JP6838997B2 - 鋼の連続鋳造用パウダーおよび連続鋳造方法 - Google Patents

鋼の連続鋳造用パウダーおよび連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、表面品質に優れた鋼のスラブを製造するための連続鋳造用パウダーである。特に、オーステナイト系ステンレス鋼のスラブ表面の縦割れを防止する連続鋳造用パウダーとその連続鋳造方法である。
ステンレス鋼はその優れた耐食性、加工性、強度、耐熱性から様々な分野で利用されている。特に、優れた耐食性から、塗装などを施さずに、合金表面のままで使われることが多い。そのため、ステンレス鋼板の表面品質に対する要求は非常に高く、微細な疵も許されるものではない。
ステンレス鋼の製造プロセスの一つとして、電気炉で原料を溶解して、AODあるいはVODにて脱炭精錬、還元精錬を行い、最終的に連続鋳造機でスラブを製造する。その後、熱間圧延工程、冷間圧延工程を経て冷延板を製造する。最終製品である冷延板の表面に、欠陥となる線状の疵が発生することがある。その要因の一つに連続鋳造機における縦割れが挙げられる。スラブ表面を研削した後に、縦割れが除去されていないと、熱間および冷間圧延工程で延ばされて数mに渡る長い線状の疵を形成する。スラブ表面の縦割れは、研削前には目視で分からないほど微細な縦割れである。表面を研削した後に、浸透探傷試験を実施してようやく検出される位微細なものである。
今までに、ステンレス鋼のスラブ表面品質を良好にする技術が、幾つか開示されている。例えば、特許文献1には、オーステナイト系ステンレス鋼の連続鋳造において、無手入れ圧延が可能なレベルまで欠陥を軽減した鋳片を鋳造する技術が開示されている。鋳片のオッシレーションマークの山部と谷部の凝固冷速を均一化することにより、偏析帯や割れ等の表面欠陥の発生を防止するという技術である。さらに、凝固冷速を均一化するために、鋳型冷却、鋳型材質、パウダー物性等を適正化している。
特許文献2には、オーステナイト系ステンレス鋼の連続鋳造において、鋳片表面性状を向上させることができる鋳型振動方法が開示されている。鋳型の振動波形が正弦波形状である連続鋳造機を用いてオーステナイト系ステンレス鋼を鋳造する際に、1300℃での粘度が2.0〜3.8ポアズとなるパウダーを使用し、鋳造速度Vc(mm/min)、鋳型振動のストロークS(mm)及び振動数f(cpm)の関係を適正化する技術である。
特許文献3には、ステンレス鋼の連続鋳造において、鋳片のオッシレーションマーク及びその谷部に発生する偏析帯や微小割れを低減するとともに、肌荒れや凹み欠陥の発生を低減する技術が開示されている。モールドパウダーの物性値を適正化したものであり、1300℃における粘度ηが2.0ポアズ以上、凝固温度Tc(℃)が1200℃以下で、かつTc≧1125+25×(η−1.5)の関係を満足するものである。
特開平6−190507号公報 特開平8−150454号公報 特開平9−277001号公報
これらの技術では、スラブ表面の微細な縦割れまでは防止できていなかったため、熱間圧延後にステンレス鋼板の表面を研削して、疵を除去するなど、歩留の低下や工程を追加して対応していた。すなわち、スラブ表面の微細な縦割れに関する課題は、残ったままであったと言える。
本発明の目的は、表面品質に優れた鋼のスラブを製造するために、鋳型表面に用いる連続鋳造用パウダーを提供することにある。特に、オーステナイト系ステンレス鋼のスラブ表面の縦割れを防止する連続鋳造用パウダーである。さらに、本連続鋳造用パウダーを用いた連続鋳造方法も提供する。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。液相線温度が1440〜1500℃のステンレス鋼を連続鋳造機で鋳込み、スラブを製造した。その後、熱間圧延工程、冷間圧延工程を経て、冷延板を製造した。このようにして製造したステンレス鋼の冷延板について、表面に観察された数mに渡る線状欠陥を採取して、その形成原因を研究した。欠陥からは、Fe、Crの酸化物が検出された。これは、ステンレス鋼に含有されるFe、Crが熱間圧延工程で酸化したスケールであることが分かった。この長い線状欠陥を形成するのは、元々スラブに縦割れが存在しているものと推定し、スラブ表面の観察を注意深く行った。その結果、目視ではスラブの表面には縦割れは見られなかった。表面を0.7mmほど研削した後も、目視では割れは見えなかった。そこで、浸透探傷試験を行うと、ようやく縦割れのインディケーションが現れた。
そこで、その縦割れが発生した位置を、研削する前のスラブ表面と照合したところ、鋳込み方向に凹みが見られた箇所に合致した。凹みは深さ1mmほどであり、幅は2mm程度、長さ3mほどのものであった。凹みが発生するのは鋳型内でスラグベアと呼ばれる、メニスカス上部に形成する連続鋳造用パウダーの焼結物の成長によることが明らかとなった。特に、凹みが発生する箇所は、数mmの焼結物が突起状に成長し、溶融パウダーの流入を阻害したため、スラブ表面に凹みが発生したことも分かった。この傾向は、スラブ形状が200mm厚みであり、比較的幅の広い1200〜1600mm幅のスラブを製造する際に発生率が高い傾向も明らかとなった。これは、鋳込み速度を500〜900mm/分と比較的遅くして鋳込む必要があり、鋳型内に注入された溶鋼の流速が低下しやすく、その結果、溶鋼の表面温度が低下しやすいためである。
そこで発明者らは、さらに改善のため研究を重ねた。すなわち、連続鋳造用パウダーの溶融状態、焼結性、粘度、結晶性を適正化する必要があると考えた。実機にて種々のパウダーを適用してスラブ表面性状を観察した。本発明は、以上の通り研究を通して完成したものであり、すなわち、以下に示すとおりである。
溶鋼の連続鋳造に用いるパウダーであって、CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%、C:3〜5%を含有するものからなり、塩基度が0.8〜1.5、1300℃における粘度が1〜2poise、凝固温度が1000〜1200℃であることを特徴とする連続鋳造用パウダーである。
また、上記連続鋳造パウダーは、かさ密度が0.5〜0.8g/cm2であるとより良い。上記連続鋳造用パウダーは、液相線温度が1440〜1500℃の鋼の連続鋳造に用いるのが好適である。さらに、上記連続鋳造用パウダーは、Fe-Cr-Ni鋼に用いると、より効果を発揮する。
さらに本発明では、上記連続鋳造パウダーを用いた連続鋳造方法も提案する。すなわち、溶鋼を引き抜き速度:500〜900mm/分、溶鋼の過熱度:20〜60℃の条件下で、上記の連続鋳造用パウダーを用いて連続鋳造する続鋳造方法である。
上記鋼は、以下mass%にて、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、Ni:20%以下、Cr:25%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなることが好ましい。
本発明によれば、鋼のスラブに発生する縦割れを防止することが可能であり、その結果、冷延板に発生する線状疵を軽減することが可能である。そのため、鋼板を歩留良く、安価に提供することが可能となる。特に、比較的広幅のFe-Cr-Ni系のステンレス鋼において、効果が大きい。
まず、本発明の連続鋳造用パウダーの化学成分限定理由を示す。以下の説明においては、「%」は「mass%」(「質量%」)を意味する。なお、基本的に、パウダーは溶鋼の熱によって溶融するものであるため、鋳型表面の溶鋼からの熱供給との関係は重要である。
CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%
上記の酸化物、弗化物、硫化物が本範囲内であれば、1300℃における粘度が1〜2poise、凝固温度が1000〜1200℃を満足する。なお、一例であるが、SはCaSO4、FはCaF2などで添加する。また、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に、パウダーのフィルムを形成し、その厚みが1〜2.5mmとなる。この1〜2.5mmのフィルムの内、鋳型側に0.1〜0.8mmの厚みの結晶相を形成する。その結晶はカスピダインとなり、鋳型への熱流束を適正に制御できるので最も好ましい。そして、焼結体の成長を抑制することが可能になり、縦割れの防止が図れる。このような観点から、CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%(好ましくは7〜10%未満)、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%に規定した。
C:3〜5%
Cは重要な役割を持つ。C粒子は上記の酸化物、弗化物、硫化物の間に存在しており、接触することによる溶融を防ぐ働きを持つ。つまり、Cが燃焼してガス化すると、C粒子が消えて、酸化物、弗化物、硫化物が接触し溶融を開始する。このように、C量を制御することにより、パウダーの溶融速度を制御することができる。3%未満だと溶融が速すぎて、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、研削歩留を低下させる。5%を超えて高いと溶融が遅すぎて、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入しなくなり、焼結体がメニスカスの凝固シェルに触れてしまう。これにより縦割れを引き起こす。また、ブレークアウトの危険も発生する。そのため、3〜5%と規定した。
塩基度(CaO/SiO2):0.8〜1.5
塩基度が低すぎると、凝固温度が1000℃より低くなってしまうと同時に、1300℃における粘度も1poise未満となり低くなる。さらに、パウダーフィルムの厚みが2.5mmを超えて厚くなると共に、結晶相が形成せずガラス化してしまう。ガラス化すると鋳型への熱流束が高くなり、強冷となって縦割れを助長してしまう。逆に、塩基度が高すぎると、凝固温度が1200℃を超えて高くなってしまうと共に、1300℃における粘度が2poiseを超えて高くなる。さらに結晶相が厚くなるので、凝固シェルと鋳型の潤滑が悪化する。つまり、塩基度(CaO/SiO2)が0.8〜1.5の範囲では、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に、パウダーのフィルムを形成し、その厚みが1〜2.5mmとなる。この1〜2.5mmのフィルムの内、鋳型側に0.1〜0.8mmの厚みの結晶相を形成する。その結晶はカスピダインとなり、鋳型への熱流束を適正に制御できる。そして、焼結体の成長を抑制することが可能になり、縦割れの防止が図れる。そのため、塩基度(CaO/SiO2)が0.8〜1.5の範囲に定めた。
1300℃における粘度:1〜2poise
1300℃における粘度が1poise未満だと、溶融パウダーの流動性が良すぎて、鋳型表面に溶融パウダープールを充分確保できず、焼結体がメニスカスに触れてしまう。そのため、縦割れを引き起こす。一方、1300℃における粘度が2poiseを超えて高いと、溶融パウダーの流動性が悪化するので、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入しなくなり、焼結体がメニスカスの凝固シェルに触れてしまう。また、ブレークアウトの危険もある。したがって、1300℃における粘度を1〜2poiseと定めた。
凝固温度:1000〜1200℃
凝固温度が1000℃未満であると、鋳型と凝固シェルの間に溶融パウダーが流入した際に形成するパウダーフィルム厚みが2.5mmを超えて厚くなり、鋳型への熱流束を適正に保てなくなる。さらに、焼結体を低温から形成することになるので成長してしまい縦割れを引き起こす。一方、凝固温度が1200℃を超えて高いと、スラグベアの発達を促し、焼結体を成長させてしまうため、縦割れを引き起こす。また、パウダーフィルムの厚みが1mm未満と薄くなるためブレークアウトの危険もある。そのため、凝固温度は1000〜1200℃と規定した。
パウダーのかさ密度:0.5〜0.8g/cm3
パウダーのかさ密度が0.5g/cm3未満だと、充填度合いが低いことを表す。この状態であると、上記の酸化物、弗化物、硫化物、C粒子の間隔が広くなるため、溶融速度を一定に保てなくなる。そのため、焼結体が形成する箇所、流入が速い箇所などアンバランスが生じ、結果的に縦割れを引き起こす。逆に0.8g/cm3を超えて高い状態であると、充填度合いが高く、密に酸化物、弗化物、硫化物、C粒子が接触する状態となる。その結果、C粒子が燃焼すると、酸化物、弗化物、硫化物粒子が早期に接触して、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。したがって、パウダーのかさ密度は0.5〜0.8g/cm3とした。なお、このかさ密度は、容器に粉末を充填した後、圧縮をしない自然充填の状態での密度を意味する。
上記連続鋳造用パウダーは、液相線温度が1440〜1500℃の鋼の連続鋳造に用いるのが好適である。液相線温度が1440℃未満の溶鋼に適用すると、本発明のパウダーは充分溶融しない。また、液相線温度が1500℃を超えて高い溶鋼に適用すると、溶融しすぎてしまう。つまり、上記の物性を持つパウダーは、液相線温度が1440〜1500℃の溶鋼の連続鋳造に適用するのが好ましい態様である。特に、ステンレス鋼に代表されるFe-Cr-Ni鋼に用いると、より顕著な効果を発揮する。特に、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、Ni:20%以下、Cr:25%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなる溶鋼に適用すると最も効果を発揮する。
上記鋼について説明する。Cは強度を保つのに有効な元素であり、Si、Mnは脱酸剤として有用な元素である。また、Niはオーステナイト相を安定化する元素として有用である。Crは耐食性を向上するために有用な元素である。
さらに本発明では、上記連続鋳造パウダーを用いた連続鋳造方法も提案する。すなわち、溶鋼を引き抜き速度:500〜900mm/分、溶鋼の過熱度:20〜60℃の条件下で、上記の連続鋳造用パウダーを用いて連続鋳造する続鋳造方法である。
引き抜き速度:500〜900mm/分
引き抜き速度が500mm/分未満と遅いと、鋳型への溶鋼供給量が低下するので、熱供給が減る。それにより、パウダーの溶融を阻害し、焼結体を発達させ、縦割れを引き起こす。逆に900mm/分を超えて速いと、熱供給が多くなるので、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、引き抜き速度は500〜900mm/分とした。好ましくは、500〜700mm/分である。
溶鋼の過熱度:20〜60℃
溶鋼の過熱度は、タンディッシュにおける溶鋼温度を測定することにより制御する。ここでの過熱度は、鋼の液相線温度からの過熱度として定義する。これが20℃未満と低いと、パウダーの溶融を阻害し、焼結体を発達させ、縦割れを引き起こす。逆に60℃を超えて高いと、熱供給が多くなるので、パウダーの溶融が速くなる。その結果、早期に焼結体を形成するため、縦割れを引き起こすと同時に、オシレーションマークが深くなりすぎる。そのため、溶鋼の過熱度は20〜60℃とした。
実施例を示して本発明の効果を明確にする。表1に溶鋼成分とその液相線温度、連続鋳造パウダー成分と物性値、連続鋳造条件ならびにスラブ表面品質の評価結果を示す。溶鋼は70トンの容量であり、精錬を行い、成分を整えた後に、取鍋にて連続鋳造機に運ばれたものである。連続鋳造機の鋳型サイズは、200mmの厚みで、幅は1600mmと統一して、長さ7.65mのスラブの鋳造を行った。
ここで各成分および物性値の測定方法を記す。
溶鋼成分:
蛍光X 線分析装置により定量分析した。なお、表1に示した残部は、Feならびに、P、S、Cu、O、N等の不可避的不純物である。
液相線温度:
同じ溶鋼組成を持つ合金を、5kgの高周波誘導炉で溶解して、電源をオフにした。その後、アルミナの保護管にR型熱電対を入れて、溶鋼の中心に挿入した。この時の冷却温度履歴から、凝固潜熱を発する時に温度低下停滞部を読み取ることで測定した。
連続鋳造パウダー成分:
パウダー中に含まれるC量は、C源として添加したC原料の重量比から求めた。また、それ以外の成分の組成は、化学分析により定量分析した。なお、表2中に示した各成分の合計が100%未満であるのは、これらの成分以外にも、MgO、P2O5、K2O等の不可避的不純物を含むことなどのためである。
パウダーの粘度および凝固温度:
パウダーの粘度は、回転円筒法により測定した。すなわち、鉄坩堝にパウダーを装入し、縦型抵抗炉内で1300℃に加熱して溶解し、鉄製のロータを挿入して、回転したときの負荷から粘度を測定した。次いで、上記粘度測定後、温度を降下していき、急激に粘度の値が高くなる温度を凝固温度とした。
パウダーのかさ密度:
予め体積の分かっている容器に、パウダーを静かに入れた。その時の重量を精密に測定してかさ密度を求めた。
スラブの縦割れ:
スラブを研削したあと、浸透探傷試験を実施して縦割れの有無を評価した。研削量は一律0.8mmとして等価な評価を行った。評価結果は以下の通りとした。ここでの縦割れ長さは、複数の割れが見られた場合には、それら全てを合計して総長さとして評価した。
○:縦割れなし
△:縦割れ長さ≦1m/スラブ
×:縦割れ長さ>1m/スラブ
なお、1スラブ(7.65m)毎の縦割れ長さが≦1mであると、その後の処理が縦割れ部分のみを対象とした部分研削で済み、>1mであると、スラブ全面研削を要するようになると経験的に分かっており、スラブ製造コスト(歩留まり)において重大な差が生じる。
本発明では、鋳造終了後のパウダーフィルムの厚み、結晶相なども計測している。厚みはマイクロメータで計った。その後、パウダーフィルムを樹脂に埋め込み、断面を研磨し金蒸着した。結晶相はSEM(電子顕微鏡)にEDS(エネルギー分散型表面分析装置)が付随した装置にて、観察および測定を行い求めた。
Figure 0006838997
以下に発明例について説明する。No.1〜4では、パウダー成分、物性値、鋳造条件が全て本発明の範囲を満たしたため、スラブの縦割れは観察されず良好な結果(○)を得た。No.5〜7の例は、いずれもパウダー成分は範囲を満たしていたが、一部好ましい範囲を外れた項目があった。No.5はパウダーのかさ密度が高かったために、△の評価となった。No.6はパウダーのかさ密度が低かったために、△の評価となった。No.7は溶鋼の液相線温度が高くなってしまい、△の結果となった。
次に比較例について説明する。No.8はパウダーのCaO、SiO2、Na2O含有量が範囲を外れて、かつ塩基度が高かった。そのため、粘度と凝固温度が高く外れたために、溶融パウダーの流入が少なくなったと同時に、結晶相も厚くなりすぎて、結果的に×となってしまった。
No.9はNa2O、Al2O3、Li2O、Fe2O3、S、Fが範囲を外れたため、粘度と凝固温度が低くなった。また、C含有量も低かった。さらに、かさ密度も高く、かつ、溶鋼の過熱度も高かった。そのため、パウダーが溶融しすぎてしまい、×の結果となった。
No.10は、溶鋼の液相線温度が高かったことと、パウダー中のCaO、SiO2、Fe2O3、Sが範囲を外れた。さらに塩基度が低くなったために、粘度、凝固温度とも低くなった。また、かさ密度も低く外れた。結果的に、パウダーが溶融しすぎると共に、アンバランスとなり、×の評価となった。
No.11は、パウダーの成分、物性値は範囲を満たしていたが、引き抜き速度が遅すぎたために、鋳型への溶鋼供給量が少なく、パウダーの溶融が悪化した。その結果、×の評価となった。
No.12は、C含有量が高く、かつ溶鋼の過熱度が低すぎたため、パウダーの溶融が阻害された。その結果、×の評価となった。
No.13は、Li2O含有量が高く、凝固温度が低く外れた。また、引き抜き速度が高すぎたために、パウダーの溶融が速くなってしまった。そのため、×の評価となった。
No.14は、パウダー成分と物性値は範囲を満足したものの、溶鋼の液相線温度が低すぎたために、パウダーが充分に溶融しなかった。そのため、×の評価となった。
No.15は、Na2O、Al2O3、Fが範囲を外れて、粘度が高く、凝固温度も高くなった。さらに、かさ密度も低かった。そのため、スラグベアが発達したと共に、溶融状態もアンバランスとなってしまった。そのため、×の評価となった。
本発明によれば、縦割れのないスラブを得ることが可能となり、鋼、特に、オーステナイト系ステンレス鋼の歩留まり向上に寄与する。

Claims (6)

  1. 溶鋼の連続鋳造に用いるパウダーであって、mass%にて、CaO:30〜40%、SiO2:30〜40%、Na2O:7〜12%、Al2O3:2〜5%、Li2O:0.1〜1%、Fe2O3:0.1〜1%、S:0.01〜0.1%、F:3〜10%、C:3〜5%を含有するものからなり、塩基度が0.8〜1.5、1300℃における粘度が1〜2poise、凝固温度が1000〜1200℃であることを特徴とする連続鋳造用パウダー。
  2. 前記連続鋳造パウダーは、かさ密度が0.5〜0.8g/cm2であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造用パウダー。
  3. 前記連続鋳造用パウダーは、液相線温度が1440〜1500℃の鋼の連続鋳造に用いることを特徴とする請求項1または2に記載の連続鋳造用パウダー。
  4. 前記連続鋳造用パウダーは、Fe-Cr-Ni鋼の鋳造に用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の連続鋳造用パウダー。
  5. 溶鋼を引き抜き速度:500〜900mm/分、溶鋼の過熱度:20〜60℃の条件下で、請求項1〜4のいずれかに記載の連続鋳造用パウダーを用いて連続鋳造することを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
  6. 前記鋼は、以下mass%にて、C:0.5%以下、Si:1%以下、Mn:2%以下、Ni:20%以下、Cr:25%以下、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項5に記載の鋼の連続鋳造方法。
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