JP5683061B2 - 厚板材の連続鋳造方法 - Google Patents

厚板材の連続鋳造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5683061B2
JP5683061B2 JP2008097717A JP2008097717A JP5683061B2 JP 5683061 B2 JP5683061 B2 JP 5683061B2 JP 2008097717 A JP2008097717 A JP 2008097717A JP 2008097717 A JP2008097717 A JP 2008097717A JP 5683061 B2 JP5683061 B2 JP 5683061B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reduction
roll
slab
rolling
casting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2008097717A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009248115A (ja
Inventor
等 中田
等 中田
一之 堤
一之 堤
文樹 浅野
文樹 浅野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kobe Steel Ltd filed Critical Kobe Steel Ltd
Priority to JP2008097717A priority Critical patent/JP5683061B2/ja
Publication of JP2009248115A publication Critical patent/JP2009248115A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5683061B2 publication Critical patent/JP5683061B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Continuous Casting (AREA)

Description

本発明は、厚板材の連続鋳造方法に関する。
この種の技術として特許文献1は、炭素濃度が0.03〜0.6wt%のスラブ連鋳において、軸心部にザク、ポロシティの無い厚板用鋼材を製造することを目的として、所定の圧下開始位置から所定の圧下終了位置に至るまで、所定範囲内の圧下勾配で鋳片を圧下することを開示している。
また、特許文献2は本願の対象たるスラブとは大きく異なる断面のブルームの連続鋳造に関するものであるが、本特許文献2には、連続鋳片の偏析やセンターポロシティを減少させるための凝固末期の鋳片の圧下方法を開示している。
特開2007−290035号公報 特開平08−238550号公報
しかし、上記特許文献1には、操業条件については概略が示されているものの、通常の連鋳設備で圧下しても所定の効果が得られない。即ち、技術を達成させるための設備に関する説明がない。また、鋳片の幅方向のどの部位を圧下するかは記載がなく、従って、一般的な技術常識からすれば、鋳片の全幅を一様に圧下するものと考えられる。しかし、この場合、鋳片の幅方向端部が完全凝固しているため、もはや圧下できない幅方向端部に邪魔されるかたちで、鋳片の幅方向中央近傍は殆ど圧下できないと考えられる。
また、上記特許文献2は、あくまでブルーム連鋳に関する技術を開示するにとどまり、本願が対象としている鋳片(スラブ鋳片)の圧下に対して適用することは技術的に有意義ではない。
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、所定の圧下条件で鋳片を圧下するに際し、当該圧下に適した設備に関する条件を提供することにある。
課題を解決するための手段及び効果
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
炭素含有量C[wt%]を0.03〜0.60とし、鋳片厚みD[mm]を240〜310とし、鋳片幅W[mm]を1500〜2500とする鋳片を、鋳造経路に沿って配設した複数のロールで挟持しながら、鋳造速度Vc[m/min]を0.8〜1.4として連続鋳造するに際し、メニスカス距離M[m]を20〜25とする圧下開始位置から、メニスカス距離M[m]を26〜35とする圧下終了位置に至るまでの圧下区間で、圧下勾配G[mm/m]を0.8〜4.0とし、又は、総圧下量d[mm]がd/D≧0.015を満たすように前記鋳片を圧下する、厚板材の連続鋳造方法である。前記鋳片に対して実施する上記の圧下の、前記鋳片の幅方向における、端部は、前記鋳片の側面から前記鋳片の幅方向中央に向かってD/4〜D/2[mm]の範囲内に位置するものとし、上記の圧下に用いることが可能なロールとしての圧下ロールの本数は鋳造方向に沿って数えたときに4〜18本の範囲内であるものとし、(1)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロールの圧下量Δd[mm]を3.0以上とする場合は、(1.1.1)各圧下ロールをロール軸方向に分割しない非分割型とするとき、当該圧下ロールのロール径φg[mm]は550≦φg≦800を満たすものとし、(1.1.2)各圧下ロールをロール軸方向に3分割した分割型とするとき、当該圧下ロールのロール径φg[mm]は250≦φg≦800を満たすものとし、(1.2)各圧下ロールのコーナー部について、5.0以上の丸みR[mm]を付すか又は7.0以上の面取りC[mm]を付すものとする。(2)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロールの圧下量Δd[mm]を3.0未満とする場合は、当該圧下ロールのロール径φ[mm]は250≦φ≦400を満たすものとする。以上の方法によれば、ザクや中心偏析が抑制された厚板材を連続鋳造できる。また、各圧下ロールの圧下量Δd[mm]が3.0以上であっても、圧延後のヘゲや折れ込み疵の発生を防止できる。
(用語の説明)
・圧下勾配G[mm/m]は、鋳造方向に対するロール対の面間距離の減少勾配[mm/m]を意味する。即ち、鋳造経路の単位距離[m]におけるロール対の面間距離の減少量[mm]を意味する。図2は、圧下勾配の説明図である。本図に示されるように、メニスカス距離M(x)[m]〜メニスカス距離M(x+1)[m]間の圧下勾配G(x,x+1)[mm/m]は、メニスカス距離M(x)[m]に配されるロール対4(x)のロールギャップg(x)[mm]と、メニスカス距離M(x+1)[m]に配されるロール対4(x+1)のロールギャップg(x+1)[mm]と、を用いると、下記式で定義される。
G(x,x+1)=(g(x)−g(x+1))/(M(x+1)−M(x))
・ロールギャップg[mm]は、上記「ロール対の面間距離」と同義であり、ロール対を構成する一対のロールの外周面間の最短距離を意味する。
・メニスカス距離M[m]は、鋳型内溶鋼の湯面(メニスカス)を基準として、鋳造方向に沿って観念する距離[m]を意味する。
・溶鋼加熱度ΔT[℃]は、鋳型に注湯される溶鋼の溶鋼温度から、当該溶鋼の液相線温度を減じたものを意味する。なお、「鋳型に注湯される溶鋼の溶鋼温度」は、タンディッシュ内で浸漬ノズルに流入する直前の溶鋼の温度を意味するものであり、「溶鋼の液相線温度」とは、溶鋼の成分に応じて一義的に求められる。
・比水量Wt[L/kgSteel]は、鋼1kgに対して用いられる冷却水の容積を意味する。
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に関して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る連続鋳造機の全体概略図である。連続鋳造機100は、溶鋼を冷却し所定形状のシェル(凝固殻)を形成するための鋳型1と、当該鋳型1へ溶鋼を適宜の流量で注湯するためのバッファーとしてのタンディッシュ2と、当該鋳型1からみて下流側に順に並設される複数のロール3・3・・・と、を備えている。
前記複数のロール3・3・・・は、前記鋳型1の直下から鉛直下方に延び、やがて円弧状に曲がって最終的には水平方向に延びる所定の鋳造経路に沿って、且つ、当該鋳造経路の両側に夫々配設されている。また、当該鋳造経路を挟むように配置された一対のロール3・3はロール対8を構成し、当該一対のロール3・3は所定面間距離を空けて配設されている。また、鋳造方向に沿って隣り合うロール3・3の間には、鋳片に対して水を噴射して当該鋳片を所定の冷却強度(所謂比水量)で冷却するための図略の冷却水噴射装置が設けられている。
そして、本図に示す如く、前記のタンディッシュ2から適宜の浸漬ノズル2aを介して鋳型1内へ溶鋼が注湯され、注湯された溶鋼が鋳型1によって冷却されることでシェルが形成され、即ち内部に未凝固部を有する鋳片が形成される。この鋳片は、前述の冷却水噴射装置により冷却されながら、また、前記複数のロール対8・8・・・に挟持されながら、前記の鋳造経路の下流側へ送られていく。これに伴い、前記のシェルが徐々に鋳片内部へ向かって凝固成長していき、やがて内部まで完全に凝固した鋳片が形成される。
次に、本実施形態における厚板材の連続鋳造方法を具体的に説明する。
(連続鋳造条件)
本実施形態において鋳造対象とする鋼材は、炭素含有量C[wt%]が0.03〜0.60のものである。一方、本実施形態において炭素以外の他の元素(例えば珪素など)の含有量は特に限定しない。即ち、一般的な範囲であれば自由に設定してよい。この条件を満足する鋼材として、例えば、高HAZ靭性鋼(C[wt%]:0.03、Si[wt%]:0.1、Mn[wt%]:1.45)や金型用鋼(C[wt%]:0.55、Si[wt%]:0.24、Mn[wt%]:0.74)、中炭厚板向け汎用鋼(C[wt%]:0.1〜0.15)などが挙げられる。なお、低炭素鋼(C[wt%]:0.03〜0.10)は凝固収縮が生じ易く、金型用鋼は要求品質が厳しいとされる。
また、本実施形態において鋳造するスラブ鋳片は、断面が略矩形状であり、鋳片厚みD[mm]が240〜310であり、鋳片幅W[mm]が1500〜2500である。なお、鋳片厚みD[mm]及び鋳片幅W[mm]は、鋳型1の上端における鋳型厚み[mm]及び鋳型幅[mm]を意味する。また、鋳造速度Vc[m/min]は0.8〜1.4とする。
溶鋼加熱度ΔT[℃]は、一般的な値とされる約10〜45とする。比水量Wt[L/kgSteel]も、一般的な値とされる約0.5〜1.5とする。なお、本実施形態において冷却水は、0.8〜36のメニスカス距離[m]で観念される2次冷却帯で鋳片に対して噴射/噴霧される。
そして、前記の鋳片を前記複数のロール対8・8・・・で挟持しながら連続鋳造するのである。
鋳造された上記の鋳片は、連続鋳造工程の後工程である熱間圧延工程や鍛造工程などにおいて、適宜の均熱拡散処理を施した後、最終製品厚みDf[mm]が90〜200となるように圧延する。
ところで、本実施形態に係る前記連続鋳造機100の鋳造経路のうち水平な経路においては、前記一対のロール3・3から成るロール対8に代えて、一対の圧下ロール5・5から成る圧下ロール対4・4・・・が当該経路に沿って配設されている。当該圧下ロール5・5も、前記ロール3・3と同様に、前記鋳造経路を沿って送られてくる鋳片を挟んで向かい合い且つ所定面間距離を空けて配設されている。即ち、圧下ロール5・5の一方は鋳造経路の上側に、他方は当該鋳造経路の下側に夫々配置されている。
そして、本実施形態では、メニスカス距離M[m]を20〜25とする圧下開始位置から、メニスカス距離M[m]を26〜35とする圧下終了位置に至るまでの圧下区間で、圧下勾配G[mm/m]を0.8〜4.0とし、又は、総圧下量d[mm]がd/D≧0.015を満たすように前記鋳片を圧下する。なお、ここで「総圧下量d[mm]」とは、上記圧下区間における鋳片厚みD[mm]の減少幅[mm]を意味する。
ここで、図3を参照されたい。図3は、圧下ロールの斜視図である。本図(a)や(b)に示されるように、前記鋳片に対して実施する上記の圧下の、前記鋳片の幅方向における、端部は、前記鋳片の側面から前記鋳片の幅方向中心に向かってD/4〜D/2[mm]の範囲内に位置するものとする。即ち、本図(a)に示されるように、圧下ロール5がロール軸方向に分割されていない非分割型とするとき、上記の「鋳片に対して実施する上記の圧下の、前記鋳片の幅方向における、端部」は、圧下ロール5の軸端部に相当する。また、本図(b)に示されるように、圧下ロール5がロール軸方向に3分割した分割型とするとき、上記の「鋳片に対して実施する上記の圧下の、前記鋳片の幅方向における、端部」は、分割されたことを無視し、圧下ロール5を全体でみたときに圧下ロール5の軸端部となる端部に相当する。本図(a)及び(b)において符号Wgは圧下ロール5の軸長さを意味する。この軸長さWgは、上記非分割型の場合は圧下ロール5の軸長さを、上記分割型の場合は圧下ロール5の各構成部分の軸長さではなく、各構成部分と各構成要素間の間隙とをすべて加算して観念できる軸長さを意味する。本図(a)及び(b)から判る通り、圧下ロール5が鋳片の幅方向において、鋳片と中心を揃えて配置される場合は、圧下ロール5の軸長さWg[mm]は下記式を満たすこととなる。
W−D≦Wg≦W−D/2
また、上記のメニスカス距離M[m]が20〜35である区間に、上記の圧下に用いることが可能な圧下ロール5(図3参照)の本数は鋳造方向に沿って数えたときに4〜18本とする。これはロール5の強度や変形等を考慮して、必要な総圧下量d[mm]が例えば40mm程度であったとしても、一本の圧下ロール5による圧下量Δd[mm]を10以下となるようにするためである。また、鋳造速度Vc[m/min]の変化に伴って前述の圧下区間を若干前後させる必要がある。この場合は、鋳造方向に沿って18本の圧下ロール5が配設されていれば、問題なく、前述の条件を満たす圧下を実施することができるからである。なお、圧下ロール5の上記本数は、圧下ロール5用の圧下スタンドとしては、概ね1スタンド〜4スタンド程度に相当する。
そして、(1)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]を3.0以上とする場合であって、各圧下ロール5を図3(a)に示される前述の非分割型とするとき、当該圧下ロール5のロール径φg[mm]は550≦φ≦800を満たすものとする。(2)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]を3.0以上とする場合であっても、各圧下ロール5を図3(b)に示される前述の分割型とするとき、当該圧下ロール5のロール径φg[mm]は250≦φ≦800を満たすものとする。(3)更に、上記何れの場合においても、各圧下ロール5のコーナー部について、5.0以上の丸みR[mm]を付すか又は7.0以上の面取りC[mm]を付すものとする。
一方、上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]を3.0未満とする場合は、当該圧下ロール5のロール径φg[mm]は250≦φ≦400を満たすものとする。
以下、本実施形態に係る厚板材の連続鋳造方法の技術的効果を確認するための試験に関して説明する。上述した各数値範囲などは、下記の確認試験により合理的に裏付けられている。
≪指標≫
先ず、各確認試験の評価に供される指標に関して説明する。
<ザク>
鋳造方向に対して垂直な断面の厚み方向略中央近傍に表れる空隙(図3(a)及び(b)の破線近傍の空隙)としてのザクの厚み方向の大きさについて、3.2mm以下であるとき「○(良好)」と評価し、3.2mmを超えたとき「×(不良)」と評価する。この評価の閾値は以下のような理由に基づく。即ち、ザクの厚み方向の大きさが3.2mm以下であれば、280mm厚のスラブを圧延して140mm板厚の製品を製造した際に、ザクがつぶされて解消されるからである。
<中心偏析度Cmax/Co>
本評価の対象は、C偏析に着目するものである。以下、下記(1)〜(4)においてC偏析の評価方法を詳細に説明する。図4を参照されたい。図4は、中心偏析Cmax/Coの評価方法の説明図である。(1:小鋳片の採取)第1に、鋳造された鋳片から鋳造方向において250mm分だけ鋳片の部分を抜き出す。第2に、前記鋳片の部分を、その鋳片幅方向において半分とするように狭面と平行に切断して小鋳片を得る(本図上、参照)。(2:切粉試料の採取)第3に、上記切断により得られた小鋳片を穿孔して切粉試料を採取する。具体的に言えば、下記の如くである(本図下、参照)。即ち、上記切断により得られた小鋳片を、図4中“L断面”及び星印で示す断面側より、φ5mmのドリル刃を用いて、鋳片厚み方向略中央に視認される線上で、鋳造方向に沿って所定間隔p(p=10mm)で、該断面に対して垂直に所定深さdp(dp=20mm)で、穿孔し、合計25箇所の切粉試料を採取する。(3:成分分析)第4に、上記穿孔で得られた25箇所分の切粉試料の夫々を、所定の成分分析方法(例えば、燃焼赤外線吸収法など)により成分分析する。第5に、成分分析の対象たる鋳片を鋳造している時に前述したタンディッシュから予め採取しておいた溶鋼試料を、第4と同様、所定の成分分析方法により成分分析する。上記の第4及び第5の成分分析においては共に、試料のC含有量C[wt%]を測定する。(4:評価)第6に、一の小鋳片から採取された前記複数箇所分の切粉試料のうち最もC含有量C[wt%]の高い切粉試料の該C含有量C[wt%]をCmax[wt%]として記録する。第7に、第6で記録されたCmax[wt%]を、第5で得られたC含有量C[wt%]としてのCo[wt%]で除して得られる比Cmax/Co(以下、中心偏析Cmax/Coと称する。)を算出して記録する。第8に、該中心偏析Cmax/Coが1.3以下だった試験を「○」と、該中心偏析Cmax/Coが1.3を超えた試験を「×」と評価した。なお、中心偏析Cmax/Coが1.3以下だと、中心偏析を拡散させるための均熱拡散処理を省略しても問題ないとされる。
<ヘゲ、折れ込み疵>
圧延後に発生の有無を目視で確認する。鋳造方向1000mあたりに少なくとも1つ、ヘゲ又は折れ込み疵の発生が確認できたら、「×(不良)」と評価し、発生を確認できなかったら「○(良好)」と評価する。
≪共通試験方法≫
次に、各確認試験に共通する試験方法について説明する。後述する条件に基づいて、連続鋳造を1ch分、実施する。ザクと中心偏析度については、鋳片のボトム側から15mの地点を調査対象とする。この地点は、試験結果として代表性を呈するからである。
≪個別試験条件及びその試験結果≫
(第一試験)
スラブサイズ:2100mm×280mm
鋳造速度Vc[m/min]:1.0
鋼種:0.6wt%C鋼
実際に圧下用として使用する圧下ロール5の本数:4
圧下ロール5の型式:図3(a)参照、非分割型
各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]:5
圧下ロール5の軸長さWg[mm]:1820
圧下開始位置:メニスカス距離M[mm]=21
圧下終了位置:メニスカス距離M[mm]=29
圧下勾配G[mm/m]:2.5
総圧下量d[mm]:20
なお、上記の圧下条件は、本願出願人により出願された特願2007−080723号において開示した発明の発明特定事項を対応している。本願は、上記特許出願に対して、設備面の情報を提供する位置付けだからである。
Figure 0005683061
上記第一試験において、試験No.1〜6では、圧下ロール5のロール径φg[mm]が過小であったため、圧下ロール5の撓み変形に起因して圧下が十分にはなされず、この結果、ザクや中心偏析について良好な結果が得られなかった。
上記第一試験において、試験No.13では、圧下ロール5のロール径φg[mm]が過大であったため、必然的にロールピッチ(鋳造方向において隣り合うロールの軸心間の距離)が大きくなり、バルジング量が増大し、もって、濃化溶鋼流動が顕著となって中心偏析が悪化した。
即ち、撓み防止の観点からは圧下ロール5のロール径φg[mm]は大きくして剛性を上げた方がよいが、同時にロールピッチも大きくなってしまい、顕著なバルジング変形を許容してしまう。特に、スラブ鋳片について言えば、アスペクト比が小さいので、このバルジング変形が大きな問題となる。
なお、圧下ロール5一本あたりの圧下条件が同一なら、スラブサイズや鋳造速度Vc[m/min]に差があっても、所定の圧下を達成させるのに必要な圧下ロール5の形状等は変化しないと考えられる。また、実施例の選定鋼種も強度の高い高炭素鋼(C[wt%]:0.60)を用いているため、この場合の圧下ロール5の形状を用いておけば、低炭素鋼においては基本的に満足されるものと考えられる。
(第二試験)
本試験では、上記第一試験における試験No.7の試験条件を前提とし、各圧下ロール5のコーナー部の丸みR[mm]又は面取りC[mm]を下記表2のように設定した。
Figure 0005683061
上記表2によれば、各圧下ロール5のコーナー部の丸みR[mm]や面取りC[mm]が圧延後の製品品質に顕著な影響を及ぼすことが理解されよう。即ち、各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]が大きい場合は、圧下部分の境界に段差が生じ、次工程である圧延工程において、ヘゲや折れ込み疵が発生してしまう。従って、これらの疵を防止するために、各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]が大きい場合は、適切な丸みR[mm]や面取りC[mm]を要するわけである。
(第三試験)
本試験では、上記第二試験における試験No.17の試験条件を前提とし、この前提条件のうち、圧下ロール5の軸長さWg[mm]の影響を詳細に調査した。
Figure 0005683061
試験No.27、28では、ザクや中心偏析に関する良好な評価が得られなかった。これは、各圧下ロール5の軸長さWg[mm]を過大に設定したため、既に凝固が完了していて機械的強度が高く圧下が殆ど効かない鋳片の幅方向端部も上記各圧下ロール5による圧下対象となってしまい、その結果、各圧下ロール5が鋳片の幅方向端部から強い反力を受け、これにより鋳片の幅方向中央部には圧下をうまく作用できなかったためだと考えられる。
一方、試験No.32では、そもそも各圧下ロール5の軸長さWg[mm]を過小に設定したため、各圧下ロール5による圧下対象から漏れてしまった鋳片の幅方向端部近傍にザクが残存してしまった。
(第四試験)
スラブサイズ:2100mm×280mm
鋳造速度Vc[m/min]:1.0
鋼種:0.6wt%C鋼
圧下に用いられる圧下ロール5の本数:4
圧下ロール5の型式:図3(b)参照、分割型
各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]:5
圧下ロール5の軸方向長さWg[mm]:1820
圧下開始位置:メニスカス距離M[mm]=21
圧下終了位置:メニスカス距離M[mm]=29
圧下勾配G[mm/m]:2.5
総圧下量d[mm]:20
Figure 0005683061
試験No.36〜42に示される通り、各圧下ロール5を図3(b)に示される分割型とすれば、鋳片から受ける反力を分割できかつロール長が短くなっているため(反力の面とロールの形状の2つの効果があり)、圧下ロール5を全体でみたときのたわみ量が非分割型と比較して少なくなり、もって、あまり剛性を要さないので、圧下ロール5のロール径φr[mm]を小さくすることができる。
試験No.33〜35では、ザクと中心偏析について良好な評価が得られなかった。これは、各圧下ロール5のロール径φr[mm]を過小としたため、各圧下ロール5自体が鋳片から受ける分布荷重によって軸心方向中央を腹とするように撓んでしまい、鋳片の幅方向中央部における圧下が十分には実施できなかったからだと考えられる。
(第五試験)
スラブサイズ:2100mm×280mm
鋳造速度Vc[m/min]:1.0
鋼種:0.6wt%C鋼
圧下に用いられる圧下ロール5の本数:4
圧下ロール5の型式:図3(a)参照、非分割型
各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]:1.6
圧下ロール5の軸方向長さWg[mm]:1820
圧下開始位置:メニスカス距離M[mm]=21
圧下終了位置:メニスカス距離M[mm]=29
圧下勾配G[mm/m]:0.8
総圧下量d[mm]:6.4
Figure 0005683061
上記第五試験は、前述の第一〜第四試験と比較して、総圧下量d[mm]や各圧下ロール5の圧下量Δd[mm]が小さい場合を検証したものである。
試験No.43〜45では、各圧下ロール5のロール径φr[mm]を過小としたため、各圧下ロール5自体が鋳片から受ける分布荷重によって軸心方向中央を腹とするように撓んでしまい、鋳片の幅方向中央部における圧下が十分には実施できなかった。
試験No.51、52では、ロールピッチが大きくバルジング起因の流動が生じ易い条件であるにも拘わらず、各圧下ロール5あたりの圧下量Δd[mm]が比較的小さいためバルジング起因の末期溶鋼流動をとめられず、中心偏析を改善できなかった。
なお、上記第五試験では、図3(b)に示される分割型の圧下ロール5については検証していないが、分割型の圧下ロール5の撓み難い性質が寄与するので、図3(a)のパターンのみ検証すれば十分と判断し、その検証は割愛した。
本発明の一実施形態に係る連続鋳造機の全体概略図 圧下勾配の説明図 圧下ロールの斜視図 中心偏析Cmax/Coの評価方法の説明図
符号の説明
4 圧下ロール対
5 圧下ロール
100 連続鋳造機

Claims (1)

  1. 炭素含有量C[wt%]を0.03〜0.60とし、鋳片厚みD[mm]を240〜310とし、鋳片幅W[mm]を1500〜2500とする鋳片を、鋳造経路に沿って配設した複数のロールで挟持しながら、鋳造速度Vc[m/min]を0.8〜1.4として連続鋳造するに際し、
    メニスカス距離M[m]を20〜25とする圧下開始位置から、メニスカス距離M[m]を26〜35とする圧下終了位置に至るまでの圧下区間で、
    圧下勾配G[mm/m]を0.8〜4.0とし、又は、総圧下量d[mm]がd/D≧0.015を満たすように前記鋳片を圧下する、厚板材の連続鋳造方法において、
    前記鋳片に対して実施する上記の圧下の、前記鋳片の幅方向における、端部は、前記鋳片の側面から前記鋳片の幅方向中央に向かってD/4〜D/2[mm]の範囲内に位置するものとし、
    上記の圧下に用いることが可能なロールとしての圧下ロールの本数は鋳造方向に沿って数えたときに4〜18本の範囲内であるものとし、
    (1)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロールの圧下量Δd[mm]を3.0以上とする場合は、
    (1.1.1)各圧下ロールをロール軸方向に分割しない非分割型とするとき、当該圧下ロールのロール径φg[mm]は550≦φg≦800を満たすものとし、
    (1.1.2)各圧下ロールをロール軸方向に3分割した分割型とするとき、当該圧下ロールのロール径φg[mm]は250≦φg≦800を満たすものとし、
    (1.2)各圧下ロールのコーナー部について、5.0以上の丸みR[mm]を付すか又は7.0以上の面取りC[mm]を付すものとし、
    (2)上記圧下を実施する前記圧下区間内の上記各圧下ロールの圧下量Δd[mm]を3.0未満とする場合は、当該圧下ロールのロール径φ[mm]は250≦φ≦400を満たすものとする、
    ことを特徴とする厚板材の連続鋳造方法
JP2008097717A 2008-04-04 2008-04-04 厚板材の連続鋳造方法 Expired - Fee Related JP5683061B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008097717A JP5683061B2 (ja) 2008-04-04 2008-04-04 厚板材の連続鋳造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008097717A JP5683061B2 (ja) 2008-04-04 2008-04-04 厚板材の連続鋳造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009248115A JP2009248115A (ja) 2009-10-29
JP5683061B2 true JP5683061B2 (ja) 2015-03-11

Family

ID=41309291

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008097717A Expired - Fee Related JP5683061B2 (ja) 2008-04-04 2008-04-04 厚板材の連続鋳造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5683061B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5589211B2 (ja) * 2011-02-23 2014-09-17 株式会社神戸製鋼所 部分圧下連続鋳造方法
JP5646439B2 (ja) * 2011-07-27 2014-12-24 株式会社神戸製鋼所 スラブ幅方向の中心偏析のバラツキを抑制する連続鋳造方法
JP5646443B2 (ja) * 2011-12-07 2014-12-24 株式会社神戸製鋼所 スラブ幅方向の中心偏析のバラツキを抑制する連続鋳造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH02182347A (ja) * 1989-01-07 1990-07-17 Nippon Steel Corp 中心部の健全な鋼材及びその製造方法
JP2732996B2 (ja) * 1993-01-18 1998-03-30 株式会社神戸製鋼所 連続鋳造用のロール装置
JP3341338B2 (ja) * 1993-03-10 2002-11-05 株式会社神戸製鋼所 連続鋳造方法
JPH0732108A (ja) * 1993-07-16 1995-02-03 Sumitomo Metal Ind Ltd 広幅薄鋳片の製造方法及びそれの連続鋳造設備
JPH08257714A (ja) * 1995-03-22 1996-10-08 Nippon Steel Corp 連続鋳造装置
JP3398093B2 (ja) * 1999-07-15 2003-04-21 株式会社神戸製鋼所 連続鋳造設備
JP5009019B2 (ja) * 2006-03-28 2012-08-22 株式会社神戸製鋼所 鋼材の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009248115A (ja) 2009-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4830612B2 (ja) 極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法
JP6115735B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
EP3219408B1 (en) Continuous casting method for steel
JP5962625B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5683061B2 (ja) 厚板材の連続鋳造方法
JP5835531B2 (ja) 極厚鋼板用鋳片の連続鋳造方法
JP6384679B2 (ja) 熱延鋼板の製造方法
JP5929836B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP5870966B2 (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JP5327006B2 (ja) 鋼の連続鋳造方法および極厚鋼板
EP3782747B1 (en) Shaping and soft reduction method for the continuous casting of steel
JP3958787B1 (ja) 連続鋳造方法
JP3620494B2 (ja) 鋼のブルームおよびビレットの連続鋳造方法
JP6299413B2 (ja) スラブの連続鋳造方法
JP3275828B2 (ja) 連続鋳造方法
JP2007268546A (ja) 鋼材の製造方法
JP5387205B2 (ja) 丸鋳片の連続鋳造方法および連続鋳造設備
JP5009019B2 (ja) 鋼材の製造方法
JPH11267814A (ja) 鋼ビレットの連続鋳造方法
JP2015226918A (ja) 鋼の連続鋳造方法
JP2010269328A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JP5079663B2 (ja) 鋳型狭面の上昇流に対して静磁場を作用させるスラブの連続鋳造方法
JP5646443B2 (ja) スラブ幅方向の中心偏析のバラツキを抑制する連続鋳造方法
JPH11129060A (ja) 連続鋳造鋳片の製造方法
JP5266154B2 (ja) スライドプレートの開閉に起因する偏流を抑制する整流構造

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110204

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20111130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130312

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130510

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20131203

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20150113

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5683061

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees