JP4285288B2 - 鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

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本発明は、炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などのブルーム鋳片の連続鋳造において、未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後に圧下することにより、鋳片の中心部におけるポロシティの発生を防止する鋼の連続鋳造方法に関する。
連続鋳造による鋳片の製造においては、厚さ中心部にセンターポロシティ(以下、単に「ポロシティ」と記す)と称する内部欠陥が発生しやすい。鋳片を圧下することにより、鋳片に発生する上記のポロシティを改善する鋳片圧下技術においては、目的とする鋳片未凝固部分を平行ロールを用いて圧下する際に、鋳片幅方向両端部の凝固部をも圧下する必要があり、大きな圧下力を必要とするという問題があった。これに対して、未凝固部分だけを選択的に圧下するために、ロール軸方向に直径が異なる「異径ロール」を用いる圧下技術が公知であるが、この圧下技術の場合には、鋳片表面中央部に凹部形状が残存するという問題があった。
一方、鋳片をバルジングさせた後に圧下する技術(以下、「バルジング圧下技術」とも称する)を、アスペクト比(鋳片の長辺面長さを短辺面長さで除した比の値)が小さいブルーム鋳片に適用する場合には、バルジング量が大きいとバルジングに伴う内部割れが発生しやすいという問題があった。このような鋳片を圧延しても、内部品質の良い製品は得られない。
例えば、ブルーム鋳片から圧延工程または鍛造工程を経て丸ビレットを製造し、マンネスマン法によりシームレスパイプを製造する場合に、鋳片にポロシティが存在すれば、シームレスパイプに内面疵が発生する。また、硬鋼線材用のブルーム鋳片に発生したポロシティは、熱間圧延後の線材の中心部に欠陥として残存する。このような線材を冷間で伸線加工すると、カッピー破断と言われる断線事故が発生する。さらに、このような鋳片を熱間圧延して棒鋼に加工した場合にも、鋳片のポロシティは棒鋼の中心部に欠陥として残存する。この棒鋼を冷間で押し出し加工する際には、シェブロンクラックと称する欠陥が発生する。
上述のような鋳片の厚さ方向中心部のポロシティは、最終凝固部において未凝固溶鋼の流動性が悪く、凝固時の体積収縮によって生じる狭い隙間に上記の溶鋼が補給されないまま凝固が完了することにより発生する。
上記のような問題への対策として、変形抵抗の大きい鋳片の幅方向両端部の凝固部分の圧下を避け、鋳片の幅方向中央部の未凝固部を、キャメル・クラウン・ロールと呼ばれる大径ロールの中央部に突出部を設けた段付きロールにより局部的に圧下することにより、圧下力を効果的に付与する方法が開示されている。
例えば、特許文献1には、鋳片の凝固完了点より前の未凝固部に電磁攪拌などを施して凝固完了点近傍の未凝固部を等軸晶化し、鋳片の凝固完了点直前の鋳片中央の未凝固部にロールにより圧下率2%以上の圧下を加えて強制的に凝固完了点を形成させる連続鋳造方法が開示されている。また、特許文献2には、凝固率55%以上の凝固末期の鋳片に対しロール端部より中央部の径が大きいロール軸方向で径の異なるロールにより、圧下率0.4〜10%の圧下を付加する鋳片の製造方法が開示されている。
しかし、これらの方法では、段付きロールにより局部的に圧下するため、鋳片表面に凹部が形成され、それが、後の圧延工程において寸法不良や平坦度不良などの原因となる。
特許文献3には、鋳型直下から引き抜き方向に配列されたガイドロールの鋳片厚さ方向の間隔を段階的に増加させて、鋳片の中心部の固相率が0.1以下の位置でバルジングを生ぜしめ、鋳片の最大厚さを短辺厚さよりも20〜100mm厚くし、凝固完了点直前にて少なくとも1対の圧下ロールにより1対あたり20mm以上の圧下を与え、前記バルジング量相当分を圧下する鋼の連続鋳造方法が開示されている。
しかしながら、ここで開示された方法においても、アスペクト比の小さいブルームを対象にして適用した場合には、バルジング量が大き過ぎると、バルジング時に内部割れが発生したり、圧下開始時の未凝固厚さが適正でない場合には、ポロシティの改善効果が得られにくいことが判明した。
上述のとおり、横断面のアスペクト比が小さく、1に近い鋳片に、バルジング圧下技術を適用するに当たっては、ポロシティの発生を防止し、内部品質の良好な鋳片を得るために解決されねばならない課題が残されている。
特開昭61−132247号公報(特許請求の範囲および第2頁右上欄13〜19行)
特開昭60−184455号公報(特許請求の範囲および第2頁左上欄18行〜右上欄6行)) 特許第2980006号公報(特許請求の範囲および段落[0012]〜[0020])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、未凝固部を含む鋳片を一旦バルジングさせた後に圧下する鋳造方法において、バルジングによる内部割れを発生させることなく、また、ポロシティの発生をも解消し、健全なブルーム鋳片を製造できる連続鋳造方法を提供することを課題としている。
本発明者は、上記の課題を解決するために、バルジング後に圧下を加える鋳造方法をブルームの連続鋳造方法に拡張すべく試験および検討を行い、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)バルジング量を鋳片厚さに応じた適正範囲に調整することにより、バルジング時の鋳片の内部割れを防止することができる。
(b)上記(a)のバルジング量に対する圧下開始時の未凝固厚さの比が適正範囲となるように圧下することにより、鋳片内のポロシティの発生を解消することができる。
(c)アスペクト比の小さいブルーム鋳片の連続鋳造においては、スラブの場合のようにロールキャビティーの制御によるバルジング量の調整を行わなくても、バルジングを開始するロールセグメントの位置および鋳造速度を調整することにより、必要なバルジング量に制御することができる。
(d)上記(a)〜(c)の方法により、横断面形状が矩形形状の鋳片を製造することができる。
本発明は、上記の知見に基いて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す鋼の連続鋳造方法にある。
(1)未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後に、該鋳片を圧下する連続鋳造方法であって、鋳片の長辺面長さを短辺面長さで除した比であるアスペクト比が1以上2.5以下の鋳片を鋳造し、鋳片厚さの1.5%以上、4%以内のバルジング量とし、かつ13mm以下の範囲で前記のバルジングを行わせ、少なくとも1対の圧下ロール対により、圧下開始時の未凝固部厚さL(mm)とバルジング量B(mm)とが下記(1)式の関係を満足するように前記の圧下を行う鋼の連続鋳造方法。
L/B≦1.5 ・・・(1)
(2)前記鋳片を支持する少なくとも1対のガイドロール対のロールキャビティーを広げることにより鋳片をバルジングさせる際に、該ロールキャビティーを広げるガイドロール対のメニスカスからの位置および鋳造速度を制御することにより、鋳片のバルジング量を制御する前記(1)に記載の鋼の連続鋳造方法。
本発明の連続鋳造方法によれば、未凝固部を含む鋳片を、鋳片厚さに応じた適正範囲のバルジング量でバルジングさせた後、バルジング量に対する圧下開始時の未凝固部厚さの比が適正範囲となるように圧下することにより、ポロシティの発生を効果的に防止することができ、内部品質の良好な炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などの鋳片を製造することができる。また、これらの鋳片を素材として熱間圧延することにより、内部品質に優れた線材、棒鋼、鋼管などの鋼材を得ることができる。
前述のとおり、鋳片をバルジングさせた後に圧下する鋳造方法は公知であったが、アスペクト比の小さいブルーム鋳片にこの方法を適用した場合に、バルジング量が大きくなると、バルジングに伴う鋳片の内部割れが発生し、また、圧下開始時の未凝固部厚さが適正でない場合には、ポロシティの改善効果が得られないという問題があった。
これに対して、本発明者は、バルジング圧下技術をブルームの連続鋳造に拡張すべく試験および研究を進め、ブルームの連続鋳造において課題となっていた適正バルジング量および適正圧下条件を把握した。さらに、ブルーム鋳片の鋳造においては、ロールキャビティーを開放するセグメントの位置、および鋳造速度を調整することにより、バルジング量を制御することができ、バルジング量を調整するためにロールキャビティーを制御する必要がないことから、設備費を節減しつつ効率よくバルジング圧下技術を実施できることを見出した。
また、ブルーム鋳片の未凝固部分を圧下する場合に、異径ロールを使用すると、所要圧下力を低減することはできるが、鋳片の断面形状が矩形ではなくなる。そこで、鋳造される鋳片の断面形状を犠牲にすることなく、断面の矩形形状を維持し、かつ圧下力をも低減できる鋳造方法を検討した結果、ブルーム鋳片をバルジングさせた後、鋳片の断面形状をバルジング前の元の矩形形状に戻すバルジング圧下技術が適切であるとの知見を得た。
本発明は、上述の結果などに基いて得られた前記の(a)〜(d)に記載された知見、ならびに、バルジング時に鋳片に内部割れを発生させることなく、かつ、ポロシティの生成を解消できる適正バルジング量および最適圧下条件の把握に裏付けられて完成されたものである。
図1は、本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置の例を模式的に示す図である。浸漬ノズル1を経て鋳型2内に注入された溶鋼3は、鋳型により冷却され、鋳型との接触面から凝固殻5を形成する。凝固殻5を形成した鋳片は、複数のガイドロール対4で案内されながら下方に引き抜かれて徐々に凝固殻5の厚さを増し、未凝固部6を含む鋳片7となる。所定位置(図1中のB1)のロールセグメントからロールキャビティーの開放を開始して鋳片をバルジングさせ、図1中のB2で示される位置までの間においてバルジングを完了させる。バルジングした鋳片7は、圧下ロール対8により圧下され、さらにピンチロール9により鋳造方向の下流側に引き抜かれる。
なお、前記の図1では、1対の圧下ロールにより圧下する例が示されているが、複数の圧下ロール対により段階的に圧下してもよい。圧下量については、矩形形状の鋳片を得るために、バルジング量相当分を圧下するのが望ましい。
図2は、図1におけるA1−A2横断面での鋳片の内部を模式的に示す図である。同図に示されるとおり、圧下開始時の未凝固部厚さL(mm)、バルジング部位の鋳片最大厚さTmax(mm)、鋳片短辺厚さT(mm)をそれぞれ定義した。圧下開始時の未凝固部厚さLは、鋳片の伝熱解析により計算で求めるとともに、鋲打ち試験により未凝固部の厚さを測定して、その値を確認した。バルジング量B(mm)は、部分的に圧下ロール、ピンチロールを順次開放してバルジングさせたままの鋳片を採取し、最大鋳片厚さTmaxから短辺厚さTを差し引くことにより算出した。
ここで、本発明を前記の範囲に限定した理由および望ましい範囲について下記に説明する。
a)アスペクト比が1〜2.5:
鋳片横断面のアスペクト比が2.5を超えて大きい場合には、バルジング圧下技術を用いた連続鋳造方法において、本発明が課題とする内部割れやポロシティが発生するおそれは小さいため、本発明の方法を適用することによる効果は低い。そこで、本発明では、アスペクト比を1〜2.5の範囲とした。
b)バルジング量が鋳片厚さの1.5%以上、4%以内、かつ13mm以下
後述の実施例に記載したとおり、バルジング量が鋳片厚さの1.5%以上、4%以内、かつ13mm以下では、バルジングにともなう内部割れは発生しないことから、本発明においては、バルジング量を鋳片厚さの4%以内と規定した。なお、鋳片の内質改善効果を充分に発揮させるためには、鋳片厚さの1.5%以上のバルジングを起こさせるのが望ましい。
c)(圧下開始時の未凝固部厚さL/バルジング量B)の値が1.5以下:
実施例に記載したとおり、(L/B)の値が1.5以下の場合には、圧下により未凝固溶鋼が充分に搾り出され、鋳片内におけるポロシティの発生を解消できることから、(L/B)の値を1.5以下と規定した。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、以下の鋳造試験を行い、その結果を評価した。
1)バルジング量を変化させた試験
一対の圧下ロール対を有する図1に示される構成の連続鋳造装置を使用し、内部割れの発生しやすい高炭素鋼(質量%にて、C:1.0%、Si:0.23%、Mn:0.32%、P:0.015%、S:0.005%)を用いて鋳造試験を行った。鋳片幅は600mmで一定とし、鋳片厚さを250mm、350mmおよび450mmに変化させて、3種類のブルームを鋳造した。なお、ロールキャビティーを開放とするセグメントのメニスカスからの位置および鋳造速度を変化させることによってバルジング量を変化させ、バルジングによる鋳片の内部割れの発生状況を調査した。
図3は、内部割れの発生の有無におよぼす鋳片のバルジング量および鋳片厚さに対するバルジング量の割合の影響を示す図である。同図の結果から、鋳片厚さに対するバルジング量の割合が4%以内であれば、バルジングにともなう内部割れは発生しないことが明らかとなった。
上記の結果に基づいて、本発明においては、バルジング量を鋳片厚さの4%以内と規定した。なお、バルジング量の下限については特に規定しないが、鋳片の内質改善効果を充分に得るためには、鋳片厚さの1.5%以上のバルジングを起こさせるのが望ましい。
2)圧下開始時の未凝固部厚さ(L)/バルジング量(B)の値を変化させた試験
図1に示される構成の連続鋳造装置を用いて、高Cr鋼である13%Cr鋼(質量%にて、C:0.2%、Si:0.22%、Mn:0.93%、Cr:12.5%)を対象として、鋳片厚さ350mm、幅600mmのブルームを鋳造し、バルジング量および圧下開始時の未凝固厚さを変化させて、鋳片の内質状況の調査を行った。なお、鋳片の圧下量は、鋳片のバルジング量相当分とした。
図4は、ポロシティの発生の有無におよぼすバルジング量および圧下開始時の未凝固部厚さの影響を示す図である。同図の結果から、圧下開始時の未凝固部厚さ(L)とバルジング量(B)との比の値が1.5以下であれば、鋳片内におけるポロシティの発生を解消できることが判明した。
その理由は下記のとおりである。すなわち、圧下量に対して圧下開始時の未凝固部厚さ(L)が大きい場合には、圧下による液相側への未凝固溶鋼の搾り出し作用が不十分となるため、圧下完了後に未凝固溶鋼が残存し、これが凝固収縮することにより、ポロシティが発生する。本発明では、圧下量、つまりバルジング量(B)は、内部割れの抑制および内質改善の観点から、前記の図3に示されたとおり、鋳片厚さに対して一定の割合を有する範囲の値に調整されるので、圧下開始時の未凝固部厚さとバルジング量との比、(L/B)の値が1.5を超えて大きい場合には、圧下による未凝固溶鋼の搾り出し作用が不十分となり、ポロシティが発生するからである。これに対して、前記の(L/B)の値が1.5以下の場合には、圧下により未凝固溶鋼が十分に搾り出されることから、ポロシティの発生が解消される。
ここで、図4によれば、圧下開始時の未凝固部厚さLが0(mm)、すなわち、完全凝固後に圧下を加えることによっても、圧下の効果によりポロシティを消滅させることはできるが、より効果的にポロシティを消滅させるためには、鋳片中心部温度が1200℃以上において圧下するのが望ましい。
3)バルジング量制御方法の確認試験
バルジング量の推算方法を検討するため、種々の試験を行った結果、アスペクト比が1〜2.5の鋳片では、下記(2)式に示す推算式により鋳片のバルジング量を推算できることが判明した。
B={P・(W−2d)4}/(32Ed3) ・・・(2)
ここで、Bはバルジング量(mm)、Pは溶鋼の静圧(MPa)(P=9.807×ρ・H×10-6(ただし、ρは溶鋼の密度(kg/m3)、Hは溶鋼のヘッド(m))、Wは鋳片幅(m)、dはバルジング開始時の凝固殻厚さ(mm)、Eは見掛けのヤング率(MPa)(E=12.87)をそれぞれ表す。
すなわち、鋳片幅Wが決定されれば、バルジングを開始するセグメントまでの溶鋼ヘッドにより求められる溶鋼の静圧Pと、鋳造速度に応じて決まるバルジング開始時の凝固殻厚さdを用いて、バルジング量を算出することができる。
図1に示される構成の連続鋳造装置を使用し、0.45%C鋼(質量%にて、C:0.45%、Si:0.18%、Mn:0.72%、P:0.018%、S:0.025%)を用いて、バルジング量の制御性を調査する試験を行った。鋳造速度を3水準に変化させて、鋳片厚さ350mm、鋳片幅600mmのブルームを鋳造し、バルジング開始セグメント(メニスカスからの距離)を変更して、その時のバルジング量を調査した。
図5は、バルジング開始セグメントのメニスカスからの距離および鋳造速度がバルジング量におよぼす影響を示す図である。同図の結果から、バルジング開始位置がメニスカスから離れるにつれて、また、鋳造速度が増加するにつれて、バルジング量は減少することが明らかである。さらに、バルジング量の実績値と前記(2)式により算出されたバルジング量の推算値とは良好に一致していることから、バルジング量は、バルジングを開始するセグメント位置(すなわち、メニスカスからの距離)および鋳造速度により制御できることが判明した。
したがって、実操業においては、例えば、伝熱解析などにより、圧下開始時(すなわち、圧下位置)における未凝固部厚さL(mm)を求める一方、伝熱解析などにより求められる凝固殻厚さd(mm)を用いて前記(2)式によりバルジング量B(mm)を算出し、これらのLおよびBの値が前記(1)式の関係を満足するように、バルジング開始位置(すなわち、ロールキャビティーの開放を開始するセグメント位置)および鋳造速度を制御することにより、本発明の連続鋳造方法を実施することができる。
前記の試験のうちから、主な試験例について、それらの試験条件および試験結果をまとめて表1に示した。
Figure 0004285288
同表において、内部割れの発生の有無およびポロシティ発生の有無は、それぞれ下記の基準によった。
内部割れ 発生有り:亀裂長さが2.0mm以上、
発生無し:亀裂長さが2.0mm未満、
ポロシティ発生有り:直径が1.0mm以上、
発生無し:直径が1.0mm未満。
試験番号1〜3は、本発明で規定する範囲を満足する本発明例についての試験であり、試験番号4および5は、本発明で規定する範囲を満足しない比較例についての試験である。いずれも内部割れやポロシティが発生しやすいとされている13%Cr鋼を対象とした試験である。
鋳片厚さに対するバルジング量の割合が1.5%以上、4%以下、かつバルジング量が13mm以下であり、圧下開始時の未凝固部厚さとバルジング量との比、(L/B)の値が前記(1)式の関係を満たす試験番号1〜3では、内部割れおよびポロシティともに発生せず、良好な内部品質を備えた鋳片が得られた。
これらに対して、前記の(L/B)の値が大きく、(1)式の関係を満たさない試験番号4および5では、内部割れは発生しなかったものの、ポロシティが発生し、内部品質の劣った鋳片となった。
本発明の連続鋳造方法によれば、未凝固部を含む鋳片を、鋳片厚さに応じた適正範囲のバルジング量でバルジングさせた後、バルジング量に対する圧下開始時の未凝固部厚さの比が適正範囲となるように圧下することにより、ポロシティの発生を効果的に防止することができ、内部品質の良好な炭素鋼、ステンレス鋼、高合金鋼などの鋳片を製造することができる。また、これらの鋳片を素材として熱間圧延することにより、内部品質に優れた線材、棒鋼、鋼管などの鋼材を得ることができる。本発明は、特に、横断面のアスペクト比の小さいブルーム鋳片の製造およびそれを素材とする鋼材の製造分野において広範に適用できる鋳造方法である。
本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置の例を模式的に示す図である。 図1におけるA1−A2横断面での鋳片の内部を模式的に示す図である。 内部割れの発生の有無におよぼす鋳片のバルジング量および鋳片厚さに対するバルジング量の割合の影響を示す図である。 ポロシティの発生の有無におよぼすバルジング量および圧下開始時の未凝固部厚さの影響を示す図である。 バルジング開始セグメントのメニスカスからの距離および鋳造速度がバルジング量におよぼす影響を示す図である。
符号の説明
1:浸漬ノズル
2:メニスカス
3:溶鋼
4:ガイドロール対
5:凝固殻
6:未凝固部
7:鋳片
8:圧下ロール対
9:ピンチロール

Claims (2)

  1. 未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後に、該鋳片を圧下する連続鋳造方法であって、鋳片の長辺面長さを短辺面長さで除した比であるアスペクト比が1以上2.5以下の鋳片を鋳造し、鋳片厚さの1.5%以上、4%以内のバルジング量とし、かつ13mm以下の範囲で前記のバルジングを行わせ、少なくとも1対の圧下ロール対により、圧下開始時の未凝固部厚さL(mm)とバルジング量B(mm)とが下記(1)式の関係を満足するように前記の圧下を行うことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    L/B≦1.5 ・・・(1)
  2. 鋳片を支持する少なくとも1対のガイドロール対のロールキャビティーを広げることにより鋳片をバルジングさせる際に、該ロールキャビティーを広げるガイドロール対のメニスカスからの位置および鋳造速度を制御することにより、鋳片のバルジング量を制御することを特徴とする請求項1に記載の鋼の連続鋳造方法。
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