JP2004330252A - 丸鋳片の連続鋳造方法および丸鋳片 - Google Patents

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Abstract

【課題】軸心部割れを低減できる丸鋳片の製造方法、およびそれにより製造される丸鋳片を提供する。
【解決手段】炭素含有率が0.1%以下の溶鋼、またはCr含有率が1%以上で、かつ、炭素含有率が0.15%以下の溶鋼を丸鋳片に鋳造する鋳造方法において、鋳型直下からの鋳片の二次冷却を実施した後に、鋳片表面温度が1100〜950℃の範囲内に達した時点で鋳片の凝固末期二次冷却を開始し、鋳片の中心部が凝固完了するまでの範囲内で凝固末期二次冷却を継続する丸鋳片の連続鋳造方法、およびそれにより製造された丸鋳片。前記の連続鋳造方法において、鋳片の未凝固部に電磁攪拌を行うことが好ましい。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、丸鋳片の連続鋳造において、鋳片の中心部に発生する軸心部割れを低減することが可能な鋳片の鋳造方法、およびその連続鋳造方法により鋳造される丸鋳片に関する。
【0002】
【従来の技術】
連続鋳造された鋳片から、圧延または鍛造工程を経てユジーンセジュルネ法またはマンネスマン法などによりシームレス鋼管を製造する工程においては、連続鋳造鋳片の中心部に、フェライト凝固に特有の欠陥である軸心部割れがしばしば発生する。丸鋳片の場合のように、この鋳片をそのまま製管プロセス用素材として使用した場合には、製管工程において内面疵が発生し、製品欠陥となることが多い。
【0003】
これらの欠陥の発生を低減するため、鋳片の冷却の際の熱収縮を利用して連鋳鋳片の中心部の品質を向上させる二次冷却方法が開示されている。
【0004】
特許文献1には、鋳片の中心部の固相率が0.1ないし0.3になった時点で、水量密度が25〜100リットル/(min・m)の水冷却による鋳片の表面冷却を開始し、鋳片の中心部の固相率が0.8以上になるまで上記水量密度の冷却を継続することにより、鋳片中心部に発生するセンターポロシティを低減する方法が開示されている。ここで、固相率とは、固・液共存相における固相の占める分率を意味する。この方法では、軸心部割れの発生機構およびそれに基づく軸心部割れの低減条件については、明確にされておらず、軸心部割れの低減にはさらなる改善が必要であることが、その後の調査により明確になった。
【0005】
特許文献2には、ブルームまたはビレット連続鋳造において、直径または厚みが261mm以下の鋳片の中心部固相率が0.2〜0.8の時点で、比水量0.1〜0.4L/kg・steelの水冷却による鋳片表面冷却を開始し、完全凝固するまでその比水量で水冷却を継続する鋳片の内質改善方法が開示されている。この方法は、鋳片の中心部に発生するセンターポロシティを低減できるとともに、軸心部割れを防止できる方法である。しかしながら、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼においては、鋳造条件により、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。
【0006】
特許文献3には、ブルームまたはビレットの連続鋳造において、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.1〜2.0mの位置から、または、鋳片中心部の固相率が0.1〜0.8の位置から、それぞれ鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固末期強制冷却帯で鋳片表面を水量密度100〜300リットル/(min・m)で水冷却する鋳片の冷却方法が開示されている。さらに、この方法では、凝固末期強制冷却帯の入側の鋳片表面温度が850℃以上で、出側の鋳片表面温度が700℃以下とするのが好ましいとされている。
【0007】
これによって、鋳片中心部の収縮速度よりも表面の収縮速度を大きくすることができ、鋳片の中心部に発生するセンターポロシティまたは中心偏析を低減させることができるが、前記の特許文献3に開示された方法と同様に、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼においては、鋳造条件次第では、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。
【0008】
特許文献4には、鋳型直下における通常の二次冷却の後の、凝固末期における二次冷却により鋳片の表面を冷却することにより、鋳片表面の凝固シェルの収縮を利用して、マクロ偏析、セミマクロ偏析、センターキャビティなどの低減を図る方法であって、鋳片の厚さ中心部が、流動限界の固相率である0.4となった位置から1200℃となる位置までの間に、鋳片横断面におけるAr変態点以下となる部分の面積割合を3%以下とする二次冷却方法が開示されている。
【0009】
しかしながら、凝固時に初晶としてフェライト相を生成する鋼では、鋳造条件によっては、軸心部割れが発生する場合があり、さらなる改善が必要である。また、凝固末期冷却開始時の適正な表面温度については開示されていない。
【特許文献1】
特開平7−1096号公報(特許請求の範囲および段落[0009]〜[0015])
【特許文献2】
特開平8−332556号公報(特許請求の範囲および段落[0007]〜[0008])
【特許文献3】
特開2001−62550号公報(特許請求の範囲および段落[0015]〜[0027])
【特許文献4】
特願2001−316488号公報(特許請求の範囲および段落[0005]〜[0020])
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、軸心部割れの発生しやすい鋼種について、軸心部割れを低減できる丸鋳片の製造方法、およびそれにより製造される丸鋳片を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために、軸心部割れの発生しやすい鋼種について、調査および検討を行い、下記の(a)および(b)の知見を得た。
(a)C含有量が0.1質量%(以下、「質量%」を単に「%」とも記す)以下、またはCr含有量が1%以上で、かつC含有量が0.15%以下の鋼種を鋳造する場合に、フェライト相の凝固に起因する軸心部割れが発生しやすい。
(b)上記(a)に記載の鋼種を鋳造する場合に、鋳型直下から鋳片の二次冷却を行った後、鋳片表面温度が1100〜950℃の範囲内に達した時点で鋳片の凝固末期二次冷却を開始し、鋳片の中心部が凝固完了するまでの範囲内で凝固末期二次冷却を継続することにより、鋳片表面が収縮して鋳片内部に圧縮応力を作用させ、軸心部割れの発生を低減できる。
【0012】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)および(2)に示す丸鋳片の連続鋳造方法および(3)に示す丸鋳片にある。
【0013】
(1)炭素含有率が0.1%以下の溶鋼、またはCr含有率が1%以上で、かつ、炭素含有率が0.15%以下の溶鋼を丸鋳片に鋳造する鋳造方法において、鋳型直下からの鋳片の二次冷却を実施した後に、鋳片表面温度が1100〜950℃の範囲内に達した時点で鋳片の凝固末期二次冷却を開始し、鋳片の中心部が凝固完了するまでの範囲内で該凝固末期二次冷却を継続する丸鋳片の連続鋳造方法。
【0014】
(2)前記(1)に記載の丸鋳片の連続鋳造方法において、鋳片の未凝固部に電磁攪拌を行うことが好ましい。
【0015】
(3)前記(1)または(2)に記載の連続鋳造方法により鋳造された軸心部割れの少ない丸鋳片。
【0016】
本発明において、「丸鋳片」とは、鋳片の鋳造方向に垂直な断面が実質的に円形の鋳片をいい、そのまま成品として使用される鋳片、ユジーンセジュルネ法またはマンネスマン法などにより継目無し鋼管に加工される鋳片、および分塊圧延されて後の製造工程に使用される鋳片のいずれをも含む。
【0017】
【発明の実施の形態】
一般的に凝固末期の鋳片において、中心部の凝固が開始すると、その凝固潜熱の放出にともなって、凝固界面では熱膨張による引張り応力が発生する。例えば、円形断面の鋳片では、鋳片横断面での凝固界面は円形を呈しており、その周方向に熱応力による引張り応力が生じる。低炭素鋼や高Cr鋼は凝固過程において初晶がフェライト相であり、このフェライト相は、以降に生じるオーステナイト相に比べて強度に乏しく、わずかの応力によっても破断し易い。
【0018】
特定の鋼種、すなわち凝固時に比較的フェライト相が生じやすい低炭素鋼や高Cr鋼のビレットでは、この凝固末期の熱応力によって割れが発生し、その割れがそのまま鋳片内に残存する。
【0019】
図1は、丸鋳片の横断面における軸心部割れの発生状況を示す図である。このような鋳片をそのまま後の製管工程において、マンネスマン法などにより熱間で製管した場合、軸心部割れが鋳片の長手方向に連なって存在していることにより、ピアサーなどの製管治具の挿入時点で、割れ面に内面酸化を生じ、酸化膜で覆われる。この酸化膜は生地の材料とは延性が異なるために、管の内面に被さって疵の原因となる。
【0020】
したがって、鋳造段階においてこのような軸心部割れを極力低減し、または無くしておくことが必要である。本発明は、上述した軸心部割れの発生機構を明確にした上で、完成されたものである。その方法は、凝固末期に鋳片表面を冷却することにより、凝固末期における中心部の凝固界面における引張り応力の発生を防止し、圧縮応力を発生させるように制御することで、軸心部割れの発生要因そのものを除去しようとするものである。以下に、本発明を上記の範囲に限定した理由、および好ましい範囲について説明する。
【0021】
1)鋳片のC含有率およびCr含有率
Cはオーステナイト安定化元素であり、一般鋼において、C含有率がフェライトおよびオーステナイトの量比を大きく支配することはよく知られている。本発明者は、C含有率が0.1%以下の鋳片において、フェライト相に起因する前記のような軸心部割れが発生することを見出した。また、フェライト安定化元素であるCrが1%以上に多量に含まれる場合には、C含有率が0.1%以上であっても軸心部割れが発生し、C含有率が0.15%までの範囲では、軸心部割れが発生しやすいことが判明した。
【0022】
そこで、C含有率は0.1%以下、またはCr含有率が1%以上でかつC含有率が0.15%以下の範囲とした。
2)凝固末期における二次冷却の範囲
本発明の方法では鋳片の凝固末期に鋳片表面を継続して冷却することにより、前記のとおり、鋳片表面を収縮させて鋳片内部に圧縮応力を作用させる。すなわち、鋳片表面を収縮させることにより、鋳片内部の凝固界面での引張熱応力を相殺して圧縮応力に転じさせ、軸心部割れを防止する。
【0023】
上記の軸心部割れの防止を達成するための要件は、冷却開始時の表面温度を1100℃以下950℃以上とすることである。その理由は下記のとおりである。
すなわち、鋳片温度が1100℃を超えて高くなると、鋳片表面で沸騰膜が形成されるため、通常の水冷却ではほとんど冷却効果が発揮できなくなる。他方、950℃未満の温度から水冷却を開始すると、この温度範囲では遷移沸騰域であることから、鋳片表面における熱伝達が速く、温度低下とともにさらに熱伝達が加速され、その連鎖的効果により鋳片表面が急速に冷却される。このように冷却が急速に進むと、本来、凝固末期の全区間にわたって圧縮応力を作用させるべきであるにもかかわらず、冷却開始当初に二次冷却による圧縮応力の効果が発揮されてしまい、その後の冷却区間における圧縮応力の効果が飽和することになる。また、冷却完了後の復熱が大きく、鋳片表皮から内部の副次的な割れの発生原因となる。
そこで、凝固末期の二次冷却は、鋳片表面温度が1100〜950℃の範囲内に達した時点から開始することとした。
【0024】
鋳片の凝固末期冷却は、上記鋳片表面温度の範囲内で冷却を開始し、鋳片の中心部が凝固完了するまでの範囲内で継続する。この凝固末期冷却は、少なくとも鋳片中心部が凝固を開始し、ブリッジングが生じやすくなる中心部固相率が0.1の位置から、凝固シェルが充分な強度を生じる中心部固相率が0.8の位置までの間で実施するのが好ましい。
中心部固相率が0.1未満では、鋳片が収縮しても固相が少ないため、収縮により未凝固溶鋼が移動するだけである。他方、中心部固相率が0.8を超えて高い凝固末期に冷却すると、液相が少ないので、鋳片が収縮する際の収縮代が少なく、凝固末期冷却の効果がわずかに小さくなる。
3)鋳片のサイズ
鋳片断面の直径が大きくなるほど、軸心部割れは発生しやすくなるが、直径が100mmより小さい場合には、このような鋼種においても軸心部割れはほとんど発生しない。小径の鋳片においても、凝固末期の凝固界面に引張り応力は生じるが、応力の値が大径の鋳片の場合よりも小さく、フェライト富化相においても引張り応力に耐えうる強度を有するためであると考えられる。
【0025】
他方、前記のような鋳片の凝固末期における冷却効果は、鋳片の直径が大きくなるつれて減少し、直径が300mを超えるとその効果を発揮しにくくなる。したがって、本発明の方法は、鋳片の直径が100〜300mmの範囲の連続鋳造に適用するのが好ましい。
【0026】
4)鋳造中の電磁攪拌
鋳造中に電磁攪拌を実施することにより、鋳片の中心部に等軸晶を形成させることが、軸心部割れの発生を低減する上で、一層効果的であることが判明した。
【0027】
図2は、凝固時の結晶粒界における軸心部割れの伝播を模式的に示す図であり、同図(a)は柱状晶組織における軸心部割れの伝播、同図(b)は等軸晶組織における軸心部割れの伝播を、それぞれ示す。軸心部割れは、凝固時の結晶粒界に沿って発生するが、軸心部割れが発生しやすい場所を予め微細な等軸晶で充填しておくことにより、凝固時の結晶粒界が微細な等軸晶粒界となり、たとえ、引張り応力が生じることがあっても、その応力を分散させることにより、割れを一層効率的に防止することができる。
【0028】
【実施例】
本発明の方法の効果を確認するため、下記の連続鋳造試験を行い、その結果を評価した。
【0029】
図3は、本発明の方法を実施するために用いた連続鋳造装置を模式的に示す図である。鋳造装置としては丸鋳片鋳造用の湾曲型連続鋳造機を用いた。浸漬ノズル3により鋳型4内に注入された溶鋼2は、鋳型4の直下に設置されているトップゾーン二次冷却装置5により冷却され、凝固シェル8を生成しながらピンチロール7により引き抜かれて鋳片1を形成する。鋳片1は、さらに、凝固末期二次冷却装置6により冷却されて完全に凝固した後、切断用トーチ9により所定の長さに切断される。
【0030】
ここで、凝固末期二次冷却装置装置6は、メニスカス11から30〜36mの位置に、1ブロック当たり1.2mの長さのブロックを5ブロック組み合わせた冷却装置を設置した。この二次冷却装置には、鋳片表面を均一に冷却するためにエアーミストスプレーを採用し、気水比は水量によらず一定の約30(NL/min−空気/(L/min−水))とした。水量は、水量密度で最大100L/(min・m)とした。
【0031】
トップゾーン二次冷却装置5は、凝固シェル8の厚さの薄い部分において鋳片1の凝固を促進し、バルジングによる変形を防止するためのものであるが、本試験においては凝固末期までの鋳片1の温度調節にも使用した。トップゾーン二次冷却装置は、鋳型4の直下につながる長さ2mのエアーミストスプレーで構成され、気水比は約50(NL/min−空気/(L/min−水))とし、水量密度は最大で300L/(min・m)とし、その範囲内で種々変更した。
【0032】
鋳片1の中心部固相率と凝固シェル8内の温度分布は、非定常伝熱計算により求めた。この計算結果と、鋳片表面の温度測定および鋲打試験の結果とを比較することにより、計算結果が高い推定精度を有することを事前に確認した。したがって、この計算により鋳造条件毎の鋳片の凝固状態の把握が可能である。
【0033】
冷却開始時の表面温度と中心部固相率は、鋳造速度およびトップゾーンでの冷却条件により調節可能である。本計算により凝固末期の冷却開始時の鋳片表面温度は、ほぼ精度良く推定可能であるが、確実を期すために、上記の凝固末期の二次冷却帯入口に輻射温度計からなる温度測定装置12を設置し、鋳片の上面側の一点を計測した。鋳片の円周方向の温度分布はいずれの試験の場合もほぼ均一であった。鋳片の冷却は中心部固相率が0.1以上から開始し、中心部固相率が0.8以上となるまで実施した。
【0034】
また、メニスカス11から下方約200mmの位置には鋳型内電磁攪拌装置10を設け、周波数4Hz、磁束密度0.6T(テスラ)の条件で回転攪拌を実施した。磁場の回転方向は正回転、逆回転および正逆反転を入れた交番回転のいずれの回転様式も可能である。磁場の回転周波数は1.5Hz以上、磁束密度は0.3T以上であれば、溶鋼は充分に攪拌される。
【0035】
次に、試験条件について説明する。表1に、鋳造に用いた供試鋼A〜Jの化学組成を示し、また、表2に、表1の各供試鋼を用いて行った試験条件を示した。
【0036】
【表1】
Figure 2004330252
【0037】
【表2】
Figure 2004330252
【0038】
供試鋼A〜Hは、C含有率が0.05〜0.15質量%、Cr含有率が0.05〜2.10質量%であり、本発明で規定する成分組成の範囲を満足する供試鋼である。また、供試鋼Iは、Cr含有率が1質量%未満であるにも拘わらずC含有率が0.1質量%を超えており、本発明で規定する範囲を外れる例であり、供試鋼Jは、Cr含有率が1質量%以上であるが、C含有率が0.15質量%を超え、本発明で規定する範囲を外れる例であり、いずれも本発明で規定する範囲外の供試鋼である。
【0039】
鋳片の直径は190mmとした。これに応じて鋳造速度およびトップゾーンの二次冷却条件を変更することにより、凝固末期二次冷却域における鋳片の表面温度および中心部固相率が目標値の範囲となるように調節した。鋳造された鋳片は定常鋳造速度領域の部分を切断し、鋳片の内部調査とマンネスマン法によるシームレス製管試験に供した。
【0040】
なお、電磁攪拌は、実施した場合をONにより、また、実施しなかった場合をOFFにより表示した。また、電磁攪拌を実施する場合は、交番回転とした。
【0041】
鋳片の内部調査用に長さ2mの鋳片を採取し、長手方向に等間隔で10枚の横断サンプル板を採取して鏡面研磨後、酸腐食して軸心部割れおよび等軸晶の生成状況を調査した。等軸晶の生成状況は、鋳片横断面の中心から直径50mmの範囲内における等軸晶部分の占有面積比率(%)により評価した。また、軸心部割れは、各横断サンプルの全てのサンプル中で最大の軸心部割れ長さ(mm)により評価した。
【0042】
製管試験用に各鋳造条件毎に長さ6mの鋳片を10本切り出した。製管用鋳片を加熱炉で1200℃に加熱した後、マンネスマンプラグミル方式の穿孔圧延機により穿孔圧延し、外径63mm、肉厚5mmの中空素管を製造した。このようにして得られた10本の中空素管について、超音波探傷法により管内面疵の調査を行い、鋳片1本当たりの管内面疵の平均発生個数を求め、管内面疵の発生数とした。表1に、前記の等軸晶率、軸心部割れ長さおよび管内面疵発生数を併せて示した。
【0043】
試験番号1〜12は、本発明で規定する条件を全て満足する本発明例の試験であり、鋳片の軸心部割れおよび製管時の管内面疵発生数ともに低く、良好な結果であった。
【0044】
鋳型内電磁攪拌は、同一の供試鋼について実施(ON)および不実施(OFF)の試験を行い、これにより等軸晶の発生状況を変化させた。本発明の方法で規定する鋼成分組成の範囲内では、等軸晶の比率は、C含有率の増加とともに、増加する。同一の供試鋼について、電磁攪拌の実施の有無の影響を比較すると、電磁攪拌を行うことにより、さらに等軸晶率が増加していることがわかる。これらの結果から、凝固末期二次冷却と電磁攪拌とを併用することにより、軸心部割れの発生および製管内面疵の発生をさらに一層抑制できることが確認された。
【0045】
試験番号13〜33は、表2中に*印を付した項目が本発明で規定する条件を外れている比較例の試験である。試験番号13〜31の比較例の試験では、鋼成分組成は本発明で規定する範囲内にある供試鋼A〜Hを用い、本発明例の試験とほぼ同様の鋳造条件で、トップゾーンの二次冷却水量を変更して、凝固末期二次冷却開始時の鋳片表面温度を変化させた。鋳片表面温度が950℃未満の場合および1100℃を超える場合のいずれにおいても、供試鋼の種類および電磁攪拌の有無に拘わらず、軸心部割れおよび製管内面疵ともに劣った結果となった。
【0046】
試験番号15、19、23、26、28、および31は、凝固末期二次冷却を行わなかった試験である。いずれの場合も、軸心部割れ長さおよび製管内面疵発生数ともに高く、著しく劣った結果となっている。
【0047】
本発明で規定する成分組成の範囲外であり、本発明の対象外の供試鋼IおよびJを用いた試験番号32および33では、凝固末期二次冷却を実施しなくても、軸心部割れは軽微であった。
【0048】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、軸心部割れの少ない丸鋳片を製造することが可能になるとともに、この鋳片をマンネスマン法などによるシームレス製管プロセスに供給することにより、製管時の管内面疵の発生が大幅に抑制される。よって、本発明は、製管用などの丸鋳片の製造分野において、その品質向上に大きく寄与できる価値ある発明である。
【図面の簡単な説明】
【図1】丸鋳片の横断面における軸心部割れの発生状況を示す図である。
【図2】凝固時の結晶粒界における軸心部割れの伝播を模式的に示す図であり、同図(a)は柱状晶組織における軸心部割れの伝播、同図(b)は等軸晶組織における軸心部割れの伝播を、それぞれ示す。
【図3】本発明の方法を実施するための連続鋳造装置の例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1:鋳片、
2:溶鋼、
3:浸漬ノズル、
4:鋳型、
5:トップゾーン二次冷却装置(スプレー)、
6:凝固末期二次冷却装置(スプレー)、
7:ピンチロール、
8:凝固シェル、
9:切断用トーチ、
10:鋳型内電磁攪拌装置、
11:メニスカス、
12:温度測定装置(輻射温度計)

Claims (3)

  1. 炭素含有率が0.1質量%以下の溶鋼、またはCr含有率が1質量%以上で、かつ、炭素含有率が0.15質量%以下の溶鋼を丸鋳片に鋳造する鋳造方法において、鋳型直下からの鋳片の二次冷却を実施した後に、鋳片表面温度が1100〜950℃の範囲内に達した時点で鋳片の凝固末期二次冷却を開始し、鋳片の中心部が凝固完了するまでの範囲内で該凝固末期二次冷却を継続することを特徴とする丸鋳片の連続鋳造方法。
  2. 鋳片の未凝固部に電磁攪拌を行うことを特徴とする請求項1に記載の丸鋳片の連続鋳造方法。
  3. 請求項1または2に記載の連続鋳造方法により鋳造されたことを特徴とする軸心部割れの少ない丸鋳片。
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