JP7332870B2 - 鋳片の引抜方法 - Google Patents
鋳片の引抜方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7332870B2 JP7332870B2 JP2019151318A JP2019151318A JP7332870B2 JP 7332870 B2 JP7332870 B2 JP 7332870B2 JP 2019151318 A JP2019151318 A JP 2019151318A JP 2019151318 A JP2019151318 A JP 2019151318A JP 7332870 B2 JP7332870 B2 JP 7332870B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- roll gap
- casting
- roll
- slab
- region
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Continuous Casting (AREA)
Description
1.トップブリード防止を目的とするために、鋳造終了後のロール間隔を拡大する技術を採用する先行技術(特許文献3、4)においては、未凝固溶鋼のトップブリードを十分に防止できるのであるが、同時に成品欠陥の原因となるパウダーやスラグの巻込みが生ずることがある。
2.本発明者は上記した2つの現象が異なったメカニズムで発生するのではなく、鋳込終了後にロール間隔を拡大することにより、未凝固溶鋼が鋳造方向の下流部へ吸い込まれる効果によって生じていることを知見し、さらにロール間隔の拡大量を調整すれば、未凝固溶鋼のトップブリードを防止できるとともに、成品欠陥の原因となるパウダーやスラグの巻込みを生じない程度の吸引効果を得る可能性があることを想到した。
3.しかしながら、上記可能性を求めるために、トップブリードを防止できる条件として先行技術に記載される範囲を単純に狭めることは、操業変動に対応できない可能性があるため、安定な技術とはいえないと考えた。
4.そこで、本発明者は、ロール間隔を拡大すべき範囲におけるすべてのロール間隔を一斉に拡大するのではなく、鋳込終了後に鋳片を引抜く過程で、鋳片引抜に応じてロール間隔を段階的に拡大することでも、トップブリードの防止効果を奏するであろう事を想到した。また、これにより吸込効果を制御できるため、パウダーやスラグの巻込防止も可能であることにも想到した。
5.吸引効果制御のためのロール間隔拡大量の調整は、ロール間隔拡大領域の数及びロール間隔拡大量の少なくとも一方のみでも効果があり、併用するとさらに効果を有することにも想到した。
具体的には、まず、レードル(不図示)から供給された溶鋼20は、タンディッシュ11を介して浸漬ノズル12から鋳型13内に注入される。この際、注入された溶鋼20の外周は水冷されている鋳型13に接触しているため、溶鋼20の外周部には凝固シェル21が形成する。次いで、外側に凝固シェル21が形成された溶鋼20(未凝固鋳片22)は、上下1対に配置された複数のロール14によって支持され、鋳造方向の下流側へ移動しつつ、ロール14の間に設置された二次冷却スプレー(不図示)から噴射されるスプレー水により冷却される。そして、溶鋼20は完全に凝固して鋳片30となり、ピンチロール15により連続鋳造機10から引き抜かれる。
「トップブリード」とは、凝固収縮による溶鋼の絞り出しやバルジング部の圧下によって鋳片最後端から溶鋼が漏れることである。ボトム漏鋼とも称する。
「パウダー」とは、鋳型13内へ注入された溶鋼表面上へ添加され、主として、(1)鋳型と凝固シェル間の潤滑、(2)浮上してきた鋼中介在物の吸収除去、(3)溶鋼の保温、及び、(4)溶鋼の酸化防止の役割を果たす。
「スラグ」とは、脱酸材投入時に生成する脱酸生成物、タンディッシュ内で再酸化することで発生する再酸化生成物およびタンディッシュ内に持ち込まれた取鍋スラグの総称である。
鋳片の引抜方法1は、鋳込終了後におけるトップブリードの防止及びパウダーやスラグの巻込防止を目的とし、連続鋳造における鋳込終了後に連続鋳造機10内のロール間隔を定常鋳造時のロール間隔から拡大する鋳片の引抜方法であって、鋳込終了前に連続鋳造機10内に複数のロール間隔拡大領域を設定するロール間隔拡大領域設定工程S1(以下において、単に「ロール間隔拡大領域設定工程S1」ということがある。)と、鋳込終了後にロール間隔拡大領域のロール間隔を鋳造方向の上流側から下流側に向かって順次拡大するロール間隔拡大工程S2(以下において、単に「ロール間隔拡大工程S2」ということがある。)と、を有することを特徴とする。
「ロール間隔」とは、上下1対のロール14の間の間隔を言い、定常鋳造時においては、鋳片の厚さに相当する。換言すれば、上ロールと下ロールとの軸中心間の距離から各ロールの半径を差し引いたものである。
nの上限はロール間隔拡大領域の数に対応する。
ロール間隔拡大領域設定工程S1では、鋳込終了前に連続鋳造機10内に複数のロール間隔拡大領域を設定する。
「鋳造方向距離」とは、ロール14の軸中心間の距離の中点を通る線に沿った長さである。
なお、鋳込終了後の初期においてはトップブリードが発生しやすいので、ロール間隔拡大開始時(n=1)にロール間隔の拡大を行うロール間隔拡大領域の鋳造方向長さLは、上記範囲内で大きい値がよい。具体的には5.0m≦L≦6.0mである。これにより、引け巣を十分に確保できるため、トップブリードがさらに抑制される。
ロール間隔拡大工程S2では、鋳込終了後にロール間隔拡大領域のロール間隔を鋳造方向の上流側から下流側に向かって順次拡大する。この際、ロール間隔拡大工程S2は次の条件を満たす。
「メニスカス」とは、鋳型13内の溶鋼湯面のことである。一般的に、単位時間に供給される溶鋼の量は、浸漬ノズル12によって一定になるように制御される。そのため、メニスカスの位置は、定常鋳込開始時から鋳込終了時までは同じであり、鋳込終了時から下がっていく。
T1が200mm≦T1≦2000mmの範囲を満たすことがよい。Tn+1-Tnが200mm≦Tn+1-Tn≦2000mmの範囲を満たすことがよい。A1が1.0m≦A1≦6.0mの範囲を満たすことがよい。An+1-Anが1.0m≦An+1-An≦6.0mの範囲を満たすことがよい。これらの条件のうち少なくとも1つを満たすことにより、トップブリード防止効果及びパウダー等の巻込み防止効果が向上する。
「Tn+1-Tn」とは、ある時点nにおけるロール間隔を拡大したときの鋳片後端部の位置から次の時点n+1におけるロール間隔を拡大したときの鋳片後端部の位置まで長さを表しており、言い換えると、ロール間隔を拡大する鋳片引抜長の間隔(ピッチ)である。
「鋳片引抜長」とは、鋳込終了時以降に引き抜かれた鋳片の長さである。連続鋳造機10では、連続鋳造鋳片の切断に際して、切断装置の上流側近傍にメジャーリングロールを設置して、鋳片とメジャーリングロールを接触させ、鋳片の通過した長さをメジャーリングロールの回転数で検知して計測している。この計測により、鋳片引抜長だけでなく連続鋳造操業全般にわたって、鋳片の長さが管理されている。
鋳造に用いた溶鋼は、質量%でC:0.06~0.54%、Si:0.01~1.00%、Mn:0.22~2.48%、P:0.028%以下、S:0.0077%以下を含有し、残部をFe、その他添加元素Nb、B、Crおよび不可避的不純物からなる組成の溶鋼である。
鋳造条件は、鋳片厚250mm、鋳片幅520~2300mm、溶鋼過熱度16~53℃、鋳造速度0.80~1.20m/min、引抜速度0.90~1.10m/minとした。
また、ロール間隔拡大領域の数は本実施例および比較例ともに同等とし、トップセグメント(鋳型に最も近いセグメント)およびベンディングユニット(垂直部から曲げ部への境界を含むセグメント)を除いたセグメントをロール間隔拡大領域に使用した。
また、ロール間隔拡大開始時にロール間隔を拡大するロール間隔拡大領域の鋳造方向距離Lを5.5mとし、それ以外のロール間隔拡大領域の鋳造方向距離Lを1.8~2.0mの範囲とした。
さらに、全てのロール間隔拡大領域のロール間隔の拡大量は4mmとした。
一方で、比較例では、従来方法に準じて鋳片引抜長が500mmとなった時点で全てのロール間隔拡大領域のロール間隔を4mm拡大させたこと以外は、本実施例と同様の条件を用いて鋳片の引抜を行った。
なお、本実施例及び比較例において、それぞれ10サンプルずつの鋳片を製造した。
製造された全ての鋳片について、トップブリードの有無を評価した。
また、材質等を同条件として、本実施例、比較例により製造された鋳片について、鋳込終了後のロール間隔拡大による未凝固溶鋼の吸込効果を検証した。吸込効果の検証は、鋳片のボトムクロップ(鋳片の最後端部であって、引け巣などの存在により製品に使用できずに切り捨てられる部分)を長手方向に切断し、一次引け巣の深さ(mm)を測定して、これらを比較した。結果を図3に示した。図3の縦軸は一次引け巣の深さであり、横軸は鋳片の幅方向の位置である。鋳片の幅をWとしたとき、鋳片の幅方向の一方端Sから他方端Nまでの1/4Wずつの点を評価している。
さらに、本実施例、比較例により製造された厚板品種における成品について、超音波探傷試験(UT:Ultrasonic Testing)を実施し、内部品質を評価した。超音波探傷試験により不良と判定された比率(不良判定数/検査数)をUT不良率とした。
11 タンディシュ
12 浸漬ノズル
13 鋳型
14 ロール
15 ピンチロール
20 溶鋼
21 凝固シェル
22 未凝固鋳片
30 鋳片
Claims (7)
- 連続鋳造における鋳込終了後に連続鋳造機内のロール間隔を定常鋳造時のロール間隔から拡大する鋳片の引抜方法であって、
鋳込終了前に前記連続鋳造機内に複数のロール間隔拡大領域を設定するロール間隔拡大領域設定工程と、
鋳込終了後に前記ロール間隔拡大領域のロール間隔を鋳造方向の上流側から下流側に向かって順次拡大するロール間隔拡大工程と、を有し、
前記ロール間隔拡大工程において、前記ロール間隔拡大領域のロール間隔を拡大する時点を表す1以上の自然数をnとし、n=1をロール間隔拡大開始時として、前記ロール間隔拡大開始時(n=1)に鋳造方向の最も上流側のロール間隔拡大領域のロール間隔を拡大し、nが大きくなるにつれて、ロール間隔が拡大されていないロール間隔拡大領域のうち、最も上流側のロール間隔拡大領域のロール間隔を順次拡大し、
前記ロール間隔拡大領域設定工程において、
前記ロール間隔拡大領域の鋳造方向距離Lをそれぞれ1.0m≦L≦6.0mの関係を満たすように設定し、かつ、
前記ロール間隔拡大開始時にロール間隔を拡大する前記ロール間隔拡大領域を、固相率Sが30%≦S≦60%の関係を満たす溶鋼を圧下する位置に設定し、
前記ロール間隔拡大工程において、
鋳込終了時から前記ロール間隔拡大領域のロール間隔が拡大する時点までの鋳片引抜長TnはTn<Tn+1の関係を満たし、
前記定常鋳造時のメニスカスの位置からロール間隔が拡大する前記ロール間隔拡大領域までの鋳造方向距離AnはAn<An+1の関係を満たし、かつ、
前記定常鋳造時のロール間隔から拡大する前記ロール間隔拡大領域のロール間隔の拡大量Wは1.0mm≦W≦4.0mmの関係を満たす、
鋳片の引抜方法。 - Tn+1-Tnは200mm≦Tn+1-Tn≦2000mmの関係を満たす、請求項1に記載の鋳片の引抜方法。
- A1は1.0m≦A1≦6.0mの関係を満たす、請求項1又は2に記載の鋳片の引抜方法。
- T1は200mm≦T1≦2000mmの関係を満たす、請求項1~3のいずれか1項に記載の鋳片の引抜方法。
- An+1-Anは1.0m≦An+1-An≦6.0mの関係を満たす、請求項1~4のいずれか1項に記載の鋳片の引抜方法。
- 前記ロール間隔拡大領域設定工程において、前記ロール間隔拡大領域は前記連続鋳造機のセグメント単位で設定される、請求項1~5のいずれか1項に記載の鋳片の引抜方法。
- 前記ロール間隔拡大工程において、前記鋳片の引抜の停止及び前記鋳片の鋳造方向の下流側の端部であるボトム部の処理作業を実施しない、請求項1~6のいずれか1項に記載の鋳片の引抜方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019151318A JP7332870B2 (ja) | 2019-08-21 | 2019-08-21 | 鋳片の引抜方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019151318A JP7332870B2 (ja) | 2019-08-21 | 2019-08-21 | 鋳片の引抜方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021030254A JP2021030254A (ja) | 2021-03-01 |
JP7332870B2 true JP7332870B2 (ja) | 2023-08-24 |
Family
ID=74674631
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019151318A Active JP7332870B2 (ja) | 2019-08-21 | 2019-08-21 | 鋳片の引抜方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7332870B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000288696A (ja) | 1999-04-09 | 2000-10-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 薄鋳片連続鋳造の鋳造終了方法 |
JP2009136908A (ja) | 2007-12-07 | 2009-06-25 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 連続鋳造における鋳込終了後の鋳片の引抜方法 |
Family Cites Families (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3186631B2 (ja) * | 1997-02-28 | 2001-07-11 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造における一定速引抜鋳込終了方法 |
JP3114679B2 (ja) * | 1997-11-28 | 2000-12-04 | 住友金属工業株式会社 | 連続鋳造方法 |
-
2019
- 2019-08-21 JP JP2019151318A patent/JP7332870B2/ja active Active
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2000288696A (ja) | 1999-04-09 | 2000-10-17 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 薄鋳片連続鋳造の鋳造終了方法 |
JP2009136908A (ja) | 2007-12-07 | 2009-06-25 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 連続鋳造における鋳込終了後の鋳片の引抜方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2021030254A (ja) | 2021-03-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6115735B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP7332870B2 (ja) | 鋳片の引抜方法 | |
JP2001259810A (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP5018441B2 (ja) | 連続鋳造における鋳込終了後の鋳片の引抜方法 | |
JPH0671389A (ja) | 水平連続鋳造法 | |
JP6852798B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP3402251B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP3111954B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP3402291B2 (ja) | 連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法 | |
JP3633573B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP3104627B2 (ja) | 丸ビレットの未凝固圧下製造方法 | |
JP4459089B2 (ja) | 連続鋳造装置 | |
JP7273307B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP2001334353A (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP2532306B2 (ja) | 連続鋳造法 | |
JP7234785B2 (ja) | 鋳込終了制御方法 | |
JP2001259809A (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP7371821B1 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP4285288B2 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
WO2024004364A1 (ja) | 鋼の連続鋳造方法 | |
JP3876768B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP3275828B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JP3055462B2 (ja) | 連続鋳造方法 | |
JPH04313453A (ja) | 連続鋳造法 | |
JP2010269328A (ja) | 連続鋳造鋳片の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220407 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20230202 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20230221 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230410 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230711 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230724 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7332870 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |