JP5573837B2 - 熱延鋼板の冷却装置、冷却方法、製造装置、及び、製造方法 - Google Patents

熱延鋼板の冷却装置、冷却方法、製造装置、及び、製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱延鋼板の冷却装置、冷却方法、製造装置及び製造方法に関する。本発明は、特に、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造する際に好適に用いられる熱延鋼板の冷却装置、冷却方法及び製造装置、並びに、超微細結晶粒を有する熱延鋼板の製造方法に関する。
自動車用や構造材用等として用いられる鋼材は、強度、加工性、靭性といった機械的特性に優れることが求められ、これらの機械的特性を総合的に高めるには、熱延鋼板の結晶粒を微細化することが有効である。そのため、微細結晶粒を有する熱延鋼板を得るための製造方法が数多く模索されてきている。また、結晶粒を微細化すれば、合金元素の添加量を削減しても優れた機械的性質を具備した高強度熱延鋼板を製造することが可能になる。
熱延鋼板の結晶粒の微細化方法としては、熱間仕上げ圧延の特に後段において、高圧下圧延を行ってオーステナイト粒を微細化するとともに粒内に圧延歪を蓄積させ、冷却後(又は変態後)に得られるフェライト粒の微細化を図る方法等が知られている。そして、オーステナイト粒の再結晶や回復を抑制してフェライト変態を促進させるという観点からは、圧延後の短時間で鋼板を所定の温度以下(例えば、720℃以下)まで冷却することが有効である。すなわち、微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造するためには、熱間仕上げ圧延に引き続き、従来よりも早く冷却することが可能な冷却装置を設置し、圧延後の鋼板を急冷することが有効である。
微細結晶粒を有する熱延鋼板の製造を可能にする技術、又は、微細結晶粒を有する熱延鋼板の製造に適用可能な技術が、これまでにいくつか開示されてきている。例えば特許文献1には、C:0.01〜0.3質量%を含有する炭素鋼又は低合金鋼からなる鋼板又はスラブを多パス熱間圧延して熱延鋼板を製造する方法であって、最終圧延パスをAr点以上の温度で終了し、その後0.4秒以内に720℃以下まで冷却することを特徴とする、超微細結晶粒熱延鋼板の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、熱延仕上げ圧延機列における最終スタンドと、第1の冷却装置と、第2の冷却装置と、巻き取り装置とが、鋼板搬送方向に順に配置されるとともに、第1の冷却装置と第2の冷却装置との間に非冷却の領域が設けられている熱延鋼板の製造設備において、第1の冷却装置は、鋼板の被冷却面に帯状又は長円状の噴流衝突域を形成すべきノズルと、該ノズルから噴射された冷却水を堰止めるべき堰止めロールとを備え、最終スタンドのロールと堰止めロールとの間の領域に冷却水のプールが形成されるとともに、第1の冷却装置内を搬送される鋼板がプールの冷却水中に浸漬されるように、堰止めロールを配設する技術が開示されている。また、特許文献3には、鋼板を熱間圧延する圧延機の入側又は/及び出側の圧延機に近接する位置に、鋼板を通過させながら鋼板の上面に冷却水を供給する冷却設備を配置し、該冷却設備は、鋼板の上面に対して棒状冷却水を圧延機側に向いて伏角30°〜60°で噴射するノズルを有するヘッダを、鋼板に供給した後の冷却水が圧延機のワークロールで堰き止められるような位置に備えていることを特徴とする鋼板の熱間圧延設備が開示されている。そして、特許文献3には、冷却水が分散して棒状でなくなり冷却水を堰き止める作用がなくなる事態を回避するため、上ノズルの先端とパスラインとの距離を500mm〜1800mmとするのが好ましい旨、記載されている。
特開2005−213595号公報 特許第4029865号公報 特開2007−61838号公報
特許文献1に開示されている技術によれば、温度がAr点以上である鋼板を、最終圧延パス終了後の0.4秒以内に720℃まで冷却するので、超微細結晶粒(例えば、平均粒径が2μm以下の結晶粒をいう。以下において同じ。)を有する熱延鋼板を製造することが可能になると考えられる。ところが、特許文献1には、最終圧延パス終了から0.4秒以内に鋼板を720℃まで冷却し得る冷却装置の詳細な構成については開示されていない。また、特許文献2に開示されている技術によれば、熱延圧延機列の最終スタンドのロールと堰止めロールとの間の領域に形成した冷却水のプールに鋼板を浸漬させるため、熱延鋼板の冷却能率を向上させることが可能になると考えられる。ここで、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造する際に必要とされる急冷は、例えば特許文献1に示される通り少なくとも400℃/s以上の冷却速度を有するものであり、それには鋼板を核沸騰冷却で急冷することが求められる。ところが、特許文献2に開示されているように、冷却水のプールを積極的に形成して鋼板を冷却すると、鋼板表面に衝突する冷却水の衝突圧力を、核沸騰冷却が可能な程度にまで増大させ難く、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造するためには、更なる技術改良が必要になるという課題があった。また、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造する際に必要とされる急冷では、鋼板表面に衝突させる冷却水の衝突圧力を所定値以上にすることが必要になるのに対し、特許文献3に開示されている技術では、鋼板へと供給される棒状冷却水の噴射角度を主に規定しているのみである。また、特許文献3では、鋼板に噴射された冷却水が鋼板とワークロールとが接触する部位まで流れるため当該部位の直後からの冷却が可能であるとしているが、衝突後に鋼板上を流れる冷却水では十分な急冷はできず、この部分の冷却は超微細結晶粒の形成にほとんど寄与しない。よって、当該技術を単に用いても、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造することは困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造することが可能な、熱延鋼板の冷却装置、熱延鋼板の冷却方法、熱延鋼板の製造装置、及び、熱延鋼板の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、超微細結晶粒を有する熱延鋼板(以下において、「超微細粒鋼」ということがある。)の製造に関する研究調査を行い、以下の知見を得た。
(1)図10に示されるように、Ar点以上の温度域で圧延された後、0.2秒以内に720℃までの冷却を完了すると、結晶粒をさらに微細化することが可能になる。
(2)Ar点以上の例えば820℃から720℃までの100℃降下の冷却を、圧延後0.2秒以内で終了させるには、例えば500℃/s以上の平均冷却速度で急冷を行う必要があり、600℃/s以上の平均冷却速度で急冷を行うことが好ましい。ここで、熱間仕上げ圧延機列の最終スタンドにおける圧下点(圧延される鋼板の上面と接触するワークロールの下死点、及び、圧延される鋼板の下面と接触するワークロールの上死点をいう。以下において同じ。)から当該最終スタンドのハウジングポスト出側までの領域(以下において、「スタンド内領域」ということがある。)の鋼板搬送方向の長さをL1、スタンド内領域において急速冷却が可能な区間の鋼板搬送方向の長さをL2、当該区間における冷却速度をV1、スタンド内領域において急速冷却が困難な区間の鋼板搬送方向の長さをL3、当該区間における冷却速度をV2とするとき、{L2×V1+L3×V2}/L1で表される冷却速度が、平均冷却速度である。600℃/sの冷却速度で鋼板を冷却した場合、鋼板の温度を100℃低下させるための所要時間は0.167秒である。したがって、冷却を0.2秒以内で終了させるためには、圧延後0.033秒以内に冷却を開始する必要がある。例えば、鋼板を10m/sの速度で移動させた場合、0.033秒で移動する距離は0.33mである。したがって、圧延後の急冷は、熱間圧延機列における最終スタンドのワークロールの半径相当位置以内から開始し、少なくとも熱間圧延機列における最終スタンド内ではほぼ連続して急冷することが好ましい。
(3)例えば、鋼板の圧延速度が10m/sの場合、0.2秒間で鋼板が移動する距離は2mである。また、一般的な熱間仕上げ圧延機列の最終スタンドにおける圧下点から当該最終スタンドのハウジングポスト出側までの距離も約2mである。そのため、必要とされる急速冷却は、ほぼ最終スタンド内で行わなければならない。さらに、冶金学的見地からは、0.2秒内の中でもより早い時期から冷却を行うことが望ましく、最終スタンドの圧下点により近い位置から冷却を開始するのが望ましい。しかしながら、圧下点極近傍に代表されるように、圧下点から最終スタンドのハウジングポスト出側までの間には、急速冷却を実施することが困難な部分もある。したがって、急速冷却を実施することが困難な部分の存在も考慮すると、最終スタンドの圧下点からスタンド出側までの領域における平均冷却速度500℃/sを確保するためには、急速冷却可能範囲(圧下点からスタンド出側までの領域から、急速冷却の実施が困難な部分を除いた領域をいう。以下において同じ。)における冷却速度を高める必要がある。
(4)鋼板へと噴射された冷却水が鋼板に衝突する圧力(面圧)と鋼板の冷却速度との間には相関があり(図5参照)、冷却水が鋼板に衝突する圧力を増大させることによって鋼板の冷却速度を増大させることが可能になる。そのため、熱間仕上げ圧延機列の最終スタンドにおける圧下点からスタンド出側までの領域における平均冷却速度を例えば500℃/s以上とする。当該スタンド内領域における急速冷却可能範囲の平均冷却速度を500℃/s以上とするためには、鋼板へ向けて高圧ジェット水を噴射する必要があり、鋼板を核沸騰冷却する必要がある。
また、本発明者らは、スタンド内領域に急速冷却の実施が困難な部分が存在する場合に、スタンド内領域における平均冷却速度500℃/sを確保できる、高圧ジェット水が鋼板に衝突する圧力を調査した。この調査では、通板速度10m/s、板厚3mmを仮定した。結果を表1に示す。表1には、スタンド内領域に急速冷却の実施が困難な部分が存在しないと仮定した場合(試験No.1)についても併せて示している。
Figure 0005573837

表1において、L1はスタンド内領域の鋼板搬送方向長さであり、L2はスタンド内領域における急速冷却可能範囲の鋼板搬送方向長さであり、L3はスタンド内領域において急速冷却の実施が困難な部分の鋼板搬送方向長さであり、XはL2/L1である。また、表1において、冷却速度は、スタンド内領域の急速冷却可能範囲における冷却速度であり、通過時間は、鋼板表面の任意の点がスタンド内領域の急速冷却可能範囲を通過する所要時間であり、温度降下は、急速冷却可能範囲で冷却された鋼板の温度降下量である。
表1に示すように、スタンド内領域に、急速冷却の実施が困難な部分が存在しない場合には、必要衝突圧を2.5kPaとすることで、スタンド内領域の平均冷却速度を500℃/sとすることができる(試験No.1)。これに対し、スタンド内領域に占める急速冷却可能範囲の割合が0.825にまで低下した場合には、例えば、衝突圧を3.44kPaとすることで、スタンド内領域の平均冷却速度を、500℃/sを超える608℃/sとすることができる(試験No.2)。また、圧下点から鋼板の搬送方向下流側へ最終スタンドのワークロールの半径分だけ離れた位置までの領域では急速冷却をしないことにより、スタンド内領域に占める急速冷却可能範囲の割合を0.825とした場合であっても、衝突圧を3.5kPaとすることで、スタンド内領域の平均冷却速度を、500℃/sを超える613℃/sとすることができる(試験No.3)。また、スタンド内領域に占める急速冷却可能範囲の割合が0.5にまで低下した場合には、例えば、衝突圧を7.94kPaや8.0kPaとすることで、スタンド内領域の平均冷却速度を500℃/s以上(試験No.4では1003℃/s、試験No.5では1007℃/s)とすることができる。また、スタンド内領域に占める急速冷却可能範囲の割合が0.3175にまで低下した場合には、例えば、衝突圧を16.92kPaとすることで、スタンド内領域の平均冷却速度を、500℃/sを超える1579℃/sとすることができる(試験No.6)。
本発明は、上記知見に基づいて完成されたもので、その要旨は以下の通りである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするため、添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明の第1の態様は、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)内の圧下点より下流側に配置され、パスラインを搬送される鋼板(1)の上面及び下面へ向けて高圧ジェット水を噴射可能に設けられた複数のノズル(21a、21a、…、22a、22a、…)を備えるヘッダー(21、22)、を具備し、最終スタンドの圧下点から最終スタンドのハウジングポスト出側までの区間で、鋼板の上面及び下面へ向けて、ノズルから高圧ジェット水を鋼板の搬送方向へ噴射可能に構成され、少なくとも最終スタンド(11g)のワークロール(11gw、11gw)の半径相当位置以内から最終スタンドのハウジングポスト(11gh)出側までの区間で、高圧ジェット水を、鋼板(1)の搬送方向へ連続的に噴射可能なように構成され、少なくとも鋼板の搬送方向最上流側に設けられたノズルは、鋼板の搬送方向の上流側へ向けて高圧ジェット水を斜めに噴射可能なように、軸方向が鋼板の垂直面に対して交差するように配置され、少なくとも鋼板の搬送方向最上流側に設けられたノズルから噴射された高圧ジェット水の衝突域が最終スタンドのワークロールの半径相当位置よりも圧下点側の領域へ到達することを特徴とする、熱延鋼板の冷却装置である。
ここに、「圧下点」とは、鋼板(1)の上面と接触するワークロール(11gwu)の下死点、及び、鋼板(1)の下面と接触するワークロール(11gwd)の上死点をいう。また、「下流側」とは、鋼板(1)の搬送方向の下流側をいう。また、「高圧ジェット水」とは、鋼板(1)を核沸騰冷却し得る圧力を有する噴流水をいう。本発明において、高圧ジェット水を連続的に噴射可能な区間の厳密な開始点(鋼板(1)の搬送方向の最上流側の点。以下において、「急冷開始点」ということがある。)は、高圧ジェット水が直接鋼板に衝突する部位の最も上流側、すなわち圧下点に近い点である。高圧ジェット水を噴射するノズルを、最終スタンドのワークロールに最も近接させて設置する場合には、ノズルの噴射孔の中心からワークロールの表面に引いた接線が鋼板の表面に達する点が、高圧ジェット水を連続的に噴射可能な区間の厳密な開始点に相当する。また、「最終スタンドのハウジングポスト出側」とは、最終スタンドのハウジングポスト(11gh)の外面(鋼板搬送方向下流側の外面)をいう。また、「ノズルから高圧ジェット水を鋼板の搬送方向へ噴射可能に構成されている」とは、鋼板(1)の搬送方向に所定の間隔で配置された複数のノズル(21a、21a、…、22a、22a、…)から鋼板(1)の上面及び下面へ向けて高圧ジェット水を噴射可能に構成されていることをいう。また、「最終スタンドのワークロールの半径相当位置」とは、図4に示すように、圧延される鋼板(1)と最終スタンドのワークロール(11gw、11gw)とが接触する圧下点から鋼板(1)の搬送方向下流側へ最終スタンドのワークロール(11gw、11gw)の半径分だけ離れた位置をいう。また、「最終スタンドのワークロールの半径相当位置以内から」とは、最終スタンドのワークロールの半径相当位置と圧下点との間(最終スタンドのワークロールの半径相当位置よりも圧下点側)に存在する鋼板(1)の上面及び下面へ、ノズル(21a、21a、…、22a、22a、…)から噴射された高圧ジェット水が供給されることをいう。また、「少なくとも最終スタンド(11g)のワークロール(11gw、11gw)の半径相当位置以内から最終スタンドのハウジングポスト(11gh)出側までの区間で、高圧ジェット水を、鋼板(1)の搬送方向へ連続的に噴射可能なように構成されている」とは、例えば、図2、図4、及び、図7に示すように、ワークロール(11gw、11gw)の半径相当位置以内に存在する急冷開始点からハウジングポスト出側(11gh)までの区間で、鋼板(1)の急速冷却の実施が困難な部分(急冷不可領域)が生じない形態で、高圧ジェット水を噴射できるように構成されていることをいう。
また、上記本発明の第1の態様において、少なくとも最終スタンドの圧下点と最終スタンドのハウジングポスト出側との間に配置されるヘッダーのうち、最終スタンドのワークロールに近接して備えられるヘッダーは、最終スタンドのワークロールの交換が可能な位置へ移動可能に構成されていることが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、上記区間における、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値が、上面及び下面において3.5kPa以上であることが好ましい。
ここに、「高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値」とは、鋼板幅方向における任意の位置、例えば幅方向中央部で、鋼板搬送方向の線分に沿って鋼板表面が受ける高圧ジェット水の衝突圧力を測定又は算出し、これを所定の領域で平均化したものをいう。鋼板を板幅方向に均一に冷却するためには、鋼板幅方向のすべての領域において、この鋼板搬送方向平均値を等しくすることが望ましい。少なくともノズルピッチ相当の幅を持つ面で考えても、線分上で求めた鋼板面衝突圧力と等しくなるべきである。従って、上記鋼板搬送方向平均値を求めるにあたり、ノズル一個が受け持つ鋼板面での平均衝突圧力を鋼板の搬送方向に並ぶノズル列毎に求めて、これを鋼板の搬送方向に平均化しても良い(図4及び図7参照)。本発明では、例えば図6に示すように、鋼板幅方向におけるノズルピッチをA、鋼板の搬送方向におけるノズルピッチ、すなわちヘッダー間隔をBとするとき、ノズル一個が受け持つ鋼板面での平均衝突圧力は、面積がA×Bで表される平行四辺形領域に衝突した冷却水の力(衝突力)を、当該平行四辺形の面積A×Bで除することによって算出することができる。
また、上記本発明の第1の態様において、鋼板の上面側及び下面側の両方において、高圧ジェット水噴射区間に、鋼板搬送方向の長さが0.75m以上に亘る急冷領域が存在することが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、ノズル(21a、21a、…、22a、22a、…)が、フラットスプレーノズルであることが好ましい。
また、上記本発明の第1の態様において、冷却装置(20)の鋼板幅方向両端面と最終スタンド(11g)の鋼板幅方向両端面との間に、冷却水を排出可能な空間が確保されていることが好ましい。
ここに、「冷却装置(20)の鋼板幅方向両端面」とは、鋼板(1)の幅方向両端側における冷却装置(20)の外面をいう。また、「最終スタンド(11g)の鋼板幅方向両端面」とは、鋼板(1)の幅方向両端側における最終スタンドのハウジングポスト(11gh)の内面をいう。
また、上記本発明の第1の態様において、鋼板(1)の上面側に設けられたヘッダー(21)及びノズル(21a、21a、…)と、該ノズルとパスラインとの間に設けられている上面ガイド(23)とが、一体に構成されていることが好ましい。
ここに、「上面ガイド(23)」とは、最終スタンド(11g)で圧延された鋼板(1)が、最終スタンドのワークロール(11gwu)や冷却装置(20)のノズル(21a、21a、…)へ衝突することを防止する等の目的で鋼板(1)の上面側に設置される、冷却装置(20)の部材をいう。
また、上記本発明の第1の態様において、鋼板(1)の下面側に設けられたヘッダー(22)及びノズル(22a、22a、…)と、該ノズルとパスラインとの間に設けられている下面ガイド(24)とが、一体に構成されていることが好ましい。
ここに、「下面ガイド(24)」とは、最終スタンド(11g)で圧延された鋼板(1)が、最終スタンドのワークロール(11gwd)や冷却装置(20)のノズル(22a、22a、…)へ衝突することを防止する等の目的で鋼板(1)の下面側に設置される、冷却装置(20)の部材をいう。
また、上記本発明の第1の態様において、ヘッダー(21、31、22、32)が複数備えられ、該ヘッダーの少なくとも一部は、鋼板(1)の搬送方向及び鋼板(1)の幅方向のそれぞれへ複数列に配置されたノズル(31a、31a、…、32a、32a、…)へ冷却水を一括供給可能に構成されていることが好ましい。
また、ヘッダーの少なくとも一部が、鋼板の搬送方向及び鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置されたノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されている上記本発明の第1の態様において、鋼板の上面側に複数のヘッダー(21、31)が配置され、鋼板の上面側に設けられているヘッダーのうち、少なくとも鋼板の搬送方向最上流側に配置されたヘッダー(31)が、鋼板の搬送方向及び鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置されたノズル(31a、31a、…)へ冷却水を一括供給可能に構成されているヘッダーであることが好ましい。
また、ヘッダーの少なくとも一部が、鋼板の搬送方向及び鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置されたノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されている上記本発明の第1の態様において、鋼板の下面側に複数のヘッダー(22、32)が配置され、鋼板の下面側に設けられているヘッダーのうち、少なくとも鋼板の搬送方向最上流側に配置されたヘッダー(32)が、鋼板の搬送方向及び鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置されたノズル(32a、32a、…)へ冷却水を一括供給可能に構成されているヘッダーであることが好ましい。
本発明の第2の態様は、上記本発明の第1の態様にかかる熱延鋼板の冷却装置を用いて鋼板を冷却することを特徴とする、熱延鋼板の冷却方法である。
本発明の第3の態様は、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)と、上記本発明の第1の態様にかかる熱延鋼板の冷却装置(20、20’)とを、鋼板(1)の搬送方向に順に備えることを特徴とする、熱延鋼板の製造装置(10)である。
本発明の第4の態様は、上記本発明の第3の態様にかかる熱延鋼板の製造装置(10)を用いて、熱間仕上げ圧延機列(11)における最終スタンド(11g)で圧延された鋼板(1)を処理する工程を含むことを特徴とする、熱延鋼板の製造方法である。
本発明では、スタンド内領域において、上記式(1)を満たすように、高圧ジェット水を噴射することにより、鋼板の上下面が急速に冷却されるので、オーステナイト組織の回復等を抑制しながら圧延された鋼板を急冷することが可能になる。したがって、本発明によれば、超微細結晶粒を有する熱延鋼板を製造することが可能な、熱延鋼板の冷却装置、熱延鋼板の冷却方法、熱延鋼板の製造装置、及び、熱延鋼板の製造方法を提供することが可能になる。
本発明にかかる熱延鋼板の製造装置の一部を模式的に示す図である。 図1から本発明の熱延鋼板の冷却装置が配置される部分を抽出し拡大して示す図である。 本発明の熱延鋼板の冷却装置の形態例を示す図である。 最終スタンドのワークロールの半径相当位置及び最終スタンドのハウジングポスト出側並びに高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値の概念を説明する図である。 高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値と鋼板の平均冷却速度との関係を示す図である。 高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力のノズル一個あたりの平均値を説明する図である。 他の実施形態にかかる本発明の熱延鋼板の冷却装置における最終スタンドのワークロールの半径相当位置及び最終スタンドのハウジングポスト出側並びに高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値の概念を説明する図である。 他の形態にかかる本発明の熱延鋼板の冷却装置が配置される部分を抽出し拡大して示す図である。 本発明の熱延鋼板の冷却装置に備えられるノズルから噴射された高圧ジェット水の鋼板表面における衝突形状を説明する図である。 720℃までの冷却所要時間と得られるフェライト粒径との関係を示す図である。
1…鋼板
10…熱延鋼板の製造装置
11…熱間仕上げ圧延機列
11g…最終スタンド
11gh…最終スタンドのハウジングポスト
11gw…最終スタンドのワークロール
11gwu…最終スタンドのワークロール
11gwd…最終スタンドのワークロール
12…搬送ロール
13…ピンチロール
20、20’…熱延鋼板の冷却装置
21…ヘッダー
21a…ノズル
22…ヘッダー
22a…ノズル
23…上面ガイド
24…下面ガイド
30…熱延鋼板の冷却装置
31…集合型ヘッダー
31a…ノズル
32…集合型ヘッダー
32a…ノズル
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の熱延鋼板の冷却装置20、及び、該冷却装置20を備えた本発明の熱延鋼板の製造装置10の一部を概略的に示した図である。図1において、鋼板1は紙面左(上流側)から右(下流側)の方向へと搬送されており、紙面上下方向が鉛直方向である。以下において、当該上流側・下流側方向を搬送方向と記載することがあり、これに直交する方向で、搬送される鋼板の板幅の方向を鋼板幅方向と記載することもある。また、見やすさのため、図では、繰り返しとなる符号の記載を省略することがある。
図1に示すように、本発明の熱延鋼板の製造装置10(以下において、単に「製造装置10」ということがある。)は、熱間仕上げ圧延機列11、本発明の熱延鋼板の冷却装置20(以下において、単に「冷却装置20」ということがある。)、搬送ロール12、及び、ピンチロール13を備えている。また図示及び説明は省略するが、熱間仕上げ圧延機列11より上流側には、加熱炉や粗圧延機列等が配置され、熱間仕上げ圧延機列11によって圧延される鋼板の条件を整えている。一方、ピンチロール13の下流側には他の冷却装置や巻き取り機等が配置され、鋼板をコイルとして出荷するための各種設備が配置されている。
熱延鋼板は概ね次のように製造される。すなわち、加熱炉から抽出され粗圧延機で所定の厚さまで圧延された粗バーが、温度を制御されながら連続的に熱間仕上げ圧延機列11で所定の厚さまで圧延される。その後、冷却装置20によって急速に冷却される。ここに、冷却装置20は、熱間仕上げ圧延機列11の最終スタンドのハウジングポスト11ghの内側から最終スタンドのワークロール11gw、11gw(以下において、鋼板1の上面と接触するワークロール11gwを「ワークロール11gwu」、鋼板1の下面と接触するワークロール11gwを「ワークロール11gwd」ということがある。)に極力近接するように設置されている。そして、ピンチロール13を通過した鋼板は、その後、他の冷却装置により所定の巻き取り温度まで冷却され、巻取り機によりコイル状に巻き取られる。
上述のように、製造装置10は、熱間仕上げ圧延機列11を備えている。本実施形態では、7機の圧延機(11a、11b、11c、…、11g)が搬送方向に沿って並列されている。ぞれぞれの圧延機11a、11b、…、11gは、いわゆる各スタンドを構成する圧延機で、最終製品において必要とされる厚さ、機械的性質、表面品質等の条件を満たすことができるように圧下率等が設定されている。
図2及び図3は、冷却装置20が配置される部分を拡大して示す図である。図2は、最終スタンド11gの圧下点通過直後から鋼板の上面及び下面を急冷する冷却装置20の様子を示しており、図2の点線は高圧ジェット水を表している。これに対し、図3は、最終スタンド11gのワークロール11gw、11gwを交換する際における冷却装置20の様子を示している。また、図4は、最終スタンドのワークロールの半径相当位置、及び、最終スタンドのハウジングポスト11ghの出側、並びに、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値(以下において、「冷却水の衝突圧力平均値」又は「平均衝突圧」ということがある。)を説明する図である。図4の紙面左側が鋼板搬送方向上流側であり、図4の紙面右側が鋼板搬送方向下流側である。以下、図2〜図4を参照しつつ、冷却装置20について具体的に説明する。
図2及び図3に示すように、冷却装置20は、熱間仕上げ圧延機列11における最終スタンド11gの下流側に配置されている。冷却装置20は、鋼板1の上面へ向けて高圧ジェット水を噴射するフラットスプレーノズル21a、21a、…(以下において、単に「ノズル21a」等ということがある。)が複数接続されたヘッダー21、21と、鋼板1の下面へ向けて高圧ジェット水を噴射するフラットスプレーノズル22a、22a、…(以下において、単に「ノズル22a」等ということがある。)が複数接続されたヘッダー22、22と、を備えている。ヘッダー21には、鋼板幅方向に所定のピッチで配置された複数のノズル21a、21a、…が接続されており、複数のヘッダー21、21、…が鋼板の搬送方向に所定のピッチで配置されている。同様に、ヘッダー22には、鋼板幅方向に所定のピッチで配置された複数のノズル22a、22a、…が接続されており、複数のヘッダー22、22、…が鋼板の搬送方向に所定のピッチで配置されている。ヘッダー21、21、…は、鋼板1の幅方向へ所定のピッチで配置された複数のノズル21a、21a、…へ冷却水を一括供給可能に構成され、ヘッダー22、22、…は、鋼板1の幅方向へ所定のピッチで配置された複数のノズル22a、22a、…へ冷却水を一括供給可能に構成されている。鋼板1の搬送方向最上流側に配設された、鋼板1の上面側の2列のノズル21a、21a、及び、鋼板1の下面側の2列のノズル22a、22aは、鋼板1の搬送方向の上流側へ向けて高圧ジェット水を斜めに噴射可能なように、それぞれの軸方向が垂直面に対して交差するように配置されている。冷却装置20において、鋼板1の搬送方向最上流側に配置されたノズル21a、22aの軸方向が垂直面に対してなす角(以下において、「垂直面内傾き角」という。)は、当該ノズル21a、22aと鋼板1の搬送方向下流側に隣接するノズル21a、22aに付与されている垂直面内傾き角以上とされている。ノズル21a、21a、…と鋼板1の上面との間には、ノズル21a、21a、…と鋼板1との衝突等を防止する上面ガイド23、23が備えられ、ノズル22a、22a、…と鋼板1の下面との間には、ノズル22a、22a、…と鋼板1との衝突等を防止する下面ガイド24、24が備えられている。冷却装置20は、最終スタンド11gのワークロール11gwuに近接して備えられるヘッダー21と上面ガイド23とが一体に構成されるとともに、最終スタンド11gのワークロール11gwdに近接して備えられるヘッダー22と下面ガイド24とが一体に構成されている。そのため、例えば、最終スタンドのワークロール11gw、11gwを交換する際には、最終スタンドのワークロール11gwuに近接して備えられる上面ガイド23とともにヘッダー21を移動させ、且つ、最終スタンドのワークロール11gwdに近接して備えられる下面ガイド24とともにヘッダー22を移動させることができ、これによって、駆動側(図3紙面奥側)のチョックが操作側まで抜け出てくる空間が空き、ロール交換の作業が可能になる。
図2及び図4に示すように、冷却装置20を用いて鋼板1を急冷する際には、例えば、ノズル21aから噴射された高圧ジェットの衝突域が、最終スタンド11gのワークロール半径相当位置よりも圧下点側の領域へと達し、且つ、ノズル22aから噴射された高圧ジェットの衝突域が、最終スタンド11gのワークロール半径相当位置よりも圧下点側の領域へと達する。さらに、図2及び図3に示すように、冷却装置20には、鋼板幅方向に所定ピッチで配置された複数のノズル21a、21a、…が接続されたヘッダー21、21、…、及び、鋼板幅方向に所定ピッチで配置された複数のノズル22a、22a、…が接続されたヘッダー22、22、…が、鋼板の搬送方向に所定ピッチで配置されている。そのため、冷却装置20を用いることにより、最終スタンド11gのワークロール半径相当位置以内から最終スタンドのハウジングポスト11ghの出側までの区間において、高圧ジェット水を鋼板1の上面及び下面へと連続的に噴射することができる。高圧ジェット水を鋼板1の上面及び下面へと噴射することにより、鋼板1の表面に滞留水が存在していても、高圧ジェット水は鋼板表面の沸騰膜を貫通することができるので、鋼板1を核沸騰冷却する(急冷する)ことが可能になる。すなわち、冷却装置20をかかる形態とすることにより、圧下点を通過した鋼板1の上下面を、より早く、より強く、連続的に、冷却することが可能になる。したがって、本発明によれば、超微細粒鋼を製造することが可能な冷却装置20を提供することができる。
図5は、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値と鋼板の平均冷却速度との関係を示す図である。図5の縦軸は、表面に冷却水が滞留していない板厚3mmの鋼板の温度を750℃から600℃まで両面(上面及び下面)から冷却する際の平均冷却速度[℃/s]であり、図5の横軸は、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値[kPa]である。図5に示すように、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値と鋼板の平均冷却速度との間には相関があり、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値を増大させると、鋼板の平均冷却速度を増大させることが可能になる。また、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値は、図6に示したように、鋼板幅方向のノズルピッチをA、鋼板搬送方向のノズルピッチをBとするとき、面積がA×Bで表される四辺形領域に衝突した冷却水の力(衝突力)を当該四辺形領域の面積A×Bで除することによって導出される、ノズル一個あたりの平均衝突圧力を、搬送方向の当該区間で平均化したものである。
本発明において、冷却装置20から鋼板1へと噴射される高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値は、オーステナイト粒の回復等を抑制しながら鋼板1を急冷可能な形態にする等の観点から、以下のように構成する。すなわち、最終スタンド11gの圧下点から最終スタンド11gのハウジングポスト出側までの区間の鋼板搬送方向の長さをL1、最終スタンド11gの圧下点から最終スタンド11gのハウジングポスト出側までの区間で、高圧ジェット水が鋼板1へ向けて連続的に噴射される高圧ジェット水噴射区間の鋼板搬送方向の長さをL2とし、比L2/L1をXとするとき、高圧ジェット水噴射区間における、高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値Ps[kPa]が、鋼板1の上面及び下面において、下記式(1)を満たすように構成する。
Ps≧2.5X(−1/0.6) 式(1)
また、同様の観点から、冷却装置20から鋼板1へと噴射される高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値は、3.5kPa以上とすることが好ましい。また、本発明において、結晶粒をより微細化可能な形態にする等の観点からは、1000℃/s以上の平均冷却速度で鋼板1を急冷することが好ましい。1000℃/s以上の平均冷却速度で鋼板1を急冷可能な形態にする観点から、本発明では、冷却水の衝突圧力平均値を、8kPa以上とすることが好ましい。冷却速度は板厚によって変わり、近似的にはほぼ板厚に反比例する。板厚が3mmの鋼板を1000℃/sの平均冷却速度で急冷する能力を本発明の熱延鋼板の冷却装置が有していれば、板厚が5mmの鋼板を600℃/sの平均冷却速度で急冷することが可能になる。
上述のように、ノズル一個あたりの平均衝突圧力は、ノズルから噴出される高圧ジェット水の衝突力を当該ノズルが受け持つ冷却面積で除したものに等しい。したがって圧力を測定する代わりに衝突力を計測しても、冷却水の衝突圧力平均値を算出することができる、また、高圧ジェット水の衝突力はその流量、流速から求めることができ、流量及び流速は、ノズルへの給水圧力に依存するため、所定の圧力損失を見込めば、ノズルへの給水圧力から、鋼板面衝突圧力平均値を概算することもできる。鋼板面衝突圧力平均値の算出方法の一例を、以下に記載する。
鋼板面衝突圧力平均値Ps=F/(A・B) [Pa]
ここで、Aは鋼板幅方向ノズルピッチ[m]、Bは搬送方向ノズルピッチ[m]、Fは高圧ジェット水の鋼板表面への衝突力[N]である。衝突力Fは、以下の式で求めることができる。
衝突力F=44.7・C・q・P0.5 [N]
ここで、44.7は水の密度の0.5乗を含む定数[N0.5s/m]、Cは損失係数(0.8〜1.0程度)、qはフラットスプレーノズルの流量[m/s]、Pは給水圧力[Pa]である。なお、フラットスプレーノズルの流量は、ノズル形式(特性)に応じ、給水圧力との関係で定まる。
また、本発明において、鋼板の表面に滞留水が存在すると、ノズル21aから噴射された高圧ジェット水の圧力が滞留水によって低減され、鋼板1の表面へと達する際の高圧ジェット水の衝突圧力が低減しやすい。そのため、鋼板1を急冷しやすい形態にする等の観点からは、鋼板1の表面の滞留水を低減することが好ましい。かかる観点から、本発明では、冷却装置20の鋼板幅方向両端面と最終スタンド11gの鋼板幅方向両端面との間に、冷却水を排出可能な空間が確保されていることが好ましい。
本発明の冷却装置20に関する上記説明では、フラットスプレーノズル21a、21a、…、22a、22a、…が備えられる形態を例示したが、本発明の熱延鋼板の冷却装置は当該形態に限定されるものではない。ただし、ノズルの目詰まりを低減し、且つ、表面に滞留水が存在している場合であっても高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値を増大させやすい形態の冷却装置を提供する等の観点からは、フラットスプレーノズルが備えられる形態とすることが好ましい。また、フラットスプレーノズルは、配置形態を工夫することにより、鋼板表面に存在する冷却水の排水に指向性を生じさせることが可能になるので、排水性を向上させることも可能になる。
また、本発明の冷却装置20に関する上記説明では、熱間圧延機列11の最終スタンド11gのハウジングポスト出側までの区間のみならず、当該区間よりも下流側の領域にも、フラットスプレーノズル21a、21a、…、22a、22a、…が配置されている形態を示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。ただし、圧延終了後短時間内に720℃より低い温度まで鋼板を急冷することが求められる場合も想定し得る。そこで、720℃より低い温度まで引き続き鋼板を急冷し得る形態の冷却装置を提供可能にする等の観点からは、熱間圧延機列の最終スタンドのハウジングポスト出側までの区間、及び、当該区間よりも下流側の領域に、フラットスプレーノズルが連続的に配置されていることが好ましい。
また、本発明の冷却装置20に関する上記説明では、鋼板1の上面側に配置されたヘッダー21と上面ガイド23とが一体に構成され、且つ、鋼板1の下面側に配置されたヘッダー22と下面ガイド24とが一体に構成される形態を例示したが、本発明の熱延鋼板の冷却装置は当該形態に限定されるものではない。本発明の熱延鋼板の冷却装置は、鋼板の下面側に配置されたヘッダーと下面ガイドとが一体に構成されない形態や、鋼板の上面側に配置されたヘッダーと上面ガイドとが一体に構成されない形態とすることも可能である。熱間圧延機列の最終スタンドに備えられるロールを交換可能にするため、ワークロール11gwuに近接して配置されるヘッダー21、上面ガイド23、ワークロール11gwdに近接して配置されるヘッダー22、及び、下面ガイド24は、移動可能に構成されていれば良く、これらは油圧シリンダー等の公知の手段を用いて移動させることができる。ただし、ロール交換の作業効率を向上させやすい形態にする等の観点からは、鋼板の上面側に配置されたヘッダーと上面ガイドとが同時に退避あるいは復帰動作することが好ましく、そのために一体に構成することが好ましい。同様に、鋼板の下面側に配置されたヘッダーと下面ガイドとが一体に構成される形態とすることが好ましい。
また、本発明の冷却装置20に関する上記説明では、鋼板1の幅方向へ所定ピッチで配置された複数のノズル21a、21a、…が接続された複数のヘッダー21、21、…が、鋼板1の搬送方向へ所定ピッチで配置され、且つ、鋼板1の幅方向へ所定ピッチで配置された複数のノズル22a、22a、…が接続された複数のヘッダー22、22、…が、鋼板1の搬送方向へ所定ピッチで配置されている形態のみを例示したが、本発明の熱延鋼板の冷却装置は当該形態に限定されるものではない。本発明の冷却装置は、鋼板の幅方向及び鋼板の搬送方向へそれぞれ所定ピッチで配置された複数のノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されたヘッダー(以下において、「集合型ヘッダー」ということがある。)が、鋼板の上面側及び/又は下面側に配設される形態とすることも可能である。集合型ヘッダーが備えられる本発明の熱延鋼板の冷却装置の形態例を、図7に示す。図7は、集合型ヘッダーが備えられている熱延鋼板の冷却装置の形態例を説明する図であり、図7には、最終スタンドのワークロールの半径相当位置及び最終スタンドのハウジングポスト出側並びに高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値の概念をあわせて示している。図7において、製造装置10や冷却装置20と同様に構成されるものには、図4で使用した符号と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
図7に示すように、本発明の熱延鋼板の冷却装置30(以下において、単に「冷却装置30」ということがある。)は、鋼板1の上面側に、鋼板搬送方向最上流側の3列のフラットスプレーノズル列を構成する各フラットスプレーノズル31a、31a、…(以下において、単に「ノズル31a」等ということがある。)へ冷却水を一括供給可能に構成された集合型ヘッダー31が備えられ、鋼板1の下面側にも、鋼板搬送方向最上流側の3列のフラットスプレーノズル列を構成する各フラットスプレーノズル32a、32a、…(以下において、単に「ノズル32a」等ということがある。)へ冷却水を一括供給可能に構成された集合型ヘッダー32が備えられるほかは、冷却装置20と同様に構成されている。集合型ヘッダー31に接続された、鋼板1の搬送方向最上流側から2列のノズル31a、31aは、鋼板1の搬送方向の上流側へ向けて高圧ジェット水を斜めに噴射可能に接続されており、集合型ヘッダー32に接続された、鋼板1の搬送方向最上流側から2列のノズル32a、32aは、鋼板1の搬送方向の上流側へ向けて高圧ジェット水を斜めに噴射可能に接続されている。冷却装置30において、鋼板1の搬送方向最上流側に配置されたノズル31a、32aの垂直面内傾き角は、当該ノズル31a、32aと鋼板1の搬送方向下流側に隣接するノズル31a、32aに付与されている垂直面内傾き角以上とされている。また、鋼板1の搬送方向最上流側に配置されたノズル31a、32aから噴射された高圧ジェット水は、最終スタンドのワークロールの半径相当位置よりも圧下点側の領域へと達している。それゆえ、このような冷却装置30であっても、冷却装置20と同様に、超微細粒鋼を製造することが可能になる。
このように、本発明の冷却装置20、30を用いることにより、超微細粒鋼を製造することが可能になる。したがって、冷却装置20を備える製造装置10や冷却装置30を備える熱延鋼板の製造装置を用いることにより、超微細粒鋼を製造することが可能になる。さらに、冷却装置30を備える熱延鋼板の製造装置や製造装置10を用いて熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドで圧延された鋼板を処理する工程を有する形態とすることにより、超微細粒鋼を製造することが可能な、熱延鋼板の製造方法を提供することが可能になる。
本発明において、鋼板の上面側に配置されるノズルと鋼板上面との間の距離は、特に限定されるものではないが、鋼板表面へノズルを近づけることにより、冷却水の衝突圧力平均値を増大させることが容易になる。そこで、冷却水の衝突圧力平均値を増大させやすい形態にする等の観点から、本発明では、鋼板に面しているノズル表面(高圧ジェット水の噴射面)と鋼板表面との距離を500mm未満とすることが好ましい。より好ましくは、350mm以下である。
また、上記説明では、鋼板搬送方向上流側に配置されたノズルに、垂直面内傾き角が付与されている形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。ただし、鋼板搬送方向上流側、特に、最終スタンドのワークロールに最も近い位置に配置されるノズル列を含む1列又は2列以上のノズル列に、垂直面内傾き角を付与することにより、最終スタンドのワークロールの半径相当距離以内の中でもよりロールバイト直近に位置する鋼板の上面及び下面へ高圧ジェット水を衝突させることが容易になり、圧延後の鋼板を急冷することが容易になる。それゆえ、鋼板を急冷しやすい形態にする等の観点からは、最終スタンドのワークロールに最も近い位置(鋼板搬送方向の最上流側)に配置されるノズル列を含む1列又は2列以上のノズル列(鋼板の上面側及び下面側のそれぞれに配置されるノズル列)に、垂直面内傾き角を付与することが好ましく、鋼板搬送方向上流側に配置されるノズルほど、垂直面内傾き角を大きくすることが好ましい。さらに、鋼板を急冷しやすい形態にする等の観点からは、鋼板搬送方向最上流側に配置されるノズル列に垂直面内傾き角を付与し、且つ、鋼板搬送方向最上流側に配置されるノズル列の表面(高圧ジェット水の噴射面)と鋼板表面との距離を最短にすることがより好ましい。
また、上記説明では、少なくとも、熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドのワークロールの半径相当位置以内から最終スタンドのハウジングポスト出側までの領域で高圧ジェット水を鋼板へと連続的に衝突させることによって、圧下点通過直後から鋼板を急冷する形態の本発明について言及したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明は、圧下点通過から0.2秒以内に鋼板を720℃以下まで冷却することが可能であれば、スタンド内領域に、高圧ジェット水を鋼板へ連続的に衝突させない区間が存在していても良い。スタンド内領域に、急速冷却の実施が困難な部分(高圧ジェット水を鋼板へ連続的に衝突させない区間)が存在する場合には、当該部分を除くスタンド内領域における冷却速度を高め、スタンド内領域における平均冷却速度500℃/sを確保することによって、圧下点通過から0.2秒以内に鋼板を720℃以下まで冷却すれば良い。スタンド内領域に存在する、急速冷却の実施が困難な部分としては、例えば、図4に示したロールバイト位置と連続冷却の範囲の鋼板搬送方向上流端との間の区間を例示することができる。このほか、例えば、図8に示す熱延鋼板の冷却装置20’のように、圧下点と最終スタンドのハウジングポスト出側との間における鋼板下面側にも搬送ロール12が配設されている場合には、当該搬送ロール12によって高圧ジェット水の衝突が妨げられる鋼板下面側の部位も、急速冷却の実施が困難な部分になる。冷却装置20’を用いても、圧下点通過から0.2秒以内に鋼板を720℃以下まで冷却することで、超微細粒を形成することが可能になる。したがって、冷却装置20’を備える熱延鋼板の製造装置を用いることにより、また、冷却装置20’による冷却工程を経ることにより、超微細粒鋼を製造することが可能になる。さらに、冷却装置20’を備える熱延鋼板の製造装置を用いて熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドで圧延された鋼板を処理する工程を有する形態とすることにより、超微細粒鋼を製造することが可能な、熱延鋼板の製造方法を提供することが可能になる。
また、上記説明では、本発明の熱延鋼板の冷却装置に、フラットスプレーノズル21aやフラットスプレーノズル22aが備えられている形態について、主に言及したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明の熱延鋼板の冷却装置に備えられるノズルの形態は、柱状の高圧ジェット水を噴射可能な形態であっても良い。図9に、本発明の熱延鋼板の冷却装置に備えられるノズルから噴射された高圧ジェット水の、鋼板表面における衝突形状を示す。フラットスプレーノズルが備えられている場合、鋼板表面における高圧ジェット水の衝突部位の形状は、例えば、図9(a)に示すような楕円形になる。これに対し、柱状の高圧ジェット水を噴射可能なスプレーノズルが備えられている場合、鋼板表面における高圧ジェット水の衝突部位の形状は、例えば、図9(b)に示すような円形になる。
ロール直径700mm(半径350mm)、圧下点からハウジングポスト出側までの距離が1800mmの圧延機を用い、0.1質量%のC及び1質量%のMnを含有する鋼板を、ロールバイト位置出側板厚が3mmとなるように出側速度600mpmで圧延し、その後急冷する試験を行った。圧延終了温度を820℃とし、冷却開始位置とハウジングポスト出側までの冷却水の衝突圧力平均値を変化させ、最終的に得られたフェライト粒径を比較調査した。なお、ハウジングポスト出側までの区間で720℃まで冷しきれない場合には、ハウジングポスト出側に後続する冷却装置を用いて冷却した。結果を表2に示す。上記式(1)を満たす条件No.1〜4が実施例(本発明例)であり、上記式(1)を満たさない条件No.5が比較例である。なお、表2では、冷却水の衝突圧力平均値(高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値)を「平均衝突圧」と記載している。
Figure 0005573837
表2に示すように、上記式(1)を満たす条件No.1〜4では、ロール半径相当位置350mm以内から冷却を開始し、ハウジングポスト出側1800mmまでの区間で720℃までの冷却(すなわち、圧延後0.2秒以内で720℃までの冷却)を完了することにより、フェライト粒径2μm以下の超微細粒組織が得られた。他方、条件No.5では、冷却開始位置がロール半径相当位置から下流側に遠く離れており、上記式(1)を満たしていなかったため、フェライト粒径は2μm以上であった。
また、上記実施例で使用した圧延機と同じ圧延機において、圧下点からハウジングポスト出側までの間に搬送ロールを設置し、搬送ロール前後での急速冷却が困難になった後にも上記と同様の圧延試験を実施した。その際、通板安定性確保の目的あるいは設備故障等の事情によって一部の冷却ヘッダーが使用不能となった場合を想定し、中間の冷却ヘッダー(スタンド内領域に存在する鋼板を冷却する冷却水が供給される冷却ヘッダーのうち、最上流端の冷却ヘッダー及び最下流端の冷却ヘッダーを除く冷却ヘッダー)の一部を意図的に使用しない条件も加えた。急冷開始位置は圧下点から150mm下流側で統一した。前述したとおり、一般的な熱間仕上圧延機列の最終スタンドにおける圧下点から当該最終スタンドのハウジングポスト出側までの距離は約2m(約2000mm)である。ここでは、最終スタンドの圧下点から最終スタンドのハウジングポスト出側までのスタンド内領域の長さL1は1800mmとした。仮に最終スタンドの圧下点から最終スタンドのハウジングポスト出側までのスタンド内領域の長さを更に短くした圧延機を実現できた場合は、短くした分、余裕のあるハウジングポスト出側で更に鋼板を冷却すれば良い。また、急冷実施不可能な部分の長さL3は圧下点から急冷開始位置までの150mm及び搬送ロール前後等の急冷不可領域の長さの総計、急冷可能範囲の長さL2はL1からL3を引いた値となる。搬送ロール設置部のように急冷不可となる部分が片面のみで反対面を急冷できる場合には、当該部分の長さを1/2倍して急冷不可領域の長さとした。結果を表3に示す。なお、表3では、冷却水の衝突圧力平均値(高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値)を「平均衝突圧」と記載している。また、表3のXはL2/L1である。
Figure 0005573837
表3の条件No.6、8、10、12に示すように、スタンド内領域に急冷不可領域があっても、長さL2の急冷領域における高圧ジェット水の平均衝突圧を上記式(1)で求められる範囲とすることで、スタンド内領域での平均冷却速度を500℃/s以上とすることができ、これらの条件下ではいずれもフェライト粒径2μm以下の超微細粒組織が得られた。ただし、条件No.12において、平均衝突圧は17kPaに達しており、これより高い平均衝突圧を実現するにはラインを建設・運用する上でコストが高くなり現実的ではない。したがって、急冷長さL2は、少なくとも750mm以上確保するのが望ましい。なお、この750mm以上の急冷長さL2は、連続した750mm以上の領域でなくても良く、急冷領域の合計長さが750mm以上であれば良い。一方で、条件No.7、9、11のように、急冷領域における高圧ジェット水の平均衝突圧が上記式(1)で求められる範囲外の場合には、スタンド内領域での平均冷却速度が500℃/s以下となり、フェライト粒径は2μm以上であった。
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う熱延鋼板の冷却装置、熱延鋼板の冷却方法、熱延鋼板の製造装置、及び、熱延鋼板の製造方法も、本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明の熱延鋼板の冷却装置、熱延鋼板の冷却方法、熱延鋼板の製造装置、及び、熱延鋼板の製造方法は、超微細結晶粒を有する熱延鋼板の製造に用いることができる。また、超微細結晶粒を有する熱延鋼板は、自動車用、家電用、機械構造用、建築用等の用途に使用される素材として用いることができる。

Claims (14)

  1. 熱間仕上げ圧延機列における最終スタンド内の圧下点より下流側に配置され、パスラインを搬送される鋼板の上面及び下面へ向けて高圧ジェット水を噴射可能に設けられた複数のノズルを備えるヘッダー、を具備し、
    前記最終スタンドの圧下点から前記最終スタンドのハウジングポスト出側までの区間で、前記鋼板の上面及び下面へ向けて、前記ノズルから前記高圧ジェット水を前記鋼板の搬送方向へ噴射可能に構成され、
    少なくとも前記最終スタンドのワークロールの半径相当位置以内から前記最終スタンドのハウジングポスト出側までの区間で、前記高圧ジェット水を、前記鋼板の搬送方向へ連続的に噴射可能なように構成され
    少なくとも前記鋼板の搬送方向最上流側に設けられた前記ノズルは、前記鋼板の搬送方向の上流側へ向けて前記高圧ジェット水を斜めに噴射可能なように、軸方向が前記鋼板の垂直面に対して交差するように配置され、少なくとも前記鋼板の搬送方向最上流側に設けられた前記ノズルから噴射された高圧ジェット水の衝突域が前記最終スタンドのワークロールの半径相当位置よりも前記圧下点側の領域へ到達することを特徴とする、熱延鋼板の冷却装置。
  2. 少なくとも前記最終スタンドの圧下点と前記最終スタンドのハウジングポスト出側との間に配置される前記ヘッダーのうち、前記最終スタンドのワークロールに近接して備えられるヘッダーは、前記最終スタンドのワークロールの交換が可能な位置へ移動可能に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  3. 前記区間における、前記高圧ジェット水の鋼板面衝突圧力の鋼板搬送方向平均値が、前記上面及び前記下面において3.5kPa以上であることを特徴とする、請求又は記載の熱延鋼板の冷却装置。
  4. 前記鋼板の上面側及び下面側の両方において、前記高圧ジェット水噴射区間に、鋼板搬送方向の長さが0.75m以上に亘る急冷領域が存在することを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  5. 前記ノズルが、フラットスプレーノズルであることを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  6. 前記冷却装置の鋼板幅方向両端面と前記最終スタンドの鋼板幅方向両端面との間に、冷却水を排出可能な空間が確保されていることを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  7. 前記鋼板の上面側に設けられた前記ヘッダー及び前記ノズルと、該ノズルと前記パスラインとの間に設けられている上面ガイドとが、一体に構成されていることを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  8. 前記鋼板の下面側に設けられた前記ヘッダー及び前記ノズルと、該ノズルと前記パスラインとの間に設けられている下面ガイドとが、一体に構成されていることを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  9. 前記ヘッダーが複数備えられ、該ヘッダーの少なくとも一部は、前記鋼板の搬送方向及び前記鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置された前記ノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されていることを特徴とする、請求いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置。
  10. 前記鋼板の上面側に複数の前記ヘッダーが配置され、
    前記鋼板の上面側に設けられている前記ヘッダーのうち、少なくとも前記鋼板の搬送方向最上流側に配置された前記ヘッダーが、前記鋼板の搬送方向及び前記鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置された前記ノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されている前記ヘッダーであることを特徴とする、請求記載の熱延鋼板の冷却装置。
  11. 前記鋼板の下面側に複数の前記ヘッダーが配置され、
    前記鋼板の下面側に設けられている前記ヘッダーのうち、少なくとも前記鋼板の搬送方向最上流側に配置された前記ヘッダーが、前記鋼板の搬送方向及び前記鋼板の幅方向のそれぞれへ複数列に配置された前記ノズルへ冷却水を一括供給可能に構成されている前記ヘッダーであることを特徴とする、請求又は10記載の熱延鋼板の冷却装置。
  12. 請求11いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置を用いて鋼板を冷却することを特徴とする、熱延鋼板の冷却方法。
  13. 熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドと、請求11いずれか1項に記載の熱延鋼板の冷却装置とを、鋼板の搬送方向に順に備えることを特徴とする、熱延鋼板の製造装置。
  14. 請求13記載の熱延鋼板の製造装置を用いて、熱間仕上げ圧延機列における最終スタンドで圧延された鋼板を処理する工程を含むことを特徴とする、熱延鋼板の製造方法。
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