヘッダー昇降用油圧シリンダ
336,337…作動油給排ライン
338…作動油供給回路
339…制御装置
34…フランジ外面冷却装置
341…フランジ外面冷却用ノズルヘッダー
342…冷却水噴射ノズル
343…ヘッダー昇降用油圧シリンダ
344,345…作動油給排ライン
346…作動油供給回路
347…制御装置
35…フランジ内面冷却装置
351…第1のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー
352…冷却水噴射ノズル
353…第2のフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダー
354,355…冷却水供給管
356…方向切換弁
357…制御装置
36…フランジ外面冷却装置
361…第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー
362…冷却水噴射ノズル
363…第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダー
364,365…冷却水供給管
366…方向切換弁
367…制御装置

Claims (6)

  1. 加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片に粗造形圧延し、次いで前記T形鋼片を製品形状に近い形状になるまで中間圧延した後、製品形状に仕上圧延して製造されるT形鋼のフランジ曲がりを防止する方法であって、
    前記T形鋼片の中間圧延工程および/又は仕上圧延工程で前記T形鋼片のフランジ上側内面、フランジ下側内面およびフランジ外面のうち少なくともフランジ上側内面とフランジ下側内面に冷却水を噴射するとともに、前記フランジ上側内面に噴射される冷却水の噴射位置を、前記フランジ上側内面に噴射される冷却水が前記フランジ上側内面と衝突する角度が前記T形鋼のフランジ幅によらず略一定となるように、前記T形鋼のフランジ幅に応じて上下方向に変更することを特徴とするT形鋼のフランジ曲がり防止方法。
  2. 請求項1に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止方法において、前記T形鋼片の中間圧延工程および/又は仕上圧延工程で前記T形鋼片のフランジ外面に冷却水を噴射するとともに、前記フランジ外面に噴射される冷却水の噴射位置を前記T形鋼のフランジのフランジ幅に応じて上下方向に変更することを特徴とするT形鋼のフランジ曲がり防止方法。
  3. 加熱された鋼片を断面略T字状のT形鋼片に粗造形圧延する粗圧延機と、前記T形鋼片を製品形状に近い形状になるまで中間圧延する中間圧延機群と、該中間圧延機群で中間圧延されたT形鋼片を製品形状に仕上圧延する仕上圧延機とを備えたT形鋼製造設備の前記中間圧延機群の前後および/又は前記仕上圧延機の前側に配置されてT形鋼のフランジ曲がりを防止する装置であって、
    前記T形鋼片のフランジ下側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ下側内面冷却用ノズルヘッダーと、前記T形鋼片のフランジ上側内面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーと、該フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーを上下方向に昇降駆動するヘッダー昇降手段と、該ヘッダー昇降手段を介して前記フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーの位置を、前記フランジ上側内面冷却用ノズルヘッダーに設けられた冷却水噴射ノズルから噴射された冷却水が前記フランジ上側内面と衝突する角度が前記T形鋼のフランジ幅によらず略一定となるように、前記T形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段とを備えてなることを特徴とするT形鋼のフランジ曲がり防止装置。
  4. 請求項に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止装置において、前記T形鋼片のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有するフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、該フランジ外面冷却用ノズルヘッダーを上下方向に昇降するヘッダー昇降手段と、該ヘッダー昇降手段を介して前記フランジ外面冷却用ノズルヘッダーの位置を前記T形鋼のフランジ幅に応じて制御するヘッダー位置制御手段とをさらに備えたことを特徴とするT形鋼のフランジ曲がり防止装置。
  5. 請求項に記載のT形鋼のフランジ曲がり防止装置において、前記T形鋼片のフランジ外面に向けて開口する複数の冷却水噴射ノズルを有する第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、該第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーの上側または下側に配置された第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと、前記第1のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーと前記第2のフランジ外面冷却用ノズルヘッダーに冷却水供給管を介して接続された方向切換弁と、該方向切換弁を前記T形鋼のフランジ幅に応じて切換え制御する制御装置とをさらに備えたことを特徴とするT形鋼のフランジ曲がり防止装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載されたフランジ曲がり防止装置を備えたことを特徴とするT形鋼製造設備。
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