JP6085054B1 - 鋼の連続鋳造圧延方法 - Google Patents
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Abstract
Description
ブルームやビレットの製造方法には2種が併存している。それぞれ連続鋳造によって製造される。一方は高炉が立地するような大規模製鋼工場においてなさされ、一旦大断面ブルームに鋳造しその後分塊圧延により所望寸法のブルームやビレットに成形する。
他方はニアネットシェイピングであって、所望寸法のブルームやビレットを直接連続鋳造によって得る。
1)製品の延靭性が向上する、
2)表面欠陥が薄くなる、
3)欠陥の延伸により探傷・除傷が容易になる。
問題は、
1)分塊圧延設備を初め加熱炉、連続鋳造設備それぞれ大型になり建設費が巨額であり中小規模の鉄鋼事業には適さない。
2)多品種少量生産には非効率になる。
品質が特に優先される量産特殊鋼の工場でも前者の方法が採用されていて、多様な設備を保有し、種々の設備を組み合わせて少量多品種に対応している。
問題は、表面欠陥・芯部欠陥等に関して品質に劣る。従って中級品以下の鋼種を対象に適用されている。
1)どの鉄鋼メーカーにおいても製鋼と圧延は一体になっていて圧延専業はほとんど消滅し、量のまとまった需要家は多くない。
2)製品規格は世界共通的であっても素材は各社各様である。製鋼能力の不足や自社の一部製品の素材品質に問題があって外部から鋼片を調達する場合、逆に製鋼の余剰を外販する場合、それぞれ価格上は納得しても鋼片寸法(断面・長さ)はたいてい間尺に合わない。
3)素材品質は原料・製鋼方法により微妙に異なる。低級品には双方容易に対応しても高級品はもめ事が多い。最終顧客への品質保証にも問題が。
以上から鋼片の需要は国際的に手堅いものがあるものの多品種少量になる傾向があり、高品質で多様な鋼片が一般価格で供給されることが期待されている。
特許文献1(先行例1)にはスラブからブルーム又はビレットを製造する例が見られる。それによるとスラブ状の連続鋳造鋳片を引き抜き、インラインのサイジングプレスによって幅を圧下し厚さを増加させ、方形のブルーム又はビレットに成形する。適用される原理は以下である。
プレス加工において圧下歪みは延伸と拡幅に分配される。圧下に際して金型と被加工材との間の摩擦は表層部の変形を抑制するように作用する。接触長さが大きい方向には塑性流れが少なく短い方向には流れ易い。従って金型アスペクト比(=軸方向接触長さ/幅方向接触長さ)が大きくなるほど延伸分が少なく、拡幅分が多くなる。定量的関係式は開示されている。当該方式では適切な寸法の金型を設定することにより1種の厚さのスラブから広範な寸法のブルーム又はビレットが得られる。
第2に、圧下により拡幅が発生する。スラブ厚さは製品厚さより小さくしなければならない。小断面ビレットには薄スラブ(110mm未満)が必要で製品寸法に対応して数種の寸法のスラブが必要になる。
第3に、製品寸法の変更には鋳型・圧下量更に金型の変更が必要であって、鋳込中に変更することはできない。多品種生産には適さない。
本方法の長所は、
1)圧延のパス毎にロール間隙が調節可能であり鋳込途中でも寸法変更が容易になる。
2)設備費・操業費とも無理のない軽分塊工程が附加されるので内質だけでなく表面品質も分塊材に追随することができる。
ところで鋳造能率は鋳片断面アスペクト比にほぼ比例するものであり、該アスペクト比を大きくすることにより能率を強化することができる。
そうすると今度は初回の幅方向の圧下に際して図6に示すように中空であるため1)タオレ(A)が発生し易い、2)挫屈変形(B,C,D)が発生し易い。これらが散発すると成形が極めて困難になる。初めに厚さ方向に圧下すると一層アスペクト比が増加する。挫屈の発生は鋳片断面アスペクト比ではなく長片のアスペクト比に依存するものであるから回避する条件は厳しい。
先行例2の均質な真空中空鋳片を製造する連続鋳造方法と該中空鋳片の空洞の残存を許容する圧延方法とを組み合わせてブルーム状の鋳片から種々の寸法のブルーム又はビレットに圧延する鋼片製造方法は品質には優れ、しかも多サイズ生産には極めて効率的である。 しかるに生産能率は小規模(約50t/h)であるから特殊鋼には適用することができても中規模の普通鋼には対処することができない。
本願発明は当該方法において鋳造能率(=圧延能率)を強化するとともに圧延では挫屈に伴う異常変形を防止し、多種多様の成形を安定させることを課題とする。
ここでCとは角頂点から45°面取り面への距離(mm単位)を意味する。
端部厚さとは図2中27で示される面取り部分を外したところの厚さである。
2) 原理的に中心偏析が無く且つ柱状晶のみから成る均一組織の連続鋳造鋳片を圧延して鋼片としているので分塊材と同等以上の品質が得られる。多くの場合真空空洞は残存することになるが後続の製品への熱間圧延の過程で消滅して欠陥とはならない。
3) 中空鋳片の断面形状は厚さ方向にわずかに膨らんで(又は凹んで)いるので、初回の幅方向への圧下に際して両長片は内側(又は外側)に挫屈することなく外側(又は内側)に多少の挫屈を含んで圧下され圧延が安定する。
4) 圧延機の荷重は被加工材の圧下幅に比例する。中空鋳片の実効圧下幅は凝固殻厚の2倍である。殻厚は40〜70mmが適切であり、従って被加工材の圧下幅は拡幅を含めても約200mm以下に収まる。これは通常のビレット用程度の圧延機によって対処することができ、設備費は分塊圧延法に比較して格段に優れる。
5) 平ロールを使用しロールギャップ調整機構を持つので圧下量と転回を適宜組み合わせることにより種々の寸法のブルーム・ビレット・シートバー及びビームブランクが容易に得られる。
6) 鋳型の4隅には図面上の『面取り』が設けてあって、鋳片の角部は幅広く45°傾斜で欠落(面取り)していて鋳造直後の圧延に大変都合が良い。通常板組立鋳型が使用されるので鋳片の角部は直角に近く冷却途上で過剰に冷却し、直後の圧延ではワレが発生しやすい。角部の加熱(種々のエッジヒーターが使用される)がなされることが多い。大きく面取りしてあるから過冷が阻止され直接圧延に耐える。
圧延能率上、粗鋼片の単重は大きい方(例;4t)が有利である。鋼片は適宜切断される。空洞が残存している場合があるので封入する必要がる。切断は図3に示すように楔形歯を対向圧入する方法でなされる。切断面34は平滑になり、以後の製品圧延において端末ロスが減少する。
βの値を2.5以上6.0以下と特定した理由は、2.5未満では能率に不満が残ること、6.0であれば広幅シートバーや狭幅スラブにも対処可能であり、それ以上は当面不要と見なされるからである。
鋳型の長片は通常平行である。平行で中空で且つアスペクト比βが大きいと容易にタオレ(図6A)や挫屈(同B,C,D)が発生する。図6B型の挫屈は以後の圧延で曲り、ネジレを誘発し易く不都合である。
挫屈防止にはβの抑制、殻厚の増加は有効だが制約もある。本発明では鋳型長片の湾曲により長片の挫屈方向を一方に誘導し挫屈量を抑制し、後続圧延が可能な挫屈性変形に制御する。凸型により樽形に、凹型により鼓形の断面に成形される。
凹型の場合、鋳型長片の中央部厚を端部厚の−4%以下と特定した理由は、未満では挫屈方向の制御に不安定になるからであり、下限値を特定しなかった理由は、小さいほど凹みが早く進むが両長片が衝突して湾曲度に関係なく以後は凹まず圧下が進むからである。
下限特定理由は、切除面(45°傾斜)の幅が14mm(10C)以上であれば過冷は軽減されさらに解決に向かうからである。
面取りが過大になるとロール接触幅が小さくなり、ロールへの噛み込みが不正確だとタオレを誘発し易くなる。従って過冷が防止される範囲で小さい方が良く、最小殻厚約40mmに対応してそれ以下とすべく上限値を30Cとした。
面取りによるワレの増加の危惧に対しては、ワレが鋳型の熱変形に深く関わっている事実から、形状安定鋳型(特許第5635717号)の適用が奨められる。
図2において22は短片、23は長片、24は凝固殻、25は空洞を示す。
以上は特別の困難はなく実施することができる。
Claims (2)
- 真空空洞を持つ連続鋳造鋳片を封鎖切断して得られた鋳造直後の粗鋼片を平ロールを保持した逆転式2段圧延機によって適宜90°転回を加え且つパス毎に該ロール間隙を調節し反転圧延して所望寸法の鋼片に成形する方法において、該鋳片を鋳造する鋳型の鋳込面形状を、1)アスペクト比が2.5以上6.0以下とし、2)幅中央部厚さを端部厚さを基準にして端部厚さの4%以上15%以下、又は−4%以下大きく設定し、3)4隅を10C以上30C以下の面取りとすることを特徴とする連続鋳造圧延方法。
- 得られた鋼片を細分化するための切断に際して鋳片を挟んで対向する1対の楔形歯を圧入して残存する空洞を封鎖しつつ切断することを特徴とする請求項1に記載した連続鋳造圧延方法。
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