JP2640399B2 - 連続鋳造法 - Google Patents
連続鋳造法Info
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心部に見られる不純物元素、即ち鋼鋳片の場合には硫
黄、燐、マンガン等の偏析を防止し、均質な金属を得る
ことのできる連続鋳造法に関するものである。
ス運搬用鋼管、ならびに抗張力線材などの材質特性に対
する要求は厳しさを増しており、均質な鋼材を提供する
ことが重要課題になっている。元来鋼材は断面内におい
て均質であるべきであるが、鋼は一般に硫黄、燐、マン
ガン等の不純物元素を含有しており、これらが鋳造過程
において偏析し、部分的に濃化するため脆弱となる。特
に近年、生産性や歩留り向上および省エネルギー等の目
的のために連続鋳造法が一般的に普及しているが、連続
鋳造により得られる鋳片の厚み中心近傍には、通常顕著
な成分偏析が観察される。この成分偏析は最終成品の均
質性を著しく損ない、成品の使用過程や線材の線引き工
程等で鋼に作用する応力により亀裂が発生するなど重大
欠陥の原因となるため、その低減が切望されている。
固収縮力等により流動し、固液界面近傍の濃化溶鋼を洗
い出し、残溶鋼が累進的に濃化していくため発生すると
考えられ、従って、成分偏析を防止するには残溶鋼の流
動原因を取り除くことが肝要であると考えられてきた。
起因する流動のほか、ロール間の鋳片バルジングやロー
ルアライメント不整に起因する流動等があるが、これら
のうち最も重大な原因は凝固収縮であり、偏析を防止す
るためにはこれを補償する量だけ鋳片を圧下することが
必要である。
試みは従来より行われており、連続鋳造工程において鋳
片中心部温度が液相線温度から固相線温度にいたるまで
の間、鋳片の凝固収縮を補償する量以上の一定割合で圧
下する方法が知られている。しかしながら従来の連続鋳
造法は、条件によっては偏析改善が殆ど認められなかっ
たり、場合によっては偏析がかえって悪化する等の問題
があり、成分偏析を充分に改善することは困難であっ
た。
片の中心部が固相率0.1〜0.3に相当する温度にな
る時点から流動限界固相率に相当する温度となる時点ま
での領域を単位時間当り0.5mm/分以上2.5mm
/分未満の割合で連続的に圧下し、鋳片中心部が流動限
界固相率に相当する温度となる時点から固相線温度とな
るまでの領域は実質的に圧下を加えないようにする特願
昭62−27556号に係る方法が良く知られている。
0295号において提示したごとく、濃化溶鋼が激しく
鋳片の中心部に集積する凝固時期が存在し、この濃化溶
鋼の集積時期の流動を防止することが偏析改善にとって
最も効果的であり、また濃化溶鋼の集積量が特に多い凝
固時期は凝固組織によって異なる。この結果に基づき偏
析をさらに改善する軽圧下法について研究した結果、凝
固末期に少なくとも一対のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、上面等軸晶
率0〜5%の場合、鋳片中心部の温度が固相率0.2
5、好ましくは0.35に相当する位置から流動限界固
相率に相当する位置までの凝固時期範囲の任意の位置、
好ましくは該凝固時期範囲内の上流側に少なくとも一対
のロールを設置して、該凝固時期範囲内の全凝固収縮量
を補償する量を圧下し、また上面等軸晶率が5%以上の
場合、鋳片中心部の温度が固相率0.1、好ましくは
0.15に相当する位置から流動限界固相率に相当する
位置までの凝固時期範囲の任意の位置、好ましくは該凝
固時期範囲内の上流側に少なくとも一対のロールを設置
して該凝固時期範囲内の全凝固収縮量を補償する量を圧
下する圧下範囲を小さくすることが可能な簡便で効率的
な軽圧下を提案した。
により流動を防止すべき凝固時期範囲をさらに研究した
結果、偏析改善に最も効果的な流動を防止すべき凝固時
期範囲は凝固組織だけでなく、鋼種、鋳片形状等により
異なることを知見するに至った。これらの知見に基づく
と、凝固組織、鋼種、鋳片形状により最適圧下時期は異
なると考えられ、軽圧下による偏析改善効果の安定化と
さらなる偏析改善を実現するためには、凝固組織、鋼
種、鋳片形状別の偏析改善に最も効果的な流動を防止す
べき凝固時期範囲と適正圧下量の定量化が重要課題であ
る。
つつ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、各凝固時
期における圧下速度と偏析との関係から、圧下速度と偏
析の相関が認められる凝固時期から偏析に及ぼす流動の
影響が最も大きい凝固時期を定量化して、この凝固時期
範囲の流動を防止するように圧下条件を決定し、鋳造す
ることを特徴とする連続鋳造法。
つつ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度
を一定時間減速することにより、各凝固時期における圧
下速度と偏析との関係を得て、その関係から、圧下速度
と偏析の相関が認められる凝固時期から偏析に及ぼす流
動の影響が最も大きい凝固時期を定量化して、この凝固
時期範囲の流動を防止するように圧下条件を決定し、鋳
造することを特徴とする連続鋳造法。
ある。しかし、軽圧下において圧下時期が不適正な場
合、軽圧下による偏析改善効果は小さい。軽圧下による
偏析改善効果を最大限実現し、偏析改善効果を安定化さ
せるためには、偏析に及ぼす溶鋼流動の影響が最も大き
い凝固時期範囲の流動を防止できるよう、圧下時期と適
正圧下量を定量化して鋳造することが重要である。
図1に示す鋳造速度の減速パターンで鋳造した場合の偏
析悪化鋳片を試験研究した結果、鋳片の中心部に観察さ
れる偏析は、図2〜3に示すように、偏析調査鋳片が特
定な凝固時期に至った時の当該鋳片から中心固相率が
0.7の鋳片の範囲に位置するロールの圧下速度(以
下、圧下速度と略称)と相関が認められ、当該鋳片の凝
固時期が早すぎても遅すぎても偏析と圧下速度の相関は
認められない。偏析と圧下速度の相関は、図4に示すよ
うに当該鋳片の凝固時期が中心固相率で0.15の時の
圧下速度と0.2の時の圧下速度の平均圧下速度(以
下、平均圧下速度と略称)を採用した方がさらに良好に
なる。この知見に基づくと、偏析が良好となる圧下条件
を明らかにするためには偏析と相関がある凝固時期の圧
下速度を採用することが不可欠であることを知見して本
発明を成し遂げた。このように、偏析と圧下速度の間に
明瞭な相関がある凝固時期は、図5、6に示すように鋳
造速度減速により偏析が悪化した鋳片の減速時の凝固時
期範囲(A〜B)と一致しており、圧下速度を検討すべ
き当該鋳片の凝固時期は、凝固組織、鋼種、鋳片サイズ
別に予め一定時間鋳造速度を減速した試験により決定し
ておくことが可能である。なおAは図6において、 鋳造
速度の減速・復活により定常部より偏析が悪化した鋳片
の内、メニスカス側境界位置の鋳片の鋳造速度復活時の
凝固時期であり、またBは偏析悪化鋳片の内、連鋳機の
機端側に位置した鋳片の鋳造速度減速開始時の凝固時期
である。このように決定した圧下速度と鋳片偏析との関
係により、目標の鋳片偏析が達成できる圧下条件が定量
化できる。本法によれば、凝固組織、鋼種、鋳片形状等
が異なる場合においても、適正圧下時期、圧下方法を決
定することが可能になり、このように決定した鋳片偏析
が良好となる圧下条件で鋳造することにより、さらなる
鋳片偏析の改善と偏析改善効果のバラツキの減少が可能
となる。
間、中心固相率等で定量化する。鋳片の凝固時間は鋳造
速度の経時変化データに基づき計算する。また、中心固
相率は(1)式数1に示すように、鋳片中心部の温度の
関数として算出する。鋳片中心部の温度は冷却条件や鋳
造速度等の操業条件に基づき伝熱計算により予め計算す
るか、または鋳造中の冷却や鋳造速度等の条件に基づき
計算する。この中心固相率は鋳造速度、冷却条件、鋳片
サイズ、鋼種が決まれば凝固時間の関数であり、同じ凝
固時間の関数であるシェル厚、未凝固厚、未凝固率に容
易に換算することができる。
各ロール位置鋳片のロール毎圧下量(Δh i )を公知の
方法で定量化して(2)式数2により算出する。
圧下速度(mm/min) その時点で中心固相率が0.7の鋳片位置までの間に位
置する ロール毎の各圧下量を総計した全圧下量(mm) i :圧下ロールNo. L0.7:当該鋳片の凝固時期が、中心固相率でf j の
時のその時点で、中心固相率が0.7の鋳片位置のメニ
スカスからの距離(m) Lfj :当該鋳片の凝固時期が、中心固相率でf j の
時の鋳片位置のメニスカスからの距離(m) Vj :当該鋳片の凝固時期が、中心固相率でfjの
時の鋳造速度(m/min)
で表示することもできる。その場合、本法で求めた偏析
が良好となる適正圧下速度(X)と(t0.7−tj)
を用いて(3)式により必要全圧下量(3)式数3を算
出する。ここで、 tj :当該冷却条件で中心固相率がfjとなる凝
固時間(min) t0.7 :当該冷却条件で中心固相率が0.7となる
凝固時間(min)
0.7、Lfj、Vjは鋳造速度の経時変化データ
(4)式を用いて各々(5)式数5、(6)式数6、
(7)式数7、(8)式数8のごとく算出する。
経過時間(min)
す。鋳造した溶鋼組成の代表例を表1に示す。図1に示
す鋳造速度パターンで鋳造速度の減速を図り、鋳造速度
減速の偏析に及ぼす影響を調査した。凝固組織は上面等
軸晶率が30%であった。鋳片の偏析は図2、3に示し
たように当該鋳片の凝固時期が中心固相率で0.15の
時と0.2の時の圧下速度と相関が認められ、当該鋳片
がその他の凝固時期にあった場合、圧下速度と偏析の関
係は明瞭でない。また、鋳片偏析と圧下速度の相関関係
は図4に示したように圧下速度として平均圧下速度を採
用した方がさらに明瞭になる。なお、偏析と相関がある
圧下速度の凝固時期は、図5、6に示したように、鋳造
速度減速により偏析が悪化した鋳片の減速時の凝固時期
と同じである。図4の結果に基づき、鋳片の中心偏析の
最大偏析粒径を2mm以下にすることが可能な圧下速度
として0.7mm/min以上が必要であることが明ら
かになり、この条件を満足するよう圧下力等の圧下条件
を整えることにより、偏析良好な鋳片を得た。
て、実施例1と同様、鋳造速度減速試験を行った。偏析
と相関がある圧下速度算出の鋳片凝固時期を表2に示
す。偏析と相関がある圧下速度算出の凝固時期は鋳片の
鋼種、凝固組織、鋳片形状で差がある。この凝固時期の
圧下速度と偏析との関係を定量化して偏析良好な鋳片を
得ることが可能で、偏析改善効果が安定した。
状が異なる場合においても、偏析改善効果が優れた圧下
範囲など圧下条件の定量化が可能になり、この定量化条
件によりさらなる偏析の改善と偏析改善効果の安定化が
実現できる。
る。
係を示す図である。
係を示す図である。
る。
の中心固相率を示す図である。
の中心固相率を示す図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 1対以上のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、各凝固時期
における圧下速度と偏析との関係から、圧下速度と偏析
の相関が認められる凝固時期から偏析に及ぼす流動の影
響が最も大きい凝固時期を定量化して、この凝固時期範
囲の流動を防止するように圧下条件を決定し、鋳造する
ことを特徴とする連続鋳造法。 - 【請求項2】 1対以上のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度を
一定時間減速することにより、各凝固時期における圧下
速度と偏析との関係を得て、その関係から、圧下速度と
偏析の相関が認められる凝固時期から偏析に及ぼす流動
の影響が最も大きい凝固時期を定量化して、この凝固時
期範囲の流動を防止するように圧下条件を決定し、鋳造
することを特徴とする連続鋳造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4057208A JP2640399B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4057208A JP2640399B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05220559A JPH05220559A (ja) | 1993-08-31 |
JP2640399B2 true JP2640399B2 (ja) | 1997-08-13 |
Family
ID=13049099
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4057208A Expired - Lifetime JP2640399B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2640399B2 (ja) |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62158555A (ja) * | 1985-12-30 | 1987-07-14 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造方法 |
-
1992
- 1992-02-12 JP JP4057208A patent/JP2640399B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05220559A (ja) | 1993-08-31 |
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