JP4458796B2 - 連続鋳造装置 - Google Patents
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Description
この2次冷却は、主にスラブ断面の長辺側に対して冷却水をスプレーノズルを用いて噴射したりすることで行われるが、短辺側(スラブ狭面)は、バルジング防止目的のため、鋳型直下のわずかな距離(例えば、溶鋼メニスカスから約2m)だけが冷却水での冷却となっており、その後はほとんど空冷となる場合が多かった。
前記水平割れとは、スラブ内部で且つスラブ狭面近傍の上面側に発生する水平方向に発生した割れやクラックのことであり、製品の内部欠陥となるものであった。 かかる水平割れ発生を押さえる技術としては、例えば、特許文献1に記載されたものがあった。この技術は、スラブ狭面の2次冷却が進み、狭面の肉厚が厚くなっても効果的な冷却を行うために、スラブ移送方向下流側に行くにしたがって、冷却スタンドから吹き付けられる冷却水の流量を順次多くするようにするものであった。
この皮下割れは水平割れと同様に製品の欠陥となり、発生を抑制する必要があるものである。
すなわち、本発明における課題解決のための技術的手段は、鋳型から連続的に溶鋼を引き抜きつつスラブを鋳造すると共に、スラブの移送方向に連続して配置された複数の冷却スタンドで前記スラブの狭面に冷却水を吹き付けて冷却を行う連続鋳造装置において、前記鋳型直下に配備された第1〜第4番目の冷却スタンドは、スラブの狭面を冷却しその凝固を促進させる狭面冷却手段であり、第5番目の冷却スタンドは、スラブ内部からの復熱によるスラブ狭面の温度上昇を240度以下とすべくスラブ狭面を徐冷する狭面徐冷手段であって、前記狭面冷却手段は、スラブ移送方向に式(1)で算出される長さLを有し、前記狭面冷却手段である第1〜第4番目の冷却スタンドから吹き付けられる冷却水量は20(l/min/m 2 )以上であり、且つ第1番目の冷却スタンドの冷却水量が最大であり、前記狭面徐冷手段である第5番目の冷却スタンドの冷却水量は、第4番目の冷却スタンドと同程度又はそれ以下であることを特徴とする。
なお、前記第1〜第5番目の冷却スタンドは、各冷却スタンドの冷却水量が順次減少するように設定されており、前記第2冷却スタンドの冷却水量は44(l/min/m2)、第3冷却スタンドの冷却水量は36(l/min/m2)、第4冷却スタンドの冷却水量は29(l/min/m2)、第5冷却スタンドの冷却水量は22(l/min/m2)であることが好ましい。
連続鋳造装置は、図1に示すように、溶鋼1を一時的に蓄え、鋳型3へ注入するタンディッシュ2と、鋳型3と、鋳型3から出たスラブ4を冷却する複数の冷却スタンドC1〜CNと、スラブ4を支えつつ移送する複数のサポートロール6とを有している。
取鍋により運ばれてきた溶鋼1は前記タンディッシュ2に注がれ、タンディッシュ2の底にある浸漬ノズル7によって流量をコントロールされつつ鋳型3に注入される。鋳型3では溶鋼1が冷却(1次冷却)され、その表面部のみが凝固した状態のスラブ4となって、鋳型3下部から引き抜かれるようになる。
前記鋳型3の直下から、引き抜かれるスラブ4に沿って、スラブ4に冷却材(冷却水)9を吹き付けることでスラブ4表面の冷却を行う冷却手段が設けられている。この冷却手段は、スラブ長辺5を冷却する広面冷却手段10Aと、スラブ短辺8を冷却する短辺冷却手段10Bとを有している。
前記狭面冷却手段11は、冷却水9をスラブ狭面8に噴射することで冷却し、スラブ狭面8の凝固を促進させることでその強度を増し、スラブ狭面8近傍に発生する水平割れ13を防ぐ作用を奏するものとなっている。
水平割れ13とは、図3に示す如く、スラブ4内部且つ狭面近傍に発生する割れやクラックのことであり、スラブ4内部に存在する高温の液状溶鋼1のヘッド差(溶鋼静圧)に起因して、スラブ長辺5は板厚方向に膨らむことになり、スラブ狭面8には上下方向をむく内部応力16が発生し、その応力により水平方向の割れが生じるものとなっている。
一方、前記狭面徐冷手段12は、狭面冷却手段11より冷却能力を押さえたものであって、スラブ狭面8に対して徐々に冷却を行うものである(クールダウン冷却)。これにより、スラブ4内部からの復熱によるスラブ狭面8の温度上昇を抑制する働きを奏するものである。
このように、スラブ狭面8の冷却をある点から急に止めることをせず、狭面徐冷手段12により徐々に狭面冷却を行うことで、スラブ4内部からの復熱によるスラブ狭面8の再膨張を防ぎ、この再膨張に起因する皮下割れ14の発生を抑制することができるようになる。
以上述べた、狭面冷却手段11、及び狭面徐冷手段12のスラブ4移送方向で必要とされる範囲、すなわちスラブ狭面8を冷却する長さや徐冷する範囲は、以下のように決定される。
本願発明者らは、数々の数値実験や実機での実験を行った後、有害な水平割れ13の発生起点をスラブ狭面8の表面から70mm以上の深さとすることで、最終的に問題とはならない水平割れ13となることを発見した。従って、水平割れ13を抑制することを目的とした狭面冷却の範囲すなわち狭面冷却手段11の長さLは、スラブ狭面8の凝固シェル厚みが70mm以上となる位置までとすればよい。
狭面冷却手段11での冷却水9の水量は、20(l/min/m2)以上が好ましく、狭面冷却手段11の上流側の水量が最大であって、下流に行くにしたがって徐々に水量が減っていくように設定しておくことが好ましい。スラブ狭面8の最低温度で考えた場合、図4に示すように、750℃〜650℃であると好ましい。
また、狭面徐冷手段12の設置長さは、スラブ4内部の溶鋼1からの復熱によるスラブ狭面8の温度が240℃より上昇しないようなものとするとよいことを、本願発明者は見いだしている(図4参照)。具体的には、狭面徐冷手段12は約2m以上あればよく、冷却水量は狭面冷却手段11と同程度かそれ以下であることが好ましい。
かかる「第m」は、式(1)で求められた長さLを基にして決定されるものであって、例えば、L=6(m)と算出され、各冷却スタンドC1〜CNの長さが2mである場合には、m=3すなわち第3冷却スタンドC3までが狭面冷却手段11となる。
前記「N」は、復熱によるスラブ狭面8の温度上昇を240℃以下とするように決定され、例えば、N=5の場合は、第4、第5冷却スタンドC4,C5が狭面徐冷手段12となる。
本実施例にかかる連続鋳造装置は、図1に示すようなものであって、各冷却スタンドC1〜C5はそれぞれ長さ2m前後である。
式(1)に、当該連続鋳造装置での実績値であるVc=1.2(m/sec),K=26を入れて計算を行うと、狭面冷却手段11の長さLは8.7(m)となり、狭面冷却手段11に対応する冷却スタンドは第1〜第4冷却スタンドC1〜C4となっている(m=4)。なお、各冷却スタンドC1〜C5の溶鋼メニスカス15からの距離は図5に示すとおりとなっている。
第2冷却スタンドC2の水量は、略44(l/min/m2)、第3冷却スタンドC3は略36(l/min/m2)、第4冷却スタンドC4は略29(l/min/m2)の水量であって、スラブ狭面8の冷却を行うことでシェルを凝固させ、水平割れ13の発生を防止するようにしているものである。
以上述べた本実施例は、図5においてケース(vi)に相当するものであって、ケース(i),ケース(ii)と比較して皮下割れ14も発生しておらず、水平割れ13の発生に対する評価(水平割れ13が発生しているか、発生していてもその長さは小さいか)は非常によいものとなっている。
図7は、複数の中炭素鋼スラブI〜IIIを連続鋳造した場合に、発生した水平割れ13の総長さを示したものである。それぞれの中炭素鋼スラブI〜IIIにおいて、スラブ狭面冷却を行った際に発生した水平割れ13の総長さが、行わないものより明らかに短くなっており、スラブ狭面冷却により内部欠陥が少ない良好な製品が製造されていることがわかる。
図8は、複数の中炭素鋼スラブI〜IIIの連続鋳造において、発生した水平割れ13の最大長さを示したものであり、中炭素鋼スラブIIIにおいては、スラブ狭面冷却の有無による大きな差異は見られないものの、中炭素鋼スラブI,IIにおいては、狭面冷却を行った際の水平割れ13最大長さが、狭面冷却を行わないものより明らかに短くなっており、内部欠陥が少ない良好な製品が製造されていることがわかる。
例えば、狭面徐冷手段12は必ずしも第6冷却スタンドC6までとする必要はなく、第7,第8冷却スタンドまで延長して設けてもよい。
また、スラブ4としては中炭素鋼を例示しているが、その材質は限定されるものではなく、連続鋳造装置で鋳造される鋼材はビレットやブルーム形状であっても何ら問題はない。
また、狭面徐冷手段12、すなわちそれに対応する冷却スタンドCNの冷却水量は、鋳造されるスラブ4の条件により適宜異なっても何らかまわない。
4 スラブ
8 スラブ狭面
9 冷却水
11 狭面冷却手段
12 狭面徐冷手段
13 水平割れ
14 皮下割れ
C1〜CN 第1〜第N冷却スタンド
Claims (2)
- 鋳型から連続的に溶鋼を引き抜きつつスラブを鋳造すると共に、スラブの移送方向に連続して配置された複数の冷却スタンドで前記スラブの狭面に冷却水を吹き付けて冷却を行う連続鋳造装置において、
前記鋳型直下に配備された第1〜第4番目の冷却スタンドは、スラブの狭面を冷却しその凝固を促進させる狭面冷却手段であり、第5番目の冷却スタンドは、スラブ内部からの復熱によるスラブ狭面の温度上昇を240度以下とすべくスラブ狭面を徐冷する狭面徐冷手段であって、
前記狭面冷却手段は、スラブ移送方向に式(1)で算出される長さLを有し、
前記狭面冷却手段である第1〜第4番目の冷却スタンドから吹き付けられる冷却水量は20(l/min/m 2 )以上であり、且つ第1番目の冷却スタンドの冷却水量が最大であり、
前記狭面徐冷手段である第5番目の冷却スタンドの冷却水量は、第4番目の冷却スタンドと同程度又はそれ以下であることを特徴とする連続鋳造装置。
- 前記第1〜第5番目の冷却スタンドは、各冷却スタンドの冷却水量が順次減少するように設定されており、
前記第2冷却スタンドの冷却水量は44(l/min/m 2 )、第3冷却スタンドの冷却水量は36(l/min/m 2 )、第4冷却スタンドの冷却水量は29(l/min/m 2 )、第5冷却スタンドの冷却水量は22(l/min/m 2 )であることを特徴とする請求項1に記載の連続鋳造装置。
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JP2003301976A JP4458796B2 (ja) | 2003-08-26 | 2003-08-26 | 連続鋳造装置 |
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