JP5915453B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、連続鋳造中に鋳片中心部に発生する成分の偏析を抑制することのできる鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の凝固過程では、炭素、燐、硫黄、マンガンなどの溶質元素は、凝固時の再分配によって未凝固の液相側に濃化される。これがデンドライト樹間に形成されるミクロ偏析である。連続鋳造機で鋳造されつつある鋳片において、鋳片の凝固収縮や熱収縮、或いは、凝固シェルのバルジング(凝固シェルが溶鋼静圧によって膨らむ現象)などによって、鋳片の厚み中心部に空隙が形成されたり負圧が生じたりすると、この部分に溶鋼が吸引されるが、凝固末期の未凝固層には十分な量の溶鋼が存在しないので、上記のミクロ偏析によって濃縮された溶鋼が流動し、鋳片中心部に集積して凝固する。このようにして形成された偏析スポットは、溶質元素の濃度が溶鋼の初期濃度に比べて格段に高濃度となっている。これを一般にマクロ偏析と呼び、その存在部位から中心偏析と呼んでいる。
この中心偏析は、鋼製品、特に厚鋼板の品質を劣化させる。例えば、石油輸送用・天然ガス輸送用に製造される耐サワーラインパイプ材では、サワーガスの作用により、中心偏析を起点として水素誘起割れが発生することから、中心偏析の軽微な鋳片が要求されている。しかも近年、鋼製品は低温、腐食環境といった厳しい環境で使用されることが多く、鋳片の中心偏析を低減することの重要性は益々高まっている。
従って、鋼の連続鋳造工程においては、鋳片の中心偏析を低減する対策が多数提案されている。そのなかで、鋳片の最終凝固位置付近を鋳片の凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で鋳片支持ロールによって徐々に圧下しながら鋳造して、鋳片の中心偏析を低減する技術が広く行われている。凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で徐々に圧下しながら鋳造する上記技術は、「軽圧下方法」或いは「軽圧下鋳造」などと呼ばれている。
この軽圧下方法では、圧下量が不足すると中心偏析を低減する効果が不十分となり、一方、圧下量が大き過ぎると内部割れ並びに負偏析が発生し、鋳片の内部品質を悪化させる。従って、軽圧下方法では鋳片の圧下量を適正範囲に制御することが重要となる。
軽圧下方法の改良技術として、特許文献1には、連続鋳造鋳片の凝固末期部近傍に配設した軽圧下ロールの軸受に位置制御用シリンダを設置し、この位置制御用シリンダによって前記軽圧下ロールの圧下量を制御する方法が開示されている。特許文献1によれば、実質的に鋳片に付与される圧下量を精度良く制御することができ、内質の優れた鋳片を安定して製造することができるとしている。
しかしながら、特許文献1では、鋳片の幅方向全体を1本の圧下ロールで圧下しており、圧下ロールが圧下反力によって鋳片厚み方向に撓み、鋳片の幅中央部では所望する圧下量を付与できない可能性がある。このような場合には、鋳片幅方向中央部で中心偏析が悪化する。
一方、特許文献2には、鋳片引き抜き方向に多数配列されるロール対をフレームに複数設けてなるロールセグメント装置において、セグメントロールを鋳片幅方向に複数に分割し、これら各分割ロールにそれぞれ昇降機構を設け、各分割ロールを個別に昇降可能とした、軽圧下方法に好適な連続鋳造機のロールセグメント装置が開示されている。特許文献2では、それぞれ昇降機構を有する分割ロールによって鋳片幅方向で個別に圧下可能であり、圧下ロールの撓みは特許文献1に比較して大幅に低減される。
しかしながら、特許文献2では鋳片幅方向に3分割した圧下ロールを使用しており、それぞれの圧下ロールは分割したとはいえ十分に長く、圧下反力によって鋳片厚み方向に圧下ロールが撓み、鋳片の幅中央部では所望する圧下量が付与できない場合も発生する。
ところで、本発明者らは、特許文献2のように、鋳片幅方向で複数に分割され、且つ、それぞれ独立して昇降機構を有する圧下ロールを用いて鋳片を軽圧下する場合には、鋳片幅方向の凝固完了位置(「クレータエンド位置」ともいう)を、鋳片幅中央部が最も鋳造方向下流側に伸びた形状とすることで、圧下ロールへの圧下反力が小さくなるとともに、鋳片の中心偏析がより安定して軽減されることを確認している。つまり、鋳片幅中央部の凝固完了位置が最も鋳造方向下流側になるように、圧下開始時期や圧下速度を各分割ロールで調整する必要があることを確認している。
この観点から、特許文献2を検証すると、特許文献2では3分割型の圧下ロールを使用していることから、実質的に幅中央部の分割ロールのみが鋳片の圧下に寄与しており、つまり、内部に未凝固層を有する部位を実質的に1本のロールで圧下しており、鋳片幅中央部の凝固完了位置が最も鋳造方向下流側になるように鋳片幅方向で圧下量を調整することはできない。また、凝固完了位置を鋳片幅方向で変更することを開示していない。尚、前述した特許文献1は、鋳片の幅方向全体を1本の圧下ロールで圧下しており、当然のことながら、鋳片幅中央部の凝固完了位置が最も鋳造方向下流側になるように圧下量を調整することはできない。
即ち、特許文献1及び特許文献2においても、圧下ロールの負荷軽減及び鋳片の中心偏析軽減の観点から更なる改善の余地がある。
特開平8−90186号公報 特開平9−99348号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、鋳片幅方向に複数に分割された、それぞれ昇降機構を有する圧下ロールを用いて凝固末期の鋳片を凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で圧下しながら連続鋳造する際に、従来に比較して圧下ロールの負荷荷重を軽減することができると同時に、鋳片の中心偏析を安定して軽減することのできる鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]鋳片幅方向に5分割された各ロールがそれぞれ昇降可能な機構を有する、5つの分割ロールからなる圧下ロールを鋳造方向に複数対備えた軽圧下帯を用い、内部に未凝固層を有する鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、意図的にバルジングさせた鋳片を凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する圧下量で圧下しながら連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記軽圧下帯における鋳片の圧下終了位置を鋳片厚み中央部の固相率が0.9〜1.0の範囲の或る所定の位置とし、且つ、前記5分割された各分割ロールを、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの3種類のロール群に区分し、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの順に、区分した各ロール群での意図的バルジング量をIB1、IB2、IB3、鋳片を圧下するときのロール間隔の圧下勾配をR1、R2、R3、バルジング終了位置から圧下終了位置までの鋳造方向の距離をL1、L2、L3、圧下終了位置でのロール間隔をD1、D2、D3としたとき、下記の(1)式〜(5)式の全てを満足するように、前記軽圧下帯のロール間隔を設定することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
1=D2=D3…(1)
1<1.2×D0…(2)
3≦R2≦R1…(3)
IB3<IB2<IB1…(4)
3<L2<L1…(5)
但し、(2)式におけるD0は鋳型直下における鋳片の厚みである。
本発明によれば、連続鋳造中の鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、凝固末期の鋳片を凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する程度の圧下量で圧下しながら連続鋳造する際に、5つの分割ロールからなる圧下ロールで、鋳片幅方向中央部ほどバルジング量を大きくし、且つ、鋳片幅方向中央部ほどバルジング終了位置から圧下終了位置までの鋳造方向の距離を長くするので、従来のように鋳片幅全体をいちどに圧下する必要はなく、各分割ロールへの負荷が軽減し、5つの分割ロールからなる圧下ロールに過大な荷重は掛からず、所望する圧下量で鋳片を軽圧下することが実現される。その結果、軽圧下帯の圧下ロールの寿命が延長されるとともに、鋳片の中心偏析を従来に比較して安定して軽減することが達成される。
本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の1例を示す側面概略図である。 軽圧下セグメントの例を示す図であり、軽圧下セグメントを鋳造方向下流側から見た概略図である。 図2に示す軽圧下セグメントを連続鋳造機の側面側から見た概略図である。 条件Aでのメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示す図である。 条件Bでのメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示す図である。 条件Cでのメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示す図である。 条件Dでのメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示す図である。 数値シミュレーションで求めた最下流側の軽圧下セグメントでの荷重を条件A〜Dで比較して示す図である。 鋳片の中心偏析度を条件A〜Dで比較して示す図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明を実施する際に用いるスラブ連続鋳造機の1例を示す側面概略図である。
図1に示すように、スラブ連続鋳造機1には、溶鋼9を注入して凝固させ、横断面が矩形である鋳片10の外殻形状を形成するための鋳型5が設置され、この鋳型5の上方所定位置には、取鍋(図示せず)から供給される溶鋼9を鋳型5に中継供給するためのタンディッシュ2が設置されている。タンディッシュ2の底部には、溶鋼9の流量を調整するためのスライディングノズル3が設置され、このスライディングノズル3の下面には、浸漬ノズル4が設置されている。一方、鋳型5の下方には、サポートロール、ガイドロール及びピンチロールからなる複数対の鋳片支持ロール6が配置されている。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール6の間隙には、水スプレーノズル或いはエアーミストスプレーノズルなどのスプレーノズル(図示せず)が配置された二次冷却帯が構成され、二次冷却帯のスプレーノズルから噴霧される冷却水(「二次冷却水」ともいう)によって鋳片10は引き抜かれながら冷却されるようになっている。また、鋳造方向最終の鋳片支持ロール6の下流側には、鋳造された鋳片10を搬送するための複数の搬送ロール7が設置されており、この搬送ロール7の上方には、鋳造される鋳片10から所定の長さの鋳片10aを切断するための鋳片切断機8が配置されている。
鋳片10の凝固完了位置13を挟んだ鋳造方向の下流側及び上流側には、複数の鋳片支持ロール6が組み込まれた軽圧下セグメント15−1、軽圧下セグメント15−2、軽圧下セグメント15−3、軽圧下セグメント15−4が配置されており、これらの軽圧下セグメントによって軽圧下帯14が形成されている。これらの軽圧下セグメントに配置される各鋳片支持ロール間にも鋳片10を冷却するためのスプレーノズルが配置されている。
この軽圧下帯14の鋳造方向上流側部位の範囲、例えば、軽圧下セグメント15−1、15−2では、鋳片10を挟んで対向する鋳片支持ロール間の間隔(この間隔を「ロール間隔」と呼ぶ)を鋳造方向下流側に向かって順次広くなるように設定されており、内部に未凝固層12を有する鋳片10を意図的にバルジングさせるように構成されている。一方、軽圧下帯14の鋳造方向下流側部位の範囲、例えば、軽圧下セグメント15−3、15−4では、鋳片10を挟んで対向する鋳片支持ロール6のロール間隔が鋳造方向下流側に向かって順次狭くなるように設定されており、鋳片10を軽圧下できるように構成されている。鋳片支持ロール6のロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次広くなるように設定されたロール間隔の状態を「バルジング勾配」と称し、一方、鋳片支持ロール6のロール間隔が鋳造方向下流に向かって順次狭くなるように設定されたロール間隔の状態を「圧下勾配」と称している。軽圧下帯14は、鋳片10を軽圧下する機能のみならず、鋳片10を意図的にバルジングさせる機能も有しているが、ここでは便宜上「軽圧下帯」と称している。また、軽圧下帯14に配置される鋳片支持ロール6は、鋳片10を圧下する機能を有することから、「圧下ロール」とも呼ばれる。
このスラブ連続鋳造機1においては、軽圧下帯14は、3対の鋳片支持ロールを1組とする、3基の軽圧下セグメント15−1、15−2、15−3と、4対の鋳片支持ロールを1組とする、1基の軽圧下セグメント15−4とで形成されているが、1つの軽圧下セグメントに設置される鋳片支持ロール6は2つ以上であれば問題なく、また、軽圧下帯14を形成する際に、軽圧下セグメントをどのように組み合わせても構わない。
この軽圧下セグメントの例を図2及び図3に示す。図2は、鋳造方向下流側から見た概略図、図3は連続鋳造機の側面側から見た概略図である。尚、図3は、6対の鋳片支持ロールが1つのロールセグメントに配置された例を示す図である。
図2及び図3に示すように、軽圧下セグメント15は、それぞれ鋳造方向に6つの鋳片支持ロールを保持した上フレーム18と下フレーム19とからなり、上フレーム18及び下フレーム19を貫通させて合計4本(上流側の両サイド及び下流側の両サイド)のタイロッド20が配置され、このタイロッド20によって上フレーム18と下フレーム19とが所定の間隔を隔てて固定されている。尚、タイロッド20は下フレーム19と固定されており、また、下フレーム19は、台座17を介して連続鋳造機の基礎16に固定されている。
上フレーム18には、鋳片支持ロール6として、鋳片幅方向に5分割された分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5が設置されている。分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5は、それぞれシリンダーロッド22を介して、上フレーム18に固定された油圧シリンダ21と接続されており、油圧シリンダ21の作動により各分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5はそれぞれ独立して昇降可能に構成されている。
一方、下フレーム19には、鋳片支持ロール6として、鋳片幅方向に5分割された分割ロール6−1’、6−2’、6−3’、6−4’、6−5’が設置されている。分割ロール6−1’、6−2’、6−3’、6−4’、6−5’は、それぞれ、上フレーム18に配置される分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5と相対している。分割ロール6−1’、6−2’、6−3’、6−4’、6−5’は下フレーム19に固定されており、分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5の昇降により、相対する分割ロール間のロール間隔が設定されるように構成されている。
この場合、図2では、作図の便宜上、分割ロール6−1、6−2、6−3、6−4、6−5の各分割ロールの鋳片幅方向の長さを同等に表示しているが、各分割ロールの鋳片幅方向の長さの合計をWとしたとき、分割ロール6−3(「鋳片幅中央ロール」という)の長さをW1、分割ロール6−2及び分割ロール6−4(「幅中央ロールの両隣ロール」という)の長さをW2、分割ロール6−1及び分割ロール6−5(「鋳片幅端部ロール」という)の長さをW3とすると、それぞれの分割ロールの長さを、0.3×W<W1<0.8×W、0.1×W<W2<0.5×W、0.1×W<W3<0.5×Wの範囲内とすることが望ましい。
このようにして構成されるスラブ連続鋳造機1を用い、以下のようにして本発明を実施する。
取鍋からタンディッシュ2に溶鋼9を注入してタンディッシュ2に所定量の溶鋼9を滞留させ、次いで、タンディッシュ2に滞留した溶鋼9を、浸漬ノズル4を介して鋳型5に注入する。鋳型5に注入された溶鋼9は、鋳型5で冷却されて凝固シェル11を形成し、外殻を凝固シェル11とし、内部に未凝固層12を有する鋳片10として、鋳片支持ロール6に支持されながらピンチロールによって鋳型5の下方に連続的に引き抜かれる。鋳片10は、鋳片支持ロール6を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で冷却され、凝固シェル11の厚みを増大させる。
軽圧下帯14に導入された、内部に未凝固層12を有する鋳片10は、先ず、鋳片支持ロールのロール間隔にバルジング勾配が設定された範囲でその長辺面を意図的にバルジングさせられ、次いで、長辺面がバルジングした鋳片10は、鋳片支持ロールのロール間隔に圧下勾配が設定された範囲でバルジングした長辺面が押し込まれるように軽圧下される。鋳片10は、軽圧下されながら、または軽圧下された後に、凝固完了位置13で内部までの凝固を完了し、その後、凝固完了した鋳片10は、鋳片切断機8によって切断されて鋳片10aとなる。
この場合、5つの分割ロールからなる圧下ロールによる軽圧下の開始時点は、鋳片厚み中心部の固相率が0.4以下の時点とし、軽圧下の終了時点は、鋳片厚み中心部の固相率が0.9〜ないし1.0の時点とする。これは、鋳片中心部の固相率が0.4以下の範囲は未凝固層12が多く溶鋼流動が発生しても中心偏析には至らないが、0.4を超える範囲では溶鋼流動が発生すると中心偏析が悪化するからである。一方、鋳片厚み中心部の固相率が0.9以上の範囲では未凝固層12は流動せず、この範囲は圧下しなくても中心偏析に影響しないからである。但し、本発明においては、圧下終了時点を鋳片厚み中央部の固相率が0.9〜1.0の範囲の任意の或る所定の位置に設定する。ここで、固相率とは、凝固開始前を固相率=0、凝固完了時を固相率=1.0と定義されるものであり、鋳片厚み中央部の固相率は伝熱凝固計算によって求めることができる。
本発明においては、軽圧下帯14において圧下ロールによって鋳片10を意図的にバルジングさせ、その後、圧下ロールによって鋳片10に圧下力を付与する際に、5つの分割ロールからなる圧下ロールを、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの3種類のロール群に区分し、区分した各ロール群において、意図的バルジング量が鋳片幅中央部ほど大きくなるように、各分割ロールのバルジング勾配を調整するとともに、バルジング終了位置から圧下終了位置までの鋳造方向の距離が鋳片幅中央部ほど大きくなるように、各分割ロールの圧下勾配を調整する。また、圧下終了後の鋳片10の厚みが鋳片幅方向で同一になるように、且つ、圧下終了後の鋳片10の厚みが鋳型直下における鋳片の厚みの1.2倍未満となるように、各分割ロールの圧下勾配を調整する。
つまり、3種類に区分した各ロール群において、区分した各ロール群での意図的バルジング量(単位:mm)を、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの順にIB1、IB2、IB3とし、鋳片を圧下するときのロール間隔の圧下勾配(mm/m)を、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの順にR1、R2、R3とし、バルジング終了位置から圧下終了位置までの鋳造方向の距離(m)を、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの順にL1、L2、L3とし、圧下終了位置でのロール間隔(mm)をD1、D2、D3としたとき、下記の(1)式〜(5)式の全てを満足するように、軽圧下帯14のロール間隔を設定する。
1=D2=D3…(1)
1<1.2×D0…(2)
3≦R2≦R1…(3)
IB3<IB2<IB1…(4)
3<L2<L1…(5)
但し、(2)式におけるD0は鋳型直下における鋳片の厚み(単位:mm)である。
通常、圧下勾配は、鋳造方向1mあたりのロール間隔絞り込み量、つまり「mm/m」で表示されており、従って、軽圧下帯14における、鋳片10の圧下速度(mm/min)は、この圧下勾配(mm/m)に鋳片引き抜き速度(m/min)を乗算することで得ることができる。
軽圧下方法において、圧下速度が0.4mm/min未満では、中心偏析を軽減する効果が少なく、一方、圧下速度が1.5mm/minを超えると、濃化溶鋼が鋳造方向とは逆方向に絞り出され、鋳片中心部には負偏析が生成されることがある。つまり、圧下速度の好ましい範囲は0.4〜1.5mm/minであることが知られており、従って、本発明においても、3種類に区分した各ロール群における圧下速度が0.4〜1.5mm/minの範囲になるように、圧下勾配を設定することが好ましい。
このようにして溶鋼9を連続鋳造することで、圧下ロールに過大な荷重が掛かることなく、所望する圧下量で鋳片10を軽圧下することができ、その結果、鋳片10の中心偏析を従来に比較して安定して軽減することが達成される。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。
図1に示すスラブ連続鋳造機と同型のスラブ連続鋳造機を用いて低炭素アルミキルド鋼の鋳造試験を行った。鋳片は、厚み250mm、幅2000mmであり、二次冷却水の比水量を1.6L/鋼−kgとし、鋳片引き抜き速度を1.4m/minとした。軽圧下セグメントを、メニスカス(鋳型内溶鋼湯面)から6m位置から27m位置の21mの範囲に12台設置した。軽圧下セグメントにおける圧下ロールは幅方向に5分割し、鋳造方向に6本配置した。圧下ロールの外径は200mmである。また、比較のために、本発明の範囲外の鋳造試験も行った。
表1に、条件A〜Dにおける鋳造条件を示す。尚、表1の備考欄には、本発明の範囲の試験は本発明例と表示、それ以外は従来例と表示している。
Figure 0005915453
条件Aでは、意図的バルジング量を、鋳片幅中央ロール(IB1)で3.5mm、幅中央ロールの両隣ロール(IB2)で2.5mm、鋳片幅端部ロール(IB3)で1.8mmとし、圧下勾配は全てのロール群(R1、R2、R3)で0.9mm/mとし、鋳片幅中央ロールでのバルジング終了位置から圧下終了位置までの距離(L1)を15.0m、幅中央ロールの両隣ロールでのバルジング終了位置から圧下終了位置までの距離(L2)を13.0m、鋳片幅端部ロールでのバルジング終了位置から圧下終了位置までの距離(L3)を10.5mとし、圧下終了位置でのロール間隔(D1、D2、D3)を248mmとした。
条件Bでは、IB1を4.2mm、IB2を3.0mm、IB3を2.0mmとし、R1、R2、R3を1.16mm/m、L1を15.0m、L2を13.0m、L3を10.5mとし、D1、D2、D3を247mmとした。条件Cでは、IB1、IB2、IB3を3.0mmとし、R1、R2、R3を0.9mm/mとし、L1、L2、L3を15.0mとし、D1、D2、D3を247.3mmとした。条件Dでは、IB1を3.0mm、IB2、IB3を0mmとし、R1を0.9mm/m、R2、R3を0.2mm/mとし、L1、L2、L3を15.0mとし、D1、D2、D3を247.3mmとした。
図4に、条件Aにおけるメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示し、図5に、条件Bにおけるメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示し、図6に、条件Cにおけるメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示し、図7に、条件Dにおけるメニスカスからの距離とロール間隔との関係を示す。尚、図4〜図7において、実線は鋳片幅中央ロールのロール間隔を、一点鎖線は幅中央ロールの両隣ロールのロール間隔を、破線は鋳片幅端部ロールのロール間隔を示している。
予め、有限要素法による数値シミュレーションで最下流側の軽圧下セグメントでの荷重を求めた。図8に、条件A〜Dの条件で、数値シミュレーションで求めた最下流側の軽圧下セグメントでの荷重を示す。図8は、条件C(従来例)でのセグメント荷重を1.0として指数化して表示している。数値シミュレーションにより、本発明例である条件A、Bでセグメント荷重が大幅に低減されていることが確認された。
この結果から、所定の圧下量を付与できていなかった従来の条件C、Dに対して、条件A、Bでは鋳片に所定の圧下量を付与できているものと考えられる。
また、条件A〜Dの条件で鋳造した鋳片の中心偏析度を評価した。中心偏析度の評価方法は、スラブの厚み中央の炭素濃度をCとし、厚み方向の両端の平均炭素濃度をC0として、偏析度=C/C0で定義したものである。この定義では、中心偏析度が1.0に近づくほど中心偏析は低減することになる。ここでは、中心偏析度が1.1以上となった場合に中心偏析が悪化したと判定した。
図9に、条件A〜Dと中心偏析度との関係を示す。図9から明らかなように、本発明例である条件A、Bでは従来の条件C、Dと比較して、中心偏析度が大幅に低くなっていることが確認できた。
以上、本発明を適用した実施例について説明したが、本実施例による本発明の開示の一部をなす記述及び図面によって本発明は限定されることはない。
1 スラブ連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 スライディングノズル
4 浸漬ノズル
5 鋳型
6 鋳片支持ロール
7 搬送ロール
8 鋳片切断機
9 溶鋼
10 鋳片
11 凝固シェル
12 未凝固層
13 凝固完了位置
14 軽圧下帯
15 軽圧下セグメント
16 基礎
17 台座
18 上フレーム
19 下フレーム
20 タイロッド
21 油圧シリンダ
22 シリンダーロッド

Claims (1)

  1. 鋳片幅方向に5分割された各ロールがそれぞれ昇降可能な機構を有する、5つの分割ロールからなる圧下ロールを鋳造方向に複数対備えた軽圧下帯を用い、内部に未凝固層を有する鋳片を意図的にバルジングさせ、その後、意図的にバルジングさせた鋳片を凝固収縮量と熱収縮量との和に相当する圧下量で圧下しながら連続鋳造する鋼の連続鋳造方法であって、前記軽圧下帯における鋳片の圧下終了位置を鋳片厚み中央部の固相率が0.9〜1.0の範囲の或る所定の位置とし、且つ、前記5分割された各分割ロールを、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの3種類のロール群に区分し、鋳片幅中央ロール、幅中央ロールの両隣ロール、鋳片幅端部ロールの順に、区分した各ロール群での意図的バルジング量をIB1、IB2、IB3、鋳片を圧下するときのロール間隔の圧下勾配をR1、R2、R3、バルジング終了位置から圧下終了位置までの鋳造方向の距離をL1、L2、L3、圧下終了位置でのロール間隔をD1、D2、D3としたとき、下記の(1)式〜(5)式の全てを満足するように、前記軽圧下帯のロール間隔を設定することを特徴とする、鋼の連続鋳造方法。
    1=D2=D3…(1)
    1<1.2×D0…(2)
    3≦R2≦R1…(3)
    IB3<IB2<IB1…(4)
    3<L2<L1…(5)
    但し、(2)式におけるD0は鋳型直下における鋳片の厚みである。
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