JP2949453B2 - 連続鋳造法 - Google Patents
連続鋳造法Info
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Description
心部に見られる不純物元素、即ち鋼鋳片の場合には硫
黄、燐、マンガン等の偏析を防止し、均質な金属を得る
ことのできる連続鋳造法に関するものである。
ス運搬用鋼管、ならびに抗張力線材などの材質特性に対
する要求は厳しさを増しており、均質な鋼材を提供する
ことが重要課題になっている。元来鋼材は断面内におい
て均質であるべきであるが、鋼は一般に硫黄、燐、マン
ガン等の不純物元素を含有しており、これらが鋳造過程
において偏析し、部分的に濃化するため脆弱となる。特
に近年、生産性や歩留り向上および省エネルギー等の目
的のために連続鋳造法が一般的に普及しているが、連続
鋳造により得られる鋳片の厚み中心近傍には、通常顕著
な成分偏析が観察される。この成分偏析は最終成品の均
質性を著しく損ない、成品の使用過程や線材の線引き工
程等で鋼に作用する応力により亀裂が発生するなど重大
欠陥の原因となるため、その低減が切望されている。
固収縮力等により流動し、固液界面近傍の濃化溶鋼を洗
い出し、残溶鋼が累進的に濃化していくため発生すると
考えられ、従って、成分偏析を防止するには残溶鋼の流
動原因を取り除くことが肝要であると考えられてきた。
起因する流動のほか、ロール間の鋳片バルジングやロー
ルアライメント不整に起因する流動等があるが、これら
のうち最も重大な原因は凝固収縮であり、偏析を防止す
るためにはこれを補償する量だけ鋳片を圧下することが
必要である。
試みは従来より行われており、連続鋳造工程において鋳
片中心部温度が液相線温度から固相線温度にいたるまで
の間、鋳片の凝固収縮を補償する量以上の一定割合で圧
下する方法が知られている。しかしながら従来の連続鋳
造法は、条件によっては偏析改善が殆ど認められなかっ
たり、場合によっては偏析がかえって悪化する等の問題
があり、成分偏析を充分に改善することは困難であっ
た。
片の中心部が固相率0.1〜0.3に相当する温度にな
る時点から流動限界固相率に相当する温度となる時点ま
での領域を単位時間当り0.5mm/分以上2.5mm
/分未満の割合で連続的に圧下し、鋳片中心部が流動限
界固相率に相当する温度となる時点から固相線温度とな
るまでの領域は実質的に圧下を加えないようにする特願
昭62−27556号に係る方法が良く知られている。
0295号において提示したごとく、濃化溶鋼が激しく
鋳片の中心部に集積する凝固時期が存在し、この濃化溶
鋼の集積時期の流動を防止することが偏析改善にとって
最も効果的であり、また濃化溶鋼の集積量が特に多い凝
固時期は凝固組織によって異なる。この結果に基づき偏
析をさらに改善する軽圧下法について研究した結果、凝
固末期に少なくとも一対のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、上面等軸晶
率0〜5%の場合、鋳片中心部の温度が固相率0.2
5、好ましくは0.35に相当する位置から流動限界固
相率に相当する位置までの凝固時期範囲の任意の位置、
好ましくは該凝固時期範囲内の上流側に少なくとも一対
のロールを設置して、該凝固時期範囲内の全凝固収縮量
を補償する量を圧下し、また上面等軸晶率が5%以上の
場合、鋳片中心部の温度が固相率0.1、好ましくは
0.15に相当する位置から流動限界固相率に相当する
位置までの凝固時期範囲の任意の位置、好ましくは該凝
固時期範囲内の上流側に少なくとも一対のロールを設置
して該凝固時期範囲内の全凝固収縮量を補償する量を圧
下する圧下範囲を小さくすることが可能な簡便で効率的
な軽圧下を提案した。
により流動を防止すべき凝固時期範囲をさらに研究した
結果、偏析改善に最も効果的な流動を防止すべき凝固時
期範囲は凝固組織のみでなく、鋼種、鋳片形状等により
異なることを知見するに至った。これらの知見に基づく
と、凝固組織、鋼種、鋳片形状により最適圧下時期は異
なると考えられ、軽圧下による偏析改善効果の安定化と
さらなる偏析改善を実現するためには、解析が煩雑な前
記特願平1−120295号の方法に代わる、凝固組
織、鋼種、鋳片形状別の最適圧下時期を簡単に定量化す
る方法と、それに基づく圧下方法の確立が重要課題であ
る。また、連続鋳造作業において完全な一定速鋳造の実
現は困難であり、鋳造速度の減速の結果発生した偏析悪
化鋳片を選択するための簡便な指標の開発も重要課題で
ある。
りである。
つつ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度
を変動させることにより、偏析に及ぼす流動の影響が最
も大きい凝固時期範囲A〜Bを定量化し、該凝固時期範
囲を考慮して、適正圧下条件を決定することを特徴とす
る連続鋳造法。但し、 A;鋳造速度を変動した結果、偏析が最も悪化している
鋳片範囲の最上流側位 置における鋳造速度復活時の中心
固相率。 B;上記鋳片範囲の最下流側位置における鋳造速度変動
開始時の中心固相率。
つつ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度
を一定時間減速することにより、偏析に及ぼす流動の影
響が最も大きい凝固時期範囲A〜Bを定量化し、該凝固
時期範囲を考慮して、適正圧下条件を決定することを特
徴とする連続鋳造法。但し、 A;鋳造速度を変動した結果、偏析が最も悪化している
鋳片範囲の最上流側位 置における鋳造速度復活時の中心
固相率。 B;上記鋳片範囲の最下流側位置における鋳造速度変動
開始時の中心固相率。
最も大きい凝固時期範囲A〜BのAから流動限界固相率
の範囲の全圧下量が4〜20mmとなるよう圧下して、
中心部に固相が出始める時期からAまでの範囲の圧下勾
配を0.2〜3mm/mにする前記1または2記載の連
続鋳造法。但し、A<B。
ある。しかし、軽圧下において圧下時期が不適正な場
合、軽圧下による偏析改善効果は小さい。軽圧下による
偏析改善効果を最大限実現し、偏析改善効果を安定化さ
せるためには、偏析に及ぼす溶鋼流動の影響が最も大き
い凝固時期範囲の流動を防止できるよう、適正な圧下時
期での圧下が不可欠となる。これを実現するためには、
偏析改善に及ぼす軽圧下による流動低減効果が最も大き
い凝固時期範囲の定量化が必要になる。一方、本発明者
は軽圧下鋳造中に鋳造速度を突然減速した場合、減速時
に連鋳機内に位置した全鋳片の凝固収縮流動が増大する
にも関わらず、偏析が悪化した鋳片(図1の偏析悪化部
)は局部的で、この偏析が悪化した鋳片部位の偏析と
鋳片長さの関係は山形を呈し、偏析が最も悪くなる鋳片
位置が存在することを知見する至った。それらの鋳片の
凝固履歴を解析した結果、図2、図3に示すように、鋳
造速度の減速により偏析が悪化する鋳片は鋳造速度減速
時に特定な凝固時期範囲A〜Bにあった鋳片のみであ
る。ここで特定な凝固時期A〜Bを図2を用いて詳述す
ると、偏析悪化部のメニスカスに最も近い鋳片は鋳造
速度が減速している間にA以上まで凝固進行して、その
結果偏析が若干悪化している。しかし、偏析悪化部よ
りメニスカス側へ、はずれた鋳片は鋳造速度が減速して
いる間に、A近傍まで凝固が進行しているにも関わら
ず、偏析の悪化は認められない。これは偏析に及ぼす流
動の影響が大きい凝固時期の低固相率側の境界が凝固時
期Aであることを意味する。一方偏析悪化部の連鋳機
の機端に最も近い鋳片は鋳造速度が減速している間にB
まで凝固進行して、その結果偏析が若干悪化している。
しかし、偏析悪化部より連鋳機の機端側へ、はずれた
鋳片は鋳造速度が減速して復活する間に、B以上まで凝
固が進行しているにも関わらず、偏析の悪化は認められ
ない。これは偏析に及ぼす流動の影響が大きい凝固時期
の高固相率側の境界が凝固時期Bであることを意味す
る。即ち、図2に示すごとく、鋳造速度の減速・復活に
よる定常部より偏析が悪化した鋳片の内、メニスカス側
境界位置の鋳片の鋳造速度復活時の凝固時期がAであ
り、また偏析悪化鋳片の内、連鋳機の機端側に位置した
鋳片の鋳造速度減速開始時の凝固時期がBである。なお
図3は凝固時期AとBを凝固時間で示したも のである。
以上の方法により偏析に及ぼす流動の影響が最も大きい
凝固時期範囲A〜Bを定量化でき、凝固時期範囲A〜B
が偏析改善に最も効果的な流動を防止すべき凝固時期範
囲であることを知見して本発明を成し遂げた。
時期範囲の定量化は、それより下流側に圧下ロールを設
置するなど、偏析改善に最も効果的な圧下範囲および圧
下方法を決定するための重要な知見となる。本法によれ
ば、凝固組織、鋼種、鋳片形状等が異なる場合において
も、適正圧下時期、圧下方法を決定することが可能にな
り、さらなる偏析改善と偏析改善効果のバラツキが小さ
な連続鋳造法が提供される。また、鋳造速度の減速に伴
い発生する偏析悪化鋳片の凝固時期は軽圧下における偏
析悪化鋳片の選択指標となり、この指標を用いることに
より鋳造速度の減速に伴う偏析悪化鋳片を精度良く分離
することができ、偏析悪化鋳片と偏析良好鋳片の分塊加
熱条件を適正化することにより線材偏析の安定化を実現
する連続鋳造法が提供される。なお、鋳片の凝固時期は
当該鋳片の凝固時間を鋳造速度の経時変化データに基づ
き計算する。また、中心固相率は凝固時間のデータを用
いて特願平1−121487号に示した方法等により計
算し、冷却条件等を変更する場合の指標として使うこと
ができる。また、本発明においてAから流動限界固相率
の全圧下量を4〜20mmにするのは凝固時期A〜Bの
流動を防止するために必要な圧下量で、内部割れが問題
となる場合、1ロールの圧下量は内部割れが発生しない
よう制限する。また中心部に固相が出始める時期からA
までの範囲の圧下勾配を0.2〜3mm/mにするの
は、これによって凝固組織の不整合な箇所が少なくな
り、凝固時期範囲A〜Bにおいて集積する濃化溶鋼量を
少なくできるという知見に基づくものである。
す。鋳造した溶鋼組成の代表例を表1に示す。図5に示
す鋳造速度パターンで鋳造速度の減速を図り、鋳造速度
減速の偏析に及ぼす影響を調査した。凝固組織は上面等
軸晶率が30%であった。偏析が悪化している鋳片は、
鋳造速度減速中の凝固時期が図3に示すように凝固時間
が26〜30分の鋳片で、これを中心固相率に換算する
と図2に示すように中心固相率が0.18〜0.32の
範囲の鋳片である。この結果に基づき図6に示すように
中心固相率が0.18から0.5(強圧下帯)までの範
囲に位置する圧下ロールの全圧下量が12mmになるよ
う設定し、中心部に固相が発生し始める位置から中心固
相率が0.18までの範囲の圧下勾配を0.5mm/m
となるよう設定(絞り込み帯)することにより、図7に
示すように軽圧下による偏析のさらなる改善と安定化を
実現できた。また、上記定量化の結果を用い、減速に伴
う偏析悪化鋳片を精度良く分離することが可能になっ
た。尚、本実施例で強圧下帯を中心固相率で0.18〜
0.5までの範囲としたのは、0.18〜0.32の間
の未凝固部の流動を防止するためには、少なくとも0.
18〜0.32よりも下流側を圧下すれば良く、本実施
例では、0.18〜0.5の範囲を圧下した。
て、実施例1と同様に鋳造速度減速試験を行った。表2
に示すように、鋳造速度減速に伴い偏析が悪化するのは
実施例1と同じ様に鋳造速度減速中に特定な凝固時期に
あった鋳片で、偏析に及ぼす流動の影響が最も大きい凝
固時期範囲が定量化できた。この凝固時期範囲の流動を
防止できるよう圧下範囲を決定することにより、軽圧下
による偏析のさらなる改善と、安定化を実現した。ま
た、上記定量化の結果を用い、減速に伴う偏析悪化鋳片
を精度良く分離することが可能になった。
が異なる場合においても、偏析改善効果が優れた圧下範
囲など圧下条件の定量化が可能になり、さらなる偏析の
改善と偏析改善効果の安定化が実現できる。また、本発
明の定量化結果により鋳造速度の減速に伴う偏析悪化鋳
片を精度良く分離することが可能になり、製品品質の安
定化を実現できる。
ある。
速時の中心固相率を示す図である。
速時の凝固時間を示す図である。
る。
定化が実現できる圧下法を示す図である。
Claims (3)
- 【請求項1】 1対以上のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度を
変動させることにより、偏析に及ぼす流動の影響が最も
大きい凝固時期範囲A〜Bを定量化し、該凝固時期範囲
を考慮して、適正圧下条件を決定することを特徴とする
連続鋳造法。但し、 A;鋳造速度を変動した結果、偏析が最も悪化している
鋳片範囲の最上流側位 置における鋳造速度復活時の中心
固相率。 B;上記鋳片範囲の最下流側位置における鋳造速度変動
開始時の中心固相率。 - 【請求項2】 1対以上のロールにより鋳片を圧下しつ
つ引き抜く溶融金属の連続鋳造法において、鋳造速度を
一定時間減速することにより、偏析に及ぼす流動の影響
が最も大きい凝固時期範囲A〜Bを定量化し、該凝固時
期範囲を考慮して、適正圧下条件を決定することを特徴
とする連続鋳造法。但し、 A;鋳造速度を変動した結果、偏析が最も悪化している
鋳片範囲の最上流側位 置における鋳造速度復活時の中心
固相率。 B;上記鋳片範囲の最下流側位置における鋳造速度変動
開始時の中心固相率。 - 【請求項3】 定量化した偏析に及ぼす流動の影響が最
も大きい凝固時期範囲A〜BのAから流動限界固相率の
範囲の全圧下量が4〜20mmとなるよう圧下して、中
心部に固相が出始める時期からAまでの範囲の圧下勾配
を0.2〜3mm/mにする請求項1あるいは2記載の
連続鋳造法。但し、A<B。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4057207A JP2949453B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4057207A JP2949453B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05220558A JPH05220558A (ja) | 1993-08-31 |
JP2949453B2 true JP2949453B2 (ja) | 1999-09-13 |
Family
ID=13049067
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4057207A Expired - Lifetime JP2949453B2 (ja) | 1992-02-12 | 1992-02-12 | 連続鋳造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2949453B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108160964B (zh) * | 2017-12-26 | 2019-12-31 | 首钢集团有限公司 | 一种含磷钢板坯连铸的方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS62158555A (ja) * | 1985-12-30 | 1987-07-14 | Nippon Steel Corp | 連続鋳造方法 |
-
1992
- 1992-02-12 JP JP4057207A patent/JP2949453B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05220558A (ja) | 1993-08-31 |
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