JP4292672B2 - 熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱間圧延された高温鋼帯を冷却するための冷却装置と、その冷却方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、熱延鋼帯は、加熱炉においてスラブを所定温度に加熱し、加熱されたスラブを粗圧延機で所定厚みに圧延して粗バーとなし、ついでこの粗バーを複数基のスタンドからなる連続熱間仕上げ圧延機において所定の厚みの鋼帯となす。そして、この熱延鋼帯をランナウトテーブル上の冷却スタンドにおいて冷却した後、巻き取り機で巻き取ることにより製造される。
【0003】
このような圧延された高温の鋼帯を連続的に冷却するランナウトの冷却装置では、第1に鋼帯の通板性が考慮されている。
【0004】
たとえば、鋼帯の上面冷却をなすため、円管状のラミナー冷却ノズルから鋼帯搬送用のローラテーブルに対して、ローラテーブルの幅方向に沿って直線状に複数のラミナー冷却水を注水している。一方、鋼帯の下面冷却として、ローラテーブル間にスプレーノズルが設けられ、ここから冷却水を噴射する方法が一般的である。
【0005】
したがって、このような冷却形態では鋼帯の上下面の冷却が厳密には上下対称とならず、鋼帯の冷却は特に上面側は間欠的な冷却となり、急速な冷却(たとえば板厚3mmで冷却速度200℃/s以上)はほぼ不可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら近年は、結晶粒径が細かい熱延鋼帯が、加工性に優れることと、低Cepでも強度が高いこと等から求められており、そのための急速な冷却(すなわち、強冷却)が必要となっている。
【0007】
特に、極低炭素鋼のようにカーボン濃度が低い鋼では、圧延後のオーステナイト粒は再結晶によって結晶粒径が急速に拡大し、粗粒化を引き起こす。このような鋼では結晶仕上げ圧延終了後の極短時間(たとえば、0.5s以内)にAr3 温度以上から急速に冷却し、かつそのときの冷却温度が200℃/sを越えるよう冷却する必要がある。
【0008】
このように、鋼帯に対して急速冷却を行うにあたって、従来の冷却装置では以下のような問題がある。
すなわち、鋼帯の上下面で冷却水がかかる冷却開始位置が一致しない。特に、極低炭素鋼のように圧延後の極短時間で結晶粒の粗大化が進行する鋼については、冷却開始時間が上下で一致しないことは材質の不均一化につながる。
【0009】
また、圧延機を出てから巻き取り機に至るまで鋼帯の先端はフリーな状態で搬送されるために、鋼帯は上下に振動しながら波を打ったようにして搬送される。このような無拘束で、振動する鋼帯の先端部付近を強冷却しようとすると、先端の振動をさらに悪化させて安定通板を確保することができない。
【0010】
これに対して、特開平6−328117号公報では、鋼帯の先端における冷却水の上下水量比を、下面の水量を増やすことで有効的に冷却する方法が提案されているが、冷却水量比を変えると上下面に対する冷却がアンバランスとなって、特に急速な冷却が必要な場合には材質の不均一が避けられなかった。また、この場合、下面冷却が弱くなるので、材質的に必要な強冷却を実現することが難しかった。
【0011】
また、冷却後に鋼帯の上面に冷却水が滞留し、上面側の過冷却を引き起こす。この過冷却は、長手方向において一様とはならず、したがってこの方向における冷却停止温度がばらつきが生じている。
【0012】
さらに、幅方向についても冷却水が鋼帯端部からライン両側へ流出するので、鋼帯中央部に比べて端部が過冷却になり易く、温度停止時間がばらついていた。その結果、材質が均一にならなかった。
【0013】
そこで、鋼帯を横切るように流体を斜め方向に噴射して鋼帯上面の冷却水を排出する方法(特開平9−141322号公報)や、拘束ロールを水切りロールとして冷却水を堰き止める方法(特開平10−166023号公報)のような水切り方法が提案されている。
【0014】
しかしながら、前者の方法によると、強冷却を行うと鋼帯上に大量の冷却水が滞留して水切り効果がほとんどない。また、後者の方法では、圧延機を出てから巻き取り機に至るまでの鋼帯先端はフリー状態で搬送されるために、鋼帯は上下動しながら波を打ったように無拘束の状態で通過する。そのため、ローラテーブル上に拘束ロールを設けることは安定通板を妨げることになり、拘束ロールをランナウトの冷却装置に適用することは難しかった。
【0015】
本発明は、上記の事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、最終仕上げ圧延機を出てから巻き取り機に至るまでの張力がかからない鋼帯を安定して強冷却する熱延鋼帯の冷却装置と、その冷却方法を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされていて、複数の回転するローラテーブル上に鋼帯が搬送されるランナウト上で、ローラテーブル間に鋼帯と直近の位置に箱状の下面冷却ボックスを設置し、この下面冷却ボックスと相対する位置にライン上から昇降可能な箱状の上面冷却ボックスを設置し、鋼帯に対して上下対称に冷却水を噴射し、これら上面冷却ボックスと下面冷却ボックスそれぞれから噴射される冷却水の圧力がほぼ等しいくなるように噴射して冷却する。
【0017】
さらに、加えて、少なくとも冷却装置の出側にはローラテーブルと周速度が同じとなるように同期して回転する水切りロールを昇降自在に設置し、鋼帯先端が上面冷却ボックスと下面冷却ボックスとの間を通過するのと同時に、水切りロールを回転させながら下降させて鋼帯の冷却を行う。
【0018】
以上のごとき冷却装置と冷却方法を採用することにより、圧延直後の鋼帯を、圧延機直近で上下対称で急速冷却が可能となり、このオンラインの冷却によって結晶粒径の微細な熱延鋼帯の安定した製造が可能となる。
【0019】
その結果、冷却中の上面と下面の冷却条件を全く同じにでき、冷却中の曲がりや冷却後の残留応力の発生を少なくできるばかりか、鋼帯の長手方向、幅方向、厚み方向に結晶粒径がそろった均一な熱延鋼帯の安定した製造を得る。
【0020】
また、鋼帯の先端が巻き取り機に巻き取られる前の張力がかからない状態においても、冷却水を張力がかかった鋼帯中央部と同じ冷却条件で注水することができ、材質が上下に均一で、しかも長手方向に亘って均一となり、製品の歩留まりが高く、鋼帯の品質が安定する。
【0021】
また、水切りロールを備えることにより、冷却装置の下流側の鋼帯上に冷却水が残留することなく過冷却を防止でき、冷却停止温度が鋼帯の幅方向と長手方向に一定となり、冷却中の上面と下面の冷却条件が全く同じになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、第1の実施の形態における熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図2は、第1の冷却装置を概略的に示し、図3は第1の冷却装置に備えられる下面冷却ボックスの構成を示す。
【0023】
粗圧延機で圧延された粗バー1は鋼帯搬送路をなすローラテーブル上を搬送されて、連続的に7つの連続仕上げ圧延機2で所定の厚みまで圧延された後、最終仕上げ圧延機2Eの後方のランナウトテーブル3に導かれる。このランナウトテーブル3のほとんど大部分は冷却装置を構成していて、ここで冷却されたあと、巻き取り機4で巻き取られ、熱延コイルとなる。
【0024】
このランナウトテーブル3の上流側には第1の冷却装置5が配置され、この下流側には第2の冷却装置6が配置される。
【0025】
第1の冷却装置5は、最終仕上げ圧延機2Eの直近約1.5mの位置から約5mの位置に亘って設けられていて、後述するように構成される。
【0026】
上記第2の冷却装置6は、上記第1の冷却装置5の後方に、約80mに亘って設置されていて、ランナウトテーブル3の上部側に所定のピッチで配置される複数の円管ラミナーノズル7と、下面側で鋼帯搬送用のローラテーブル9間に配置される市販で複数のスプレーノズル8からなっている。
【0027】
このランナウトテーブル3に沿って配置される第1,第2の冷却装置5,6は、強冷却が必要な鋼種については第1の冷却装置5で圧延直後の急速冷却処理を行い、続いて所定の巻き取り温度で巻き取られるように後方にある第2の冷却装置6で冷却処理を行うことができる。
【0028】
また、強冷却が必要でない鋼帯については、第1の冷却装置5の急速冷却の作動を停止して、従来型の緩冷却である第2の冷却装置6のみで冷却処理をなすことができ、材料としての鋼帯の作り分けが可能である。
【0029】
図2に示すように、第1の冷却装置5の配置スペース内において、長手方向に約800mmピッチで、直径350mmの鋼帯搬送路を形成するローラテーブル9が配置されている。すなわち、これらローラテーブル9は鋼帯の下面側に位置している。
【0030】
そして、これらローラテーブル9の相互間に、長さ約430mm、幅約1860mmの下面冷却ボックス10が設けられている。この下面冷却ボックス10は、装置の長手方向に沿って、合計12台が配置されていて、第1の冷却装置5として延べ約5160mmの長さに亘って設けられることになる。そして、この下面冷却ボックス10端面と冷却される鋼帯13下面との距離は、約50mmに設定されている。
【0031】
一方、第1の冷却装置5における鋼帯13の上面側には、下面冷却ボックス10に相対する位置に、かつ全く同じ長さと幅寸法に設定された上面冷却ボックス11が、下面冷却ボックス10と同じ数だけ配置されている。
【0032】
上面冷却ボックス11の設置高さは、鋼帯13上面と上面冷却ボックス11端面との距離が、下面冷却ボックス10端面と鋼帯13下面との距離に等しくなるように調整が可能である。ここでは、両面冷却ボックス11,10の距離は、鋼板の板厚+100mmとなるように設定されている。
【0033】
また、上下面冷却ボックス11,10の鋼帯13に相対する端面は、板厚が16mmの鋼板が用いられている。この鋼板には所定口径のノズル孔が、所定の間隔で千鳥状に設けられている。これらのノズル孔から供給される冷却水は柱状のラミナー流となり、少なくともその上流側の衝突点は上下で対称となるように各冷却ボックス11,10の位置が合わせられている。
【0034】
なお、図3(A)(B)に示すように、変形例としての下面冷却ボックス10Aは、多数の小ノズル16をあらかじめボックス上面に設けた穴部17に配置し、ノズルの先端がボックスの上面から突出しない構成とした。
【0035】
このようにすれば、搬送される鋼帯13の先端がたとえばこの下面冷却ボックス10Aと接触するようなことがあっても、上下面冷却ボックス間を支障なく通過し、冷却装置の破損の虞れもない。
【0036】
さらに、通板性安定のために、鋼帯13下面については下面冷却ボックス10とローラテーブル9との間に、かつ鋼帯13上面については上面冷却ボックス11相互間に、いわゆるスノコ状のガイド15が設けられていて、特に、鋼帯13の先端が各隙間に引っ掛かることのないように工夫されている。
【0037】
また、これらスノコ状ガイド15では鋼帯13と接する虞れがある面は有機樹脂膜で覆われ、鋼帯と接触しても鋼帯には疵が発生しないような工夫がなされている。この有機樹脂膜の材質は、鋼帯に疵が発生しないように鋼帯よりも柔らかく、高温の鋼帯が通過する際に受ける輻射熱で温度が上昇しても強度が保たれるような耐熱の材料が好ましい。
【0038】
また、第1の冷却装置5から冷却水を噴射しない場合において、この面が高温にならないように冷却水を鋼帯に届かない範囲で冷却水を噴射しておくことが効果的である。
【0039】
つぎに、熱延鋼帯13に対する冷却工程について説明する。
最終仕上げ圧延機2Eから搬出された熱延鋼帯13の先端が第1の冷却装置5を通過するのとほぼ同時に冷却水の噴射が開始される。このような工程の設定は、鋼帯13の先端が通過する以前に上下面冷却ボックス11,10から冷却水を噴射すると、冷却水が鋼帯先端に対する通過の抵抗となり、先端の通板性を阻害する虞れがあることによる。
【0040】
鋼帯13の先端が一旦通過した後は、上面冷却ボックス11から噴射される冷却水の圧力と、下面冷却ボックス10から噴射される冷却水の圧力のバランスによって、鋼帯13のパスラインが一定に保たれる。したがって、鋼帯13に対して張力がかからない状態であっても、鋼帯13の通板性が安定することになり、鋼帯13に対する均一な強冷却が施される。
【0041】
第1の冷却装置5を構成する上下面冷却ボックス11,10と鋼帯13との距離を、ここでは50mmに設定したが、これは以下のような理由による。
すなわち、第1の冷却装置5と鋼帯13との距離をより離間すれば、冷却水の勢いが鋼帯と冷却装置5との間に存在する流体(冷却水)によって吸収されてしまい弱まる。逆に、冷却装置5と鋼帯13との距離をより接近させれば、冷却水の勢いが強まるために鋼帯13は上面から噴射される冷却水から受ける面圧と下面から受ける面圧とがバランスする位置を通過して、鋼帯13の振動や片寄った走行を矯正してセンタリングする効果が働く。
【0042】
通常、この流体が鋼帯に作用する圧力が0.01〜0.2Kg/cm2 G程度あれば、上述のセンタリング効果が期待できる。このとき、ラミナー状の冷却水が鋼帯に到達し、鋼帯を冷却するためには冷却装置と鋼帯との距離をあまり離すことができない。
【0043】
この距離は、ラミナー流のノズル出口の直径が2〜5mm程度であれば30〜100mmが好ましい。たとえば、100mm以上では冷却水流の勢いが弱まり強冷却が不可能になる。逆に、30mm以下に近づき過ぎると、冷却水の行き場がなくなり良好な水流が得難くなる。したがって、急速冷却が不可能となり、あるいは冷却水の流れが鋼帯の中央部と端部とで大きく異なって冷却ムラが発生する。
【0044】
なお、以上の条件は冷却ボックスの冷却方式によって異なってくるので、上記の限りではないが、流体が鋼帯に作用する力が0.01〜0.2Kg/cm2 G程度となるようにして、鋼帯幅方向の冷却が均一となす冷却水の諸噴射条件を決定すればよい。
【0045】
ここで、最終仕上げ圧延機2E直近に第1の冷却装置2Eを配した理由は、鋼帯13の先端が圧延機から送り出されるとき、特にピンチロールなどを必要とすることなく、上述した上下面冷却ボックス11,10の狭い隙間に鋼帯先端が導かれるようにするためである。実際には、最終仕上げ圧延機2Eから50cmないし10m程度の距離に、望ましくは5m程度までに第1の冷却装置5を配置することになる。
【0046】
ガイド15を設けることにより、鋼帯先端が腰折れや反ることなく安定して冷却装置へ導けるが、少なからずガイドに衝突するので、鋼帯先端を安定して通過するには最終仕上げ圧延機2Eから第1の冷却装置5までの距離は大体この程度が望ましい。なお、圧延直後の鋼帯の温度、板厚および板厚プロフィールなどを計測する計測器を、これら圧延機と冷却装置5との間に設置してもよい。
【0047】
以上の設備において、仕上げ板幅が1230mmで、仕上げ板厚が3mmの鋼帯をスレッディング速度650mpm、加速率9mpm/sで加速し、最大1200mpmまで加速後、減速して650mpmで鋼帯後端を尻抜けさせた。そのとき、鋼帯は先端から後端まで安定して各冷却装置5,6を通過し、所定の冷却が行われた。
【0048】
鋼帯の加速時は、第1の冷却装置5と第2の冷却装置の水量を増加することで、巻き取り温度が一定となる制御を行った。その結果、鋼帯のほぼ先端から後端まで結晶粒径が微細で一定した熱延鋼帯を安定して製造できた。
【0049】
巻き取り温度の変動が先端から後端までで15℃以内であり、その結晶粒径は10μm±5μmと安定した冷却が実現された。各温度計の実測値から鋼帯13の冷却速度を推定すると、第1の冷却装置5では500℃/sの急速冷却が実現することとなる。
【0050】
図4は、第2の実施の形態における熱延鋼帯の製造設備を概略的に示し、図5は、ここで用いられる第1の冷却装置を概略的に示す。第1の実施の形態と同一の装置と構成部品については同番号を付し、新たな説明は省略する。そして、相違する装置および構成部品についてのみ説明する。
【0051】
第1の冷却装置5における出側である最下流の上面冷却ボックス11の後ろで、かつローラテーブル9に相対する位置に、直径200mmの水切りロール20が昇降可能に配置されている。
【0052】
この水切りロール20は、空気シリンダー21に連結されているので昇降速度が速い。また、水切りロール20は、これと相対するローラテーブル9の周速と同一となるように制御される。そして、ロール20の周面はスノコ状のガイド15を覆う樹脂材と同様の樹脂材で覆われていて、疵の発生を抑制している。
【0053】
熱延鋼帯13に対する冷却工程について説明すると、最終仕上げ圧延機2Eから搬出された熱延鋼帯13の先端が第1の冷却装置5に搬送されると同時に、この冷却装置を構成する各上下面冷却ボックス11,10から冷却水が噴射されるとともに、空気シリンダ−21が作動して水切りロール20は降下し下面のローラテーブル9に転接する。
【0054】
これは、鋼帯先端が冷却装置5に入る前に上下面冷却ボックス11,10から冷却水を噴射すると、冷却水が鋼帯先端の通過の抵抗となり、先端の通板を阻害する虞れがあることによる。
【0055】
熱延鋼帯13に対し第1の冷却装置5において冷却する工程の設定と、作用およびそれにともなう効果など、すべて先に第1の実施の形態で説明したものと全く変わりがなく、そのまま適用される。
【0056】
なお、鋼帯13先端が第1の冷却装置5に入って冷却水の噴射が開始されたときに水切りロール20を上昇位置に保持していてもよい。そして、鋼帯13に対する通板が安定した段階ではじめて水切りロール20を降下させても、既に通過した鋼帯部分およびこれから通過しようとする鋼帯部分の通板性に悪影響を及ぼすことはない。
【0057】
ただし、水切りロール20の降下中においては、好ましくはローラテーブル9と水切りロール20の周速を圧延速度よりも若干は速くしたほうが、最終仕上げ圧延機2Eから第1の冷却装置5出側における鋼帯のたるみ発生を防止して、安定した通板性を確保できる。
【0058】
図6は、第2の実施の形態の変形例を示す。第2の実施の形態と相違する点は、第1の冷却装置の入り側にあるローラテーブルとの相対位置に、出側に設けたのと同一構成の水切りロールがもう1組設けられている。
【0059】
この入り側の水切りロールの存在により、第1の冷却装置における上下面冷却ボックス11,10から噴出する冷却水が装置外部である圧延機側に漏れるのを防止することは勿論、通板安定性の確保を図ることにある。
【0060】
すなわち、鋼帯の搬送速度が速いので、入り側の水切りロールは冷却水の漏出を防止する効果よりもむしろ通板安定性に対する寄与が高い。
【0061】
(比較例)
比較例として、第1の実施の形態と同様の圧延設備で仕上げ板厚3mmの熱延鋼帯を圧延し、そのあと以上述べた第2の冷却装置6で安定通板を妨げない最大の流量で冷却を行った場合を説明する。
【0062】
仕上げ板厚3mmの鋼帯をスレッディング速度650mpm、加速率9mpm/sで加速し、最大1200mpmまで加速後、減速して650mpmで鋼帯後端を尻抜けさせた。このとき、第2の冷却装置6のみで安定通板が可能な範囲で、かつ最大の冷却水量で冷却を施す、急速冷却をなした。
【0063】
そして、より安定通板を確保するために、鋼板先端が通過後、第2の冷却装置6から冷却水を噴射したが、その先端が巻き取り機4に到着して巻き取られ、鋼帯に張力がかかるまでは、上面側からの注水量を下面側からの注水量の半分に絞った。
【0064】
その冷却速度は70℃/sであり、結晶粒径は40±10μmとなり、特に鋼帯の上面と下面で、その結晶粒径のバラツキが大きく、また先端から後端にかけてバラツキがみられた。結果として、この鋼帯は先端部と後端部のそれぞれ70mが所定の材質が得られず切り捨てられることとなり、歩留まりが落ちた。
【0065】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、以下に述べるような効果を奏することとなる。
【0066】
(1)鋼帯の先端から後端に至るまで均一な冷却条件で冷却が可能となるので、鋼帯の品質が安定する。それにともなって、先端部の切捨て代が少なくなって歩留まりが高い。
【0067】
(2)鋼帯が無張力の状態で冷却装置を通過しても、鋼帯の走行が安定しているので、詰まりや操業停止のトラブルが少ない。
【0068】
(3)圧延機直近で急速冷却が可能で、その組織が細かい。
【0069】
(4)特に、水切りロールを加えることにより、鋼帯の長手方向と幅方向で冷却停止温度が一定となり、鋼帯の品質がより安定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示す、圧延設備の概略の構成図。
【図2】 同実施の形態の、第1の冷却装置の概略の構成図。
【図3】 同実施の形態の変形例を示す、下面冷却ボックスの概略の平面図と断面図。
【図4】 本発明の第2の実施の形態を示す、圧延設備の概略の構成図。
【図5】 同実施の形態の、第1の冷却装置の概略の構成図。
【図6】 同実施の形態の変形例を示す、第1の冷却装置の概略の構成図。
【符号の説明】
2E…最終仕上げ圧延機、
5…第1の冷却装置、
6…第2の冷却装置、
10…下面冷却ボックス、
11…上面冷却ボックス、
9…ローラテーブル、
20…水切りロール。
Claims (6)
- 熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の後方に設けられ、所定間隔を存して配置され熱延鋼帯を巻き取り機に搬送する複数のローラテーブルからなる鋼帯搬送路と、
この鋼帯搬送路における最終仕上げ圧延機の出側直近の位置に配置され、熱延鋼帯上面に対して冷却水を噴射し冷却する上面冷却手段と、
この上面冷却手段と鋼帯搬送路を介して相対する位置に配置され、熱延鋼帯の下面に対して冷却水を噴射し冷却する下面冷却手段とを具備し、
前記上面冷却手段から噴射される冷却水の圧力と、下面冷却手段から噴射される冷却水の圧力とが、ほぼ等しくなるように冷却水が噴射される
ことを特徴とする熱延鋼帯の冷却装置。 - 少なくとも、上記上面冷却手段と上記下面冷却手段との出側の、上記ローラテーブルと相対する位置に設けられ、該ローラテーブルの周速と同一となるように同期して回転するとともに、熱延鋼帯が上記上面冷却手段と上記下面冷却手段との間に搬送されると同時に、降下するように制御される昇降可能な水切りロールを具備したことを特徴とする請求項1記載の熱延鋼帯の冷却装置。
- 上記上面冷却手段と上記下面冷却手段は、熱延鋼板を200℃/s以上の冷却速度で急速冷却可能であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の熱延鋼帯の冷却装置。
- 熱延鋼帯の製造設備における最終仕上げ圧延機の出側直近で、熱延鋼帯先端の通過と同時に、上面冷却手段と、該上面冷却手段と鋼帯搬送路を介して相対する位置に配置された下面冷却手段とから、熱延鋼帯の上面にかかる流体圧と下面にかかる流体圧とが、ほぼ等しくなるように冷却水を噴射して冷却することを特徴とする熱延鋼帯の冷却方法。
- 熱延鋼帯の先端が上記上面冷却手段と下面冷却手段との間を通過するのと同時に、少なくともその出側のローラテーブルに対して水切りロールを降下し、転接することを特徴とする請求項4記載の熱延鋼帯の冷却方法。
- 上記水切りロールと、上記相対するローラテーブルとは周速が同一であり、さらに該周速が鋼帯の圧延速度よりも早くなるように制御されることを特徴とする請求項5記載の熱延鋼帯の冷却方法。
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