JP2003154403A - 熱間圧延ライン及び熱間圧延方法 - Google Patents

熱間圧延ライン及び熱間圧延方法

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JP2003154403A
JP2003154403A JP2001355266A JP2001355266A JP2003154403A JP 2003154403 A JP2003154403 A JP 2003154403A JP 2001355266 A JP2001355266 A JP 2001355266A JP 2001355266 A JP2001355266 A JP 2001355266A JP 2003154403 A JP2003154403 A JP 2003154403A
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leveler
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hot rolling
cooling
strip
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JP2001355266A
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English (en)
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Yukihiro Matsubara
行宏 松原
Toshiki Hiruta
敏樹 蛭田
Masanori Kitahama
正法 北浜
Takeshi Hirabayashi
毅 平林
Futoshi Goto
太 後藤
Kazuya Miyagawa
和也 宮川
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Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高強度な製品を得ることができ、また、レベ
ラ起因のスケール押し込み欠陥の少ない高強度製品を製
造できる熱間圧延ラインを提案する。 【解決手段】 仕上圧延機と、レベラと、冷却設備とが
上流から下流に向かってこの順に配置され、かつレベラ
には金属ストリップの表面に向け液体を噴射可能なスプ
レーノズルが取り付けられている金属ストリップの熱間
圧延ラインとする。スプレーノズルは、ストリップ冷却
用ノズルとするか、あるいはスケール除去用ノズルとす
るか、もしくは両方の作用を有するノズルとすることが
できるが、両方の作用を有するノズルとすることが好適
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高強度の金属スト
リップを製造するための熱間圧延ライン及び熱間圧延方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属ストリップは、仕上圧延機を配置し
た熱間圧延ラインにおいて圧延されて製造される。例え
ば、鋼ストリップを製造する熱間圧延ラインにおいて
は、図10に模式的に示すように、加熱されたスラブと呼
ばれる金属片Sを粗圧延機2で粗圧延し、次いで仕上圧
延機3で仕上圧延を施して金属ストリップ1とし、冷却
装置4で所定の冷却を行ない、コイラ5a、5bのいずれか
一方に巻き取られて、金属ストリップ製品とされる。仕
上圧延機3は、ワークロール3aを組み込んだ複数の圧延
スタンドを備えている。なお、3bはバックアップロール
であり、9bはクロップシャである。スラブは、図示しな
い加熱炉で加熱されて抽出される場合や加熱炉を経ずに
上工程から熱間状態で直送される場合もある。また、鋼
ストリップ製品は、場合により、シートーバーが仕上圧
延機3に直接供給されて粗圧延を省略して製造されるこ
ともある。
【0003】図10中符号5c、5dは、それぞれコイラ5a、
5bに付設されるマンドレルであり、冷却された金属スト
リップ1をコイル状に巻き取るものである。このような
熱間圧延ラインにおいては、製造する鋼ストリップ製品
の高強度化のため、従来から、結晶粒の微細化を図る鋼
の熱間圧延方法が種々検討されてきている。
【0004】その代表的なものとして、特開昭63-22312
4 号公報等に開示されているいわゆる制御圧延法があ
る。制御圧延法の原理は、オーステナイト(以下、単に
γと記す)→フェライト(以下、単にαと記す)変態時
のα核の生成場所となる、γ粒界を増やすこと及び転位
などの格子欠陥をより多量に導入することにより、γ→
α変態時にα粒を数多く生成して、結晶粒の微細化を実
現しようとするものであるが、仕上圧延前の金属片の厚
みと仕上圧延後の製品厚みが決まっているために、γ→
α変態時までに導入できるひずみ量には制約があり、一
般に、制御圧延法では平均結晶粒径5μmが限界である
と言われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、先に、特願2001-302509 号において、この限界を打
破して、従来以上に高強度製品とするための熱間圧延方
法および熱間圧延ラインを提案した。本発明者らの提案
した方法は、仕上圧延機と、レベラと、冷却設備とが上
流から下流に向かってこの順に配置されている熱間圧延
ラインを用いて、仕上圧延を施された金属ストリップに
レベラにより繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却する
熱間圧延方法であり、仕上圧延によるひずみに加えて、
レベラにより金属ストリップ長手方向に付加される繰り
返し曲げひずみにより金属ストリップ製品の組織の結晶
粒を微細化することができるという新技術である。
【0006】この新技術には、以下のような改善の余地
があった。 金属ストリップ組織の結晶粒をより微細化するため
に、レベラのロール押し込み量をより大きくしようとし
た場合、レベラのロール間隔やロール径、あるいは金属
ストリップの板厚の関係上、上限があるため、製品の高
強度化に限度があった。 また、金属ストリップ組織の結晶粒を微細化するため
に、レベラのロールを押し込み、金属ストリップに繰り
返し曲げひずみを付加した場合、金属ストリップ表面の
スケール状態によってはレベラの上流側のロールによる
曲げひずみによりスケールが剥離し、剥離したスケール
が金属ストリップの表面に乗った状態でレベラの下流側
のロールにより金属ストリップ表面に押し込まれる場合
がある。このようなレベラ起因のスケール押し込みが発
生した場合、金属ストリップ表面に押し込まれたスケー
ルは熱間圧延の後工程である酸洗工程を経ても金属スト
リップ表面に残存することがあり、レベラ起因のスケー
ル押し込み欠陥が生じた製品部分は、表面欠陥部分とし
て切り捨てられることになる。このため、レベラを使用
した高強度製品の歩留まりが低い場合があった。
【0007】そこで、本発明の目的は上述のような問題
点を改善することにあり、一段と高強度の製品を得るこ
とができ、また、レベラ起因のスケール押し込み欠陥の
少ない高強度製品を製造できる熱間圧延ラインおよび熱
間圧延方法を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属ストリッ
プの熱間圧延ラインにおいて、仕上圧延機と、レベラ
と、冷却設備とが上流から下流に向かってこの順に配置
され、かつ前記レベラには金属ストリップの表面に向け
液体を噴射可能なスプレーノズルが取り付けられている
ことを特徴とする。その場合、前記スプレーノズルは、
ストリップ冷却用ノズルとするか、あるいはスケール除
去用ノズルとするか、もしくは両方の作用を有するノズ
ルとすることができるが、両方の作用を有するノズルと
することが好適である。
【0009】また、本発明では、上記の熱間圧延ライン
に、さらに、前記仕上圧延機とレベラとの間に冷却設備
が配置され、そのうえさらに、前記仕上圧延機の上流に
接合設備が配置されていると共に、前記レベラの下流に
配置された冷却設備とコイラとの間に切断設備が配置さ
れていることが一段と好適である。上記の熱間圧延ライ
ンを用いる本発明に係る熱間圧延方法は、金属片に熱間
で仕上圧延を施すと共に、仕上圧延後の金属ストリップ
にレベラにより繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却す
るに当たり、前記レベラ内において金属ストリップの表
面に向け液体を噴射することを特徴とする。その際、前
記液体によりレベラ内の金属ストリップの冷却を行い、
前記レベラ内での金属ストリップの温度を低下させる
か、あるいは前記液体によりレベラ内の金属ストリップ
表面のスケール除去を行うようにすることもできるが、
両方とも同時に行うようにするのが好ましい熱間圧延方
法である。また、前記レベラ出側での金属ストリップの
温度Tou t をAr3点〜Ar3点−50℃とすることがより高
強度製品を得ることができるので好ましい。
【0010】尚、本発明にいう金属ストリップは、金属
板をも含む意味とし、本発明で、金属ストリップの表面
とは、レベラにより繰り返し曲げ加工を施されている金
属ストリップの上面又は下面とすることもできるが、冷
却効率の点および表面品質の点で両面とするのが好まし
い。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る熱間圧延ライ
ンについて説明する。図1(a)は第1の実施の形態に
係る熱間圧延ラインの模式図であり、(b)は第2の実
施の形態に係る熱間圧延ラインの模式図である。また、
図2は、本発明に用いるレベラの作用を説明する図であ
る。
【0012】図1(a)、(b)で粗圧延機2、仕上圧
延機3、冷却設備4及びマンドレル5c、5dをそれぞれ有
するコイラ5a、5bは、従来の熱間圧延ライン(図10参
照)に設置されているものと同じであるので、同一符号
を付して説明を省略する。第1の実施の形態に係る熱間
圧延ラインは、仕上圧延機3と、レベラ6と、冷却設備
4とが上流から下流に向かってこの順に配置されてい
る。また第2の実施の形態に係る熱間圧延ラインは、従
来の冷却設備4に加えて、仕上圧延機3とレベラ6との
間に冷却設備7が配置されている。
【0013】本発明に適用するレベラ6は、千鳥状に配
列された3本以上のワークロール6aを備えている(図2
参照)。レベラ6は、図示しない、例えば、ウオーム減
速器によって昇降するスクリューを備えた昇降装置もし
くは油圧により昇降するシリンダロッドを内装した油圧
シリンダとシリンダロッドの位置を検出する位置検出器
を備えた昇降装置により、図示しない制御装置から制御
され、ワークロール6aを回転自在に支持する軸受箱を装
着したフレームを昇降させ、レベラを開放状態とした
り、また、あるいはレベラの押し込みを行ってレベラ押
し込み量δ(図2(a)参照)を調整できるように構成
されている。
【0014】このような構成のレベラ6により、金属ス
トリップ1は繰り返し曲げ加工を施される。レベラのワ
ークロール6aはそれぞれ駆動式とするのが望ましい。ま
た、千鳥状に配列されたワークロール6aは、バックアッ
プロール6bによりバックアップするのが、レベラの押し
込み時に金属ストリップ1からの反力によりワークロー
ル6aが金属ストリップ1の幅方向に撓むのに抗し、金属
ストリップ1の幅方向に均一に曲げひずみを付加するこ
とができるようになるから好ましい(図3参照)。
【0015】レベラにより繰り返し曲げ加工を施す温度
は、γ→α変態が終了する温度以上とすることが望まし
く、その際、Ar3点(冷却過程におけるγ→α変態開始
温度)を超える温度域において繰り返し曲げ加工を行う
よりも、Ar3点よりも、わずかに温度が低く、γ→αの
変態が開始していてα粒がわずかに存在し、大部分がγ
粒である2相金属組織の状態で繰り返し曲げ加工を施す
ようにすることが、一段とα粒を微細化できるので好ま
しい。
【0016】本発明に係る熱間圧延ラインは、図1
(a)に示したように、仕上圧延機3と、レベラ6と、
冷却設備4とがライン上流から下流に向かってこの順に
配置されている。これにより、金属片Sに仕上圧延機3
により圧延が施されて金属ストリップ1とされ、続いて
仕上圧延後の金属ストリップ1にレベラ6により繰り返
し曲げ加工が施され、その後冷却されて金属ストリップ
製品が得られるのであるが、レベラ6により金属ストリ
ップ1の長手方向に付加される曲げひずみにより、製品
の結晶粒が微細化されるのである。
【0017】これは、レベラにより金属ストリップ1の
長手方向に付加される曲げひずみにより、一層のγ粒
の微細化(γ粒界の増加)、それとともに、γ粒内へ
の転位などの格子欠陥の導入が図られ、γ→α変態時に
α粒が多数生成されるなどの作用により、より一層α粒
の微細化が可能になるからと考えられる。以下、レベラ
6により付加される曲げひずみについて、図2(a)、
(b)を用いて詳細に説明する。
【0018】レベラ6により金属ストリップ1の長手方
向に付加される曲げひずみを従来のレベラによる曲げひ
ずみより大きくし、金属ストリップ製品の結晶粒を微細
化するには、図2(a)に示す隣接するワークロール6a
同士の中心軸間隔2Lを小さくし、ロール押し込み量δ
を大きくすることが有効である。レベラ6により金属ス
トリップ表面長手方向に付加される一回当たりの曲げひ
ずみεは、近似的に式(1)で与えられることが知られ
ている。
【0019】 ε=a×δ/L2 ・・・・・・・・・・(1) ここで、a=2×h、h:金属ストリップ1の厚みロー
ル押し込み量δとは、レベラ6の上下ワークロール6a間
に金属ストリップ1を挟んだ状態を0とし、その状態か
ら上下ワークロール6aを押し込んだ距離である。例え
ば、図2(a)に示すような場合、ロール押し込み量δ
はδ>0であり、一方、図2(b)に示すように、上下
ワークロール間の間隙gが仕上圧延後の金属ストリップ
1の厚みhより大きい場合(レベラが開放状態)、ロー
ル押し込み量δはδ<0である。Rは金属ストリップ1
の曲率半径、rはワークロール6aの半径である。
【0020】なお、ロール押し込み量δが過大になる
と、金属ストリップ1がレベラ内を正常に通過できなく
なる通板トラブルが発生する場合ある。これを防止する
ためには、レベラ6のロール押し込み量δを+30mm以下
に制限するのが望ましい。また、金属ストリップ製品の
結晶粒を微細化する観点からロール押し込み量δは+1
mm以上とするのが望ましい。
【0021】ところで、当初レベラ6には、金属ストリ
ップ1の表面に向け液体を噴射するスプレーノズルが設
置されていなかった。このため、レベラにより金属スト
リップ1に繰り返し曲げ加工を施す際、一段と高強度な
製品を製造しようとして、ロール押し込み量δを大きく
した場合、金属ストリップ1に生成するスケールがロー
ルによって金属ストリップ1に押し込まれ、得られる金
属ストリップ製品がスケール押し込み欠陥の多いものと
なる場合があったのである。
【0022】そこで、本発明においては、例えば、図
3、図4に示すように、レベラ6に金属ストリップ1の
表面に向け液体を噴射可能なスプレーノズル6fを取り付
けて上記問題を解決するようにした。スプレーノズル6f
は、金属ストリップ1を冷却するための冷却用液体を噴
射するストリップ冷却用ノズルとするか、あるいは金属
ストリップ表面のスケールを除去するための液体を噴射
するスケール除去用ノズルとするか、いずれとすること
もできるが、両方の作用を有するノズルとすることが、
後述するように、液体によりレベラ内の金属ストリップ
1の冷却を行い、レベラ内での金属ストリップ1の温度
を低下させることにより、金属ストリップをより高強度
化することができ、かつレベラ起因のスケール押し込み
欠陥を抑制することができて、表面品質を良好とするこ
とができるから好適である。
【0023】なお、この場合、好適な態様として、スプ
レーノズル6fは、図示しない冷却水タンクにポンプを介
して接続されるが、ポンプの先は、スプレーノズルヘッ
ダー6eに接続され、通板ガイド6cの各貫通孔にスプレー
ノズルヘッダー6eに設けた各穴がそれぞれ通ずるように
するのが好ましい。(図3、図4参照)。図中符号6c
は、金属ストリップ1の幅方向に差し渡された通板ガイ
ドであり、上側のみならず、下側にも設置される。6dは
金属ストリップ1を幅方向にガィディングする通板ガイ
ドであり、設置するのが好ましいが、本発明はこれに限
定されるものではない。これらの通板ガイド6c、6dは、
金属ストリップ1が安定してレベラ6内を通過できるよ
うにするもので、レベラ内に設置するのが望ましい。ま
た、図中スプレーノズル6fは金属ストリップ1を挟んで
上、下に、かつ金属ストリップ長手方向に隣接して配置
されたワークロール6aの間に設置されているが、このよ
うな配置とするのが液体を直接金属ストリップ1に噴射
でき、金属ストリップ1の冷却及び/又は金属ストリッ
プ1表面のスケール除去の効果を高めることができるの
で好適である。
【0024】液体は冷却水とするのが、冷却能力が高
く、安価であるので好ましいが、本発明に用いる液体
は、冷却水に限定されず、金属ストリップ1を冷却する
ことができ、また、金属ストリップ表面のスケールを除
去することができる液体であれば何でもよく、例えば、
水に油を乳化させたエマルジョン水を使用することもで
きる。
【0025】また、スプレーノズル6fの設置位置は、図
3、図4に示す位置に限定されることはなく、図5、図
6に示すような位置とすることもできる。ここで、図5
は側面図、図6は平面図であり、図5、図6中通板ガイ
ドは図示を省略したが、ない場合でももちろん本発明に
係るスプレーノズル6fをこのように設置することは可能
である。スプレーノズル6fは金属ストリップ幅端よりさ
らに幅方向外側の側方に配置されている。このように設
置されたスプレーノズル6fは、ノズルから噴射された液
体が金属ストリップ1の片方の幅端から他方の幅端に向
かって流れるので、図3、図4に示す位置に設置された
スプレーノズル6fに比べてスケールが残ってしまうのを
より確実に防止することが可能である。
【0026】なお、図3、図4に示すスプレーノズル6f
の配置では、ノズルから噴射された液体が上面ではスケ
ールを伴って金属ストリップ1の両方の幅端から流出
し、下面ではノズルから噴射された液体がスケールを伴
って落下するようにして流出する。勿論、金属ストリッ
プ1表面のスケール除去の効果を高めるには、脱スケー
ル用高圧ジェットノズルを取り付けるようにすることも
できるが、スプレーノズル6fの液体噴射圧力は、ゲージ
圧(大気圧を基準とした圧力)で0.3MPa以上とすると、
金属ストリップ幅が2000mm程度まで安定してレベラ起因
のスケール押し込み欠陥を抑制でき、表面品質の良好な
高強度製品を得ることができる。スプレーノズル6fの液
体噴射圧力は、装置仕様が過大にならないようにするた
め、30MPaを上限とする。また、金属ストリップの長さ
方向に隣接して配置されたワークロール6aの間に設置す
るスプレーノズル6fの数は、金属ストリップの冷却、脱
スケールが良好に行われる範囲内で、設計上適宜定める
ことができ、金属ストリップ1の幅方向に設置するスプ
レーノズル6fのピッチにして30〜 300mmが適当である。
【0027】また、スプレーノズル6fを図3、4に示す
位置に設置する場合、スプレーノズル6fからパラスライ
ンPLまでの垂直距離L1は、50〜 150mmが望ましく、
スプレーノズル6fを図5、6に示す位置に設置する場
合、スプレーノズル6fからパラスラインPLまでの垂直
距離L2は、50〜 150mm、スプレーノズル6fから金属ス
トリップ1の幅端までの水平距離L3は、50〜 700mmが
望ましい。
【0028】次いで、本発明に係る熱間圧延方法につい
て説明する。本発明に係る熱間圧延方法は、金属片に熱
間で仕上圧延を施すと共に、仕上圧延後の金属ストリッ
プにレベラにより繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却
するに当たり、レベラ6内の金属ストリップ1の表面に
向け液体を噴射する。その際、液体によりレベラ6内の
金属ストリップ1の冷却を行い、レベラ6内での金属ス
トリップ温度を低下させることも、あるいは液体により
レベラ6内の金属ストリップ1表面のスケールを除去す
ることもできるが、両方とも同時に行うようにするの
が、より高強度製品とすることも、レベラ起因のスケー
ル押し込み欠陥の発生を抑制することで表面品質を良好
とすることもできるから好適である。
【0029】初めに、液体によりレベラ6内の金属スト
リップ1の冷却を行い、レベラ6内での金属ストリップ
1の温度を低下させることにより、より高強度製品とす
ることができることを図7を用いて具体的に説明する。
図7は表1に示す鋼種Aと同一の組成の鋼ストリップ
を、後述する実施例と同様の条件において、レベラ6に
より曲げ加工を施した場合の鋼板温度を示す図であり、
図7(a)は、仕上圧延機3と、レベラ6と、冷却設備
4とが上流から下流に向かってこの順に配置されている
第一の実施の形態に係る熱間圧延ラインで鋼ストリップ
を製造した場合、図7(b)は、仕上圧延機3と、冷却
設備7と、レベラ6と、冷却設備4とが上流から下流に
向かってこの順に配置されている第二の実施の形態に係
る熱間圧延ラインで鋼ストリップを製造した場合につい
てである。
【0030】図7(a)は、第一の実施の形態の場合で
ある。発明例3の、レベラ6により曲げ加工が施されて
いる間の鋼ストリップ1の温度は、比較例3の 870〜 8
00℃よりも低い、870 〜 750℃である。これは、発明例
3では、噴射された冷却水によりレベラ6内で、鋼スト
リップ1を冷却しているためである。また、発明例3及
び比較例3の場合の、レベラ6内の鋼ストリップの変態
開始温度を、別途、実験室にて上記冷却を模擬した実験
を行って測定した連続冷却変態線図から求め、図7
(a)に併記している。発明例3では、レベラ6により
曲げ加工が行われている温度域が比較例3よりも低い温
度であるために、導入された転位などの格子欠陥が熱に
より回復しにくいことから、より一層のγ粒内への転位
などの格子欠陥の蓄積を図ることができるようになっ
て、鋼ストリップ製品のα粒がより微細化し、より高強
度の製品とすることができるものと推定される。
【0031】図7(b)は、第二の実施の形態の場合で
ある。比較例1及び比較例2では、レベラ6内の鋼スト
リップ1の、前述同様の方法で求めた変態開始温度は 7
50℃であり、一方、発明例1では、噴射された冷却水に
より、鋼ストリップ1を冷却しているため、レベラ6内
の鋼ストリップ1の変態開始温度を 700℃と低くするこ
とができている。このように、レベラ6内で鋼ストリッ
プの変態が開始する場合、レベラ6内で冷却水を噴射す
る発明例1では、鋼ストリップの冷却速度を速めること
により、冷却水を噴射しない比較例1、2に比べて、変
態開始温度を低下することができている。
【0032】発明例1では、レベラ6により曲げ加工が
施されている間の鋼ストリップ1の温度は、比較例1の
770〜 700℃よりも低い、770 〜 650℃であり、かつ、
変態開始温度が 700℃であることから、γ→α変態の直
前〜直後の温度域、すなわち、鋼ストリップの全部分、
もしくは、大部分がγ粒であり、γ粒に、γ→α変態時
の変態核(α粒の核生成サイト)になる転位などの格子
欠陥を多量に導入するのに効果的な温度域において、レ
ベラ6により曲げ加工が行われていて、しかも、その温
度域が比較例1よりも低い温度であるために、導入され
た転位などの格子欠陥が熱により回復しにくいことか
ら、より一層のγ粒内への転位などの格子欠陥の蓄積を
図ることができるようになって、鋼ストリップ製品のα
粒がより微細化し、より高強度製品とすることができる
ものと推定される。一方、比較例2の場合、レベラ6に
より曲げ加工が施されている間の鋼ストリップ1の温度
は 720〜 650℃であり、発明例1よりも低い。しかしな
がら、レベラ6により曲げ加工が施されている間の鋼ス
トリップ1の温度が、変態開始温度 750℃よりも低いた
め、レベラ6により曲げ加工が施されるころには、既に
相当γ→α変態が進行してしまっており、α粒が既に数
多く存在するため、転位などの格子欠陥を導入してもこ
れから新たに生成するα粒の生成の核としては、あまり
効果がないことになるため、後述の実施例の結果にも示
されるように鋼ストリップ製品のα粒をさほど微細化す
ることができないものと推定される。
【0033】以上説明したとおり、本発明の熱間圧延方
法では、金属ストリップ製品の結晶粒をより微細化する
ことができ、一段と高強度の製品を製造することができ
るのである。その際、レベラ出側での金属ストリップの
温度ToutをAr3点〜Ar3点−50℃とすることが好まし
い。この理由は、前述のように、レベラ出側での金属ス
トリップの温度ToutをAr3点〜Ar3点−50℃とすること
により、γ→α変態の直前〜直後の温度域、すなわち、
鋼ストリップの全部分、もしくは、大部分がγ粒であ
り、γ粒に、γ→α変態時の変態核(α粒の核生成サイ
ト)になる転位などの格子欠陥を多量に導入するのに効
果的な温度域において、レベラ6により金属ストリップ
1に曲げ加工を施せるからであり、レベラ出側での金属
ストリップの温度ToutがAr3点よりも高いと、導入され
た転位などの格子欠陥が熱により、回復、再結晶し、γ
粒内への転位などの格子欠陥が蓄積しにくくなり、レベ
ラ出側での金属ストリップの温度ToutがAr3点−50℃よ
りも低いと、レベラ6により曲げ加工が施されるころに
は、既に相当γ→α変態が進行してしまっており、α粒
が既に数多く存在するため、転位などの格子欠陥を導入
してもこれから新たに生成するα粒の生成の核として
は、あまり効果がないことになるからである。
【0034】ところで、Ar3点(変態開始温度)は、冷
却速度に依存し、冷却速度が速くなると低下する傾向に
あるが、この低下分を見越してレベラ入側温度を適正に
調整し、さらにレベラ内での冷却速度を適正に調整する
のがよいが、それには、別途、実験室にて上記冷却を模
擬した実験を行って測定した連続冷却変態線図から、そ
れら適正な冷却の条件を求めておき、実機ではそれを実
現すべく、適宜冷却設備7によるレベラ入側温度の調整
やレベラ6内のスプレーノズル6fからの液体の流量を調
整すべく、噴射圧力やバルブ開度を制御するなどの手段
を取ればよい。もちろん、レベラの入側及び/又は出側
に温度計を設置し、その実測値をもとにスプレーノズル
6fからの液体の流量を調整するフィードフォワード制御
やフィードバック制御を併用してもよい。
【0035】次に、後者の、液体によりレベラ6内の金
属ストリップ1表面のスケール除去を行うことで、レベ
ラ起因のスケール押し込み欠陥を抑制することができ、
表面品質の良好な高強度製品を得られることについて説
明する。レベラにより繰り返し曲げ加工を施す際、レベ
ラ6の上流側のワークロールによる曲げひずみにより金
属ストリップ1の表面からスケールが剥離するのである
が、レベラ6内において液体を金属ストリップ1の表面
に噴射することにより、この剥離したスケールの多くが
レベラ6の下流側のワークロールに到達する前に噴射さ
れた液体により金属ストリップ1の表面から除去され、
下流側のワークロールと金属ストリップ1との間に入っ
てしまうスケールが減少するからである。
【0036】また、レベラ起因のスケール押し込み欠陥
を抑制し、表面品質の良好な高強度製品を得るには、ス
プレーノズル6fからの液体噴射量はノズル1個当たり20
〜80l/分、スプレーノズル6fの液体噴射圧力はゲージ
圧(大気圧を基準とした圧力)で 0.3〜 30MPaとするの
が、安定してレベラ起因のスケール押し込み欠陥を抑制
でき、かつ、装置仕様が過大にならないので望ましい。
また、図3、4に示す位置にスプレーノズル6fを設置す
る場合、金属ストリップ1の幅方向にピッチ30〜 300mm
でスプレーノズルを設置するの良い。
【0037】図8は、表1に示す鋼種Aと同一の組成の
鋼ストリップを、後述する実施例と同様の条件におい
て、レベラ6により曲げ加工を施した場合の、レベラ起
因のスケール押し込み欠陥発生率(%)である。レベラ
起因のスケール押し込み欠陥発生率は、コイル毎に、コ
イル全長に渡ってスケール押し込み欠陥の有無を表裏面
について調べ、1ヵ所でもスケール押し込み欠陥があっ
た場合、スケール押し込み欠陥ありのコイルとして数
え、全製造コイルに対する割合で計算した。
【0038】スプレーノズルは、図3、図4に示す位置
に設置する場合、金属ストリップ1の幅方向に設置する
スプレーノズル6fのピッチは 200mm、スプレーノズル6f
とパスラインPLとの垂直距離L1を 100mm、スプレー
ノズル6fからの液体噴射量はノズル1個当たり30l/
分、スプレーノズル6fの液体噴射圧力はゲージ圧(大気
圧を基準とした圧力)で0.5MPaとし、図5、図6に示す
位置に設置する場合、スプレーノズル6fとパスラインP
Lとの垂直距離L2を 100mm、スプレーノズル6fと鋼ス
トリップの幅端までの水平距離L3を 200mmとした。ス
プレーノズル6fからの液体噴射量はノズル1個当たり70
l/分、スプレーノズル6fの液体噴射圧力はゲージ圧
(大気圧を基準とした圧力)で0.5MPaとした。
【0039】なお、鋼ストリップ1の仕上圧延後の板厚
を4mmとし、仕上圧延機最終スタンド出側で 900℃、仕
上圧延機3とレベラ6との間に設置した冷却設備7によ
り、冷却制御を行って、レベラ入側の温度を 770℃とな
るようにした。図8に示すように、スプレーノズル6fを
用いて、レベラ6内で鋼ストリップのスケールの除去を
行うことにより、レベラ起因のスケール押し込み欠陥を
低減できることが分かる。
【0040】ところで、以上説明した熱間圧延ラインと
しては、冷却設備4に加えて冷却設備7が仕上圧延機の
最終圧延スタンドとレベラとの間に配置されている第2
の実施の形態に係る熱間圧延ライン(図1(b)参照)
とする方が、仕上圧延後の金属ストリップ1に繰り返し
曲げ加工を施す前に、仕上圧延後の金属ストリップ1を
所望の温度に冷却することができて、金属ストリップ製
品の結晶粒を一段と微細化することができるので好適で
ある。
【0041】冷却設備7は、従来の冷却設備4と同様に
構成することができる。例えば、金属ストリップ1の表
裏面に向け冷却水を噴射する冷却ノズル、その冷却水の
噴射を制御する制御装置、金属ストリップ1の表面の温
度を測定する放射温度計等で構成することができる。ま
たさらに、第3の実施の形態に係る熱間圧延ラインは、
図9に示すように、金属片Sを接合する公知の接合設備
10及び接合された金属ストリップ1を切断する切断設備
16が配置されている。図9中の接合設備10は、先行金属
片の尾端と後行金属片の先端とを接合するための設備で
あって、主としてコイルボックス11、クロップシャ9a、
接合装置12の一群の装置から構成されるが、さらに点線
で示すバリ取り装置13、接合部冷却装置14、シートバー
加熱装置15などがこれに加わってもよい。また、第2の
冷却設備7は配置するのが望ましい。
【0042】このような熱間圧延ラインにおいては、複
数の金属片を接合して仕上圧延を行い、接合部でつなが
った金属ストリップとし、続いて接合部でつながった金
属ストリップにレベラによる繰り返し曲げ加工と冷却と
を施して、金属ストリップ製品の結晶粒を微細化するこ
とができる。その際、一本目の先端と最終本目の尾端以
外は接合部でつながった金属ストリップとされているの
で、レベラ内での通板トラブルやレベラ内でのスリップ
事故を少なくすることができる。このため、図9に示す
ような熱間圧延ラインは、金属片を接合せずに1本ずつ
仕上圧延を行って金属ストリップにレベラにより繰り返
し曲げ加工を施すバッチ式の熱間圧延ラインに比べて高
強度製品の歩留まりを高めることができるから一段と好
ましい。
【0043】
【実施例】表1に示すAとBの2種類の鋼種について、
本発明の効果を示すために、熱間圧延を行って得られた
製品の結晶粒径と引張強度及び次工程の酸洗ラインを経
た酸洗後の鋼ストリップ表面のレベラ起因のスケール押
し込み欠陥発生率を調べた。結晶粒径については、JIS
G 0552に準拠して結晶粒の平均断面積を求め、それを円
形と仮定して平均粒径を算出した。引張強度について
は、仕上圧延し更にコイラにて巻き取った鋼板を別の場
所で巻き戻して、JIS Z 2201に準拠して5号試験片を切
り出して引張試験を行い、引張強さをその値とした。な
お、結晶粒径、引張強さの測定は、コイル長手方向の中
央部分、かつ幅方向中央部分、すなわち、レベラによる
繰り返し曲げ加工を施された部分から測定用サンプルを
切り出して行った。レベラ起因のスケール押し込み欠陥
発生率は、上述した場合と同様にして求め、スケール押
し込み欠陥発生率が4.0 %未満の場合、表面品質が良好
(○)、同欠陥発生率が4.0 %以上の場合、表面品質が
不良(×)と評価した。レベラにより繰り返し曲げ加工
を行わない場合、レベラ起因のスケール押し込み欠陥は
なく、表面品質は◎とした。
【0044】なお、熱間圧延は、仕上圧延機出側温度を
900℃とし、仕上圧延機出側における鋼板速度 720m/
min の条件で厚さ4mmに仕上圧延し600 ℃で巻き取っ
た。発明例1、2、3、4(No. 1、2、5、8)で
は、仕上圧延直後に、ワークロール段数が23、ワークロ
ール直径が190mm のレベラを用い、レベラのワークロー
ルの中心軸間隔を(上側同士、下側同士の間隔)200mm
、レベラのロール押し込み量を20mmとしたレベラで繰
り返し曲げ加工を加え、その後、冷却を行ってコイラで
巻き取った。その際、発明例1、2、4(No. 1、2、
8)では、仕上圧延機の出側と上記レベラの入側の間に
更に配設した冷却設備7で冷却を行い、レベラ出側での
鋼板温度がAr3点〜Ar3点−50℃となるように温度制御
を行った。この冷却設備は、仕上圧延機最終スタンドと
レベラの間、30mの範囲内に複数バンク設置し、その冷
却水流量は鋼板単位表面積あたり最大で上下(鋼板表裏
相当)毎分3200l/m2 と設計しておいて、仕上圧延後
の鋼板に対し、冷却水を噴射するバンク数を上下両面と
も、鋼板の速度に追随して局部的な長手方向の温度ムラ
を解消していくようにされている。発明例3(No. 5)
では、冷却設備7での温度制御は行われなかった。ま
た、レベラに取り付けたスプレーノズルから冷却水を金
属ストリップ表面に噴射し、レベラ内で鋼ストリップの
冷却とスケールの除去とを行った。スプレーノズルは、
発明例1、3、4(No. 1、5、8)では図3、図4に
示すように設置し、スプレーノズル6fの幅方向のピッチ
を 200mm、冷却水噴射量をスプレーノズル一個当たり30
l/分とし、発明例2(No. 2)では図5、図6に示す
ように設置し、冷却水噴射量をスプレーノズル一個当た
り70l /分とし、冷却水噴射圧はゲージ圧(大気圧を基
準とした圧力)で0.5MPaとした。スプレーノズル
6fはストリップ冷却用兼スケール除去用ノズルとした。
【0045】レベラは、レベラの最上流ロールの中心を
仕上圧延機最終スタンド中心から下流に30mの位置に設
置した。本レベラによって熱延鋼板に与える長手方向表
面ひずみεn は、(n−2)×ε(n:レベラワークロ
ール本数、ε:1回の曲げでの長手方向表面ひずみ)で
計算し、近似的に0.34となっている。比較例1、4(No.
3、9)は、レベラ内にスプレーノズルを設置せず、金
属ストリップの冷却とスケールの除去とを行なわなかっ
たこと以外は、発明例1、4(No. 1、8)と熱間圧延
条件、レベラ条件(使用レベラ、ロール押し込み量δ)
をそれぞれ同じとした。
【0046】また、比較例2(No.4)は、レベラ入側の
冷却設備7により冷却を行い、金属ストリップのレベラ
入側温度を低くし、レベラ内にスプレーノズルを設置せ
ず、金属ストリップの冷却とスケールの除去とを行わ
ず、それ以外は発明例1(No.1)と熱間圧延条件、レ
ベラ条件(使用レベラ、ロール押し込み量δ)を同じと
した。また、比較例3(No.6)は、レベラ入側の冷却設
備とレベラ内にスプレーノズルを設置せず、金属ストリ
ップのレベラ入側、出側温度を高くし、それ以外は発明
例1(No. 1)と熱間圧延条件、レベラ条件(使用レベ
ラ、ロール押し込み量δ)を同じとした。
【0047】従来例1、2(No. 7、9)では、従来の
熱間圧延ラインにおいて、上記圧延条件で、仕上圧延
後、冷却設備4による冷却を行い、コイラで巻き取っ
た。比較例および従来例の場合の製品の結晶粒径と引張
強度及び次工程の酸洗ラインを経た酸洗後の鋼ストリッ
プ表面のレベラ起因のスケール押し込み欠陥発生率を合
わせて表2に示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】表2に示した結果から以下のことがわか
る。A、Bいずれの鋼種の場合においても、レベラを用
いない従来例1、2(No.7、10)と比較して、レベラ
内で鋼ストリップの冷却とスケールの除去とを行い、レ
ベラ内での鋼ストリップの温度を低くした発明例1、4
(No. 1、8)、発明例2(No. 2)並びに発明例3
(No. 5)の方が高強度化を達成できている。
【0051】また、レベラ内で鋼ストリップの冷却とス
ケールの除去とを行った発明例1、4(No. 1、8)、
発明例2(No. 2)並びに発明例3(No. 5)の方が鋼
ストリップの冷却とスケールの除去とを行わなかった比
較例1、4(No.3、9)、比較例2(No.4)、比較例3
(No.6)より高強度化及び表面品質の向上を達成できて
いる。
【0052】なお、発明例1、4(No. 1、8)は、比
較例1、4(No.3、9)よりもレベラ内での鋼ストリッ
プの温度を低くできたために、より高強度化が達成でき
ていることが明らかである。なお、発明例(No.1)と
比較例2(No.4)を比較すると、比較例2(No.4)
の方がレベラ内での鋼ストリップの温度が低いが、比較
例2ではレベラ出側温度ToutがAr3点〜Ar3点−50℃の
範囲外であるため、比較的高強度化の程度が小さい。
【0053】また、レベラにより繰り返し曲げ加工を施
した、発明例1、2、3、4及び比較例1、2、3、4
のいずれの場合においても、γ粒が微細化してγ粒界
が増大すると共に、γ粒内へ転位などの格子欠陥が導
入されたために、従来例1、2より鋼ストリップ製品の
α粒が微細化し、高強度となったと推定される。
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、金属ストリップ組織の
結晶粒をより微細化することができるため、一段と高強
度な製品を高歩留まりで得ることができる。また、本発
明によれば、レベラでの繰り返し曲げ加工時に、スケー
ルに起因する押し込み欠陥の発生を抑制することがで
き、表面欠陥の少ない高強度製品を高歩留まりで製造す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)(b)ともに本発明に係る熱間圧延ライ
ンの模式図である。
【図2】本発明に用いるレベラの作用を説明する図であ
る。
【図3】本発明に用いるレベラに設けたスプレーノズル
の配置の一例の図である。
【図4】図3に示したスプレーノズルの取り付け部を示
す要部断面図である。
【図5】本発明に用いるレベラに設けたスプレーノズル
の配置の他の図である。
【図6】図5に示したスプレーノズルの取り付け位置を
示す概略平面図である。
【図7】(a)(b)ともに本発明におけるレベラ内で
の鋼ストリップの温度を比較例と比較して説明するグラ
フである。
【図8】本発明におけるレベラ起因のスケール押し込み
欠陥発生率を比較例と比較して示すグラフである。
【図9】本発明に係る好適な熱間圧延ラインの配置図で
ある。
【図10】従来の熱間圧延ラインの模式図である。
【符号の説明】
1 金属ストリップ(鋼ストリップ) 1a 先端 S 金属片(スラブまたはシートバー) 2 粗圧延機 3 仕上圧延機 3a ワークロール 3b バックアップロール 4、7 冷却設備 5a、5b コイラ 5c、5d マンドレル 6 レベラ 6a レベラのワークロール 6b レベラのバックアップロール 6c 上、下の通板ガイド 6d サイドの通板ガイド 6e スプレーノズルヘッダー 6f スプレーノズル 9a、9b クロップシャ 10 接合設備 11 コイルボックス 12 接合装置 13 バリ取り装置 14 接合部冷却装置 15 シートバー加熱装置 16 切断設備 g 上、下ワークロール間の間隔 h 金属ストリップの厚み δ ロール押し込み量 2L 上側同士、下側同士のワークロール中心軸間隔 PL パスライン L1、L2 スプレーノズルとパスラインとの垂直距離 L3 スプレーノズルと金属ストリップ幅端との水平距
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北浜 正法 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 平林 毅 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 後藤 太 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 (72)発明者 宮川 和也 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社千葉製鉄所内 Fターム(参考) 4E002 AD04 BC07 BD06 BD07 BD20 CB01 CB03 4E003 AA02 BA25

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 仕上圧延機と、レベラと、冷却設備とが
    上流から下流に向かってこの順に配置されている熱間圧
    延ラインにおいて、前記レベラには金属ストリップの表
    面に向け液体を噴射可能なスプレーノズルが取り付けら
    れていることを特徴とする熱間圧延ライン。
  2. 【請求項2】 前記スプレーノズルは、ストリップ冷却
    用ノズルとするか、あるいはスケール除去用ノズルとす
    るか、もしくは両方の作用を有するノズルとすることを
    特徴とする請求項1に記載の熱間圧延ライン。
  3. 【請求項3】 前記熱間圧延ラインには、さらに、前記
    仕上圧延機とレベラとの間に冷却設備が配置されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の熱間圧延ライ
    ン。
  4. 【請求項4】 前記熱間圧延ラインには、そのうえさら
    に、前記仕上圧延機の上流に接合設備が配置されている
    と共に、前記レベラの下流に配置された冷却設備とコイ
    ラとの間に切断設備が配置されていることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の熱間圧延ライン。
  5. 【請求項5】 金属片に熱間で仕上圧延を含む圧延を施
    すと共に、仕上圧延後の金属ストリップにレベラにより
    繰り返し曲げ加工を施し、その後冷却するに当たり、前
    記レベラ内において金属ストリップの表面に向け液体を
    噴射することを特徴とする熱間圧延方法。
  6. 【請求項6】 前記液体によりレベラ内の金属ストリッ
    プの冷却を行い、前記レベラ内での金属ストリップの温
    度を低下させるか、あるいは前記液体によりレベラ内の
    金属ストリップ表面のスケール除去を行うようにする
    か、もしくは両方とも同時に行うようにすることを特徴
    とする請求項5に記載の熱間圧延方法。
  7. 【請求項7】 前記レベラ出側での金属ストリップの温
    度Tout をAr3点〜Ar3点−50℃とすることを特徴と
    する請求項5又は6に記載の熱間圧延方法。
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