JP3644434B2 - 熱延鋼帯の製造設備及び熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延された熱延鋼帯の製造設備及び熱延鋼帯の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、熱延鋼帯は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、ついで粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において仕上げ圧延して所定の厚みの鋼帯とし、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却装置において冷却した後、コイラーで巻き取ることにより製造される。
【0003】
このような熱延鋼帯の製造は特に、熱間仕上圧延機からコイラーまでのランナウトテーブルにおける冷却工程での熱延鋼帯の通板性を第一に考えて行うために、ランナウトテーブルは、回転する搬送ロールを密に配置した構成とし、その上を熱延鋼帯が通板するようにしている。
【0004】
次に、熱延鋼帯の冷却は、鋼帯の上面側の冷却においては、円管状のラミナー冷却ノズルからの冷却水の注水で行われているが、鋼帯が上から落下する冷却水の水圧で押されても鋼帯のパスラインが搬送ロールの上接点を結んだ線から下へ押し込まれないようにするために、搬送ロール直上に、幅方向に直線状に複数の円管ラミナーノズルを配置して行っている。搬送ロール直上位置でしか冷却できないため、鋼帯上面側の冷却装置の冷却能力には自ずと限界がある。
【0005】
また、熱延鋼帯の下面の冷却においては、搬送ロール間に設けたスプレーノズルから冷却水を噴射して鋼帯の冷却を行う冷却方法が一般的で、搬送ロール間でしか冷却できないため、鋼帯下面側の冷却装置の冷却能力にも自ずと限界がある。
【0006】
このようにランナウトテーブルにおける冷却は、熱延鋼帯の安定通板を第一に考えているため、冷却には制約があり、結果として100mといった非常に長い冷却設備が用いられるのが一般的であった。
【0007】
熱延鋼帯の製造に際しては、板厚2mm以下の薄物熱延鋼帯を製造する場合には、板厚が薄い分、能率を上げるために(生産量t/hrを維持するために)、圧延速度を上げるのが通常である。ところが、現実には、熱延鋼帯の先端が搬送テーブル上を走行する際に先端がフリーなので上下に踊って通板が不安定になって、鋼帯の先端が跳ね上がってフライングと呼ばれる不安定現象が発生したり、先端のつっかかりにより鋼帯途中に中弛みが生じループと呼ばれる不安定現象が発生したり、テーブルロール上で折れ込みアコーディオン状の詰まりが発生する等、安定通板が妨げられていた。特に、仕上圧延最終スタンドからの距離が30mを超えると安定通板が困難となった。
【0008】
このような薄物熱延鋼帯の安定通板と冷却を行う方法が、種々開示されている。
例えば、特開平5−7917号公報には、仕上圧延前に先行する圧延材の後端と後行する圧延材の先端とを溶接して、連続材とし、連続的に張力を張った状態で圧延、搬送、冷却する方法が開示されている。
【0009】
特開平6−328117号公報には、熱延鋼帯の先端における冷却水の上下水量比を下面が多くなるようにして冷却する方法が開示されている。
【0010】
実開昭57−82407に係る明細書には、熱間仕上圧延機とコイラーの間に設置されたホットランテーブルの上方に回転駆動するロールを設けて、鋼帯に走行駆動力を与えるようにしたホットランテーブルが開示されている。
【0011】
特開昭61−103614号公報には、ランナウトテーブル上に多数個のピンチロールを設置して、最終仕上圧延機から出る鋼帯先端を追跡し、鋼帯先端がピンチロール直下を通過する時に押さえを開始し、さらに下流側にあるピンチロールに鋼帯先端が到達した時にこの下流側のピンチロールで押さえかつ前記上流側にあるピンチロールを開放することにより、ランナウトテーブル上を案内される鋼帯先端を常に一点で押さえる方法が開示されている。
【0012】
また、特開平9−57303号公報には、熱間仕上圧延機から30m以内にコイラーと巻き戻し機を配置し、圧延直後、鋼帯を高温で巻き取り、コイル状態で温度保持した後、巻き戻して冷却し、再度巻き取る鋼帯の熱処理方法として、近接コイラーの考え方が開示されている。また、特開昭59−47001号公報には、熱間仕上圧延機の出側に近接コイラー、冷却装置、遠方コイラーをその順に配置した鋼帯の製造設備として近接コイラーの考え方が開示されている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平5−7917号公報に開示された発明によれば、薄物熱延鋼帯の通板安定性は改善できるものの、設備費が膨大となったり、圧延材の温度や圧延のスケジュールを厳格に管理しなければならない等の問題点がある。特に、既設の圧延設備列を改造して連続化することは難しく、既存の設備を極力応用して簡便な方法で、薄い鋼板の安定圧延通板冷却が行える設備が求められている。
【0014】
特開平6−328117号公報に開示された発明によれば、通常の冷却速度の冷却においては良好な通板性を実現できるが、冷却水量比を変えると上下の冷却がアンバランスとなって、急速な冷却が必要な場合には鋼帯の上下面で材質が不均一となることが避けられない。また、鋼帯の先端部とそれ以外の部分で冷却が不均一となって材質が不均一となることが避けられない。
【0015】
実開昭57−82407号公報に係る明細書や特開昭61−103614号公報に開示される発明には、板厚2.5mmを超える一般的な板厚の熱延鋼帯に対しては有効で、高速搬送時にも適用可能である。しかしながら、鋼帯の板厚が薄くかつ高速に進行してくる鋼帯先端の走行を制御することは、鋼帯先端が圧延機から離れれば離れるほど難しくなる。すなわち、鋼帯先端のフリーな部分も長さが長くなるほど、先端の振動、転接、回転体との接触によって鋼帯にループが発生し、このループが成長すると、アコーディオン状になって詰まりが発生したり、折れ込んで通板ができなくなることがある。
【0016】
特開平9−57303号公報に開示される発明においては、仕上圧延後に冷却を行なわずに高温で巻き取ると、鋼では自己焼鈍効果によりFe3Cやパーライトの凝集が生じて靭性が劣化する。したがってこの方法では一般鋼の製造ができないという問題点がある。
【0017】
特開昭59−47001号公報に開示される発明は、圧延後冷却しないで巻き取れるステンレス鋼帯の高温巻き取りには効果があるが、一般鋼では冷却しないで高温で巻き取ると、自己焼鈍効果によりFe3Cやパーライトの凝集が生じて靭性が劣化する。したがって、この公報にあるように40m以内にコイラーを設ける方法は、850℃程度の仕上温度から650℃程度以下まで冷却しないと所要の鋼帯の品質を得ることができない一般炭素鋼の製造には適用できない。
【0018】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、従来では100m以上の長いランナウトテーブルとその後方にコイラーを配置する非常に大きなスペースを必要としていた熱延鋼帯の製造設備に代えて、コイラーまで含めても、従来の半分以下の長さに納めることができるコンパクトな、全く新しい熱延鋼帯の製造設備を提供することを課題とする。すなわち、熱間仕上圧延機を出てからコイラーに至るまでの張力がかからない板厚2mm以下の熱延鋼帯の先端部を安定に通板させながら、かつ鋼帯先端から急速冷却し、極短時間で巻き取ることを可能とするコンパクトな熱延鋼帯の製造装置及び熱延鋼帯の製造方法を提供することを課題とする。
【0019】
前記課題を解決するための第1の手段は、熱間仕上圧延機の出側に設けられた、仕上圧延した熱延鋼帯を冷却する冷却装置と、その下流側に設けられた冷却した熱延鋼帯を巻き取るコイラーを有する熱延鋼帯の製造設備であって、前記冷却装置の冷却能力が板厚2mmの熱延鋼帯を200℃/秒以上で冷却できる能力であり、前記熱間仕上圧延機の最終仕上圧延機から30m以内のところに前記コイラーを配置したことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備(請求項1)である。
【0020】
前記課題を解決するための第2の手段は、前記第1の手段であって、最終仕上圧延機からの距離が10m以内のところに、鋼帯を点接して上流側の鋼帯に張力を付与すると同時に後流側に鋼帯先端を送り出すピンチロールを配置したことを特徴とするもの(請求項2)である。
【0021】
前記課題を解決するための第3の手段は、前記第1の手段であって、最終仕上圧延機からの距離が10m以内のところに、冷却開始点が位置するように冷却装置が配置され、当該冷却装置により鋼帯に作用する冷却水の流体力が鋼帯の上下でバランスするよう冷却水を噴射されることを特徴とするもの(請求項3)である。
【0022】
前記課題を解決するための第4の手段は、前記第1の手段から第3の手段のいずれかであって、冷却装置の冷却水噴射ノズルの傾け角度が、垂直からコイラーの方向へ5°〜30°とされていることを特徴とするもの(請求項4)である。
【0024】
鋼帯の先端が最終仕上圧延機を出てからコイラーに巻き取られるまでの張力がかからない状態で先端がある速度(通常700mpm)程度以上で進行する場合、最終仕上げ圧延機からある長さ以上離れた位置で、フライングによる先端のまくれ上がりや先端のつっかかりにより鋼帯途中に中弛みが生じ、テーブルロール上で折れ込みやアコーディオン状の詰まりが発生する等、安定通板が困難となる。そこで、安定して鋼帯先端が安定して走行する限界速度と板厚の関係を鋭意探索した結果、図1のような関係を見い出した。図1は、板厚が1.2mm,2.0mm,2.5mmのそれぞれの場合の、最終仕上圧延機からの距離に対する走行安定臨界速度の関係を示したものである。走行安定臨界速度とは、この速度を越えて鋼帯が搬送テーブル上を走行すると、その先端の走行が不安定となる臨界速度のことで、この速度を超えると鋼帯先端部に図2(1)に示すようなループが発生し、鋼帯が座屈し、やがてこのループは大きく成長し、折れ込みや、アコーディオン状の詰まりが発生したり、あるいは図2(2)に示すようにフライングと呼ばれる鋼帯先端が浮き上がる現象が発生する。
【0025】
板厚が厚い場合、例えば板厚2mm超えでは、最終仕上圧延機から100m以上離れた位置でも安定走行臨界速度が大きく走行不安定は発生しないが、板厚が薄い場合、例えば2mm以下では、鋼帯先端が圧延機から比較的近い領域でも安定走行臨界速度が小さくなるので安定した走行が難しい。この傾向は、板が薄くなるほど顕著になる。この場合は、スレッディング速度を遅くしないと離れたコイラーまで安定して搬送することができなくなる。したがって、板厚2mm以下でスレッディング速度700mpmを確保するためには、最終仕上圧延機から30m以内にコイラーを配置することが必要で、更に、最終仕上圧延機から10m以内にピンチロールなどの、鋼帯を点接して上流側の鋼帯に張力を付与すると同時に後流側に鋼帯先端を送り出す装置を設けことが好ましい。また、別の方法として、上記ピンチロールに替えて冷却装置を最終仕上圧延機から10m以内にその先端が来るように配置するのが好ましい。
【0026】
もちろん最終仕上圧延機後方10m以内にコイラーを設けて鋼帯を点接して上流側の鋼帯に張力を付与することも考えられるが、この場合は鋼帯が所定の巻き取り温度まで冷却できない。
【0027】
この冷却装置により、圧延直後の鋼帯の急速な冷却が可能となるため、鋼帯の安定した製造が可能となり、製品の歩留まりが高くなる。特に、鋼帯の先端が最終仕上圧延機を出てからコイラーに巻き取られるまでの張力がかからない状態においても、張力がかかった鋼帯中央部と、同じ冷却条件で冷却することが可能となる。その結果、鋼帯の最先端部から上面と下面の冷却条件を全く同じとして、曲がりや冷却後の残留応力の発生を少なくでき、鋼帯の長手方向、幅方向、厚み方向に結晶粒径が揃った均質な熱延鋼帯の安定した製造が可能となる。また、巻取り後の鋼帯の表面スケールも薄く、後の酸洗工程での酸洗が容易になるといった効果がある。
【0028】
通常、巻き取り温度は650℃程度以下である。従って、最高速度1300mpm時にコイラーまでに冷却するには、温度や板厚計測のためにセンサーを設ける空冷域(約8m)を除いて(30m−8m)÷1300mpm=約1秒で、仕上がり温度850℃から所定巻き取り温度650℃へ冷却するする必要がある。このためには200℃/s以上で冷却しないと冷却しきれない。従って、200℃/秒以上の冷却能力を有する冷却装置が必要となる。
【0029】
なお、仕上圧延後の熱延鋼帯の形状不良を未然に感知し、下流側に配置した冷却装置やコイラー等に円滑に搬送できるよう、反り計、板厚計、温度計等のセンサー類を配置できる3〜10mの空冷域を設けるのが好ましい。3m未満では熱間仕上圧延機のロール冷却水や冷却装置の冷却水の影響を受け上手く計測できない。一方、10m以上になると、所定能力の冷却装置の配置が困難になる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の1実施の形態を示す設備配置を図3に、冷却装置を図4にそれぞれ示す。
粗圧延機1で圧延された粗バー2はテーブル上を搬送されて、連続的に7つの熱間仕上圧延機群3で所定の厚みまで圧延後、ランナウトテーブル4を送られて後方のコイラー5で巻き取られて熱延鋼帯(熱延コイルとも言う)となる。
【0031】
このランナウトテーブル4は直径300mmの回転ロールがピッチは350mmで配列されたものであり、熱間仕上圧延機群3とコイラー5の間に配置されている。このランナウトテーブル4の最終仕上圧延機3xから5m〜13mの間に冷却装置6が設けられている。コイラー5は2つ並んで配置され、第1のコイラー5aは、コイラーの入側ピンチロールが最終仕上圧延機3xから22m、第2のコイラー5bは、コイラーの入側ピンチロールが最終仕上圧延機3xから28mの位置に配置されている。最終仕上圧延機3xから5mまでの間の空冷帯には、板厚計7、仕上温度計8、板プロフィル計9が設置されている。
【0032】
冷却装置6は、50mmピッチで配置された円管ラミナーノズル11からなり、鋼帯のパスラインの上方および下方から鋼帯を挟みこむように設置されている。この上下の円管ラミナーノズル11からは水量密度が上面及び下面を、それぞれに対して3000L/(min・m2)の冷却水が噴射されている。この円管ラミナーノズル11の先端は、鋼帯のパスラインから200mm離れており、ノズルが破損しないように、鋼帯と上方の円管ラミナーノズル11の先端との間に簀状ガイド13を設置している。このとき、鋼帯に作用する冷却水の流体力が鋼帯の上下でバランスするよう冷却水を噴射することが好ましい。なお、このとき、冷却水の鋼帯走行方向に冷却水の流動抵抗が加味されるので、冷却水が衝突しない場合に比べて安定走行臨界速度はやや小さくなる。
【0033】
この関係を図5に模式的に示す。図5(a)は、垂直に冷却水を噴射させた場合を示し、この場合は、前述のように、冷却水が衝突しない場合に比べて安定走行臨界速度はやや小さくなる。同図(b)は垂直から10°傾けて噴射させた場合である。(b)においては、鋼帯に衝突した冷却水の流体力が、鋼帯の走行方向に働くように上下のラミナーノズルはコイラーの方向へ10°傾けて設置されているので、冷却水が衝突しない場合と安定走行臨界速度は変わらなくなってくる。より安定な走行性を得るためには、ノズルの傾け角度は5°〜30°に設定するのが望ましい。5°未満では走行安定効果が少ない。一方、30°超えでは、上下ノズルからの冷却水噴射圧力による拘束力が弱まり逆効果である。
【0034】
本実施の形態では、円管ラミナーノズル11の先端と鋼帯パスラインとの距離は、200mm(ノズル先端と鋼帯の距離は(200mm‐板厚))離れているが、この距離は冷却能力と密接な関係がある。この距離が200mm以上離れると冷却が弱くなり、200℃/秒以上の強冷却が難しくなる。また、上面側のノズルと鋼帯間距離と下面側のノズルと鋼帯間距離はほぼ同じにしておく方が、鋼帯の安定走行性を確保する点から望ましい。
【0035】
もちろん、鋼帯の安定走行性を確保するには、鋼帯上下面が冷却水から受ける流体力を上下対称にすることであるから、上面側のノズルと鋼帯間距離と下面側のノズルと鋼帯間距離は違っていても冷却水の噴射圧力を上下で変更して、鋼帯上下面が冷却水から受ける流体力を上下対称にすることも可能であるが、実際の操業を考えると、冷却水の噴射圧力、ノズル鋼帯間距離は、できるだけ上下で同じにしておくことが望ましい。
【0036】
図4(a)においては、最終仕上圧延機3xから5mまでの間の空冷帯に冷却水が流れ込まないように、また、冷却装置から冷却水が鋼帯に載って流出しないように、冷却装置6の入側および出側には冷却水を鋼帯上から排除するためにパージノズル14を設けている。
【0037】
冷却水の上下の流体圧力差は、かかっている圧力の10〜20%上下で異なっていても、通板を安定させる効果は変わらない。また、本実施例の冷却方式の場合は、板にかかる流体圧は、ノズルとの距離が近いほど強く、遠いほど弱い。従って、上下から対称に冷却水を噴射させると、鋼帯にはその中心に寄ろうとするセンタリング力が働いて、鋼帯の軌道をノズル間中心に戻そうとする力が生じる。
【0038】
なお、冷却装置内の通板を更に安定化させるために、図4(b)、(c)に示すように、冷却装置の前後にピンチロール18を設けてもよい。また、上部ランナウトテーブル(搬送される鋼帯に対し下側に配置された搬送ロール群と対向するように配置された駆動ロール)を適宜設けてもかまわない。鋼帯と転接して鋼帯を送り出すピンチロールはそのおのおのの距離が10m以内であれば通板性に支障はない。基本的には、冷却装置内では鋼帯先端の動きは、冷却水の流体圧で上下ノズル間の中央を通過するように通板安定化する。
【0039】
この冷却装置6により、連続仕上圧延機3から圧延された鋼帯の先端を冷却する方法を説明する。まず、遅くとも鋼帯先端が最終仕上圧延機3xから搬出される前に、ノズルから冷却水を規定の流量で噴射しておく。この時、上面と下面の噴射条件をなるべく同じにするように噴射圧、流量を調整しておく。これは、通板する鋼帯の上面と下面に働く流体圧が同じになり、鋼帯が上下に振動したり、片寄ったりしないように通板させるためである。
【0040】
【実施例】
この設備において最終仕上板厚が1.2mmの鋼帯を、スレッディング速度が750mpmでその先端から通過させた。鋼帯の圧延仕上がり温度は890℃であった。冷却装置出側の鋼帯温度は500℃と十分な冷却能力を有している。冷却装置を抜けて、鋼帯先端は、第1のコイラーのピンチロールに噛みこまれその後安定して巻き取られた。その間、鋼帯先端の通板異常や折れ込みは発生しなかった。鋼帯先端が巻き取られた後も、通板は安定していた。その後ズーミングによって最高速度1300mpmまで増速し、それに合わせて冷却水噴射圧力を上げて、冷却装置出側の鋼帯温度を500℃に保った。また、同じ厚みの鋼帯を同圧延条件で圧延し、圧延機から29mの位置にある第2のコイラーで巻き取った場合も通板は安定していた。
【0041】
以上本発明では、鋼帯の最先端から定常部と同じ冷却条件で冷却することが可能となり、鋼帯の中央部以降と同じ熱履歴を実現できたので、コイル全体の材質バラツキが小さく、強度、伸び、がコイル全体で一様であった。1.2mmでスレッディング速度が750mpmであったので能率が上がった。
【0042】
本実施例では上下面の冷却を円管ラミナーノズルの場合について説明したが、冷却ノズルは円管ラミナー方式以外に、スプレー方式や噴流方式等でもよい。なお、上面と下面の鋼帯に作用する流体圧を調整して鋼帯のセンタリング効果を働かせるための条件は、冷却方式によって異なるので各冷却方式に応じて決定すればよい。
【0043】
【比較例】
比較例として以下の2つのケースについて実施例と比較した。比較例1の設備配置を図6に示す。比較例1は、実施例と同じ冷却装置6を設けて、冷却は実施例と同じ上下対称な冷却を行ない、コイラーが135m離れた位置の通常の遠方コイラー15で巻き取った。比較例2の設備配置を図7に、その冷却装置の詳細図を図8に示す。
【0044】
比較例2は従来の冷却方式であり、上面はパスラインから1.5mの高さからヘアピン型円管ラミナーノズル16で搬送の駆動ロール12上縁を狙って冷却水を落下させる円管ラミナー方式、下面は、搬送の駆動ロール12間にスプレー冷却ノズル17を配置して冷却するスプレー冷却方式で上下非対称に間欠的な冷却を行うものである。コイラーは実施例と同じ位置、すなわち最終仕上圧延機3xから22mおよび29mにある第1のコイラー5a、及び第2のコイラー5bで巻き取った。
【0045】
この2つの比較例において最終仕上板厚が1.2mm鋼帯を、スレッディング速度が750mpmでその先端から通過させ冷却と巻き取りを行なった。鋼帯の圧延仕上がり温度は890℃であった。
【0046】
比較例1では、冷却が上下対称で強冷却が可能であるので鋼帯の冷却は所定の冷却が得られるが、冷却装置を抜けた後の鋼帯先端が750mpmの高速で回転する搬送ロール上を通過し遠方のコイラーに到達するまでにフライング現象が発生して安定通板できなかった。
【0047】
比較例2では、通板を第1に考えて冷却が非対称に行われているので、冷却能力が十分ではなく、第1のコイラーに到達するまでに790℃までしか冷却しきれなかった。従来の冷却である円管ラミナー方式は、落下した冷却水が、鋼帯を下に押し下げるのでその落下位置は搬送ロール上縁を狙う制約がある。また下面についても、冷却水ノズルを設置するスペースが搬送ロール間に限定されることから、鋼帯側から見ると冷却水の衝突するパターンは上下で千鳥となって上下非対称冷却になり、冷却の弱い部分が存在する。
【0048】
また、通板性を第1に考えるので冷却水量を増やすことができない。仮に冷却水量を増やすと鋼帯に上下非対称な力が交互にかかり振動し、不安定通板につながる。このように従来方式の冷却は、上下非対称で十分な強冷却が可能でない。
以上の結果をまとめて表1に示す。
(表1)
【0049】
【表1】
【0050】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば次のような効果を得ることができる。
(1)鋼帯の先端の張力が働かない部分も、先端から安定した通板・冷却を施すことが可能であるので鋼帯の中央部と同様の定常的な冷却を施すことが可能となる。
(2)鋼帯の先端から所定の冷却が通板安定性を損ねることなく可能となる。
(3)冷却装置を通板中に板の形状不良による通板トラブルが減って、設備の稼働率がアップする。
(4)薄物特に2mm以下の鋼帯の安定通板と高速通板・高速圧延が可能となる。
(5)巻取り後の鋼帯の表面スケールも薄く、後の酸洗工程での酸洗が容易になるといった効果が得られる。
(6)熱延鋼帯の製造設備は、従来では100m以上のランナウトテーブルとその後方にコイラーを配置する非常に広大なスペースを必要としていたが、本発明によれば、コイラーまで含めても、従来の半分以下の長さに納めることできるコンパクトな設備にすることが可能で、大幅なスペースと設備費の削減になる。
【0051】
【図面の簡単な説明】
【図1】通板の通板安定臨界速度と板厚、仕上げ圧延機からの距離の関係を示す図である。
【図2】搬送テーブル上を送られる鋼帯の様子を模式的に示した模式図である。
【図3】本発明の実施の形態の1例である圧延設備の概要図である。
【図4】本発明の実施例の形態に使用される通板冷却装置の詳細を示す模式図である。
【図5】冷却水の流れの様子を示す模式図である。
【図6】比較例1の設備配置を示す模式図である。
【図7】比較例2の設備配置を示す模式図である。
【図8】比較例2の冷却装置詳細を示す模式図である。
【符号の説明】
1−粗圧延機
2−粗バー
3−熱間仕上圧延機
4−ランナウトテーブル
5、5a、5b−コイラー
6−冷却装置
7−板厚計
8−仕上温度計
9−板プロフィル計
10−鋼帯
11−円管ラミナーノズル
12−駆動ロール
13−簀状のガイド
14−パージノズル
15−遠方コイラー
16−ヘアピン型円管ラミナーノズル
17−スプレー冷却ノズル
18−ピンチロール
Claims (4)
- 熱間仕上圧延機の出側に設けられた、仕上圧延した熱延鋼帯を冷却する冷却装置と、その下流側に設けられた冷却した熱延鋼帯を巻き取るコイラーを有する熱延鋼帯の製造設備であって、前記冷却装置の冷却能力が板厚2mmの熱延鋼帯を200℃/秒以上で冷却できる能力であり、前記熱間仕上圧延機の最終仕上圧延機から30m以内のところに前記コイラーを配置したことを特徴とする熱延鋼帯の製造設備。
- 最終仕上圧延機からの距離が10m以内のところに、鋼帯を点接して上流側の鋼帯に張力を付与すると同時に後流側に鋼帯先端を送り出すピンチロールを配置したことを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 最終仕上圧延機からの距離が10m以内のところに、冷却開始点が位置するように冷却装置が配置され、当該冷却装置により鋼帯に作用する冷却水の流体力が鋼帯の上下でバランスするよう冷却水を噴射されることを特徴とする請求項1に記載の熱延鋼帯の製造設備。
- 冷却装置の冷却水噴射ノズルの傾け角度が、垂直からコイラーの方向へ5°〜30°とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載の熱延鋼帯の製造設備。
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