JP3800722B2 - 高温鋼板の冷却方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱間圧延された高温鋼板特に厚鋼板の冷却方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、厚鋼板の製造プロセスとして、熱間圧延直後の高温の鋼板を、オンラインで制御冷却するオンライン制御冷却法が行われている。この方法によれば、鋼板に高強度および高靱性が付与されるほか、合金元素の低減および省熱処理などによるコスト低減効果が得られる。
【0003】
しかしながら、一般に、熱間圧延された高温鋼板の温度分布、板形状、表面性状等は、必ずしも均一ではないので、冷却中に鋼板面内に冷却むらが発生しやすく、その結果、冷却後の鋼板に、変形、残留応力、材質の不均一等が生じ、品質不良や操業上のトラブルを招いていた。
【0004】
このような冷却むらの発生原因となる鋼板の冷却現象について、以下に説明する。一般に、高温の鋼板を水冷すると、冷却中の鋼板の表面温度に応じて、3つの冷却形態即ち沸騰現象が生ずる。図5は冷却条件を一定にした場合の、鋼板表面温度と熱流束との関係を示した図である。図5に示すように、高温の鋼板を冷却すると、まず、鋼板表面と冷却水との間に蒸気膜が存在する膜沸騰状態になる。この膜沸騰状態の領域(以下、膜沸騰領域という)においては、鋼板の表面温度が非常に高いために、冷却水は鋼板の表面に到達する前に蒸発し、直接鋼板に接触することがなく、そして、鋼板と冷却水との間には常に蒸気膜が存在するために、熱流束が小さく、冷却能が低い。
【0005】
次いで、鋼板の表面温度が低下してくると、膜沸騰状態から遷移沸騰状態に移行する。遷移沸騰状態の領域(以下、遷移沸騰領域という)においては、鋼板表面を覆っていた蒸気膜が安定して存在し得なくなり、局所的に崩壊して、冷却水と鋼板表面とが直接接触するようになり、熱流束は急激に増大する。このとき、蒸気膜の崩壊により冷却水が鋼板と直接接触する面が均一でないと、温度むらの発生原因になる。このような温度むらが発生するのは、蒸気膜が崩壊して冷却水が直接鋼板に接触した部分は低温となるのに対し、蒸気膜が存在する部分は相対的に高温になるからである。
【0006】
鋼板表面に温度むらが発生すると、図5からわかるように、遷移沸騰領域の場合、低温部分は熱流束が大きいために冷却が促進されるのに対し、高温部分は、低温部分に比べて熱流束が小さいために、冷却が遅れる結果、両者の温度差が拡大する。鋼板の冷却中に生ずる温度むらは、ほとんどこの領域で発生している。
【0007】
更に鋼板の表面温度が低下すると、鋼板表面には蒸気膜が全く存在しなくなり、鋼板のほぼ全表面が冷却水と接触した状態すなわち核沸騰状態になる。この核沸騰状態の領域(以下、核沸騰領域という)では、鋼板のほぼ全表面が冷却水と接触しているために、遷移沸騰領域で発生するような温度むらは生じにくい。
【0008】
また、図5に示すように、核沸騰領域においては、鋼板の温度が低下すると共に熱流束が減少するために、仮に、冷却前の鋼板に温度むらがあったとしても、遷移沸騰領域とは逆に、高温部と低温部との温度差は低下し、鋼板の温度むらは減少する。
【0009】
上述した現象に基づいて、鋼板の冷却中に生ずる温度むらの発生を防止するために、従来から数多くの均一冷却法が提案されている。中でも、鋼板の板幅方向に設けられたスリット状のノズルから、鋼板の進行方向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式は、高い冷却能と共に、幅方向に均一な冷却能分布が得られるので、ローラークエンチのほか、オンライン冷却設備にも適用されている。
【0010】
この方式によれば、鋼板の板幅方向に均一な冷却水流が、スリット状ノズルから比較的高圧且つ大流量で吐出されるので、鋼板全面に蒸気膜を発生させず、不安定な遷移沸騰領域を回避し、速やかに核沸騰領域に移行させることができる。
【0011】
しかしながら、核沸騰領域に移行すると、鋼板の表面温度は100℃程度になり、冷却速度は、鋼板内部から熱量が表面に伝わる速度で決まる熱伝導律速になるために、冷却水の水量をそれ以上増やしても冷却速度は増加しない。逆に、冷却速度を下げるために、冷却水の水量を絞ると、鋼板全面にわたり均一に蒸気膜を破ることができなくなって、局所的に蒸気膜の残る部分が発生し、鋼板に温度むらが発生する原因になる。
【0012】
従って、スリット状ノズルから鋼板の進行方向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式の優れた特徴である、板幅方向および長手方向に均一な冷却能を発揮させるためには、一定圧力および一定流量以上の冷却水が必要になり、それ以下では、安定した、むらのない冷却を行うことはできない。
【0013】
図6に、スリット状ノズル冷却方式によって鋼板を冷却した際の、冷却水吐出流速と鋼板の冷却能及び冷却後の鋼板の温度むらとの関係を示す。図6から明らかなように、冷却能は、低流速の領域では流速の増加と共に増大するが、ある流速以上になると、ほほぼ一定になる。一方、温度むらについてみると、低流速の領域では温度むらが大きく、その後ある流速に近づくと、温度むらは急激に減少し、その後はほぼ一定になる。
【0014】
この現象は、前述した沸騰現象に基づいて次のように説明される。即ち、流速が遅く、冷却能が増加する領域は、部分的に蒸気膜が発生している遷移沸騰領域であり、流速が増加するに従って蒸気膜の面積が減少し、冷却水が鋼板と直接接触する面積が増加するために、冷却能が増大する。
【0015】
この領域においては、蒸気膜の存在する部分と、冷却水が直接鋼板と接触している部分とが混在している。ただし、各々の位置は、鋼板の表面状態などによって決まるために一定ではなく、制御することはできない。蒸気膜の存在する部分は、熱流束が低いために高温となるのに対し、冷却水が直接鋼板に接触している部分は、熱流束が高いために低温となる結果、温度むらが発生する。流速が増加するに従って、蒸気膜の領域が狭くなるために、冷却能は増大するが、温度むらはほとんど減少しない。
【0016】
更に、流速が増加し、ある流速以上で冷却能がほぼ一定になるのは、鋼板全面が直接冷却水に接触し、核沸騰領域に達したためで、それ以上水量を増加させても、鋼板内部から鋼板表面に熱が伝達する速度、即ち鋼板の熱伝導率で律速されているために、冷却能はほとんど増加しない。この領域では、鋼板全面が直接冷却水に接触し、ほぼ均一な冷却がなされるために、温度むらは急激に減少する。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、冷却速度を制御するために冷却水の流速を変化させると温度むらの発生を避けることができず、一方、温度むらの発生を抑えるために冷却水の流速を上げると、冷却能力を制御することができない。
【0018】
従って、この方式を実機に適用し得るのは、オフラインのローラークエンチ設備などの急冷焼き入れ装置や、直接焼き入れ装置(DQ)の第1冷却ゾーンにおける冷却方式として、鋼板を900℃程度の高温から高冷却速度で200℃以下に冷却する場合に限られており、冷却速度を広い範囲で制御し、500℃程度で冷却を停止する必要のある制御冷却設備には従来適用することができなかった。
【0019】
高温の鋼板を均一に冷却して冷却むらの発生を抑制する手段について、例えば特開昭61−264137号公報には、スリットジェット冷却方式において、水量を150〜200m3/hm 、吐出圧力を1.5〜2Kg/cm2、スリットノズル角度を15〜25°に限定することによって、蒸気膜を均一に除去し、安定した冷却に移行させる方法(以下、先行技術という)が開示されている。
【0020】
しかしながら、先行技術は、スリットジェット冷却方式において、蒸気膜を均一に除去し、安定した冷却に移行させるのに必要な水量、水圧を限定したものであって、均一冷却性を維持すると共に冷却能力を制限することは困難である。
【0021】
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決するためになされたものであって、板幅方向に設けられたスリット状ノズルから鋼板の進行方向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式において、この方式が有する、鋼板の板幅方向に均一な冷却能力を維持しつつ、同時に冷却能力を広範囲にわって制御し得る、均一冷却性に優れ、しかも、制御圧延と直接焼き入れの両処理が可能な鋼板の冷却方法を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、上下に1対の拘束ロールが一定ピッチで複数組設けられているテーブルロール上を移送される高温の鋼板を、前記複数組の拘束ロール間に、前記鋼板の上下面に向けて設けられたノズルから噴射される冷却水によって冷却する、高温鋼板の冷却方法において、少なくとも前記鋼板の上面に対する冷却を、前記鋼板の上面に向けその板幅方向に設けられたスリット状ノズルによって行い、そして、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を変え、前記鋼板の核沸騰状態を維持した冷却面積を変化させることによって、前記鋼板に対する冷却能力を制御することに特徴を有するものである。
【0023】
請求項2に記載の発明は、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を、前記スリット状ノズルと前記鋼板との間の距離を変化させることによって制御し、また、請求項3に記載の発明は、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を、前記スリット状ノズルからの冷却水の噴射角度を変化させることによって制御することに特徴を有するものである。
【0024】
請求項4記載の発明は、鋼板の上面および下面に対する冷却を、前記鋼板の上面および下面の各々に向けその板幅方向に設けられたスリット状ノズルによって行い、そして、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水の、前記鋼板の上面および下面に対する前記衝突位置の制御を同期させて行うことに特徴を有するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
鋼板の板幅方向に設けられたスリット状ノズルから、冷却水を、鋼板の進行方向に一定流速および一定流量以上で流し、冷却すれば、冷却水が鋼板に接触している面を、常に核沸騰状態に維持することが可能になり、遷移沸騰領域で発生する冷却むらを抑制し、均一に冷却することができる。ただし、このときの冷却面での冷却能力は、鋼板の熱伝導律速になっているために、ほぼ一定であり、冷却能力を広範囲に制御することは困難である。
【0026】
しかるに、この発明によれば、スリット状ノズルから噴射された冷却水の、鋼板に対する衝突位置を変え、その冷却面積を変化させることによって、冷却ノズル単位で鋼板から奪う熱量即ち鋼板に対する冷却能力が制御され、核沸騰状態とすることができる。
【0027】
図1は、冷却水の鋼板に対する衝突位置を変化させ、その冷却面積を変えたときの、各冷却ブロック単位での全鋼板面積に対する冷却面積の比と冷却速度との関係を示すグラフである。図1から、冷却水の鋼板に対する衝突位置を変化させ、その冷却面積を変えることによって、各種板厚(t)の鋼板の冷却速度(1/2tにおける温度変化)を制御し得ることがわかる。
【0028】
冷却水の鋼板に対する衝突位置を変化させる手段については特に限定されるものではないが、スリット状ノズルと鋼板との間の距離を変えるか、または、スリット状ノズルの角度即ち鋼板に対するスリット状ノズルからの冷却水の噴射角度を変えることが好適である。
【0029】
冷却水は、鋼板の板幅方向に設けられたスリット状ノズルから鋼板の進行方向に吐出するので、ノズルと鋼板との間の距離を変えることにより、冷却水が鋼板に衝突する位置が変化し、冷却面積を制御することができる。即ち、ノズルと鋼板との間の距離が離れるに従って、スリット状ノズルから吐出した冷却水は、より遠くに到達する結果、鋼板の冷却面積は減少する。
【0030】
図2は、スリット状ノズルの傾斜角度15°、冷却水の吐出流速3m/sのときにおける、ノズルと鋼板との間の距離と、鋼板の冷却面積との関係を示すグラフである。図2から、ノズルと鋼板との間の距離が大になるに従って鋼板の冷却面積は減少し、ノズルと鋼板との間の距離によって冷却面積を制御し得ることがわかる。
【0031】
また、鋼板に対するスリット状ノズルの角度即ちノズルからの冷却水の噴射角度を変えることによっても、冷却水が鋼板に衝突する位置が変化し、冷却面積を制御することができる。即ち、スリット状ノズルと鋼板との角度を0°に近づけ、またはノズルを上向きにすると、ノズルから一定流速で吐出した冷却水は、より遠くに到達する結果、鋼板の冷却面積は減少する。
【0032】
ただし、鋼板に対するスリット状ノズルからの冷却水の衝突角度が大きくなり過ぎると、鋼板に衝突した後の冷却水の鋼板進行方向の流速が低下する。従って、ノズルと鋼板との間の距離およびノズルの傾斜角度は、冷却水の吐出流速に応じて適正な値に設定することが必要である。
【0033】
図3は、この発明の方法を実施するための装置の一例を示す概略側面図である。この例においては、複数個のテーブルロール2上を矢印X方向に連続的に移送される高温の鋼板1の上面および下面に向け板幅方向にスリット状ノズル4,4′が設けられており、これによって1つの冷却ブロックが形成されている。3はスリット状ノズル4に冷却水を供給するヘッダー管である。
【0034】
冷却ブロックは、例えば20ブロックからなり、各々の冷却ブロックは、隣接する冷却ブロックに冷却水が進入しないように、鋼板1を挟みその上部にテーブルロール2と対で水切りロール6が設けられ、このようなテーブルロール2と水切りロール6とからなる1対の拘束ロールによって区切られている。
【0035】
7は、スリット状ノズル4およびヘッダー管3を共に昇降させるために昇降機構であって、昇降機構7により、スリット状ノズル4から噴射された冷却水が鋼板1に衝突する位置を変化させることができる。
【0036】
上部スリットノズル4および下部スリットノズル4′から噴射される冷却水の鋼板上面および下面に対する衝突位置が共に同じになるように、上部スリットノズル4および下部スリットノズル4′の各々と鋼板1との間の距離を調整し設定する。これは、鋼板1の上下面の温度履歴を一致させ、冷却中の鋼板に生ずる変形を防止するためである。
【0037】
上部スリットノズル4および下部スリットノズル4′の傾斜角度は、例えば15°とし、ノズル4、4′の各々と鋼板1との間の距離は、10〜400mmの範囲で変化させることができるようになっている。
【0038】
熱間圧延機で圧延された高温の鋼板1は、テーブルロール2によって、上述した制御冷却装置に搬送される。なお、制御冷却装置に入る前に、予め、ホットレベラー等によって鋼板の圧延歪みを除去してもよい。制御冷却装置に運ばれた鋼板1は、冷却ゾーンを通過する間に、上部スリットノズル4および下部スリットノズル4′の各々から鋼板の上下面に向けて噴射された冷却水によって所定温度にまで冷却される。
【0039】
予め昇降機構7により、鋼板1とノズル4、4′の各々との間の距離を設定しておくことによって、鋼板1に対する冷却面積が決められ、これによって冷却速度(1/2tにおける温度変化)は所定値に制御される。このとき、冷却面内において、全面にわたり核沸騰状態が維持されるように、冷却水の流速、流量および水圧が設定され、均一な冷却が施される。冷却停止温度は、搬送速度によって制御される。
【0040】
図4は、この発明の方法を実施するための装置の他の例を示す概略側面図である。この例においては、複数個のテーブルロール2上を矢印X方向に連続的に移送される高温の鋼板1の上面に向け、板幅方向に設けられたスリットノズル4と、鋼板1の下面に向け設けられた複数個のスプレーノズル5とによって1つの冷却ブロックが構成されている。3はスリットノズル4に冷却水を供給するヘッダー管である。
【0041】
8は、スリットノズル4およびヘッダー管3を共に回動させるための回動機構である。回動機構8により、ヘッダー管3の中心部を回動軸9としてスリット状ノズル4を回動させ、その傾斜角度即ち鋼板に対するスリット状ノズルからの冷却水の噴射角度を例えば(−45°)〜(+45°)の範囲で変えることにより、スリット状ノズル4から噴射された冷却水が鋼板1に衝突する位置を変化させることができる。上記以外の機構は、前述の図3に示した装置と同じである。
【0042】
【実施例】
次に、この発明の方法を実施例によって説明する。
〔実施例1〕 図3に示した装置を使用し、板厚15mm、板幅3000mm、長さ10000mmの高温鋼板を、本発明方法により、スリット状ノズルと鋼板との間の距離を変えて冷却し、表1に示す本発明供試体No. 1〜6を調製した。なお、冷却水の流速は4.0m/s であった。比較のために、上記高温鋼板を、本発明の範囲外の方法により、冷却水の流速を1.0〜4.0m/s の範囲内で変化させて冷却し、表1に併せて示す比較用供試体No. 7〜8を調製した。
【0043】
このようにして得た本発明供試体および比較用供試体の各々の冷却後の温度むらを走査型放射温度計で計測し、またその歪み量を調べ、表1に併せて示した。なお、歪み量は、鋼板の板厚方向の変形量の、板長さに対する割合で示した。この値が低いほど歪み量は小さく、平坦度が良好であることを意味する。
【0044】
【表1】
Figure 0003800722
【0045】
表1から明らかなように、本発明方法によりスリット状ノズルと鋼板との間の距離を変えて冷却した本発明供試体においては、比較用供試体に比べて、冷却後の鋼板の温度むらおよび歪み量が小さく、冷却均一性が優れており、また、直接焼入れ処理および制御冷却処理の両処理を施すことができた。これに対し、スリット状ノズルと鋼板との間の距離は一定とし、冷却水の流速および流量を変化させて冷却速度を制御した比較用供試体においては、温度むらが大きく発生し、冷却後の歪み量も大きかった。
【0046】
なお、本実施例においては、全冷却ブロックが、板幅方向に設けたスリット状ノズルによる本発明冷却方式によって鋼板を冷却したが、所望の効果が得られれば、本発明の冷却方式の適用を、特定の冷却ブロックのみに限定することもできる。
〔実施例2〕 図4に示した装置を使用し、板厚40mm、板幅2000mm、長さ4000mmの高温鋼板を、本発明方法により、その上面はスリット状ノズルによりその角度を変えて冷却し、下面はスプレーノズルによりその噴射するノズルを選択して冷却し、表2に示す本発明供試体No. 9〜14を調製した。比較のために、上記高温鋼板を、その上面はスリット状ノズルにより、下面はスプレーノズルにより、何れも冷却水の流量により冷却速度を制御して冷却し、比較用供試体No. 15、16を調製した。
【0047】
このようにして得た本発明供試体および比較用供試体の各々について、実施例1と同様に、冷却後の温度むらを走査型放射温度計で計測し、またその歪み量を調べ、表2に併せて示した。
【0048】
【表2】
Figure 0003800722
【0049】
表2から明らかなように、本発明方法によりスリット状ノズルの角度を変えて冷却した本発明供試体においては、比較用供試体に比べて、冷却後の鋼板の温度むらおよび歪み量が小さく、冷却均一性が優れており、また、直接焼入れ処理および制御冷却処理の両処理を施すことができた。これに対し、スリット状ノズルの角度を一定とし、冷却水の流量を変化させて冷却速度を制御した比較用供試体においては、温度むらが大きく発生し、冷却後の歪み量も大きかった。
【0050】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明の方法によれば、板幅方向に設けられたスリット状ノズルから鋼板の進行方向に向けて冷却水を流し鋼板を冷却する方式において、この方式が有する、鋼板の板幅方向に均一な冷却能力を維持しつつ、同時に冷却能力を広範囲にわって制御することができ、これによって、従来は高冷却速度、低停止温度のみが要求されるローラクエンチ設備などの焼入れ設備にしか適用し得なかった上記冷却方式を、冷却速度可変、高停止温度の制御冷却設備にも適用することが可能になり、制御冷却後の鋼板の歪みを低減し得る等、多くの工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】鋼板の冷却面積と冷却速度との関係を示す図である。
【図2】冷却用ノズルと鋼板との間の距離と鋼板の冷却面積との関係を示す図である。
【図3】この発明の方法を実施するための装置の一例を示す概略側面図である。
【図4】この発明の方法を実施するための装置の他の例を示す概略側面図である。
【図5】鋼板を冷却水で冷却する際の鋼板表面温度と熱流束との関係を示した沸騰曲線図である。
【図6】冷却水の吐出流速と鋼板の冷却能および冷却後の鋼板の温度むらとの関係を示した図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 テーブルロール
3 冷却水ヘッダー
4 スリット状ノズル
5 スプレーノズル
6 水切りロール
7 昇降機構
8 回転機構
9 回転軸
X 鋼板進行方向

Claims (4)

  1. 上下に1対の拘束ロールが一定ピッチで複数組設けられているテーブルロール上を移送される高温の鋼板を、前記複数組の拘束ロール間に、前記鋼板の上下面に向けて設けられたノズルから噴射される冷却水によって冷却する、高温鋼板の冷却方法において、
    少なくとも前記鋼板の上面に対する冷却を、前記鋼板の上面に向けその板幅方向に設けられたスリット状ノズルによって行い、そして、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を変え、前記鋼板の核沸騰状態を維持した冷却面積を変化させることによって、前記鋼板に対する冷却能力を制御することを特徴とする、高温鋼板の冷却方法。
  2. 前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を、前記スリット状ノズルと前記鋼板との間の距離を変化させることによって制御する、請求項1記載の方法。
  3. 前記スリット状ノズルから噴射された冷却水が前記鋼板に衝突する位置を、前記スリット状ノズルからの冷却水の噴射角度を変化させることによって制御する、請求項1記載の方法。
  4. 前記鋼板の上面および下面に対する冷却を、前記鋼板の上面および下面の各々に向けその板幅方向に設けられたスリット状ノズルによって行い、そして、前記スリット状ノズルから噴射された冷却水の、前記鋼板の上面および下面に対する前記衝突位置の制御を同期させて行う、請求項1から3の何れか1つに記載の方法。
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