JP3646622B2 - 板幅制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて昇温し、さらに仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機における板幅制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の熱間圧延機の板幅制御方法としては、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を制御する方法、仕上圧延機入口に設置された竪型圧延機の開度を制御する方法、および仕上圧延機の各スタンド間張力を制御する方法が知られている。
【0003】
しかし、仕上圧延機での板幅調整能力は粗圧延機での板幅調整能力より低いため、仕上圧延機入側での圧延材の幅変動値が仕上圧延機での調整能力範囲内になるように、予め粗圧延機出側の板幅を適正に設定しておく必要がある。
【0004】
特開平9−122722号公報に開示されているように、粗圧延機出側の板幅の目標値の決定方法は、仕上圧延機で生じる板幅変化量を予め算出し、仕上圧延機出側の目標板幅に板幅減少量の計算値を加えたものを粗圧延機出側の目標値とすることが一般的に行われている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、仕上圧延機出側での温度品質向上のため、粗圧延機と仕上圧延機の間に、圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置を有する設備構成が必要となっている。ところが、加熱装置にて圧延材を加熱すると、圧延材の変形抵抗が小さくなるため、仕上圧延機内での板幅変化が生じやすくなり、仕上圧延機内での板幅減少量が大きくなる。
【0006】
図5は、圧延材の温度と仕上圧延機で生じる板幅減少量の関係を示すグラフである。同図に示すように、圧延材の温度が高いほど、板幅減少量がほぼ直線的に増加する。
【0007】
したがって、従来の加熱装置のない設備構成を前提とした板幅制御技術を用いた場合、加熱装置での昇温を想定していないため、仕上圧延機内の材料温度を加熱装置のある場合よりも低く想定し、仕上圧延機内の板幅減少量を小さく見積もる。その結果、粗圧延機出側の目標板幅が狭くなるように制御する。
【0008】
その場合、仮に粗圧延機出側の板幅が上記で設定された目標板幅どおりに圧延されたとしても、粗圧延機出側の目標板幅が狭いため、仕上圧延機出側の板幅が目標板幅よりも全長にわたって狭くなり、板幅不良が発生するという問題がある。
【0009】
本発明の課題は、加熱装置を有する熱間圧延設備の板幅制御方法において、仕上圧延機出側の板幅が目標板幅よりも狭くならないよう、粗圧延機出側の目標板幅を加熱装置のない場合より広い目に設定し、その目標板幅に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定する板幅制御方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明者らは下記の知見を得た。
【0011】
(a) 圧延材が粗圧延機出側の板幅から仕上圧延機出側の板幅に変化するときの影響要因は仕上圧延機各スタンド間の材料温度、各スタンド間の張力、および仕上圧延機入口に竪型圧延機がある場合はその開度である。粗圧延機出側の目標板幅を設定するには、仕上圧延機で生じる板幅変化量を精度よく見積もる必要がある。また、仕上圧延機入口に竪型圧延機がある場合と仕上圧延機入口に竪型圧延機がない場合とで、仕上圧延機で生じる板幅変化量の算出方法を分ける必要がある。
【0012】
(b) 粗圧延機出側の板幅を制御するには目標板幅を設定する必要がある。この目標板幅は加熱装置出側の温度を想定して決定しなければならない。加熱装置出側の温度の想定値(目標値)の精度が悪いと板幅制御精度が低下する。このときの誤差は、温度予測モデルの構成が正しければ、各種パラメータの設定誤差に基くと考えられる。この対策として、粗圧延機出側の板幅の制御に用いた加熱装置出側の温度目標値と、実際の温度を比較して学習制御を行えば、前記の誤差を逐次小さくすることができる。
【0013】
上記の知見に基いて完成した本発明の要旨は以下のとおりである。
【0014】
(1) 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機入口に設置された仕上竪型圧延機の初期開度設定値および仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、加熱装置出側の目標板幅を設定するとともに、設定した加熱装置出側の目標板幅と、加熱装置での昇温量に基づき粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
【0015】
(2) 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、加熱装置出側の目標板幅を設定するとともに、設定した加熱装置出側の目標板幅と、加熱装置での昇温量に基づき粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
【0016】
(3) 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機入口に設置された仕上竪型圧延機の初期開度設定値および仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
【0017】
(4) 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
【0018】
(5) 加熱装置出側の目標温度を実績温度に基いて学習制御することを特徴とする前記(1) 〜(4) 項のいずれかに記載の板幅制御方法。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、仕上圧延機入口に竪型圧延機を有する熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。
【0020】
加熱炉2から送り出された圧延材1は、プレス6、粗圧延機3に設置されている粗竪型圧延機7により粗圧延される。その後、粗圧延機3と仕上圧延機5の間に設置されている圧延材幅方向全幅を加熱する加熱装置4にて昇温され、さらに、仕上圧延機入口に設置されている仕上竪型圧延機8にて幅を微調整され、仕上圧延機5にて仕上圧延される。
【0021】
板幅制御に関する設定方法は以下のとおりである。まず、加熱炉2から送り出された圧延材1がプレス6に到達するまでに、予め設定されている圧延スケジュールに基づき、加熱装置での加熱量ΔTBH、加熱装置出側の目標温度TBHが設定される。前記ΔTBHおよびTBHに基づき第1板幅変化量演算装置11によって、加熱装置4の出側の目標板幅が設定される。
【0022】
第1板幅変化量演算装置11の設定計算方法は以下のとおりである。設定されたTBHと仕上圧延機での圧延スケジュールに基づいて、仕上圧延機での第jスタンド入側の板厚Hj 、第jスタンド出側の板厚hj 、第jスタンドから第(j+1)スタンド通過までの時間tj 、第jスタンドの圧延材温度Tj 、第jスタンドから第(j+1)スタンド間のスタンド間張力の初期設定値σj が設定され、それらの情報と仕上圧延機出側の目標板幅Waim を用い、(1) 式にて板幅変化量ΔWσが算出される。このΔWσは仕上圧延機スタンド間の張力に起因する板幅変化量である。なお、Rj は第jスタンドのワークロール半径である。
【0023】
【数1】
Figure 0003646622
粗竪型圧延機で幅圧下を行うと、板幅端部での盛り上がりが生じ、その後の水平圧延によって盛り上がりがならされ、再び板幅が増加するという現象がある。つまり、粗竪型圧延機での幅圧下量は、そのまますべて圧延材の幅圧下量にはならない。この板幅変化挙動を特徴づける粗竪型圧延機の幅調整効率ηを(2) 式から算出する。なお、Hara は粗圧延機出側の板厚、hara は仕上圧延機第1スタンド出側の板厚、Rは仕上圧延機第1スタンドのワークロール半径、Rc は仕上竪型圧延機のロール半径である。
【0024】
【数2】
Figure 0003646622
次に、加熱装置4出側の目標板幅WBHが(3) 式により設定される。なお、ΔWは、仕上竪型圧延機の幅圧下量であり、圧延負荷などに応じて設定されるものである。
【0025】
【数3】
Figure 0003646622
上記計算方法により設定された加熱装置出側の目標板幅は、第2板幅変化量演算装置12で用いられ、粗圧延機出側の目標板幅Wara が設定される。その計算方法は(4) 式に従い、加熱装置での昇温ΔTBHと熱線膨張係数αから求められる。
【0026】
【数4】
Figure 0003646622
次いで、第3板幅変化量演算装置13により、加熱炉出側の板幅実測値または計算値に応じて粗圧延後の板幅が粗圧延機出側の目標板幅Wara となるように開度設定値が計算され、開度設定装置14によりプレス6または/および粗竪型圧延機7が設定される。開度設定値の計算方法は粗圧延後の板幅が粗圧延機出側の目標板幅Wara となればよく、一般的に実施されているもので良い。以下にその計算方法の一例を示す。
【0027】
まず、第3板幅変化量演算装置13では、加熱炉出側の温度の実測値または計算値から、各粗圧延機での圧延材の材料温度を求め、(5) 、(6) 式からプレス、粗竪型圧延機の幅調整効率ηp 、ηara,i をそれぞれ求める。なお、WK は加熱炉出側の板幅、TK は加熱炉出側の圧延材温度、HK はプレス入側の板厚、Hara,i は粗圧延機第iスタンド入側の板厚、hara,i は粗圧延機第iスタンド出側の板厚、Rara,i は粗圧延機第iスタンドのワークロール半径、REara,iは第i番目の粗竪型圧延機のロール半径、Tara,i は粗圧延機第iスタンドの圧延材温度である。
【0028】
【数5】
Figure 0003646622
【数6】
Figure 0003646622
予め設定されている圧延スケジュールに基づき、プレス、粗竪型圧延機の初期幅圧下量ΔWp 、ΔWara,i がそれぞれ決定され、前記ηp 、ηara,i を用いて粗圧延機出側の板幅Wcal が(7) 式にて算出される。なお、nara は粗圧延機の竪型圧延機・水平圧延機の組数を意味する。
【0029】
【数7】
Figure 0003646622
次に、開度設定装置14では、Wcal がWaim になるように、ΔWara,i を固定したままで、ΔWp を逐次修正するという方法で設定する。
【0030】
なお、加熱装置出側の目標温度TBHは、加熱装置での加熱制御の誤差のため、目標温度どおりの温度とならない場合がある。これには、加熱制御での誤差を学習機能で吸収する学習項ΔTadp をTBHに加えるのが望ましい。この学習項ΔTadp の修正には公知の指数平滑法、移動平均法などを用いることができる。
【0031】
また、仕上圧延機出側の目標板幅、ならびに粗圧延機出側の目標板幅に、板幅変化量を予測する板幅変化予測モデル(1) 〜(7) 式の予測誤差を修正する学習項ΔWaim,adp 、ΔWara,adp を含めれば更に板幅変化量の予測精度が向上する。さらに、それぞれの目標板幅に補正値を加えることで、目標板幅を微調整することも実操業上有効である。
【0032】
本発明は粗圧延機と仕上圧延機の間に加熱装置を有する熱間圧延設備を前提としているが、加熱装置で昇温しない場合でも適用可能で、そのときの粗圧延機出側の目標値は、加熱装置での昇温ΔTBHをゼロとし、粗圧延機出側の目標温度に基づいて仕上圧延機内の各スタンド温度Tj と変更するのみでよい。
【0033】
図2は、仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されていない熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。同図において、図1と同一要素は同一符号で示す。
【0034】
同図の構成においても、板幅制御の基本的な計算方法は、図1に示すシステム構成図の場合とほぼ同様であるが、異なるところは、仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されていないため、加熱装置出側の目標板幅が(3) 式ではなく、(8) 式で算出されることである。
【0035】
【数8】
Figure 0003646622
図3は、仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されている熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。同図において、図1と同一要素は同一符号で示す。
【0036】
同図における板幅制御の基本的な計算方法は、図1に示すシステム構成図の場合とほぼ同様である。異なるところは、加熱装置での昇温量の設定計算や昇温による板幅変化量演算を行わないで、加熱装置出側の目標板幅WBHをそのまま粗圧延機出側の目標板幅Wara として用いる点である。
【0037】
図4は、仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されていない熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。同図において、図1と同一要素は同一符号で示す。
【0038】
同図における板幅制御の基本的な計算方法は、図3に示すシステム構成図の場合とほぼ同様で、昇温による板幅変化量演算を行わなわずに、(8) 式を用いて加熱装置出側の目標板幅、すなわち、粗圧延機出側の目標板幅を設定する。
【0039】
【実施例】
本発明の効果をシミュレーション実験により確認した。本発明を適用する熱間圧延設備は、図1に示す設備構成と同様、粗圧延機3、7スタンドの水平圧延機からなる仕上圧延機5、仕上竪型圧延機8、および粗圧延機と竪型圧延機との間に設置された加熱装置4で構成されている。
【0040】
本発明例ならびに従来例とも、仕上圧延機入側での実績板幅・温度を測定することで、仕上竪型圧延機の幅圧下量を再設定する機能が備えられている。
【0041】
実験に用いた圧延材は、低炭素鋼材料であり、圧延仕様は、仕上圧延機出側の目標板幅:1000mm、目標板厚:3mm、竪型圧延機の設定幅圧下量:15mm、加熱装置での昇温量:50度、加熱装置出側の目標温度:1050度である。
【0042】
図6は、本発明例および加熱装置を考慮しない従来例による制御方法による板幅変化の設定計算結果を示すグラフである。同図において、細点線が従来例の結果、太線が本発明例の設定計算結果である。
【0043】
本発明例(太線)では、仕上圧延機での幅減少量は14.1mm、幅調整効率ηは0.21と算出されたため、加熱装置出側での目標板幅は1017.3mmと設定され、加熱装置での熱膨張を考慮して、粗圧延機出側の目標板幅は1016.9mmと算出された。
【0044】
一方、従来例(細点線)では、加熱装置での昇温が考慮されていないため、幅減少量が8.8mmと小さく算出され、かつ、幅調整効率も0.2と若干小さく算出された結果、粗圧延機出側の目標板幅は1011.8mmと算出された。
【0045】
本発明例、従来例の板幅制御とも、実測された仕上圧延機入側の温度、板幅の実測値を測定し、仕上圧延機での幅減少量を再修正され、F1スタンド出側の板幅が1014.1mmになるように、仕上竪型圧延機の幅圧下量が修正され、仕上圧延される。
【0046】
図7は、本発明例に係る板幅偏差を示すグラフで、同図(a) は粗圧延後の板幅偏差、同図(b) は仕上げ圧延後の板幅偏差である。
【0047】
図8は、従来例に係る板幅偏差を示すグラフで、同図(a) は粗圧延後の板幅偏差、同図(b) は仕上げ圧延後の板幅偏差である。
【0048】
図7(a) と図8(a) とを比較すると、粗圧延機出側で発生した板幅偏差(粗幅偏差)はいずれも−1.2mmと同等である。
【0049】
本発明例の板幅制御においては、仕上圧延機入側の板幅実測値が図6の太線に示す目標値:1016.9mmに対して1.2mmの幅小(すなわち1015.7mm)であり、F1スタンド出側での目標板幅が1014.1mmであるため、仕上竪型圧延機の幅圧下量を(1015.7−1014.1)/0.21=7.6mmと修正した。その結果、仕上幅偏差がほぼゼロ狙いに修正できており、良好な結果が得られた。
【0050】
一方、従来例の板幅制御においては、仕上圧延機入側の板幅実測値が図6の点線に示す目標値:1011.8mmに対して1.2mmの幅小(すなわち1010.6mm)であり、F1スタンド出側での目標板幅が1014.1mmであるため、仕上竪型圧延機の幅圧下量を0すなわち、ダミー状態に修正した。しかし、仕上圧延機内で14.1mmの板幅減少が生じ、仕上圧延機出側の板幅が996.5mm(=1010.6−14.1mm)となり、仕上幅偏差が3.5mmの幅小となった。
【0051】
【発明の効果】
本発明により、粗圧延機と仕上圧延機の間に加熱装置を有する熱間圧延設備の板幅制御精度が向上し、品質および歩留が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】仕上圧延機入口に竪型圧延機を有する熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。
【図2】仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されていない熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。
【図3】仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されている熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。
【図4】仕上圧延機入口に竪型圧延機が設置されていない熱間圧延設備に本発明を適用した場合のシステム構成図である。
【図5】圧延材の温度と仕上圧延機で生じる板幅減少量の関係を示すグラフである。
【図6】本発明例および加熱装置を考慮しない従来例による制御方法による板幅変化の設定計算結果を示すグラフである。
【図7】本発明例に係る板幅偏差を示すグラフで、同図(a) は粗圧延後の板幅偏差、同図(b) は仕上げ圧延後の板幅偏差である。
【図8】従来例に係る板幅偏差を示すグラフで、同図(a) は粗圧延後の板幅偏差、同図(b) は仕上げ圧延後の板幅偏差である。
【符号の説明】
1:圧延材 2:加熱炉
3:粗圧延機 4:加熱装置
5:仕上圧延機 6:プレス
7:粗竪型圧延機 8:仕上竪型圧延機
9:板幅計測器 10:板幅計測器
11:第1板幅変化量演算装置
12:第2板幅変化量演算装置
13:第3板幅変化量演算装置
14:開度設定装置

Claims (5)

  1. 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機入口に設置された仕上竪型圧延機の初期開度設定値および仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、加熱装置出側の目標板幅を設定するとともに、設定した加熱装置出側の目標板幅と、加熱装置での昇温量に基づき粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
  2. 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、加熱装置出側の目標板幅を設定するとともに、設定した加熱装置出側の目標板幅と、加熱装置での昇温量に基づき粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
  3. 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機入口に設置された仕上竪型圧延機の初期開度設定値および仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
  4. 加熱炉にて加熱された被圧延材を粗圧延機にて圧延し、その後圧延材の幅方向全体を加熱する加熱装置にて圧延材を昇温し、仕上圧延機にて圧延する熱間圧延機において、加熱装置出側の目標温度から仕上圧延機での各スタンド間の圧延材の温度を計算し、該温度計算値と、仕上圧延機の各スタンド間張力の初期設定値に基づき仕上圧延機で生じる板幅変化量を算出し、その板幅変化量と仕上圧延機出側の目標板幅に応じて、粗圧延機出側の目標板幅を設定し、設定した粗圧延機出側の目標板幅となるように、加熱炉出側の板幅および温度の実測値または計算値に基づき、粗圧延機入口に設置されたプレスまたは/および粗竪型圧延機の開度を設定することを特徴とする板幅制御方法。
  5. 加熱装置出側の目標温度を実績温度に基いて学習制御することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の板幅制御方法。
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