JP3958787B1 - 連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 未だ実施例の無い中空鋳片を圧接して中実鋳片を造る連続鋳造方法において、実生産規模の操業技術開発のリスクを解消する。
【解決手段】 湾曲式連続鋳造で3/4円周と直進から成る引抜軌跡において中空鋳片圧接方式が可能な設備設計を行う。該設備において鋳型寸法・形状、引抜速度を適切に設定して鋳片中心部まで完全に凝固させる。鋳造能率確保のため鋳片断面アスペクト比等を最適化する。過小円弧半径に対して曲げ歪みを解消するため圧延伸直を作用させる。
以上により従来の通常生産と、新規方法の生産を適宜切り替える。
【選択図】 図1
【解決手段】 湾曲式連続鋳造で3/4円周と直進から成る引抜軌跡において中空鋳片圧接方式が可能な設備設計を行う。該設備において鋳型寸法・形状、引抜速度を適切に設定して鋳片中心部まで完全に凝固させる。鋳造能率確保のため鋳片断面アスペクト比等を最適化する。過小円弧半径に対して曲げ歪みを解消するため圧延伸直を作用させる。
以上により従来の通常生産と、新規方法の生産を適宜切り替える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、鋼の湾曲式連続鋳造方法に関している。
溶鋼から鋼片を製造するに際して、連続鋳造方法の採用により総合コストは大幅に低減されているが問題も多々ある。例えば、スラブの場合設備費が極めて大きい。断面形状を問わず中心偏析、多孔質、内部ワレ等連続鋳造固有の欠陥も充分解決されていない。
特許文献1,特許文献2には、1)鋳造能率を飛躍的に向上させ、且つ2)内部欠陥を解消する連続鋳造方法が提起されている。その原理は、『溶鋼が鋳型に鋳込まれ外皮が形成された鋳片を鋳型から下方に円弧に沿って連続的に引抜き、該鋳片中心部が凝固するまでに半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)を越えて上方に引抜くことによって中空鋳片を形成し、次ぎに圧接圧延機により該鋳片を圧下して内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法』である。
品質に関して、凝固終点が無いことから芯部欠陥は解消され、且つ実質柱状晶から成りより均質になる。
操業に関して凝固区間長さが従来方法と同一の場合には鋳造能率は数倍に向上する。
品質に関して、凝固終点が無いことから芯部欠陥は解消され、且つ実質柱状晶から成りより均質になる。
操業に関して凝固区間長さが従来方法と同一の場合には鋳造能率は数倍に向上する。
特許文献3には、該連続鋳造方法の構造が低機高であり、溶解炉から鋳片搬出までの一連の物流を一新させることが開示されている。鋳片引抜軌跡は3/4円周と以後の水平引き出しから成る。該方法によると溶解炉の直下で溶鋼を受けた台車上のレードルはGL(グランドレベル)を走行する該台車から直接連続鋳造機内のレードル架台に移送・懸架される。鋳片は湾曲して地下1階の最下点を通過した後上昇して地上2階の3/4円周点で伸直され水平走行する。
当該方法の場合、1)通常の連続鋳造方法では不可欠であるレードル・クレーンは不要となる。2)従って製鋼工場の建屋は極めて軽量、低設備費になる。3)レードルハンドリングの自動化が容易になる。4)物流の交錯する溶解炉と鋳造機間のレイアウトが簡素、安全になる。5)鋳片の搬出と圧延床が同一レベルになりメンテナンスが容易等の効果が生まれる。
当該方法の場合、1)通常の連続鋳造方法では不可欠であるレードル・クレーンは不要となる。2)従って製鋼工場の建屋は極めて軽量、低設備費になる。3)レードルハンドリングの自動化が容易になる。4)物流の交錯する溶解炉と鋳造機間のレイアウトが簡素、安全になる。5)鋳片の搬出と圧延床が同一レベルになりメンテナンスが容易等の効果が生まれる。
特許文献4には、該連続鋳造方法に改良を加えた新規方法によりスラブから任意の寸法のブルーム、ビレットを効率よく低コスト、高能率で製造する方法が開示されている。
当該方法により鋳片断面寸法は製鋼工程にとって最適形状とし、サイジング・ミルにより圧延にとって最適形状に調節することができる。
当該方法により鋳片断面寸法は製鋼工程にとって最適形状とし、サイジング・ミルにより圧延にとって最適形状に調節することができる。
特許文献5には、当該方法においてスラブ状の中空鋳片の長片と短片の両方向を同時に圧下・圧接してビームブランクを効率的に製造する方法が開示されている。
特許文献6には当該方法に改良を加えて同心的組織に改質して精密焼入鋼とする方法が開示されている。
特許文献6には当該方法に改良を加えて同心的組織に改質して精密焼入鋼とする方法が開示されている。
以上の如く該連続鋳造方法は極めて優れた特徴と大きな効果が期待される革新的方法であるにもかかわらず未だ実用されていない。その理由は、研究開発段階は完了しているが量産技術の開発のためには実生産規模(50〜100t/h)の設備による開発と操業経験の蓄積が必要であり、そのための初期設備費用及び実験操業費用の負担とリスクの双方を過大視するためである。従って該リスクを下げ、負担が負担とならずに生産にそのまま寄与することができれば極めて好都合である。
上記のように、該革新的連続鋳造方法『溶鋼が鋳型に鋳込まれ外皮が形成された鋳片を鋳型から下方に円弧に沿って連続的に引抜き、該鋳片中心部が凝固するまでに半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)を越えて上方に引抜くことによって中空鋳片を形成し、次ぎに圧接圧延機により該鋳片を圧下して内面を互いに圧接して中実鋳片とする連続鋳造方法』の実用化は、実操業技術の開発に当たり初期設備費用と実験操業費用に対する大きな負担とリスクのため停滞しており、本発明は該負担とリスクを大幅に軽減することを課題とする。
上記問題の解決のため以下の基本的な策が講じられる。
1) 該革新的連続鋳造方法と同様の構造の連続鋳造機を使用し、
2) 適切な鋳造条件のもとで一般的な完全凝固方式の連続鋳造鋳片を日常生産に供し、3) 鋳造条件を変更して該革新的方法による実生産規模の生産試験を適宜行う。
1) 該革新的連続鋳造方法と同様の構造の連続鋳造機を使用し、
2) 適切な鋳造条件のもとで一般的な完全凝固方式の連続鋳造鋳片を日常生産に供し、3) 鋳造条件を変更して該革新的方法による実生産規模の生産試験を適宜行う。
本発明は、鋳型から下方に円弧に沿って連続的に引き抜かれた鋳片が最下点Mを超えて上向きに転じ3/4円周点Tにおいて伸直されて水平に引き出される引抜軌跡をもつ鋼の連続鋳造方法において、1)円弧半径Rを3〜5mとし、2)鋳片中心部が凝固する位置を3/8円周点Pと1/2円周点+1.4mの位置Q点の間とし、3)T点において一対のロールにより圧下率2%以上の圧下を作用させつつ伸直することを特徴とする連続鋳造方法である。
又本発明において鋳造能率の増強を鋳片断面アスペクト比の増加によって図ることを特徴とする連続鋳造方法である。
又本発明において鋳造能率の増強を鋳片断面アスペクト比の増加によって図ることを特徴とする連続鋳造方法である。
上記の発明によると同一連続鋳造機でそれぞれ適切な鋳造条件を設定することにより一般的な完全凝固方式の連続鋳造と中空鋳片圧接方式の革新的連続鋳造の双方を実生産規模の生産能率で操業することができる。前者では製品は日常生産に供され、後者の操業では量産上の問題点の摘出や改善策の探求が容易になる。即ち生産しつつ適宜新技術開発に利用でき、しかも開発された技術によりそのまま新製品として量産化に移行することが容易になる。
第2の効果として、従来方式の生産にもかかわらず特許文献3に開示された上下及び水平レイアウト上の効果が得られる。即ち、1)通常の連続鋳造方法では不可欠であるレードル・クレーンは不要となる。2)従って製鋼工場の建屋は極めて軽量、低設備費になる。3)レードルハンドリングの自動化が容易になる。4)物流の交錯する溶解炉と鋳造機間のレイアウトが簡素、安全になる。5)鋳片の搬出と圧延床が同一レベルになりメンテナンスが容易等の効果が生まれる。
以下実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する連続鋳造方法を例示する概略側面図である。
タンディシュ1から溶鋼2が長方形断面の湾曲鋳型3に鋳込まれる。鋳型3により外皮が形成された鋳片4はピンチロール6により下方に円弧に沿って引き抜かれ、2次冷却帯5を貫通して一層冷却され、3/8周点Pを超え、半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)Q点を越えて上方に引抜かれ、3/4周点Tより配置された伸直機7により伸直され且つ水平に引き出され、切断機8により切断されて鋼片とされる。
図1は本発明を実施する連続鋳造方法を例示する概略側面図である。
タンディシュ1から溶鋼2が長方形断面の湾曲鋳型3に鋳込まれる。鋳型3により外皮が形成された鋳片4はピンチロール6により下方に円弧に沿って引き抜かれ、2次冷却帯5を貫通して一層冷却され、3/8周点Pを超え、半円を越えさらに鋳込面から大気圧相当静鉄圧高さ(約1.4m)Q点を越えて上方に引抜かれ、3/4周点Tより配置された伸直機7により伸直され且つ水平に引き出され、切断機8により切断されて鋼片とされる。
上記連続鋳造方法において円弧半径Rは3〜5mに設定される。鋳片中心部の凝固がP点とQ点の間で終了するよう鋳型寸法(直径又は短辺寸法)に対応して引抜速度Vと2次冷却帯の冷却強度を調節する。機長(=鋳込面から凝固終了点までの長さ)Lはπ×R+1.4mとなる。鋳片中心まで凝固するので中実鋳片10が引き抜かれ伸直機7に案内される。
該伸直機7は前後2台以上のロール対から成り、先頭ロール対はT点に配置され圧延機9として機能する。2番ロール以後は該圧延機9と相互に作用して曲がりを矯正し案内する機能を持つ。中実鋳片10の伸直に際して圧延機9により2%以上の圧下率で圧下しつつ矯正する。
本発明では鋳造能率は通常の生産水準が確保されることが前提条件になる。鋳造能率に直結する機長は既述の湾曲半径の大きさに起因して従来の高能率連続鋳造機より小さい。その結果能率には不利になる。対策として鋳型断面寸法が適切に設定される。能率向上には長方形が望ましく断面アスペクト比が決定的条件となる。
以上の設備と作業方法により従来と同様の完全凝固方式の連続鋳造が従来同様の鋳造能率で行われる。
以上の設備と作業方法により従来と同様の完全凝固方式の連続鋳造が従来同様の鋳造能率で行われる。
図2に示すように、上記設備において鋳型寸法(短辺寸法又は直径)と引抜速度と2次冷却帯冷却強度の3者を適切に組み合わせると、凝固はQ点で終了せずQ点以後では溶融芯11が離脱して中空鋳片12となる。該中空鋳片は圧延機9により圧下されて凝固殻内面が互いに圧接して中実鋳片13となる。即ち本発明の連続鋳造方法は鋳造条件の変更のみにより容易に公知の中空鋳片圧接方式の連続鋳造方法に転用可能となる。
以下発明の主旨、要素、特定された条件等の背景、理由、根拠等を説明する。
1基の連続鋳造機で2方式の連続鋳造方法が容易に切替できる操業、即ち一方で飛躍的品質向上と能率向上が期待できる中空圧接方式を使用し、他方で従来の品質と能率を持つ完全凝固方式を操業する理由は以下である。
前者方式に関して開発基礎は完了しているが未だ実用されていない。実生産規模により操業技術の開発、改良、蓄積が必要だが、開発試験だけの設備としては余りに割高でリスクを強く感ずるからである。試験機が従来同様の日常生産に問題なく共用できるならリスク軽減策として極めて効果的である。本発明の主旨・目的はここに在る。
1基の連続鋳造機で2方式の連続鋳造方法が容易に切替できる操業、即ち一方で飛躍的品質向上と能率向上が期待できる中空圧接方式を使用し、他方で従来の品質と能率を持つ完全凝固方式を操業する理由は以下である。
前者方式に関して開発基礎は完了しているが未だ実用されていない。実生産規模により操業技術の開発、改良、蓄積が必要だが、開発試験だけの設備としては余りに割高でリスクを強く感ずるからである。試験機が従来同様の日常生産に問題なく共用できるならリスク軽減策として極めて効果的である。本発明の主旨・目的はここに在る。
上記目的からどちらの方式で操業するにしろ鋳造能率は実生産規模(例:50〜100t/h、一部特殊鋼では20〜30t/h)が前提となる。中空方式の場合の鋳造能率は特許文献1及び2に開示されているように、円弧半径Rが4.5mあれば鋳片断面形状が円形、正方形、長方形ともに上記能率は容易に得られると開示されている。
従って第1の問題として完全凝固方式の場合においても実用的条件下において上記能率が得られることを証明しなければならない。
従って第1の問題として完全凝固方式の場合においても実用的条件下において上記能率が得られることを証明しなければならない。
完全凝固方式の場合の鋳造能率Pcは以下の計算に基づいて設定される。
鋳造能率Pc=鋳片断面積S×密度ρ×引抜速度V
鋳片断面積S=(鋳片短辺寸法B)2×鋳片断面アスペクト比β
引抜速度V=機長L/凝固時間t
即ち鋳片寸法に対して凝固時間が解れば能率は容易に算出される。
鋳造能率Pc=鋳片断面積S×密度ρ×引抜速度V
鋳片断面積S=(鋳片短辺寸法B)2×鋳片断面アスペクト比β
引抜速度V=機長L/凝固時間t
即ち鋳片寸法に対して凝固時間が解れば能率は容易に算出される。
まず凝固殻厚式を検討する。片側無限の1次元凝固の場合、周知の如く殻厚dは時間tと(1)式の関係になる。比例係数kは冷却強さに依存する凝固定数である。
d=k√t −−−−−−−−−−(1)
実際の連続鋳造ではほぼ2次元凝固になるので上式は正確ではない。凝固速度は鋳型断面形状によっても異なる。正方形の場合上式は殻厚比(=既凝固厚/終局凝固厚)が約0.5までは近似することができる。
d=k√t −−−−−−−−−−(1)
実際の連続鋳造ではほぼ2次元凝固になるので上式は正確ではない。凝固速度は鋳型断面形状によっても異なる。正方形の場合上式は殻厚比(=既凝固厚/終局凝固厚)が約0.5までは近似することができる。
円断面鋳片の2次元凝固の近似式は中空円柱の定常伝熱式(2)から誘導される。
Q=2πλ(θ1−θ2)/(lnr1−lnr2)−−−(2)
ここで、Q:半径方向熱流束、λ:熱伝導率、θ1 :内面温度、θ2:外面温度、r1,2:内、外半径である。微小時間Δtで微小殻厚Δrの凝固が進む。
冷却表面温度Tsを一定とし、λ(Tm−Ts)/H/ρ=Kとすると
r×ln(Ro/r)×Δr=K×Δt −−−−(3)
ここで、Tm:凝固殻内面温度、Ts:鋳片表面温度、H:凝固潜熱、ρ:密度、r:凝固殻内面半径、Ro:鋳片断面半径である。
(3)式は該近似式であり、逐次計算法により凝固の進行を算出することができる。
Q=2πλ(θ1−θ2)/(lnr1−lnr2)−−−(2)
ここで、Q:半径方向熱流束、λ:熱伝導率、θ1 :内面温度、θ2:外面温度、r1,2:内、外半径である。微小時間Δtで微小殻厚Δrの凝固が進む。
冷却表面温度Tsを一定とし、λ(Tm−Ts)/H/ρ=Kとすると
r×ln(Ro/r)×Δr=K×Δt −−−−(3)
ここで、Tm:凝固殻内面温度、Ts:鋳片表面温度、H:凝固潜熱、ρ:密度、r:凝固殻内面半径、Ro:鋳片断面半径である。
(3)式は該近似式であり、逐次計算法により凝固の進行を算出することができる。
図3は円断面鋳片の各種の直径について2次元凝固式(3)による凝固の進行を1次元凝固式(1)と比較して示す。凝固の前半は両曲線は近似するが後半では急速に乖離し、凝固終了時間はどの寸法でも約0.5倍になる。
図4は直径160mmの円断面鋳片と厚さ160mmの鋳片の凝固の進行を1次元凝固と比較して示す。
正方形断面の凝固の進行は円断面の場合と1次元の場合の間、長方形では更に正方形と1次元凝固の間に位置することは容易に推測される。正方形の場合の凝固殻の内側形状を実際のブレイクアウト鋳片から実測すると殻厚比0.7でほぼ円形になっている。計算と実態から凝固終了時間は1次元凝固の約0.7倍と概算される。ここから長方形では約0.8と見なされる。
凝固終了時間のみを問題として途中経過を無視するなら、断面形状に対応した凝固係数kと該k値の基づく凝固時間tを算出する簡単な近似式が代用される。
正方形断面の凝固の進行は円断面の場合と1次元の場合の間、長方形では更に正方形と1次元凝固の間に位置することは容易に推測される。正方形の場合の凝固殻の内側形状を実際のブレイクアウト鋳片から実測すると殻厚比0.7でほぼ円形になっている。計算と実態から凝固終了時間は1次元凝固の約0.7倍と概算される。ここから長方形では約0.8と見なされる。
凝固終了時間のみを問題として途中経過を無視するなら、断面形状に対応した凝固係数kと該k値の基づく凝固時間tを算出する簡単な近似式が代用される。
即ち、片側無限1次元凝固の凝固定数kを断面形状に対応してk1,k2,k3に修正すればよい。図4と各種実測データから修正して結果のみを示すと以下になる。
円断面 k1=1/√0.5×k=1.4k −−−−−−−−(4)
正方形 k2=1/√0.7×k=1.2k −−−−−−−−(5)
長方形 k3=1/√0.8×k=1.1k −−−−−−−−(6)
各形状の凝固時間tは上記式から誘導される。
円断面 t1=D2/4k1 2 −−−−−−−−(7)
正方形 t2=B2/4k2 2 −−−−−−−−(8)
長方形 t3=B2/4k3 2 −−−−−−−−(9)
各形状の鋳造能率Pは同様に上記式ら誘導される。
円断面 P1=πρk1 2L −−−−−−−−(10)
正方形 P2=4ρk2 2L −−−−−−−−(11)
長方形 P3=4ρk3 2Lβ −−−−−−−−(12)
ここでDは直径、Bは短辺厚、ρは鋼密度、Lは機長、βは長方形のアスペクト比を表す。
式の構造から鋳造能率は鋳片断面寸法に無関係と解る。
円断面 k1=1/√0.5×k=1.4k −−−−−−−−(4)
正方形 k2=1/√0.7×k=1.2k −−−−−−−−(5)
長方形 k3=1/√0.8×k=1.1k −−−−−−−−(6)
各形状の凝固時間tは上記式から誘導される。
円断面 t1=D2/4k1 2 −−−−−−−−(7)
正方形 t2=B2/4k2 2 −−−−−−−−(8)
長方形 t3=B2/4k3 2 −−−−−−−−(9)
各形状の鋳造能率Pは同様に上記式ら誘導される。
円断面 P1=πρk1 2L −−−−−−−−(10)
正方形 P2=4ρk2 2L −−−−−−−−(11)
長方形 P3=4ρk3 2Lβ −−−−−−−−(12)
ここでDは直径、Bは短辺厚、ρは鋼密度、Lは機長、βは長方形のアスペクト比を表す。
式の構造から鋳造能率は鋳片断面寸法に無関係と解る。
図5は上記式から得られた鋳造能率に及ぼす円弧半径と鋳片断面アスペクト比の影響を示す。図からR=4mの場合、円形、正方形とも25t/h程度しか得られない。他方アスペクト比を2以上の長方形にすると凝固時間が多少増加して引抜速度は低下させなければならないが断面積はアスペクト比に比例して増加するので容易に必要能率が得られる。
以上の説明から3/4円周と直線から成る引抜軌跡を持つ連続鋳造方法において、円弧半径が約4mもあれば、中空圧接方式の場合は鋳片断面形状にかかわらず50t/h以上の鋳造能率が得られ、他方完全凝固方式の場合には断面を適切な長方形にすることにより同等の能率が得られる。
鋳片断面形状が鋼片の所望断面形状と異なる場合には、特許文献4に開示されたサイジング工程を後続させれば任意の断面寸法に修正することができる。
鋳片断面形状が鋼片の所望断面形状と異なる場合には、特許文献4に開示されたサイジング工程を後続させれば任意の断面寸法に修正することができる。
第2の問題として円弧半径に関わる問題点について検討する。湾曲式連続鋳造方法では曲げを伸直する際湾曲内面は引張加工される。鋳片表皮が脆弱な場合ワレが発生する。その防止のため湾曲半径の大きさが規制される。その値は製造品種と要求水準に依存するが通常1%以下に設計される。多段に矯正して曲げ歪みをより一層小さく制限することもある。垂直に鋳込んで曲げる場合も全く同様である。
曲げ歪みは次式により算出される。
曲げ歪み=鋳片厚さ/円弧直径
現在実用されている連続鋳造機の円弧半径は上記条件に従い6m以上で設計されている。
既述の特許文献一連の新方式連続鋳造方法の湾曲半径Rは従来の湾曲式に対して相対的に小さいと言う特徴がある。実施上6m以下が妥当である。既述の関連特許文献では当曲げ歪みの問題は言及ないし開示がなされてこなかった。
曲げ歪み=鋳片厚さ/円弧直径
現在実用されている連続鋳造機の円弧半径は上記条件に従い6m以上で設計されている。
既述の特許文献一連の新方式連続鋳造方法の湾曲半径Rは従来の湾曲式に対して相対的に小さいと言う特徴がある。実施上6m以下が妥当である。既述の関連特許文献では当曲げ歪みの問題は言及ないし開示がなされてこなかった。
本発明では当曲げ問題は圧延により解決される。即ち伸直に当たり単純曲げ加工とせずにT点において圧延を付加する。長方形断面の場合の圧延では、拡幅は大きくないので圧下の大部分が延伸になり、曲げによる円弧内側表面の引張応力を解消ないし軽減する。
厳密には脆弱部が開口するのは引張応力そのものではなく該応力勾配である。圧延により表皮全体が延伸するので該勾配は小さくなり開口を抑制する。
厳密には脆弱部が開口するのは引張応力そのものではなく該応力勾配である。圧延により表皮全体が延伸するので該勾配は小さくなり開口を抑制する。
本発明において円弧半径Rを3〜5mと特定した理由は、中空圧接方式の連続鋳造方法を実施するに当たっての適正条件に相当しており、且つ従来の完全凝固方式も諸施策により実生産に適する範囲であるからである。5mを超えると後者の方式に対しては余裕を持つことができるが、前者に対しては設備・作業とも冗長になる。3m未満では後者の方式では生産能率が低下して実用的ではない。
凝固終点の位置をPQ間と特定した理由は、P点より上流では機長が不足し、鋳造能率が不足する。Q点より下流ではQ点で溶融芯が離脱し、空洞が生成され先行の中空圧接方式に該当するからである。
圧下率を2%以上とした理由は以下である。鋳片曲げ歪みは既述の円弧半径と想定される鋳片厚から1〜4%になる。該歪みを従来同様1%以下に低下させるには圧延が有効である。圧下率が10%以下の場合、圧下歪みの多くは延伸歪みになる。長方形断面では拡幅は僅かでほとんど延伸になる。圧延応力は表皮部では圧延方向には圧縮である。従って圧縮されつつ延伸し、曲げ引張り歪みを積極的に緩和する。圧下率が2%未満でも条件次第で有効だが製造条件の変動を勘案し下限を2%とした。上限は特に設けないが連続鋳造インライン圧延の事例から10〜30%が実施されている。
曲げにおいてワレが出やすい、又は再加熱後の圧延において表面割れの出やすいAl,Ti,B等を添加した鋼種にも上記対策は有効であるが、ロール表面を凹凸加工して鋳片表皮の圧縮歪みをミクロ的に増加させると、又は更に再結晶させるとより効果的になる。
本発明の実態を裏返すと、中空鋳片圧接方式の連続鋳造機を使用しつつ、該方法に比較して低鋳造能率で且つ低品質になる従来の完全凝固方式の作業を改良し、確実・妥当に実施することにある。あえて進歩から後退するような方法を採用する理由は、既述されたように従来同様の日常生産を維持しつつ革新的な前者の方法の操業技術を開発するためである。
中空圧接方式は原則として単ストランドで設計される。従来方式は必要鋳造能率を確保するため通常多ストランドで設計される。本発明は発明の主旨から単ストランドである。
実施例として実験例ではないが、設計条件と期待性能を整理した結果を従来の事例と比較して表1に示す。表から鋳片短辺厚、鋳片断面アスペクト比、引抜速度及び冷却強度を適切に設定することにより両方式の連続鋳造方法が実生産規模でなし得ることが解る。
上記の表において、中空圧接の場合、2次冷却帯の冷却強度を弱く設定して引抜速度は多少下げている。本発明の場合には引抜速度は可能上限に近い値を採用している。
従来方式の引抜速度は設備性能より多少小さく設定されている。その理由は鋳片品質に絡むものである。
従来方式の引抜速度は設備性能より多少小さく設定されている。その理由は鋳片品質に絡むものである。
本発明の連続鋳造方法によると、従来同様の製品が従来同様の鋳造能率で生産することができる。鋳造条件を適切に組み合わせると革新的な中空鋳片圧接方式の連続鋳造方法が実生産規模で実施することができる。その結果後者の操業技術が開発され実用化と普及が加速される。開発・改良に併行して製品・製造が旧方式から新方式に順次移行し、品質向上・新製品開発等が進展する。実質的に経営上のリスクが無く新方式を採用することができる。
1:タンディシュ 2:溶鋼 3:鋳型 4:鋳片 5:2次冷却帯 6:ピンチロール 7:伸直機 8:切断機 9:圧延機 10:中実鋳片 11:溶融芯 12:中空鋳片 13:中実鋳片
Claims (2)
- 鋳型から下方に円弧に沿って連続的に引き抜かれた鋳片が最下点Mを超えて上向きに転じ3/4円周点Tにおいて伸直されて水平に引き出される引抜軌跡をもつ鋼の連続鋳造方法において、1)円弧半径Rを3〜5mとし、2)鋳片中心部が凝固する位置を3/8円周点Pと1/2円周点+1.4mの位置Q点の間とし、3)T点において一対のロールにより圧下率2%以上の圧下を作用させつつ伸直することを特徴とする連続鋳造方法。
- 鋳造能率即ち単位時間あたりに引き抜かれる鋳片の質量の増強を鋳片断面アスペクト比の増加によって図ることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造方法。
Priority Applications (1)
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