JPH10137911A - 鋼の連続鋳造法 - Google Patents

鋼の連続鋳造法

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JPH10137911A
JPH10137911A JP29192396A JP29192396A JPH10137911A JP H10137911 A JPH10137911 A JP H10137911A JP 29192396 A JP29192396 A JP 29192396A JP 29192396 A JP29192396 A JP 29192396A JP H10137911 A JPH10137911 A JP H10137911A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鋼の連続鋳造法において最終凝固位置が鋳片
幅方向で不揃いのため、中心偏析、特に鋳片短辺側の中
心偏析が悪化する。 【解決手段】 鋳片幅方向中央部におけるメニスカス5
から最終凝固位置8までの距離と、鋳片短辺から鋳片幅
の1/12隔てた位置から1/6隔てた位置までの任意
の位置におけるメニスカスから最終凝固位置までの距離
との関係が(1)式を満足するように、鋳型幅方向の冷
却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強度、及び鋳片幅方向の二次
冷却強度のうちの1以上を制御する。但し(1)式にお
いてLc;鋳片幅方向中央部におけるメニスカスから最
終凝固位置までの距離、Le;鋳片短辺から鋳片幅の1
/12隔てた位置から1/6隔てた位置までの任意の位
置におけるメニスカスから最終凝固位置までの距離であ
る。 −2.0≦(Le −Lc )×100/Lc ≦2.0
……(1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳片の中心偏析、
特に鋳片短辺側の中心偏析を低減する鋼の連続鋳造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造法において鋳片は、内部に鋳造
方向に伸長した未凝固相を有して多数のロール間を引き
抜かれるので、ロール間における鋳片バルジングや凝固
収縮のために溶鋼体積の変化が生じ、この溶鋼体積の変
化分を補うために溶質元素の濃化した濃化溶鋼が鋳片中
心部に集積し、中心偏析が生成する。
【0003】そして特に幅の広い鋳片では、図8に示す
ように鋳片短辺から100mmの位置から鋳片幅の1/
4に相当する位置の範囲の鋳片短辺側の中心偏析が悪化
する傾向がある。これは、鋳片幅方向で最終凝固位置が
不均一となり、未凝固相が長く伸びた鋳片短辺側に濃化
溶鋼が集積し易いためである。
【0004】鋳片短辺側の未凝固相が伸長する理由は以
下の2つの要因がある。 鋳型内における凝固速度の不均一;鋳型内において浸
漬ノズルからの吐出流が鋳片短辺の凝固シェルに向かっ
て吐出されるため、相対的に温度の高い溶鋼が短辺近傍
に集中して当該部における鋳型内凝固速度が遅延し、こ
の影響を引継ぎ、最終凝固位置が延長する。但し、二次
冷却帯において鋳片短辺面からも凝固が進行するため、
短辺から100mmの範囲は凝固遅れが解消する。
【0005】二次冷却帯における凝固速度の不均一;
矯正応力による鋳片表面のコーナー割れ及び横割れを防
止するために、鋳片長辺面のコーナー近傍の冷却を弱
め、鋼の脆性温度域を高温度側に回避することが一般的
に行われる。そのため鋳片短辺側の凝固速度が遅くな
る。
【0006】この中心偏析を防止するために幾つかの提
案が開示されている。特公昭62−34461号(以
下、「先行技術1」と記す)には、連続鋳造の際に、鋳
片中心部が液相線温度となるまでの期間は積極的に凝固
シェルをバルジングさせて鋳片の未凝固相厚みを増大さ
せ、逆に鋳片中心部が液相線温度到達後から凝固完了ま
での期間は鋳片に圧下力を加えて鋳片断面積を減少さ
せ、中心偏析を防止する方法が開示されている。この方
法によれば、凝固シェルを積極的にバルジングさせるこ
とで未凝固相厚みを鋳片幅方向で均一化することがで
き、鋳片短辺側を含めた中心偏析が低減できるとしてい
る。
【0007】特公昭59−41829号公報(以下、
「先行技術2」と記す)には、連続鋳造の際、未凝固相
を有する鋳片を電磁超音波厚み計を用いて幅方向に走査
して未凝固相の鋳片断面でのプロフィールを求め、予め
設定した基準プロフィールとの差に応じて、鋳造速度又
は幅方向二次冷却パターンを制御する方法が開示されて
いる。この方法によれば鋳片短辺側の凝固遅れを制御で
き、中心偏析を抑制することができるとしている。
【0008】特開昭63−273557号公報(以下、
「先行技術3」と記す)には、加速凝固現象が起こる凝
固末期に未凝固相を電磁攪拌して中心偏析を防止する方
法が開示されている。この方法によれば電磁攪拌にて生
成した等軸晶が鋳片中心部に集積するので中心偏析が低
減できるとしている。しかし、電磁攪拌を施しても未凝
固相厚みは変化せず、又、等軸晶間には粒状の偏析が数
多く発生し、そして場合によっては粒状の偏析同士が繋
がった新たなV状偏析が形成されるので、先行技術3は
中心偏析対策として好ましくない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1及び先行技
術2に記載されているように鋳片幅方向で未凝固相厚み
を均一にし、最終凝固位置を幅方向で平坦とすれば鋳片
短辺側の中心偏析は防止できる。
【0010】しかし、先行技術1では、局所的な凝固厚
みの差を解消しないままバルジングさせるので、局所的
な未凝固相の厚み差は依然として残存し、従って、最終
凝固位置の不均一が解消できない場合が多い。
【0011】又、先行技術2では、鋳片中央部の凝固完
了以前0.5〜5分の測定時期に、鋳片中央部の未凝固
相厚みaと鋳片短辺側の未凝固相厚みbとの比b/aは
2.0以下であれば良いとしている。しかし未凝固相厚
みにこのような差がある場合には、最終凝固位置は平坦
とならず、鋳片短辺側の偏析は防止できない。
【0012】実機試験結果により発明者等は、最終凝固
位置を鋳片幅方向で常に平坦にすることは非常に難しい
が、平坦でない場合も鋳片中央部と鋳片短辺側との最終
凝固位置の差が所定の範囲内の場合には、中心偏析が低
減することを見出した。
【0013】本願発明は上記知見に基づきなされたもの
で、その目的とするところは鋳片中央部と鋳片短辺側の
最終凝固位置との差を所定値以下に制御することで、鋳
片の中心偏析を防止した連続鋳造法を提案するものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明による鋼の連続鋳
造法は、鋳型内に溶鋼を注入し、溶鋼を冷却して形成し
た凝固シェルを鋳型下方に連続的に引抜き、更に鋳型下
方の二次冷却帯で凝固シェル表面を冷却して鋳片の凝固
を完了させる際に、鋳片幅方向中央部におけるメニスカ
スから最終凝固位置までの距離と、鋳片短辺から鋳片幅
の1/12隔てた位置から1/6隔てた位置までの任意
の位置におけるメニスカスから最終凝固位置までの距離
との関係が(1)式を満足するように、鋳型幅方向の冷
却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強度、及び鋳片幅方向の二次
冷却強度のうちの1以上を制御するものである。
【0015】但し(1)式において、Lc;鋳片幅方向
中央部におけるメニスカスから最終凝固位置までの距
離、Le;鋳片短辺から鋳片幅の1/12隔てた位置か
ら1/6隔てた位置までの任意の位置におけるメニスカ
スから最終凝固位置までの距離を表すものとする。
【0016】 −2.0≦(Le −Lc )×100/Lc ≦2.0 ……(1) 鋳片幅方向の最終凝固位置の形状を大別すると図2に示
すパターンA、B、Cの3つのパターンに分類できる。
パターンAは鋳片短辺側の最終凝固位置が鋳片中央部に
比較して伸びた形状、パターンBは最終凝固位置が鋳片
幅方向でほぼ同一位置で平坦な形状、パターンCは鋳片
中央部の最終凝固位置が鋳片短辺側に比較して伸びた形
状である。
【0017】発明者等は後述するように、メニスカスか
ら最終凝固位置までの距離(以下、「クレータ長」と記
す)を鋳片幅方向で測定し、鋳造後鋳片の中心偏析を調
査して、鋳片幅方向のクレータ長の差と中心偏析との関
係を求めた。その際に、鋳片中央部は鋳片幅の1/2
(以下、「W/2」と記す。同様に、以下「W/n」は
鋳片幅のn等分を示す)の位置を、又、鋳片短辺側は鋳
片短辺からW/7隔てた位置(以下、「W/7位置」と
記す)を代表として測定した。そして図2に示すように
W/2位置のクレータ長をLc、W/7位置のクレータ
長をLe として、下記の(2)式に示す指数Inを横軸
に、縦軸に中心偏析度をとり、まとめた結果が図7であ
る。図7において、指数Inが零近傍は最終凝固位置の
形状はパターンB、指数Inが正の範囲はパターンA、
負の範囲はパターンCとなる。
【0018】 In=(Le −Lc )×100/Lc ……(2) 図7に示すように、中心偏析度が製品で実害の発生しな
い1.08以下を合格水準とすると、適正な指数Inの
範囲は−2.0〜2.0の範囲に定まり、(1)式の範
囲が定められる。即ち、鋳片の中央部と短辺側とのクレ
ータ長の差を中央部のクレータ長の2%以下に制御する
ことで、鋳片短辺側の中心偏析を低減することができ
る。
【0019】鋳片幅方向中央部のクレータ長の測定位置
はW/2位置近傍とし、鋳片短辺側のクレータ長の測定
位置は鋳片短辺から鋳片幅の1/12隔てた位置(W/
12位置)から1/6隔てた位置(W/6位置)までの
鋳片短辺側の任意の位置とする。W/12位置からW/
6位置までの範囲であれば鋳片短辺側のクレータ長を代
表するためである。
【0020】本発明では最終凝固位置の制御のために、
鋳型幅方向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強度、及び鋳
片幅方向の二次冷却強度のうちの1以上を制御する。
【0021】鋳型幅方向の冷却強度を変更すると、鋳型
内での鋳片幅方向の凝固速度を変えることができるの
で、鋳片短辺側の凝固遅れを改善することができる。
【0022】鋳型内溶鋼の攪拌強度を高め鋳型内溶鋼を
攪拌すると、相対的に温度の高い溶鋼が鋳片短辺近傍に
集中することが防止され、鋳片幅方向で均一な温度分布
となり、鋳片短辺側の凝固遅れが防止できる。
【0023】鋳片幅方向の二次冷却強度を、鋳片中央部
に比較して短辺側の冷却強度を高めれば、鋳片短辺側の
凝固速度が速くなり、鋳片短辺側の凝固遅れを改善する
ことができる。
【0024】又、これらの2以上を同時に実施すれば、
それぞれの効果が加算され凝固遅れの改善はより効果的
となる。
【0025】更に、鋳片厚み方向に圧下力を付与して鋳
片断面積を減少させながら凝固を完了させると、より一
層中心偏析の低減に効果があるので望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】図1は本発明を実施した鋳片断面
が矩形型の連続鋳造機側断面を模式的に示した図であ
る。
【0027】タンディッシュ2内の溶鋼3は、タンディ
ッシュ2の底部に設けた浸漬ノズル4を介して連続的に
鋳型1内に注入される。鋳型1内に注入された溶鋼3は
冷却され凝固シェル6を形成し、凝固シェル6は鋳型1
の下方に設けたサポートロール10及びガイドロール1
1を通り、駆動ロール12にて下方に連続的に引き抜か
れる。鋳型1直下以降は水スプレー乃至エアーミストス
プレーによる二次冷却帯となっており、鋳型1より引き
抜かれた凝固シェル6の表面は二次冷却帯にて冷却され
て未凝固相7の厚みを減少させ、最終凝固位置8にて凝
固を完了して、鋳片9となる。
【0028】本発明では、鋳片中央部とW/12位置か
らW/6位置までの範囲の任意の位置との鋳片幅方向2
か所で、メニスカス5から最終凝固位置8までのクレー
タ長を測定する必要がある。この測定方法は、鋳造中
オンラインで測定する方法と、鋳造前に予め測定する
方法とがある。
【0029】鋳造中オンラインで測定する方法は、最終
凝固位置8の0.5m〜5m上流側に例えば電磁超音波
厚み計13を、上記の鋳片幅方向2か所に設置し、凝固
シェル6厚みを測定して求める方法がある。測定した凝
固シェル6厚みから鋳片幅方向2か所のクレータ長を推
定することができ、又、測定した幅方向での凝固シェル
6厚みの差からクレータ長の差を推定することができ
る。
【0030】又、最終凝固位置8の上流側及び下流側に
電磁超音波厚み計13を鋳造方向及び上記鋳片幅方向2
か所の位置に複数個配列し、これらの電磁超音波厚み計
13による鋳造方向の凝固シェル6厚みの測定結果か
ら、直接最終凝固位置8を定め、鋳片幅方向2か所のク
レータ長を求める方法もある。
【0031】オンラインで測定する場合には、その測定
結果から、鋳型幅方向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強
度、及び鋳片幅方向の二次冷却強度のうちの1以上を制
御して、鋳片中央部のクレータ長とW/12位置からW
/6位置の任意の位置のクレータ長とが(1)式を満足
するように制御して、本発明を適用する。
【0032】予め測定する方法は、最終凝固位置8の
0.5m〜5m上流側に例えばFe−S合金を封入した
鋲を凝固シェル6中に打ち込み、凝固シェル6厚みを測
定して求める方法がある。打ち込まれた鋲は未凝固相7
が存在する範囲では溶融してFe−S合金が溶けだすの
で、鋳造後鋳片断面をサファプリント試験にて調査する
と、〔S〕濃度の差から凝固シェル6厚みが測定でき
る。上記鋳片幅方向2か所で鋲打ち法にて凝固シェル6
厚みを測定すれば、凝固シェル6厚みから鋳片幅方向2
か所のクレータ長を推定する又は幅方向での凝固シェル
6厚みの差からクレータ長の差を推定することができ
る。
【0033】鋳造前に予め測定する場合には、鋳型幅方
向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強度、及び鋳片幅方向
の二次冷却強度のうちの1以上を変更した種々の鋳造条
件にて上記鋳片幅方向2か所のクレータ長を測定し、鋳
片幅方向2か所のクレータ長が(1)式を満足する鋳造
条件を選択し、その鋳造条件にて鋳造することで、本発
明を適用する。
【0034】鋳型幅方向の冷却強度の変更は、鋳型長辺
銅板の冷却水溝のスリット密度を鋳型幅方向で変更する
ことで行う。鋳型銅板はスリット内を通過する冷却水に
て冷却され、凝固シェル6を間接的に冷却する。鋳型幅
方向単位長さ当たりのスリット密度を多くした範囲の鋳
型銅板は冷却水による冷却効果が向上し、凝固シェル6
と接触する鋳型銅板表面温度が低下して抜熱量が増大す
るので、凝固シェル6の凝固速度が速くなる。スリット
密度の変更は、例えば鋳片短辺側のスリット密度を中央
部の2倍とし、スリット密度の変更範囲はW/4位置か
ら鋳片短辺までの範囲で十分である。図3は鋳型長辺銅
板の断面のスリットを模式的に示した図で、(a)を中
央部の基準のスリット密度とした場合に、(b)は中央
部の2倍の密度でスリットを設置した例を示している。
【0035】鋳型内溶鋼の攪拌強度の変更は、例えば鋳
型長辺の背面に設置した移動磁場発生装置にて実施す
る。移動磁場発生装置にて鋳型1内の溶鋼3に移動磁場
を印加し、磁場の移動方向に溶鋼3を強制的に移動させ
ることで攪拌強度を上げることができる。溶鋼の流動方
向は、鋳型1の横断面で回転する方向、又は浸漬ノズル
4からの吐出流を加速する方向(鋳型縦断面で回転する
方向)があり、適宜選択する。但し、攪拌力が過多の場
合には、メニスカス5におけるモールドパウダーの巻き
込みが発生するので、メニスカス5における溶鋼流速が
0.6m/sec以下の範囲で攪拌することが望まし
い。
【0036】鋳片幅方向の二次冷却強度の変更は、水ス
プレー又はエアーミストスプレーのの流量を鋳片幅方向
で変更して行う。流量変更の範囲は、鋳片幅方向はW/
4位置から鋳片短辺までの範囲で十分であり、鋳造方向
は鋳型1直下から最終凝固位置8までが望ましいが、少
なくとも鋳型1直下からクレータ長の1/2以上の範囲
とする。
【0037】
【実施例】
〔実施例1〕鋳片厚み250mm、鋳片幅2100m
m、鋳片引抜き速度1.5m/min、タンディッシュ
内溶鋼過熱度が25〜40℃の条件で、炭素濃度が0.
10〜0.15wt%の中炭素鋼を対象に図1に示す連
続鋳造機にて試験鋳造を実施した。本試験鋳造では鋳片
に圧下を付与するために、図1に圧下帯として示したメ
ニスカスから14.8m〜32mの範囲のガイドロール
を0.6mm/mの勾配でロール間隔を減少させてい
る。ちなみに圧下力を付与する範囲の鋳片中心部の固相
率は0.05〜1.0となる。又、鋳型内溶鋼を攪拌す
るため図4に示すように移動磁場発生装置14を鋳型長
辺背面に配置している。
【0038】鋳型幅方向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌
強度、及び鋳片幅方向の二次冷却強度を変更し試験鋳造
を実施した。各試験条件を表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】鋳型幅方向の冷却強度は、鋳型長辺銅板の
W/4位置から鋳片短辺側のスリット密度を中央部の
1.5倍と、2.0倍とに変更した。
【0041】鋳型内溶鋼の攪拌強度は、浸漬ノズルから
の吐出流速度を加速させるため磁場を浸漬ノズルから短
辺側に移動させ、印加電流を200Aと320Aとに変
更した。磁束密度は、印加電流が200Aの場合には
0.02T、320Aの場合には0.03Tとなり、W
/7位置のメニスカスにおける溶鋼流速はそれぞれ0.
40m/sec、0.56m/secであり、磁場を印
加しないときの0.30m/secに比較し増速してい
る。尚、メニスカスでの溶鋼流速はメニスカスに耐火物
棒を浸漬させ、耐火物棒の振れ角度から求めた結果であ
る。
【0042】鋳片幅方向の二次冷却強度は、鋳型直下〜
メニスカスから6m迄の範囲を上流側、メニスカスから
6m〜最終凝固位置までの範囲を下流側として、W/4
位置から鋳片短辺までの範囲を中央部に比べて10%、
20%、及び50%の水量を増加させて実施した。尚、
二次冷却は水スプレーである。
【0043】表1に示す二次冷却強度のうち、強冷却と
は比水量2.0リットル/kg−鋳片、弱冷却とは比水
量0.8リットル/kg−鋳片の条件を示している。鋳
片中央部の凝固係数は強冷却の場合に30.5mm・m
in-1/2、弱冷却の場合に27.5mm・min-1/2
なり、鋳片中央部のクレータ長はそれぞれ25.2m、
31.0mである。
【0044】各試験鋳造とも鋳片中央部のクレータ長よ
り1m上流側において、Fe−S合金を封入した鋲を凝
固シェルに打ち込み、サルファプリント法にて凝固シェ
ル厚みを測定した。鋲打ち込み位置はW/2位置、W/
4位置及びW/7位置の幅方向3か所とした。凝固シェ
ルの伝熱解析により最終凝固位置付近においては、凝固
シェル厚みの差が1mmあれば、強冷却の場合で0.4
m、弱冷却の場合で0.5mのクレータ長の差となるこ
とが判っているので、サルファプリント法による凝固シ
ェル厚みの差からクレータ長の差を比例配分により算出
できる。
【0045】試験No.1、2、3、4及び5では、鋳型
幅方向の冷却強度及び鋳型内溶鋼の攪拌強度の影響を調
査するために、鋳型内にFe−S合金を添加し凝固完了
後のサルファプリント法により鋳型出口までに形成され
た凝固シェル厚みを測定し、鋳片幅方向で比較した。
【0046】試験結果の評価は、W/2位置とW/7位
置との鋳片中心部から5mmΦドリルサンプルを20個
採取し、ドリルサンプルの炭素濃度分析値とタンディッ
シュ内溶鋼から採取したサンプルの炭素濃度分析値との
比の20点の平均値を中心偏析度とした。そして中心偏
析度が1.08以下を合格とした。
【0047】又、W/2位置とW/7位置との鋳片中心
部からサンプルの長さ方向が鋳造方向となるように10
mm厚み×10mm幅×100mm長のサンプルを4個
ずつ採取した、同時に、同一サイズのサンプルを鋳片表
層の健全部から採取して、アルキメデス法によりこれら
サンプルの密度を測定し、中心部と健全部との比の4点
の平均値を比密度として評価した。そして比密度が0.
997以上を合格とした。
【0048】尚、試験No.1及び20は対策を施してい
ない通常の鋳造条件である。凝固シェル厚みの測定値、
W/2位置とW/7位置とのクレータ長の差、指数I
n、中心偏析度、及び比密度の測定結果と、中心偏析度
及び比密度から判定した総合判定を表2に示す。
【0049】
【表2】
【0050】又、鋳型出口での凝固シェル測定結果を図
5に示す。図中プロット点から延びる線は標準偏差に相
当する。図5及び表2に示すように、鋳型幅方向の冷却
強度の変更及び鋳型内溶鋼攪拌により、鋳型内凝固シェ
ルの均一化が促進される。しかし、試験No.2のように
凝固シェル厚みの均一化の改善効果が少ない場合には、
中心偏析の改善効果は少ない。
【0051】表2に示すように鋳片幅方向の二次冷却強
度を変更すると、鋳片短辺側の中心偏析度及び比密度が
改善する。特に、鋳型直下の冷却強度を増大させること
が効果的である。この傾向は強冷却、弱冷却に依存しな
い。但し、試験No.15に見られるように過度に鋳片短
辺側を冷却するとW/2位置の中心偏析が悪化する。
【0052】鋳型幅方向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌
強度、及び鋳片幅方向の二次冷却強度のうちの2以上を
変更した試験No.16、17、18、19は単独に対策
を施した場合に比較して、中心偏析の改善効果が大きい
ことが判る。
【0053】図6に、表2に示した30の試験における
クレータ長の差と、W/2位置又はW/7位置のうち大
きい方の中心偏析度(最大偏析度)との関係を示す。ク
レータ長の差が小さくなるにつれ、中心偏析度は改善さ
れ、中心偏析度が合格の範囲はクレータ長の差が0.6
m以下の範囲となる。
【0054】図7に、表2に示した30の試験における
最大偏析度と、(2)式による指数Inとの関係を示
す。このように試験鋳造の結果から指数Inを−2.0
から2.0の範囲に制御すれば、中心偏析の改善に効果
があることが判る。
【0055】〔実施例2〕鋳片厚み250mm、鋳片幅
1650mm、鋳片引抜き速度1.5m/min、タン
ディッシュ内溶鋼過熱度が25〜40℃、二次冷却強度
が比水量2.0リットル/kg−鋳片の条件で、炭素濃
度が0.10〜0.15wt%の中炭素鋼を対象に図1
に示す連続鋳造機にて本発明を実施した。メニスカスか
ら23mの位置に電磁超音波厚み計をW/2位置とW/
12位置とに設置し、電磁超音波厚み計による凝固シェ
ル厚みの測定値を演算機に入力してクレータ長の差を算
出し、指数Inが−2.0から2.0の範囲となるよう
に、鋳片短辺側400mmの範囲の鋳型直下から最終凝
固位置までの二次冷却強度を自動的に変更した。但し、
水スプレーの水量増加の最大値を30%とした。
【0056】鋳造後鋳片の中心偏析度と比密度測定を実
施例1と同一の方法で実施した。全てのサンプルにおい
て、中心偏析度は1.06以下、比密度は0.998以
上となり、良好な結果を得た。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、鋳片の中央部と短辺側
とのクレータ長の差を中央部のクレータ長の2%以下に
制御するので、中心偏析、特に鋳片短辺側の中心偏析を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施した鋳片断面が矩形型の連続鋳造
機側断面を模式的に示した図である。
【図2】鋳片幅方向の最終凝固位置の形状を模式的に示
した図である。
【図3】鋳型長辺銅板の断面における冷却水溝のスリッ
トを模式的に示した図で、(a)を基準とした場合に、
(b)は基準の2倍の密度でスリットを設置した例を示
した図である。
【図4】実施例1の試験鋳造に用いた鋳型の側断面を示
した図である。
【図5】実施例1の試験鋳造における鋳型出口での凝固
シェル厚みの測定結果を示した図である。
【図6】実施例1の試験鋳造の結果から、クレータ長の
差と鋳片の最大偏析度との関係を、鋳片の合否の評価別
に示した図である。
【図7】実施例1の試験鋳造の結果から、(2)式によ
る指数Inと鋳片の最大偏析度との関係を、鋳片の合否
の評価別に示した図である。
【図8】従来法による鋳片の中心偏析を模式的に示した
図である。
【符号の説明】
1;鋳型 2;タンディッシュ 3;溶鋼 4;浸漬ノズル 5;メニスカス 6;凝固シェル 7;未凝固相 8;最終凝固位置 9;鋳片 10;サポートロール 11;ガイドロール 12;駆動ロール 13;電磁超音波厚み計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉岡 敬二 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋳型内に溶鋼を注入し、溶鋼を冷却して
    形成した凝固シェルを鋳型下方に連続的に引抜き、更に
    鋳型下方の二次冷却帯で凝固シェル表面を冷却して鋳片
    の凝固を完了させる際に、鋳片幅方向中央部におけるメ
    ニスカスから最終凝固位置までの距離と、鋳片短辺から
    鋳片幅の1/12隔てた位置から1/6隔てた位置まで
    の任意の位置におけるメニスカスから最終凝固位置まで
    の距離との関係が(1)式を満足するように、鋳型幅方
    向の冷却強度、鋳型内溶鋼の攪拌強度、及び鋳片幅方向
    の二次冷却強度のうちの1以上を制御することを特徴と
    する鋼の連続鋳造法。 −2.0≦(Le −Lc )×100/Lc ≦2.0 ……(1) 但し(1)式において符号は以下を表すものとする。 Lc;鋳片幅方向中央部におけるメニスカスから最終凝
    固位置までの距離、 Le;鋳片短辺から鋳片幅の1/12隔てた位置から1
    /6隔てた位置までの任意の位置におけるメニスカスか
    ら最終凝固位置までの距離
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