JP5741162B2 - 高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法 - Google Patents

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本発明は、高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法、特に、油井の掘削用に利用されるCr含有量12〜14%のマルテンサイト系の高Cr継目無鋼管、中でも13Cr継目無鋼管(API−13Cr鋼管)の製管用に用いられる丸鋼片の製造方法に関する。なお、13Cr継目無鋼管製管用丸鋼片とは、特に、Cr含有量が12.7〜13.3mass%である高クロム鋼の継目無鋼管製管用丸鋼片をいう。
継目無鋼管は、一般に、出発素材として所定の成分・組成を有する丸鋼片(丸鋳片)を準備し、マンネスマン穿孔法によって穿孔した後、エロンゲータ、プラグミル又はマンドレルミル等の圧延機により延伸し、さらに、サイザーやストレッチレデューサにより定径化する一連の工程によって製造される。
この丸鋼片(丸鋳片)を準備する方法として、直接連続鋳造する方法が知れており、低炭素鋼の場合には、これにより、鋳造された状態で良好な内質をもった丸鋳片が得られている。しかしながら、高クロム鋼、特に13Cr鋼の場合には、鋳造された状態では、丸鋳片の内部にポロシティや偏析に起因した内部割れが発生しやすく、例えば、マンネスマン穿孔時に疵が発生しやすいという問題がある。そのため、特許文献1に開示されているように、連続鋳造によって、丸ビレットの断面積に対して3倍以上に当たる長方形断面を有する鋳片に大圧下を伴う分塊圧延を施してポロシティを機械的に圧着させて内部品質を向上させることが行われてきた。
かかる方法は、内質が優れた丸鋼片が得られるものの、歩留まりが低く、コスト高であるという問題がある。この問題を解決するために、例えば、特許文献2〜4には、連続鋳造により丸鋳片を製造するに当たり、未凝固圧下を加える一連の手段が開示されており、これらの手段により、内部割れ、中心部ポロシティ、中心部偏析、軸心部割れの生成の防止が可能とされている。
しかしながら、特許文献2〜4に記載の手段は、いずれも丸鋳片の連続鋳造過程でストランドの未凝固部に機械的圧下を加え、未凝固溶鋼を上流側へ排出する過程を伴うため、製品歩留り率の低下が避けられないという本質的な問題を包含している。また、機械的圧下のための装置が大がかりになり設備費が嵩むという問題もある。
これに対し、特許文献5には、連続鋳造鋳片のセンターポロシティ及び中心偏析の軽減方法として、鋳片冷却の際の熱収縮を利用する二次冷却方法が提案されており、具体的には、鋼のブルームまたはビレット連続鋳造において、残溶湯プールの鋳込み方向最先端より手前0.1〜2.0mの位置から鋳片中心部の固相率が0.99以上となるまで、凝固末期強制冷却帯で鋳片表面を水量密度100〜300リットル/(min・m)で水冷却する方法が示されている(特許文献5:請求項1参照)。
さらに、特許文献6等には、連続鋳造法により丸鋳片を製造し、凝固完了後に直ちに切断して高温の丸ビレットとし、フラットロール、フラットオーバル孔型ロール、オーバル孔型ロールの内の少なくとも1つにより、第1回目の圧下を加えて偏平化し、次いで、ラウンド孔型ロールにより、最大径の方向に第2回目の圧下を加え、縮径した丸ビレットとし、この2つの工程よりなる圧下を繰り返し、縮径した丸ビレットとすることにより、マンネスマン穿孔時に内面疵が発生しない加工性の良い高Cr含有量の継目無鋼管製造用丸ビレットを、「連続鋳造まま」で再加熱工程を経ることなく製造する方法が記載されている。
特開昭61−140301号公報 特開平10−249490号公報 特開平11−216547号公報 特開2000−288704号公報 特開2001−62550号公報(特許第3401785号公報) 特開平10-34201号公報
特許文献5に記載の手段により、特許文献2〜4に記載の手段の内包する問題点、すなわち、製品歩留り率の低下や高い設備費などの問題がある程度解決可能と推測される。しかしながら、特許文献5において実施例として挙げられている低炭素鋼及び1%Cr鋼は、凝固区間(液相線−固相線の温度間隔)が比較的短く、かつ、凝固時に偏析し易いCrの含有量が少ないものであり、本発明で問題にする軸心部割れが発生しがたい。これに対して、油井の掘削用に利用される高Cr鋼、特に13Cr鋼は、凝固区間が長くかつ、凝固時にCrが偏析し易いという特徴がある。そのため、特許文献5に記載の手段をそのまま適用しても、高Cr鋼、特に、13Cr鋼においては、後述するAタイプ及びCタイプ更には、Bタイプの軸心部割れが多発し、十分な効果を挙げることができない。
一方、特許文献6に記載の手段により、「鋳造まま(as cast)」の丸ビレットを用いてマンネスマン法により継目無鋼管を製造した場合の内面疵の発生を低減できることが期待される。しかし、この手段では、連続鋳造段階で軸心部割れが多発した場合には、なお、マンネスマン穿孔された製品に内面疵が残存するという問題がある。また、「鋳造まま」で再加熱工程を経ることなく圧下を加えるものであるため、丸鋳片の温度低下が生じた場合に圧下不能となるおそれがある。
本発明は、上記先行技術文献に記載の発明の問題点を解決することを目的とし、製品歩留りを低下させることなくまた、設備費を増大させることなく、高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の内質を向上させ、マンネスマン穿孔法を経て製造される高Cr鋼継目無鋼管の内面疵の発生率を実質的に0(ゼロ)に低減できるようにすることができる高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、穿孔圧延に供される高Cr鋼の継目無鋼管製管用丸鋼片を製造するに当たり、連続鋳造段階で軸心部割れの発生を抑制するとともに、得られた丸鋳片に対しさらに、再加熱後比較的軽度の縮径圧延を施すことにより、連続鋳造された段階ではなお残存している軸心部割れやザクの原因であるポロシティをほぼ完全に圧着できること及び、それによりマンネスマン穿孔法を経て製造される高Cr鋼継目無鋼管の内面疵の発生頻度を実質的に0(ゼロ)に低減できることを発見し、本発明を完成した。
本発明の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法は、質量比でCrを12〜14%含有する高Cr溶鋼を連続鋳造後、切断する丸鋳片の連続鋳造段階と、得られた丸鋳片を再加熱後縮径して継目無鋼管製管用丸鋼片を得る縮径圧延段階とからなり、
前記丸鋳片の連続鋳造段階において、未凝固溶鋼を含む断面円形のストランドに対し、該ストランドの軸心部の固相率fsが0.5となる位置から前記軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間を下記(1)式による水量密度Qによる第1次圧縮応力付加強制冷却を行うとともに、前記縮径圧延段階において、前記丸鋳片の連続鋳造段階において得られた丸鋳片を再加熱後、圧下比:1.5以上3.0以下の縮径圧延を施すことを特徴とするものである。
10≦Q≦100・・・(1)
ここに、Qは第1次圧縮応力付加強制冷却段階でストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいい、固相率fsとは、ストランドの軸心部における[固相/(固相+液相)]の質量比をいう。また、Tsとは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。また、圧下比とは、縮径圧延前の丸鋳片の直径をD、縮径圧延後の継目無鋼管製管用鋼片の直径をDとしたとき、(D/Dをいう。
前記発明における丸鋳片の連続鋳造段階において、第1次圧縮応力付加強制冷却に続いて、さらに、ストランドの軸心部の温度Tcが(Ts−255)℃となるまで下記(2)式により与えられるQにより第2次圧縮応力付加強制冷却を行うことが好ましい。
0<Q≦60,但しQ>Q・・・(2)
ここに、Qは第2次圧縮応力付加強制冷却によりストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいう。また、Tsは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。
前記各発明における前記丸鋳片の連続鋳造段階において、第1次圧縮応力付加強制冷却に先立ってストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5以下の区間に亘って下記(3)式により与えられる水量密度Qにより偏析抑制強制冷却を行うことが望ましい。
10<Q≦50・・・(3)
ここに、Qは偏析抑制強制冷却によりストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいう。
前記各発明において、連続鋳造段階によって得られた丸鋳片を再加熱するに当たり、加熱温度を1050〜1150℃の温度とすることが望ましい。
前記各発明において、縮径圧延は、フラット又はオーバル圧延を施す偏平化圧下工程と該偏平化圧下工程に続くラウンド化圧下工程とを組合せてなるものとするのが好ましい。また、その圧下比は1.7〜2.2であることが好ましい。
前記各発明において、高Cr溶鋼は、13Cr鋼であることが、また、連続鋳造段階において得られる継目無鋼管製管用丸鋳片の直径が、170〜330mmであることが好ましい。
本発明により、製品歩留りを低下させることなくまた、穿孔圧延用丸鋳片の製造設備の設備費を増大させることなく、穿孔圧延に供する連続鋳造丸鋼片の内質を向上させ、マンネスマン穿孔法を経て製造される高Cr鋼継目無鋼管の内面疵の発生頻度を実質的に0(ゼロ)に低減することができる。
本発明を適用して高Cr鋼継目無鋼管を製造する代表的工程図である。 本発明を実施するために用いる連続鋳造設備の模式的概念図である。 図1の連続鋳造設備の強制冷却帯を含む要部の拡大図である。 本発明の適用対象である13Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋳片に現れる内部欠陥の模式的説明図である。(a)Aタイプ割れ、(b)Bタイプ割れ、(c)Cタイプ割れ。 連続鋳造過程において圧縮応力付加強制冷却、第2次圧縮応力付加強制冷却及び偏析抑制強制冷却を行って得た13Cr鋼丸鋳片の縮径圧延の圧下比と製品継目無鋼管の内面疵発生頻度との関係を示すグラフである。 Aタイプ割れとその長さの測定要領を示す模式的説明図である。 丸鋳片の反りの測定方法についての解説図である。
図1は、本発明を適用して高Cr鋼継目無鋼管を製造する代表的工程図である。ここに示すように、本発明では、質量比で12〜14%のCrを含有する溶鋼が内部欠陥の発生を抑制するように特定された所定の条件下で連続鋳造され、得られた丸鋳片を再熱後、縮径圧延して穿孔用素材である丸鋼片とし、これに公知の穿孔圧延(マンネスマン穿孔圧延)、延伸圧延(マンドレルミル圧延)及び定径化圧延(ストレッチレデューサ圧延)を行って所定サイズの鋼管が製造される。
本発明においては、まず前記一連の工程中、連続鋳造段階において得られる丸鋳片の内部欠陥の発生を抑制する措置が採られる。具体的には、前記高Cr鋼の連続鋳造段階において未凝固溶鋼を含む断面円形のストランドに対し、該ストランドの軸心部の固相率fsが0.5となる位置から前記軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間を下記(1)式による水量密度Qによる第1次圧縮応力付加強制冷却が行われる。
図2は、本発明を実施するための連続鋳造設備における冷却帯とその配置を示す模式的概念図である。図2に示すように、タンディッシュ(図示しない)から断面円形の連続鋳造鋳型1に溶鋼に注入された溶鋼はスプレーノズルを備えた二次冷却帯2を通過する間に凝固シェルが成長し、内部に未凝固溶鋼を有するストランドSが形成され、完全凝固後、矯正帯6によって矯正された後、切断手段(図示しない)によって所定長の継目無鋼管製管用丸鋳片とされる。本発明においては、上記連続鋳造過程、特に二次冷却帯に続いて圧縮応力付加強制冷却帯3、第2次圧縮応力付加強制帯4及び、必要に応じて、これらに先立つ偏析抑制強制冷却5を設け、これら各冷却帯により適正な水量密度の冷却を行い、13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片内部に発生する欠陥の低減を図っている。
図3は、前記連続鋳造設備の強制冷却帯を含む要部の拡大図である。ここに示すように、ストランドSは、外側の凝固シェル10と軸心部側の未凝固溶鋼11とからなっており、これが偏析抑制強制冷却帯5、第1次圧縮応力付加強制冷却帯3及び第2次圧縮応力付加強制冷却帯4により強制冷却されるようになっている。上記各強制冷却帯3,4,5はいずれも水冷のためのスプレーノズル31,41,51を備え、いずれもヘッダー32,42,52から供給される冷却水をストランドSに噴射できるようになっている。
連続鋳造設備を用いて、本発明の適用鋼種、典型的には、13Cr鋼を連続鋳造すると、二次冷却帯及びそれ以降の水量密度等連続鋳造条件に依存して製品丸鋳片に種々の内部欠陥が発生する。典型的には、これらの内部欠陥は、(1)Aタイプ割れ、(2)Bタイプ割れ、(3)Cタイプ割れの3種に分類される。ここに、Aタイプ割れは、図4(a)に示すように、ストランドの鋳造方向に垂直な断面の中心部に生ずる比較的小さい割れ欠陥であって、ストランドの凝固末期ないし凝固直後に生ずる収縮孔を起点として発生する星形の割れであり、詳しくはストランド軸心部の凝固末期に発生する一次Aタイプ割れとストランドが比較的低温になってから発生する復熱時Aタイプ割れに分けられる。Bタイプ割れは、図4(b)に示すように、ストランドの鋳造方向断面に生ずるV字形の割れであって、凝固中期ないし末期にかけて生ずるV字状偏析に由来する。Cタイプ割れは、図4(c)に示すように、ストランドの鋳造方向に垂直な断面に現れる比較的大きな開口部を有する割れであって、ストランドがほぼ凝固した後、その軸心部に掛かる復熱時の直径方向の引張応力によって収縮孔が拡大することによって生ずるものである。
本発明においては、連続鋳造された丸鋳片に発生する内部欠陥のうちAタイプ割れ、特にストランド軸心部の凝固末期に発生する一次Aタイプ割れの発生を抑制することが必要である。本発明者の知見によれば、一次Aタイプ割れは、連続鋳造過程においてストランド軸心部の凝固がある程度進行した後、軸心部の温度が、熱間延性が発現する温度に低下するまでの間、すなわち、軸心部における延性が十分でないときに、軸心部に引張応力が作用することによって生ずる。したがって、少なくとも軸心部の凝固物が熱間延性発現温度となるまでの間、軸心部を圧縮応力下に維持しておく必要があり、かかる条件は下記第1次圧縮応力付加強制冷却条件を満たすことによって達成できる。
具体的には、この第1次圧縮応力付加強制冷却条件は、連続鋳造の過程における内部に未凝固溶鋼11を含む断面円形のストランドSに対し、該ストランドSの軸心部の固相率fsが0.5となる位置から軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間に亘って下記(1)式による水量密度Qにより行うことにある。

10≦Q≦100・・・(1)
ここに、Qはストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいい、固相率fsとは、その温度におけるストランドの軸心部における[固相/(固相+液相)]の比をいう。また、Tsとは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。なお、上記条件におけるfsは、例えば、大中 逸雄 著 コンピュータ伝熱・凝固解析入門 1985年 丸善発行」の第196〜208頁に記載の「4.3.2 合金の凝固解析」等の伝熱凝固計算によって求めることができる。また、Tsは、市販の状態図計算ソフト「Thermocalc」(Thermocalc software Inc.)を利用して算出することができる。
本発明では、上記のように、fsが0.5となる位置から軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間に亘って第1次圧縮応力付加強制冷却を行うこととするが、この領域は、本発明において対象とするCr含有量12〜14%の高Cr鋼において前記一次Aタイプ割れが発生する領域に対応している。fsが0.5を超える上流側の領域では、軸心部の溶鋼の流動性が高く、Aタイプ割れが発生しないのであり、一方、軸心部の温度が(Ts−145)℃より低下すれば、軸心部の部材にそこに生ずる引張応力(ほぼ8MPa程度と推定される)に耐え得る熱間強度が生じる。上記区間では、軸心部に残るフィルム状の残溶鋼のため、軸心部の熱間強度が低く、わずかな引張応力が掛かっても一次Aタイプ割れに進展するのである。
なお、上記軸心部の熱間強度は、本発明の適用鋼種である高Cr鋼の凝固過程における1×10−3/sの低速の高温熱間引張試験を行って測定可能であり、その結果、Crを12〜14%含有する高Cr鋼の凝固過程において有意な断面減少率を獲得する温度が1300℃であると決定された。その前記Tsとの差は145℃であり、これに基づき上記第1次圧縮応力付加強制冷却の適用範が(Ts−145)℃となるまでと決定される。
上記第1次圧縮応力付加強制冷却は、上記高Cr鋼の連続鋳造過程において、上記ストランドの軸心部の固相率fsが0.5となる位置から前記軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間においてストランド外周面に適用される冷却水の水量密度を10〜100L/m/minとすることが必要である。水量密度を10L/m/min以上とするのは、10L/m/min未満ではストランド表面と軸心部との間の温度勾配が小さく、ストランド軸心部に十分な圧縮応力を掛けることができないためである。一方、水量密度が100L/m/min以下とするのは、100L/m/minを超えると、軸心部に掛る引張応力が大きくなりすぎ、Cタイプ割れが発生するためである。さらに、ストランドを切断して得た製品丸鋳片に反りが残存するためである(実施例参照)。なお、上記水量密度は、冷却帯に与えられる単位時間当たりの水量(L/min)をその冷却帯内にあるストランドの表面積で除して得られる。
本発明においては、上記のようにして第1次圧縮応力付加強制冷却を行うことに加えて、得られた丸鋳片を再加熱後、1.5以上3.0以下の圧下比で縮径することとし、なお残留する一次Aタイプ割れを、連続鋳造の末期に発生する未凝固溶鋼の収縮孔を含む「ザク」と呼ばれる部分を圧着して続く穿孔圧延工程における内面疵の発生を防止するのである。なお、ここに圧下比とは、縮径圧延前の丸鋳片の直径をD、縮径圧延後の継目無鋼管製管用鋼片の直径をDとしたとき、(D/Dをいう。
図5中、曲線aは、質量比で、Cr:12.3〜13.7%を含有する13Cr鋼溶鋼を、連続鋳造過程において第1次圧縮応力付加強制冷却を行って丸鋳片に連続鋳造し、得られた丸鋳片に対し再加熱及び縮径圧延を行って鋼継目無鋼管製管用丸鋼片とし、これにマンネスマン穿孔圧延、延伸圧延、定径化圧延を順次行い、得られた継目無鋼管についての縮径圧延の圧下比と内面疵発生頻度との関係を示すグラフである。
連続鋳造条件、再加熱条件、縮径圧延条件延伸圧延条件、定径化圧延条件及び内面疵発生頻度の測定条件は下記のとおりである。
(1)連続鋳造条件
注入温度:1525〜1550℃
引抜速度:1.1〜1.6m/min
鋳型直径:170〜330mm(水冷円筒状銅鋳型)
第1次圧縮応力付加強制冷却水量密度:35〜50L/m/min(固相率fsが0.5となる位置から軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間に亘って均一)
なお、偏析抑制強制冷却及び第2次圧縮応力付加強制冷却は行わない。
(2)再加熱条件及び縮径圧延条件
再加熱条件:1080〜1130℃×2hの均熱処理
縮径圧延条件:オーバル孔型−ラウンド孔型−オーバル孔型−ラウンド孔型により順次圧下する4パス孔型圧延、全圧下比:1(無圧下)〜3.5
鋼片寸法:外径:170〜330mm
(3)製管条件
穿孔圧延
圧延機:マンネスマン穿孔圧延機
丸鋼片加熱温度:1250〜1300℃
ピアサーロール径:1150mm
プラグ径:90〜180mm
素管サイズ:外径:137.5〜223.5mm×肉厚:10〜45mm×長さ4500〜8000mm
延伸圧延
圧延機:マンドレルミルミル(2ロール×4スタンド)
素管加熱温度:1200℃
延伸率:1〜4
仕上り寸法:外径:110〜192mm×肉厚:3.5〜45mm×長さ5700〜27000mm
(4)定径化圧延条件
圧延機:ストレッチレデューサ
素管加熱温度:900℃
延伸率:1〜6.5
仕上り寸法:外径:25.4〜177.8mm×肉厚:2.3〜40mm×長さ:〜22000mm
(5)内面疵発生領域長さの測定
ストレッチレデューサにより仕上げられた継目無鋼管に対し、40mmのクロップ切断を行った後、熱処理を施して製品とした。得られた製品について超音波探傷を行い、閾値を超える疵を有害な内面疵とし、この有害な内面疵が最後に現れる管端からの長さを内面疵発生領域長さとした(単位mm)。なお、超音波探傷条件は、菱電エレクトロニクス社製の超音波探傷装置を用い、周波数:5MHz,繰返し周波数:1.5kHzの条件で行い、閾値は肉厚の5%(最小値:0.3mm)とした。
図5から明らかなように、本発明にしたがい第1次圧縮応力付加強制冷却を行って得た丸鋳片に対し再加熱後、縮径圧延を施すことにより、製品継目無鋼管の内面疵を低減させることができ、圧下比を1.5以上とした場合には、内面疵の発生領域長さを実質的に0(ゼロ)、すなわち、管端部においても有害な内面疵が発生しないようにすることができる。特に、圧下比を1.7以上とした場合には、内面疵の発生領域長さをさらに確実に0とすることができる。しかしながら、圧下比の増大による内面疵の発生領域長さの低減効果は、圧下比2.2程度で飽和し、また、それ以上、特に2.2以上に大きくすることは、圧延エネルギーの点からみて無駄である。したがって、縮径圧延の圧下比は、1.5以上3以下、好ましくは1.7以上2.2以下に限定される。
上記一連の工程において、連続鋳造された丸鋳片は、縮径圧延に先立って、再熱処理される。その条件としては、前記縮径圧延によって軸心部に対して十分な圧縮応力場を与えるのに十分な温度とするとともに、軸心部においてCr等の偏析元素の拡散が進むに足る時間とすることが望ましい。具体的には、再加熱温度を1050〜1150℃とし、その温度で均熱のために1〜3hに亘って保持すれば十分である。
縮径圧延の手段は、連続鋳造された丸鋳片の軸心部に対して十分な圧縮応力場が形成されるものであれば、その手段を問わない。しかしながら、縮径圧延を、フラット又はオーバル圧延を施す偏平化圧下工程と該偏平化圧下工程に続くラウンド化圧下工程とを組合せてなるものとすることは、偏平化により丸鋳片の中心部に圧下が掛り、軸心部に圧縮応力場が形成され、続くラウンド化により前記偏平化圧下と直交する方向からの圧下が掛り、軸心部割れやザクの原因であるポロシティをほぼ完全に圧着できるという効果がある。
なお、上記縮径圧延は、通常の連続孔型圧延によって行うことができるほか、ユニバーサル圧延機を用いて行うこともできる。また、偏平化圧下工程とラウンド化圧下工程は、例えば、オーバル圧延とラウンド化圧延をセットとして2回以上繰り返して行うこともできる。この場合において、前記圧下比が満たされていれば、前記セットとして行われる1回目の圧下比と2回目の圧下比の大きさは前記目的を満たすものである限り特に問わない。
上記のとおり、連続鋳造過程において第1次圧縮応力付加強制冷却を行い、得られた丸鋳片に対し再熱後縮径圧延を施した場合には、第1次圧縮応力付加強制冷却を行わなかった場合に比べ、内面疵発生領域長さを0とするに要する圧下比を極めて小さくすることができる。例えば、圧縮応力付加強制冷却を行なわなかった場合には、内面疵発生領域長さが0となるための圧下比は、5.5以上であるが、第1次圧縮応力付加強制冷却を行った場合には1.5〜3で十分である。
しかしながら、連続鋳造過程において、前記第1次圧縮応力付加強制冷却後、例えば、ストランドを空冷状態に放置するときには、ストランド外周部が復熱することにより、再び軸心部に引張応力が掛ることになり、これにより復熱時Aタイプ割れが発生し、製品継目無鋼管には、これに起因する内面疵が発生する。かかる内面疵の発生を防止するためには、連続鋳造段階において復熱時のAタイプ割れの発生を抑制する第2次圧縮応力付加強制冷却を行うとともに、得られた丸鋳片に対し、さらに再加熱後縮径圧延を行うのがよい。
この第2次圧縮応力付加強制冷却は、前記第1次圧縮応力付加強制冷却の完了後、さらに、ストランドの軸心部の温度が(Ts−255)℃となるまで下記(2)式により与えられるQによりを行うことにより行われる。

0<Q≦60,但しQ>Q・・・(2)
ここに、Qはストランド表面に与える冷却水量密度(単位:L/m/min)をいい、Tsとは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。
第2次圧縮応力付加強制冷却を行う区間は、復熱時のAタイプ割れの発生区間に対応させる必要がある。具体的には、例えば、13Cr鋼を連続鋳造して得たストランド(丸鋳片)の軸心部のCrの偏析状態をEPMAによって観察し、軸心部のCr偏析部の95%(EPMAの観察画素数比)をカバーするCr濃度を測定し、少なくともこのCr濃度の凝固温度までの区間に亘って第2次圧縮応力付加強制冷却を行う必要がある。かかるCr濃度は、14.5mass%であり、このCr濃度の凝固温度に対応する凝固温度は、1190℃、すなわち、(Ts−255)℃である。上記理由により、第2次圧縮応力付加強制冷却は、前記第1次圧縮応力付加強制冷却に引続いてストランド軸心部の温度が(Ts−255)℃以下に低下するまで継続的に行われ、ストランドの軸心部を圧縮応力下に維持するようにする。
第2次圧縮応力付加強制冷却帯の水量密度Qを0超とするのは、わずかな水量密度による強制冷却が行われた場合でも復熱時のAタイプ割れの低減効果が認められるからであり、一方、Q≦60とするのは、これ以上に水量密度を増加していくと、製品丸鋳片に現れる鋳片反りが大幅に増大するからである。
なお、Q≦Qとすると、上記圧縮応力−引張応力転換点を下流側に引下げる効果、いいかえれば、復熱時のAタイプ割れの低減効果は認められるものの、ストランドの温度の低下が過大になるため、矯正帯(図1参照)での矯正力(曲げ応力)が過大となり、矯正スタンドが破損し、あるいは、製品丸鋳片に鋳片反りが残る原因となるためである。
上記により本発明の基本的課題である13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片の連続鋳造過程における軸心部割れ(Aタイプ割れ、Cタイプ割れ)の発生を実用レベルで十分抑制できるようになり、これにより、後述するようにより小さい圧下比によって継目無鋼管の内面疵の発生領域長さを実質的に0とすることができるようになる。
しかしながら、13Cr継目無鋼管製管用丸鋳片にはBタイプ割れ、すなわち、図2(b)に示すストランドの鋳造方向断面に沿って生ずるV字形の割れが現出することが知られており、これも継目無鋼管の内面疵となるので、前記Aタイプ割れ及びCタイプ割れとともに低減することが望ましく、これにより、前記縮径圧延の圧下比を一層小さくとることが可能になる。
このBタイプ割れは、前記第1次圧縮応力付加強制冷却に先立って、ストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5以下の区間に亘って下記(3)式により与えられる水量密度Qにより偏析抑制強制冷却を行うことにより抑制することができる。

10<Q≦50・・・(3)
上記偏析抑制強制冷却は、ストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5以下の区間、すなわち、V字状偏析が現出する区間に亘って行う必要がある。fsが0.3未満の箇所から水冷を強化すると、内面疵低減効果が得られないばかりか、シェルに割れが入るなど不都合が生ずるためであり、一方、fsが0.5を超えると、すでに生成したV字状偏析を解消することはできず、もはやBタイプ割れの低減効果が得られないためである。
上記偏析抑制強制冷却は、ストランドSの外表面への水量密度Q(単位:L/m/min)が10超50以下の範囲で行うのが望ましい。水量密度10以上でBタイプ割れの発生頻度(個数)が低下し、15以上で顕著となるが、50を超えると、ストランドに曲がりが生じ、連続鋳造操業を円滑に行うことができなくなるという問題を生ずるからである。
図5の曲線b及びcは、曲線aを得た条件(連続鋳造過程において第1次圧縮応力付加強制冷却のみを行った場合)に加え、下記水量密度による第2次圧縮応力付加強制冷却及び偏析抑制強制冷却を行って得た丸鋳片に対し再加熱及び縮径圧延を行って鋼継目無鋼管製管用丸鋼片とし、これにマンネスマン穿孔圧延、延伸圧延、定径化圧延を順次行い、得られた継目無鋼管についての縮径圧延の圧下比と内面疵発生頻度との関係を示すグラフである。

第2次圧縮応力付加強制冷却水量密度:15〜20L/m/min(ストランド軸心部温度Tcが(Ts−145)℃となる位置から(Ts−255)℃となる位置まで一定)
偏析抑制強制冷却水量密度:15〜25L/m/min(ストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5未満の区間に亘って一定)
図5に示すとおり、本発明にしたがい第2次圧縮応力付加強制冷却、さらには偏析抑制強制冷却を行って得た丸鋳片に対し再加熱後、縮径圧延を施した場合には、単に第1次圧縮応力付加強制冷却のみを施した場合に比べ、より低い圧下比の縮径圧延を行った場合でも、製品継目無鋼管の内面疵発生領域を実質的に0とできることが明らかである。具体的には、第2次圧縮応力付加強制冷却を行った場合には、圧下比:1.3で、さらに偏析抑制強制冷却を行った場合には、圧下比:1.2で内面疵発生領域を実質的に0とすることができる。
上記のとおり、本発明にしたがい、連続鋳造過程において第1次圧縮応力付加強制冷却、さらには必要に応じて第2次圧縮応力付加強制冷却及び偏析抑制強制冷却を行って得た丸鋳片に対して、再熱後縮径圧延を行うことにより、マンネスマン穿孔法を経て製造される高Cr鋼継目無鋼管に発生する内面疵の発生領域長さを実質的に0(ゼロ)に低減することができる。かかる効果は、軸心部割れに由来する内面疵の発生しやすいサイズ、すなわち、丸ビレットの直径が170〜340mmの範囲で顕著に現れる。
(実施例1)
表1に示す組成(質量%)を有する13Cr鋼を内径各170mm、210mm及び230mmの円筒形鋳型を用いて連続鋳造し、得られた丸鋳片を再熱後、縮径圧延して穿孔圧延用素材を得、これをマンネスマンプラグミルによって穿孔圧延しついで、マンドレル圧延機により延伸圧延を行い、製品継目無鋼管とした。
連続鋳造に当たり、その条件を表2に示すように変動させて第1次圧縮応力付加強制冷却を行い、得られた製品丸鋳片のAタイプ割れ(一次Aタイプ割れ及び復熱Aタイプ割れを含む)及びCタイプ割れの平均長さを評価した。評価結果は表2に併せて示す。なお、Aタイプ割れの長さとは、図6に示すように、収縮孔から延びる割れの長さ(mm)をいい、評価は、多数の丸鋳片の試験片断面に観察されるAタイプ割れの長さの平均値によって行った。
表2に示すように、第1次圧縮応力付加強制冷却条件において、水量密度が0L/m/minの場合は、Aタイプ割れ長さが10mm程度と大きかった。水量密度が8L/m/minの場合にも、Aタイプ割れ長さがやや小さくなったに過ぎない。これに対して、水量密度を適切にとった場合には、Aタイプ割れ長さが大幅に小さくなり、特に水量密度が55L/m/minの場合に、Aタイプ割れ長さが極小となった。一方、水量密度が110L/m/minと過大な場合には、Aタイプ割れの発生は認められなかったものの、Cタイプ割れの発生が顕著に認められた。なお、この場合のほかには、Cタイプ割れの発生は認められなかった。
表2に記したもののうち、試験No.1,4,14及び16について在炉時間:3〜4hr、抽出温度:1100℃の再熱処理を行った後、オーバル孔型−ラウンド孔型−オーバル孔型−ラウンド孔型により順次圧下する4パス孔型圧延により縮径圧延を行った。この際、圧下比は、前段及び後段のオーバル孔型−ラウンド孔型においてそれぞれ、1〜2.5の範囲にとり、全圧下比を1(無圧下)〜5となるように調整した。
上記再熱縮径圧延により得られた鋼片を1250〜1300℃に加熱後、マンネスマン穿孔圧延機を用いて穿孔圧延を行って中空素管とした後、直ちにマンドレルミルにより延伸して長尺素管とし、得られた長尺素管を再加熱後、ストレッチレデューサにより定径化して外径:25.4〜177.8mm、厚さ:2.3〜40mmの仕上り寸法に仕上げ、25mmのクロップ切断後熱処理を行って製品継目無鋼管とした。
得られた製品継目無鋼管に対し、管端から500mmの範囲に亘って超音波探傷を行い、内面疵発生領域長さ(mm)を測定した。
得られた結果は、表3に示す。表3から明らかなように、本発明にしたがい第1次圧縮応力付加強制冷冷却を行うとともに、得られた丸ビレットに対し、再熱後、圧下比1.5以上の縮径圧延を行った丸ビレットを用いて製管した場合には、管端からの内面疵の発生領域を0、すなわち管端のごく近傍においても内面疵の発生しないようにすることができる。
(実施例2)
連続鋳造に当たり、第1次圧縮応力付加強制冷却及び第2次圧縮応力付加強制冷却を行った。第1次圧縮応力付加強制冷却条件における強制冷却の開始位置及び終了位置はそれぞれfs値が0.5,0.3の位置とし、水量密度Qを表4に示すように採り、その各条件について、第2次圧縮応力付加強制冷却を変動させ、得られた製品丸鋳片のAタイプ割れ及び鋳片反りについて評価した。評価結果は表4に併せ示す。なお、Aタイプ割れの評価方法は、実施例1の場合と同様であり、鋳片反りの評価は、鋳造された多数の丸鋳片について図7に示すようにして測定した反りの量(単位:mm)の平均値によって行った。
表4から分かるように、第1次圧縮応力付加強制冷却に加えて第2次圧縮応力付加強制冷却を行った場合には、第2次圧縮応力付加強制冷却のみを行った場合に比べてAタイプ割れの長さが低下することが分かる(表2のNo.5と表3のNo.33〜36の対比)。しかしながら、第2次圧縮応力付加強制冷却の終了温度が高すぎるときには、かえってAタイプ割れの長さが増加する(試験No.40参照)。また、第1次、第2次の圧縮応力付加強制冷却の水量密度が同じ場合或いは後者が大である場合は、Aタイプ割れの長さが低下するものの鋳片反りが大となる。
表4に記したもののうち、試験No.35の場合について実施例1と同様の条件で再熱後縮径圧延、延伸圧延及び定径化圧延を行い、製品継目無鋼管とした。結果は表5に示す。
(実施例3)
上記実施例2の試験No.35の場合について、さらに表6に示す条件で偏析抑制強制冷却を行った。得られた丸鋳片についてのBタイプ割れの発生個数(鋳込み長:0.8m当たり)を測定した。評価結果は表6に併せ示す。表6から分かるように、水量密度が従来レベルと同じ程度であるNo.35の場合に比べ、ストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5未満の区間に亘って適切な水量密度の偏析抑制強制冷却を行うことにより、Bタイプ割れが低減される。しかし、水量密度が過大であるNo.54の場合には、鋳片温度が下がりすぎる結果、第1次圧縮応力付加強制冷却帯内でBタイプ割れを生ずる結果となった。また、偏析抑制強制冷却の終了点をfs:0.4とした場合には、水量密度を適切にとってもBタイプ割れの発生を抑制できない。なお、Bタイプ割れの評価は、得られた多数の丸鋳片の断面に現れたBタイプ割れの数の平均値により行った。
表6に記したもののうち、試験No.52の場合について実施例1と同様の条件で再熱後縮径圧延及び延伸圧延及び定径化圧延を行い、製品継目無鋼管を得た。結果は表7に示す。
1:連続鋳造鋳型
2:二次冷却帯
3:第1次圧縮応力付加冷却帯
4:第2次圧縮応力付加冷却帯
5:偏析抑制強制冷却帯
6:矯正帯
10:シェル
11:未凝固溶鋼
31:スプレーノズル
32:ヘッダー
41:スプレーノズル
42:ヘッダー
51:スプレーノズル
52:ヘッダー

Claims (8)

  1. 質量比でCrを12〜14%含有する高Cr溶鋼を連続鋳造後、切断する丸鋳片の連続鋳造段階と、得られた丸鋳片を再加熱後縮径して継目無鋼管製管用丸鋼片とする縮径圧延段階とからなり、
    前記丸鋳片の連続鋳造段階において、未凝固溶鋼を含む断面円形のストランドに対し、該ストランドの軸心部の固相率fsが0.5となる位置から前記軸心部の温度が(Ts−145)℃となる位置までの間を下記(1)式による水量密度Qによる第1次圧縮応力付加強制冷却を行うとともに、前記縮径圧延段階において、前記丸鋳片の連続鋳造段階において得られた丸鋳片を再加熱後、圧下比:1.5以上3.0以下の縮径圧延を施すことを特徴とする高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
    10≦Q≦100・・・(1)
    ここに、Qは第1次圧縮応力付加強制冷却段階でストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいい、固相率fsとは、ストランドの軸心部における[固相/(固相+液相)]の質量比をいう。また、Tsとは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。また、圧下比とは、縮径圧延前の丸鋳片の直径をD、縮径圧延後の継目無鋼管製管用鋼片の直径をDとしたとき、(D/Dをいう。
  2. 丸鋳片の連続鋳造段階において、第1次圧縮応力付加強制冷却に続いて、さらに、ストランドの軸心部の温度Tcが(Ts−255)℃となるまで下記(2)式により与えられるQにより第2次圧縮応力付加強制冷却を行うことを特徴とする請求項1記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
    0<Q≦60,但しQ>Q・・・(2)
    ここに、Qは第2次圧縮応力付加強制冷却によりストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいう。また、Tsは、連続鋳造に供されるバルク溶鋼の固相線温度をいう。
  3. 丸鋳片の連続鋳造段階において、第1次圧縮応力付加強制冷却に先立ってストランドの軸心部の固相率fsが0.3以上0.5以下の区間に亘って下記(3)式により与えられる水量密度Qにより偏析抑制強制冷却を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
    10<Q≦50・・・(3)
    ここに、Qは偏析抑制強制冷却によりストランド表面に与える冷却水の水量密度(単位:L/m/min)をいう。
  4. 連続鋳造段階によって得られた丸鋳片を再加熱するに当たり、加熱温度を1050〜1150℃の温度とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
  5. 縮径圧延は、フラット又はオーバル圧延を施す偏平化圧下工程と該偏平化圧下工程に続くラウンド化圧下工程とを組合せてなるものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
  6. 圧下比が1.7〜2.2である請求項1〜5のいずれかに記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
  7. 高Cr溶鋼が、13Cr鋼であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
  8. 連続鋳造段階において得られる継目無鋼管製管用丸鋳片の直径が170〜330mmであることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の高Cr鋼継目無鋼管製管用丸鋼片の製造方法。
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