JP5646439B2 - スラブ幅方向の中心偏析のバラツキを抑制する連続鋳造方法 - Google Patents
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1.21RB+0.76≦WB/WA≦2.61RB+1.16 ・・・(1)
本発明では、軸受箱率に応じて冷却水量を調整することで中心偏析のバラツキの発生を抑制するため、軸受箱率が0.2以上であってもよい。そのため、使用するロールの種類を少なくできる。
図1は、本実施形態の連続鋳造方法に用いられる連続鋳造機1の構成を示している。連続鋳造機1は、浸漬ノズル2を介して溶鋼が注湯される矩形状の鋳型3と、鋳型3の直下から鋳造経路Aに沿って並設された複数のロール対5と、鋳造経路Aを通過する鋳片20に対して冷却水(ミスト)を噴霧する複数のノズル16、17とを備えている。
凝固の進行度合いがα(0<α≦1)のとき、即ち、凝固シェルの厚みが完全凝固に対してαまで進んだ状態となるときのメニスカス距離をMとすると、上式は、(α×D)/2=k(M/Vc)0.5となり、これを展開することで、M=(α/k)2×Vc×(D/2)2が得られる。なお、メニスカス距離とは、メニスカスを起点として、鋳造経路Aに沿った距離である。
したがって、凝固の進行度合いがα1からα2である区間は、(α1/k1)2×Vc×(D/2)2≦M≦(α2/k2)2×Vc×(D/2)2と表現できる。
Tp=(Gi−Gi+1)/(Mi+1−Mi)
第1区間における圧下勾配Tpは、上記数値範囲内であれば、一定であっても変動してもよい。
1.21RB+0.76≦WB/WA≦2.61RB+1.16 ・・・(1)
第1に、鋳片を長手方向に対して垂直に切断した。第2に、Φ5mmのドリル刃を用いて、該切断面を腐食させて現れた中心偏析痕に沿って10mm間隔で深さ20mm程度穿孔し、複数の切粉試料を採取した。第3に、上記第2で得られた切粉試料の炭素含有量C[wt%]を燃焼赤外線吸収法により測定した。第4に、上記第3で測定した複数の切粉試料の炭素含有量Cのうち最も高い値をCMAX[wt%]として記録した。第5に、同断面で、鋳片表面から鋳片の厚みの1/4だけ内側の位置(中心偏析が存在しない部位)で、上記第2と同様の方法で切粉試料を採取した。第6に、上記第5で得られた切粉試料の炭素含有量C0[wt%]を測定し、上記第4で記録されたCMAX[wt%]との比CMAX/C0を算出した。その結果を表1に示す。
本実施形態では、軸受箱率Rに応じて冷却水量を調整することで中心偏析のバラツキの発生を抑制するため、軸受箱率Rが0.2以上となる範囲があってもよい。そのため、使用するロールの種類を少なくできる。
また、水量比WB/WAが、「2.61RB+1.16」よりも大きい場合、軸受箱を通過する部位での凝固が進みすぎて、凝固完了までの時間が早くなりすぎるため、中心偏析にバラツキが生じる。
本実施形態では、水量比WB/WAを上述の(1)式を満たす値とすることにより、鋳片幅方向の凝固遅れを抑制して、中心偏析のバラツキを低減できる。
一方、軸受箱率Rが0.2以下の幅方向範囲において、冷却水量が多すぎる場合、鋳片表面に割れが発生しやすくなる。特に、炭素濃度Cが0.08〜0.2[mass%]の中炭素鋼と呼ばれる鋼の場合にこの表面割れが生じやすい。
本実施形態では、軸受箱率Rが0.2以下の幅方向範囲における冷却水量を適切な値とすることで、内部割れと表面割れの発生を防止している。具体的には、軸受箱率Rが0.2以下の幅方向範囲における比水量WAを、0.5〜1.5[L/kg-steel]の範囲内とすることで、内部割れと表面割れの発生を防止できる。
図5のグラフは、伝熱凝固計算によるものであって、第2区間の終端位置を変えた場合における凝固完了時間の変化を示している。図5の縦軸は、第2区間の終端位置を0とした場合(幅方向について比水量を変化させない場合)の凝固完了時間との差を示している。この試験では、軸受箱がある幅方向範囲の軸受箱率Rを1とした。軸受箱率R=0である幅方向範囲の比水量WAと、軸受箱率R=1.0である幅方向範囲の比水量WBとの比WB/WAは、2または3とした。その他の計算条件は、以下の通りである。
・鋳型の上端の短辺内寸D:280 mm
・全比水量W:1.37 L/kg-steel
・ロール接触による鋳片表面の熱伝達係数h:0.042 cal/(cm2・s.・deg.)
・空冷による鋳片表面の熱伝達係数h:0.011 cal/(cm2・s.・deg.)
・水冷による鋳片表面の熱伝達係数h:0.020〜0.057 cal/(cm2・s.・deg.)
・凝固シェルの熱伝導率λ(T=500〜1600℃):0.064〜0.095cal/(cm・s.・deg.)
また、第2区間よりも下流側においては、冷却水量を幅方向に関して制御することは不要であり、冷却水量を無駄に多くする必要がない。
例えば図6に示すように、2分割型ロール31と、この2分割型ロールの分割位置と異なる位置で3分割された3分割型ロール32とを用いてもよい。軸受箱率は、第2区間における2分割型ロール31の本数と3分割型ロール32の本数の比率によって異なる。第2区間のロール31、32の比率が図6に示す比率と同じである場合、3分割型ロール32の軸受箱8bのある幅方向範囲S11、S13、S14、S16の軸受箱率Rは0.26であり、2分割型ロール32の軸受箱8bのある幅方向範囲S12、S15の軸受箱率Rは、0.21である。また、第2区間のうち、範囲S11〜S16以外の範囲における比水量WAは、0.5〜1.5[L/kg-steel]の範囲内であって、第2区間のうち、範囲S11、S13、S14、S16における比水量WB1は、1.07≦WB1/WA≦1.84を満たす値である。また、第2区間のうち、範囲S12、S15における比水量WB2は、1.01≦WB2/WA≦1.71を満たす値である。
軸受箱率が0.2以下の幅方向範囲では、軸受箱8bによる抜熱量の低下は無視できるレベルであるため(図4のグラフ参照)、軸受箱率が0.2以下の幅方向範囲の比水量を、軸受箱率が0の幅方向範囲の比水量よりも多くする必要はない。
実施例1〜57の鋳造条件を表3に示し、比較例1〜40を表4に示す。
16までの範囲のうちの下限側の1/3の範囲にある場合に、「L」を表示し、上限側の1/3の範囲にある場合に「H」を表示し、中間の1/3の範囲にある場合に「M」を表示し、1.21RB+0.76より小さい場合に「↓」を表示し、2.61RB+1.16よりも大きい場合に「↑」を表示した。
表1の試験と同様の手順で、実施例および比較例で鋳造された鋳片の中心偏析を調べた。
また、実施例および比較例で鋳造された鋳片について、内部割れの有無を調べた。
具体的には、鋳片を長手方向に対して垂直に切断して、その切断面を過硫酸アンモニウム水溶液で腐食させた後、切断面に稲妻状の割れが有るかどうか目視で検査した。鋳片厚み方向に2mm以上の稲妻状の割れが有った場合に、内部割れ有りと評価した。
また、実施例および比較例で鋳造された鋳片について、表面割れの有無を調べた。
具体的には、鋳片を鋳造方向長さ5.5〜12.5mに切断し、得られたたスラブを約20℃で空冷し、その上面(鋳造経路Aの水平領域において上側となる面)に、鋳造方向に沿った割れが有るかどうか目視で検査した。鋳造方向長さが10mm以上の割れが有った場合に、表面割れ有りと評価した。
3 鋳型
4 ロールスタンド
5 ロール対
6 上ロール
7 下ロール
8a、8b 軸受箱
16、17 ノズル
20 鋳片
Claims (1)
- 鋳造方向に沿って並設された複数のロール対を備えるスラブ用連続鋳造機を用いて、連続鋳造する方法であって、
前記ロール対は、鋳片を挟んで対向配置される2つのロールで構成され、複数対ごとにロールスタンドに設置され、
前記ロールは、鋳片幅方向に2〜4分割されると共に分割位置で軸受箱に支持されており、
炭素濃度Cが0.03〜0.60[mass%]である炭素鋼を鋳造し、
鋳型上端における短辺内寸Dが、280〜310[mm]であり、
鋳造速度Vcが、0.70〜1.30[m/min.]であり、
メニスカス距離M[m]が0.0011Vc(D/2)2≦M≦0.0013Vc(D/2)2である第1区間における圧下勾配Tp[mm/m]が、0.5≦Tp≦1.2であり、
鋳型直下から最下流ロールまでの比水量が、0.5〜1.5[L/kg-steel]であって、
鋳型直下のロールスタンドと、メニスカス距離が15mの位置に配置されたロールスタンドと、これらの間に配置されたロールスタンドと、が配置された第2区間に、鋳造方向に並設された複数のロールについて、鋳片幅方向位置において、前記ロールの全本数に対する、その幅方向位置に軸受箱が存在するロールの本数の比率を軸受箱率Rとし、
前記第2区間の0≦R≦0.2である幅方向範囲における比水量をWA[L/kg-steel]とし、
前記第2区間の0.2<R≦1である幅方向範囲における比水量をWB[L/kg-steel]とし、軸受箱率RをRBとすると、
0.5≦WA≦1.5であって、下記(1)式を満たすことを特徴とする、スラブ幅方向の中心偏析のバラツキを抑制する連続鋳造方法。
1.21RB+0.76≦WB/WA≦2.61RB+1.16 ・・・(1)
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