JP6299413B2 - スラブの連続鋳造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、圧下ロールによりスラブを圧下するスラブの連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造では、スラブ(鋳片)のポロシティを圧着して改善するため、連続鋳造機内で圧下ロール群によりスラブを圧下することが行われている。しかしながら、スラブ幅方向の冷却不均一などによってポロシティ量の分布が不均一となることに起因し、スラブを圧下しても一部の粗大なポロシティが圧着しきれずに残存する場合がある。また、現在では、スラブへの品質要求が更に高まっており、スラブの全幅で均質化が求められている。
幅方向で均質なスラブを得るため、従来から種々の提案がなされており、例えば、特許文献1および2がある。特許文献1では、メニスカス距離が所定の範囲である区間において、部分圧下用ロールにより、鋳片の幅方向の2〜4箇所を圧下することが提案されている。これにより、設備負荷を増大させることなく、ポロシティを低減できるとしている。
また、特許文献2では、鋳片幅方向のクレーターエンド形状に応じ、軽圧下帯の上流側で、鋳片の幅方向中央部および幅方向両端部のいずれかを優先して軽圧下する方法が提案されている。具体的には、鋳片の幅方向両端部のクレーターエンド距離が中央部よりも長い場合は鋳片の幅方向中央部を優先し、鋳片の幅方向両端部のクレーターエンド距離が中央部よりも短い場合は幅方向両端部を優先して圧下する。その軽圧下の際に、凹型ロールまたは凸型ロールを用いる。
特開2012−218041号公報 特開2012−66303号公報
スラブの連続鋳造では、前述の通り、圧下ロールによりスラブを圧下しても、ポロシティが粗大であれば、残存する場合がある。また、スラブへの品質要求が更に高まっており、スラブの全幅で均質化が求められている。
前述の特許文献1および2に記載の連続鋳造方法では、部分圧下ロール、または、凸型ロールとともに凹型ロールを用いる。この場合、スラブの長辺面の横断面形状で段差が生じたり、長辺面の横断面形状が凹状または凸状になったりし、得られるスラブの形状が悪化する。このようなスラブに圧延を施すと、表面疵が発生し、歩留りが低下する問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ポロシティの残存を低減でき、かつ、良好な形状のスラブを得ることが可能なスラブの連続鋳造方法を提供することを目的とする。
本発明の要旨は、次の通りである。
(1)対をなす圧下ロールが鋳造方向に複数対並べられてなる圧下ロール群により、スラブのうちで中心固相率が0.8以上の部位を圧下するスラブの連続鋳造方法であって、
前記圧下ロール群のうちの順に隣り合う2対以上の前記圧下ロールは、前記スラブの幅方向に複数の分割ロールに分割され、かつ、前記分割ロールの繋ぎ目で前記スラブと非接触となる部位の幅W(mm)が下記(1)式を満足し、前記順に隣り合う2対以上の圧下ロールでは、対をなす圧下ロールにおいて、前記非接触となる部位の位置を前記幅方向で一致させて配置するとともに、鋳造方向に隣り合う圧下ロールにおいて、前記非接触となる部位の位置を前記幅方向で異ならせて配置する、スラブの連続鋳造方法。
100≦W≦Ws/2n ・・・(1)
ただし、Wsはスラブの全幅、nは圧下ロールの分割数である。
(2)上記(1)に記載のスラブの連続鋳造方法であって、前記非接触となる部位が、そのいずれかの部位に、前記幅方向のうちでポロシティが粗大な位置を含むように配置される、スラブの連続鋳造方法。
本発明のスラブの連続鋳造方法は、分割ロールを備える圧下ロールを用いる。また、対をなす圧下ロールにおいて、スラブと非接触となる部位の位置をスラブ幅方向で一致させて配置するとともに、鋳造方向に隣り合う圧下ロールにおいて、スラブと非接触となる部位の位置をスラブ幅方向で異ならせて配置する。これにより、スラブ幅方向のうちで特定部位に大きい偏差応力を付与でき、粗大なポロシティであっても圧着することが可能となる。また、圧下する際にスラブの形状が悪化することがなく、良好な形状のスラブを得ることができる。
図1は、本発明を適用した圧下ロール群の一例を模式的に示す上面図である。 図2は、本発明を適用した圧下ロール群の一例を模式的に示す横断面図である。 図3は、分割ロールを備える圧下ロールによる圧下量を示す横断面図であり、同図(a)はN番目の圧下ロール、同図(b)はN+1番目の圧下ロールについてそれぞれ示す。 図4は、実施例で用いた分割ロールを備える圧下ロールの構成例を模式的に示す横断面図である。 図5は、本試験に用いた連続鋳造装置の概要を示す模式図である。
一般に、全幅が例えば1500mm以上であるスラブの連続鋳造では、スラブ長手方向のスラブバルジング抑制に対し、より小径なロールを配置することが有効である。ロールを小径化すると、それに伴ってロールの剛性が低下する。このため、スラブの全幅より長い圧下ロールを用い、1本のロールによってスラブの全幅に亘って圧下すると、スラブのバルジング力によりロールに曲りが発生する。
特に、ポロシティを改善するためにスラブを圧下する圧下ロールには、バルジング力に加えて圧下に対する大きな反力が作用し、圧下ロールの曲りの影響が顕著になる。そこで、圧下ロールをスラブ幅方向に分割し、すなわち、スラブの全幅より短い分割ロールをスラブ幅方向に複数配置する対策がなされてきた。圧下ロールはその両端を軸受によって支持されるが、分割ロールでは軸受間距離が短くなることから、分割ロールを用いて圧下ロールを構成すれば、圧下ロールの曲がりが抑制される。
複数の分割ロールを備える圧下ロールは、各分割ロールの両端に軸受が配置されることから、スラブ幅方向に隣り合う分割ロールの繋ぎ目およびその近傍でスラブと非接触となる。このスラブと非接触となる部位(以下、「非接触部位」ともいう)について、本発明のスラブの連続鋳造方法では、幅と位置を規定する。これにより、スラブ幅方向のうちで特定部位に大きい偏差応力を付与でき、粗大なポロシティであっても圧着することが可能となる。このような本発明のスラブの連続鋳造方法について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用した圧下ロール群の一例を模式的に示す上面図である。同図には、スラブ11と、圧下ロール群26とを示す。
図2は、本発明を適用した圧下ロール群の一例を模式的に示す横断面図である。同図は、前記図1のA−A位置での断面図である。同図には、スラブ11と、上下で対をなす圧下ロール30とを示す。
本発明のスラブの連続鋳造方法は、圧下ロール群26により、スラブ11のうちで中心固相率が0.8以上の部位を圧下する。その圧下ロール群26は、対をなす圧下ロール30が鋳造方向(図1のハッチングを施した矢印参照)に複数対並べて構成される。
圧下ロール群26のうちで鋳造方向に順に隣り合う(連続する)2対以上の圧下ロール30は、スラブ幅方向に複数の分割ロール31に分割され、かつ、分割ロール31の繋ぎ目でスラブ11と圧下ロール30とが非接触となる部位30aの幅W(mm)が前記(1)式を満足する。同図に示す圧下ロール群26は、全部(順に隣り合う5対)の圧下ロールが、いずれも、複数の分割ロール31に分割され、かつ、非接触部位の幅Wが前記(1)式を満足する。
このような順に隣り合う2対以上の圧下ロール30では、前記図2に示すように、対をなす圧下ロール30において、非接触部位30aの位置をスラブ幅方向で一致させて配置する。また、前記図1に示すように、鋳造方向に隣り合う圧下ロール30において、非接触部位30aの位置をスラブ幅方向で異ならせて配置する。鋳造方向に隣り合う圧下ロール30において、前記図1に示すように、非接触部位30aの位置をスラブ幅方向で異ならせる理由について、図3を参照しながら説明する。
図3は、分割ロールを備える圧下ロールによる圧下量を示す横断面図であり、同図(a)はN番目の圧下ロール、同図(b)はN+1番目の圧下ロールについてそれぞれ示す。分割ロール31を備える圧下ロール30によりスラブ11を圧下すると、軸受32が配置される繋ぎ目およびその近傍が非接触部位30aとなり、その直下ではスラブ11が圧下されない。
ここで、圧下ロール群のうちで、鋳造方向の最も上流に配置される圧下ロール対をN番目とする。その圧下量(mm)をr1、圧下前のスラブ厚み(mm)をt0とすると、同図(a)に示すように、実際の圧下量は分割ロール31と接触する部位(以下、「接触部位」ともいう)でr1、非接触部位で0(ゼロ)となる。このため、N番目のロールで圧下時のスラブ厚みは、分割ロールと接触する部位でt0−r1、非接触部位でt0となり、スラブ11の長辺面に凸状部分が形成される。
本発明は、非接触部位30aのスラブ幅方向の位置を、鋳造方向に隣り合う圧下ロールで、例えば、同図に示すようにN+1番目の圧下ロール30とN番目の圧下ロール30とで異なるように配置する。N+1番目の圧下ロール対による圧下量(mm)をr2とすれば、ロールキャビティがt0−(r1+r2)となり、N+1番目のロールで圧下時のスラブ厚みも、ロール接触部位でt0−(r1+r2)となる(図3(b))。
この場合、N+1番目のロールで圧下する際の圧下量は、N番目の圧下ロールにおける接触部位はr2となるのに対し、N番目の圧下ロールにおける非接触部分(凸状部分)はr1+r2の圧下を受ける。総圧下量はどちらもr1+r2であるが、一度に受ける圧下量が大きい程、スラブの厚み中心部の偏差応力が大きくなり、ポロシティが変形しやすくなる。すなわち、N+1番目のロールで圧下する際、N番目の圧下ロールで形成された凸状部分の範囲において、ポロシティが圧着しやすくなる。これにより、本発明のスラブの連続鋳造方法は、ポロシティが残存することなく、ポロシティを圧着することができる。また、粗大なポロシティに対しても、圧着することが可能となる。
粗大なポロシティは、スラブ幅方向のうちで凝固が比較的遅れている部分(以下、「凝固遅れ部」ともいう)で発生しやすい。この凝固遅れ部は、スラブの表面温度の幅方向分布を実測または数値解析にて求めることによって位置を推定できる。また、圧下していないスラブの実サンプルを切り出し、アルキメデス法やX線透過写真法などでポロシティ量(ポロシティ体積)の幅方向分布を求めた場合、ポロシティ量が大きい位置で粗大なポロシティが発生しやすい。
このようにして推定できる粗大なポロシティが発生しやすいスラブ幅方向の位置が、いずれかの非接触部位30aに含まれるように配置するのが好ましい。これにより、粗大なポロシティを確実に圧着することができ、粗大なポロシティが残存するのを防止できる。すなわち、スラブのポロシティ量の幅方向分布においてその最大値を低減でき、スラブの全幅の均質化が可能となる。
この粗大なポロシティが発生しやすい位置の判定基準は、要求される品質に応じて適宜設定することができる。例えば、スラブで許容される最大ポロシティ量に応じて設定することができる。
ここで、非接触部位30aのスラブ幅方向の位置を、N+1番目の圧下ロール30とN番目の圧下ロール30とで一致させて配置し、かつ、N+1番目の圧下ロール30とN+2番目の圧下ロール30とで異ならせて配置することも考えられる。この場合、非接触部位の鋳造方向距離が過大となる。例えば、圧下ロールの鋳造方向のピッチを250mmとすると、非接触部位の鋳造方向距離は750mmにもなる。このため、N+2番目の圧下ロールで非接触部位によって形成される凸状部分を圧下する際の鋳造方向の変形形状がテーパー状でなく、段差状となる。このため、N+2番目の圧下ロールで圧下すると、鋳造方向の引張歪が過大となり、内部割れが発生する恐れがある。
一方、N+1番目の圧下ロール30とN番目の圧下ロール30とで非接触部位30aのスラブ幅方向の位置を異ならせる場合、非接触部位の鋳造方向の長さは500mmに抑えられる。このため、N+1番目の圧下ロールで非接触部位によって形成される凸状部分を圧下する際の鋳造方向の変形形状がテーパー状となり、内部割れが発生する恐れもない。このため、本発明のスラブの連続鋳造方法は、N+1番目の圧下ロール30とN番目の圧下ロール30とで非接触部位30aのスラブ幅方向の位置を異ならせる。
対をなす圧下ロール30では、前記図2に示すように、非接触部位30aの位置をスラブ幅方向で一致させて配置する。これにより、分割ロール31の非接触部位30aによって形成される凸状部分が両側に形成され、その高さの合計を大きくすることができる。このため、後段で隣り合う圧下ロールで凸状部分を圧下することによってポロシティを圧着させる効果を増大させることができる。
分割ロール31を備える圧下ロール30として、非接触部位30aの幅W(mm)が下記(1)式を満足する圧下ロール30を用いる。
100≦W≦Ws/2n ・・・(1)
ただし、Wsはスラブの全幅、nは圧下ロールの分割数である。
非接触部位30aの幅Wを100mm以上とすれば、分割ロールの繋ぎ目で軸受を配置するスペースを確保することができ、スラブの圧下に対する反力に耐えうる設計が可能となる。一方、非接触部位30aの幅WがWs/2nを超えると、非接触部位によって形成される凸状部分の一部が後段で隣り合う圧下ロールで圧下できない。
圧下ロールの分割数は正の整数であり、その下限は、非接触部位を設ける観点から、2となる。一方、ロール分割数の上限は、前記(1)式より100<Ws/2nである必要があることから、Ws/200未満である最大の正の整数となる。
このような圧下ロールの分割数は、例えば、粗大なポロシティが発生しやすい位置のスラブ幅方向の分布に応じて適宜設定すればよい。より具体的には、粗大なポロシティが発生しやすい位置の箇所数に応じてロール分割数を設定すればよい。
圧下ロール群は、スラブのうちで中心固相率が0.8以上の部位を圧下する。中心固相率が0.8未満の部位を圧下すると、圧下による溶鋼流動が顕著となり逆V偏析または負偏析が発生し、品質上問題となる。一方、中心温度が1300℃未満の部位を圧下しても、ポロシティの低減効果が薄れるので、中心温度が1300℃以上の部位を圧下するのが好ましい。
このような本発明のスラブの連続鋳造方法は、非接触部位によってスラブに凸状部分が形成され、後段で隣り合う圧下ロールで圧下されて平坦化される。その平坦化の際にスラブに大きい偏差応力を付与できるので、ポロシティが残存することなく、ポロシティを圧着することができる。また、粗大なポロシティに対しても、圧着することが可能となる。
また、非接触部位によってスラブに凸状部分が形成されるが、後段で隣り合う圧下ロールで圧下されて平坦化される。最終の圧下ロールの非接触部位によって形成される凸状部分についても、その後段でスラブを引き抜くピンチロールにより、押し潰されて平坦化される。このため、凸状部分によってスラブの形状が悪化することがなく、良好な形状のスラブを得ることができる。その結果、得られたスラブに圧延を施す際、表面疵が発生することなく、歩留りを向上できる。
本発明において、「圧下ロール群のうちで順に隣り合う2対以上の圧下ロールが」とは、順に隣り合う2対以上の圧下ロールが上述の要件を満たせば、圧下ロール群のうちの一部の圧下ロールにスラブの全幅より長い圧下ロールを用いることが許容されることを意味する。順に隣り合う2対以上の圧下ロールが上述の要件を満たせば、スラブに大きい偏差応力を付与でき、後述の実施例の試験No.4に示すように、粗大なポロシティに対しても圧着することが可能となるからである。
非接触部位30aのスラブ幅方向の位置は、M番目の圧下ロールとM+2番目の圧下ロールとで、異ならせてもよく、または、前記図1に示すように一致させてもよい。ここで、Mは下記(2)式を満たす正の整数である。
P≦M≦P+O−3 ・・・(2)
ただし、Pは、非接触部位の位置が上述の要件を満たした状態で順に隣り合う圧下ロールのうちで鋳造方向の最も上流に配置される圧下ロールの番号、Oは、非接触部位の位置が上述の要件を満たした状態で順に隣り合う圧下ロールの対の数である。
非接触部位30aの位置をM番目の圧下ロールとM+2番目の圧下ロールとで異ならせる場合、繋ぎ目の位置が異なる圧下ロールを3種類以上準備する必要がある。一方、非接触部位30aの位置をM番目の圧下ロールとM+2番目の圧下ロールとで一致させる場合、繋ぎ目の位置が異なる圧下ロールを2種類のみ準備すればよい。このため、圧下ロールの在庫数を最小化する観点から、非接触部位30aの位置をM番目の圧下ロールとM+2番目の圧下ロールとで一致させるのが好ましい。加えて、凸状部分を形成して平坦化する処理が、スラブ幅方向の同じ位置で繰り返して施されることとなり、粗大なポロシティに対しても、より強固に圧着することが可能となり、ポロシティの残存をより確実に防止できる。
スラブバルジング抑制の観点から、圧下ロールを小径化するのが好ましく、例えば、圧下ロール(分割ロール)の外径を200〜300mmとするのが好ましい。
圧下ロール群26の前段では、凝固収縮を補償するため、スラブを軽圧下するのが好ましい。
本発明の効果を確認するため、溶鋼からスラブを連続鋳造する試験を行い、得られたスラブについてポロシティを評価した。
図5は、本試験に用いた連続鋳造装置の概要を示す模式図である。同図には、連続鋳造装置20と、溶鋼12と、スラブ11とを示す。同図に示す連続鋳造装置20は、タンディッシュ21と、浸漬ノズル22と、鋳型23と、サポートロール24と、圧下ロール群26と、ピンチロール25とを示す。
同図に示す連続鋳造装置を用いたスラブの連続鋳造試験では、取鍋(図示なし)から供給された溶鋼12をタンディッシュ21に収容した。溶鋼12は、タンディッシュ21から浸漬ノズル22を介して鋳型23内に注入した。注入された溶鋼を、鋳型23およびその下方の二次冷却スプレーノズル群(図示なし)から噴射される冷却水により冷却し、凝固シェル11bを形成してスラブ11とした。そのスラブ11を、圧下ロール群26によって圧下しつつピンチロール25により引き抜いた。
本試験では、鋳型23として、銅製水冷式の鋳型を用いた。その鋳型は、鋳造方向の長さが800mm、断面形状が矩形状であった。得られるスラブは、厚みが300mm、全幅が2300mmとした。鋳造速度は、0.8m/minとした。鋼種は、一般鋼とし、その化学組成は、質量%で、Cを0.16%、Mnを0.52%およびSiを0.14%で含有し、残部がFeおよび不純物であった。
中心固相率は、凝固解析プログラムを用いて事前に求めた。本試験では、圧下ロール群をピンチロールの前段に設けた。前述の鋳造速度に設定することにより、圧下ロール群を通過する部位の中心固相率を0.8以上かつ中心温度を1300℃以上とした。圧下ロール群の前にサポートロール24を配置し、そのサポートロール24により、凝固収縮を補償するためにスラブを軽圧下した。
本試験では、圧下ロール群26を5対の圧下ロールによって構成した。具体的には、N番目〜N+4番目の圧下ロールによってスラブを圧下した。
粗大なポロシティが発生しやすいスラブ幅方向の部分は、事前に、スラブについてポロシティ量の幅方向分布を調査することによって求めた。具体的には、圧下ロール群26によってスラブを圧下することなくスラブ(以下、「事前調査用スラブ」ともいう)を得て、その事前調査用スラブの厚さ方向の中央位置(厚みの1/2の位置)から幅方向に所定の間隔ごとに10個のサンプルを採取した。そのサンプルの寸法は、長さ50mm、幅100mm、厚み10mmであった。また、事前調査用スラブの一方の長辺面から厚み方向に75mmの位置(厚みの1/4の位置)でもサンプルを採取した。この厚みの1/4位置のサンプルには、ポロシティが存在しないと推定した。
これらのサンプルについて、それぞれアルキメデス法によって密度を測定した。それらの密度を用い、各厚みの1/2位置のサンプルについて、下記(3)式によって単位質量あたりのポロシティ体積V(cm3/g)を求めた。
V=1/ρ−1/ρ0 ・・・(3)
ただし、ρは厚みが1/2位置のサンプルの密度(g/cm3)、ρ0は厚みが1/4位置のサンプルの密度(g/cm3)である。
このようにしてポロシティ量(体積)の幅方向分布を調査した結果、粗大なポロシティが存在する部位は幅中央から±400mm位置にあることが判明した。
圧下ロールとして、スラブ幅方向に複数の分割ロールに分割された圧下ロール(分割方式、記号:A〜E)、または、スラブの全幅より長い圧下ロール(非分割方式、記号:F)を用いた。
図4は、実施例で用いた分割ロールを備える圧下ロールの構成例を模式的に示す横断面図である。同図に示す圧下ロール30は、上側および下側のいずれも、3個の分割ロールを備えており、繋ぎ目による非接触部位(30b、30c)を2箇所有する。圧下ロール30は、ロールの外径を230mmとし、鋳造方向のロールピッチを250mmとした。
このような基本構成の圧下ロールA〜Eでは、スラブ幅方向の中央位置から第1の非接触部位30bの中央位置までの距離a1と、スラブ幅方向の中央位置から第2の非接触部位30cの中央位置までの距離a2と、第1および第2の非接触部位(30b、30c)の幅Wとをそれぞれ変化させた。
表1に、本試験に用いた圧下ロールについて、その方式、距離a1(mm)、距離a2(mm)および非接触部位の幅W(mm)を示す。なお、距離a1およびa2は、スラブ幅方向の中央を原点とし、破線矢印の始点側を負の値で示し、破線矢印の終点側を正の値で示す(前記図4参照)。また、表1に示す分割方式の圧下ロールA〜Eのうちで圧下ロールAおよびCは、非接触部位がいずれも粗大なポロシティが発生しやすいスラブ幅方向の位置を含む。
Figure 0006299413
本試験では、試験No.1〜10を設け、圧下ロールの配置パターン、設定圧下量を変化させた。表2に、試験No.と、N〜N+4番目の圧下ロールとして用いた圧下ロールの記号と、設定圧下量(mm)と、区分とを示す。ここで、設定圧下量は、N〜N+4番目の圧下ロールによる各圧下量を合計した圧下量を意味する。
Figure 0006299413
各試験によって得られたスラブについて、ポロシティおよび内部割れを調査した。ポロシティの調査では、前述したポロシティ量の幅方向分布の調査と同様の手順でポロシティ体積Vの幅方向の分布を求めた。
具体的には、各試験で得られたスラブから、幅方向に所定の間隔ごとに厚さ方向の中央位置(厚みの1/2の位置)で10個のサンプルを採取した。また、スラブの一方の長辺面から厚み方向に75mmの位置(厚みの1/4の位置)でもサンプルを採取した。これらのサンプルについて、それぞれアルキメデス法によって密度を測定した。それらの密度を用い、各厚みの1/2位置のサンプルについて、前記(3)式によって単位質量あたりのポロシティ体積Vを求めた。このようにして求めたスラブのポロシティ体積Vの分布から、最大値(以下、「最大ポロシティ体積」ともいう)を求めた。
事前調査用スラブの最大ポロシティ体積に対する各試験で得られたスラブの最大ポロシティ体積の割合(以下、「ポロシティインデックス」ともいう)をそれぞれ算出した。このポロシティインデックスが0.5以下であれば、後の圧延工程でポロシティが残存しないと判明している。このため、ポロシティインデックスが0.5以下であることを基準に、ポロシティを評価した。表2に、各試験について、ポロシティインデックスおよびポロシティの評価を併せて示す。
表2の「ポロシティの評価」欄の記号の意味は、次の通りである。
○:ポロシティインデックスが0.5以下であり、スラブの全幅で均質化され、良好であったことを示す。
×:ポロシティインデックスが0.5より大きく、不可であったことを示す。
内部割れの調査は、得られたスラブから横断面および縦断面のサンプルを採取し、そのサンプルについてサルファプリントを行い、目視で観察して評価した。表2に、各試験の内部割れの評価を併せて示す。
表2の「内部割れの評価」欄の記号の意味は、次の通りである。
○:内部割れがない、または、割れが微小で実用上問題ない程度であり、良好であったことを示す。
×:割れが大きくて実用上問題がある程度であり、不可であったことを示す。
表2より、試験No.1〜3、5および6は、本発明例であり、圧下ロール群の全部を分割方式の圧下ロールとした。その結果、ポロシティの評価および内部割れの評価がいずれも良好となった。
ここで、試験No.1〜3は、設定圧下量のみが異なり、他の条件は同一であった。これらの試験結果を比較すると、設定圧下量が3.2から7.5mmに増加するのに応じ、ポロシティインデックスが0.46から0.18に約60%低減した。このため、設備能力にも依存するが、本発明のスラブの連続鋳造方法では、圧下量を増加させるのが好ましい。
試験No.4は、本発明例であり、圧下ロール群のうちで隣り合う2対のみを分割方式の圧下ロールとした。その結果、ポロシティの評価および内部割れの評価がいずれも良好となった。
試験No.1〜6のスラブについて、非接触部位によって形成される凸状部分の残存を確認したところ、残存がなく良好であった。また、得られたスラブにそれぞれ圧延を施したが、表面疵の発生がなく、問題とならなかった。このように、本発明例で、凸状部分が残存しないのは、スラブが圧下ロール群の後段のピンチロールで圧下されるからである。
試験No.7は、比較例であり、圧下ロール群の圧下ロールの全部を非分割方式で非接触部位がない圧下ロールを用いた。この場合、圧下ロールで大きい曲りが生じ、その結果、ポロシティインデックスが基準を超え、その評価が不可となった。
試験No.8は、比較例であり、同じ記号の分割方式の圧下ロールを部分的に隣り合わせ、すなわち、鋳造方向に隣り合う圧下ロールの一部において、非接触部部位の位置を一致させた。この場合、ポロシティインデックスが基準以下となり良好であったが、内部割れが発生し、その評価が不可となった。
試験No.9は、比較例であり、上側と下側とで対となる圧下ロールにおいて、非接触部の位置を異ならせた。この場合、ポロシティインデックスが基準を超え、その評価が不可となった。
試験No.10は、鋳造方向に隣り合う圧下ロールにおいて、非接触部部位の範囲を重複させた。この場合、スラブ幅方向の一部が、全部の圧下ロールの非接触部位を通過し、全く圧下されない。このため、ポロシティインデックスの改善が見られず、その評価が不可となった。
これらから、本発明のスラブの連続鋳造方法によれば、ポロシティの残存を低減でき、かつ、良好な形状のスラブを得られることが確認できた。また、スラブをその全幅に亘って均質化できることが明らかになった。
本発明のスラブの連続鋳造方法は、ポロシティの残存を低減でき、かつ、良好な形状のスラブを得ることが可能である。このため、スラブの連続鋳造において、スラブの品質向上に大きく寄与することができる。
11:スラブ、 11a:未凝固部、 11b:凝固シェル、 12:溶鋼、
20:連続鋳造装置、 21:タンディッシュ、 22:浸漬ノズル、 23:鋳型、
24:サポートロール、 25:ピンチロール、 26:圧下ロール群、
30:圧下ロール、 30a〜30c:非接触となる部位、 31:分割ロール、
32:軸受

Claims (1)

  1. 対をなす圧下ロールが鋳造方向に複数対並べられてなる圧下ロール群により、スラブのうちで中心固相率が0.8以上の部位を圧下するスラブの連続鋳造方法であって、
    前記圧下ロール群のうちの順に隣り合う2対以上の前記圧下ロールは、前記スラブの幅方向に複数の分割ロールに分割され、かつ、前記分割ロールの繋ぎ目で前記スラブと非接触となる部位の幅W(mm)が下記(1)式を満足し、
    前記順に隣り合う2対以上の圧下ロールでは、対をなす圧下ロールにおいて、前記非接触となる部位の位置を前記幅方向で一致させて配置するとともに、鋳造方向に隣り合う圧下ロールにおいて、前記非接触となる部位の位置を前記幅方向で異ならせて配置する、スラブの連続鋳造方法であり、
    予め、スラブの表面温度の幅方向分布を実測または数値解析にて求めることによって、スラブの幅方向のうちで凝固遅れ部の位置を推定し、
    前記非接触となる部位が、そのいずれかの部位に、前記幅方向のうちで前記凝固遅れ部の位置を含むように配置される、スラブの連続鋳造方法
    100≦W≦Ws/2n ・・・(1)
    ただし、Wsはスラブの全幅、nは圧下ロールの分割数である。
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