JP3252718B2 - H形鋼の冷却装置 - Google Patents

H形鋼の冷却装置

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JP3252718B2 JP23324896A JP23324896A JP3252718B2 JP 3252718 B2 JP3252718 B2 JP 3252718B2 JP 23324896 A JP23324896 A JP 23324896A JP 23324896 A JP23324896 A JP 23324896A JP 3252718 B2 JP3252718 B2 JP 3252718B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、H形鋼の製造ラ
インに設けられる、H形鋼を冷却するための装置に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】H形鋼は、そのフランジの上下で温度差
がつきやすく、そのため、H形鋼の全長方向の上下曲が
りが発生しやすかった。また、H形鋼のフランジとウェ
ブとの継ぎ目であるフィレット部は圧延後も熱がたまり
やすく、冷却床上でフランジの中央部が縮まることによ
る図10に示すような傘折れ変形の原因ともなってい
た。
【0003】また、図7に示すようなH形鋼の上下曲が
りの原因としては、H形鋼のウェブよりも下の部分の囲
まれた部位に熱がたまることによって、H形鋼のフラン
ジ下部の温度が高くなりやすいことから、冷却床で下曲
がりが発生する。従来、上下曲がりの対策として、フラ
ンジ面の内面や外面を冷却する方法としては、特開昭5
2−10447号公報、特開昭52−104451号公
報、特開昭56−30376号公報、特開昭61−27
27号公報等が開示されている(以下、「先行技術1」
という)。これらの先行技術1はいずれも、フランジ下
部の冷却をねらったものである。
【0004】しかしながら、フランジ下部の冷却を行な
っても完全にフランジ上部と下部との温度を同じにする
ことは難しく、結局は上下曲がりの発生を誘発してい
た。そして、近年H形鋼のウェブの薄肉化によって多発
しているウェブ波の発生を防止するために、フランジ全
体の冷却が必須となっているが、この場合はフランジ外
面全体の冷却に加えて、全長曲がりを防ぐためのフラン
ジ上下の冷却水の水量制御が必要となってきている。特
にフランジ全体を冷却する場合は、流下水によりフラン
ジ下部が過冷却されやすい。その技術としては、特開平
5−16909号公報、特公平5−30523号公報が
開示されている(以下、「先行技術2」という)。これ
らの先行技術2はいずれも、フランジ上部と下部との温
度差を考慮して、固定配設されたノズルの流量を高さ方
向で変えることによって、上下の冷却能を制御し、H形
鋼のフランジ温度を均一にしようとするものである。
【0005】しかしながら、H形鋼のフランジサイズが
異なると、下記〜の点が問題となる。 全フランジサイズに合わせたノズルのON、OFF
機構が必要で、設備が複雑になる。
【0006】 フランジサイズが異なる度に使用ノズ
ル本数が異なるので、冷却水送水量が大きく異なり、ひ
いては圧力変動が大きくなるので、冷却水量の制御性が
悪い。
【0007】 フランジ幅の小さいものには、冷却水
量の一部のみしか使用されないので、水の使用効率が悪
い。 ノズルの磨耗に偏りがあり、そのためのメンテナン
ス回数が多い。
【0008】一方、H形鋼のフランジの傘折れの防止を
目的として、フィレット部を冷却する技術が公知であ
る。その一例としては、例えばフランジ全幅冷却用のノ
ズルとフィレット部冷却用のノズルとを組み合わせた特
開昭62−174326号公報が開示されている(以
下、「先行技術3」という)。
【0009】しかしながら、先行技術3の方法は、フラ
ンジサイズが異なると、それに合わせてノズルヘッダー
の高さを移動させることが必要で、その移動機構に多大
な設備投資が必要であった。
【0010】また、全幅ノズルを中心部分で重ね合わせ
ることにより、フィレット部の冷却能力を高める冷却技
術として特公平7−90252号公報が開示されている
(以下、「先行技術4」という)。
【0011】しかしながら、先行技術4の方法もフラン
ジサイズが変更するとノズルヘッダー自体を動かさなけ
ればならず、機構的には複雑であった。また、フランジ
サイズが異なると、使用ノズル本数が変わるので、使用
する冷却水量の増減が激しく、それぞれに水量調整が複
雑であった。
【0012】以上から、現在までにフランジサイズが頻
繁に変更するH形鋼の製造ラインにおいて、フランジ上
下の冷却能力の調整が容易に可能で、更に、簡易的な方
法でフィレット部を選択的に冷却可能なフランジ冷却装
置が求められているが、かかる装置は未だ開発されてい
ない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】従って、この発明の目
的は、かかる問題を解決するためになされたもので、H
形鋼のフランジサイズ変更時において、H形鋼のフラン
ジ上下の冷却能力の調整が可能であり、また、どのフラ
ンジサイズにおいても常にフィレット部の冷却が可能で
あるH形鋼の冷却装置を提供することにある。
【0014】請求項1記載の発明は、H形鋼等の製造ラ
インに設置されるH形鋼の冷却装置において、H形鋼の
搬送用ローラの上面とほぼ同じ高さを支点として、前記
H形鋼のフランジと平行な面に沿って上下に回動可能
な、複数のノズルを有する導管と、前記導管を回動させ
るための駆動機構と、前記導管の2箇所以上から冷却水
を供給可能な冷却水供給機構とからなり、前記導管は前
記H形鋼のフランジの高さに対応して回動可能であり、
前記導管の2箇所以上から冷却水を供給することにより
前記H形鋼に対する冷却水供給量の上下の配分が可能
あることからなり、前記導管の中心に、前記H形鋼のフ
ィレット部を冷却するためのノズルが設けられており、
前記H形鋼のフランジ高さが変わっても、常に前記ノズ
ルによって前記フィレット部を冷却可能であることに特
徴を有するものである。
【0015】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、前記導管に配設された複数のノズルの各部
位によって冷却水噴射量に差を設けたことに特徴を有す
るものである。
【0016】請求項3記載の発明は、H形鋼等の製造ラ
インに設置されるH形鋼の冷却装置において、H形鋼の
高さ方向に配設されたロッドと、前記ロッドに水平に配
列して取り付けられた、複数のノズルを有する、複数の
導管と、前記ロッドをH形鋼の搬送用ローラの上面とほ
ぼ同じ高さを支点として、前記H形鋼のフランジと平行
な面に沿って上下に回動させるための駆動機構と、前記
導管の各々に冷却水を供給可能な冷却水供給機構とから
なり、前記導管は前記ロッドを介して前記フランジの高
さに対応して上下に移動可能であることに特徴を有する
ものである。
【0017】請求項4記載の発明は、請求項3記載の発
明において、複数の前記導管のうちの上部側の1本また
は複数本と、下部側の1本または複数本とに冷却水供給
量の配分が可能であることに特徴を有するものである。
【0018】請求項5記載の発明は、請求項3または4
記載の発明において、前記ロッドの中央部に前記H形鋼
のフィレット部冷却用の前記導管が設けられており、前
記H形鋼のフランジ高さが変わっても、常に前記フィレ
ット部を冷却可能であることに特徴を有するものであ
る。
【0019】
【0020】H形鋼のフランジ上部と下部との冷却能力
を調整する手段としては、圧延材の搬送用ローラの上面
とほぼ同じ高さを支点として、フランジ上端の高さに合
わせて上下動可能な冷却装置であり、少なくても2箇所
以上から冷却水配管である導管に冷却水を供給すること
によって、フランジ被冷却面に対して上下の冷却水量の
配分を行うことにより、フランジ上下部の冷却能力を調
節する。
【0021】また、H形鋼のフィレット部を選択的に冷
却するためには、圧延材の搬送用ローラの上面とほぼ同
じ高さを支点として、前記冷却装置のフランジ上端の高
さに合わせて冷却装置を上下させることにより、フィレ
ット部の高さに対応した冷却装置の中央部に、フィレッ
ト部冷却用ノズルを1個あるいは複数取付け、どのフラ
ンジサイズのH形鋼についてもフィレット部冷却の実施
を可能とする。
【0022】〔作用〕H形鋼のフランジサイズが変更さ
れた際でも、全水量をフランジの冷却へ作用させること
が可能となるので、冷却水の効率がよく、様々なサイズ
のH形鋼のフンジ上下面の温度偏差を容易に解消するこ
とができ、更に、簡易的な方法でH形鋼の上下曲がりを
抑制することができる。
【0023】また、前述の冷却装置にフィレット部用ノ
ズルを取付けることにより、常に様々なサイズのH形鋼
に対してフィレット部用ノズルをH形鋼のフィレット部
の高さに対応させることができるので、フィレット部を
選択的に強冷却が可能となり、H形鋼のフランジの傘折
れを簡易的な方法で容易に抑制することが可能となる。
【0024】
【実施例】次に、この発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。図は本発明冷却装置を設置するH形鋼の
製造ラインの一例を示す平面図である。ここで、製造ラ
インに設置される主な機器は、上流側から、加熱炉a、
粗圧延機b、第1中間圧延機c、第2中間圧延機d、仕
上圧延機eからなる。本発明の冷却装置は、主に最終の
中間圧延機dと仕上圧延機eとの間f、または、仕上圧
延機eの下流gに設置されるものであるが、その他の場
所に設置しても差し支えない。また、中間圧延機c、d
で往復圧延を行う際のフランジ冷却装置として、その圧
延機の前後(例:h)に本発明の冷却装置を設置しても
よい。
【0025】
【0026】
【0027】
【0028】
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】〔実施例〕 図はこの発明の実施例の実施態様を模式的に示す斜
視図である。H形鋼製造ラインの仕上圧延機の後方のラ
インに沿って、全長60mにわたり本冷却装置が設置さ
れており、1m間隔に該冷却装置の導管13が取り付け
られている。導管13の基部は搬送用ローラ6の上面と
ほぼ同じ高さ位置に設けた軸受15により回動可能に軸
着されている。楕円吹きスプレーノズル14は、導管1
3一本当たりにつき、中心部を境として上下に3本ずつ
配設され、更に、導管13の中心部には、フィレット部
用ノズル25が配設されている。導管13の上端側、導
管13の下端側(基部)および導管13の中心部には、
それぞれ、バッファ20a、20b、20cからのフレ
キシブルホース19、19、19が連通されている。そ
して、導管13の中心部(フィレット部用ノズル25の
取り付け部分)の両側には、ノズル14用の冷却水が流
れ込まないように、2枚の仕切り板21、21が挿入さ
れている。冷却水は3系列ある冷却水バッファー20
(20a、20b、20c)から各フレキシブルホース
19を通って導管13の両端側、および、中心部から供
給され、フランジ3の上下の冷却能力の調整およびフィ
レット部4の冷却能力の調整は、バッファー20の冷却
水量を調整することにより行なわれる。尚、ノズルの個
数、ノズルの配設方法およびノズルのタイプはこの限り
でない。
【0039】次に、本実施例冷却装置によって、H形鋼
の冷却を実施した。本冷却装置にまずウェブ高さ500
mm、フランジ幅150mm、ウェブ厚み6mm、フラ
ンジ厚み12mmのH形鋼1を約2.0〔m/s〕の速
度で通過させた。冷却前のH形鋼1のフランジ3の平均
温度は、上部が約834〔℃〕、下部が平均温度が約8
59〔℃〕で、フランジ下部のほうが約25〔℃〕高か
った。このときの基準冷却水量は上下とも15000
〔l/min〕で、フィレット部4は1500〔l/m
in〕であった。通常、このサイズのH形鋼1はフィレ
ット部冷却を行わないと約4mmのフランジの傘折れが
発生する。温度差およびフランジ厚み、ウェブ厚み、基
準冷却水量から、フランジ上下の温度差を解消するため
の冷却水調整量は、式(1)より約1500〔l/mi
n〕となったので、フランジ上部を13500〔l/m
in〕、フランジ下部を16500〔l/min〕とし
た。この冷却条件で冷却した結果、冷却復熱後のH形鋼
1のフランジ上部の平均温度は約659〔℃〕、フラン
ジ下部の平均温度は約660〔℃〕とほぼ上下部の温度
が等しくなり、常温後のH形鋼1の上下曲がりおよびフ
ランジの傘折れは全く発生しなかった。
【0040】次にウェブ高さ900mm、フランジ幅3
00mm、ウェブ厚み16mm、フランジ厚み25mm
のH形鋼1を約2.0〔m/s〕の速度で通過させた。
冷却前のH形鋼1のフランジの平均温度は、上部が約8
83〔℃〕、下部が約892〔℃〕で、フランジ下部の
方が約9〔℃〕高かった。このときの基準冷却水量は上
下とも18000〔l/min〕で、フィレット部4は
2500〔l/min〕であった。通常、このサイズの
H形鋼1はフィレット部冷却を行わないと約7mmのフ
ランジ3の傘折れが発生する。温度差およびフランジ厚
み、ウェブ厚み、基準冷却水量から、フランジ上下の温
度差を解消するための冷却水調整量は、式(1)より約
1000〔l/min〕となったので、フランジ上部を
17000〔l/min〕、フランジ下部を19000
〔l/min〕とした。この冷却条件で冷却した結果、
冷却復熱後のH形鋼1のフランジ上部の平均温度は約6
70〔℃〕、フランジ下部の平均温度は約671〔℃〕
とほぼ上下部の温度が等しくなり、常温後のH形鋼1の
上下曲がりおよびフランジの傘折れは全く発生しなかっ
た。
【0041】また、フランジ幅150mmから300m
mへの変更も円滑に行われた。 〔実施例〕 実施例は図に示す実施例の冷却装置のフランジ3
の冷却用のノズル14を変更したものである。一般にH
形鋼1はフランジとウェブ2との接合部である中央部
の温度が高く、フィレット部4以外も図に示すように
フランジ3の端部より温度が高い。従って、本実施例で
は導管13に取り付けられているノズル14について、
両端部から中心部に向かって水量が高くなるノズル配列
を行った。本実施例では両端ノズル14を3〔kgf/
cm2 G〕で40〔l/min〕噴射可能なノズル、次
のノズルは3〔kgf/cm2 G〕で55〔l/mi
n〕噴射可能なノズル、中央よりのノズルは3〔kgf
/cm2 G〕で65〔l/min〕噴射可能なノズルを
それぞれ配設した。
【0042】次に、本実施例冷却装置によって、H形鋼
の冷却を実施した。本冷却装置にまずウェブ高さ500
mm、フランジ幅150mm、ウェブ厚み6mm、フラ
ンジ厚み12mmのH形鋼1を約2.0〔l/min〕
の速度で通過させた。冷却前のH形鋼1のフランジ3の
平均温度は上部が約836〔℃〕、下部が約860
〔℃〕で、フランジ下部の方が約24〔℃〕高かった。
また、フィレット部の温度は約902〔℃〕でフランジ
平均温度よりも約54〔℃〕高かった。このときの基準
冷却水量はフランジ上下とも15000〔l/min〕
で、フィレット部4は1500〔l/min〕であっ
た。通常、このサイズのH形鋼1はフィレット部冷却を
行わないと約4mmのフランジの傘折れが発生する。温
度差およびフランジ厚み、ウェブ厚み、基準冷却水量か
ら、フランジ上下の温度差を解消するための冷却水調整
量は、式(1)より約1500〔l/min〕となった
ので、フランジ上部を13500〔l/min〕、フラ
ンジ下部を16500〔l/min〕とした。この冷却
条件で冷却した結果、冷却復熱後のH形鋼1のフランジ
上部の平均温度は約651〔℃〕、フランジ下部の平均
温度は約651〔℃〕とほぼ上下部の温度が等しく、フ
ィレット部の温度は650〔℃〕で、放射温度径で測定
したフランジ幅方向の温度分布は図のようになり、フ
ランジ全体で温度分布が一定となる冷却が行なえ、常温
後のH形鋼1の上下曲がりおよびフランジの傘折れは全
く発生しなかった。
【0043】次に、ウェブ高さ900mm、フランジ幅
300mm、ウェブ厚み16mm、フランジ厚み25m
mのH形鋼を約2.0〔m/s〕の速度で通過させた。
冷却前のH形鋼1のフランジ3の平均温度は、上部が約
884〔℃〕、下部が約894〔℃〕で、フランジ下部
のほうが約10〔℃〕高かった。また、フィレット部の
温度は約933〔℃〕でフランジ平均温度より約44
〔℃〕高かった。このときの基準冷却水量はフランジ上
下とも18000〔l/min〕で、フィレット部4は
2500〔l/min〕であった。通常、このサイズの
H形鋼1はフィレット部冷却を行わないと約7mmのフ
ランジの傘折れが発生する。温度差およびフランジ厚
み、ウェブ厚み、基準冷却水量から、フランジ上下の温
度差を解消するための冷却水調整量は、式(1)より約
1000〔l/min〕となったので、フランジ上部を
17000〔l/min〕、フランジ下部を19000
〔l/min〕とした。この冷却条件で冷却した結果、
冷却復熱後のH形鋼1のフランジ上部の平均温度は約6
65〔℃〕、フランジ下部の平均温度は約667〔℃〕
とほぼ上下部の温度が等しく、フィレット部の温度は6
69〔℃〕で、放射温度径で測定したフランジ幅方向の
温度分布は図のようになり、フランジ全体で温度分布
が一定となる冷却が行なえ、常温後のH形鋼1の上下曲
がりおよびフランジの傘折れは全く発生しなかった。
【0044】また、フランジ幅150mmから300m
mへの変更も円滑に行われた。 〔実施例〕 図は本発明の実施例の実施態様を模式的に示す斜視
図である。H形鋼製造ラインの仕上圧延機の後方のライ
ンに沿って、全長60mにわたり本実施例冷却装置10
が設置されている。また、冷却装置10は2m間隔に配
設されている。導管13は、上方から3本設けられたフ
ランジ上部用の第1の導管13a、下方から3本設けら
れたフランジ下部用の第2の導管13b、そして、中央
に1本設けられたフィレット部用の第3の導管13cか
らなっており、各導管13は、鉛直方向に設けられたロ
ッド24に互いに平行に配設されている。そして、それ
ぞれの導管13の長さは1.2mの長さを有している。
ロッド24はローラ6の上面の高さを支点とし、ワイヤ
ー18を介して駆動源16とつながっており、フランジ
3の高さに合わせて駆動源16の駆動によりH形鋼1の
搬送用ローラ6の上面とほぼ同じ高さを支点として、H
形鋼1のフランジと平行な面に沿って上下に回動可能と
なっている。これにより、ロッド24に配設された各導
管13は、ロッド24の移動によって高さ方向に移動で
きるようになっており、フランジ3の高さに合わせてそ
の高さを変えることができる。尚、導管の長さおよび、
導管の高さを変える方法はこの限りでない。
【0045】各冷却装置10は2m間隔に片側30組配
置し両側で60組配置されている。尚、H形鋼1の左右
ズレ防止搬送用ガイド11には導管13の冷却範囲に対
応するために任意の形状の開口部12が設けられてい
る。第1、第2の導管13a、13bには、7本づつ円
形吹きスプレーノズル14が配設され、第3の導管13
cにはフィレット部用ノズル25が7本配設されてい
る。尚、ノズルの個数、ノズルの配設方法およびノズル
のタイプはこの限りでない。冷却水は3系列ある冷却水
バッファー20a、20b、20cと導管13a、13
b、13cとの間をフレキシブルホース19、19、1
9によって連通され、各導管13に冷却水が送水され、
上下の冷却能力の調整およびフィレット部4の冷却能力
の調整は、バッファー20の送水量を調整することによ
り行なわれる。
【0046】次に、本実施例冷却装置によって、H形鋼
の冷却を実施した。本冷却装置にまずウェブ高さ500
mm、フランジ幅150mm、ウェブ厚み6mm、フラ
ンジ厚み12mmのH形鋼1を約2.0〔m/s〕の速
度で通過させた。冷却前のH形鋼1のフランジ3の平均
温度は、上部が約832〔℃〕、下部が平均温度が約8
63〔℃〕で、フランジ下部のほうが約31〔℃〕高か
った。また、フィレット部の温度は約889〔℃〕でフ
ランジ平均温度より約42〔℃〕高かった。このときの
基準冷却水量はフランジ上下とも15000〔l/mi
n〕で、フィレット部4は1500〔l/min〕であ
った。通常、このサイズのH形鋼1はフィレット部冷却
を行わないと約4mmのフランジの傘折れが発生する。
温度差およびフランジ厚み、ウェブ厚み、基準冷却水量
から、フランジ上下の温度差を解消するための冷却水調
整量は、式(1)より約2000〔l/min〕となっ
たので、フランジ上部を13000〔l/min〕、フ
ランジ下部を17000〔l/min〕とした。この冷
却条件で冷却した結果、冷却復熱後のH形鋼1のフラン
ジ上部の平均温度は約650〔℃〕、フランジ下部の平
均温度は約651〔℃〕とほぼ上下部の温度が等しくな
り、フィレット部の温度は653〔℃〕でほぼフランジ
平均温度とも等しくなり、常温後のH形鋼1の上下曲が
りおよびフランジの傘折れは全く発生しなかった。
【0047】次にウェブ高さ900mm、フランジ幅3
00mm、ウェブ厚み16mm、フランジ厚み25mm
のH形鋼1を約2.0〔m/s〕の速度で通過させた。
冷却前のH形鋼1のフランジ3の平均温度は、上部が約
882〔℃〕、下部が約892〔℃〕で、フランジ下部
のほうが約10〔℃〕高かった。また、フィレット部の
温度は約932〔℃〕でフランジ平均温度より約45
〔℃〕高かった。このときの基準冷却水量は上下とも1
8000〔l/min〕で、フィレット部4は2500
〔l/min〕であった。通常、このサイズのH形鋼1
はフィレット部冷却を行わないと約7mmのフランジ3
の傘折れが発生する。温度差およびフランジ厚み、ウェ
ブ厚み、基準冷却水量から、フランジ上下の温度差を解
消するための冷却水調整量は、式(1)より約1000
〔l/min〕となったので、フランジ上部を1700
0〔l/min〕、フランジ下部を19000〔l/m
in〕とした。この冷却条件で冷却した結果、冷却復熱
後のH形鋼1のフランジ上部の平均温度は約663
〔℃〕、フランジ下部の平均温度は約664〔℃〕とほ
ぼ上下部の温度が等しく、フィレット部の温度は約66
0〔℃〕でほぼフランジ平均温度とも等しくなり、常温
後のH形鋼1の上下曲がりおよびフランジの傘折れは全
く発生しなかった。
【0048】また、フランジ幅150mmから300m
mへの変更も円滑に行われた。 〔比較例〕従来の冷却装置は、150mm、200m
m、250mm、300mmの各フランジサイズに対応
する様、フランジ高さ方向の5段になっており、フラン
ジサイズが異なる毎に各段のノズルをON、OFFす
る。5段のノズルを1組として、形鋼製造ラインに50
0mm間隔に60mの長さにわたって、片側120組、
両側で240組の冷却装置が配置されている。
【0049】この冷却装置にウェブ高さ500mm、フ
ランジ幅150mm、ウェブ厚み6mm、フランジ厚み
12mmのH形鋼1を約2.0〔m/s〕の速度で通過
させた。フランジ幅150mmのときは下から1段目お
よび2段目のノズルを使用して冷却する。
【0050】冷却前のH形鋼のフランジの平均温度は上
部が約844〔℃〕、下部が約868〔℃〕で、フラン
ジ下部の方が約24〔℃〕高かった。このときの基準冷
却水量は、ノズル1段当たり15000〔l/min〕
であった。温度差およびフランジ厚み、ウェブ厚み、基
準冷却水量から、フランジ上下の温度差を解消するため
の冷却水調整量は、式(1)より約1500〔l/mi
n〕となったので、フランジ上部を13500〔l/m
in〕、フランジ下部を16500〔l/min〕とし
た。しかし、このときのノズルにかかる圧力が約5.2
〔kgf/cm 2 G〕になり、流量コントロールが安定
せず、冷却中に±約2300〔l/min〕の冷却水量
が変動した。この冷却条件で冷却した結果、冷却復熱後
のH形鋼1のフランジ上部の平均温度は約640
〔℃〕、フランジ下部の平均温度は約658〔℃〕と温
度差が生じ、10m当たり約23mmの上下曲がりが発
生した。
【0051】前述の様に、フランジサイズが異なると、
特にフランジサイズが小さい場合、使用ノズル本数が減
るので、圧力変動が大きく流量制御が行ないにくくな
る。そのため、各ノズル毎、あるいは、ある本数毎に流
量調整弁が必要であり、また、その流量調整弁およびそ
れを制御するプロセスコンピュータ等の設備が必要とな
り、それらの設備費がかなり消費された。
【0052】また、従来の冷却装置のノズルは常時使用
するノズルと、フランジ幅によって、ON、OFF制御
することにより常時使用しないノズルとに分かれるの
で、ノズルの磨耗に偏りがあった。特に常時使用するノ
ズルは磨耗が激しく、2箇月に1回の点検が必要で、約
8箇月に1回磨耗したノズルを取り替える必要があっ
た。
【0053】この5段のノズルの冷却装置でフィレット
部を選択的に強冷却を行うには中央部のノズルの流量を
多くすることによって対応がとれるが、フランジサイズ
150mmと250mmについては、フィレット部に対
応する位置にノズルがないので強冷却を行うことができ
なかった。
【0054】尚、別途フィレット部冷却装置を設置する
にあたってもフィレット部用ノズルをH形鋼のフィレッ
ト部の高さに合わせて、直接上下に駆動する装置が必要
であった。
【0055】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の冷却装
置を用いれば以下に示すような工業上有用な効果がもた
らされる。 (1)本発明冷却装置を上下動することにより、さまざ
まなサイズのH形鋼の冷却が可能となり、サイズ変更時
も円滑に冷却幅を変更することが可能である。 (2)本発明冷却装置を使用して上下の冷却水量制御を
行うことにより、各H形鋼のフランジサイズに対してフ
ランジ均一冷却を容易に行うことが可能となり、ひいて
は常温後のH形鋼の上下曲がりが皆無となる。 (3)本発明冷却装置を用いることにより、H形鋼のフ
ィレット部冷却を常に最適な位置で容易に行うことが可
能であり、ひいてはフランジの傘折れが皆無となる。ま
た、フィレット部冷却の為に駆動する装置が不要となっ
た。 (4)本発明冷却装置を用いると配設した全てのノズル
を使用することができるので、ノズルの点検間隔を2箇
月に1回から6箇月に1回に延ばすことができ、且つ、
磨耗したノズルの取替え間隔が約8箇月から約2年に延
ばすことができ、ひいてはノズルの点検と交換にかかる
作業員および作業日数が減少する。 (5)従来、サイズ毎にあるいはある本数毎にノズルを
ON、OFFおよび流量制御弁による流量制御を行って
いたが、必要最低限のON、OFFおよび流量制御弁に
よって制御可能となるので、それらの機器が大幅に削減
でき、ひいては、そのための制御系が簡略化できること
により、設備費が大幅に削減できる。 (6)フランジの中心部に向かって、噴射量が多くなる
様にノズル選定およびノズル配設を行うことにより、フ
ランジサイズが変更しても冷却装置の中心部に位置する
フランジ高温部に対応して、選択冷却が可能となり、フ
ランジ全体を均一な温度に冷却することが可能であり、
形状不良が皆無となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例1の実施態様を模式的に示す
斜視図である。
【図2】この発明の実施例2によりH形鋼(ウェブ高さ
500mm、フランジ幅150mm)を冷却した場合の
放射温度計で測定したフランジ幅方向温度分布を示すグ
ラフである。
【図3】この発明の実施例2によりH形鋼(ウェブ高さ
900mm、フランジ幅300mm)を冷却した場合の
放射温度計で測定したフランジ幅方向温度分布を示すグ
ラフである。
【図4】H形鋼の上下曲がりを説明する図である。
【図5】冷却前のH型鋼の一般的な温度分布を示すグラ
フである。
【図6】この発明の実施例3の実施態様を模式的に示す
斜視図である。
【図7】H形鋼のフランジの傘折れを説明する正面図で
ある。
【図8】H形鋼の製造ラインの一例を示す平面図であ
る。
【符号の説明】
1 H形鋼 2 ウェブ 3 フランジ 4 フィレット部 5 搬送ライン 6 搬送用ローラ 7 H形鋼の上下曲がり 8 フィレット部の傘折れ 10 冷却装置 11 ガイド 12 開口部 13 導管 13a 第1の導管 13b 第2の導管 13c 第3の導管 14 ノズル 15 軸受 16 駆動源 17 ケーブル受け 18 ケーブル 19 フレキシブルホース 20、20a、20b、20c 冷却水バッファー 21 仕切板 22 ジョイント 24 ロッド 25 フィレット部用ノズル a 加熱炉 b 粗圧延機 c 第1中間圧延機 d 第2中間圧延機 e 仕上圧延機 f 最終の中間圧延機と仕上圧延機との間の本発明冷却
装置設置位置 g 仕上圧延機の下流の本発明冷却装置設置位置 h 中間圧延機の前後の本発明冷却装置設置位置
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 320 C21D 9/00 102

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】H形鋼等の製造ラインに設置されるH形鋼
    の冷却装置において、H形鋼の搬送用ローラの上面とほ
    ぼ同じ高さを支点として、前記H形鋼のフランジと平行
    な面に沿って上下に回動可能な、複数のノズルを有する
    導管と、前記導管を回動させるための駆動機構と、前記
    導管の2箇所以上から冷却水を供給可能な冷却水供給機
    構とからなり、前記導管は前記H形鋼のフランジの高さ
    に対応して回動可能であり、前記導管の2箇所以上から
    冷却水を供給することにより前記H形鋼に対する冷却水
    供給量の上下の配分が可能であり、 前記導管の中心に、前記H形鋼のフィレット部を冷却す
    るためのノズルが設けられており、前記H形鋼のフラン
    ジ高さが変わっても、常に前記ノズルによって前記フィ
    レット部を冷却可能であることを特徴とするH形鋼の冷
    却装置。
  2. 【請求項2】前記導管に配設された複数のノズルの各部
    位によって冷却水噴射量に差を設けた請求項1記載の装
    置。
  3. 【請求項3】H形鋼等の製造ラインに設置されるH形鋼
    の冷却装置において、H形鋼の高さ方向に配設されたロ
    ッドと、前記ロッドに水平に配列して取り付けられた、
    複数のノズルを有する、複数の導管と、前記ロッドを
    形鋼の搬送用ローラの上面とほぼ同じ高さを支点とし
    て、前記H形鋼のフランジと平行な面に沿って上下に回
    動させるための駆動機構と、前記導管の各々に冷却水を
    供給可能な冷却水供給機構とからなり、前記導管は前記
    ロッドを介して前記フランジの高さに対応して上下に移
    動可能であることを特徴とするH形鋼の冷却装置。
  4. 【請求項4】複数の前記導管のうちの上部側の1本また
    は複数本と、下部側の1本または複数本とに冷却水供給
    量の配分が可能である請求項記載の装置。
  5. 【請求項5】前記ロッドの中央部に前記H形鋼のフィレ
    ット部冷却用の前記導管が設けられており、前記H形鋼
    のフランジ高さが変わっても、常に前記フィレット部を
    冷却可能である請求項または記載の装置。
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