JP2009090309A - 鋳型銅板の熱流束を監視することで鋳片の割れなどを防止する、中炭素鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

鋳型銅板の熱流束を監視することで鋳片の割れなどを防止する、中炭素鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短辺側鋳型銅板11・11のテーパー率TR[%/m]を明瞭な判断基準で適正値に導けると共に、凝固シェルの均一成長を促して鋳片割れや割れ起因のブレークアウトを防止できる、中炭素鋼の連続鋳造方法を提供する。
【解決手段】短辺熱流束qt[MW/m2]と長辺熱流束qc[MW/m2]を測定し熱流束比qt/qc[-]を求める。熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻としての現在時刻t[sec]から遡って所定時間Δt[sec]前の時刻t0[sec]から現在時刻t[sec]までの平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出する。下記式(1)を満足するか判定し、満足しない場合は、下記式(1)を満足するように短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を増減する。
【数1】
Figure 2009090309

【選択図】図2

Description

本発明は、中炭素鋼の連続鋳造方法に係り、詳しくは、鋳型銅板の熱流束を監視することで鋳片割れや割れ起因のブレークアウトを防止する技術に関する。
従来から、鋳造速度や鋳型幅などの条件に応じた適切な短辺側面のテーパー率が存在することが知られており、このテーパー率を、鋳片収縮量や鋳型抜熱量の理論値に基づいて設定せんとする報告が幾つか為されている。
先ずは図1を参照されたい。図1は、鋳片の品質欠陥のうちブレークアウトの原因となり得るものが示される。本図に示される縦割れやカギ割れ、横割れは、短辺側の鋳型銅板のテーパー率の設定不良によるものが主因とされる。なぜなら、鋳型の中で成長する凝固シェルは鋳造方向に進むにつれて凝固収縮乃至熱収縮することとなるが、(i)この収縮の程度に対して前記のテーパー率が強すぎると、鋳型銅板と凝固シェルの接触圧が強くなり、銅板と凝固シェル間の摩擦力が増大する。この結果、鋳片表面に割れ限界以上の歪が付与され、鋳片の鋳造方向と垂直なカギ割れ、横割れが発生する。また、この際には、鋳型銅板と鋳片間の接触状態が広面銅板側より近接となり、エアギャップ、モールドパウダー流入厚み共に広面側より小さくなるため、結果的に広面側よりも熱流束、シェル厚み共に増加する(「鉄と鋼」、vol.81, No.9, pp.894(1995))。同様に、(ii)前記のテーパー率が小さ過ぎると、鋳造の進行に応じて起こる鋳片幅方向の収縮に対して、充分に追従できず、狭面側銅板と凝固シェルの間に空隙が生じ、シェル内の未凝固溶鋼の静圧によるバルジング(膨らみ)が発生する。この際、広面、狭面銅板の二方向から冷却される鋳片コーナー部は冷却が進み強固であるため、その形状を保持したまま回転するような変形が生じ、広面コーナー近傍、狭面コーナー近傍の銅板−鋳片間にギャップが生じるため、該当部位の健全な抜熱が阻害され、凝固が他の部位より停滞する。この凝固が遅れた部位に凝固・熱収縮に伴う幅・厚み方向の引っ張り応力が集中し、縦割れが生じる(Proceedings of The Sixth International Iron and Steel Congress, 1990, Nagoya, ISIJ pp.348)。また、この際には、適切な狭面テーパーに対して、狭面銅板と鋳片の接触が悪いため、結果的に広面側よりも狭面側の熱流束が小さくなり、シェル厚みも低下する。
この種の技術として特許文献1は、「鋳型の長辺側における熱流束の鋳造方向減少率と、鋳型の短辺側における熱流束の鋳造方向減少率とがほぼ等しくなるように鋳造速度に応じて鋳型短辺のテーパー量を調整する」としている。
また、特許文献2は、「対応する狭い側壁と広い側壁との間の冷却能率の差異に相当する差異値信号56,56’」と、「狭い側壁の実際冷却能率と、〜(中略)〜狭い側壁の理論冷却能率とから生ずる差異値信号57,57’」と、「の何れかによって狭い側壁のテーパを調節する」こととしている。
また、特許文献3は、鋳型の長辺側壁の熱流束を鋳型幅方向に分割して算出し、同様に、鋳型の短辺側壁の熱流束を鋳型厚み方向に分割して算出し、算出された複数の熱流束を相互に比較し合うことでブレークアウト発生を予知する技術を開示する。
特開平6-31418号公報(請求項3) 特公昭54-33220号公報(第5頁第9カラム第14〜23行目) 特開平5-245606号公報
上記特許文献1に開示される技術は、本願発明とは異なり、熱流束の鋳造方向減少率に着目している点で興味深いものである。
上記特許文献2は、「対応する狭い側壁と広い側壁との間の冷却能率の差異に相当する差異値信号56,56’」を具体的にどのように評価乃至判断した上で「狭い側壁のテーパを調節する」のかが一切開示されていない。
上記特許文献3は、多数求めた熱流束を相互に比較し合う必要があり、煩雑である。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を明瞭な判断基準で適正値に導けると共に、凝固シェルの均一成長を促して鋳片割れ(縦割れやカギ割れなど、以下同様。)や割れ起因のブレークアウトを防止できる中炭素鋼の連続鋳造方法を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、本願発明の発明者は、鋭意研究の末、図2に示されるグラフを得た。図2は、過去の実績に基づく熱流束と割れとの関係を示すグラフである。本図においてプロット「○」は鋳片割れが発生しなかったことを意味し、プロット「×」は鋳片割れが発生したことを意味する。本図によれば、長辺熱流束qc[MW/m2]と短辺熱流束qt[MW/m2]に対して鋳片割れの発生の有無が一定の関連を有することが判る。詳しくは、短辺側面と長辺側面における抜熱が大きく相違していると、鋳片割れが発生することが判る。これは、短辺側面と長辺側面における抜熱が大きく相違していると、各面でのシェル厚みが異なり、バルジングなどによる応力集中がコーナー近傍に集中するからだと考えられる。
なお、短辺側の鋳型銅板のテーパー率を鋳片収縮量や鋳型抜熱量の理論値に基づいて設定せんとする報告が為されていると前述したが、このような理論値を計算で求めるのは実際には極めて困難とされる。なぜなら、鋳片収縮量や鋳型抜熱量は、鋳造速度や鋳型幅のみならず、鋼種成分や使用するモールドパウダーの種別などによって大きく異なるものだからである。
次に上記の課題を解決するための手段とその効果を説明する。
本発明の観点によれば、少なくとも短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を可変とする鋳型を用いる、C含有量C[wt%]を0.08〜0.18とする中炭素鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われる。即ち、短辺側の鋳型銅板の熱流束としての短辺熱流束qt[MW/m2]と、長辺側の鋳型銅板の熱流束としての長辺熱流束qc[MW/m2]と、を測定する。測定した前記短辺熱流束qt[MW/m2]を前記長辺熱流束qc[MW/m2]で除することで熱流束比qt/qc[-]を求め、時系列で記憶して蓄積する。前記熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻としての現在時刻t[sec]から遡って所定時間Δt[sec]前の時刻t0[sec]から、前記現在時刻t[sec]までの、複数の前記熱流束比qt/qc[-]の平均値としての平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出する。算出した前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するか判定する。前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足しないと判定した場合は、前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するように、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を増減する。
Figure 2009090309
これによれば、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を明瞭な判断基準で適正値に導けると共に、凝固シェルの均一成長を促して鋳片割れや割れ起因のブレークアウトを防止できる。
[1]用語の定義
先ず、本明細書中で用いられる用語の定義を詳説する。
[1.1]テーパー率TR[%/m]
図4を参照されたい。図4は、鋳型の一部切欠き斜視図である。本図に示される鋳型は、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を可変とするものである。本図において、鋳型上端における鋳型幅[mm]をWとし、鋳型幅方向片側において鋳型上端から鋳型下端に至るまでに狭まった鋳型幅変化量[mm]をΔWとし、鋳型高さ[m]をHとしたとき、テーパー率TR[%/m]は下記式(2)により定義するものとする。
Figure 2009090309
[1.2]長辺熱流束qc[MW/m2]
再度、図4を参照されたい。一般に、一対の長辺側鋳型銅板には図示されるような多数のスリットが鋳造方向に沿って形成されており、このスリット内に冷却水が流れている。この冷却水は、一対の長辺側鋳型銅板のうち一方の長辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入されるために適宜の位置で分岐され、この多数のスリットを通過した後に再度、合流するようになっている。同様に、この冷却水は、一対の長辺側鋳型銅板のうち他方の長辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入されるために適宜の位置で分岐され、この多数のスリットを通過した後、再度、合流するようになっている。
ここで、上記一方の長辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入される冷却水の比熱[J/kg・K]をCp1とし、密度[kg/m3]をρ1とし、分岐前または合流後の冷却水の流量[m3/s]をF1とし、冷却水の鋳型出側(ただし、合流後。以下同様。)の水温から鋳型入側(ただし、分岐前。以下同様。)の水温を引いた温度差[℃]をΔT1とし、この鋳型銅板と凝固シェルとの接触面積[m2]をS1としたとき、この長辺側鋳型銅板と凝固シェルとの間の熱流束qc1[MW/m2]は、下記式(3)により求められる。同様に、上記他方の長辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入される冷却水の比熱[J/kg・K]をCp2とし、密度[kg/m3]をρ2とし、分岐前または合流後の冷却水の流量[m3/s]をF2とし、冷却水の鋳型出側の水温から鋳型入側の水温を引いた温度差[℃]をΔT2とし、この鋳型銅板と凝固シェルとの接触面積[m2]をS2としたとき、この長辺側鋳型銅板と凝固シェルとの間の熱流束qc2[MW/m2]は、下記式(4)により求められる。そして、長辺熱流束qc[MW/m2]は、下記式(5)により求めるものとする。
Figure 2009090309
Figure 2009090309
Figure 2009090309
[1.3]短辺熱流束qt[MW/m2]
上記の長辺側鋳型銅板と同様に、一般に、一対の短辺側鋳型銅板には図示されるような多数のスリットが鋳造方向に沿って形成されており、このスリット内に冷却水が流れている。この冷却水は、一対の短辺側鋳型銅板のうち一方の短辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入されるために適宜の位置で分岐され、この多数のスリットを通過した後に再度、合流するようになっている。同様に、この冷却水は、一対の短辺側鋳型銅板のうち他方の短辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入されるために適宜の位置で分岐され、この多数のスリットを通過した後、再度、合流するようになっている。
ここで、上記一方の短辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入される冷却水の比熱[J/kg・K]をCp3とし、密度[kg/m3]をρ3とし、分岐前または合流後の冷却水の流量[m3/s]をF3とし、冷却水の鋳型出側の水温から鋳型入側の水温を引いた温度差[℃]をΔT3とし、この鋳型銅板と凝固シェルとの接触面積[m2]をS3としたとき、この短辺側鋳型銅板と凝固シェルとの間の熱流束qc3[MW/m2]は、下記式(6)により求められる。同様に、上記他方の短辺側鋳型銅板に形成される多数のスリットへ導入される冷却水の比熱[J/kg・K]をCp4とし、密度[kg/m3]をρ4とし、分岐前または合流後の冷却水の流量[m3/s]をF4とし、冷却水の鋳型出側の水温から鋳型入側の水温を引いた温度差[℃]をΔT4とし、この鋳型銅板と凝固シェルとの接触面積[m2]をS4としたとき、この短辺側鋳型銅板と凝固シェルとの間の熱流束qc4[MW/m2]は、下記式(7)により求められる。そして、短辺熱流束qc[MW/m2]は、下記式(8)により求めるものとする。
Figure 2009090309
Figure 2009090309
Figure 2009090309
[2]一般的な操業
次に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を説明する。図3は、連続鋳造機の概略図である。先ず、本図に基づいて、本実施形態に係る中炭素鋼の連続鋳造に供される連続鋳造機100の構成と作動を一例として簡単に説明する。
連続鋳造機100は、注湯される溶鋼を冷却して所定形状の凝固シェルを形成するための鋳型1と、図略のタンディッシュに保持される溶鋼を鋳型1へ、大気との遮断を行いながら流量と流動を制御しながら注湯するための浸漬ノズル2と、鋳型1の直下から鋳造経路Qに沿って複数で並設されるロール対3・3・・・と、を備える。本実施形態において前記の鋳造経路Qは、その上流側から順に、略鉛直方向に延びる垂直経路部と、この垂直経路部に接続され、円弧状に延びる円弧経路部と、更にその下流側に設けられ、水平方向に延びる水平経路部から成る。円弧経路部入側で鋳片は経路に沿って曲げられ、円弧経路部内或いは円弧経路部の出側で水平状態に矯正される。
上記説明は一般的な垂直曲げ型連鋳機に関する説明であるが、本実施形態は上記の連鋳機に限られるものではなく、曲げ型連鋳機、垂直型連鋳機におても同様に行われる。
また、前記のロール対3・3・・・の夫々は、鋳造対象としての鋳片を、両広面でもって挟持する一対のロール3a・3aから構成される。この一対のロール3a・3aのロール面間の最短距離としてのロールギャップ[mm]は適宜の手段により調節可能に構成される。
また、前記の鋳造経路Qの上流には、鋳型1内で形成され、該鋳型1から引き抜かれる凝固シェルに対して所定の流量で冷却水を噴霧する冷却スプレー4・4・・・が適宜に設けられる。一般に、前記の鋳型1が1次冷却帯と称されるのに対して、この意味で、冷却スプレー4・4・・・が配される経路部は2次冷却帯と称される。
鋳型1から引き抜かれ、鋳造経路Qに沿って搬送される凝固シェルは、自然放熱や、上記冷却スプレー4・4・・・などにより更に冷却されて収縮する。従って、上記のロール対3・3・・・のロールギャップ[mm]は、一般に、鋳造経路Qの下流側へ進むに連れて緩やかに狭くなるように設定される。
以上の構成で、スラブ鋳片の連続鋳造を開始するときは、鋳型1へ溶鋼を注湯する前に予め図略のダミーバーを前記の鋳造経路Q内に挿入しておき、浸漬ノズル2を介して鋳型1へ溶鋼を所定流量で注湯し始めると共に上記ダミーバーを下流側へ所定速度で引き抜く。そして、このダミーバーは、所定のメニスカス距離に到達したときに、適宜の手段により回収する。これで、スラブ鋳片が連続的に鋳造されるようになる。
次に、上記の連続鋳造機100の一般的な操業条件を簡単に紹介する。
・鋳型幅W[mm]は、600〜2400とする。
・鋳型厚みD[mm]は、200〜300とする。
・鋳型高さH[mm]は、800〜1200とする。
・鋳造速度Vc[m/min]は、0.5〜2.5とする。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、10〜45とする。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、0.2〜5とする。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、0〜1200とする。
・溶鋼成分は、当事者間の協定に基づく。代表的な成分は、CやSi、Mnである。これに、CrやMoなどが適宜に添加される。一般にP及びSは極力少なくなるように調整されるが、鋼材の用途により添加される場合がある。その他の不可避の不純物を含む。
ここで、各用語を簡単に説明する。
・鋳型幅W[mm]及び鋳型厚みD[mm]は、鋳型1の上端で観念される。
・鋳造速度Vc[m/min]は、鋳片の引抜速度であって、前記複数のロール対3・3・・・のうち何れかのロール対3の周速度で観念される。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、鋳型1内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
・メニスカス距離M[m]は、鋳型1内の溶鋼の湯面(メニスカス)を起点とし、鋳造経路Qに沿って観念する距離[m]を意味する。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、鋼1kgに対して用いられる冷却水の容積を意味する。この冷却水は、上記の2次冷却帯で鋳片に対して噴射/噴霧される。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。詳細は、本明細書の末尾に記載する。
[3]具体的な操業
次に、本実施形態に係る連続鋳造機100の具体的な操業を説明する。再度、図4を参照されたい。上記の鋳型1について詳細に説明する。本図に示される鋳型1は、一対の対向する幅広の銅板としての長辺側鋳型銅板10・10と、この一対の長辺側鋳型銅板10・10の間に介挿され、長辺側鋳型銅板10・10に対して相対的に移動可能な、一対の対向する銅板としての短辺側鋳型銅板11・11と、を備えて成る。各長辺側鋳型銅板10・10には、その上端から下端へ向かって(又は下端から上端へ向かって、以下同様。)冷却水が流通可能なスリット13が貫設される。同様に、各短辺側鋳型銅板11・11には、その上端から下端へ向かって冷却水が流通可能なスリット14が貫設される。前述の連続鋳造機100は、上記の構成の鋳型1に加え、上記の短辺側鋳型銅板11・11の上端及び下端を独立して鋳型幅方向に沿って移動させる短辺側鋳型銅板駆動装置12・12と、冷却水供給装置18と、冷却水温測定器13.1、13.2、13.3、13.4、14.1、14.2、14.3、14.4と、鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを測定するための渦流式レベル計15と、略示の信号処理機16及び汎用計算機17と、を備える。
短辺側鋳型銅板駆動装置12・12は、上記の通り、各短辺側鋳型銅板11・11の上端及び下端を独立して鋳型幅方向に沿って移動するものであって、この移動の態様により、鋳型幅W[mm]又はテーパー率TR[%/m]のうち少なくとも何れか一方又は両方を設定するように汎用計算機17により適宜、制御される。テーパー率TR[%/m]のみを変更する場合は、一般に、短辺側鋳型銅板11・11の上端は移動させずに、短辺側鋳型銅板11・11の下端のみを鋳型幅方向に沿って移動させる。本実施形態においても、特記ない限り、この一般的な方法に従う。
冷却水供給装置18は、冷却水の流量F1〜F4を一定時間ごとに信号処理機16に送信するように構成される。
冷却水温測定器13.1は、一対の長辺側鋳型銅板10・10のうち一方の長辺側鋳型銅板10に形成された多数のスリット13へ導入される冷却水の分岐前の水温T13.1を測定するものであって、その測定結果は、上記の信号処理機16に送信されるように構成される。同様に、冷却水温測定器13.2は、一対の長辺側鋳型銅板10・10のうち一方の長辺側鋳型銅板10に形成された多数のスリット13を通過した冷却水の合流後の水温T13.2を測定するものであって、その測定結果は、上記の信号処理機16に送信されるように構成される。
冷却水温測定器13.3は、一対の長辺側鋳型銅板10・10のうち他方の長辺側鋳型銅板10に形成された多数のスリット13へ導入される冷却水の分岐前の水温T13.3を測定するものであって、その測定結果は、上記の信号処理機16に送信されるように構成される。同様に、冷却水温測定器13.4は、一対の長辺側鋳型銅板10・10のうち他方の長辺側鋳型銅板10に形成された多数のスリット13を通過した冷却水の合流後の水温T13.4を測定するものであって、その測定結果は、上記の信号処理機16に送信されるように構成される。
冷却水温測定器14.1〜14.4は、一対の短辺側鋳型銅板11・11に係るものであって、その構成などは冷却水温測定器13.1〜13.4と同様である。冷却水温測定器14.1〜14.4によって測定された冷却水の水温を上記同様、T14.1〜T14.4と称することとする。
渦流式レベル計15は、鋳型1内の溶鋼の湯面レベルを測定するものであって、その測定結果は信号処理機16に送信されるように構成される。鋳型1内の凝固シェルは、概ね湯面を起点として成長し始めるものであるから、鋳型銅板と凝固シェルとの接触面積S1〜S4[m2]は、この湯面レベルの測定結果に基づいて求めることができる。また、湯面レベルの測定方法はこの渦流式に限定されない。
信号処理機16は、上記の渦流式レベル計15から送信される湯面レベルに係る信号や、冷却水供給装置18から送信される冷却水の流量F1〜F4に係る信号を適宜に処理して汎用計算機17に送信するものである。同様に、信号処理機16は、上記の冷却水温測定器13.1〜13.4、14.1〜14.4から送信される冷却水の水温に係る信号を適宜に処理して汎用計算機17に送信するものである。
汎用計算機17は、図略のCPU及びROM、RAMを備え、信号処理機16から送信された各種の信号と、図5に示されるフローと、に従って、短辺側鋳型銅板駆動装置12・12を制御するように構成される。ここで、図5を参照されたい。図5は、汎用計算機17が実行する制御フローであって、プログラムの形式で上記ROMに記憶されるものである。この制御フローは、適宜にCPUに読み込まれ、所定時間(例えば30[sec])ごとに該CPU上で実行される。以下、図5を参照しつつ、この制御フローを詳細に説明する。
先ず、汎用計算機17は、短辺熱流束qt[MW/m2]と、長辺熱流束qc[MW/m2]と、を測定する(S320)。この測定は、(i)信号処理機16から受信した各種データ(F1〜F4、T13.1〜T13.4、T14.1〜T14.4、湯面レベル)と、(ii)使用する冷却水の固有の値として図5の制御フローを実行する前に予め汎用計算機17のROM又はRAMに記憶乃至入力される各種データ(Cp1〜Cp4、ρ1〜ρ4)と、(iii)上記式(2)〜(7)と、に基づいて行われる。なお、上記実施形態では、鋳型1の冷却に使用する冷却水は、スリット13及びスリット14においてすべて同一のものとするから、上記データのうち、Cp1〜Cp4やρ1〜ρ4は夫々共通する値を採用するのが合理的である。
次に、汎用計算機17は、上記の通りに測定した短辺熱流束qt[MW/m2]を長辺熱流束qc[MW/m2]で除することで熱流束比qt/qc[-]を求め、時系列で記憶して蓄積する(S330)。「時系列で記憶して蓄積する」とは、熱流束比qt/qc[-]と、該熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻と、を互いに関連付けて例えば下記表6(本表に示されるデータは説明の都合上、ランダムで作成したものである。)に示されるようなテーブル形式で記憶し蓄積することを意味する。
Figure 2009090309
次に、汎用計算機17は、上記の熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻としての現在時刻t[sec]から遡って所定時間Δt[sec]前の時刻t0[sec]から、該現在時刻t[sec]までの、複数の前記熱流束比qt/qc[-]の平均値としての平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出する(S340)。なお、「所定時間Δt[sec]」は、例えば180[sec](=3[min])や240[sec](=4[min])などとすればよい。
次に、汎用計算機17は、算出した上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するか判定する(S350)。もし、下記式(1)が満足されたら、S320の処理へ戻る。もし、下記式(1)が満足されていなかったら、後述するS360の処理以降へ進む。
Figure 2009090309
即ち、汎用計算機17は、上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が上記式(1)を満足しないと判定した場合は、この平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が上記式(1)を満足するように、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を増減する(S360〜S390)。
詳しくは、汎用計算機17は、上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(9)を満足するか判定し(S360)、満足すると判定した場合は、汎用計算機17は、テーパー率TR[%/m]を例えば20[%]増加させるように短辺側鋳型銅板駆動装置12・12を制御する(S370)。一方、満足しないと判定した場合は、S380の処理へ進む。同様に、汎用計算機17は、上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(10)を満足するか判定し(S380)、満足すると判定した場合は、汎用計算機17は、テーパー率TR[%/m]を例えば10[%]減少させるように短辺側鋳型銅板駆動装置12・12を制御する(S390)。一方、満足しないと判定した場合は、S320の処理へ戻る。
Figure 2009090309
Figure 2009090309
[4]上記実施形態に関する確認試験
以下、本実施形態に係る中炭素鋼の連続鋳造方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
[4.1]指標
先ず、各確認試験の評価に供される指標に関して説明する。
[4.1.1]品質欠陥
後記する表1及び表2中、列タイトル「品質欠陥」については、以下のようにして判断することとする。即ち、各表中「qt/qc(上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を意味する。)」を求めた時刻に鋳型1内で鋳込んでいた凝固シェルに対応する鋳片を含む一次切断スラブ(前述した水平経路部での最初の切断で得られる鋼片を意味する。)の広面狭面の全4面を冷間目視で確認し、図1で紹介した縦割れ(ただし、鋳造方向に3[mm]以上のものに限る。)が少なくとも一本確認できた場合、列タイトル「品質欠陥」の列に「縦割れ」と記入することとする。同様に、図1で紹介したカギ割れ(ただし、鋳片コーナーを跨ぐ割れの長さが3[mm]以上のものに限る。)が少なくとも一箇所確認できた場合、列タイトル「品質欠陥」の列に「カギ割れ」と記入することとする。同様に、図1で紹介した横割れ(ただし、15[mm]以上のものに限る。)が少なくとも一箇所確認できた場合、列タイトル「品質欠陥」の列に「横割れ」と記入することとする。縦割れが少なくとも一本確認できたと同時に、カギ割れも少なくとも一箇所確認できた場合は、列タイトル「品質欠陥」の列に「縦割れ・カギ割れ」と記入することとする。
[4.1.2]湯漏れ
後記する表1及び表2中、列タイトル「湯漏れ」については、以下のようにして判断することとする。即ち、上記同様に、上記の一次切断スラブの広面狭面の全4面を冷間もしくは熱間目視で確認し、ブリーディング(軽度のブレークアウトであって、溶鋼が若干滲み出した形跡を意味する。)が少なくとも一箇所確認できた場合、列タイトル「湯漏れ」の列に「ブリーディング」と記入することとする。一方、上記のブリーディングが一箇所も確認できなかった場合、列タイトル「湯漏れ」に「無」と記入することとする。なお、各表中「qt/qc(上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を意味する。)」を求めた時刻(又は該時刻後30秒間以内)にブレークアウト(重度のブレークアウトであって、操業を中断せざるを得なかったものを意味する。)が発生した場合、列タイトル「湯漏れ」の列に「ブレークアウト」と記入することとする。
[4.2]共通試験方法
次に、各確認試験に共通する試験方法について説明する。後期の表1及び表2中、試験No.の連番で示す各行は、各チャージに対応する。後期の表1及び表2中、「W mm」及び「Vc m/min」、「モールドパウダー」、「鋼種」、「TR %/m(ただし、テーパー率TR変更前)」に基づいて中炭素鋼の連続鋳造を実施し、その連続鋳造の定常期(定常期とは、鋳造速度の立ち上げが終了し、一定速度となり鋳型抜熱の上昇が止まった時期であり、鋳造速度の立ち上げの終了時から起算して概ね3分後以降の時期を意味する。)における任意の時刻において「qt/qc(上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を意味する。)」を測定すると共に、上述した説明に従って、「品質欠陥」と「湯漏れ」を評価する。そして、この測定結果乃至評価結果を後記の表1及び表2中の「テーパー率TR変更前」のカテゴリーに記載すると共に、図5に従って適宜にテーパー率TR[%/m]を変更し、その後、再度、「qt/qc(上記の平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を意味する。)」を測定すると共に、上述した説明に従って、「品質欠陥」と「湯漏れ」を評価する。そして、この測定結果乃至評価結果を後記の表1及び表2中の「テーパー率TR変更後」のカテゴリーに記載する。
なお、試験No.25、26、63、64の各確認試験においては、図5に示される制御フローに従うことなく、テーパー率TR[%/m]を変更しないでそのまま操業を継続した。
[4.3]共通試験条件
次に、各確認試験に共通する試験条件について説明する。
・鋳型厚みD[mm]は、230又は280とする。
・鋳型高さH[mm]は、900とする。
・溶鋼過熱度ΔT[℃]は、概ね、15〜40とする。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、概ね、0.5〜3とする。
・鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、概ね、0〜1000とする。
[4.4]個別試験条件及びその試験結果
次に、各確認試験の個別の試験条件とその試験結果を下記表1及び表2に示す。下記表1及び表2において、列タイトル「モールドパウダー」は該当する試験No.の確認試験において使用したモールドパウダーの種別を意味し、その詳細な成分については、下記表3を参照されたい。下記表3中、列タイトル「C/S」は所謂塩基度を意味し、列タイトル「Ts ℃」は各モールドパウダーの凝固温度(結晶化温度、ブレークポイントとも称される。)を意味する。この凝固温度Ts[℃]としては、完全溶融状態から連続的に降温し、粘度が急激に上昇する変極点を採用した。詳細な測定原理及び測定方法については、「鉄と鋼、Vol.73、No.4、S157(1987.03)、「振動片方式CCパウダ粘度計実用機の開発」を参照されたい。列タイトル「η[poise]」は、モールドパウダーの粘度を意味し、測定基準たるモールドパウダーの温度[℃]は1300とする。下記表1及び表2において、列タイトル「鋼種」は該当する試験No.の確認試験において鋳造した鋼種を意味し、その詳細な成分については、下記表4を参照されたい。
Figure 2009090309
Figure 2009090309
Figure 2009090309
Figure 2009090309
上記表1及び表2によれば、適宜にテーパー率TR[%/m]を変更して平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を所定の範囲内とせしめれば、凝固シェルの均一成長が促されて鋳片割れ(縦割れやカギ割れなど、以下同様。)や割れ起因のブレークアウトが効果的に防止されることが判る。
以上説明したように上記実施形態において、少なくとも短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を可変とする鋳型を用いる、C含有量C[wt%]を0.08〜0.18とする中炭素鋼の連続鋳造は、以下のような方法で行われる。即ち、短辺側の鋳型銅板の熱流束としての短辺熱流束qt[MW/m2]と、長辺側の鋳型銅板の熱流束としての長辺熱流束qc[MW/m2]と、を測定する。測定した前記短辺熱流束qt[MW/m2]を前記長辺熱流束qc[MW/m2]で除することで熱流束比qt/qc[-]を求め、時系列で記憶して蓄積する。前記熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻としての現在時刻t[sec]から遡って所定時間Δt[sec]前の時刻t0[sec]から、前記現在時刻t[sec]までの、複数の前記熱流束比qt/qc[-]の平均値としての平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出する。算出した前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するか判定する。前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足しないと判定した場合は、前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するように、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を増減する。
Figure 2009090309
これによれば、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を明瞭な判断基準で適正値に導けると共に、凝固シェルの均一成長を促して鋳片割れや割れ起因のブレークアウトを防止できる。
[5]所定時間Δt[sec]
上記実施形態において平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出する際、所定時間Δt[sec]については、“「所定時間Δt[sec]」は、例えば180[sec](=3[min])や240[sec](=4[min])など”と説明した。以下、この所定時間Δt[sec]としてどのような値を採用するのが好ましいかを調査した結果を説明するから、所定時間Δt[sec]を決定する際には、下記の説明を十分に参考にされたい。
下記表5及び図6を参照されたい。図6は、熱流束比qt/qc[-]の推移の一例を示すグラフである。ただし、図6に示されるデータは説明の便宜上、ランダムで作成したものである。
Figure 2009090309
上記表5中、列タイトル「Δt」は上記の所定時間Δt[min]を意味し、列タイトル「qt/qc」は、平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を意味する。そしてこの平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]は、同表5中の列タイトル「Δt」に基づいて、以下のように算出してみた。即ち、図6において熱流束比qt/qc[-]が1.15を上回ったとき(又は、0.85を下回ったとき。以下、同様。)の時刻をtxとし、この時刻txにΔtを加えて時刻tyを求め、この時刻tx〜tyに属する熱流束比qt/qc[-]を平均し、その平均値を平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]とした。この平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]の算出方法は、上記実施形態とは若干は異なるものの、所定時間Δt[min]内の熱流束比qt/qc[-]を平均したものである点で共通するので、本質的には同一と捉えることができよう。
上記表5によれば、上記所定時間Δt[min]を2以下とすると、上記の式(1)は満足しないにも関わらず何ら品質欠陥が発生していないことが判る。換言すれば、上記所定時間Δt[min]を2以下とすると、若干の過検知が発生してしまうことが判る。
以下、参考資料である。
<溶鋼過熱度ΔT[℃]>
定義:鋳型内へ注湯される溶鋼の温度の指標である。
(1)『測定時刻』は、「事前に充分に加熱されたタンディッシュを用いて鋳造を開始して同一鋳型幅で鋳造速度が一定になりかつタンディッシュ内溶鋼の体積が一定になる、即ち、取鍋からタンディッシュへの注湯量速度(ton/min.)とタンディッシュから鋳型への注湯量速度(ton/min.)が略一致する、定常状態に至った時刻」とする。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」はタンディッシュの底面に備え付けられる浸漬ノズルの軸心とし、「鉛直位置」はタンディッシュ内に保持されている溶鋼の湯面を基準として深さ100mmとする。
(3)『測定器具』は、消耗型熱電対を用いる構成とする。上記の通り、深さ100mmの地点に消耗型熱電対を浸漬させることから、適宜に用意した棒の先端に消耗型熱電対を取着した構成が適する。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて測定した溶鋼の温度から、溶鋼の溶鋼成分により唯一に求められる液相線温度と、を比較する。そして上述した溶鋼過熱度ΔT[℃]は、前者から後者を引いた残りとして求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記溶鋼過熱度ΔT[℃]は、10〜45が好ましい。
<鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]>
定義:鋳型1内の溶鋼を攪拌するために作用される磁場の強度の指標である。
(1)『測定時刻』は、任意である。
(2)『測定地点』は、以下の通りとする。即ち、「水平位置」は、(i)鋳型幅方向においては中央とし、(ii)鋳型厚み方向においては鋳型内壁面から中心へ向かって15[mm]とし、(iii)鋳型高さ方向においては鋳型に埋設される電磁コイルのコイル中心と揃えるものとする。
(3)『測定器具』は、適宜のガウスメータを用いる。
(4)上記の『測定時刻』及び『測定地点』、『測定器具』に準じて複数回測定する。そして上述した鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は、上記複数の測定値を平均化して求めることとする。
(5)なお、種々の観点から、上記鋳型内電磁攪拌強度M-EMS[gauss]は0〜1000が好ましいとされ、鋳型内の溶鋼に作用される磁場の周波数[Hz](「磁場の周波数」とは、上記電磁コイルに導通される電流が1秒間に向きを変える回数を意味する。)は1〜5が好ましいとされ、一般に、この磁場の周波数[Hz]として2が採用される。
鋳片の品質欠陥のうちブレークアウトの原因となり得るものを示す図 過去の実績に基づく熱流束と割れとの関係を示すグラフ 連続鋳造機の概略図 鋳型の一部切欠き斜視図 汎用計算機が実行する制御フロー 熱流束比の推移の一例を示すグラフ
符号の説明
1 鋳型
10 長辺側鋳型銅板
11 短辺側鋳型銅板
12 短辺側鋳型銅板駆動装置
13,14スリット
15 渦流式レベル計
16 信号処理機
17 汎用計算機
qt 短辺熱流束[MW/m2]
qc 長辺熱流束[MW/m2]

Claims (1)

  1. 少なくとも短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を可変とする鋳型を用いる、C含有量C[wt%]を0.08〜0.18とする中炭素鋼の連続鋳造方法において、
    短辺側の鋳型銅板の熱流束としての短辺熱流束qt[MW/m2]と、長辺側の鋳型銅板の熱流束としての長辺熱流束qc[MW/m2]と、を測定し、
    測定した前記短辺熱流束qt[MW/m2]を前記長辺熱流束qc[MW/m2]で除することで熱流束比qt/qc[-]を求め、時系列で記憶して蓄積し、
    前記熱流束比qt/qc[-]を求めた時刻としての現在時刻t[sec]から遡って所定時間Δt[sec]前の時刻t0[sec]から、前記現在時刻t[sec]までの、複数の前記熱流束比qt/qc[-]の平均値としての平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]を算出し、
    算出した前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するか判定し、
    前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足しないと判定した場合は、前記平均熱流束比Ave(qt/qc)[-]が下記式(1)を満足するように、短辺側の鋳型銅板のテーパー率TR[%/m]を増減する、
    ことを特徴とする中炭素鋼の連続鋳造方法
    Figure 2009090309
JP2007261909A 2007-10-05 2007-10-05 鋳型銅板の熱流束を監視することで鋳片の割れなどを防止する、中炭素鋼の連続鋳造方法 Pending JP2009090309A (ja)

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