JP2016179490A - 連続鋳造方法 - Google Patents

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元樹 柿崎
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Abstract

【課題】耐サワー鋼の鋳造において、鋳片の幅方向全体に亘って中心偏析を低減する。【解決手段】二次冷却帯において鋳片を比水量Q(0.8〜1.4L/kg-steel)で冷却する。「鋳型直下から、鋳片表面温度が950℃以下であり且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域A」において、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50の幅方向位置を水量密度QAでさらに冷却する。「領域Aの下流端から、凝固殻厚さDが100mmを超え且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域B」において、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50の幅方向位置を水量密度QBでさらに冷却する。【選択図】図16

Description

本発明は、耐サワー鋼の連続鋳造方法に関する。
石油や天然ガスには硫化水素が含まれるため、これらの輸送に用いられる鋼材(以下、耐サワー鋼と称する。)は常に硫化水素雰囲気下にある。このような雰囲気では、水素が鋼材中に進入・拡散し、鋼材中の介在物に集積・ガス化する。その結果、鋼材に内圧が加わることにより介在物の周辺に微細な亀裂が発生し、これが硬化相に沿って伝播することで、水素誘起割れ(以下、HICと称する。)が発生する。そこで、耐サワー鋼には優れた耐HIC性が要求される。
HICは鋳造時に生じた介在物及び中心偏析等を起点として発生するため、従来より中心偏析を低減させる方法が提案されている。例えば特許文献1には、「軽圧下帯における圧下勾配を鋳造方向下流側ほど小さく設定し、当該軽圧下帯を用い、少なくとも、鋳片の厚み中心部の固相率が0.4以下の時点から0.8以上になる時点まで、0.9〜1.3mm/minの範囲内の圧下速度で鋳片を圧下する」方法が記載されている。
ところで、連続鋳造機には、鋳片を支持する複数のロールが鋳造方向に沿って並設されている。ロールは鋳片幅方向に2以上に分割され、分割位置に軸受箱が配置されている。軸受箱が配置された部分(以下「軸受箱部」と称する)では鋳片とロールが接触しないため、抜熱量が少ない。このため軸受箱部ではロール接触部より凝固が遅れ、中心偏析が発生しやすい。
そこで、特許文献2,3では、軸受箱部が多い位置と少ない位置との比水量比を規定し、軸受箱部の凝固が遅れないようにしている。具体的には、炭素濃度Cが0.03〜0.60[mass%]のスラブを鋳造する際、鋳型直下のロールスタンドからメニスカスからの距離が15mの位置に配置されたロールスタンドまでの第2区間において、0≦軸受箱率R≦0.2である幅方向範囲における比水量WA[L/kg-steel]と、0.2<軸受箱率R≦1である幅方向範囲における比水量WB[L/kg-steel]との比率を、下記の範囲にしている。
1.21RB+0.76≦WB/WA≦2.61RB+1.16 ・・・(1)
ここで、RBは軸受箱率Rである。
これにより鋳片を均一に冷却し、鋳片の幅方向全体に亘って中心偏析が発生することを抑止している。
なお、軸受箱部の比水量を規定するものではないが、特許文献4にも鋳片を均一に冷却する方法が記載されている。特許文献4では、鋳片に滞留した冷却水により鋳片が部分的に過冷却されることを抑止するため、軸受箱(ロールチョック)と鋳片との隙間に鋳造方向下流側から上流側に向かう気体流を発生させ、気体流によって鋳片に溜まる冷却水の残留水が軸受箱(ロールチョック)と鋳片との隙間を流下することを抑制している。
特開2011−5525号公報 特開2013−46926号公報 特開2013−119099号公報 特開2011−200893号公報
上述したように、軸受箱部ではロール接触部より凝固が遅れるが、特許文献1では軸受箱部を考慮した冷却方法が記載されていない。したがって、特許文献1では、軸受箱部とロール接触部を同じ冷却条件で冷却していると考えられる。しかし、軸受箱部とロール接触部を同じ冷却条件にすると、軸受箱部で凝固が遅れ、中心偏析が発生する。
また、特許文献4には鋳片に滞留した冷却水が鋳片とロールとの接触がない軸受箱部に流れ込み過冷却が生じるのを抑止する方法が記載されているが、軸受箱部にロールが接触しないことで凝固が遅れることについて記載されていない。したがって、特許文献4でも特許文献1と同様に、ロール間で噴射されるスプレー又はミスト冷却について軸受箱部とロール接触部を同じ冷却条件で冷却していると考えられる。このため特許文献4でも冷却水量が少ない場合、軸受箱部で凝固遅れが生じ、中心偏析が発生する。
なお、特許文献2,3では軸受箱部を考慮した比水量比を規定しているが、特許文献2,3の比水量比で耐サワー鋼を冷却しても、耐サワー鋼の厳しい品質基準(最大偏析粒径が1.2mm以下)を確保できないことがわかった。
そこで、本発明の目的は、耐サワー鋼において鋳片の幅方向全体に亘って中心偏析を低減できる方法を提供することである。
本発明の連続鋳造方法は、鋳造方向に並設された複数のロールスタンドを備えたスラブ連続鋳造機によって、耐サワー鋼を、鋳造速度Vc1.0〜1.3m/min、比水量0.8〜1.4L/kg-steelの鋳造条件で製造する方法であり、
前記ロールスタンドには、鋳片幅方向に2以上に分割されているとともに各分割位置に配置された軸受箱を有する複数の分割ロールが鋳造方向に並設され、
所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された分割ロールの全数に対する、軸受箱が存在する分割ロールの数の比率を軸受箱率とし、
鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの範囲の軸受箱率が最大となる幅方向位置で鋳片表面温度を測定し、
鋳型直下から鋳片表面温度が950℃以下であり且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域を領域Aとし、
鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの範囲の軸受箱率が最大となる幅方向位置で凝固殻厚さDを測定し、
前記領域Aの下流端から凝固殻厚さDが100mmを超え且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域を領域Bとし、
前記領域Aの上流端から前記領域Bの下流端までの領域において、所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された分割ロールの全数に対する、軸受箱が存在する分割ロールの数の比率を軸受箱率gとし、
鋳造方向に隣り合う2本の分割ロール間に配置された第1ミストノズルによって、スラブを0.8〜1.4L/kg-steelの比水量Q(L/kg-steel)で冷却するとき、
前記第1ミストノズルとは別に設けられた第2ミストノズルにより、
前記領域Aにおいて、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(α)式を満たす水量密度QAの冷却をさらに行い、
(41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2≦QA≦(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(α)
前記領域Bにおいて、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(β)式を満たす水量密度QBの冷却をさらに行う。
(15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79≦QB≦(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(β)
但し、前記第1ミストノズル及び前記第2ミストノズルの気水比は、質量比で0.10以下である。
本発明では、二次冷却帯においてスラブを比水量Qで冷却し、復熱後の鋳片表面温度が高い「領域A」とその下流の「領域B」で、それぞれ、凝固遅れが生じやすい軸受箱率g(0.30≦g≦0.50)の幅方向位置を、水量密度QAと水量密度QBでさらに冷却している。これにより軸受箱率gが高い幅方向位置で凝固遅れが生じることを抑止できるため、スラブの幅方向全体に亘って中心偏析を低減できる。また、耐サワー鋼の厳しい品質基準(最大偏析粒径が1.2mm以下)を満足するスラブを鋳造することができる。これにより、HICの発生を抑止した耐サワー鋼が得られる。
連続鋳造機の全体構成を示す模式図である。 ロールスタンドの基準側の構成の一例を示す模式図である。 鋳片表面近傍を示す断面写真である。 凝固完了位置の差と軸受箱率との関係を示す図である。 軸受箱率と最大偏析粒径との関係を示す図である。 ロールスタンドの基準側の構成の他の例を示す模式図である。 ミストノズルと鋳片を示す図(図2のVII-VII線に沿った図)である。 ミストノズルと鋳片を示す図(図6のVIIIA-VIIIA線に沿った図)である。 ミストノズルと鋳片を示す図(図6のVIIIB-VIIIB線に沿った図)である。 凝固定数Kと比水量との関係を示す図である。 凝固速度dD/dtと凝固殻厚さDとの関係を示す図である。 凝固速度差と凝固殻厚さDとの関係を示す図である。 凝固殻厚さDとメニスカスからの距離との関係を示す図である。 領域Xの例を示す図である。 総合の熱伝達率αTと鋳片表面温度との関係を示す図である。 鋳片表面温度とメニスカスからの距離との関係を示す図である。 領域A及び領域Bの例を示す図である。 水量密度QA及び水量密度QBを求めるために行った実験結果を示す図である。 水量密度QA及び水量密度QBを求めるために行った実験結果を示す図である。 水量密度QAの上限を求める実験結果を示す図である。 水量密度QAの上限を求める実験結果を示す図である。 実験で用いたロールスタンドの基準側の構成を示す模式図である。 実験で用いたロールスタンドの断面図(図21のII-II線に沿った図)である。 最大偏析粒径の測定方法を説明する図である。
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
連続鋳造機100は、図1に示すように、垂直曲げ型連続鋳造機であって、タンディッシュ1と、タンディッシュ1の底部に取り付けられた浸漬ノズル2と、浸漬ノズル2の下部が配置された鋳型3と、鋳型3の直下から鋳造経路Pに沿って設けられた複数のロールスタンド4と、を備えている。本実施形態では、鋳造経路Pに沿って鋳型3に近い側を上流側と呼び、鋳型3に遠い側を下流側と呼ぶ。また、鋳造経路Pの一方側(鋳片の下側に対応)を「基準側」と呼び、鋳造経路Pの他方側(鋳片の上側に対応)を「反基準側」と呼ぶ。
鋳型3には平面視において略矩形状の開口が形成され、スラブを鋳造可能である。
ロールスタンド4には、鋳造方向に並設された複数の支持ロール対40が設置されている。図1では1つのロールスタンド4に3対の支持ロール対40が設置されているが、1つのロールスタンド4に設置される支持ロール対の数は3対に限られない。
タンディッシュ1内の溶鋼6を、浸漬ノズル2を介して鋳型3内に注入すると、溶鋼6は鋳型3内で冷却され(一次冷却)、その後、ロールスタンド4の支持ロール対40に挟持されながら、凝固シェルを形成しつつ下方へ引き抜かれる。そして、内部まで凝固することにより鋳片が鋳造される。
本実施形態では、鋳造速度Vc1.0〜1.3m/min、比水量0.8〜1.4L/kg-steelで耐サワー鋼を鋳造する。
鋳造速度Vcが1.0m/min未満と遅い場合、浸漬ノズル2が詰まることにより、鋳造が続けられなくなり、生産性が低下する。一方、鋳造速度が1.3m/minを超える場合、中心部の偏析レベルが悪化し、耐サワー鋼の品質基準(最大偏析粒径が1.2mm以下)を確保できなくなる。
また、比水量が0.8L/kg-steel未満と少ない場合、凝固殻の温度が上昇し、ロール間バルジングによる内部割れが発生する。一方、比水量が1.4L/kg-steelを超える場合、鋳片表面温度が低下し、矯正部14で温度が低下しやすいコーナー部が脆化することによって表面割れが生じる。
図1に示すように、ロールスタンド4に設置された支持ロール対40は、鋳片を挟んで互いに反対側に配置された基準側ロール41と反基準側ロール42とを有している。鋳造経路Pの一方側(鋳片の下側に対応)には複数の基準側ロール41が鋳造方向に並設され、鋳造経路Pの他方側(鋳片の上側に対応)には複数の反基準側ロール42が鋳造方向に並設されている。基準側ロール41及び反基準側ロール42は鋳片幅方向に2以上に分割され、分割位置に軸受箱が配置されている。
鋳造方向に隣り合う基準側ロール41,41の間には第1ミストノズル43が配置されている。また、鋳造方向に隣り合う反基準側ロール42,42の間には第1ミストノズル44が配置されている。第1ミストノズル43,44によって、スラブを比水量Q(0.8〜1.4L/kg-steel)で冷却している。本実施形態では第1ミストノズル43,44が配置された区間を「二次冷却帯」と呼ぶ。
第1ミストノズルから気水比0.10以下(質量比)のミストが噴霧される。気水比とは、ミストノズルに吹き込むエア量と水量の質量比である。低水量では、ノズル詰まり等のバラツキによって鋳片に噴霧される水量が変化する。気水比が0.10を超えると、ミスト冷却の熱伝達率が水量密度の変化の影響を大きく受けるため、正確な冷却制御が難しい。
図2には、ロールスタンド4の基準側の一例を示している。図2では、上流から下流に向かってロール(基準側ロール)31,32,33,34,35,36と付している。本実施形態では、これら6本の基準側ロールをロール群30と呼ぶ。
〈ロール群30〉
ロール群30は2分割された6本の基準側ロール31,32,33,34,35,36から構成されている。
ロール31は鋳片幅方向に並んだ2つのロール部31A,31Bを有している。2つのロール部31A,31Bの間には軸受箱が配置されている。軸受箱はロール部31A,31Bを回転自在に支持している。本実施形態では、軸受箱が配置された部分を軸受箱部31aと呼ぶ。
ロール32は2つのロール部32A,32Bを有し、2つのロール部32A,32Bの間には軸受箱が配置された軸受箱部32aが存在する。
軸受箱部31aと軸受箱部32aとは異なる幅方向範囲に配置され、いずれも鋳片の幅方向に重複しない。
ロール33,35はロール31と同様な構成であり、ロール34,36はロール32と同様な構成である。
ロール群30では、軸受箱部31a,33a,35aが同じ幅方向範囲に配置され、軸受箱部32a,34a,36aが同じ幅方向範囲に配置され、これらの軸受箱部が千鳥状に配置されている。
なお、各基準側ロールの両端にも軸受箱が配置されているが、図2ではこれらを省略している。
鋳造方向に隣り合う基準側ロール31と基準側ロール32と間には、7個の第1ミストノズル131a,131b,131c,131d,131e,131f,131gが鋳片幅方向に所定の間隔で並んでいる。第1ミストノズル131a,131b,131c,131d,131e,131f,131gは、軸受箱31a,32aと鋳造方向に重ならないように配置されている。
また、他の隣り合う2本の基準側ロールの間にも、7個の第1ミストノズルが鋳片幅方向に離隔して並んでいる。7個の第1ミストノズルは、それぞれ第1ミストノズル131a,131b,131c,131d,131e,131f,131gと同じ幅方向位置に配置されている。第1ミストノズルは、軸受箱部31a,32a,33a,34a,35a36aと鋳造方向に重ならないように配置されている。これらの第1ミストノズルは、図1の第1ミストノズル43,44に相当する。
本実施形態では、鋳造方向の所定の領域において、鋳片の所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された全ロール数に対する、その幅方向位置に軸受箱が存在するロールの数の比率を「軸受箱率g」とする。所定の幅方向位置において軸受箱部が存在しない場合、その幅方向位置ではg=0である。一方、所定の幅方向位置において軸受箱だけが存在する場合、その幅方向位置ではg=1である。
図2のロール群30では、
・軸受箱部31a,33a,35aに対応する鋳片幅方向範囲を「wA」とし、
・軸受箱部32a,34a,36aに対応する鋳片幅方向範囲を「wB」としたとき、
1)幅方向範囲wAの軸受箱率gが(3/6)=0.5であり、
2)幅方向範囲wBの軸受箱率gが(3/6)=0.5であり、
3)幅方向範囲wA,wBを除く幅方向範囲の軸受箱率gが0である。
例えば、連続鋳造機100に図2に示すロールスタンド4が10個並設されている場合、10個のロールスタンド4が配置された領域には、基準側に10個のロール群30が配置される。10個のロールスタンド4において、基準側では、所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された分割ロールの全数(6本×10)に対する、軸受箱が存在する分割ロールの数の比率を軸受箱率gは、ロール群30の軸受箱率gと同じであり、
1)幅方向範囲wAの軸受箱率gが(3/6)=0.5であり、
2)幅方向範囲wBの軸受箱率gが(3/6)=0.5であり、
3)幅方向範囲wA,wBを除く幅方向範囲の軸受箱率gが0である。
上記軸受箱部ではロールと鋳片が接触しないため、抜熱量が少なく、冷却不足となる。これにより軸受箱部の凝固がロール接触部(鋳片のロール部と接触する部分)の凝固より遅れ、軸受箱部の凝固完了位置がロール接触部より下流へずれる。このため軸受箱部に中心偏析が発生しやすい。
軸受箱率gが大きくなるにつれて、凝固完了位置が下流へ大きくずれやすい。そこで、軸受箱率gと凝固完了位置との関係を調べる実験を行った。
<実験1>
鋳造速度1.1m/min、比水量1.0L/kg−steelの鋳造条件で耐サワー鋼を鋳造し、各軸受箱率gの幅方向位置における凝固完了位置L(m)を以下の方法から算出した。
文献(J.Sengupta、M.Trinh、D.Currey and B.G.Thomas:AISTech2009 Proc. Vol.1,p1177)の記載に従い、鋳型出口から12m付近に配置されたロール間において、軸受箱率gが0〜0.446に相当する鋳片幅方向位置で幅25mm、長さ100mm、厚さ6mmの鉄片を落下させ、ロールと鋳片との間に噛みこませた。鋳片表面温度が高いため、常温の鉄片は鋳片表面を凹ませ、凝固殻に変形を生じさせる。これにより噛みこませた鉄片の位置に相当する凝固殻内面に、内部割れが発生する。凝固殻の強制変形により生じた内部割れ部では、凝固殻の先端で周囲の合金元素が濃化した残溶鋼が吸引され、偏析が形成される。
内部割れ部の発生箇所を調べるため、鋳造後の鋳片を切断し、切断面をピクリン酸、塩化第二銅及び表面活性剤からなる腐食液で腐食した。図3(写真)に示すように内部割れが発生した切断面で、鋳片表面から内部割れ発生の先端位置までの距離を測定することにより、凝固殻厚さD(mm)を測定した。なお、内部割れの先端位置は流動限界固相率0.7〜0.8程度とされているため、ここでいう凝固殻厚さDは固相率0.7の凝固殻厚さである。
「凝固殻厚さD(mm)」と「鉄片を噛みこませた時期(凝固開始からの経過時間)t(min)」の間には、以下の関係式が成立することが知られている。
D=K×(t0.5) ・・・(1)
(1)式と測定した「凝固殻厚さD(mm)」及び「鉄片を噛みこませた時期t(min)」から、凝固の進行度合いを示す凝固定数K(mm/min0.5)を求めた。
凝固完了位置L(m)は下記(2)式から算出される。
L=Vc×t ・・・(2)
(1)式からt=(D/K)2であり、凝固殻厚さD(mm)はD=W/2(Wは鋳片厚さ(mm))で表されるため、(2)式は以下の式で表される。
L=Vc×(D/K)2
=Vc×(W/2K)2 ・・・(3)
(3)式から、各軸受箱率gの幅方向位置における凝固完了位置L(m)を算出した。
軸受箱率g=0の凝固完了位置Lg=0(m)を0(m)とし、「Lg=0=0(m)と各軸受箱率gの凝固完了位置L(m)との差の絶対値」(凝固完了位置の差(mm))を算出した。図4には「凝固完了位置の差」と「軸受箱率g」の関係を示し、近似線を引いている。
図4から軸受箱率gが0.3未満では、凝固完了位置の差が小さい。このため軸受箱率gが0.3未満では、軸受箱による凝固遅れを考慮しなくてよいと考えられる。
一方、軸受箱率gが0.3以上では、凝固完了位置の差が急激に増加していることから、凝固完了位置が下流へ大きくずれ、中心偏析が発生しやすいと考えられる。
図5には偏析粒径と軸受箱率との関係を示している。図5から軸受箱率gが0.3未満では最大偏析粒径1.2mm未満であり、耐サワー鋼の品質を満たすが、軸受箱率gが0.3以上では最大偏析粒径が1.2mmを超え、耐サワー鋼の品質基準を満たさないことがわかった。
他の鋳造条件でも同様な実験を行ったところ、図4及び図5と同様な結果が得られた。
上記より、耐サワー鋼では、軸受箱率gが0.3以上の幅方向位置で凝固が大幅に遅れ、最大偏析粒径が1.2mmを超えることがわかった。そこで、本実施形態では、軸受箱率gが0.3以上の幅方向位置で冷却を強化し、この位置で凝固遅れが生じることを抑止する。これにより最大偏析粒径が1.2mm以内になるようにし、耐サワー鋼の品質基準を満たす鋳片を得る。
なお、軸受箱率gの上限は1.0であるが、軸受箱率が0.5を超えると、軸受箱部にバルジングが発生する虞があるため、軸受箱率が0.5を超える構成は一般的に用いられない。そこで本実施形態では、軸受箱率gが0.3以上0.5以下の幅方向位置で冷却を強化する。
例えば、図6に示すように、軸受箱率gが0.3≦g≦0.5の幅方向範囲wA,wBに第2ミストノズルを配置する。図6では、幅方向範囲wAに第2ミストノズル231,233,235を配置し、幅方向範囲wBに第2ミストノズル232,234,236を配置している。第2ミストノズル231,233,235は幅方向範囲wAに配置された軸受箱に隣り合うように配置されている。また、第2ミストノズル232,234,236は幅方向範囲wBに配置された軸受箱に隣り合うように配置されている。
第2ミストノズルから噴霧されるミストの気水比は、0.10以下(質量比)である。第2ミストノズルから噴霧される水量は、上述した第1ミストノズルから噴霧される比水量(0.8〜1.4L/kg-steel)に含まれない。
第1ミストノズル及び第2ミストノズルの制御は、ロールスタンド毎に設定及び変更することができる。
第2ミストノズルが設置されていない領域では(図2参照)、図7に示すように、第1ミストノズル131a,131b,131c,131d,131e,131f,131gから鋳片の基準面全面にミストが噴霧される。また、鋳片の反基準面にも第1ミストノズルからミストが噴霧される。第1ミストノズルにより、鋳片は、0.8〜1.4L/kg-steelの比水量Q(L/kg-steel)で冷却される。
一方、第2ミストノズルが設置された領域では、図8Aに示すように、基準側では、幅方向範囲wAに第1ミストノズル131c,131d及び第2ミストノズル231からミストが噴霧される。これにより幅方向範囲wAの冷却を他の幅方向位置(g=0の幅方向位置)より強化することができる。
また、幅方向範囲wB(基準側)でも、図8Bに示すように、第1ミストノズル131c,131d及び第2ミストノズル232からミストが噴霧される。これにより幅方向範囲wBの冷却を他の幅方向位置(g=0の幅方向位置)より強化することができる。
本実施形態では、基準側ロールと反基準側ロールの構成が同一であるため、反基準側でも基準側と同様な冷却が実施される。
ところで、鋳片が冷却されると凝固殻が徐々に厚くなり、ある程度の厚さになると、ミスト冷却を行っても凝固を促進させることが難しいと考えられる。そこでミスト冷却が効果的な凝固殻厚さを調べる実験を行った。
<実験2>
文献(J.Sengupta、M.Trinh、D.Currey and B.G.Thomas:AISTech2009 Proc. Vol.1,p1177)の記載に従い、実験1と同様な方法で凝固殻厚さDを測定した。実験2では、鋳型出口から10m付近に配置されたロール間において、鋳片幅中央付近の軸受箱率g=0.446に相当する位置で鉄片を落下させ、ロールと鋳片間に噛みこませた。
実験1と同様に、(1)式から、凝固の進行度合いを示す凝固定数K(mm/min0.5)を求めた。
D=K×(t0.5) ・・・(1)
得られた凝固定数Kと比水量の関係を図9に示す。図9から比水量が大きくなるにつれて、凝固定数Kが大きくなることがわかる。
(1)式を時間で微分すると、任意の凝固殻厚さにおける凝固速度(dD/dt)は下記式で表される。
dD/dt=K/(2t0.5
ここで、(1)式よりt0.5=D/Kであることから、下記(4)式が得られる。
dD/dt=K/(2t0.5
=K2/(2D) ・・・(4)
(4)式から凝固速度(dD/dt)を求めた。
図10には、凝固速度dD/dtと凝固殻厚さDの関係を示している。図10から各凝固殻厚さDにおける『「最大比水量(1.4L/kg-steel)の凝固速度」と「最小比水量(0.8L/kg-steel)の凝固速度」の差』(凝固速度差)を算出した。図11には、凝固速度差と凝固殻厚さDの関係を示している。
図10より凝固殻厚さDが増加するほど、凝固速度が急激に減少していることがわかる。また比水量が多いほど、凝固速度が速い。さらに図11から、凝固殻厚さDが増加するほど凝固速度差が小さくなることがわかった。特に凝固殻厚さDが100mmを超えると、凝固速度差が0.4mm/min以下であった。
上記から凝固殻厚さDが厚くなると、比水量を多くしても凝固速度は殆ど変らない、つまり比水量が凝固速度に影響しないことがわかった。これは、凝固殻厚さDが厚くなるほど凝固殻の熱抵抗が大きくなることで、内部の未凝固溶鋼から鋳片表面に向かう伝熱量が減少するためである。
そうすると凝固殻厚さDが100mmを超える領域では、ミスト冷却を強化しても、凝固を促進させることはできないと考えられる。そこで本実施形態では、凝固殻厚さDが100mm以内の領域において、ミスト冷却を強化する。
本実施形態では、凝固殻厚さDを鋳造方向に隣り合う2つのロールスタンド間で測定するため、凝固殻厚さDが100mmを超えたロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域Xでミスト冷却を強化する。これにより、凝固殻厚さDが100mm以内の領域においてミスト冷却を強化できる。なおミスト冷却は鋳型直下から開始されるため、領域Xの始端は鋳型直下である。
また軸受箱率gが大きいほど、凝固が遅れ、凝固殻が厚くなりにくい。本実施形態ではこのような位置の凝固遅れを抑止するため、凝固殻厚さDの測定は、凝固殻が最も厚くなりにくい幅方向位置、つまり鋳型直下から各ロールスタンド間までの領域において軸受箱率が最大の幅方向位置で行う。
例えば、「No.1のロールスタンドとNo.2のロールスタンド間」で凝固殻厚さDを測定する場合、No.1のロールスタンドの軸受箱率が最大の幅方向位置で凝固殻厚さDを測定する。図6に示すロールスタンドの場合、幅方向範囲wA及び幅方向範囲wBの軸受箱率が最大となるため、幅方向範囲wA内又は幅方向範囲wB内で凝固殻厚さDを測定する。
また、「No.2のロールスタンドとNo.3のロールスタンド間」で凝固殻厚さDの測定する場合、No.1のロールスタンドとNo.2のロールスタンドの軸受箱率が最大の幅方向位置で凝固殻厚さDを測定する。
また、領域Xで冷却を強化するのは、凝固が遅れる0.3≦g≦0.5の幅方向位置であるが、ミスト冷却による効果は領域Xで得られるため、領域Xの軸受箱率gが0.3≦g≦0.5の幅方向位置においてミスト冷却を強化する。これにより領域Xの終端において、鋳片幅方向の各位置において凝固の進行が上流側及び下流側へずれないようにすることができる。
以上より、鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの範囲で軸受箱率が最大となる幅方向位置において凝固殻厚さDを測定し、「鋳型直下から、凝固殻厚さDが100mmを超え且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域X」において、領域Xの軸受箱率gが0.3≦g≦0.5の幅方向範囲でミスト冷却を強化する。
例えば、鋳型直下のロールスタンドを鋳造方向にNo.1,No.2,No.3・・・としたとき、鋳造速度Vcが1.0m/min、比水量Qが1.0L/kg-steelの鋳造条件では、図12に示すように、「No.7のロールスタンドとNo.8のロールスタンド間」以降で凝固殻厚さDが100mmを超える。凝固殻厚さDが100mmを超えるロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いのは「No.7のロールスタンドとNo.8のロールスタンド間」であるため、「鋳型直下からNo.7のロールスタンドとNo.8のロールスタンド間までの領域」を領域Xとし(図13参照)、領域Xの0.3≦g≦0.5の幅方向位置でミスト冷却を強化する。
また、鋳造速度Vcが1.3m/min、比水量Qが1.0L/kg−steelの鋳造条件では、図12に示すように、「No.9のロールスタンドとNo.10のロールスタンド間」以降で凝固殻厚さDが100mmを超える。凝固殻厚さDが100mmを超えるロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いのは「No.9のロールスタンドとNo.10のロールスタンド間」であるため、「鋳型直下からNo.9のロールスタンドとNo.10のロールスタンド間までの領域」を領域Xとし(図13参照)、領域Xの0.3≦g≦0.5の幅方向位置でミスト冷却を強化する。
なお、図12では、軸受箱率g=0.446の凝固定数Kを用いて凝固殻厚さDを求めている。軸受箱率gが最大(g=0.446)の凝固定数Kは27.4mm/min0.5であるが、軸受箱率gが0の凝固定数Kは27.7mm/min0.5であり、わずかに異なる。
凝固定数Kによって凝固殻厚さDのほかに凝固完了位置を求めることができるが、凝固完了位置については、gが最大(g=0.446)の凝固定数Kを用いた場合と、gが最小(g=0)の凝固定数Kを用いた場合とで、1.3m/minの鋳造速度では0.7mの差が生じ、1.0m/minの鋳造速度では0.6mの差が生じる。したがって、凝固完了位置については凝固定数Kが及ぼす影響が大きい。
しかし、凝固殻厚さDについては、凝固殻厚さ100mm付近では、最大軸受箱率g(g=0.446)と最小軸受箱率g(g=0)で凝固殻厚さの差が1〜2mmと小さいため、凝固定数Kが及ぼす影響は小さい。このため軸受箱率g=0.446の凝固定数Kを用いても、軸受箱率gが0の場合と同程度の凝固殻厚さDが得られる。
ところで、鋳型直下では、鋳片が復熱し、鋳片表面温度は1100〜1200℃程度まで上昇するが、その後、二次冷却によって徐々に低下する。領域Xにも、復熱後の高温状態と二次冷却により温度が低下した状態とが存在し、各状態で二次冷却による鋳片表面の熱伝達率が異なると考えられる。そこで、鋳片表面温度と熱伝達率の関係を調べる実験を行った。
<実験3>
スプレーノズルによる鋳片表面の熱伝達率αw(kcal/m2・h・℃)は下記(5)式で示される(三塚正志、「鉄と鋼」、69(1983)2、P.268)。
αw=2.292×108・W0.616/θs2.445 ・・・(5)
ここで、W:水量密度(L/m2・min)
θs:鋳片表面温度(℃) である。
なお、本実施形態では水を噴霧するスプレーノズルでなく、水とエアが混合されたミストを噴霧するミストノズルを用いている。ミストノズルによる冷却熱の熱伝達率は水量により大きく変化するが、本実施形態では、気水比が0.10以下と低いため、ミストノズルの水量密度が70L/m2・min以下の場合、水量変化による影響が小さく、熱伝達率がスプレー冷却の熱伝達率と同程度であることが知られている(楢崎誠治ら、「鉄と鋼」、69(1983)、S922)。そこで、本実験ではスプレー冷却の熱伝達率αw((5)式)を用いた。
また、鋳片表面からの放射熱伝達率αγは(6)式で示される。
αγ=ε・σ・(Th2+T12)・(Th+T1) ・・・(6)
ここで、ε:放射率(ε=0.8)
σ:ステファン・ボルツマン定数(4.88×10-8kcal/m2・h・K4
Th:鋳片表面温度(K)
T1:スプレー水温(313K=40℃)
(5)式及び(6)式から、総合の熱伝達率αTを(7)式から算出することができる。
αT=αw+αγ ・・・(7)
図14には、総合の熱伝達率αTと鋳片表面温度との関係を示している。図14では、スプレー水量密度が20L/m2・min、30L/m2・min、40L/m2・minの3条件の結果を示している。図14から、鋳片表面温度950℃を境界に熱伝達率αTの傾向が異なることがわかった。鋳片表面温度が950℃を超えると、熱伝達率αTが殆ど変化しないが、鋳片表面温度が950℃以下では、鋳片表面温度の低下に伴い熱伝達率αTが増加している。
上記から「鋳片表面温度が950℃以下の領域」は「鋳片表面温度が950℃を超える領域」より熱伝達率が高くなるため、冷却されやすいことがわかる。そうすると、「鋳片表面温度が950℃以下の領域」をその上流の「鋳片表面温度が950℃を超える領域」と同じ条件で冷却すると、「鋳片表面温度が950℃以下の領域」が過冷却されるおそれがある。
「鋳片表面温度が950℃以下の領域」で0.3≦g≦0.5の幅方向位置が過冷却されると、g<0.3の幅方向位置の凝固が遅れ、g<0.3の幅方向位置に中心偏析が発生する。これによりg<0.3の幅方向位置の最大偏析粒径が1.2mmを超えるおそれがある。
そこで、領域Xを「鋳片表面温度が950℃を超える領域」と「鋳片表面温度が950℃以下の領域」に分け、各領域で冷却条件(水量密度)を規定する。
鋳片表面温度の測定には、放射温度計の先端に光ファイバーを取り付けた表面温度計等を用いることができる。本実施形態では、鋳造方向に隣り合う2つのロールスタンド間で鋳片表面温度を測定するため、鋳片表面温度が950℃以下となるロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いロールスタンド間を境界とし、このロールスタンド間より上流の領域と下流の領域とに分ける。これにより領域Xを「鋳片表面温度が950℃を超える領域」と「鋳片表面温度が950℃以下の領域」とに分けることができる。
また軸受箱率gが大きくなるほど、ロールとの接触が少なく、冷却されにくいため、鋳片表面温度が低下しにくく、凝固遅れが生じやすい。そこで、鋳片表面温度の測定は、鋳片表面温度が低下しにくい幅方向位置、つまり鋳型直下から各ロールスタンド間までの範囲において軸受箱率が最大の幅方向位置で行う。
以上より、鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの範囲で軸受箱率が最大となる幅方向位置において鋳片表面温度を測定し、「鋳型直下から鋳片表面温度が950℃以下となり且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域A」と「領域Aの下流端から凝固殻厚さDが100mmを超え且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域B」とに分け、それぞれ領域の冷却条件(水量密度)を規定する。
例えば、鋳造速度Vcが1.0m/min、比水量Qが1.0L/kg−steelの鋳造条件では、図15に示すように、「No.2のロールスタンドとNo.3のロールスタンド間」以降で鋳片表面温度が950℃以下となる。鋳片表面温度が950℃以下のロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いのは「No.2のロールスタンドとNo.3のロールスタンド間」であるため、「鋳型直下からNo.2のロールスタンドとNo.3のロールスタンド間までの領域」を領域Aとする。
また、領域Bの終端は領域Xの終端であり、図12及び図13に示すように、「No.7のロールスタンドとNo.8のロールスタンド間」である。したがって領域Bは、『「No.2のロールスタンドとNo.3のロールスタンド間」から「No.7のロールスタンドとNo.8のロールスタンド間」までの領域』である(図16参照)。
また、鋳造速度Vcが1.3m/min、比水量Qが1.0L/kg−steelの鋳造条件では、図15に示すように、「No.3のロールスタンドとNo.4のロールスタンド間」以降で鋳片表面温度が950℃以下となる。鋳片表面温度が950℃以下のロールスタンド間のうち、鋳型に最も近いのは「No.3のロールスタンドとNo.4のロールスタンド間」であるため、「鋳型直下からNo.3のロールスタンドとNo.4のロールスタンド間までの領域」を領域Aとする。
また、領域Bの終端は領域Xの終端であり、図12及び図13に示すように、「No.9のロールスタンドとNo.10のロールスタンド間」である。したがって領域Bは『「No.3のロールスタンドとNo.4のロールスタンド間」から「No.9のロールスタンドとNo.10のロールスタンド間」までの領域』である(図16参照)。
次に、領域Aと領域Bの水量密度QA,QBを決定するために行った実験を説明する。
(領域Aの水量密度QA、領域Bの水量密度QB
耐サワー鋼の品質基準(最大偏析粒径1.2mm以下)を満たす水量密度QA,QBを調べるため、以下の関係を調べた。
1)水量密度QBを一定とし、水量密度QAを変えたときの最大偏析粒径と水量密度QAとの関係
2)水量密度QAを一定とし、水量密度QBを変えたときの最大偏析粒径と水量密度QBとの関係
なお、水量密度QA,QBで冷却した幅方向位置は、領域A及び領域B(領域Aの上流端から領域Bの下流端)の軸受箱率gが各鋳造速度で最大となる0.444〜0.448の幅方向位置である。また1)及び2)の実験は、鋳造速度Vcが1.0m/min〜1.3m/min、比水量Qが0.8〜1.4L/kg-steelの条件で行った。
表1には、上記1)において耐サワー鋼の品質基準(最大偏析粒径1.2mm以下)を満たす実験結果を示している。表2には、上記2)において耐サワー鋼の品質基準(最大偏析粒径1.2mm以下)を満たす実験結果を示している。また、図17には1)及び2)の実験結果の一部を示している。
表1の最小水量密度QA.minは、最大偏析粒径1.2mm以下となった最小の水量密度QAであり、最大水量密度QA.maxは、最大偏析粒径1.2mm以下となった最大の水量密度QAである。
また、表2の最小水量密度QB.minは、最大偏析粒径1.2mm以下となった最小の水量密度QBであり、最大水量密度QB.maxは、最大偏析粒径1.2mm以下となった最大の水量密度QBである。
図18には、
I)各鋳造速度Vcにおける「最小水量密度QA.minと比水量Qの関係」及び「最大水量密度QA.maxと比水量Qの関係」
II)各鋳造速度Vcにおける「最小水量密度QB.minと比水量Qの関係」及び「最大水量密度QB.maxと比水量Qの関係」
を示している。
<水量密度QA>
図19には、上記I)の各鋳造速度Vc(Vc=1.0m/min,1.1m/min,1.2m/min,1.3m/min)における最大水量密度QA.maxと比水量Qとの関係を示している。各鋳造速度Vcで近似線を引くと、各鋳造速度Vcで2次関数の近似式(QA.max=a×Q2+b×Q+c)が得られた。
図20には、「i)近似式の2次の項aと鋳造速度Vcとの関係」、「ii)近似式の1次の項bと鋳造速度Vcとの関係」及び「iii)近似式の定数cと鋳造速度Vcとの関係」を示している。i)〜iii)のそれぞれで近似線を引くと、一次関数の近似式が得られた。i)〜iii)の一次関数の近似式をそれぞれ、最大水量密度QA.max=a×Q2+b×Q+cのa、b及びcに代入すると、以下の式が得られた。
A.max=(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(A1)
水量密度QA≦QA.maxのとき、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができる。
上記と同様な方法で、I)から最小水量密度QA.minを求めると、以下の式が得られた。
A.min=(41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2 ・・・(A2)
水量密度QA≧QA. minのとき、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができる。
(A1)式及び(A2)式から、領域Aにおいて、最大偏析粒径1.2mm以下にすることができる水量密度QAは以下の式で表される。
(41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2≦QA≦(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(α)
<水量密度QB>
水量密度QAと同様な方法で、図18のII)から最大水量密度QB.maxを求めると、以下の式が得られた。
B.max=(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(B1)
水量密度QB≦QB.maxのとき、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができる。
また、図18のII)から最小水量密度QB.minを求めると、以下の式が得られた。
B.min=(15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58 Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79 ・・・(B2)
水量密度QB≧QB. minのとき、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができる。
(B1)式及び(B2)式から、領域Bにおいて、最大偏析粒径1.2mm以下にすることができる水量密度QBは以下の式で表される。
(15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58 Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79≦QB≦(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(β)
以上より、鋳造方向に隣り合う2本の分割ロール間に配置された第1ミストノズルによって、スラブを比水量Q(0.8〜1.4L/kg-steel)で冷却するとき、
第1ミストノズルとは別に設けられた第2ミストノズルにより、
領域Aにおいて、軸受箱率g(領域A及び領域Bの軸受箱率g)が0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(α)式を満たす水量密度QAの冷却をさらに行い、
(41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2≦QA≦(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(α)
領域Bにおいて、軸受箱率g(領域A及び領域Bの軸受箱率g)が0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(β)式を満たす水量密度QBの冷却をさらに行う。
(15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58 Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79≦QB≦(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(β)
なお、水量密度QA及び水量密度QBは(α)式及び(β)式を満たす範囲で変更可能であり、実験から2〜70L/(m2・min)にすると(α)式及び(β)式を満たすことがわかった。
次に、上記冷却方法の具体例を説明する。図21及び図22にはロールスタンドの基準側の構成の一例を示している。
図21に示すように、A)No.1のロールスタンド(基準側)と、B)No.2のロールスタンド(基準側)と、C)No.3〜No.10のロールスタンド(基準側)とは、それぞれ異なる構成である。第1ミストノズル210は軸受箱300と鋳造方向に重ならないように配置され、第2ミストノズル220は軸受箱部300と鋳造方向に重なる位置に配置されている。第2ミストノズル220には色を付している。なお、C)No.3〜No.10のロールスタンド(基準側)では、異なる4箇所の幅方向範囲に軸受箱300が配置されているが、No.3〜No.10のロールスタンド(基準側)の軸受箱率gが0.3≦g≦0.5である幅方向範囲(2箇所)だけに第2ミストノズル220を配置している。
図22には、3)No.3〜No.10のロールスタンドの断面図(図21のII-II線に沿った図)を示している。図22では断面を示すハッチングを省略している。
(1)例えば、鋳造速度Vcが1.0m/min、比水量Qが1.0L/kg−steelの鋳造条件では、図16に示すように、領域Aと領域BにNo.1〜No.7の7個のロールスタンド4が配置されている。
領域Aの始端(鋳型直下)から領域Bの終端までの領域では、基準側において、49本(=6本+8本+7本×5)の基準側ロールが配置されているため、図21に示すように、
1)幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbでは、軸受箱率gが0.448(=22本/49本)であり、0.3≦g≦0.5である。
2)幅方向範囲wa及び幅方向範囲wb以外の幅方向範囲では、軸受箱率gが0.3未満である。
したがって領域Aの基準側では、No.1及びNo.2のロールスタンドに設置された第2ミストノズル220により、幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbを(α)式を満たす水量密度QAで冷却する。
また、領域Bの基準側では、No.3〜No.7のロールスタンドに設置された第2ミストノズル220により、幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbを(β)式を満たす水量密度QBで冷却する。
なお、領域A及び領域Bでは、第2ミストノズル220とは別に、第1ミストノズル210により鋳片の基準面全体を比水量Q(1.0L/kg−steel)で冷却している。
(2)鋳造速度Vcが1.3m/min、比水量Qが1.0L/kg−steelの鋳造条件では、図16に示すように、領域Aと領域BにNo.1〜No.9の合計9個のロールスタンド4が配置されている。
領域Aの始端(鋳型直下)から領域Bの終端までの領域では、基準側において、63本(=6本+8本+7本×7)の基準側ロールが配置されているため、図21に示すように、
1)幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbでは、軸受箱率gが0.444(=28本/63本)であり、0.3≦g≦0.5である。
2)幅方向範囲wa及び幅方向範囲wb以外の幅方向範囲では、軸受箱率gが0.3未満である。
したがって領域Aの基準側では、No.1〜No.3のロールスタンドに設置された第2ミストノズル220により、幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbを(α)式を満たす水量密度QAで冷却する。
また、領域Bの基準側では、No.4〜No.9のロールスタンドに設置された第2ミストノズル220により、幅方向範囲wa及び幅方向範囲wbを(β)式を満たす水量密度QBで冷却する。
なお、領域A及び領域Bでは、第2ミストノズル220とは別に、第1ミストノズル210により鋳片の基準面全体を比水量Q(1.0L/kg−steel)で冷却している。
上記では基準側(鋳片の下側に対応)について説明したが、反基準側についても同様な方法で冷却を実施する。基準側ロールと反基準側ロールの構成が同一である場合、反基準側でも基準側と同様な冷却を実施するとよい。
このように、本実施形態では、二次冷却帯においてスラブ全体を比水量Qで冷却し、さらに、復熱後の鋳片表面温度が高い「領域A」と領域Aより下流の「領域B」において、それぞれ、凝固遅れが生じやすい0.30≦軸受箱率g≦0.50の幅方向位置を水量密度QA,QBで冷却している。これにより、凝固遅れが生じやすい幅方向位置で凝固遅れが生じることを抑止できるため、スラブの幅方向全体に亘って中心偏析を低減できる。また、耐サワー鋼の品質基準(最大偏析粒径が1.2mm以下)を満足するスラブを鋳造することができる。これにより、HICの発生を抑止した耐サワー鋼を製造することができる。
なお、領域Aにおいて0.30≦軸受箱率g≦0.50の幅方向位置を第2ミストノズルにより水量密度QA+QBで冷却し、領域Bにおいて第2ミストノズルによる冷却を行わない場合、鋳片が領域Aを通過後、領域Bで復熱し、皮下割れが発生するおそれがある。
一方、領域Aにおいて第2ミストノズルによる冷却を行わず、領域Bにおいて0.30≦軸受箱率g≦0.50の幅方向位置を第2ミストノズルにより水量密度QA+QBで冷却した場合、鋳片が領域Bで急冷されることにより熱応力が発生し、割れが生じるおそれがある。
このように領域A及び領域Bの一方だけで冷却をより強化すると、鋳片に割れが生じ、品質が低下する。そこで領域Aでは水量密度をQAとし、領域Bでは水量密度をQBとする。
次に、上記知見を得るために行った実験を説明する。
水量密度QA,QB及び領域A,Bを変えたときの最大偏析粒径を調べた。
<実験条件>
図21及び図22に示すロールスタンドを備えた連続鋳造機を用いて、耐サワー鋼を鋳造した。表3には耐サワー鋼の成分を示している。ロールスタンドの基準側と反基準側は同じ構成である。
また中心偏析が発生しないように、表4に示す条件でスラブを圧下した。
その他の条件を下記に示す。
・浸漬ノズル:2孔型ノズル
・鋳型内寸法:短辺280mm×長辺2100mm
・ロール分割数:2〜3
・ロール径:150〜290mm
・ロールピッチ:180〜380mm
浸漬ノズル詰まり等の操業異常は発生しなかった。その他の鋳造条件は、当業者の常法通りの条件とした。
鋳造後、耐HIC性を評価するため、以下の方法で最大偏析粒径を測定した。
(1)幅W、厚さTのスラブ切断面において、幅方向両端からT/2を除く幅W−Tの範囲を#800まで研磨した。
(2)研磨面をピクリン酸(20g/L)、塩化第二銅(5g/L)及び表面活性剤(60ml/L)で腐食した。
(3)最大偏析粒径を下記の方法によって算出した。
(a)スラブの幅方向両端からT/2を除く幅W−Tの範囲を幅方向に16等分し、幅方向に約110mmの区間に区切った。各区間で、厚み中央から±15mmの範囲に存在する偏析粒の長径a及び短径bを、直尺を用いて目視で測定した(図23参照)。
(b)偏析粒の円相当径(粒径)dsを下記の式から算出した。
π×a/2×b/2(楕円面積)=π×(ds/2)2
ds=(a×b)0.5
(c)全区間の粒径dsのうち最大の粒径dsmaxを最大偏析粒径(偏析粒の最大径)とした。
上記最大偏析粒径から、下記の項目に基づいて鋳片を評価した。
総合評価〇:最大偏析粒径が1.2mm以下であり、耐サワー鋼の品質基準を満たす。
総合評価×:最大偏析粒径が1.2mmを超え、耐サワー鋼の品質基準を満たさない。
表5〜表12には、実験条件及び実験結果を示している。
表5〜表10の実験では、本発明の領域A及び領域Bを満たす領域で、水量密度QA,QBを変えた。表5〜表10には、本実施形態で説明した表1,2に示す実験が含まれている。
表11の実験では、スラブを比水量Qで冷却したが、本発明の領域A及び領域Bにおいて0.3≦g≦0.5の幅方向位置を水量密度QA,QBで冷却しなかった。
表12の実験では、領域A及び領域Bの範囲を変えた。
(領域Aの水量密度QA、領域Bの水量密度QB
表5〜10から、最大偏析粒径が1.2mm以下となる水量密度QAは下記(α)式を満たす範囲であることがわかった。
(41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2≦QA≦(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(α)
また、最大偏析粒径が1.2mm以下となる水量密度QBは下記(β)式を満たす範囲であることがわかった。
(15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58 Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79≦QB≦(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(β)
1)水量密度QAが(α)式の下限より少ない場合、及び2)水量密度QBが(β)式の下限より少ない場合は、軸受箱率gが0.3≦g≦0.5の幅方向位置が冷却不足となり、この幅方向位置で最大偏析粒径が1.2mmを超えた。
一方、1)水量密度QAが(α)式の上限より多い場合、及び2)水量密度QBが(β)式の上限より多い場合は、軸受箱率gが0.3≦g≦0.5の幅方向位置が過冷却されたため、g<0.3の幅方向位置で凝固が遅れた。これによりg<0.3の幅方向位置で、最大偏析粒径が1.2mmを超えた。
このように水量密度QAが(α)式を満たさない場合、及び水量密度QBが(β)式を満たさない場合は、g<0.3の幅方向位置又は0.3≦g≦0.5の幅方向位置で凝固が遅れ、中心偏析を低減できないことがわかった。
表11では、領域Aで水量密度QAをゼロとし、領域Bで水量密度QBをゼロとしたため、0.3≦g≦0.5の幅方向位置で冷却不足となり、最大偏析粒径が1.2mmを超えたと考えられる。
(領域A、領域B)
表12から、本発明の領域A及び領域Bを満たす領域で冷却を強化すると、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができた。一方、本発明の領域A及び領域Bの少なくとも一方を満たさない領域で冷却を強化しても、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができなかった。
例えば、実験No.401〜405,407,410では、水量密度QBで冷却を強化する領域が少なかったため、0.3≦g≦0.5の幅方向位置において冷却不足となった。
また、実験No.406,409では、水量密度QAで冷却を強化する領域が短かったため、0.3≦g≦0.5の幅方向位置において冷却不足となった。実験No.406,409では、水量密度QBで冷却する領域を上流側に長くしたが、最大偏析粒径を1.2mm以下にすることができなかった。
実験No.408では、水量密度QAで冷却を強化する領域が短く且つ水量密度QBで冷却を強化する領域が短かったため、0.3≦g≦0.5の幅方向位置において冷却不足となった。
また、上記実験において最大偏析粒径が1.2mm以下であった場合は、鋳片幅中央部に対して0.3≦g≦0.5の幅方向位置の最終凝固位置のずれを鋳造方向に±300mm以内にすることができた。
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
例えば、基準側ロールの構成と反基準側ロールの構成は同じでもよく、異なっていてもよい。また、基準側ロール及び反基準側ロールの構成やノズルの位置は図6及び図21に示すものに限られず、変更可能である。
また、図6では、第2ミストノズルを軸受箱に隣り合うように配置しているが、第2ミストノズルを傾斜させたり、ミストの噴霧方向を調整したりする等して、0.3≦軸受箱率g≦0.5の幅方向位置を第2ミストノズルによりさらに冷却することができれば、第2ミストノズルの位置は変更可能である。
本発明は、耐サワー鋼の鋳造に利用することができる。
1 タンディッシュ
2 浸漬ノズル
3 鋳型
4 ロールスタンド
6 溶鋼
31,32,33,34,35,36,41 基準側ロール
31A,31B,32A,32B,33A,33B,34A,34B,35A,35B,36A,36B ロール部
31a,32a,33a,34a,35a,36a 軸受箱部
40 ロール対
41 基準側ロール
42 反基準側ロール
43,44,131a,131b,131c,131d,131e,131f,131g,210 第1ミストノズル
100 連続鋳造機
220,231,232,233,234,235,236 第2ミストノズル

Claims (1)

  1. 鋳造方向に並設された複数のロールスタンドを備えたスラブ連続鋳造機によって、耐サワー鋼を、鋳造速度Vc1.0〜1.3m/min、比水量0.8〜1.4L/kg-steelの鋳造条件で製造する方法であり、
    前記ロールスタンドには、鋳片幅方向に2以上に分割されているとともに各分割位置に配置された軸受箱を有する複数の分割ロールが鋳造方向に並設され、
    所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された分割ロールの全数に対する、軸受箱が存在する分割ロールの数の比率を軸受箱率とし、
    鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの領域の軸受箱率が最大となる幅方向位置で鋳片表面温度を測定し、
    鋳型直下から、鋳片表面温度が950℃以下であり且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域を領域Aとし、
    鋳造方向に隣り合うロールスタンド間において、鋳型直下から各ロールスタンド間までの領域の軸受箱率が最大となる幅方向位置で凝固殻厚さDを測定し、
    前記領域Aの下流端から、凝固殻厚さDが100mmを超え且つ鋳型に最も近いロールスタンド間までの領域を領域Bとし、
    前記領域Aの上流端から前記領域Bの下流端までの領域において、所定の幅方向位置における、鋳造方向に並設された分割ロールの全数に対する、軸受箱が存在する分割ロールの数の比率を軸受箱率gとし、
    鋳造方向に隣り合う2本の分割ロール間に配置された第1ミストノズルによって、スラブを0.8〜1.4L/kg-steelの比水量Q(L/kg-steel)で冷却するとき、
    前記第1ミストノズルとは別に設けられた第2ミストノズルにより、
    前記領域Aにおいて、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(α)式を満たす水量密度QAの冷却をさらに行い、
    (41.03Vc−55.2)Q2+(−74.12Vc+97.09)Q+42.34Vc−40.2≦QA≦(189.51Vc−254.94)Q2+(−342.32Vc+448.43)Q+193.01Vc−183.18 ・・・(α)
    前記領域Bにおいて、軸受箱率gが0.30≦g≦0.50であるスラブの幅方向位置に、(β)式を満たす水量密度QBの冷却をさらに行うことを特徴とする鋼の連続鋳造方法。
    (15.82Vc−21.28)Q2+(−28.58Vc+37.44)Q+30.75Vc−29.79≦QB≦(81.22Vc−109.26)Q2+(−146.71Vc+192.18)Q+82.72Vc−78.51 ・・・(β)
    但し、前記第1ミストノズル及び前記第2ミストノズルの気水比は、質量比で0.10以下である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109967711A (zh) * 2018-08-27 2019-07-05 中冶赛迪工程技术股份有限公司 一种连铸机二次冷却区水流密度分布在线检测方法

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