JP2019076931A - 継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 鋳片の中心部の割れを抑止するとともに鋳片の反りの少ない、クロムを8〜14質量%含有する継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機によって製造する。【解決手段】 本発明の継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法は、鋳片7の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)とし、その後、鋳片の表面温度が900℃以下600℃以上の範囲内の時点で前記水冷による二次冷却を一旦中断し、二次冷却を一旦中断することによって前記鋳片の表面温度が上昇し、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び鋳片を二次冷却する。【選択図】 図2
Description
本発明は、横断面が円形である継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機によって製造する連続鋳造方法に関し、詳しくは、クロムを8〜14質量%含有する、油井の掘削用などに利用される高クロム継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法に関する。
継目無鋼管は、一般に、出発素材として断面が円形のビレット(「丸ビレット」という)を準備し、丸ビレットをマンネスマン穿孔法によって穿孔した後、エロンゲータ、プラグミルまたはマンドレルミルなどの圧延機によって延伸し、更に、サイザやストレッチレデューサで定径化する一連の工程によって製造されている。
このような丸ビレットを準備する方法としては、横断面が矩形の鋳片または鋼塊を分塊圧延して丸ビレットを製造する方法、及び、横断面が円形の鋳片(丸ビレット)を連続鋳造機で直接製造する方法が知られている。連続鋳造機で横断面が円形の鋳片を製造する方法では、対象鋼種が低炭素鋼の場合には、鋳造された状態で、良好な内質をもった円形横断面の鋳片が得られるが、クロムを8〜14質量%含有する高クロム鋼の場合には、鋳造された状態では、鋳片の内部にポロシティ及び偏析に起因した「放射状割れ」や「一文字状割れ」などの内部割れが発生しやすく、マンネスマン穿孔時に継目無鋼管の内面に疵が発生しやすいという問題がある。
この問題を解決する手段として、特許文献1には、鋼のブルームまたはビレットの連続鋳造において、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.1〜2.0mの位置から鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、連続鋳造機の凝固末期強制冷却帯で鋳片表面を水量密度100〜300L/(min・m2)で水冷却する連続鋳造方法が提案されている。
特許文献1は、鋳片中心部の収縮速度よりも鋳片表面の収縮速度を大きくして、鋳片中心部に発生するセンターポロシティ及び中心偏析を低減するという技術であり、特許文献1によれば、高低合金鋼やステンレス鋼など種々の鋳片の連続鋳造において、鋳片中心部に発生するセンターポロシティ及び中心偏析を低減することができるとしている。
しかしながら、上記従来技術には以下の問題がある。
即ち、特許文献1に示される水量密度は極めて高く、直径170〜240mmの横断面の鋳片を特許文献1に示される水量密度で連続鋳造すると、わずかな冷却水量の不均一に起因して鋳片に反りが発生し、連続鋳造機から出た鋳片の運搬が阻害され、連続鋳造の操業停止を引き起こす場合がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、クロムを8〜14質量%含有する、横断面が円形である継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機によって製造するに際し、連続鋳造用鋳型下方の二次冷却帯における鋳片の二次冷却を適正に行い、これによって、円形横断面の鋳片の中心部の割れを抑止するとともに、二次冷却によって引き起こされる鋳片の反りを少なくすることのできる連続鋳造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、クロムを8〜14質量%含有する高クロム継目無鋼管用鋳片の連続鋳造過程に生ずる欠陥の発生原因について詳細な調査を行った。その結果、連続鋳造の過程において、鋳片中心位置の凝固開始直後から水冷を強化して偏析の発生を厳しく防止することが、前記放射状割れの発生の抑止に寄与することを見出し、これによって鋳片中心部の割れを抑止できることを知見した。
本発明は上記知見に基づきなされたものであり、その要旨は以下のとおりである。
[1]クロムを8〜14質量%含有する溶鋼を連続鋳造用鋳型に注入し、該連続鋳造用鋳型から引き抜いた横断面が円形の鋳片に対して連続鋳造機の二次冷却帯で水冷による二次冷却を行い、継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機で製造するにあたり、
前記鋳片の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、前記水冷による二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)とし、
二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)として前記鋳片を二次冷却しているとき、前記鋳片の表面温度が900℃以下600℃以上の範囲内の時点で前記水冷による二次冷却を一旦中断し、
二次冷却を一旦中断することによって前記鋳片の表面温度が上昇し、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び鋳片を二次冷却することを特徴とする、継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。
[2]前記鋳片の横断面形状が、直径170〜240mmの円形であることを特徴とする、上記[1]に記載の継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。
[1]クロムを8〜14質量%含有する溶鋼を連続鋳造用鋳型に注入し、該連続鋳造用鋳型から引き抜いた横断面が円形の鋳片に対して連続鋳造機の二次冷却帯で水冷による二次冷却を行い、継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機で製造するにあたり、
前記鋳片の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、前記水冷による二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)とし、
二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)として前記鋳片を二次冷却しているとき、前記鋳片の表面温度が900℃以下600℃以上の範囲内の時点で前記水冷による二次冷却を一旦中断し、
二次冷却を一旦中断することによって前記鋳片の表面温度が上昇し、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び鋳片を二次冷却することを特徴とする、継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。
[2]前記鋳片の横断面形状が、直径170〜240mmの円形であることを特徴とする、上記[1]に記載の継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。
本発明によれば、二次冷却の水量密度を適正に制御するので、クロムを8〜14質量%含有する、横断面が円形である高クロム継目無鋼管用鋳片を、鋳片内部の放射状割れなどの内部割れの発生を抑制すると同時に、鋳片の反りを抑制した状態で、連続鋳造機によって製造することが実現される。
以下、本発明に係る継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法を具体的に説明する。
先ず、連続鋳造機によって製造された、クロムを8〜14質量%含有する、横断面が円形である従来の継目無鋼管用鋳片の内部割れについて、図1に基づき説明する。
クロムを8〜14質量%含有する、横断面が円形である従来の継目無鋼管用鋳片には、鋳片の横断面で見ると、図1(A)に示すように、鋳片中心位置から放射状に伸びる内部割れ(「放射状割れ」という)、及び、図1(B)に示すように、鋳片中心部に一文字状に伸びる内部割れ(「一文字状割れ」という)が、連続鋳造中に発生することが知られている。どちらの内部割れも、マンネスマン穿孔時に高クロム継目無鋼管の内面疵の原因になることがわかっている。尚、図1は、円形横断面の高クロム継目無鋼管用鋳片に発生する内部割れを模式的に示す図であり、(A)は放射状割れを示し、(B)は一文字状割れを示す模式図である。
本発明者らは、円形横断面の高クロム継目無鋼管用鋳片において、上記放射状割れ及び一文字状割れの発生を抑制すると同時に、鋳片の反りを抑制することを目的として、実機連続鋳造機で試験鋳造及び試験鋳造結果に基づく検討を行った。図2に、使用した、横断面が円形の鋳片を連続鋳造する連続鋳造機(「丸ビレット連続鋳造機」という)の概略図を示す。図2において、符号1は丸ビレット連続鋳造機、2はタンディッシュ、3は浸漬ノズル、4は連続鋳造用鋳型、5は鋳片支持ロール、6は溶鋼、7は鋳片、8は凝固シェル、9は未凝固層、10は凝固完了位置である。
丸ビレット連続鋳造機1において、タンディッシュ2から浸漬ノズル3を介して連続鋳造用鋳型4に注入された溶鋼6は、連続鋳造用鋳型4で冷却されて凝固シェル8を形成し、外殻を凝固シェル8とし内部に未凝固層9を有する鋳片7として、連続鋳造用鋳型4の下方に設けた鋳片支持ロール5に支持されつつ、連続鋳造用鋳型4の下方に連続的に引き抜かれる。鋳造方向に隣り合う鋳片支持ロール5の間隙には、水スプレーノズルが配置された二次冷却帯(図示せず)が構成されており、鋳片7は、鋳片支持ロール5を通過する間、二次冷却帯の二次冷却水で水冷され、凝固シェル8の厚みを増大し、凝固完了位置10で内部までの凝固を完了する。凝固完了後の鋳片7は、鋳片支持ロール5の下流側に配置された搬送ロール(図示せず)によって搬送されながら、搬送ロールの上方に設置された鋳片切断機(図示せず)によって切断されて丸ビレットとなる。
尚、二次冷却帯は、鋳造方向に複数の冷却ゾーンに分離されていて、それぞれの冷却ゾーンで任意の水量密度(水量密度=0を含む)の二次冷却が可能となるように構成されている。定常鋳造時の鋳片7の引き抜き速度は、鋳造する鋼種に応じて1.5〜4.0m/minの範囲である。
二次冷却帯の水量密度を種々変更した試験鋳造を行った結果、鋳片中心部の放射状割れ、鋳片中心部の一文字状割れ及び鋳片7の反りは、二次冷却帯における水量密度を適正に制御することで抑制できることを確認した。
即ち、鋳片7の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、二次冷却水の水量密度を20〜50L/(min・m2)とすると、凝固収縮の引張応力に起因して発生する鋳片中心部の放射状割れが抑制されることがわかった。これは、鋳片7の中心位置の固相率fsが0.1を超えた以降、水量密度が20〜50L/(min・m2)の水冷を行うことにより、鋳片表面が収縮し、鋳片表面が収縮することによって鋳片7の内部が締め付けられ、つまり、鋳片表面が収縮することによって鋳片7の内部に圧縮力が発生し、この圧縮力が凝固収縮に起因する鋳片中心部の放射状割れの発生を抑制することによる。
水量密度が20L/(min・m2)未満では、凝固収縮による引張応力を超える圧縮力を鋳片中心部に与えることができず、放射状割れの発生を十分に抑制することができない。一方、水量密度が50L/(min・m2)を超えると、冷却が強すぎて、鋳片7に反りが発生する場合がある。
鋳片7の中心位置の固相率fsは、伝熱凝固計算などによって鋳片7の中心位置から表面までの鋳片内部温度分布を求め、且つ、鋳片7の組成から液相線温度及び固相線温度を求め、求めた液相線温度及び固相線温度を前記鋳片内部温度分布に照らし合わせることで、求めることができる。伝熱凝固計算は予め鋳造条件毎に行い、鋳造条件毎に鋳片内部温度分布を求めておけばよく、連続鋳造の毎に伝熱計算を行う必要はない。
固相率fs=0の位置は、全てが液相で凝固が開始していない状態であり、鋳片7の中心位置の固相率fs=0となる最も下流側の位置が、鋳片7の中心位置の凝固開始点であり、鋳片7の中心位置の温度が液相線温度に一致した時点である。固相率fs=1.0の位置は、その位置の温度が固相線温度に一致した位置であって、全てが固相になった状態である。鋳片7の中心位置が固相率fs=1.0となる最も上流側の位置が、凝固完了位置10に相当する。
上記の20〜50L/(min・m2)の水量密度で水冷を行っているときに、鋳片7の表面温度が900℃以下600℃以上の範囲内の時点で、水冷による二次冷却を一旦中断する。二次冷却を一旦中断することにより、鋳片7の表面温度を復熱によって上昇させる。鋳片7の表面温度を上昇させ、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、直ちに、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び鋳片7を二次冷却する。ここで、鋳片中心位置の温度は、伝熱凝固計算などによって求め、鋳片表面温度は、放射温度計などによって測定するか、または、伝熱凝固計算などによって求める。
二次冷却を一旦中断して鋳片7の表面温度を上昇させ、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び二次冷却することで、鋳片内部の一文字状割れ及び鋳片7の反りを抑制できることがわかった。
これは、鋳片内部の一文字状割れは鋳片7の円周方向の冷却のバラツキによって発生することが知られており、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回るまで、鋳片7を複熱させることで、鋳片7の円周方向の冷却のバラツキが軽減され、一文字状割れの発生が抑制されることによる。
また、鋳片7の反りは、鋳片7の鋳造方向の冷却のバラツキ、鋳片7の円周方向の冷却のバラツキ及び鋳片内部の温度勾配が大きすぎることなどによって発生することが知られており、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回るまで鋳片7を複熱させることで、鋳片7の円周方向の冷却のバラツキが軽減され、且つ、鋳片内部の温度勾配が緩やかになり、鋳片7の反りが抑制されることによる。
鋳片7の表面温度が900℃を超える温度で二次冷却を中断すると、凝固シェル8の成長が阻害される、及び、凝固シェル8の強度が不足するなどにより、ブレークアウトが発生するおそれがある。一方、鋳片7の表面温度が600℃未満の状態で二次冷却を中断すると、復熱の効果は低下し、一文字状割れの発生及び鋳片7の反りを十分に抑えることができない。
二次冷却を再開するときに、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃以上の場合には、鋳片7の中心位置と鋳片表面との温度勾配が大きく、この温度勾配によって生ずる応力により、一文字状割れが伸展し、且つ、鋳片7の反りを抑えることができない。
尚、鋳片7の中心部と表面との温度差は小さい方が鋳片7の反りに対しては有効であるが、連続鋳造中に、鋳片中心部と鋳片表面との温度差を無くすることは不可能であり、鋳片中心部と鋳片表面との温度差が100℃を下回ることはない。
鋳片7を再冷却する二次冷却の水量密度は8〜25L/(min・m2)とする。8L/(min・m2)未満の水量密度での冷却では、一文字状割れの発生を抑えることができない。一方、25L/(min・m2)を超える水量密度での冷却を行うと、この冷却により鋳片7の中心部と表面との温度勾配が大きくなり、この温度勾配によって生ずる応力により、一文字状割れが伸展してしまう。
図3に、本発明を実施するときの、丸ビレット連続鋳造機(設備長さ;30m)の連続鋳造用鋳型4の直下から機端までの二次冷却水の水量密度の分布と、鋳片中心位置の固相率fsとの関係を示す。図3に示すように、鋳片中心位置の固相率fsが0を超えた付近(鋳型内溶鋼湯面から約17mの位置)から水量密度が22L/(min・m2)に調整されており、即ち、鋳片7の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、二次冷却の水量密度は20〜50L/(min・m2)に制御されている。また、鋳型内溶鋼湯面から約19mの位置で、一旦、二次冷却を中断し、その後、鋳型内溶鋼湯面から約22mの位置で、水量密度を12L/(min・m2)として二次冷却を再開している。尚、連続鋳造用鋳型直下の水量密度は110L/(min・m2)を超えており、図3では具体的な数値を省略している。
本発明では、連続鋳造用鋳型直下から鋳片中心位置の固相率fsが0.1に達するまでの範囲は、二次冷却の水量密度を規定していないが、鋳型内溶鋼湯面から5mを過ぎた以降は、放射状割れや鋳片7の反りを抑制する観点から、図3に示すように、水量密度を30L/(min・m2)以下に制御することが好ましい。また、鋳片7の表面温度が500℃程度以下になった以降は、二次冷却を実施しなくてもよい。
本発明は、鋳片7の横断面形状が、直径170〜240mmの円形である場合に、特に顕著な効果を発揮する。
以上説明したように、本発明によれば、二次冷却の水量密度を適正に制御するので、クロムを8〜14質量%含有する、横断面が円形である高クロム継目無鋼管用鋳片を、鋳片内部の放射状割れなどの内部割れの発生を抑制すると同時に、鋳片の反りを抑制した状態で、丸ビレット連続鋳造機によって製造することが実現される。
(連続鋳造試験)
図2に示した丸ビレット連続鋳造機を用いて、クロムを13質量%含有する高クロム溶鋼を内径210mmの円筒形連続鋳造用鋳型に注入し、2.5m/minの鋳片引き抜き速度で連続鋳造した。連続鋳造にあたり、鋳片中心部の固相率fsが0.1に達するまでは、全ての試験鋳造で二次冷却条件を同一とし、鋳片中心部の固相率fsが0.1を超えた以降、各鋳造試験の二次冷却条件を変更した。
図2に示した丸ビレット連続鋳造機を用いて、クロムを13質量%含有する高クロム溶鋼を内径210mmの円筒形連続鋳造用鋳型に注入し、2.5m/minの鋳片引き抜き速度で連続鋳造した。連続鋳造にあたり、鋳片中心部の固相率fsが0.1に達するまでは、全ての試験鋳造で二次冷却条件を同一とし、鋳片中心部の固相率fsが0.1を超えた以降、各鋳造試験の二次冷却条件を変更した。
各鋳造試験における、鋳片中心の固相率fsが0.1を超えてからの二次冷却水量密度(L/(min・m2))、二次冷却中断開始時の鋳片表面温度(℃)、及び、冷却再開後の二次冷却水量密度(L/(min・m2))を表1に示す。
連続鋳造によって製造された鋳片の放射状割れ及び一文字状割れの平均長さ、並びに、鋳片の反りの程度を評価した。評価結果を表1に併せて示す。
放射状割れの長さとは、鋳片中心位置に形成される収縮孔から延びる割れの長さ(mm)であり、評価は、多数の鋳片の試験片断面に観察される放射状割れの長さの平均値に基づいて行い、放射状割れ長さの平均値が5mm以下の場合を合格とした。これは、本発明者らの知見によれば、製管条件によって多少の差は生じるものの、鋳片中心部の放射状割れ長さの平均値が5mm以下に抑制できれば、製管後の継目無鋼管の内面欠陥は大幅に低減できることが経験的に確認されていることに基づく。
一文字状割れについては、一文字状割れの有無及びその差渡し長さによって評価し、一文字状割れが発生しない場合を合格とした。鋳片の反りは、図4に示すように、長さ11mの鋳片の反りによって評価し、複数の鋳片の反りが全て5mm以下の場合を合格とした。表1は測定された反りの最大値を示す。
表1に示すように、本発明例では放射状割れ長さの平均値が5mm以下に抑制され、且つ、一文字状割れの発生はなく、また、鋳片の反りも発生していないことが確認できた。
尚、比較例4及び比較例6の鋳片は反りが大きく、鋳片の搬送が不可能となり、製管試験は実施できなかった。
(製管試験)
製造された鋳片を用いて製管試験を行った。製管は、加熱炉での在炉時間;3〜4時間、抽出温度;1100℃の再熱処理を行った後、オーバル孔型−ラウンド孔型−オーバル孔型−ラウンド孔型により順次圧下する4パス孔型圧延により縮径圧延を行った。その際、圧下比は、前段及び後段のオーバル孔型−ラウンド孔型においてそれぞれ、1〜2.5の範囲にとり、全圧下比を1(無圧下)〜5となるように調整した。
製造された鋳片を用いて製管試験を行った。製管は、加熱炉での在炉時間;3〜4時間、抽出温度;1100℃の再熱処理を行った後、オーバル孔型−ラウンド孔型−オーバル孔型−ラウンド孔型により順次圧下する4パス孔型圧延により縮径圧延を行った。その際、圧下比は、前段及び後段のオーバル孔型−ラウンド孔型においてそれぞれ、1〜2.5の範囲にとり、全圧下比を1(無圧下)〜5となるように調整した。
上記縮径圧延により得られた丸ビレットを1250〜1300℃に加熱後、マンネスマン穿孔圧延機を用いて穿孔圧延を行って中空素管とし、その後、直ちにマンドレルミルにより延伸して長尺素管とし、得られた長尺素管を再加熱後、ストレッチレデューサにより定径化して外径;25.4〜177.8mm、厚さ;2.3〜40mmの仕上り寸法に仕上げ、25mmのクロップ切断後に熱処理を行って継目無鋼管とした。
得られた継目無鋼管に対し、その全長に亘って超音波探傷試験を行い、継目無鋼管の内面位置のエコー高さが閾値を超える継目無鋼管を内面欠陥有りと判定した。製管本数に対する内面欠陥有りの管の割合を内面欠陥発生率として評価した。評価結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明により、内面欠陥発生率は比較例に比べて1/3以下に低減できており、製管後の手入れを大幅に低減可能となり、歩留まり改善やコスト削減効果が達成できた。
1 丸ビレット連続鋳造機
2 タンディッシュ
3 浸漬ノズル
4 連続鋳造用鋳型
5 鋳片支持ロール
6 溶鋼
7 鋳片
8 凝固シェル
9 未凝固層
10 凝固完了位置
2 タンディッシュ
3 浸漬ノズル
4 連続鋳造用鋳型
5 鋳片支持ロール
6 溶鋼
7 鋳片
8 凝固シェル
9 未凝固層
10 凝固完了位置
Claims (2)
- クロムを8〜14質量%含有する溶鋼を連続鋳造用鋳型に注入し、該連続鋳造用鋳型から引き抜いた横断面が円形の鋳片に対して連続鋳造機の二次冷却帯で水冷による二次冷却を行い、継目無鋼管用鋳片を連続鋳造機で製造するにあたり、
前記鋳片の中心位置の固相率fsが0.1を超えたら、前記水冷による二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)とし、
二次冷却の水量密度を20〜50L/(min・m2)として前記鋳片を二次冷却しているとき、前記鋳片の表面温度が900℃以下600℃以上の範囲内の時点で前記水冷による二次冷却を一旦中断し、
二次冷却を一旦中断することによって前記鋳片の表面温度が上昇し、鋳片中心位置と鋳片表面との温度差が300℃を下回ったら、水冷による二次冷却の水量密度を8〜25L/(min・m2)として再び鋳片を二次冷却することを特徴とする、継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。 - 前記鋳片の横断面形状が、直径170〜240mmの円形であることを特徴とする、請求項1に記載の継目無鋼管用鋳片の連続鋳造方法。
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