JPH11267814A - 鋼ビレットの連続鋳造方法 - Google Patents

鋼ビレットの連続鋳造方法

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JPH11267814A
JPH11267814A JP6889498A JP6889498A JPH11267814A JP H11267814 A JPH11267814 A JP H11267814A JP 6889498 A JP6889498 A JP 6889498A JP 6889498 A JP6889498 A JP 6889498A JP H11267814 A JPH11267814 A JP H11267814A
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徹 加藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳片の中心部および中心部近傍に発生する中心
偏析やポロシティを低減させることが可能な炭素鋼、合
金鋼、ステンレス鋼などのビレットの連続鋳造方法。 【解決手段】鋳片の完全凝固前に未凝固圧下スタンドで
圧下を与え、次いでその下流で完全凝固後に成形スタン
ドで所定の断面形状に成形する方法において、未凝固圧
下スタンド2の最後の1対のロールから、成形スタンド
3の最初の1対のロールまでの距離を3〜15mとし、
未凝固圧下スタンド2において鋳片の中心固相率が0.
1〜0.8の領域で、鋳片の未凝固部径、または未凝固
部厚さ以上の圧下量を鋳片に与えることを特徴とする連
続鋳造による鋼ビレットの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素鋼、合金鋼、
ステンレス鋼などのビレットの連続鋳造方法に関し、鋳
片の中心部、および中心部近傍に発生する中心偏析やポ
ロシティを低減することが可能なビレットの連続鋳造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】連続鋳造から圧延または鍛造工程を経
て、ユジーンセジュルネ法またはマンネスマン法などで
シームレスパイプを製造する場合には、連続鋳造のあと
に、粗圧延により製管用ビレットを製造し、このビレッ
トを製管工程で使用している。この粗圧延を省略し、連
続鋳造した鋳片を直接製管することが可能となれば大幅
なコスト低減効果が期待できる。
【0003】シームレスパイプに限らず、たとえば棒
鋼、線材等の製品分野でも同様に連続鋳造のあとの鋳片
の粗圧延を省略して工程を短縮することが指向されてい
る。
【0004】しかし、連続鋳造ままの鋳片には鋳造中に
中心部に偏析やポロシティが発生し、これらの欠陥が鋳
片内部に残存する。この、いわゆる中心偏析やポロシテ
ィにより、製管時には内面疵が発生するという問題があ
り、また線材製品においては伸線加工時に断線する事故
が発生するという問題がある。
【0005】これら中心偏析やポロシティは、鋳片の凝
固末期の凝固収縮により発生するとされている。このた
め連続鋳造の凝固末期に鋳片に圧下を加えて鋳片の断面
積を減少するとともに、不純物元素が濃化した未凝固溶
鋼を鋳片中心部から排除することにより、これら中心偏
析やポロシティを低減する対策が採られている。
【0006】たとえば、特開平3−124352号公報
に、ブルームやビレットの鋳片の厚さの2〜5倍の直径
を有するロールを用いて鋳片内部の未凝固部を圧下する
方法が提案されている。この方法は鋳片中心部が未凝固
のまま圧下する技術で、完全に凝固した後に圧下する場
合と比べて弱い圧下力で中心偏析やポロシティを低減さ
せることが可能であり、一定の効果が期待できる。
【0007】しかし、この特開平3−124352号公
報に開示される製造方法では、鋳片の圧下に伴い鋳片の
形状が変形するために、たとえば製管用の真円度の良い
丸形状の素材が要求される場合には、変形した鋳片の成
形が必要である。また、線材圧延用の素材の場合にも、
大きく変形した鋳片では、鋳片の成形が必要となる。
【0008】さらに、丸形状の鋳片を未凝固圧下する場
合は、圧下方向と直角方向に鋳片が延びて変形するた
め、内部の凝固界面に働く引張り応力により、内部割れ
が生じ、この内部割れが、製管時の内面疵の発生原因と
なるという問題が生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、炭素鋼、合
金鋼、ステンレス鋼などの連続鋳造において、鋳片の完
全凝固前に未凝固圧下を加え、次いで完全凝固後に所定
の断面形状に成形する製造方法であって、中心偏析やポ
ロシティ等の欠陥がなく、かつ形状の良いビレットの鋳
片を得ることが可能な連続鋳造方法を提供することを目
的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記の
(1)および(2)に示す連続鋳造方法にある。
【0011】(1)鋳片の完全凝固前に少なくとも1対
のロールからなる未凝固圧下スタンドで圧下を与え、次
いで鋳片の完全凝固後に少なくとも1対のロールからな
る成形スタンドで所定の断面形状に成形する鋼ビレット
の連続鋳造方法であって、前記未凝固圧下スタンドの最
後の1対のロールから、前記成形スタンドの最初の1対
のロールまでの距離を3〜15mとし、前記未凝固圧下
スタンドにおいて、鋳片の中心固相率が0.1〜0.8
の領域で、圧下前の鋳片の未凝固部径または未凝固部厚
さ以上の圧下を鋳片に与えることによる鋼ビレットの連
続鋳造方法。
【0012】(2)前記未凝固圧下スタンドの最後の1
対のロールから前記成形スタンドの最初の1対のロール
までの間で、鋳片表面を鋳片表面の単位面積あたり5〜
200リットル/m2・minの水量で冷却することを特徴と
する上記(1)に記載の鋼ビレットの連続鋳造方法。
【0013】ここで、本発明で用いているビレットと
は、まず鋳片の形状としては、日本工業規格のJISG
0203に定める鉄鋼用語(製品および品質)に記載の
ブルームおよびビレットのことであり、断面がほぼ正方
形、または長辺が短辺の約2倍以下の長方形、または断
面が円形の鋳片のことである。次に、その鋳片は、製品
圧延用素材形状にするための粗圧延を実施すること無
く、得られた鋳片をそのままの断面形状で製品から製品
圧延することとするが、要すれば粗圧延を施してから、
製品圧延を行ってもよい。
【0014】なお、上記(1)に記載の未凝固部径は、
円形断面の鋳片を対象とし、未凝固部厚さは、正方形ま
たは長方形断面の鋳片を対象として用いる。長方形断面
の場合の未凝固厚さは、長辺側凝固殻同士の間の未凝固
厚さを意味する。
【0015】また、未凝固部径または未凝固部厚みは、
固相率0.99以下の未凝固部の径または厚さである。
【0016】C(炭素)含有率が0.5重量%以上の炭
素鋼、合金成分を含む合金鋼、ステンレス鋼などに、鋳
片の完全凝固前に未凝固圧下スタンドにより、所定の中
心固相率で所定量未凝固圧下し、さらにその下流側で、
鋳片の完全凝固後に成形スタンドにより、未凝固圧下で
変形した鋳片形状の成形をする方法を適用した場合に
は、鋳片の未凝固圧下により中心偏析やポロシティが一
旦消えた後に、成形スタンドによる鋳片成形のときに、
新たなポロシティ(以下に、成形ポロシティと記す)が
発生することがあり、この成形ポロシティが、その後の
製品圧延工程で有害な疵となることがある。
【0017】合金成分を含むC含有率が1重量%程度の
軸受鋼の場合、成形後に発生した典型的な成形ポロシテ
ィの周囲には、凝固過程に共晶反応により生成した共晶
セメンタイトが存在する。一方、未凝固圧下も成形も実
施しない鋳造ままの鋳片では、デンドライト樹間のミク
ロ偏析部分および中心偏析部分にも、共晶セメンタイト
が晶出する。
【0018】図2は、この軸受鋼の化学組成に相当する
Fe−1.5%Cr−C三成分系のFe−C擬二元系状
態図である。C含有率が1重量%程度の軸受鋼では、そ
の母材組成では共晶セメンタイトは晶出しないことが理
解されるが、実際には凝固に伴いCなどの溶質元素が偏
析し、図2のCが右側の高C含有率側に移行するため
に、共晶セメンタイトが晶出する。
【0019】この軸受鋼の共晶温度は1150℃であ
り、一方完全凝固後の鋳片成形時の成形温度が1150
℃以上のために、溶融した状態の共晶セメンタイトが加
工を受けて、成形ポロシティになる。
【0020】図3は、この軸受鋼について伝熱凝固解析
により求めた成形時の鋳片中心温度と成形ポロシティの
有無の関係を調査した結果を示す図である。成形ポロシ
ティの発生状況は、鋳片縦断面試料より20倍のルーペ
で中心部30mmの状況を計数して調査した。成形時の
鋳片中心温度と成形ポロシティ発生状況には明白な相関
があり1150℃より高い条件で成形した場合に成形ポ
ロシティが発生することが分かる。
【0021】通常の炭素鋼においては、中心偏析部のC
含有率が増加するので共晶組織が生成する。すなわち、
C含有率が0.5重量%以上の炭素鋼では、凝固過程で
融点の低い共晶セメンタイトが晶出するか、晶出しなく
ともC含有率が多くなった中心偏析部の融点が低下し、
成形時に溶融部分が残った結果、成形ポロシティが発生
することがある。
【0022】ステンレス鋼についても、種々の合金成分
が添加されるので、ミクロ偏析をおこす合金成分、たと
えばBを多量に含有するオーステナイト系ステンレス鋼
では、ミクロ偏析部に低融点の共晶組織が生成し、成形
時に成形ポロシティを発生する場合がある。
【0023】このように、成形時に発生する成形ポロシ
ティは形成されたミクロ偏析部が、低融点の共晶組織と
なるか、共晶組織にならないまでも成分偏析による成分
濃化で同じく低融点となり、溶融したままで成形を受け
るために成形ポロシティとなるのである。
【0024】本発明の方法によれば、鋳片の成形時まで
にミクロ偏析を含めて完全凝固させ、その後に適正圧下
条件で成形を行うので、成形ポロシティ発生を抑制する
ことができる。
【0025】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の方法を実施する
ための連続鋳造装置の1例を示す図である。
【0026】ここでは、未凝固圧下スタンド2の例とし
て、上下1対の水平ロールスタンド21を2セット備
え、また凝固後圧下の成形スタンド3の例として、1対
の垂直ロール31と、その下流側に上下1対の水平ロー
ル32を備えた例を示す。
【0027】鋳片の成形は、連続鋳造工程と製品圧延工
程の間に、別工程で実施するとコスト上昇を招くので、
未凝固圧下スタンドの下流側に設置した連続鋳造装置内
の成形スタンドによりインラインで行うことが望まし
い。すなわち、中心部が未凝固の鋳片1を未凝固圧下ス
タンド2で圧下した後、成形スタンド3で所望の形状と
することが望ましい。
【0028】未凝固圧下は、中心固相率0.1〜0.8
の間で行う必要がある。ここで、中心固相率とは鋳片の
中心部が凝固の過程で液相と固相の共存する状態にあっ
て、その固相の液相と固相の合計量に対する体積分率を
表す。中心固相率は、伝熱凝固解析により計算して求め
た鋳片中心部の温度と、その鋼に固有の液相線温度およ
び固相線温度から求めることができる。
【0029】未凝固圧下に際して、中心偏析およびポロ
シティを低減するためには、凝固界面を完全に圧着する
まで圧下することが必要である。中心固相率が0.1よ
り小さな時点で圧下した場合には、未凝固部径が大きい
ので、凝固界面同士を圧着するためには大きな圧下量が
必要である。したがって、大きく鋳片が変形するため、
あとの成形には不利となる。また、小さい固相率で圧下
と、鋳片中心部への圧下の浸透にむらが生じ、中心偏析
の原因となる。
【0030】一方、中心固相率が0.8を超えた時点で
圧下すると、偏析成分の濃化した溶鋼の絞り出しができ
ず、中心偏析が残存してしまう。中心固相率が高くなる
と、溶鋼の流動性が低いことに加えて、固相の間の残溶
鋼が占める割合が小さくなるため、圧下しても残溶鋼
が、固相の間を通り流動することが困難となるからであ
る。
【0031】以上より、圧下時の鋳片の変形をより少な
くし、中心偏析およびポロシティの消失をより完全に実
施するためには、中心固相率が0.1〜0.8、より好
ましくは0.2〜0.7の範囲で圧下することが望まし
い。
【0032】未凝固圧下スタンドの最後の1対のロール
と成形スタンドの最後の1対のロールまでの距離は3〜
15mとする必要がある。本発明の方法では、未凝固圧
下した鋳片の中心部を、成形時までに共晶セメンタイト
を含むミクロ偏析まで完全凝固させることにより、成形
ポロシティの生成を防止する。以下に、鋳片中心部を完
全凝固させるための条件について説明する。
【0033】中心固相率が0.1〜0.8の領域で未凝
固圧下すると、その鋳片横断面における中心部の未凝固
溶鋼の大部分は上流側に押し流されてしまう。このた
め、凝固潜熱の放出がなくなり、中心部の温度は急速に
低下する。
【0034】図4は、伝熱凝固解析により未凝固圧下後
の鋳片中心温度の推移を計算した結果を示す。ここでは
鋳片を直径が360mmと190mmの丸鋳片とし、鋳
造速度はそれぞれ1.1m/min、2.8m/min
とした。未凝固圧下後、成形までの間を放冷とした。
【0035】未凝固圧下終了時にはいずれも凝固界面が
圧着した状態で、中心温度は約1350℃となり、その
後徐々に温度が低下する。いずれの場合にも未凝固圧下
後3mで中心温度が1150℃未満となり、共晶温度1
150℃を下回る。したがって、成形ポロシティの生成
を防止するためには、未凝固圧下スタンドとその下流側
の成形スタンドの間を、3m以上隔てる必要がある。
【0036】ただし、5m以上の間隔をあければ中心温
度は約1100℃まで低下することから、種々の鋼種、
鋳造条件などの製造条件の変化に対して、より確実に成
形ポロシティ生成を防止する観点から、5m以上の間隔
をあけることが、より望ましい。
【0037】一方、未凝固圧下スタンドとその下流側の
成形スタンドの間を15mを超えて隔てると鋳片の温度
が低下し、鋳片の強度が増加するため成形のために過大
な設備が必要となる。鋳片を加熱することも可能である
が加熱炉が必要となり、設備費用、製造コストの大幅な
増加となる。したがって、15mを上限とした。より好
ましくは、10m以内である。この場合には、比較的高
温のまま成形でき、大型の成形装置が不要となるため設
備コストの低減が可能となる。
【0038】未凝固圧下スタンドの最後の1対のロール
から成形スタンドの最初の1対のロールまでの間では、
鋳片を5〜200リットル/m2 ・minの水量で冷却する
ことが望ましい。未凝固圧下スタンドと成形スタンドの
間で鋳片を水スプレーなどにより冷却することにより鋳
片の温度低下が促進されることになる。
【0039】前述の図4で説明したように、鋳片を放冷
する場合でも成形時までに鋳片中心部の温度は1150
℃未満になる。しかし、製造条件の変動等で成形時まで
に鋳片中心部の温度が1150℃未満に達しないと予想
される場合には、この鋳片の水冷却により確実に115
0℃未満に制御することが可能となり、成形ポロシティ
の生成を確実に防止することが可能となる。
【0040】この冷却において、水量が鋳片表面の単位
面積あたり5リットル/m2・min未満の場合には、実質的な
鋳片の冷却効果が得られない。また、200リットル/m2
minを超えて冷却すると過冷却となり、鋳片温度が著し
く低下して鋳片の強度が増すので、成形時に過大な負荷
が必要となる。また、急激な冷却に伴う熱応力割れが鋳
片に発生する場合がある。
【0041】本発明の方法は、日本工業規格のJISG
0203に定めるブルーム、またはビレット形状である
丸断面形状、正方形、長方形の形状のいずれの鋳片にも
適用可能である。
【0042】また、鋳片の未凝固圧下及び成形圧下は、
上下1対2本、または上下2対4本などのロールで行う
ことが生産効率の上では好ましいが、鍛造装置など他の
機構により実施することも可能である。
【0043】
【実施例】図1に示すような1セットの上下1対のロー
ル21からなる未凝固圧下スタンド2と、1対の垂直ロ
ール31と上下1対の水平ロール32からなる成形スタ
ンド3を備えた湾曲形連続鋳造機を用いて、丸断面形状
ビレットを製造した。得られた鋳片の中心偏析度、ポロ
シティ、真円度を評価した。
【0044】未凝固圧下スタンドの上下1対のロール2
1は、溶鋼メニスカスより23mの位置、成形スタンド
の最初の1対の垂直ロール31は、同じく25mから3
9mの間に設置し、成形スタンドの最初の1対の垂直ロ
ール31の設置位置を変更して試験を実施した。
【0045】未凝固圧下を行うロール21は、直径60
0mmの上下1対のロールにより、圧下力100tonの
荷重をかけて行い、成形を行う1対の垂直ロール31と
上下1対の水平ロール32は、直径600mmで、丸形状
にロール表面を研削しており、それぞれ押し付け力15
0tonの荷重をかけて行った。
【0046】鋳造速度は、1.5〜2.3m/minで、直
径240mmの丸断面形状の鋳片を鋳造した。連続鋳造
機内の2次冷却は、鋳型の出口部から6mの間で比水量
0.2リットル/kg・steelで行った。鋳造時には鋳型内のメ
ニスカスから200mmの位置に電流値300Aの電磁
攪拌を付与した。電磁攪拌の目的は、凝固組織を柱状晶
から等軸晶へ変化させることにより未凝固圧下効果を増
加させるためである。また、鋳造速度を変化させて未凝
固圧下位置における中心固相率を変化させた。
【0047】表1は、試験に使用した鋼の化学組成を示
す。鋼Aは、C含有率が1.0重量%の軸受鋼、鋼B
は、C含有率が0.8重量%の炭素鋼である。
【0048】
【表1】
【0049】未凝固部径と中心固相率は、半径方向一次
元の非定常伝熱凝固解析により求めるとともに、さらに
鋳造中の鋳片へのFe−S添加による凝固殻厚み調査に
より確認した。
【0050】中心偏析度は、鋳片中心部より、直径5m
mのドリル刃により穿孔して得られた切り削のC含有率
1 に対する鋳片のレードル分析値C0 の比C1 /C0
により評価した。
【0051】また、真円度は、鋳片横断面の重心を求
め、重心から外表面への距離を周方向に30°ピッチで
計測し、得られるべき真円の半径との差を真円の半径で
除したものを真円偏差率(%)と定義し評価をおこなっ
た。製管工程に対して許容される真円偏差率は、通常3
%以内程度である。
【0052】ポロシティ生成個数は、鋳片縦断面試料の
中心部幅30mmを20倍のルーペで調査する方法によ
り求めた。
【0053】表2に、C含有率が1.0重量%の軸受鋼
の試験結果を示す。ここで成形位置とは、未凝固圧下ス
タンドの最後の1対のロールから成形スタンドの最初の
1対のロールまでの距離を表す(以下の説明、表は、同
様のことを意味する)。
【0054】
【表2】
【0055】本発明例の実施例1から4においては、未
凝固圧下時の中心固相率は、本発明で規定する範囲内の
0.1〜0.5で、成形位置も同じく4.0〜12.0
mとした。また、未凝固圧下スタンドと成形スタンドの
間では、鋳片を水冷却せず、放冷とした。
【0056】実施例1から4の試験では、中心偏析度、
真円度、中心部ポロシテイーともに良好な鋳片が得られ
た。ただし、本発明で規定する範囲内であるが未凝固圧
下時の固相率が0.1と低目の実施例2では未凝固圧下
量が大きく、成形後の真円偏差率がやや大きかった。
【0057】成形位置が4mの実施例3では、鋳片温度
がやや高いことから、成形に伴いごくわずかの微細な成
形ポロシティが見られた。成形位置が12mの実施例4
では鋳片の温度がやや低下し、成形には大きな力が必要
となり真円偏差率がやや大きくなったが、製管圧延上は
問題ない数値である。
【0058】比較例5では、成形位置を2mとし、未凝
固圧下後短時間で成形を行ったため、中心偏析部が未凝
固のまま成形され、ポロシティが多数発生した。比較例
6では、成形位置を16mとし、未凝固圧下後時間を経
てから成形したため鋳片温度が低下し、150tonの圧
下力の成形スタンドでは十分な成形ができず真円偏差率
が著しく悪かった。この比較例6の鋳片は、製管不可能
であった。
【0059】比較例7は鋳造速度を速くし、中心固相率
0.05で未凝固圧下した場合である。共晶セメンタイ
トの晶出を伴うような中心偏析ではなかったが、偏析度
が大きかった。また、未凝固界面を圧着させるために大
きな圧下を行っており製管への適用が困難な真円度にし
か成形できなかった。
【0060】比較例8では鋳造速度を低下し、中心固相
率0.9で未凝固圧下した。未凝固圧下時の偏析成分の
濃化した溶鋼の流動が不十分であったため、中心偏析度
が大きく、ポロシティも発生した。
【0061】比較例9では未凝固圧下時の圧下量を減少
した。凝固界面同士が圧着していないため、中心部の濃
化した溶鋼が上流側に排出されず、中心偏析が顕著であ
るとともに、ポロシティが多数発生した。なお、比較例
5〜9も未凝固圧下スタンドと成形スタンドの間では、
鋳片を水冷せず放冷とした。
【0062】表3は、C含有率が0.8重量%の炭素鋼
の試験結果を示す。本発明例の実施例10と比較例11
の試験では、鋳造速度及び未凝固圧下条件を本発明で規
定する範囲内で一定にし、成形位置のみを変化させた。
実施例10、比較冷11とも未凝固圧下スタンドと成形
スタンドの間では、鋳片を水冷せず放冷とした。本発明
例の実施例10については良好な鋳片が得られた。これ
に対して未凝固圧下後2mの間隔しか空けずに成形した
比較例11では、成形ポロシティが多数発生した。
【0063】
【表3】
【0064】次に、軸受鋼を使用し鋳造速度及び未凝固
圧下、成形条件を表2の実施例3と同じ条件のもとで、
未凝固圧下スタンドから成形スタンドまでの間の水冷却
条件のみを変化させた試験結果を表4に示す。
【0065】
【表4】
【0066】実施例13は、未凝固圧下後に放冷した場
合で、本発明で規定する範囲内であるが圧下位置が4m
と短いことから鋳片の温度がやや高めで、その結果成形
によりごくわずかの軽微な成形ポロシティが発生した。
【0067】これに対して、水量を20リットル/m2・min
で冷却した実施例12では完全に成形ポロシティを防止
することができた。また、水量を250リットル/m2・min
まで増加した実施例14の場合には、成形ポロシティは
防止できたが、鋳片の温度が低下し、成形に必要な応力
が増加し、150tonの圧下力では、圧下力が不足し
真円偏差率が悪かった。
【0068】
【発明の効果】本発明の方法の適用により、炭素鋼、合
金鋼、ステンレス鋼などのビレットの連続鋳造鋳片の中
心部および中心部近傍に発生する中心偏析やポロシティ
を低減することができる。さらに未凝固圧下後の成形に
伴う成形ポロシティの発生も防止することが可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するのに好適な鋳片の未凝
固圧下と凝固後の成形設備の1例を示す概念図である。
【図2】Fe−1.5重量%Cr−C三成分系のFe−
C擬二元系状態図である。
【図3】成形時の鋳片中心温度と、成形ポロシティ発生
個数との関係を示す図である。
【図4】伝熱凝固解析により求めた未凝固圧下スタンド
からの距離と鋳片中心温度との関係を示す図である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳片の完全凝固前に少なくとも1対のロー
    ルからなる未凝固圧下スタンドで圧下を与え、次いで鋳
    片の完全凝固後に少なくとも1対のロールからなる成形
    スタンドで所定の断面形状に成形する鋼ビレットの連続
    鋳造方法であって、前記未凝固圧下スタンドの最後の1
    対のロールから、前記成形スタンドの最初の1対のロー
    ルまでの距離を3〜15mとし、前記未凝固圧下スタン
    ドにおいて、鋳片の中心固相率が0.1〜0.8の領域
    で、圧下前の鋳片の未凝固部径または未凝固部厚さ以上
    の圧下を鋳片に与えることを特徴とする鋼ビレットの連
    続鋳造方法。
  2. 【請求項2】前記未凝固圧下スタンドの最後の1対のロ
    ールから前記成形スタンドの最初の1対のロールまでの
    間で、鋳片表面を鋳片表面の単位面積あたり5〜200
    リットル/m2・minの水量で冷却することを特徴とする請
    求項1に記載の鋼ビレットの連続鋳造方法。
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