JP3353713B2 - 熱延鋼帯を有するホットランテーブル及び熱延鋼帯の製造方法 - Google Patents

熱延鋼帯を有するホットランテーブル及び熱延鋼帯の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仕上圧延後の熱延
鋼帯をコイラーまで安定に搬送するためのホットランテ
ーブル及び熱延鋼帯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に行われている熱延鋼帯の製造方
法では、仕上圧延後の熱延鋼帯は、ホットランテーブル
上を搬送される間に冷却水を噴きつけられて所定の温度
まで冷却され、最終的にピンチローラーを介してコイラ
ーに巻き取られる。
【0003】ところがこの方法では、板厚2mm以下の
薄物熱延鋼帯を製造する際に問題を生じている。熱延鋼
帯の先後端部、すなわち、熱延鋼帯先端が仕上圧延機を
出てからピンチローラーに噛み込むまでの間と、熱延鋼
帯後端が仕上圧延機を出てからピンチローラーに達する
までの間で、熱延鋼帯のホットランテーブル上での走行
が不安定になり、フライングや波打ちを起こす。走行が
不安定になると、ミスロールや巻き取り不良、冷却むら
が発生しやすくなる。また、熱延鋼帯先端の仕上圧延速
度を遅くせざるをえないため、仕上圧延中の温度低下が
大きくなり、仕上圧延中に相変態を起こすなどして、熱
延鋼帯先端の材質が他の部分に比べて著しく劣化してし
まう。生産性も低下する。熱延鋼帯のホットランテーブ
ル上での走行を安定化させるための従来技術として、以
下のようなものが知られている。
【0004】(A)特開昭56−56715号公報 熱延鋼帯の先端部をクランプして、張力を与えてコイラ
ーまで牽引する搬送装置が開示されている。 (B)特開平4−138813号公報 リニアモータを用い、熱延鋼帯の先後端部に電磁力を付
加して搬送する装置が開示されている。 (C)特開平9−192717号公報 流体力により、ストリップの浮上を防ぐ搬送装置が開示
されている。
【0005】(D)特開平5−185128号公報 熱延鋼帯の先端を波形に加工し、剛性を与えて走行を安
定化する(即ち先端部の浮上を防止する)通板方法が開
示されている。
【0006】(E)特開昭62−127102号公報 ホットランテーブルを傾斜させる鋼帯の熱間圧延設備が
開示されている。 (F)特開平6−269832号公報 仕上圧延機とコイラーの間において、軸を駆動してべル
トを回転させるべルトコンべアを千鳥状に複数配置し、
べルトコンベアの間隙に冷却装置を設けたホットランテ
ーブルが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術について、解決しなければならない課題を列
記する。 (A)特開昭56−56715号公報 熱延鋼帯の後端部の走行安定化には役立たない。また、
熱延鋼帯を搬送する走行車の速度制御が困難であり、設
備投資額が大きい。
【0008】(B)特開平4−138813号公報 熱延鋼帯の温度がキュリー点以下でなければ、使用でき
ない(即ち、キュリー点以下でないと電磁力を付加でき
ず所望の効果が得られない。)。また、設備投資額が大
きい。 (C)特開平9−192717号公報 熱延鋼帯の最先端部以外に適用すると、冷却水との干渉
が避けられない(ランアウト走行の不安定化は、最先端
部以外から発生する場合もある。)。また、熱延鋼帯の
最先端部のみに使用する場合でも、熱延鋼帯の先端を検
出して流体の吹き付けを制御することが困難である。 (D)特開平5−185128号公報 熱延鋼帯の最先端部にしか適用できない(即ち、最先端
部の浮上を防止する効果しかない。)。後述するよう
に、走行不安定化は先端部以外からも起こりうる。ま
た、コイラーに噛み込ませることが困難である。コイラ
ーの前に矯正機を設けた場合でも、スプリングバックに
より、完全にもとの形状には戻らない。
【0009】(E)特開昭62−127102号公報 ホットランテーブルを新設するときのみ適用可能である
(設備投資額大)。 (F)特開平6−269832号公報 本発明に最も類似しているが、次のような課題がある。
【0010】通常のホットランテーブルを改造して、搬
送テーブルローラーに特開平6−269832号公報に
記載されているようなベルトをかけると、搬送テーブル
ローラーの間にある冷却ノズルから熱延鋼帯下面への冷
却水が半分ほど遮られることになり、冷却能が不足して
しまう。このため、冷却能の増強や、ホットランテーブ
ルの延長が必要であり、結局は設備投資額が大きくなっ
てしまう。ホットランテーブルを新設する場合はいうま
でもない。
【0011】また、ベルトが絶えず熱延鋼帯に接触する
構造になっているため、ベルトの損耗が激しい。頻繁な
ベルトの検査や取り替えが必要で、メンテナンスコスト
がかさんでしまう。
【0012】従来技術の問題点を解決し、薄物熱延鋼帯
のホットランテーブル上における走行を安定化するため
には、搬送テーブルローラー間に熱延鋼帯下面への冷却
水を遮らないような幅の狭いエプロンを設け、熱延鋼帯
が搬送テーブルローラー間にたわみ込まないようにすれ
ばよい。ただし、エプロンの端部と搬送テーブルローラ
ーの間に、熱延鋼帯の先端が突っかかり、ミスロールが
発生する可能性がある。このような事態を防止する方法
のひとつとして、搬送テーブルローラーの周方向に溝を
つけ、エプロンの端部を溝の中に納めることが考えられ
る。しかしながら、溝の横断面のコーナーに熱延鋼帯が
接触して疵が発生するおそれがある。また、熱延鋼帯と
エプロンの接触により、熱延鋼帯の表面に疵が発生する
おそれもある。
【0013】本発明の目的は、上記の問題点を解決する
ために、通常のホットランテーブルの軽微な改造で、熱
延鋼帯のホットランテーブル上での走行を安定化し、メ
ンテナンスコストの低いホットランテーブル及び熱延鋼
帯の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決し目的を
達成するために、本発明は以下に示す手段を用いてい
る。 (1)本発明のホットランテーブルは、複数の搬送テー
ブルローラーと、この搬送テーブルローラーの間に、仕
上圧延後の熱延鋼帯下面に冷却水を噴きつけて冷却する
冷却手段と、搬送テーブルローラーの間から熱延鋼帯下
面に噴きつけられる冷却水を遮らない幅で、搬送方向に
沿って搬送テーブルローラーの間に設置され、熱延鋼帯
が搬送テーブルローラーの間にたわみ込まないようにし
たエプロンとを備えた熱延鋼帯を搬送するホットランテ
ーブルであって、 搬送テーブルローラーの周方向に横断
面のコーナーが面取りされた溝をつけ、この溝の中にエ
プロンの端部を納めることを特徴とする熱延鋼帯を搬送
するホットランテーブルである。
【0015】(2)本発明のホットランテーブルは、
記エプロンの熱延鋼帯と接触する部分に、水平面内に熱
延鋼帯の搬送方向と垂直な回転軸を有するコロを設けた
ことを特徴とする上記(1)に記載の熱延鋼帯を搬送す
るホットランテーブルである。
【0016】(3)本発明の熱延鋼帯の製造方法は、
上圧延機で仕上げ圧延した熱延鋼帯をホットランテーブ
ル上を冷却しながらピンチロールまで搬送し、コイラー
で巻き取る熱延鋼帯の製造方法であって、 前記ホットラ
ンテーブルとして前記(1)または前記(2)に記載の
ホットランテーブルを配置し、熱延鋼帯を冷却しながら
搬送することを特徴とする熱延鋼帯の製造方法である。
【0017】
【0018】
【0019】
【0020】
【発明の実施の形態】本発明者らは、薄物熱延鋼帯のホ
ットランテーブル上における走行を安定化させるため
に、鋭意研究を重ねた結果、以下の知見を得るに至っ
た。薄物熱延鋼帯がホットランテーブル上で、フライン
グや波打ちなどの走行不良を起こす原因には、図12〜
14に示すように、次の三つがある。
【0021】(イ)熱延鋼帯2先端の跳ね上がり 図12の点線で示すように、熱延鋼帯2の先端が搬送テ
ーブルローラー4の間にたわみ込み、搬送テーブルロー
ラー4に衝突して、矢印のように跳ね上がる。
【0022】(ロ)熱延鋼帯2の搬送テーブルローラー
4間へのたわみ込み 図13に概略を示す。点線のように、正常に走行してい
た熱延鋼帯2の一部が搬送テーブルローラー4の間にた
わみ込み、主として遠心力の作用によって、実線のよう
に走行が不安定になる。
【0023】(ハ)熱延鋼帯2後端の跳ね上がり 図14の点線で示すように、熱延鋼帯2の後端が搬送テ
ーブルローラー4の間にたわみ込み、矢印の方向に跳ね
上がって、実線で示されるような形状となる。
【0024】これらの現象を防止し、薄物熱延鋼帯2の
ホットランテーブル上の走行を安定化させるには、熱延
鋼帯2が搬送テーブルローラー4の間にたわみ込まない
ようにすればよい。
【0025】本発明者らは、搬送テーブルローラー4の
間から熱延鋼帯2下面に噴きつけられる冷却水を遮らな
いような幅の狭いエプロン3を、搬送テーブルローラー
4の間に、搬送方向に平行に設置し、搬送テーブルロー
ラー4間への熱延鋼帯2のたわみ込みを防止するホット
ランテーブルによって、薄物熱延鋼帯2の走行安定化が
可能であることを見出したのである。以上の知見に基づ
き、本発明者らは、搬送テーブルローラーの間から熱延
鋼帯下面に噴きつけられる冷却水を遮らない幅で、搬送
方向に沿って搬送テーブルローラーの間に設置され、熱
延鋼帯が搬送テーブルローラーの間にたわみ込まないよ
うにしたエプロンを備えるようにして、通常のホットラ
ンテーブルの軽微な改造で、熱延鋼帯のホットランテー
ブル上での走行を安定化し、メンテナンスコストの低い
ホットランテーブルを見出し、本発明を完成させた。
【0026】以下に本発明の実施の形態について説明す
る。本発明のホットランテーブルの概略側面図を図1に
示す。仕上圧延機1で仕上圧延された熱延鋼帯2は、搬
送テーブルローラー4の間から熱延鋼帯2の下面に噴き
つけられる冷却水を遮らないような幅の狭いエプロン3
を、搬送方向に沿って搬送テーブルローラー4の間に設
置したホットランテーブル上を、ピンチローラー5まで
搬送され、コイラー6でコイル状に巻き取られる。
【0027】図2は、熱延鋼帯2の搬送方向から、搬送
テーブルローラー4の側面を見た図である。搬送テーブ
ルローラー4の周方向に溝がついている。エプロン3の
上面は、搬送テーブルローラー4の上面よりも低い位置
にあり、図12〜14のように、熱延鋼帯2の一部が搬
送テーブルローラー4の間に入り込んだときに限り、エ
プロン3が熱延鋼帯2に接触し、熱延鋼帯2を上方に押
し上げて走行を安定化させる。熱延鋼帯2が正常に走行
しているときは、熱延鋼帯2とエプロン3は接触しない
構造になっている。特開平6−269832号公報のベ
ルトのような熱延鋼帯2との接触による損耗がほとんど
ないため、メンテナンス性に優れている。
【0028】図3は、本発明のホットランテーブルの側
面図で、図2のAA矢視図である。エプロン3の端部は
搬送テーブルローラー4の周方向につけられた溝の中に
ある。本発明のホットランテーブルがこのような構造に
なっている理由について説明する。図15に示すよう
に、エプロン3と搬送テーブルローラー4の間に隙間C
があると、そこに熱延鋼帯2の先端がつっかかり、ミス
ロールとなる恐れがある。図3のような構造にすれば、
見かけ上の隙間がなくなるため、この問題は解決され
る。
【0029】図20と図21に、搬送テーブルローラー
4の周方向につけられた溝の、横断面の形状を示す。図
20のように、コーナーcが角になっている形状では、
熱延鋼帯2がコーナーcと接触して、疵が発生するおそ
れがある。この問題に対し、本発明では図21に示すよ
うにコーナーcに面取りRを施してある。このような溝
の形状により、熱延鋼帯2の疵を防止することができ
る。図4は、本発明のホットランテーブルの別の一実施
形態である。エプロン3は、図3のように各搬送テーブ
ルロール4間ごとに分割する必要はなく、一体の長いエ
プロン3を3本以上の搬送テーブルローラー4にまたが
って設置してもよい。このような形態にすると、エプロ
ン3の位置調整が楽になり、メンテナンス性が向上す
る。図5は本発明のホットランテーブルの上面図であ
る。冷却ノズル(冷却手段)7から搬送テーブルローラ
ー4の間を通って熱延鋼帯2の下面に噴射される冷却水
を妨げない程度に、エプロン3の幅は狭くなっている。
図2や図5に示した実施形態では、熱延鋼帯2の搬送方
向に並行に、2列のエプロン3が設置されている。この
ように、少なくとも2列は設置することが望ましい。そ
の理由について、以下に説明する。
【0030】熱延鋼帯2の幅中心線が、搬送テーブルロ
ーラー4の幅中心線のほぼ真上にあれば、搬送テーブル
ローラー4の幅中心線に沿って、一列にエプロン3を設
置したホットランテーブルで、熱延鋼帯2の走行を安定
化することができる。しかし、熱延鋼帯2が蛇行するな
どして、熱延鋼帯2の幅中心線がずれたときには、次の
ような問題が生じる。図7は、搬送テーブルローラー4
間における、熱延鋼帯2先端の横断面とエプロン3の断
面の位置関係を示す模式図である。熱延鋼帯2は紙面に
向かって奥から手前に搬送されているとする。熱延鋼帯
2の幅中心線がエプロン3よりも紙面に向かって左にず
れているため、熱延鋼帯2が左に傾いている。このよう
な現象が起こると、熱延鋼帯2の左端の点、すなわち図
7のB点が、手前側にある搬送テーブルローラー4に衝
突して先端部のフライングが発生する。そこで図8に示
すように、2列のエプロン3を設置すれば、熱延鋼帯2
の先端が幅方向にずれても、熱延鋼帯2の走行を安定化
させられる。エプロン3は冷却水を遮らない限り、搬送
テーブルローラー4の幅方向に何列でも設置することが
できる。本発明のホットランテーブルは、熱延鋼帯2下
面への冷却水を遮らないように、エプロン3の幅を狭く
しているが、その影響を完全に除去することはできな
い。そこで、図6に示すように、エプロン3を千鳥状に
配置することは、熱延鋼帯2の冷却を幅方向に均一にす
るために有効である。
【0031】本発明のホットランテーブルでは、熱延鋼
帯2が搬送テーブルローラー4間にたわみ込んだとき、
熱延鋼帯2とエプロン3が接触するため、疵や焼き付き
の発生が懸念される。図9のようにエプロン3の上面に
耐熱樹脂などの緩衝材8を張ったり、図10、11に示
すようにコロ9をエプロン3の上面に設ければ、この問
題に対処することができる。図16は、エプロン3と搬
送テーブルローラー4の側面図である。エプロン3のa
a矢視図を図17および図18に示す。図17では熱延
鋼帯2と接触するエプロン3の上面に、コーナー部bが
存在する。エプロン3の断面がこのような形状になって
いると、コーナー部bの先端と熱延鋼帯2が接触して、
熱延鋼帯2の表面に疵を生じることになる。そこで、図
18に示すようにコーナー部bに面取りを施し、滑らか
な形状とすれば、熱延鋼帯2の表面疵を防止することが
できる。 また、図19に別の実施形態の例を示す。搬
送テーブルローラー4の周方向に溝をつけ、溝の中に、
複数の搬送テーブルローラー4にわたって、エプロン3
を設置している。このような形態においては、エプロン
3を構成する部材として丸棒やパイプを使用することに
より、上記の目的を達することができる。本発明のホッ
トランテーブルにより、薄物熱延鋼帯2の表面に疵を発
生させることなく、その先端部と後端部の走行を安定化
することができ、搬送速度を上げることが可能となる。
以下に本発明の実施例を挙げ、本発明の効果を立証す
る。
【0032】
【実施例】(1)デモ実験機による検証 実機の約3分の1モデルとなる、デモ実験機を製作し
た。デモ実験機は、実機の仕上圧延機1に相当し直径2
50mm、幅500mmのロール2本の間を通して鋼板
を送り出す送り出し機、および直径100mm、幅50
0mmの搬送テーブルローラー4を20本、130mm
ピッチで設置した搬送テーブルよりなる。
【0033】板厚0.3mm、幅300mmの鋼板を、
送り出し機で搬送テーブル上に送り出すことにより、実
機の薄物熱延鋼帯2と類似の走行不安定現象を作り出す
ことができた。幅5mmのエプロン3を図15のような
形態で、搬送テーブル幅中心線に沿って一列に設置し
た。その結果、鋼板の走行を安定化させることができ
た。 鋼板を幅方向に50mmずらして走行させると、
図7のような現象が起こり、先端のフライングが発生し
た。これに対し、搬送テーブルの幅中心線から、左右に
それぞれ50mmの位置に、エプロン3を2列設置する
と、やはり鋼板の走行を安定化させることができた。
【0034】ただし、ごくまれに、鋼板の先端がエプロ
ン3と搬送テーブルローラー4の間に突っかかり、走行
不能となる現象が観察された。 (2)実機への適用 (2−1)適用例(1) 本発明を実機に適用した例(1)について説明する。本
実施例のホットランテーブルは、直径330mm、長さ
1,800mmの搬送テーブルローラー4が、400m
mピッチで300本設置されている。
【0035】図3のエプロン3を、図6に示したように
千鳥状に配置した。エプロン3の幅は20mmである。
このホットランテーブルの冷却ノズル7は、搬送テーブ
ルローラー4の間に100mmの間隔で設置されてお
り、エプロン3は冷却能にほとんど影響を及ぼさない。
エプロン3の上面には、図10および図11のようなコ
ロ9が取り付けられている。
【0036】仕上板厚1.0mmの熱延鋼帯2を製造し
た例について述べる。板厚240mm、幅1,100m
m、長さ9,000mmの鋼スラブを加熱炉で1280
℃に加熱し、粗圧延、仕上圧延により、板厚1.0m
m、幅1,100mmの熱延鋼帯2とした。本発明の実
施前(従来例)、スレッディング速度は600mpm
で、熱延鋼帯2の先端がコイラー6に噛み込んでから加
速を開始し、最大1,300mpmまで増速している。
熱延鋼帯2の先端部分と後端部分にはホットランテーブ
ル上での走行不良が発生した。スレッディング速度が遅
いため、仕上圧延中に被圧延材が失う熱量が大きく、先
端の圧延仕上温度はわずか770℃であった。薄物生産
量の大半を占める軟鋼の場合、材質確保のために810
℃以上の圧延仕上温度が必要である。本発明の実施前
(従来例)は、熱延鋼帯2の先端から約30%の部分で
圧延仕上温度が不足しており、板厚1.0mmの薄物熱
延鋼帯2の営業生産は不可能であった。
【0037】これに対し、本発明の実施後(本発明例)
は、スレッディング速度を850mpmにすることがで
きた。スレッディング速度を上げたにもかかわらず、熱
延鋼帯2の先端部の走行は良好であった。熱延鋼帯2後
端部においても、本発明によりホットランテーブル上の
走行は安定していた。スレッディング速度を上げたおか
げで、圧延仕上温度は熱延鋼帯2の先端から目標の81
0℃以上になり、板厚1.0mm材の営業生産が可能に
なった。
【0038】本発明を実施してから、約1ヶ月間の操業
を行った。エプロン3の上面にコロ9を設けているの
で、熱延鋼帯2とエプロン3の接触が直接の原因と考え
られる疵や焼き付きは発生していない。熱延鋼帯2の先
端がエプロン3と搬送テーブルローラー4の間に入り込
むといった事故も起こっていない。さらに、ホットラン
テーブル上の走行不良によるミスロールや巻き取り不良
も発生しなかった。
【0039】(2−2)適用例(2) 本発明を実機に適用した例(2)について説明する。本
実施例のホットランテーブルは、直径330mm、長さ
1,800mmの搬送テーブルローラー4が、400m
mピッチで300本設置されている。
【0040】図3に示すようなスチール製のエプロン3
を、搬送テーブルローラー4の幅中心を結んだ線に沿っ
て、一列に設置した。エプロン3の幅は20mmであ
る。このホットランテーブルの搬送テーブルローラー4
間に設置されている冷却ノズルは、搬送テーブルローラ
ー4の長手方向にみて100mmの間隔で設置されてお
り、エプロン3は冷却能にほとんど影響を及ぼさない。
【0041】なお、搬送テーブルローラー4の周方向に
つけられた溝は、幅32mm、深さ30mmである。仕
上板厚1.2mmの熱延鋼帯2を製造した例について述
べる。
【0042】板厚240mm、幅1,050mm、長さ
8,500mmの鋼スラブを加熱炉で1280℃に加熱
し、粗圧延、仕上圧延により、板厚1.2mm、幅1,
050mmの熱延鋼帯2とした。熱延鋼帯2のホットラ
ンテーブル上での走行は安定していた。
【0043】搬送テーブルローラー4の周方向につけら
れた溝の断面形状が、図20のようになっている場合、
熱延鋼帯2の幅中心付近に、コーナーcとの接触が原因
と考えられる疵が散見された。
【0044】これに対し、コーナーcにR5の面取りを
施し、図21のような断面形状とすると、コーナーcと
の接触が原因と考えられる、熱延鋼帯2の幅中心付近の
疵は発生しなくなった。
【0045】(2−3)適用例(3) 本発明を実機に適用した例(3)について説明する。本
実施例のホットランテーブルは、直径330mm、長さ
1,800mmの搬送テーブルローラー4が、400m
mピッチで300本設置されている。図16に示すよう
なスチール製のエプロン3を、搬送テーブルローラー4
の幅中心を結んだ線に沿って、一列に設置した。エプロ
ン3の幅は20mmである。このホットランテーブルの
冷却ノズル7は、搬送テーブルローラー4の間に100
mmの間隔で設置されており、エプロン3は冷却能にほ
とんど影響を及ぼさない。
【0046】仕上板厚1.6mmの熱延鋼帯2を製造し
た例について述べる。板厚240mm、幅960mm、
長さ8,000mmの鋼スラブを加熱炉で1280℃に
加熱し、粗圧延、仕上圧延により、板厚1.6mm、幅
960mmの熱延鋼帯2とした。熱延鋼帯2のホットラ
ンテーブル上での走行は安定していた。
【0047】図17のような断面形状のエプロン3を用
いた場合、熱延鋼帯2の幅中心付近に、コーナー部bと
の接触が原因と考えられる疵が散見された。これに対
し、コーナー部bにR5の面取りを施し、図18のよう
な断面形状とすると、エプロン3との接触が原因と考え
られる熱延鋼帯2の幅中心付近の疵は発生しなくなっ
た。
【0048】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
搬送テーブルローラーの間から熱延鋼帯下面に噴きつけ
られる冷却水を遮らない幅で、搬送方向に沿って搬送テ
ーブルローラーの間に設置され、熱延鋼帯が搬送テーブ
ルローラーの間にたわみ込まないようにしたエプロンを
備えることにより、通常のホットランテーブルの軽微な
改造で、熱延鋼帯のホットランテーブル上での走行を安
定化し、メンテナンスコストの低いホットランテーブル
を提供することができる。本発明のホットランテーブル
を用いることにより、薄物熱延鋼帯の先後端部のランア
ウト走行が安定化する。その結果、仕上圧延速度を上げ
ることができ、生産性が向上する。先端部の材質劣化も
防止される。また、巻き取りの失敗や巻き取り不良、あ
るいは冷却むらが発生しなくなる。さらに、本発明によ
り、熱延鋼帯の表面に疵を生じることなく、ホットラン
テーブル上での走行を安定化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るホットランテーブル
を示す概略側面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るホットランテーブル
の搬送テーブルローラーを示す概略図。
【図3】本発明のホットランテーブルの一実施形態を示
す、搬送テーブルローラーとエプロンのAA矢視図。
【図4】本発明のホットランテーブルの他の一実施形態
を示す、搬送テーブルローラーとエプロンのAA矢視
図。
【図5】本発明のホットランテーブルの一実施形態を示
す上面図。
【図6】本発明のホットランテーブルの他の一実施形態
を示す上面図。
【図7】熱延鋼帯先端とエプロン(1列)横断面の位置
関係を示す図。
【図8】熱延鋼帯先端とエプロン(2列)横断面の位置
関係を示す図。
【図9】本発明のエプロンの一実施形態を示す側面図。
【図10】本発明のエプロンの他の一実施形態を示す上
面図。
【図11】本発明のエプロンの他の一実施形態を示す側
面図。
【図12】熱延鋼帯の走行が不安定となる原因(熱延鋼
帯先端の跳ね上がり)を示す図。
【図13】熱延鋼帯の走行が不安定となる原因(熱延鋼
帯の搬送テーブルローラー間へのたわみ込み)を示す
図。
【図14】熱延鋼帯の走行が不安定となる原因(熱延鋼
帯後端の跳ね上がり)を示す図。
【図15】エプロンの設置状態を示した図。
【図16】本発明のホットランテーブルの一実施形態を
示す概略側面図。
【図17】従来のホットランテーブルのエプロンの断面
形状を示すaa矢視図。
【図18】本発明のホットランテーブルのエプロンの断
面形状を示すaa矢視図。
【図19】本発明のホットランテーブルの他の一実施形
態を示す概略側面図。
【図20】搬送テーブルローラーの溝の拡大図。
【図21】本発明の実施の形態に係る、搬送テーブルロ
ーラーの溝の拡大図。
【符号の説明】
1…仕上圧延機、2…熱延鋼帯、3…エプロン、4…搬
送テーブルローラー、5…ピンチローラー、6…コイラ
ー、7…冷却ノズル、8…緩衝材、9…コロ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 升田 貞和 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−206819(JP,A) 特開 平9−295025(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 39/00 - 39/12

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の搬送テーブルローラーと、この搬
    送テーブルローラーの間に、仕上圧延後の熱延鋼帯下面
    に冷却水を噴きつけて冷却する冷却手段と、搬送テーブ
    ルローラーの間から熱延鋼帯下面に噴きつけられる冷却
    水を遮らない幅で、搬送方向に沿って搬送テーブルロー
    ラーの間に設置され、熱延鋼帯が搬送テーブルローラー
    の間にたわみ込まないようにしたエプロンとを備えた熱
    延鋼帯を搬送するホットランテーブルであって、 搬送テーブルローラーの周方向に横断面のコーナーが面
    取りされた溝をつけ、この溝の中にエプロンの端部を納
    めることを特徴とする 熱延鋼帯を搬送するホットランテ
    ーブル。
  2. 【請求項2】 前記エプロンの熱延鋼帯と接触する部分
    に、水平面内に熱延鋼帯の搬送方向と垂直な回転軸を有
    するコロを設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱
    延鋼帯を搬送するホットランテーブル。
  3. 【請求項3】 仕上圧延機で仕上げ圧延した熱延鋼帯を
    ホットランテーブル上を冷却しながらピンチロールまで
    搬送し、コイラーで巻き取る熱延鋼帯の製造方法であっ
    て、 前記ホットランテーブルとして請求項1または請求項2
    に記載のホットランテーブルを配置し、熱延鋼帯を冷却
    しながら搬送することを特徴とする熱延鋼帯の製造方
    法。
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