JP4301133B2 - 丸鋳片の連続鋳造方法、丸鋳片および継目無管の製管方法 - Google Patents

丸鋳片の連続鋳造方法、丸鋳片および継目無管の製管方法 Download PDF

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本発明は、鋳片の中心部に発生しやすい軸心部割れを低減することが可能な丸鋳片の連続鋳造方法、および、上記の鋳造方法により鋳造された丸鋳片を用い、分塊圧延を行わずに穿孔圧延を行っても、内面疵の少ない継目無管を製管できる製管方法に関する。
連続鋳造された鋳片から、圧延または鍛造工程を経へずにマンネスマン法などによりシームレス鋼管を製造する工程においては、連続鋳造鋳片の中心部にフェライト凝固に特有の欠陥である軸心部割れが発生しやすい。それゆえ、この鋳片をそのまま製管用素材として使用した場合には、製管工程においてしばしば内面疵が生じ、製品欠陥となることが多い。
連続鋳造鋳片のこれらの内部欠陥を低減することを目的として、鋳片冷却の際の熱収縮を利用して連続鋳造鋳片の中心部の品質を向上させる二次冷却法が開示されている。
特許文献1には、鋳片の中心部の固相率が0.1ないし0.3になった時点で、水量密度が25〜100リットル/(min・m2)の水冷却による鋳片の表面冷却を開始し、鋳片の中心部の固相率が0.8以上になるまで上記水量密度の冷却を継続することにより、鋳片中心部に発生するセンターポロシティを低減する方法が開示されている。ここで、固相率とは、固・液共存相における固相の占める分率を意味する。この方法では、軸心部割れの発生機構およびそれに基づく軸心部割れの低減条件については、明確にされておらず、軸心部割れの低減にはさらなる改善が必要であることが、その後の調査により明確になった。
特許文献2には、ビレットなどの連続鋳造において、直径または厚みが261mm以下の鋳片の中心部固相率が0.2〜0.8の時点で、比水量0.1〜0.4L/kg・steelの水冷却による鋳片表面冷却を開始し、完全凝固するまでその比水量で水冷却を継続する鋳片の内質改善方法が開示されている。この方法は、鋳片中心部のセンターポロシティを低減し、軸心部割れを防止できる方法である。しかしながら、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼においては、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。
特許文献3には、ビレットなど連続鋳造において、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.1〜2.0mの位置から、または、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置から、それぞれ鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固末期強制冷却帯で鋳片表面を水量密度100〜300リットル/(min・m2)で水冷却する鋳片の冷却方法が開示されている。これによって、鋳片中心部の収縮速度よりも表面の収縮速度を大きくすることができ、鋳片の中心部に発生するセンターポロシティまたは中心偏析を低減させることができるが、前記の特許文献2に開示された方法と同様に、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼においては、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。
特許文献4には、凝固末期における二次冷却により鋳片の表面を冷却することにより、鋳片表面の凝固シェルの収縮を利用して、マクロ偏析、セミマクロ偏析、センターキャビティなどの低減を図る方法であって、鋳片の厚さ中心部が、流動限界の固相率である0.4となった位置から1200℃となる位置までの間に、鋳片横断面におけるAr3変態点以下となる部分の面積割合を3%以下とする二次冷却方法が開示されている。
しかしながら、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼では、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。また、凝固末期冷却開始時の適正な表面温度については開示されていない。
また、本発明者らは、特許文献5において、C含有率が0.1質量%以下の鋼、またはCr含有率が1質量%以上で、かつ、C含有率が0.15質量%以下の丸鋳片を鋳造する方法において、鋳型直下からの二次冷却を実施した後に、鋳片表面温度が950〜1100℃の範囲に達した時点で凝固末期二次冷却を開始し、鋳片の中心部が完全凝固するまで該凝固末期二次冷却を継続する丸鋳片の連続鋳造方法を提案した。しかし、これらの水冷却を用いる方法では、鋳片の直径が増大すると凝固殻の熱抵抗が増大し、軸心部に冷却効果が及びにくくなって、割れの改善効果に限界が現れることが判明した。
上述のとおり、直径の大きな丸鋳片の連続鋳造においても軸心部割れを防止し、製管工程での内面疵の発生を低減するためには、なお、解決されねばならない問題が残されている。
特開平7−1096号公報(特許請求の範囲および段落[0009]〜[0015]) 特開平8−332556号公報(特許請求の範囲および段落[0007]〜[0008]) 特開2001−62550号公報(特許請求の範囲および段落[0015]〜[0027]) 特願2001−316488号公報(特許請求の範囲および段落[0005]〜[0020]) 特願2003−130461号公報(特許請求の範囲および段落[0013]〜[0016])
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、直径の大きなビレットの連続鋳造においても、鋳片の軸心部割れを著しく低減することができる丸鋳片の連続鋳造方法、および、上記の方法により鋳造された丸ビレットを分塊圧延工程などを経ずにそのまま穿孔圧延しても管の内面疵を低減できる製管方法を提供することにある。
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、軸心部割れの抑制方法について検討を行い、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
(a)フェライト相は、オーステナイト相に比べて強度が小さく、C含有率が0.1質量%(以下、「質量%」を単に「%」とも記す)以下の鋳片においてフェライト相の凝固に起因する軸心部割れが発生しやすい。
(b)上記(a)のC含有率を有する鋳片では、直径が大きくなるほど、軸心部割れの発生傾向は増大し、鋳片直径が300mmを超えると、二次冷却による鋳片表面の強制冷却の効果は低減するのみならず、強制冷却は、かえって軸心部割れの拡大をもたらす。それゆえ、鋳片表面からの輻射放冷を含む緩冷却を行うのが適切である。
(c)大径の鋳片では、凝固末期の中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において、鋳片表面を緩冷却するとともに中心部の等軸晶率を増加させることにより、軸心部割れは低減し、鋳片直径が300mmを超える鋳片では、横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織とすることにより、軸心部割れを、鋳片横断面の中心から半径15mm以内の領域に抑制することができる。
(d)上記(c)の方法により鋳造された丸鋳片は、分塊圧延工程などを経ずにそのまま穿孔圧延しても、管の内面疵を殆ど発生しない。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)に示す連続鋳造方法、(2)に示す丸鋳片および(3)に示す継目無管の製管方法にある。
(1)炭素含有率が0.1質量%以下の溶鋼を用いて鋳片横断面の直径が300mmを超える丸鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、鋳片の横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織とするとともに、中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において鋳片表面の冷却速度が10℃/分以下の緩冷却を行いながら鋳造する丸鋳片の連続鋳造方法(以下、「第1発明」とも記す)。
(2)前記(1)に記載の連続鋳造方法により鋳造された丸鋳片であって、鋳片の中心部に発生する軸心部割れが、鋳片横断面の中心から半径15mm以内の領域に存在する丸鋳片(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)前記(2)に記載の丸鋳片を分塊圧延することなく穿孔圧延により製管する継目無管の製管方法(以下、「第3発明」とも記す)。
本発明において、「中心部固相率」とは、鋳片中心部において、固相および液相の総和に対して固相の占める分率をいう。
「緩冷却」とは、鋳片表面からの輻射放冷などを含めた遅い冷却速度で冷却することをいい、鋳片表面の冷却速度が10℃/分以下の冷却を意味する。
本発明の方法によれば、大径の丸鋳片の連続鋳造においても、鋳片の軸心部割れを著しく低減することができ、さらに、上記の方法により鋳造された丸ビレットを分塊圧延工程などを経ずにそのまま穿孔圧延しても、製管時における管内面疵の発生を大幅に低減することができる。よって、本発明は、継目無管製造用の丸鋳片における軸心部の品質向上に大きく寄与できるとともに、継目無管の内面疵の発生防止に極めて有効である。
本発明の方法は、前記とおり、炭素含有率が0.1質量%以下の溶鋼を鋳片横断面の直径が300mmを超える丸鋳片に鋳造する連続鋳造方法であって、鋳片横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織とするとともに、中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において鋳片を緩冷却する丸鋳片の連続鋳造方法である。また、上記の連続鋳造方法により鋳造された丸鋳片を分塊圧延することなく穿孔圧延により製管する継目無管の製管方法である。以下に、本発明の方法についてさらに詳しく説明する。
(A)等軸晶の分布、軸心部割れの形態および製管時の内面疵発生の相互関係
鋳片の凝固組織を詳細に観察した結果、軸心部割れと中心部の等軸晶の分布との間には密接な関係があり、さらに、上記の鋳造組織およびそれに付随する軸心割れと、製管時における内面疵の発生度との間には、重要な関係の存在することが見出された。
図1は、鋳片横断面の凝固組織および軸心部割れを模式的に示す図であり、同図(a)は軸心部割れが発生する鋳片中心部が等軸晶により充填されている場合を、また、同図(b)は同中心部が等軸晶により充填されていない場合を表す。
同図(a)の場合(以下、単に「(a)の場合」とも記す)には、軸心部割れの開口部は大きいが、鋳片中心部からの軸心部割れの存在範囲は小さい。一方、同図(b)の場合(以下、単に「(b)の場合」とも記す)には、軸心部割れの開口部は小さいが、軸心部割れは鋳片中心部から広い範囲に存在する。この場合、軸心部割れは柱状晶の粒界に沿って生成しており、かなり細い毛割れに似た様相を呈している。
上記の(a)の場合および(b)の場合の相違は、下記の理由により生じると推察される。すなわち、鋳片中心部が最終凝固域に達すると、円周方向に熱応力による引張り応力が発生する。この引張り応力は、鋳片外周部との温度差の最も大きくなる鋳片中心部で最大となり、この引張り応力が材料の強度を上回ると、鋳片中心部において放射状の割れ、すなわち、軸心部割れが発生する。
鋳片中心部において上記の円周方向応力が発生した時に、鋳片中心部が等軸晶組織、つまり微細な結晶粒により充填されている場合には、応力が分散されやすい。これに対して、鋳片中心部が柱状晶組織である場合には、柱状晶組織は結晶粒が大きいことから、結晶粒界の面に応力が集中しやすくなり、比較的小さな応力であっても、割れが発生する。
熱応力は、凝固が鋳片中心部に進行するほど増大するが、柱状晶領域では、比較的小さな応力で微細な割れが発生し、応力を開放しながら割れが中心部にまで至ることから、中心部では大きく開口した割れとはならない。一方、等軸晶の領域では、中心の外周部近傍において発生する低い応力では割れが発生せず、したがって、熱応力による歪みエネルギーは、開放されずに時間の経過ともに蓄積していく。それゆえ、中心部において熱応力が最大となった時に、この応力が材料の強度を大幅に上回り、割れが発生する。この場合は、蓄積エネルギーが一度に開放されるために大きく開口した割れを発生する。
また、横断面直径の大きな鋳片の場合には、鋳片表面をスプレーなどにより強制冷却すると、その冷却の効果が鋳片内部に及ばないだけでなく、冷却終了時の復熱により、鋳片内部に大きな引張り歪が発生し、さらに大きく開口した軸心部割れを形成することが判明した。
さらに、上述のように内部の凝固組織および軸心部割れの形態が相違する丸鋳片を穿孔傾斜圧延により製管した場合には、製管された管の内面疵に明らかな差異を生じることが判明した。つまり、(b)の場合のように鋳片中心部が等軸晶により充填されていない場合に比較して、(a)の場合のように鋳片中心部が等軸晶により充填されている場合の方が、管の内面疵が著しく低減し、内面性状が改善されるのである。
これは、(a)の場合の方が、中心部割れの開口度が大きく、割れの程度が著しいと考えられがちであるにも拘わらず、丸鋳片の穿孔傾斜圧延による製管過程においては、(b)のように鋳片中心部からの割れが広範囲に及んでいる場合の方が、管の内面疵は発生しやすいことを示すものである。そして、上記の事実は、本発明者らにより見出された、従来とは全く異なる新しい知見である。
(B)本発明の限定理由および好ましい範囲
以下に、本発明を前記の範囲に限定した理由、および本発明の好ましい範囲について説明する。
1)鋳片のC含有率
Cは、オーステナイト安定化元素であり、C含有率がフェライトおよびオーステナイトの量比を大きく支配することはよく知られている。一般的に、フェライト相はオ−ステナイト相に較べて強度が小さく、本発明者らの調査によれば、C含有率が0.1%以下の鋳片においてフェライト相に起因する前記のような軸心部割れが発生しやすいことが判明した。
そこで、本発明法においては、本発明の連続鋳造方法の実施による改善効果の大きいC含有率が0.1%以下の範囲を対象とした。
2)鋳片のサイズおよび冷却方法
鋳片の直径が大きくなるほど、軸心部割れの発生は増大傾向を示し、鋳片直径が300mmを超えると、鋳片表面を強制冷却する二次冷却の効果は低減するのみならず、かえって軸心部割れの拡大をもたらすことが判明した。したがって、このような大径の鋳片では凝固末期に二次冷却のような強制冷却を行うことは極力避け、鋳片表面からの輻射放冷なども含めて、表面の冷却速度が10℃/分以下の緩冷却を行う必要がある。
なお、緩冷却の冷却速度は8℃/分以下に調整することが好ましい。また、加熱または保熱を行わない限り、輻射放冷条件下において約4℃/分以上の冷却速度とすることが現実的である。
3)緩冷却の位置および等軸晶化の範囲
鋳片の軸心部割れは、凝固末期、すなわち鋳片の中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において鋳片の表面の緩冷却化を行うとともに、鋳片横断面中心部の等軸晶の領域を増加させることにより、低減させることができる。なお、上記の緩冷却は、鋳片表面温度が1050〜850℃の範囲において行うことが好ましい。
横断面直径が300mmを超える鋳片では、横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織にすることにより、軸心部割れを、鋳片横断面の中心から半径15mm以内の領域に抑制することができる。そこで、本発明においては、鋳片の横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織とするとともに、中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において鋳片表面を緩冷却することとした。
また、等軸晶領域の広さなどは、電磁攪拌の位置や強度、および鋳造温度などを変更することにより調整することが可能である。
さらに、種々の試験の結果、上記の鋳片を、分塊圧延工程などを経ずに再加熱して、そのまま穿孔圧延した場合においても、得られた管の内面疵の発生率はほとんど問題の無い低いレベルまで低減できることが明らかとなった。
なお、前記第3発明において、マンネスマン−プラグミル法により穿孔傾斜圧延する場合の好ましい条件は、被圧延材である丸鋳片のパスラインと圧延ロール軸とのなす傾斜角が8〜10度の範囲である。
本発明の連続鋳造方法の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行うとともに、得られた丸鋳片を用いて製管試験を行い、その結果を評価した。
(試験方法)
図2は、本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置の縦断面を模式的に示す図である。連続鋳造装置として、丸ビレット鋳造用の湾曲型連続鋳造機を用いた。タンディッシュ11から浸漬ノズル1を経て鋳型2内に注入された溶鋼3は、鋳型2の直下に設置されたトップゾーン二次冷却装置7により冷却され、凝固シェル5を生成しながら、ピンチロール9により引き抜かれて鋳片6を形成する。凝固シェル5を生成した鋳片6は、トップゾーン二次冷却装置により冷却された後、さらに凝固末期二次冷却装置10により冷却されて、完全に凝固する。
ここで、トップゾーン二次冷却装置7は、凝固シェル5の厚さの薄い領域において、鋳片6を冷却することによりその凝固を促進し、バルジングによる変形を防止する作用を有する。トップゾーン二次冷却装置7は、鋳型2の直下につながる長さ2mのエアーミストスプレーで構成されており、気水比は約50(NL/min−空気/(L/min−水))とした。水量密度は最大500L/(min・m2)の範囲内において任意の値に調整可能である。
凝固末期二次冷却装置10は、1ブロック当たり長さ1.2mのブロックを5ブロック組み合わせた冷却装置により構成されており、メニスカス4から30〜36mの位置に、設置されている。この二次冷却装置にも、エアーミストスプレーを採用し、気水比は水量によらず一定の約30(NL/min−空気/(L/min−水))とした。水量は、水量密度で最大100 L/(min・m2)の範囲内で任意の値に調整可能である。
鋳片6の中心部固相率と凝固シェル5内の温度分布は、非定常伝熱計算により求めた。
この計算結果と、鋳片表面の温度測定および鋲打試験の結果とを比較することにより、上記の計算結果が高い推定精度を有することを事前に確認した。この計算を行うことにより、鋳造条件毎の鋳片の凝固状態の正確な把握が可能となった。
また、鋳片の等軸晶を安定的に確保するために、メニスカスより約200mm下方の位置に、鋳型内電磁撹拌装置を設置した。電磁攪拌装置は、周波数4Hz、最大電流は600Aであり、磁束密度は最大0.6T(テスラ)の能力を有する。電磁攪拌装置のコイルに流す電流値を変化させることにより、磁束密度を変化させて、攪拌強度を変更できる。なお、本鋳造試験では、磁場の回転周波数は、3〜6Hzの範囲とした。
さらに、詳細な試験条件について説明する。鋳造試験には、C:0.05〜0.07%
、Si:0.05〜0.3%、Mn:1.2〜1.5%、P:0.080〜0.015%
、S:0.001〜0.006%の成分組成を有する溶鋼を用いた。
表1に、各試験条件を示した。
Figure 0004301133
同表において、冷却速度とは、鋳片の中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲におけ
る鋳片表面の冷却速度の最大値(℃/min)を表す。
鋳造する鋳片の直径は、310mmおよび360mmとした。鋳片横断面の中心部における等軸晶の充填の程度(等軸晶の存在領域を円により近似した時の直径)は、鋳造時の溶鋼温度および電磁攪拌条件を変更することにより変化させた。鋼の液相線温度は1520℃であり、(溶鋼温度−液相線温度)の値をタンデッシュ内溶鋼の過熱度(℃)とした。
また、鋳造速度およびトップゾーンにおける二次冷却条件を変更することにより、凝固末期二次冷却領域における鋳片表面温度および鋳片の中心部固相率の範囲を調整した。得られた丸鋳片(丸ビレット)は、定常鋳造速度領域の部分を切断し、鋳片の内部調査および製管試験に供した。
鋳片の内部調査用に長さ2mの鋳片を採取し、長手方向に等間隔に10枚の横断サンプル板を採取して鏡面研磨後、酸腐食して軸心部割れおよび等軸晶の生成状況を調査した。等軸晶の充填状況は、鋳片横断面中央部において、凝固組織が等軸晶組織のみで占められる領域を円により近似した時の直径(mm)を求め、等軸晶領域径として評価した。
製管試験用に各鋳造条件毎に長さ6mの鋳片を10本切り出した。製管用鋳片を加熱炉にて1200℃に加熱した後、マンネスマン−プラグミル方式の穿孔圧延機により、傾斜角:8〜10度の条件にて穿孔傾斜圧延し、直径310mmの丸鋳片からは、外径245mm、肉厚25mmの中空素管を、また、直径360mmの丸鋳片からは、外径270mm、肉厚35mmの中空素管を、それぞれ製造した。このようにして得られた中空素管について、超音波探傷法により管内面疵を調査した。
表1に、前記の等軸晶領域径、軸心部割れ長さ、および製管内面疵発生数を併せて示した。ここで、軸心部割れ長さは、観測した全ての横断面サンプルのうち、軸心部割れの存在する領域の最大直径(mm)により表し、製管内面疵発生数は、10本の鋳片サンプルについて調査した内面疵発生数をもとにして求めた平均発生個数(個/本−鋳片)により表示した。
(試験結果)
試験番号1〜8は、第1発明で規定する条件を満足する本発明例についての試験であり、試験番号9〜20は、第1発明で規定する条件の少なくとも1つを満足しない比較例についての試験である。
試験番号1〜8は、凝固末期二次冷却を10℃/分未満の冷却速度で緩冷却した結果、鋳片横断面中央部の等軸晶領域の直径が60mm以上であり、鋳片軸心部の割れ長さも30mm以下と低い値となっており、良好な鋳片性状であった。
また、これらの鋳造試験により鋳造された丸鋳片を穿孔圧延して得られた管の内面疵は0.1(個/本−丸鋳片)以下と低く、管内面性状も良好であった。
これに対して、試験番号9〜16は、試験番号1〜8に対して、タンディッシュの溶鋼過熱度および電磁攪拌の攪拌強度を変更した試験である。その結果、鋳片横断面中央部の等軸晶領域の直径は60mm未満となって第1発明で規定する条件を満たさなくなった。鋳片の軸心部割れが、等軸晶の外周部に分布する柱状晶の結晶粒界に沿って多数発生し、軸心部割れの形態は、前記図1(b)の形態を呈した。また、軸心部割れ長さも、試験番号1〜8の本発明例に比較して著しく長くなった。
さらに、これらの丸鋳片を穿孔圧延して得られた管の内面疵発生数は15(個/本−丸鋳片)以上の極めて高い値となり、管内面性状は極めて劣った結果となった。
また、試験番号17〜20では、電磁攪拌の攪拌強度を特に強くし、鋳片の中心部固相率が0を超えて1.0以下の範囲において、凝固末期二次冷却装置によりスプレーによる強制冷却を行い、25℃/分以上の冷却速度にて鋳片表面を冷却した。その結果、鋳片の横断面中心部における等軸晶の充填状況は良好となり、軸心部割れの形態は、前記図1(a)に示された形態となったが、強冷却された結果、軸心部割れが拡大した。
さらに、これらの丸鋳片を穿孔圧延して得られた管の内面疵発生数は、試験番号9〜16に比べれば低下しているものの、試験番号1〜8の本発明例に比較して高い値となり、管内面性状は劣ったものとなった。
本発明の方法によれば、大径の丸鋳片の連続鋳造においても、鋳片の軸心部割れを著しく低減することができ、さらに、上記の方法により鋳造された丸ビレットを分塊圧延工程などを経ずにそのまま穿孔圧延しても、製管時における管内面疵の発生を大幅に低減することができる。したがって、本発明は、継目無管製造用の丸ビレット製造分野において広く適用できる鋳造方法であるとともに、継目無管の製管分野においても内面疵の発生を防止できる製管方法として広範に適用できる。
鋳片横断面の凝固組織と軸心部割れを模式的に示す図であり、同図(a)は軸心部割れが発生する鋳片中心部が等軸晶により充填されている場合を、また、同図(b)は同中心部が等軸晶により充填されていない場合を表す。 本発明の連続鋳造方法を実施するための連続鋳造装置の縦断面を模式的に示す図である。
符号の説明
1:浸漬ノズル、 2:鋳型、 3:溶鋼、 4:メニスカス、 5:凝固シェル、
6:鋳片、 7:トップゾーン二次冷却装置、 8:サポートロール、
9:ピンチロール、 10:凝固末期二次冷却装置、 11:タンディッシュ、
12:電磁攪拌装置

Claims (3)

  1. 炭素含有率が0.1質量%以下の溶鋼を用いて鋳片横断面の直径が300mmを超える丸鋳片を鋳造する連続鋳造方法であって、鋳片の横断面中央部の少なくとも直径60mm以内の領域を全て等軸晶組織とするとともに、中心部固相率が0を超え1.0以下の範囲において鋳片表面の冷却速度が10℃/分以下の緩冷却を行いながら鋳造することを特徴とする丸鋳片の連続鋳造方法。
  2. 請求項1に記載の連続鋳造方法により鋳造された丸鋳片であって、鋳片の中心部に発生する軸心部割れが、鋳片横断面の中心から半径15mm以内の領域に存在することを特徴とする丸鋳片。
  3. 請求項2に記載の丸鋳片を分塊圧延することなく穿孔圧延により製管することを特徴とする継目無管の製管方法。
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