JPH10156495A - 丸断面ビレット鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents

丸断面ビレット鋳片の連続鋳造方法

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JPH10156495A
JPH10156495A JP31604896A JP31604896A JPH10156495A JP H10156495 A JPH10156495 A JP H10156495A JP 31604896 A JP31604896 A JP 31604896A JP 31604896 A JP31604896 A JP 31604896A JP H10156495 A JPH10156495 A JP H10156495A
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cast billet
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Akihiro Yamanaka
章裕 山中
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】継目無鋼管素材用の丸断面ビレット鋳片の連続
鋳造方法を提供する。 【解決手段】炭素含有量が0.13%以上の溶鋼を鋳造し、
鋳型直下から鋳片中心部が凝固を開始するまでの間の二
次冷却中に、鋳片の上半面側と下半面側との冷却強度を
変えて鋳片を冷却し、鋳片中心に対して非対称厚さの凝
固シェルを形成させ、同時に鋳片の上下半面側に備えた
鋳造用ロールを用いて鋳片に圧下を施す。 【効果】径方向における最終凝固位置に発生する内部空
隙を鋳片横断面の中心から偏心させると共に、鋳片の内
部割れを防止することができる。この鋳片を穿孔製管す
れば、内面疵および肉厚中の欠陥のない素管を得ること
が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素鋼、低合金
鋼、高合金鋼およびステンレス鋼などの継目無鋼管の素
材として好適な丸断面ビレット鋳片を得るための連続鋳
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管の製造方法の一つとして、丸
または角断面の連続鋳造鋳片を素材とし、マンネスマン
マンドレルミル方式やマンネスマンプラグミル方式など
の穿孔機を用いて穿孔圧延する方法が行なわれている。
【0003】これらの製造方法は、加熱炉で所定の温度
に加熱した素材を穿孔機で穿孔圧延して中空素管とした
後、この素管をマンドレルミルやプラグミルなどの延伸
圧延機で拡管して肉厚を減じた後、ストレッチレデュー
サやサイザーなどの絞り圧延機で外径を絞り、鋼管に仕
上げるものである。
【0004】継目無鋼管は使用する素材の内質部が管の
内表面となるため、素材の外表面のみならず、内質部で
の健全性が要求される。
【0005】ところで、連続鋳造された鋳片には、鋳造
時の径方向の最終凝固位置に相当する鋳片の横断面(引
抜方向に対して直角方向の断面)の中心部に、軸方向に
不連続の内部空隙(センターポロシテイ)が存在する。
この内部空隙が穿孔圧延時に十分に圧着されず、素管の
内面に露出して内面疵となる場合がある。
【0006】また、鋳片をさらに分塊圧延した丸ビレッ
トを素材として使用した場合でも、分塊工程で内部空隙
が十分に圧着されていないので、穿孔圧延時に素管の内
面疵となることがあり、完全には内面疵の発生を防止す
ることができない。
【0007】特開平3−124352号公報には、この
内部空隙を排除することができる「内部品質に優れた連
続鋳造鋳片の製造方法」が提案されている。この方法
は、鋳片の厚さの2〜5倍の直径を有するロールを用い
て鋳片内部の未凝固部を圧下することにより、凝固した
鋳片に対する圧下に比べ弱い圧下力で内部空隙を低減さ
せるものである。この方法を用いることで、それなりの
内部空隙の低減効果を期待することができる。
【0008】しかし、この方法では、鋳片のサイズや温
度によっては、鋳片の内部への圧下力の浸透が不十分で
内部空隙を完全に圧着することができない場合があり、
さらに圧下力を増して大きな圧下を施すと凝固界面に割
れが生じ、いわゆる「内部割れ」が問題となる。また、
丸断面ビレット鋳片の場合、圧下により真円度が損なわ
れることは避けられず、丸断面ビレット鋳片とすること
の本来の狙いであるニアネットシェイプキャステイング
の意義を失うことになる。
【0009】これらの問題を解決するために、本発明者
らは特開平8−52555号公報において、鋳片の周方
向の冷却強度を変化させ、穿孔圧延製管用鋳片の最終凝
固位置を鋳片の中心から偏心させる連続鋳造方法および
継目無鋼管の製造方法を提案した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記特開平8
−52555号公報の方法を丸断面ビレット鋳片に適用
すると、以下の問題があることが判明した。
【0011】炭素含有量が0.13質量%以上の中炭素
鋼および高炭素鋼においては、鋳片の割れ感受性が高
く、鋳片の周方向、すなわち上半面側と下半面側との冷
却強度の違いにより、その上半面と下半面との境界部分
に引っ張り応力による内部割れが発生する。
【0012】この内部割れ部は、C、P、Mn、Sなど
の成分が偏析した状態で凝固している。この部分は脆
く、かつ他の部分より固くなっており、製品鋼管の肉厚
中の欠陥となる可能性がある。
【0013】本発明の目的は、炭素含有量が0.13質
量%以上の鋼種において、鋼管の穿孔圧延時に管内面に
疵が発生せず、かつ内部割れのない継目無し鋼管用素材
の製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、次の継
目無鋼管素材用の丸断面ビレット鋳片の連続鋳造方法に
ある。
【0015】継目無鋼管素材用の丸断面ビレット鋳片の
連続鋳造方法であって、炭素含有量が0.13質量%以
上の溶鋼を鋳造し、鋳型直下から鋳片の中心部が凝固を
開始しだす以前までの間の二次冷却中に、鋳片の上半面
側と下半面側との冷却強度を変えて鋳片を冷却すること
により、鋳片の中心に対して非対称厚さの凝固シェルを
形成させ、鋳片の径方向の最終凝固位置およびこの位置
で生成する内部空隙の位置を鋳片の横断面の中心から偏
心させながら、鋳片の上半面側および下半面側に備えた
鋳造用ロールを用いて鋳片に圧下を施すことを特徴とす
る継目無鋼管素材用の丸断面ビレット鋳片の連続鋳造方
法。
【0016】炭素含有量の望ましい上限は1.0質量%
程度である。
【0017】鋳片の望ましい圧下は、後述する圧下テー
パ値の範囲を0.2〜1mm/mおよび総圧下量を最大
3mmなどとする軽微な圧下である。
【0018】
【発明の実施の形態】一般に、連続鋳造鋳片の内部空隙
は、未凝固溶鋼の流動が低下した最終凝固段階において
発生する。したがって、この内部空隙は、鋳片の周方向
の冷却が均等であれば、鋳片の中心部(引抜き方向に対
し直角方向の横断面の中心部)に発生する径方向の最終
凝固位置に存在することになる。
【0019】通常、鋳型を出た鋳片は、水スプレーを用
いる二次冷却または放冷により冷却され、表面から熱が
奪われて凝固シェルを発達させながら順次凝固が進行す
る。このようにして、溶鋼が凝固する際には、溶鋼顕
熱、凝固潜熱および固体顕熱が凝固シェルを介して外部
へ抜熱される。この際、周囲からの冷却が均等であれ
ば、単位時間当たりの凝固シェルの発達は全周にわたり
ほぼ同等であり、径方向の最終凝固位置は鋳片横断面の
ほぼ中心となる。
【0020】図1により、本発明方法を実施する連続鋳
造装置の構成例を説明する。図1は、本発明方法を実施
するための丸断面ビレット鋳片(以下、丸ビレット鋳片
または単に鋳片という)の連続鋳造装置の構成例を示す
側面方向の縦断面図である。この装置は、レードル1、
浸漬ノズル2−1,2−2、タンディッシュ3、鋳型
4、その直下の鋳造用ロール5群、同じく二次冷却スプ
レー帯6、鋳造用ロール5群の下流のガイドロール7
群、およびその下流のピンチロール8群を備えている。
図1において、符号9は溶鋼、10は固液共存相、11
は凝固シェル、12−1は丸ビレット鋳片、Sは鋳片1
2−1の中心部が凝固を開始する点およびPは完全凝固
点である。
【0021】「凝固を開始する」とは、冷却により溶鋼
が状態図で言う液相線温度以下の温度になることを意味
する。
【0022】通常の連続鋳造方法においては、内部空隙
は上記のP点の数mから数十cm手前よりP点にいたる
間で生成する。
【0023】本発明方法の要点のひとつは、継目無鋼管
素材用の丸ビレット鋳片12−1の連続鋳造において、
二次冷却スプレー帯6で、鋳片の上半面側(図1の右上
側)と下半面側(図1の左下側)とで冷却速度を変えて
鋳片を冷却、凝固させ、鋳片の径方向の最終凝固位置に
形成する内部空隙を鋳片の横断面の中心部から偏心させ
ることにある。
【0024】すなわち、鋳型2の直下から鋳片12−1
の中心部が凝固を開始する点Sまでの間に、鋳片の引抜
き方向に二次冷却スプレー帯6を設置し、鋳片の上半面
側と下半面側との冷却強度を変えて鋳片を冷却する。こ
のように鋳片の周方向の二次冷却水量の分布を変えるこ
とにより、周方向の冷却強度を変化させる。これによ
り、冷却強度の大きな部分の凝固シェル11の成長速度
が増加し、凝固シェルが優先的に発達する。そのため、
鋳片の周囲から内部へ向けて凝固速度の異なる凝固シェ
ルが成長し、鋳片の中心に対して非対称厚さの凝固シェ
ルが形成され、径方向における最終凝固位置が鋳片の中
心から偏心する。その結果、内部空隙も鋳片の中心から
偏心した位置に形成されることになる。内部空隙の中心
からの偏心の位置は、後述するとおり鋳片の直径の1%
以上とするのが望ましい。
【0025】二次冷却スプレー帯6の鋳型2の直下から
の望ましい長さの範囲は3〜15m程度である。通常、
鋳型を出た鋳片が鋳型の直下から鋳片の中心部が凝固を
開始する点Sに至るまでの距離は数mから十数m程度あ
り、二次冷却スプレー帯は鋳型の直下に近い上流側に設
置することが望ましい。これは、凝固末期に鋳片を冷却
しても、凝固シェルの発達が大きく、凝固シェルの熱抵
抗が大きいため、抜熱が効果的に行なわれないためであ
る。
【0026】二次冷却スプレー帯6の望ましい下限長さ
を3mとするのは、3m未満の短い場合には、二次冷却
中に生じた凝固シェル11の厚みの差が、二次冷却の終
了時点から最終凝固点Pに至るまでの間になくなり、最
終凝固部の偏心が起こらなくなるためである。一方、凝
固末期に至るまでの二次冷却が長すぎる場合には、強冷
却部と弱冷却部の温度差が大きくなり、鋳片の熱変形を
招く。したがって、二次冷却スプレー帯の鋳型2の直下
から長さは、最大で15m程度にとどめることが望まし
い。
【0027】二次冷却スプレー帯6の冷却水量密度の望
ましい範囲は、鋳片12−1の強冷却側で100〜10
00リットル/(m2・min)程度、弱冷却側で0〜
50リットル/(m2・min)程度である。最終凝固
点の偏心効果は、上半面側でも 下半面側でも同様に出
現するので、どちら側を強冷却あるいは弱冷却にしても
よい。
【0028】次に、上記のようにして内部空隙を鋳片1
2−1の中心から径方向に偏心させて形成させる理由を
説明する。
【0029】本発明方法によって製造した中実丸ビレッ
ト鋳片の穿孔圧延においては、理論上、この鋳片の半径
部分が穿孔圧延後に得られる中空素管の肉厚となり、こ
の鋳片の中心が素管の内表面となる。このため、内部空
隙が鋳片の中心に存在しない限り、この空隙は穿孔圧延
時に中空素管の肉厚内にあって圧着され、素管の内表面
に現れないから、内面疵が発生することはない。
【0030】しかし、真円の中実丸ビレット鋳片を得る
ことは工業的に事実上不可能であり、また穿孔圧延にお
いてプラグ中心と中実丸ビレット鋳片の中心を完全に一
致させた状態で圧延することも事実上不可能である。本
発明では、丸ビレット鋳片の最終凝固位置すなわち内部
空隙の位置を、丸ビレットの中心からその直径の1%以
上偏心させることにより、素管の内面疵の発生の防止ま
たは著しい低減を図っている。
【0031】図2は、内部空隙位置が径方向に偏心した
丸ビレット鋳片のマンドレルミルやプラグミルなどによ
る穿孔圧延中の状態を概念的に示す図である。図2にお
いて、符号13は上下に傾斜配置された2個対の鼓型ロ
ール、14はこれらのロール間に配置されたプラグ、1
5は中空素管および16は中実丸ビレット鋳片12−2
中の内部空隙である。このような穿孔圧延では、鼓型ロ
ールおよびプラグにより、スパイラル状に回転前進する
中実丸ビレット鋳片を穿孔圧延し、中空素管に仕上げ
る。このとき、内部空隙の位置が鋳片の横断面の中心か
ら偏心していると、内部空隙の全部あるいはその大部分
は、穿孔圧延時に中空素管の内表面に露出することな
く、中空素管の肉厚内にあって圧延時の圧下により圧着
し、内部空隙は無くなる。
【0032】鋳片の内部空隙の発生位置をさらに詳細に
調査すると、鋳片の軸方向に連なって分布しているだけ
でなく、一般的に横断面の径方向にも分布する。そし
て、径方向における最終凝固位置の鋳片の中心側には、
粗大かつ連続的な内部空隙が存在しており、径方向の外
側になるにつれて空隙は小さく、かつ散発的に存在する
ようになってくる。したがって、最終凝固位置を鋳片の
中心から径方向に少なくとも直径の1%偏心させること
により、穿孔圧延時に上記の粗大な内部空隙が素管の内
表面に露出するのを防止することができる。
【0033】本発明方法の他の要点は、溶鋼中の炭素含
有量を限定すること、および前記の二次冷却中に圧下を
加えることにある。
【0034】次に、炭素含有量の限定理由および前記の
二次冷却中において圧下を必要とする理由を説明する。
【0035】前述のような構成の装置および二次冷却条
件において、最終凝固位置を偏心させる実験を様々な鋼
種において実施したところ、以下の事実が判明した。
【0036】炭素含有量が0.13質量%以上の鋼種に
おいては、鋳片の上半面側と下半面側との境界部分に内
部割れが発生した。
【0037】図3は、上記の鋳片の横断面の内部割れの
例を示す図である。図示するように、内部割れの発生位
置は、丸ビレット鋳片12−1の上半面側と下半面側と
の境界部分である。このような内部割れ部では、C、
P、MnおよびSなどが濃化した溶鋼が詰まった状態で
凝固している。
【0038】図4により、この内部割れの発生機構につ
いて検討した結果を説明する。図4は、鋳造時の二次冷
却中の鋳片の横断面の状態を模式的に示す図である。図
4(a)、(b) は二次冷却の途中および図4(c) は二次冷
却の最終段階である。
【0039】図4(a) に示すように、二次冷却を開始す
ると鋳片12−1の上半面側と下半面側との冷却強度の
違いにより、それぞれの半面側で凝固シェル11の収縮
度合の差が生じる。その結果、図4(b) に示すように、
凝固シェルの上下半面の境界部分に鋳片12−1の周方
向の引張り歪の集中が起こり、歪が大きくなって図4
(c) に示すように凝固界面に割れが発生して開口する。
さらに、この開口部に、凝固界面前面の固液共存相(固
体+偏析成分が濃化した溶鋼)10中の偏析成分が濃化
された溶鋼が吸引されてそのまま凝固し、図3に示すよ
うな偏析線、すなわち内部割れとなる。
【0040】このように、丸ビレット鋳片の内部割れ
は、その上半面側と下半面側との二次冷却強度の差によ
る周方向の引張歪の発生に起因している。
【0041】この引張歪を打ち消すためには、丸ビレッ
ト鋳片を圧下して強制的に圧縮応力を与える必要があ
る。この具体的な方法を図1および図5により説明す
る。
【0042】すなわち、本発明方法では、連続鋳造装置
のパスライン上において鋳片11の上および下半面側に
備えた鋳造用ロール5群を用い、上下方向のロール間隔
を下流側に向かうにつれて絞り込み、鋳片の引抜き方向
にしたがって軽微な圧下を加える。
【0043】図5は本発明方法で用いる圧下方法を説明
する図である。図5(a) は側面方向の部分縦断面図、図
5(b) は線A−A′部の横断面図である。
【0044】図5(a) に示すように、鋳片12−1の引
抜きに方向にしたがって下流側のロールの上下方向の間
隔D2(mm) を上流側のそれのD1(mm) よりも小さく
する。このときの圧下は、各ロールの直下ばかりでな
く、鋳片の凝固シェル11の剛性が高いために各ロール
間でも圧下テーパにしたがって行われ、鋳片は圧下され
ていく。
【0045】この圧下テーパとは、鋳片12−1の引抜
き方向の距離L(m)当たりの圧下量を示しており、鋳
片の熱収縮量以上とすることが必要である。圧下テーパ
値の望ましい範囲は0.2〜1mm/mである。本発明
で望ましい丸ビレットの直径は、150〜500mm程
度であるので、この圧下テーパの下限値0.2mm/m
が、鋳片の熱収縮量以上で、圧縮力を付与するのに必要
な最低の値となる。一方、1mm/mを超えると、鋳造
用ロール5との接点近傍の凝固界面で、圧下によるたわ
みで鋳片12−1の引き抜き方向に凝固シェル11の内
面に引張応力が発生し、逆にその部分に内部割れの発生
の危険性が増す。
【0046】このときの総圧下量は最大で3mm以内と
するのが望ましい。この値を超えると、やはり同様の引
張応力が発生し、凝固シェル11に内部割れが発生する
危険性が増す。
【0047】鋳造用ロール5のピッチの上限は、各ロー
ル間にも前記の圧下テーパを生じさせるために500m
m以下とするのがよい。このピッチは、ロール間の干渉
がない限り小さい方が望ましい。
【0048】なお、図1に示す鋳造用ロール5群のゾー
ン長さは、二次冷却スプレー帯6の長さと一致させるの
が望ましい。
【0049】上記のようにすれば、図5(b) に示す方向
の圧縮力を鋳片12−1に加え、鋳片12−1の上半面
側と下半面側とにおける二次冷却の強度差による熱歪に
起因する、図4(b) に示すような引張歪を効果的に打ち
消し、内部割れを防止することができる。
【0050】本発明方法を適用する際の鋳造速度は特に
限定されないが、望ましいのは鋳造速度で0.3〜3.
5m/min程度である。
【0051】
【実施例】本発明例として、図1に示す構成の丸ビレッ
ト鋳片連続鋳造装置を用い、下記条件で鋳造を行った。
【0052】鋳型内径:250mmφ 二次冷却スプレー帯の長さ:鋳型直下から6m 圧下に用いる鋳造用ロール群のゾーン長さ:上記長さと
同一 同上ロール対間のピッチ:300mm 圧下テーパー:0.3mm/m 総圧下量:1.8mm 二次冷却水量密度:鋳片の上半面側は20リットル/
(m2・min)、下半面側は200リットル/(m2
min) 鋳造速度:1.4m/min 溶鋼中の炭素含有量:0.13質量%、0.17質量
%、0.50質量% さらに比較例として、次のおよびの条件で鋳造し
た。
【0053】二次冷却中に圧下テーパを与えず、他の
条件はすべて本発明例と同じ。
【0054】二次冷却水量密度を上下半面で均等に1
00リットル/(m2・min)とし、かつ圧下テーパ
を与えず、その他の条件はすべて本発明例と同じ。
【0055】得られた各鋳片から長さ1mの試験用サン
プルを切り出し、マクロ組織により内部空隙の偏心率
〔(鋳片の中心からの偏心距離/鋳片径)×100
(%)〕およびサルファプリントにより内部割れの有無
を調査した。
【0056】さらに、それぞれの残りの鋳片を加熱炉で
1200℃に加熱した後、穿孔機により穿孔圧延して外
径75mm、肉厚7mmの中空素管を製造し、素管長さ
1m当たりの内面疵の発生個数を調査した。表1に以上
の調査結果を示す。
【0057】
【表1】
【0058】表1に示すとおり、本発明例では、3%前
後の偏心率が得られており、その結果、素管の内面疵の
発生は完全に抑制された。さらに、圧下の効果により鋳
片の内部割れはいずれの鋼種においても皆無であった。
【0059】比較例の鋳片では、本発明例と同程度の
内部空隙の偏心率が得られているものの、いずれの材質
においても内部割れが発生した。この結果、これらの材
質の素管ではこの内部割れに起因する内面疵の発生が認
められた。
【0060】比較例の鋳片では、径方向における最終
凝固位置を偏心させる二次冷却を実施しなかったため内
部割れは発生しなかったものの、内部空隙の偏心率が低
く、素管の内面疵は著しく多発した。
【0061】
【発明の効果】本発明方法によれば、連続鋳造丸ビレッ
ト鋳片の径方向における最終凝固位置に発生する内部空
隙を鋳片の横断面の中心から偏心させるとともに、鋳片
の内部割れを防止することができる。この鋳片を用いて
穿孔製管法により穿孔圧延を行えば、内面疵および肉厚
中の欠陥のない中空素管を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法を実施するための丸ビレット鋳片の
連続鋳造装置の構成例を示す側面方向の縦断面図であ
る。
【図2】径方向に内部空隙位置が偏心した中実丸ビレッ
ト鋳片の穿孔圧延中の状態を概念的に示す図である。
【図3】鋳片の横断面の内部割れの例を示す図である。
【図4】鋳造時の二次冷却中の鋳片の横断面の状態を模
式的に示す図である。(a) は二次冷却の開始直後、(b)
は二次冷却の途中および(c) は二次冷却の最終段階であ
る。
【図5】本発明方法で用いる圧下方法を説明する図であ
る。(a) は側面方向の部分縦断面図、(b) は線A−A′
部の横断面図である。
【符号の説明】
1:レードル、 2−1,2−2:浸漬ノズル、
3:タンディッシュ、4:鋳型、5:鋳造用ロール、
6:二次冷却スプレー帯、7:ガイドロール、 8:ピ
ンチロール、9:溶鋼、 10:未凝固溶鋼、1
1:凝固シェル、 12-1:丸ビレット鋳片、12-2:中
実丸ビレット鋳片、13:鼓型ロール、 14:プラグ、
15:中空素管、 16:内部空隙、S:鋳片の中心部
が凝固を開始する点、P:完全凝固点

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】継目無鋼管素材用の丸断面ビレット鋳片の
    連続鋳造方法であって、炭素含有量が0.13質量%以
    上の溶鋼を鋳造し、鋳型直下から鋳片の中心部が凝固を
    開始する位置までの間の二次冷却中に、鋳片の上半面側
    と下半面側との冷却速度を変えて鋳片を冷却することに
    より、鋳片の中心に対して非対称厚さの凝固シェルを形
    成させるとともに、鋳片の上半面側および下半面側に備
    えた鋳造用ロールを用いて鋳片に圧下を施しながら凝固
    させることを特徴とする継目無鋼管素材用の丸断面ビレ
    ット鋳片の連続鋳造方法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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