JP2001162353A - 連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法 - Google Patents

連続鋳造鋳片、その連続鋳造方法および厚鋼板の製造方法

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JP2001162353A JP34799399A JP34799399A JP2001162353A JP 2001162353 A JP2001162353 A JP 2001162353A JP 34799399 A JP34799399 A JP 34799399A JP 34799399 A JP34799399 A JP 34799399A JP 2001162353 A JP2001162353 A JP 2001162353A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳片の全幅および全長にわたって中心偏析のな
い連続鋳造鋳片、その鋳片の連続鋳造方法およびその鋳
片を熱間圧延する厚鋼板の製造方法の提供。 【解決手段】Caを含有する鋼の鋳片の厚さ中心部に、
鋳片の幅の75%以上にわたり負偏析部が存在し、かつ
負偏析部のS含有率が質量%で7ppm以下である鋳
片。未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた後、凝固完
了までの間に圧下する方法において、タンデイッシュ内
の溶鋼過熱度を20〜50℃とし、かつ、下記(A)式
で表される圧下率Lfが0.8〜2.0となる条件で圧
下する方法。Lf=D1/D2・・・(A)ここで、D
1:未凝固部を含む鋳片の幅中央部における圧下量(m
m)、D2:圧下開始時の固相率0.8以下の未凝固部
の厚さ(mm)。この鋳片を熱間圧延する厚鋼板の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造鋳片、そ
の鋳片の連続鋳造方法およびその鋳片を熱間圧延するこ
とによる耐水素誘起割れ性に優れた厚鋼板の製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】天然ガスや原油の採掘、精製、輸送など
に用いられる油井管やラインパイプ等では、水素誘起割
れ(HIC)に起因する割れが発生し、油またはガス漏
れなどの事故を招く場合がある。
【0003】この水素誘起割れの発生機構として、鋼材
中の水素が鋼材中の非金属介在物(MnS、クラスター
状の酸化物、CaSなど)の周囲に集積して圧力が上昇
することによって、非金属介在物を起点に鋼材に割れが
発生する機構が知られている。また、水素誘起割れの発
生する起点は非金属介在物であるが、MnやPなどが偏
析することによって生成した異常組織に沿って水素誘起
割れが伝播し、大きな割れに至ることもよく知られてい
る。
【0004】水素誘起割れの防止対策として、特開昭5
4−38214号公報では、CaやREMなどの添加に
より、水素誘起割れ感受性を高めるMnSの析出を抑制
するとともに、連続鋳造鋳片を素材として圧延した製品
においても、非金属介在物が球状となるように、非金属
介在物の形態を制御する方法が提案されている。
【0005】しかし、この方法では、CaやREMなど
の含有量の最適値が狭い範囲であるため、CaやREM
などの添加量を調整するのが難しい。最適値より少ない
と非金属介在物の形態制御の効果が発揮できず、多いと
添加によって生成した硫化物や酸化物の量が多くなり、
かえって水素誘起割れ感受性が高くなりやすい。
【0006】一方、水素誘起割れの防止対策としての、
MnやPなどが偏析することにより生成する異常組織の
発生の防止、すなわち、鋳片の中心偏析の発生の防止に
は、次の対策が採られている。
【0007】中心偏析は、連続鋳造鋳片の凝固が進み、
凝固組織の1つであるデンドライト樹間に偏析成分が濃
化し、この濃化溶鋼が、凝固時の鋳片の収縮またはバル
ジングと呼ばれる鋳片のふくれなどにより、デンドライ
ト樹間より流出し、最終凝固部の凝固完了点に向かって
流動し、そのまま凝固して濃化帯を形成するために発生
する。したがって、中心偏析の防止対策には、デンドラ
イト樹間に残った濃化溶鋼の移動を防止することと、濃
化溶鋼の局所的な集積を防ぐことが有効であり、次の方
法が提案されている。
【0008】特開平9−57410号公報および特開平
9−206903号公報で提案されているのは、未凝固
部を含む鋳片をバルジングさせ、最終凝固部の鋳造方向
の上流側で、バルジング量相当分を圧下する方法であ
る。
【0009】しかし、上述の特開平9−57410号公
報および特開平9−206903号公報の方法では、鋳
造方向の全長、鋳片の全幅にわたって中心偏析を安定し
て軽減することが困難な場合がある。未凝固部を含む鋳
片の圧下効果は、まさに鋳片の最終凝固部を圧下するこ
とにより得られるが、最終凝固部の鋳片の鋳造方向での
位置は操業中に変化する。また、未凝固部先端の形状が
鋳造方向に平坦でない場合が多い。一方、圧下ロール対
による鋳片の圧下の場合には、鋳造方向に直角な線状で
の圧下となる。したがって、圧下ロール対で適正に圧下
すべき位置である最終凝固部を圧下することが困難な場
合がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、海洋構造
物、ラインパイプ、圧力容器及び橋梁などの用途に用い
るのに好適で、鋳片の全幅および全長にわたって中心偏
析のない連続鋳造鋳片、その鋳片の連続鋳造方法および
その鋳片を熱間圧延することによる耐水素誘起割れ性に
優れた厚鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示す連続鋳造鋳片、(2)に示す連続鋳造方法
および(3)に示す厚鋼板の製造方法にある。
【0012】(1)鋳片の厚さ中心部に、鋳片の幅の7
5%以上にわたり負偏析部が存在し、かつ負偏析部のS
含有率が質量%で7ppm以下であるCaを含有する鋼
の連続鋳造鋳片。
【0013】(2)未凝固部を含む鋳片をバルジングさ
せた後、凝固完了までの間に1つ以上の圧下ロール対に
より圧下する方法において、タンデイッシュ内の溶鋼過
熱度を20〜50℃とし、かつ、下記(A)式で表され
る圧下率Lfが0.8〜2.0となる条件で圧下する上
記(1)に記載の鋳片の連続鋳造方法。
【0014】Lf=D1/D2・・・(A) ここで、D1:未凝固部を含む鋳片の幅中央部における
圧下量(mm) D2:圧下開始時の固相率0.8以下の未凝固部の厚さ
(mm) (3)上記(1)に記載の鋳片を熱間圧延する厚鋼板の
製造方法。
【0015】鋳片の厚さ中心部とは、厚さの中心位置を
挟んで、鋳片の全厚の10%以下までの領域を意味す
る。
【0016】また、負偏析部とは、C、Mn、P、およ
びSが負偏析となっている領域を意味する。ここで、負
偏析とは、Cを例に説明すると、鋳片の厚さ中心部のC
含有率(質量%)Cを、レードル内の溶鋼のC分析値C
0 で除した値である偏析度C/C0 の値が、1未満であ
ることを意味する。
【0017】本発明者らは、前述の課題を、下記の知
見に基づき、の対策により解決した。
【0018】先に述べたように、鋼材の水素誘起割れ
は、鋳片の厚さ中心部に偏析しやすいC、Mn、Pおよ
びSの中心偏析度と強い相関があることは知られてい
る。
【0019】図2は、鋼材の水素誘起割れ面積率と偏析
しやすい元素中の最大の偏析度との関係を示す図であ
る。後述する表1に示す化学組成で、かつ種々の偏析度
の値を有する厚鋼板の試験片を用い、5質量%NaCl
および0.5質量%CH3 COOHを含む飽和H2 Sの
NACE腐食液(pH:約3.0)中に96時間浸漬
し、水素誘起割れの発生状況を調査した結果を示す。水
素誘起割れ面積率とは、超音波探傷(探傷子;ポイント
フォーカス型、50MHz)により割れ発生と判定され
る部分の面積を探傷した厚鋼板の全面積で除した割合の
ことである。図2の横軸の偏析しやすい元素中の最大の
偏析度とは、C、Mn、P、またはSのうち、鋳片の厚
み中心部における偏析度が最も大きい元素の中心偏析度
を示す。
【0020】図2から分かるように、偏析しやすい元素
のうちで、鋳片の厚み中心部における最大の偏析度がお
およそ1.0未満になると、水素誘起割れの発生が少な
くなる。この傾向は、Caを含有し、鋳片の厚さ中心部
の負偏析部のS含有率が7ppm以下の鋼の場合に、と
くに顕著になる。つまり、Caを含有し、偏析しやすい
元素のうちの最も偏析している元素の最大の偏析度を
1.0未満、すなわち、負偏析とし、厚さ中心部の負偏
析部のS含有率を7ppm以下とすることにより、水素
誘起割れの発生を防止できることが分かる。
【0021】水素誘起割れの発生を防止できるのは、C
aを含有することにより非金属介在物の形態制御が行わ
れた負偏析部の周囲の組織の硬度と負偏析部の硬度との
差が小さくなったためである。
【0022】本発明の連続鋳造鋳片は、Caを含有す
る鋼の鋳片であって、その厚さ中心部に、鋳片の幅の7
5%以上にわたり負偏析部が存在し、かつ負偏析部のS
含有率が質量%で7ppm以下である鋳片とする。
【0023】また、本発明の連続鋳造方法では、バルジ
ングさせた後に凝固完了までの間に鋳片を圧下するの
で、鋳片の厚さ中心部を効果的に圧下できる。さらに、
タンデイッシュ内の溶鋼過熱度を20〜50℃として鋳
片を鋳造し、その後、鋳片を圧下するので、圧下時の鋳
片の厚さ中心部の凝固組織が柱状晶となる。そのため、
鋳片の圧下効果が厚さ中心部にまで及ぶので、鋳片に負
偏析部を効果的に生成させることができる。また、前述
の(A)式で表される未凝固部圧下率Lfが0.8〜
2.0となる条件で圧下する。つまり、未凝固部分の厚
さの80%以上を圧下することになるので、最終凝固部
近傍の偏析成分の濃化した溶鋼を、鋳造方向の上流側に
効果的に排出させることができる。このため、負偏析部
を安定して生成させることができる。
【0024】前述の(A)式において、圧下開始時の鋳
片の未凝固部の厚さを、鋳片内部の厚さ方向の両側の固
相率0.8の凝固界面の間の厚さとする理由は、固相率
が0.8以下の領域では、圧下力が作用しないからであ
り、この領域を未凝固部とする。この固相率0.8の凝
固界面は、凝固伝熱解析による方法などで算出可能であ
る。
【0025】さらに、本発明の厚鋼板の製造方法では、
前述の連続鋳造鋳片を用いて熱間圧延する。
【0026】
【発明の実施の形態】厚さ中心部に存在する負偏析部
は、鋳片の幅の75%以上とする。
【0027】図3は、本発明の鋳片の横断面で、負偏析
部を模式的に示す図である。負偏析部8の幅W2を鋳片
の全幅W1で除したW1/W2の割合を%表示すると、
本発明の鋳片では75%以上である。鋳片の幅の75%
未満の場合には、この鋳片を素材として圧延した厚鋼板
および厚鋼板を素材とする大径鋼管の引張強度が、部位
別に不均一となる場合がある。
【0028】なお、圧下ロール対による鋳片の圧下に際
し、鋳片の幅方向の凝固が完了している両端短辺部を圧
下することは、一般的に困難であり、この圧下されない
鋳片の部分には、負偏析部は生成しない。したがって、
鋳片の幅と厚さとの関係によって変わるが、負偏析部の
幅は、高くても鋳片全幅の95%程度となる。
【0029】また、負偏析部の厚さは、鋳片の厚さに対
して10%以下とするのが望ましい。図3中に示すよう
に、負偏析部の厚さの最も厚い部分の負偏析部の厚さt
を、鋳片の全厚Tで除したt/Tの割合を%表示する
と、本発明の鋳片では、10%以下が望ましい。10%
を超えると、この鋳片を素材とする厚鋼板またはその厚
鋼板を素材とする大径鋼管では、引張強度が低下する場
合がある。負偏析部の厚さの下限は、安定して負偏析部
を生成させるために、鋳片の厚さに対して2%以上が望
ましい。
【0030】本発明が対象とする鋼は、たとえば、炭素
鋼や低合金鋼を対象とし、また、Caを含有する鋼とす
る。鋼のCa含有率は、質量%で10〜50ppmとす
るのが望ましい。
【0031】10ppm未満では、Caを添加すること
による非金属介在物の形態制御の効果が発揮されず、ま
た50ppmを超えると、Ca添加によって生成した硫
化物などが多くなりすぎ、かえって水素誘起割れ感受性
が高くなる。
【0032】負偏析部である鋳片の厚さ中心部のS含有
率は、質量%で7ppm以下とする。負偏析部のS含有
率を7ppm以下にするためには、Caを含有させた後
のレードル内の溶鋼のS含有率を15ppm程度以下に
するのが望ましい。
【0033】図1は、本発明の連続鋳造方法を説明する
ための模式図である。浸漬ノズル7を経て、鋳型内に溶
鋼4が供給され、凝固殻2aが形成される。凝固殻はス
プレー水により冷却される。凝固殻を含む鋳片2は、ピ
ンチロール6により鋳型1から引き抜かれる。
【0034】ガイドロール対3の鋳片厚さ方向の間隔
は、鋳型出側以降から圧下ロール対5直前までの間(図
1中に、バルジングゾーンと記す)において、引き抜き
方向に段階的に増加するように設定する。その後、1つ
以上の圧下ロール対のある領域(図1中に、圧下ゾーン
と記す)で、未凝固部2bを含む鋳片を圧下する。
【0035】圧下ロール対の数は、1または2以上とす
る。圧下量が大きい場合には、1つの圧下ロール対のみ
で圧下すると、鋳片内部に割れが発生しやすい。そのよ
うな場合には、2つ以上の圧下ロール対で圧下するのが
よい。1つの圧下ロール対で圧下する圧下量は、鋼の化
学組成や凝固殻の厚さなどによって実験的に決めればよ
い。通常は、おおよそ30mm以下とするのが望まし
い。
【0036】鋳造中のタンデイッシュ内の溶鋼過熱度を
20〜50℃とする。
【0037】溶鋼過熱度が20℃未満では、鋳片の厚さ
中心部近傍の凝固組織が等軸晶組織になりやすい。厚さ
中心部の負偏析部以外で、等軸晶組織となった部分で
は、粒状偏析が生成しやすくなる。凝固過程で、等軸晶
粒間に偏析成分の濃化した溶鋼が集積しやすいためであ
る。この粒状偏析を起点に、水素誘起割れが発生しやす
い。また、50℃を超えると、鋳型内の凝固殻が浸漬ノ
ズルからの高温の吐出流により再溶解しやすく、そのた
め、ブレークアウトが発生しやすくなる。
【0038】前述の(A)式で表される圧下率Lfの値
は0.8〜2.0の範囲とする。
【0039】Lfが0.8未満では、圧下量が少ないた
めに、鋳片の厚さ中心部が効果的に圧下されにくい。そ
のため、未凝固部にある偏析成分の濃化した溶鋼が鋳造
方向の上流側に排出するにくく、負偏析部を安定して生
成させることが困難である。また、Lfが2.0を超え
ると、鋳片の引き抜きが困難となる場合がある。
【0040】複数の圧下ロール対で鋳片を圧下する場合
には、それぞれの圧下ロール対ごとに、前述の(A)式
で表される圧下率Lfが0.8〜2.0となる条件で圧
下するのがよい。
【0041】図1の模式図では、垂直型連続鋳造機を示
しているが、湾曲型連続鋳造機などにも本発明の方法を
適用できる。
【0042】耐水素誘起割れ性に優れた厚鋼板は、本発
明の鋳片を熱間圧延して製造することができる。鋳片に
おける負偏析部は、厚鋼板に負偏析部として残存する。
その際に、鋳片の横断面に対する負偏析部の割合は、ほ
ぼそのままの割合で、厚鋼板にまで残存する。鋳片の加
熱温度、在炉時間、圧延温度などは、通常の同様な化学
組成の連続鋳造鋳片を熱間圧延する場合と同じ条件で構
わない。
【0043】
【実施例】図1に示す装置構成のスラブ連続鋳造装置を
用いて、合計8ヒートの鋳造試験を行った。1ヒートは
約250tonである。表1に、用いた鋼のレードル値
の化学組成を示す。用いた鋼は、C含有率0.06〜
0.07質量%、Nb含有率0.040〜0.042質
量%で、Caを0.0020〜0.0025質量%含有
させた厚鋼板用および大径鋼管用の鋼とした。
【0044】
【表1】
【0045】鋳片サイズは、いずれも厚さ240mm、
幅2300mmとし、1ヒートの単鋳で鋳造した。鋳造
速度は、いずれも0.9m/分とした。圧下前のバルジ
ング量は25mmまたは30mmとし、直径400mm
の1つの圧下ロール対で未凝固部を含む鋳片を圧下し
た。圧下ロール対は溶鋼のメニスカスから17mの位置
に設けた。
【0046】鋳造方向で長さ100mmの鋳片横断面サ
ンプルを採取した。この横断面サンプルのマクロ組織を
調査し、負偏析部の幅、厚さを求めた。また、サンプル
の鋳片幅方向中心部および厚さ中心部から、直径3mm
のドリル刃により切り削を採取してSを分析した。
【0047】また、得られた鋳片を素材として厚さ25
mmの厚鋼板に圧延し、厚鋼板の引張強度を調査した。
また、縦100mm、横150mmの厚鋼板サンプルを
採取し、5質量%NaClおよび0.5質量%CH3
OOHを含む飽和H2 SのNACE腐食液(pH:約
3.0)中に96時間浸漬し、水素誘起割れの発生状況
を調査した。水素誘起割れの発生の有無は、超音波探傷
(感度8dB)により調査した。超音波探傷した厚鋼板
サンプルの面積に対して、水素誘起割れの発生している
領域の面積の割合を、水素誘起割れ面積率として求め
た。試験条件および試験結果を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】本発明例の試験No.1、No.2および
比較例の試験No.5、No.6では、バルジング量を
25mmとした。
【0050】試験No.1では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の25〜3
5℃の条件で鋳造した。また、圧下率Lf=D1/D2
を1.04とし、本発明の方法で規定する条件の範囲内
で試験した。負偏析部の幅の全幅に対する割合は、本発
明の方法で規定する条件の範囲内の80%であり、ま
た、負偏析部の厚さの全厚さに対する割合は2.1%で
あった。また、厚さ中心部のS含有率は7ppmであ
り、本発明で規定する条件の範囲内であった。この鋳片
を素材とする厚鋼板には、水素誘起割れは発生しなかっ
た。また、厚鋼板の引張強度は590MPaであった。
【0051】なお、目標とする厚鋼板の引張強度は、前
述の表1に示す化学組成の鋼であるので、500Mpa
以上である。
【0052】試験No.2では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の25〜3
5℃の条件で鋳造した。また、圧下率Lfを1.67と
し、本発明の方法で規定する条件の範囲内で試験した。
負偏析部の幅の全幅に対する割合は、本発明の方法で規
定する条件の範囲内の85%であり、また、負偏析部の
厚さの全厚さに対する割合は5.3%であった。また、
厚さ中心部のS含有率は6ppmであり、本発明で規定
する条件の範囲内であった。この鋳片を素材とする厚鋼
板には、水素誘起割れは発生しなかった。また、厚鋼板
の引張強度は591MPaであった。
【0053】試験No.5では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の30℃、
圧下率Lfは0.78で本発明の方法で規定する条件の
下限に満たない条件で試験した。厚さ中心部に負偏析部
が生成しなかった。そのため、厚さ中心部にSが偏析
し、厚さ中心部でのS含有率は10ppmとなり、本発
明で規定する条件の上限を超えた。これらの鋳片を素材
とする厚鋼板の水素誘起割れ面積率は7.6%であり、
水素誘起割れが多発した。
【0054】試験No.6では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲の下限に満た
ない15℃の条件で鋳造した。また、圧下率Lfは1.
0で本発明の方法で規定する条件の範囲内で試験した。
溶鋼過熱度が低いために、厚さ中心部近傍に等軸晶が生
成した。そのため、これらの鋳片を素材とする厚鋼板の
水素誘起割れ面積率は5.6%であり、等軸晶粒間の粒
状偏析による水素誘起割れが多発した。
【0055】本発明例の試験No.3、No.4および
比較例の試験No.7、No.8では、バルジング量を
30mmとした。
【0056】試験No.3では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の25〜3
5℃の条件で鋳造した。圧下率Lfは1.20とし、本
発明の方法で規定する条件の範囲内で試験した。負偏析
部の幅の全幅に対する割合は、本発明の方法で規定する
条件の範囲内の83%であり、また、負偏析部の厚さの
全厚さに対する割合は4.9%であった。また、厚さ中
心部のS含有率は6ppmとなり、本発明で規定する条
件の範囲内であった。これらの鋳片を素材とする厚鋼板
には、水素誘起割れは発生しなかった。また、厚鋼板の
引張強度は589MPaであった。
【0057】試験No.4では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の25〜3
5℃の条件で鋳造した。圧下率Lfは1.40とし、本
発明の方法で規定する条件の範囲内で試験した。負偏析
部の幅の全幅に対する割合は、本発明の方法で規定する
条件の範囲内の86%であり、また、負偏析部の厚さの
全厚さに対する割合は6.2%であった。また、厚さ中
心部のS含有率は5ppmとなり、本発明で規定する条
件の範囲内であった。これらの鋳片を素材とする厚鋼板
には、水素誘起割れは発生しなかった。また、厚鋼板の
引張強度は592MPaであった。
【0058】試験No.7では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲内の30℃の
条件で鋳造した。また、圧下率Lf=D1/D2を0.
67とし、本発明の方法で規定する条件の下限に満たな
い条件で試験した。厚さ中心部に負偏析部が生成しなか
った。そのため、厚さ中心部にSが偏析し、厚さ中心部
でのS含有率は8ppmとなり、本発明で規定する条件
の上限を超えた。これらの鋳片を素材とする厚鋼板の水
素誘起割れ面積率は1.8%であり、水素誘起割れが発
生した。
【0059】試験No.8では、タンディッシュ内の溶
鋼過熱度を、本発明の方法で規定する範囲の上限を超え
る55℃の条件で鋳造した。鋳造の途中でブレークアウ
トが発生したので鋳造を中止した。
【0060】
【発明の効果】本発明の連続鋳造鋳片、その鋳片の連続
鋳造方法およびその鋳片を熱間圧延する厚鋼板の製造方
法の適用により、海洋構造物、ラインパイプ、圧力容器
及び橋梁などの用途に適した耐水素誘起割れ性に優れた
厚鋼板や大径鋼管などを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続鋳造方法を説明するための模式図
である。
【図2】鋼材の水素誘起割れ面積率と偏析しやすい元素
中の最大の中心偏析度との関係を示す図である。
【図3】本発明の鋳片の横断面で、負偏析部を模式的に
示す図である。
【符号の説明】
1:鋳型 2:鋳片 2a:凝固殻 2
b:未凝固部 3:ガイドロール対 4:溶鋼
5:圧下ロール対 6:ピンチロール 7:浸漬ノズル
8:負偏析部 W1:鋳片の全幅 W2:鋳片の負偏析部の幅 T:鋳片の厚さ t:鋳片の負偏析部の厚さ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳片の厚さ中心部に、鋳片の幅の75%以
    上にわたり負偏析部が存在し、かつ負偏析部のS含有率
    が質量%で7ppm以下であることを特徴とするCaを
    含有する鋼の連続鋳造鋳片。
  2. 【請求項2】未凝固部を含む鋳片をバルジングさせた
    後、凝固完了までの間に1つ以上の圧下ロール対により
    圧下する方法において、タンデイッシュ内の溶鋼過熱度
    を20〜50℃とし、かつ、下記(A)式で表される圧
    下率Lfが0.8〜2.0となる条件で圧下することを
    特徴とする請求項1に記載の鋳片の連続鋳造方法。 Lf=D1/D2・・・(A) ここで、D1:未凝固部を含む鋳片の幅中央部における
    圧下量(mm) D2:圧下開始時の固相率0.8以下の未凝固部の厚さ
    (mm)
  3. 【請求項3】請求項1に記載の鋳片を熱間圧延すること
    を特徴とする厚鋼板の製造方法。
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