JP3173574B2 - 高温鋼板の冷却装置 - Google Patents

高温鋼板の冷却装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、熱間圧延された
高温鋼板特に厚鋼板の冷却装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、厚鋼板の製造プロセスとして、熱
間圧延直後の高温の鋼板を、オンラインで制御冷却する
オンライン制御冷却法が行われている。この方法によれ
ば、鋼板に高強度および高靱性が付与されるほか、合金
元素の低減および省熱処理などによるコスト低減等の効
果が得られる。
【0003】しかしながら、一般に、熱間圧延された高
温鋼板の温度分布、板形状、表面性状等は、必ずしも均
一ではないので、冷却中に鋼板面内に冷却むらが発生し
やすく、その結果、冷却後の鋼板に、変形、残留応力、
材質の不均一等が生じ、品質不良や操業上のトラブルを
招いていた。
【0004】このような冷却むらの発生原因となる鋼板
の冷却現象について、以下に説明する。一般に、高温の
鋼板を水冷すると、冷却中の鋼板の表面温度に応じて、
3つの冷却形態即ち沸騰現象が生ずる。図7は冷却条件
を一定にした場合の、鋼板表面温度と熱流束との関係を
示した図である。図7に示すように、高温の鋼板を冷却
すると、まず、鋼板表面と冷却水との間に蒸気膜が存在
する膜沸騰状態になる。この膜沸騰状態の領域(以下、
膜沸騰領域という)においては、鋼板の表面温度が非常
に高いために、冷却水は鋼板の表面に到達する前に蒸発
し、直接鋼板に接触することがなく、そして、鋼板と冷
却水との間には常に蒸気膜が存在するために、熱流束が
小さく、冷却能が低い。
【0005】次いで、鋼板の表面温度が低下してくる
と、膜沸騰状態から遷移沸騰状態に移行する。遷移沸騰
状態の領域(以下、遷移沸騰領域という)においては、
鋼板表面を覆っていた蒸気膜が安定して存在し得なくな
り、局所的に崩壊して、冷却水と鋼板表面とが直接接触
するようになり、熱流束は急激に増大する。このとき、
蒸気膜の崩壊により冷却水が鋼板と直接接触する面が均
一でないと、温度むらの発生原因になる。このような温
度むらが発生するのは、蒸気膜が崩壊して冷却水が直接
鋼板に接触した部分は低温となるのに対し、蒸気膜が存
在する部分は相対的に高温になるからである。
【0006】鋼板表面に温度むらが発生すると、図7か
らわかるように、遷移沸騰領域の場合、低温部分は熱流
束が大きいために冷却が促進されるのに対し、高温部分
は、低温部分に比べて熱流束が小さいために、冷却が遅
れる結果、両者の温度差が拡大する。鋼板の冷却中に生
ずる温度むらは、ほとんどこの領域で発生している。
【0007】更に鋼板の表面温度が低下すると、鋼板表
面には蒸気膜が全く存在しなくなり、鋼板のほぼ全表面
が冷却水と接触した状態すなわち核沸騰状態になる。こ
の核沸騰状態の領域(以下、核沸騰領域という)では、
鋼板のほぼ全表面が冷却水と接触しているために、遷移
沸騰領域で発生するような温度むらは生じにくい。
【0008】また、図7に示すように、核沸騰領域にお
いては、鋼板の温度が低下すると共に熱流束が減少する
ために、仮に、冷却前の鋼板に温度むらがあったとして
も、遷移沸騰領域とは逆に、高温部と低温部との温度差
は低下し、鋼板の温度むらは減少する。
【0009】上述した現象に基づいて、鋼板の冷却中に
生ずる温度むらの発生を防止するために、従来から数多
くの均一冷却法が提案されている。中でも、鋼板の板幅
方向に設けられたスリット状ノズルから、鋼板の進行方
向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式(以下、ス
リット状ノズル冷却方式という)は、高い冷却能と共
に、板幅方向に均一な冷却能分布が得られるので、ロー
ラークエンチ設備のほか、オンライン冷却設備にも適用
されている。
【0010】この方式によれば、鋼板の板幅方向に均一
な冷却水流が、スリット状ノズルから比較的高圧且つ大
流量で吐出されるので、冷却水が鋼板に接触する面を瞬
時に核沸騰領域となし、蒸気膜が局所的に発生する遷移
沸騰領域を避けて、鋼板を均一に冷却することができ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スリッ
ト状ノズルの冷却方式は、大量の冷却水を要し、全冷却
ゾーンにこの冷却方式を適用すると、冷却水の供給系お
よび排水系に多額の設備投資が必要になる。一方、冷却
水の水量を絞ると、鋼板全面にわたり均一に蒸気膜を破
ることができなくなって、局所的に蒸気膜の残る部分が
発生し、鋼板に温度むらが発生する原因になる。
【0012】従って、スリット状ノズル冷却方式の優れ
た特徴である、板幅方向および長手方向に均一な冷却能
を発揮させるためには、一定圧力および一定流量以上の
冷却水が必要になり、それ以下では、安定した、むらの
ない冷却を行うことはできない。
【0013】高温の鋼板を均一に冷却して冷却むらの発
生を抑制する手段について、例えば特開昭61−264
137号公報には、スリットジェット冷却方式におい
て、水量を150〜200m3/hm 、吐出圧力を1.5〜
2Kg/cm2、スリットノズル角度を15〜25°に限定す
ることによって、蒸気膜を均一に除去し、安定した冷却
に移行させる方法(以下、先行技術という)が開示され
ている。
【0014】図8は、先行技術のスリットジェット冷却
方式による冷却装置の概略側面図である。先行技術にお
いては、テーブルロール2上を矢印X方向に連続的に移
送される高温の鋼板1の上面および下面を、第1次冷却
装置としてのスリット状ノズル4から噴射される冷却水
によって冷却し、次いで、第2次冷却装置として他の冷
却方式例えばスプレーヘッダ6から噴射される冷却水に
よって冷却する際に、第1次冷却装置としてのスリット
ジェット方式で蒸気膜を均一に除去し、安定した冷却に
移行させるのに必要な冷却水の水量、水圧等を限定して
いる。
【0015】しかしながら、第2次冷却装置において他
の冷却方式により鋼板を冷却すると、鋼板の表面温度が
復熱し、再び不安定な遷移沸騰状態になり、冷却むらが
発生する問題が生ずる。特に、板厚の厚い鋼板の場合に
は、復熱量が多いために、上記問題が顕著であった。
【0016】また、第1次冷却装置としてのスリットジ
ェット方式をそのまま第2次冷却装置に適用すれば、冷
却むらの発生は防止できるが、膨大な冷却水量が必要に
なり、冷却水の供給系および排水系に多額の設備投資が
必要になって、経済的な不利が免れなかった。
【0017】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決するためになされたものであって、板幅方向に設
けられたスリット状ノズルから鋼板の進行方向に向けて
冷却水を流し鋼板を冷却する方式において、この方式が
有する、鋼板の板幅方向に均一な冷却能力を維持しつ
つ、冷却水量を削減し、均一冷却性に優れ、しかも、経
済的に有利な鋼板の冷却装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、板幅方向に設
けられたスリット状ノズルから鋼板の進行方向に向けて
冷却水を流し鋼板を冷却するスリット状ノズル冷却方式
において、蒸気膜の発生を抑え、瞬時に核沸騰状態に移
行させるために必要な冷却水の水量は、鋼板の表面温度
によって異なることを知見した。
【0019】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、請求項1に記載の発明は、テーブルロー
ル上を移送される高温の鋼板を挟んで、その上面に前記
鋼板と接触するように設けられた前記テーブルロールと
対の水切りロールによって、前記鋼板の移送方向に複数
の冷却ブロックが区画されており、各冷却ブロック毎
に、前記鋼板の上面および下面を冷却するための冷却水
噴射ノズルが設けられている、高温鋼板の冷却装置にお
いて、少なくとも前記鋼板の上面に対する冷却水噴射ノ
ズルは、前記鋼板の板幅方向に設けられた、前記鋼板の
移送方向に向けて冷却水を噴射するスリット状ノズルか
らなっており、1つまたは複数の冷却ブロック単位で、
上流側冷却ブロックに配置されている前記スリット状ノ
ズルのスリットギャップは大であり、そして、下流側冷
却ブロックに配置されている前記スリット状ノズルのス
リットギャップは、前記上流側ノズルのスリットギャッ
プよりも小であることに特徴を有するものである。
【0020】スリット状ノズルから噴射された冷却水の
流速は2〜10m/sの範囲内であることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明者等は、鋼板の板幅方向に
設けられたスリット状ノズルにより、鋼板の移送方向に
向けて冷却水を噴射し冷却する際に、高温鋼板の冷却面
の蒸気膜が消失するまでの時間を子細に調べたところ、
鋼板冷却面の蒸気膜が消失するまでの時間が、冷却水の
流量および鋼板の表面温度によって変化することを見出
した。
【0022】図1は、板厚30mmの鋼板を、スリット状
ノズルから噴射される1m3/min.m2、2m3/min.m2 およ
び3m3/min.m2 の流量の冷却水により冷却したときの、
鋼板表面温度と鋼板冷却面の蒸気膜が消失するまでの時
間との関係を示したグラフである。図1から、鋼板表面
温度が低いほど、少ない水量で短時間に蒸気膜を消失し
得ることがわかる。
【0023】冷却装置に進入した鋼板の表面温度は、図
2に示すように、各冷却ブロックを通過する度に振幅を
繰り返して低下する。このように振幅を繰り返して低下
するのは、各冷却ブロック間にあるテーブルロールおよ
び水切りロールの部分で冷却能が変化するためである。
このような鋼板表面温度のプロファイルは、冷却面の冷
却能を元に事前に計算し、予測することができる。従っ
て、各冷却ブロック毎に、事前に進入する鋼板の表面温
度を計算し予測しておけば、その表面温度で瞬時に核沸
騰状態に移行させるために必要な最小限の冷却水の流量
を設定することができる。
【0024】図3にスリット状ノズルのスリットギャッ
プと冷却水流量との関係を示す。図3から、単一のスリ
ットギャップで冷却水の流量を可変にするためには、冷
却水の流速を大きく変化させる必要のあることがわか
る。
【0025】図4に、スリット状ノズル冷却方式によっ
て鋼板を冷却した際の、冷却水の流速と鋼板の冷却能と
の関係を示す。なお、冷却能は、鋼板を15秒冷却した
後、60秒復熱させたときの、鋼板表面温度と冷却前の
鋼板表面温度との差を、冷却時間で割った値である。
【0026】図4から、冷却水の流速が2m/s未満の
場合には、流速の増加と共に冷却能は上昇するが、流速
が2m/s以上になると、冷却能は頭打ちになってほほ
ぼ一定になる。このように、冷却水の流速によって、冷
却均一性が影響を受けることがわかる。
【0027】この現象は、冷却水の流速が2m/s未満
の場合には、鋼板の冷却面に、膜沸騰領域と核沸騰領域
とが混在し、その面積比によって冷却能が変化している
のに対し、流速が2m/s以上の場合には、全面が核沸
騰状態になっていることを意味している。流速が2m/
s未満では、膜沸騰領域と核沸騰領域で温度むらが発生
し、これが冷却後の歪みの原因になる。従って、冷却水
の流速は2m/s以上であることが必要である。
【0028】冷却水の流速が冷却むらに及ぼす影響を図
5に示す。図5から、流速が2m/s未満の場合には、
冷却むらが拡大している。このように冷却むらが拡大し
ているのは、先に説明したように、流速が2m/s未満
では、鋼板の冷却面に、膜沸騰領域と核沸騰領域とが混
在しているためである。一方、冷却水の流速が10m/
s超の場合にも、冷却むらが拡大している。このように
冷却むらが拡大しているのは、冷却水が鋼板の表面で跳
ね上がって、鋼板表面に円滑に流れなくなるためであ
る。従って、冷却水の流速は、2〜10m/sの範囲内
であることが好ましい。
【0029】以上の述べたことから、全冷却ブロックに
おけるスリット状ノズルのスリットギャップが単一で
は、鋼板の表面温度に応じて、各冷却ブロック毎に必要
最小限の水量で、鋼板冷却面を瞬時に各沸騰状態に移行
させることが困難である。従って、スリット状ノズル
は、1つまたは複数の冷却ブロック単位で、上流側冷却
ブロックのスリットギャップは大に、そして、下流側冷
却ブロックのスリットギャップは小になるように配置す
ることが必要である。
【0030】このようにスリット状ノズルを構成するこ
とにより、すべての冷却ブロックで瞬時に鋼板表面を核
沸騰状態に移行させ、冷却むらのない均一な冷却を、必
要最小限の水量で行うことができるようになる。
【0031】なお、冷却速度は、冷却水の供給を、各冷
却ブロック単位または複数冷却ブロック単位でオンオフ
制御し、間欠冷却を行うことによって、任意の速度に制
御することができる。このときも、事前に間欠冷却時の
各冷却ブロックでの鋼板表面温度を事前に計算しておく
ことによって、必要最小限の水量で瞬時に各沸騰状態に
移行させ、冷却むらの発生を抑えつつ、冷却速度を制御
することが可能になる。また、冷却停止温度は、鋼板の
搬送速度によって制御することができる。
【0032】図6は、この発明の装置の一実施態様を示
す概略側面図である。この実施態様においては、複数個
のテーブルロール2上を矢印X方向に連続的に移送され
る高温の鋼板1の上面に向け板幅方向にスリット状ノズ
ル4が設けられ、そして、鋼板1の下面に向け複数個の
スプレーノズル6が設けられており、このようなスリッ
ト状ノズル4とスプレーノズル6とによって1つの冷却
ブロックが形成されている。5はスリット状ノズル4に
冷却水を供給するヘッダー管であり、7はスプレーノズ
ル6に冷却水を供給するヘッダー管であり、そして、8
は冷却水の流量調整弁である。
【0033】上部スリット状ノズル4は、数冷却ブロッ
ク単位で、上流側冷却ブロックに配置されているノズル
のスリットギャップが大で、下流側冷却ブロックに配置
されているノズル4のスリットギャップが、上流側ノズ
ルのスリットギャップよりも小であるように配置されて
いる。
【0034】なお、鋼板下面冷却用のノズルはスプレー
ノズル6に限られるものではなく、スリットジェット方
式、多孔ノズル方式、導管付円管噴水方式、浸漬冷却方
式またはこれらの組合せでもよい。ただし、鋼板上面冷
却用ノズルと同じように、核沸騰状態に維持できるよう
に、水量密度を制御し得るようになっていることが必要
である。
【0035】冷却ブロックは、例えば20ブロックから
なり、各々の冷却ブロックは、隣接する冷却ブロックに
冷却水が進入しないように、鋼板1を挟みその上部にテ
ーブルロール2と対で水切りロール3が設けられ、この
ようなテーブルロール2と水切りロール3とからなる1
対の拘束ロールによって区切られている。
【0036】上部スリット状ノズル4および下部スプレ
ーノズル6から噴射される冷却水の鋼板上面および下面
に対する衝突位置および冷却面積が共に同じになるよう
に、上部スリット状ノズル4および下部スプレーノズル
6の位置および鋼板との距離を調整し設定する。これ
は、鋼板1の上下面の温度履歴を一致させ、冷却中の鋼
板に生ずる変形を防止するためである。
【0037】熱間圧延機で圧延された高温の鋼板1は、
テーブルロール2によって、制御冷却装置に搬送され
る。なお、制御冷却装置に入る前に、予め、ホットレベ
ラー等によって鋼板の圧延歪みを除去してもよい。制御
冷却装置に運ばれた鋼板1は、冷却ゾーンを通過する間
に、上部スリットノズル4および下部スプレーノズル6
の各々から鋼板の上下面に向けて噴射された冷却水によ
って所定温度にまで冷却される。
【0038】冷却速度は、冷却水を供給する冷却ブロッ
クと冷却水を供給しない冷却ブロックの間欠パターンを
予め計算で求めておき、この間欠パターンにより所望の
値に制御した。冷却水の水量は、間欠パターンに応じ
て、予め各冷却ブロックに進入するときの鋼板表面温度
を計算し、その鋼板表面温度に応じて、瞬時に核沸騰状
態に移行させるのに必要最小限の水量を設定した。
【0039】
【実施例】次に、この発明の方法を実施例によって説明
する。板厚45mm、板幅3000mm、長さ20000mm
の高温鋼板を、図6に示した装置を使用し、本発明方法
により、スリットギャップを変化させたスリット状ノズ
ルにより下記条件で冷却し、表1に示す本発明供試体N
o. 1〜3を調製した。
【0040】 冷却開始温度 :800℃ 冷却停止温度 :500℃ 冷却速度 :10℃/s スリット状ノズルの角度:14° スリット状ノズルと鋼板との距離:30mm 各ノズルからの冷却水吐出圧力 :0.1〜1.0Kg/c
m2 比較のために、上記高温鋼板を、単一スリットギャップ
のスリット状ノズルにより上記条件で冷却し、表1に併
せて示す比較用供試体No. 4〜6調製した。
【0041】
【表1】
【0042】このようにして得た本発明供試体および比
較用供試体の各々の歪み量および冷却水の水量を調べ、
表1に併せて示した。なお、歪み量は、鋼板の板厚方向
の変形量の、板長さに対する割合で示した。この値が低
いほど歪み量は小さく、平坦度が良好であることを意味
する。
【0043】表1から明らかなように、本発明装置によ
りスリットギャップを変えたスリット状ノズルを使用し
て冷却した本発明供試体No. 1〜3においては、鋼板表
面を瞬時に核沸騰状態に移行させるに必要な最小限の冷
却水量を設定できるために、冷却歪みが少なく、冷却水
の使用水量も少なかった。
【0044】これに対し、スリットギャップが3mmの単
一スリットギャップのスリット状ノズルを使用して冷却
した比較用供試体No. 4においては、鋼板温度が800
℃以上の高温時において、冷却ブロック内で全面にわた
り均一に核沸騰状態にすることができないために冷却む
らが発生し、冷却歪みが大であった。
【0045】スリットギャップが7mmの単一スリットギ
ャップのスリット状ノズルを使用して冷却した比較用供
試体No. 6においては、高温時の冷却むらは防止できた
が、鋼板表面温度が500℃以下になったときに、必要
以上に冷却水を流さざるを得ないために、冷却水の使用
水量が多量になり、経済的に不利であった。
【0046】また、スリットギャップが5mmの単一スリ
ットギャップのスリット状ノズルを使用し、鋼板温度が
500℃以下になる領域で流速を2m/s以下とし、流
量を減少させて冷却した比較用供試体No. 5において
は、再び冷却むらが発生し、冷却歪みが増大した。
【0047】
【発明の効果】以上述べたように、この発明の装置によ
れば、板幅方向に設けられたスリット状ノズルから鋼板
の進行方向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式に
おいて、鋼板の板幅方向に均一な冷却能力を維持しつ
つ、冷却水量を削減し、均一冷却性に優れ、しかも、冷
却歪みが生ずることなく、経済的に鋼板を冷却すること
ができる、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板表面温度と鋼板冷却面の蒸気膜が消失する
までの時間との関係を示したグラフである。
【図2】冷却中の鋼板の温度履歴を示す図である。
【図3】スリット状ノズルのスリットギャップと冷却水
流量との関係を示す図である。
【図4】スリット状ノズル冷却方式によって鋼板を冷却
した際の、冷却水の流速と鋼板の冷却能との関係を示す
図である。
【図5】冷却水の流速が冷却むらに及ぼす影響を示す図
である。
【図6】この発明の装置の一実施態様を示す概略側面図
である。
【図7】冷却条件を一定にした場合の、鋼板表面温度と
熱流束との関係を示した図である。
【図8】先行技術のスリットジェット冷却方式による冷
却装置の概略側面図である。
【符号の説明】
1 鋼板 2 テーブルロール 3 水切りロール 4 スリット状ノズル 5 冷却水ヘッダー 6 スプレーノズル 7 冷却水ヘッダー 8 流量調整弁 X 鋼板進行方向
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉山 峻一 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 平田 直人 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 井上 義隆 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−264137(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 45/02 320 C21D 9/52 102

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 テーブルロール上を移送される高温の鋼
    板を挟んで、その上面に前記鋼板と接触するように設け
    られた前記テーブルロールと対の水切りロールによっ
    て、前記鋼板の移送方向に複数の冷却ブロックが区画さ
    れており、各冷却ブロック毎に、前記鋼板の上面および
    下面を冷却するための冷却水噴射ノズルが設けられてい
    る、高温鋼板の冷却装置において、 少なくとも前記鋼板の上面に対する冷却水噴射ノズル
    は、前記鋼板の板幅方向に設けられた、前記鋼板の移送
    方向に向けて冷却水を噴射するスリット状ノズルからな
    っており、1つまたは複数の冷却ブロック単位で、上流
    側冷却ブロックに配置されている前記スリット状ノズル
    のスリットギャップは大であり、そして、下流側冷却ブ
    ロックに配置されている前記スリット状ノズルのスリッ
    トギャップは、前記上流側ノズルのスリットギャップよ
    りも小であることを特徴とする、高温鋼板の冷却装置。
  2. 【請求項2】 前記スリット状ノズルから噴射された冷
    却水の流速が2〜10m/sである、請求項1記載の装
    置。
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