JP4998734B2 - 連続鋳造鋳片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造鋳片の製造方法に関し、詳しくは、中心偏析の軽微な鋼の連続鋳造鋳片を製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法に関するものである。
鋼の凝固現象では、炭素、燐、硫黄などの溶質元素は、凝固時の再分配により未凝固の液相側に濃化される。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。鋳片が凝固する際の凝固収縮や、連続鋳造機のロール間で発生するバルジング(以下、「ロール間バルジング」と記す)などによって、鋳片中心部に空隙が形成されたり、負圧が生じたりすると、このミクロ偏析によって濃縮された溶鋼が流動し、鋳片中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶鋼の初期濃度に比べ格段に高濃度となっている。これを一般にマクロ偏析と呼び、その存在部位から、中心偏析と呼んでいる。
このような中心偏析は、一般に、鋼製品の品質を劣化させる。例えば、石油・天然ガス輸送用のラインパイプ材においては、サワーガスの作用により中心偏析を起点として水素誘起割れが発生する。また、飲料用の缶製品に用いられる深絞り材においては、成分の偏析により加工性に異方性が出現することもある。そのため、鋳造工程から圧延工程に至るまで、鋳片の中心偏析を低減する対策が多数提案されている。
そのなかで、効果的に鋳片の中心偏析を低減する手段として、連続鋳造機内において、未凝固相を有する凝固末期の鋳片を凝固収縮量程度の圧下量で圧下する方法(以下、「軽圧下」と呼ぶ)が多数提案されている。この軽圧下技術は、圧下量が鋳片の凝固収縮量と熱収縮量とを加えた収縮量と同等の値となるように鋳片を徐々に圧下し、鋳片中心部における空隙の形成を防止すると同時に濃化溶鋼の流動を防止し、これによって鋳片の中心偏析を軽減することを目的としている。
例えば、特許文献1には、鋳片の軽圧下を行うにあたり、鋳片の長辺面中央部の表面温度を600〜900℃に制御するとともに、鋳片の短辺面中央部の表面温度を、長辺面中央部の表面温度よりも50℃以上高い温度に制御することが提案されている。特許文献2には、鋳片の軽圧下を行うにあたり、鋳片表面温度を800〜900℃に制御しつつ、毎分0.3〜0.5%の歪速度の圧下力を鋳片に付与することが提案されている。
特許文献3には、未凝固部を含む鋳片を一旦バルジングさせ、凝固完了点の上流で前記バルジング量相当分の一部または全部を軽圧下するにあたり、矯正ゾーンより上流または下流で軽圧下を行うとともに、軽圧下するときの鋳片表面温度を500〜700℃に制御することが提案されている。また、特許文献4には、鋳片の液相線クレータエンド相当位置から固相線クレータエンド相当位置までの間の所定範囲で鋳片を一旦バルジングさせ、このバルジングの相当分を軽圧下するにあたり、鋳型直下から鋳片矯正点までの範囲の鋳片表面温度を1000℃以上に制御するとともに、前記矯正点から圧下開始位置までの鋳片表面温度を1000℃以下に制御することが提案されている。
特開昭62−45458号公報 特開昭63−252654号公報 特開平11−188469号公報 特開2001−62551号公報
軽圧下技術では、200mm以上の厚みを有する鋳片の表面を圧下することにより、鋳片中心部の凝固界面にその圧下力を作用させているが、その圧下量の全てが厚み中心部の圧下に有効なわけではなく、鋳片の凝固した部分、つまり凝固シェルの強度・剛性などによって、付与した圧下力に対する凝固界面に働く圧下力の比率(この比率を「圧下効率」と称す)は、およそ10%から70%程度の範囲で変化すると考えられている。圧下効率が低いと、圧下を付与しても、中心偏析の低減効果は十分には期待できない。それに加えて、圧下効率の低い状態で、それを補うために圧下量を増加させることは、連続鋳造機の鋳片支持ロール及びセグメントなどの構造物に負荷がかかり、設備的な不具合の原因や、ロールベアリングなどの設備寿命低下の原因になる。つまり、軽圧下技術では圧下効率が高くなる条件で鋳片を圧下することが重要となる。
また、意図的に鋳片をバルジングさせ、その後に軽圧下を実施する技術の本来の目的は、最終凝固部の形状を鋳片幅方向に均一化させ、軽圧下の効果を幅方向全体に効かせることである。従って、鋳片をバルジングさせる際、鋳片長辺側の凝固シェルを均一にバルジングさせる必要があり、不均一なバルジングは却って最終凝固部形状の不均一化を助長することになり偏析の低減に有効ではない。
これらの観点から、上記従来技術を検証すると、上記特許文献1は、鋳片表面温度を600〜900℃に制御しつつ鋳片を軽圧下しており、鋳片表面温度の設定範囲が広すぎ、下限値の600℃近傍の場合には、鋳片の表面温度が低いことから、凝固シェルの強度が高く、鋳片圧下の効果は凝固シェルを変形させることに費やされることになり、中心偏析の発生する部位である鋳片厚み中心部における圧下効率は低下する。
特許文献2は、鋳片表面温度を800〜900℃に制御するとしているが、鋳片短辺面の温度は特に記載しておらず、鋳片短辺面の温度も前記温度範囲内に含まれるとすると、鋳片短辺面の温度が低すぎて鋳片短辺面の変形抵抗が大きく、軽圧下力は鋳片短辺面の変形に費やされ、鋳片厚み中心部における圧下効率は低下する。
特許文献3は、特許文献1に比べて更に鋳片表面温度が低く、鋳片厚み中心部における圧下効率は低下する。また、この特許文献3は、軽圧下を付与する前に予め鋳片をバルジングさせており、軽圧下付与領域における鋳片表面温度を500〜700℃とすることによって凝固シェルの強度が高くなり、凝固シェルがバルジングした状態のままとなって、軽圧下が十分に作用せず、却って中心偏析の悪化を招く恐れがある。特許文献4は、軽圧下時の鋳片表面温度を1000℃以下に制御するとしているが、上限を定めているのみで下限値はなく、どのように制御するのか具体的でない。また、特許文献3及び特許文献4ともに、特許文献2と同様に、鋳片短辺面の温度については具体的に記載しておらず、短辺面も前記温度範囲に含まれるとすると、鋳片短辺面の温度が低すぎて鋳片厚み中心部における圧下効率は低下する。
即ち、上記特許文献1〜4では、鋳片を軽圧下する場合に具体的にどのように鋳片表面温度を制御すべきかが明確でなく、改善の余地がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳片の中心偏析を軽減するべく、鋳片に軽圧下を付与しながら溶鋼を連続鋳造するにあたり、軽圧下の効率を高め、最適条件を拡大することが可能であり、近年の厳しい品質要求にも対処可能な鋳片を製造することのできる、連続鋳造鋳片の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明に係る連続鋳造鋳片の製造方法は、連続鋳造機内でガイドロール群の鋳片厚み方向の間隔を広げて鋳片をバルジングさせた後に、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から鋳片の圧下を開始し、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点まで鋳片の圧下を継続して連続鋳造鋳片を製造するに際し、鋳片の厚みをD(mm)としたときに、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除く鋳片長辺面の表面温度を850℃以上に制御してバルジングさせ、次いで、鋳片長辺面の表面温度を750℃以上900℃以下、且つ、鋳片短辺面中央部の表面温度を1000℃以上に制御して鋳片を圧下することを特徴とするものである。
本発明によれば、鋳片を軽圧下するにあたり、二次冷却水量を制御して軽圧下前のバルジング時、及び、軽圧下中の鋳片の表面温度を所定の範囲に制御するので、軽圧下力が最終凝固部に有効に作用し、軽圧下による濃化溶鋼の流動抑制効果が発揮され、且つ、ロール間バルジングも低減できるので、鋳片の中心偏析を大幅に低減することができる。その結果、近年の厳しい品質要求にも対処可能な鋳片を安定して製造することが可能となる。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明では、鋳片の厚みをD(mm)としたときに、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除く鋳片長辺面の表面温度を850℃以上に制御して鋳片をバルジングさせる。
凝固シェルの変形抵抗は温度に依存しており、鋳片のバルジング量も鋳片温度に影響される。鋳片を意図的にバルジングさせる場合、確実に所定のバルジング量を確保するには、鋳片表面温度の管理が重要である。その場合、特に、長辺面の中央部の表面温度だけを管理したのでは、目的とする、鋳片幅方向全体のバルジング量を確保することができない。本発明者等は、鋳片幅方向の表面温度及びバルジング量の測定を行い、その結果、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除く鋳片長辺面の表面温度を850℃以上とすることで、幅方向に均一なバルジング量が確保されることを見出した。鋳片長辺面の表面温度を規定するにあたり、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除外する理由は、この部分は鋳片短辺面に拘束されてほとんどバルジングしないので、温度を規定する意味がないからであるが、当然、この部分の表面温度の目標値も他の部分と同一として温度制御を行う。
本発明では、更に、上記バルジングに引き続き、鋳片長辺面の表面温度を750℃以上900℃以下、且つ、鋳片短辺面中央部の表面温度を1000℃以上に制御して鋳片を圧下する。
軽圧下技術においては、鋳片の長辺面側に配置されているロールによって鋳片を圧下することにより、凝固収縮やロール間バルジングなどによって誘起される鋳片厚み中心部での未凝固相の流動を抑制することを目的としている。この目的で軽圧下を行う場合、軽圧下時の鋳片長辺面の表面温度を750℃以上900℃以下、且つ、鋳片短辺面中央部の表面温度を1000℃以上に制御することが有効である。以下に、その理由を説明する。ここで、鋳片長辺面の表面温度とは、コーナー部も含め、鋳片長辺面の全ての表面温度という意味である。
軽圧下の際に、鋳片長辺面側の凝固シェルの強度・変形抵抗が十分でないと、鋳片表面に加えられた圧下は凝固シェルの変形に費やされる比率が高まり、中心偏析低減のための未凝固部分の圧下には十分に効かないことになる。つまり、中心偏析低減のためには凝固シェルを未凝固部分の側に移動させ、未凝固部分の体積を減少させる必要があるが、圧下力が凝固シェルの変形に費やされる場合には、中心偏析低減の効果が減少するからである。変形抵抗は900℃以上では急激に減少するため、凝固シェルの変形に費やされる比率が高まり、未凝固部分の圧下は十分に効かない。
これに対し、本発明で規定する750℃以上900℃以下の温度範囲では、長辺面側の凝固シェルの強度が増加し、鋳片表面に加えられた圧下を効率良く鋳片厚み中心部の最終凝固部に付与することが可能となる。また、このことにより、最終凝固部近傍でのロール間バルジングの発生も防止することができる。一方、鋳片長辺面の表面温度を750℃未満では、変形に伴う内部割れや表面割れの恐れがある。
ところで、鋳片の短辺面側には凝固シェルが形成されているので、短辺面近傍では圧下の効果が十分には得られず、従来、しばしば短辺面近傍に中心偏析が残留する場合が見られた。これを防止し、鋳片幅方向全体に渡って十分な圧下量を確保するためには、短辺面の凝固シェルを押しつぶすほどの大きな圧下力が必要となるが、一方で、過剰な圧下力は、濃化溶鋼の絞り出しを招き、却って中心偏析を助長させる懸念もある。また、圧下効率の低い状態で、圧下量を増加させることは、連続鋳造機のロールやセグメントなどの構造物に負荷がかかり、設備的な不具合の原因やロールベアリングなどの設備寿命低下の原因になる。従って、圧下量の設定は極めて重要であり、必要以上の圧下を避けるためには、圧下効率を向上させる必要がある。具体的には、短辺面側の凝固シェルの強度を過剰に大きくしないことが有効である。
そこで、この問題を解決するために、本発明では、鋳片短辺面中央部の表面温度を1000℃以上として軽圧下を行う。これによって、短辺面側に、低温で、変形抵抗の大きい凝固シェルの形成が防止され、圧下力を効率良く凝固界面に働かせることができる。
本発明では、上記のように、未凝固鋳片を軽圧下する際に、鋳片の長辺面及び短辺面の表面温度を所定の値に制御するので、軽圧下による濃化溶鋼の流動抑制効果が有効に作用し、中心偏析を効果的に低減することができる。尚、鋳片の軽圧下は、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から開始し、少なくとも鋳片厚み中心部の固相率が0.7以上となる時点まで行う。これは、鋳片厚み中心部の固相率が0.4を越えてから軽圧下を開始しても、それ以前に濃化溶鋼の流動が発生する可能性があり、これにより中心偏析が発生し、軽圧下の効果を十分に発揮することができず、また、溶鋼の流動は、固相率が0.7を超えるまで発生する可能性があり、それよりも早期に軽圧下を停止してしまうと、濃化溶鋼の流動が発生し、これにより中心偏析が発生して、軽圧下の効果を十分に発揮することができないからである。
次に、本発明の具体的な実施方法を、図面を参照して説明する。図1は、本発明を実施した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼11を注入して凝固させるための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼11を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール6、ガイドロール7及びピンチロール8からなる複数対の鋳片支持ロールが配置されている。このうち、ピンチロール8は、鋳片12を支持すると同時に鋳片12を引抜くための駆動ロールである。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロールの間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片12は引抜かれながら冷却されるようになっている。タンディッシュ2の底部には、溶鋼11の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。また、鋳片支持ロールの下流側には、鋳造された鋳片12を搬送するための複数の搬送ロール9が設置されており、この搬送ロール9の上方には、鋳造される鋳片12から所定の長さの鋳片12aを切断するための鋳片切断機10が配置されている。
鋳片12の凝固完了位置15を挟んで鋳造方向の前後には、対向するガイドロール7とガイドロール7との間隔(「ロール間隔」と呼ぶ)を鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された、複数対のガイドロール群から構成される軽圧下帯16が設置されている。軽圧下帯16では、その全域または一部選択した領域で、鋳片12に軽圧下を行うことが可能である。軽圧下帯16の各ガイドロール間にも鋳片12を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。尚、ロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定された状態を、「ロール勾配」とも称している。
この場合の、鋳型5の直下からスラブ連続鋳造機1の機端までのガイドロール7のロール間隔の設定を模式的に図2に示す。図2に示すように、ロール間隔は鋳型5の直下で拡大し始め、徐々に拡大して最大値に至っている。このロール間隔の拡大するガイドロール群で鋳片12をバルジングさせる。ロール間隔は、最大値を経過した後、軽圧下帯16において所定の圧下速度で軽圧下されるように、鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定されている。
浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入された溶鋼11は、鋳型5で冷却されて凝固シェル13を形成し、内部に未凝固相14を有する鋳片12として、鋳型5の下方に設けたサポートロール6、ガイドロール7及びピンチロール8に支持されつつ、ピンチロール8の駆動力により鋳型5の下方に連続的に引抜かれる。鋳片12は、これらの鋳片支持ロールを通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル13の厚みを増大させつつ、鋳型直下から徐々にバルジングして厚みを増加させ、一方、軽圧下帯16では軽圧下されて徐々に厚みを減少させながら、凝固完了位置15で内部までの凝固を完了する。鋳片12は、鋳片切断機10によって切断されて鋳片12aとなる。
このような連続鋳造操業の種々の鋳造条件において、予め伝熱計算などを用いて凝固シェル13の厚み並びに鋳片厚み中心部の固相率を求めておき、軽圧下帯16に入る時点での鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下になるように、鋳片引抜き速度及び二次冷却水量などの鋳造条件を調整する。軽圧下を開始する時点の鋳片厚み中心部の固相率は0.4以下であればいくらであっても構わない。尚、軽圧下帯の設置範囲が鋳造方向に長く、軽圧下帯の中でも軽圧下を付与するロール群と軽圧下を付与しないロール群が存在する場合には、実際に軽圧下を付与するロール群のみを上記の軽圧下帯16とみなして操業すればよい。
二次冷却帯は、通常、単一または複数のロールセグメント毎に二次冷却ゾーンが設定されており、各冷却ゾーン毎に二次冷却水量を決めることができる。この機能を用いて、鋳片12をバルジングさせる際には、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除く鋳片長辺面の表面温度が850℃以上になるように二次冷却水量を調整するとともに、鋳片12を軽圧下する際には、鋳片長辺面の表面温度が750℃以上900℃以下、且つ、鋳片短辺面中央部の表面温度が1000℃以上になるように二次冷却水量を調整する。
このようにして鋼の連続鋳造を実施することで、鋳片12には軽圧下が効果的且つ有効に作用し、凝固収縮などに伴う濃化溶鋼の流動が抑制されて、鋳片12aの中心偏析を大幅に低減することができる。
図1に示すような垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機を用い、二次冷却強度、軽圧下速度を変化させて鋳造した。そのスラブ鋳片から試験片を採取し、各試験片の中心偏析を調査して、二次冷却強度の中心偏析に及ぼす影響を調査した。
用いた連続鋳造機は、鋳型直下に2.8mの垂直部を有し、それに続く湾曲部の半径が10mである垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機で、軽圧下帯を鋳型内溶鋼湯面から16〜32mの範囲に設置してある。この軽圧下帯の範囲内で、鋳造条件に合わせて、軽圧下を行う位置・範囲・圧下量(圧下速度)を設定することができる。この連続鋳造機を用いて、炭素含有量が0.04〜0.05質量%の耐サワーラインパイプ用鋼を、厚み240mm、幅2100mmの鋳片として引抜き速度1.4m/分で鋳造した。
この鋳造をシミュレートした伝熱計算を行い、各冷却条件における鋳片厚み中心部の固相率を推算した。軽圧下帯では鋳片厚み方向中心部の計算固相率が0.3ないし0.4となるまでは軽圧下せずに鋳片を支持するのみとし、それ以降のロール勾配を鋳造方向距離1mあたり0.9mm、即ち、軽圧下速度に換算すると1.26mm/分(=1.4×0.9)とした。
このような鋳造条件で、二次冷却条件を、計算固相率を基準として種々変化させて鋳造し、鋳片試験片の中心偏析調査結果の比較評価を行った。中心偏析は鋳片における炭素濃度の偏析度で評価し、炭素濃度の偏析度が1.20以下を合格とした。炭素の偏析度とは、鋳片中心部の炭素濃度値を鋳片バルク部(例えば1/4厚み位置)の炭素濃度値で除算した値である。鋳造条件及び各条件での中心偏析の調査結果を表1に示す。尚、表1に示す評価の欄の「○」印は良好、「×」印は不良、「△」印はやや不良を表している。
Figure 0004998734
表1に示すように、鋳片の中心偏析は、引抜き速度、軽圧下量などが同じであっても、二次冷却条件によって変化し、具体的には、鋳片の表面温度を基準にして中心偏析を判別できることが判明した。
本発明を実施した垂直曲げ型のスラブ連続鋳造機の側面概要図である。 ガイドロールのロール間隔の設定を模式的に示す図である。
符号の説明
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 サポートロール
7 ガイドロール
8 ピンチロール
9 搬送ロール
10 鋳片切断機
11 溶鋼
12 鋳片
13 凝固シェル
14 未凝固相
15 凝固完了位置
16 軽圧下帯

Claims (1)

  1. 連続鋳造機内でガイドロール群の鋳片厚み方向の間隔を広げて鋳片をバルジングさせた後に、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から鋳片の圧下を開始し、少なくとも鋳片の厚み中心部の固相率が0.7以上になる時点まで鋳片の圧下を継続して連続鋳造鋳片を製造するに際し、鋳片の厚みをD(mm)としたときに、鋳片長辺面のコーナーから「100+D/2」mm離れた位置までの範囲を除く鋳片長辺面の表面温度を850℃以上に制御してバルジングさせ、次いで、鋳片長辺面の表面温度を750℃以上900℃以下、且つ、鋳片短辺面中央部の表面温度を1000℃以上に制御して鋳片を圧下することを特徴とする、連続鋳造鋳片の製造方法。
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