JP5655988B2 - 連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 - Google Patents

連続鋳造用鋳型及び鋼の連続鋳造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鋳型内での凝固シェルの不均一冷却に起因する鋳片表面割れを防止して溶鋼を連続鋳造することのできる連続鋳造用鋳型に関し、並びに、この鋳型を使用した鋼の連続鋳造方法に関する。
鋼の連続鋳造では、鋳型内に注入された溶鋼は水冷式鋳型によって冷却され、鋳型との接触面で溶鋼が凝固して凝固層(「凝固シェル」という)が生成される。この凝固シェルを外殻とし、内部を未凝固層とする鋳片は、鋳型下流側に設置された水スプレーや気水スプレーによって冷却されながら鋳型下方に連続的に引き抜かれる。鋳片は、水スプレーや気水スプレーによる冷却によって中心部まで凝固し、その後、ガス切断機などによって切断されて、所定長さの鋳片が製造されている。
鋳型内における冷却が不均一になると、凝固シェルの厚みが鋳片の鋳造方向及び鋳片幅方向で不均一となる。凝固シェルには、凝固シェルの収縮や変形に起因する応力が作用する。凝固初期においては、この応力が凝固シェルの薄肉部に集中し、この応力によって凝固シェルの表面に割れが発生する。この割れは、その後の熱応力や連続鋳造機のロールによる曲げ応力及び矯正応力などの外力により拡大し、大きな表面割れとなる。
鋳片に存在する表面割れは、次工程の圧延工程において鋼製品の表面欠陥となる。従って、鋼製品の表面欠陥の発生を防止するためには、鋳片表面を溶削するまたは研削して、鋳片段階でその表面割れを除去することが必要となる。
鋳型内の不均一凝固は、特に、炭素含有量が0.08〜0.17質量%の鋼で発生しやすい。炭素含有量が0.08〜0.17質量%の鋼では、凝固時に包晶反応が起こる。鋳型内の不均一凝固は、この包晶反応によるδ鉄(フェライト)からγ鉄(オーステナイト)への変態時の体積収縮による変態応力に起因すると考えられている。つまり、この変態応力に起因する歪みによって凝固シェルが変形し、この変形により凝固シェルが鋳型内壁面から離れる。鋳型内壁面から離れた部位は鋳型による冷却が低下し、この鋳型内壁面から離れた部位(この鋳型内壁面から離れた部位を「デプレッション」という)の凝固シェル厚みが薄くなる。凝固シェル厚みが薄くなることで、この部分に上記応力が集中し、表面割れが発生すると考えられている。
特に、鋳片引き抜き速度を増加した場合には、凝固シェルから鋳型冷却水への平均熱流束が増加する(凝固シェルが急速冷却される)のみならず、熱流束の分布が不規則で且つ不均一になることから、鋳片表面割れの発生が増加傾向となる。具体的には、鋳片厚みが200mm以上のスラブ連続鋳造機においては、鋳片引き抜き速度が1.5m/min以上になると表面割れが発生しやすくなる。
従来、上記の包晶反応を伴う鋼種(「中炭素鋼」という)の鋳片表面割れを防止する目的で、結晶化しやすい組成のモールドパウダーを使用することが試みられている(例えば、特許文献1を参照)。これは、結晶化しやすい組成のモールドパウダーでは、モールドパウダー層の熱抵抗が増大し、凝固シェルが緩冷却されることに基づいている。緩冷却によって凝固シェルに作用する応力が低下し、表面割れが少なくなるからである。しかし、モールドパウダーによる緩冷却効果のみでは、十分な不均一凝固の改善は得られず、変態量が大きい鋼種では割れの発生を防止することはできない。
そこで、鋳片の表面割れを防止するべく、連続鋳造用鋳型自体を緩冷却化する手法が多数提案されている。例えば、特許文献2や特許文献3には、表面割れを防止するために、鋳型内壁面に凹加工(溝や丸孔)を施し、エアギャップを形成させることによって緩冷却を図る方法が提案されている。しかし、この方法では、溝の幅が大きい場合には、モールドパウダーが溝の内部に流入してエアギャップが形成されず、緩冷却の効果が得られにくいという問題がある。
また、鋳型内壁面に設けた凹部(縦溝、格子溝、丸孔)にモールドパウダーを流入させ、規則的な熱伝達分布を与えて不均一凝固量を減らす方法も提案されている(例えば、特許文献4及び特許文献5を参照)。しかし、この方法では、凹部へのモールドパウダーの流入が不十分の場合には、凹部に溶鋼が侵入して拘束性ブレークアウトが発生したり、或いは、凹部に充填していたモールドパウダーが鋳造中に剥がれ、その部位に溶鋼が侵入して拘束性ブレークアウトが発生したりするという問題がある。
また、鋳型内壁面にエアギャップを形成させる際に、鋳型内壁面に設けたショットブラスト面や凹加工面の溝幅や丸孔を小さくする方法も提案されている(例えば、特許文献6及び特許文献7を参照)。この方法では、モールドパウダーは、界面張力作用により、ショットブラスト面や凹加工面の溝幅や丸孔に流入せず、エアギャップは保たれる。しかし、鋳型の磨耗によってエアギャップ量自体が減少することから、その効果は次第に消滅するという問題がある。
一方、規則的な熱伝達分布を与えて不均一凝固を低減する目的で、鋳型内壁面に溝加工(縦溝、格子溝)を施し、この溝に低熱伝導材料を充填する方法が提案されている(例えば、特許文献8及び特許文献9を参照)。この方法では、縦溝または格子溝と銅(鋳型)との境界面、並びに、格子部の直交部において、低熱伝導材料と銅との熱歪差による応力が作用し、鋳型銅板表面に割れが発生するという問題がある。
特開2005−297001号公報 特開平6−297103号公報 特開平9−206891号公報 特開平9−276994号公報 特開平10−193041号公報 特開平8−257694号公報 特開平10−296399号公報 特開平1−289542号公報 特開平2−6037号公報
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、連続鋳造用鋳型の内壁面に、銅よりも熱伝導率が低い複数個の部位をそれぞれ独立して形成させ、これによって、拘束性ブレークアウトの発生及び鋳型表面の割れによる鋳型寿命低下を起こすことなく、凝固初期の凝固シェルの不均一冷却よる表面割れ、並びに、包晶反応を伴う中炭素鋼でのδ鉄からγ鉄への変態に起因する凝固シェル厚みの不均一による表面割れを防止することのできる連続鋳造用鋳型を提供することである。また、この連続鋳造用鋳型を使用した鋼の連続鋳造方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]水冷式銅鋳型の内壁面であって、メニスカスよりも上方の任意の位置からメニスカスよりも20mm以上下方の位置までの内壁面の範囲に、銅の熱伝導率に対してその熱伝導率を30%以下とする金属が、前記内壁面に設けた円形凹溝または擬似円形凹溝の内部に充填されて形成された、直径2〜20mmまたは円相当径2〜20mmの複数個の低熱伝導金属充填部をそれぞれ独立して有し、且つ、前記低熱伝導金属充填部での前記金属の充填厚みは、前記円形凹溝または前記擬似円形凹溝の深さ以下であって前記低熱伝導金属充填部の直径または円相当径に対して下記の(1)式の関係を満足する連続鋳造用鋳型。
0.5≦H≦d …(1)
但し、(1)式において、Hは、金属の充填厚み(mm)、dは、低熱伝導金属充填部の直径(mm)または円相当径(mm)である。
[2]前記水冷式銅鋳型の内壁面には、厚みが2.0mm以下のニッケル合金の鍍金層が形成されており、前記低熱伝導金属充填部は前記鍍金層で覆われている、上記[1]に記載の連続鋳造用鋳型。
[3]前記低熱伝導金属充填部同士の間隔が、該低熱伝導金属充填部の直径または円相当径に対して下記の(2)式の関係を満足する、上記[1]または上記[2]に記載の連続鋳造用鋳型。
P≧0.25×d …(2)
但し、(2)式において、Pは、低熱伝導金属充填部同士の間隔(mm)、dは、低熱伝導金属充填部の直径(mm)または円相当径(mm)である。
[4]前記低熱伝導金属充填部同士の間隔が、上記(2)式の関係を満足する範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、上記[3]に記載の連続鋳造用鋳型。
[5]前記低熱伝導金属充填部が形成された範囲内の銅鋳型内壁面における低熱伝導金属充填部の占める面積率が10%以上である、上記[1]ないし上記[4]の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
[6]鋳型下部の前記低熱伝導金属充填部の形成されていない範囲の鋳造方向長さであって、前記低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離が、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に対して下記の(3)式の条件を満足する、上記[1]ないし上記[5]の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
L≧Vc×100 …(3)
但し、(3)式において、Lは、低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
[7]前記低熱伝導金属充填部の直径または円相当径が、2〜20mmの範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、上記[1]ないし上記[6]の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
[8]前記低熱伝導金属充填部の厚みが、上記(1)式の関係を満足する範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、上記[1]ないし上記[7]の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
[9]上記[1]ないし上記[8]の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型を用い、タンディッシュ内の溶鋼を前記連続鋳造用鋳型に注入して溶鋼を連続鋳造する、鋼の連続鋳造方法。
[10]前記連続鋳造用鋳型には、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に応じて下記の(4)式で算出される距離(R)以上にメニスカスよりも下方の位置までの範囲に前記低熱伝導金属充填部が形成されており、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度を0.6m/min以上の範囲内として、結晶化温度が1100℃以下で、且つ、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.5〜1.2であるモールドパウダーを使用して連続鋳造する、上記[9]に記載の鋼の連続鋳造方法。
R=2×Vc×1000/60 …(4)
但し、(4)式において、Rは、メニスカスからの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
[11]前記溶鋼は、炭素含有量が0.08〜0.17質量%の中炭素鋼であり、該溶鋼を、鋳片厚みが200mm以上のスラブ鋳片として1.5m/min以上の鋳片引き抜き速度で連続鋳造する、上記[9]または上記[10]に記載の鋼の連続鋳造方法。
本発明によれば、複数の低熱伝導金属充填部を、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に設置するので、メニスカス近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。これによって、メニスカス近傍、つまり、凝固初期での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ鉄からγ鉄への変態による応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形が小さくなる。凝固シェルの変形が小さくなることで、凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生が防止される。
図1は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。 図2は、図1に示す鋳型長辺銅板の低熱伝導金属充填部が形成された部位の拡大図である。 図3は、鋳型長辺銅板の三箇所の位置における熱抵抗を低熱伝導金属充填部の位置に準じて概念的に示す図である。 図4は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、直径の異なる低熱伝導金属充填部が鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。 図5は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、厚みの異なる低熱伝導金属充填部が鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図、及び、そのA−A’断面図、B−B’断面図である。 図6は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、低熱伝導金属充填部が、低熱伝導金属充填部同士の間隔を変えて鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。 図7は、銅鋳型内壁面に銅鋳型表面の保護のための鍍金層を設けた例を示す概略図である。
以下、添付図面を参照して本発明を具体的に説明する。図1は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、内壁面側に低熱伝導金属充填部が形成された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。図2は、図1に示す鋳型長辺銅板の低熱伝導金属充填部が形成された部位の拡大図で、図2(A)は内壁面側から見た概略側面図、図2(B)は、図2(A)のX−X’断面図である。
図1に示す連続鋳造用鋳型は、スラブ鋳片を鋳造するための連続鋳造用鋳型の例である。スラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型は、一対の鋳型長辺銅板と一対の鋳型短辺銅板とを組み合わせて構成される。図1は、そのうちの鋳型長辺銅板を示している。鋳型短辺銅板も鋳型長辺銅板と同様に、その内壁面側に低熱伝導金属充填部が形成されるものとして、ここでは、鋳型短辺銅板についての説明は省略する。但し、スラブ鋳片においては、その形状に起因して長辺面側の凝固シェルに応力集中が起こりやすく、長辺面側で表面割れが発生しやすい。従って、スラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型の鋳型短辺銅板には、必ずしも低熱伝導金属充填部を設置する必要はない。
図1に示すように、鋳型長辺銅板1における定常鋳造時のメニスカスの位置よりも距離(Q)(距離(Q)は任意の値)離れた上方の位置から、メニスカスよりも距離(R)だけ下方の位置までの鋳型長辺銅板1の内壁面には、複数個の低熱伝導金属充填部3が設置されている。ここで、「メニスカス」とは「鋳型内溶鋼湯面」である。
この低熱伝導金属充填部3は、図2に示すように、鋳型長辺銅板1の内壁面側にそれぞれ独立して加工された、直径(d)が2〜20mmの円形凹溝2の内部に、鍍金手段や溶射手段などによって、銅(Cu)の熱伝導率に対してその熱伝導率が30%以下である金属(以下、「低熱伝導金属」と記す)が充填されて形成されたものである。ここで、図1における符号Lは、鋳型下部の低熱伝導金属充填部3の形成されていない範囲の鋳造方向長さであって、低熱伝導金属充填部3の下端位置から鋳型下端位置までの距離である。また、図2における符号5は冷却水流路、符号6はバックプレートである。
図1及び図2では、低熱伝導金属充填部3の鋳型長辺銅板1の内壁面における形状が円形であるが、円形とする必要はない。例えば楕円形のような、所謂「角」を有していない、円形に近い形状である限り、どのような形状であっても構わない。但し、円形に近い形状の場合でも、この円形に近い形状の低熱伝導金属充填部3の面積から求められる円相当径は2〜20mmの範囲内であることが必要である。
複数の低熱伝導金属充填部3を、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に設置することにより、図3に示すように、メニスカス近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。これによって、メニスカス近傍、つまり、凝固初期での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ鉄からγ鉄への変態(以下「δ/γ変態」と記す)によって発生する応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形が小さくなる。凝固シェルの変形が小さくなることで、凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における表面割れの発生が防止される。尚、図3は、鋳型長辺銅板1の三箇所の位置における熱抵抗を低熱伝導金属充填部3の位置に準じて概念的に示す図である。図3に示すように、低熱伝導金属充填部3の設置位置では熱抵抗が相対的に高くなる。
初期凝固への影響を勘案すれば、低熱伝導金属充填部3の設置位置はメニスカス位置よりも20mm以上下方の位置まで設けることが必要である。低熱伝導金属充填部3の設置範囲をメニスカス位置よりも20mm以上下方の範囲とすることで、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が十分に確保され、表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時においても、鋳片表面割れの防止効果を十分に得ることができる。低熱伝導金属充填部3の設置範囲がメニスカス位置よりも20mm未満の場合には、鋳片表面割れの防止効果が不十分になる。
また、低熱伝導金属充填部3の設置位置は、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に応じて下記の(4)式から算出される距離(R)以上メニスカスよりも下方の位置までとすることが好ましい。
R=2×Vc×1000/60 …(4)
但し、(4)式において、Rは、メニスカスからの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
つまり、距離(R)は、凝固開始した後の鋳片が低熱伝導金属充填部3の設置された範囲を通過する時間に関係しており、凝固開始後から少なくとも2秒間は、鋳片が低熱伝導金属充填部3の設置された範囲内に滞在することが好ましい。鋳片が凝固開始後から少なくとも2秒間は低熱伝導金属充填部3の設置された範囲に存在するためには、距離(R)は(4)式を満たすことが必要となる。
凝固開始した後の鋳片が低熱伝導金属充填部3の設置された範囲内に滞在する時間を2秒以上確保することで、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が十分に得られ、表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時でも、鋳片表面割れの防止効果が得られる。低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果を安定して得る上では、鋳片が低熱伝導金属充填部3の設置された範囲を通過する時間として4秒以上を確保することがより好ましい。
一方、低熱伝導金属充填部3の上端部の位置はメニスカス位置よりも上方である限りどこの位置であっても構わず、従って、距離(Q)はゼロを超えた任意の値で構わない。但し、鋳造中にメニスカスは上下方向に変動するので、低熱伝導金属充填部3の上端部が常にメニスカスよりも上方位置となるように、メニスカスよりも10mm程度上方位置まで、望ましくは20mm程度上方位置まで、低熱伝導金属充填部3を設置することが好ましい。尚、メニスカス位置は、鋳型長辺銅板1の上端から60〜150mm下方位置とするのが一般的であり、これに応じて低熱伝導金属充填部3の設置範囲を決めればよい。
低熱伝導金属充填部3の鋳型長辺銅板1の内壁面における形状は、円形または円形に近いものとする。以下、円形に近いものを「擬似円形」と称す。低熱伝導金属充填部3の形状が擬似円形の場合には、低熱伝導金属充填部3を形成させるために鋳型長辺銅板1の内壁面に加工される溝を「擬似円形溝」と称す。擬似円形とは、例えば楕円形や、角部を円や楕円とする長方形など、角部を有していない形状であり、更には、花びら模様のような形状であっても構わない。
特許文献8及び特許文献9のように、縦溝或いは格子溝を施し、この溝に低熱伝導金属を充填した場合には、低熱伝導金属と銅との境界面及び格子部の直交部において、低熱伝導金属と銅との熱歪差による応力が集中し、鋳型銅板表面に割れが発生するという問題が起こる。これに対して、本発明のように、低熱伝導金属充填部3の形状を円形または擬似円形とすることで、低熱伝導金属と銅との境界面は曲面状となることから、境界面で応力が集中しにくく、鋳型銅板表面に割れが発生しにくいという利点が発現する。
低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径は2〜20mmであることが必要である。2mm以上とすることで、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が十分となり、上記効果を得ることができる。また、2mm以上とすることで、低熱伝導金属を鍍金手段や溶射手段によって円形凹溝2や擬似円形凹溝(図示せず)の内部に充填することが容易となる。一方、低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径を20mm以下とすることで、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が抑制され、つまり、低熱伝導金属充填部3での凝固遅れが抑制されて、その位置での凝固シェルへの応力集中が防止され、凝固シェルでの表面割れ発生を防止することができる。即ち、直径及び円相当径が20mmを超えると表面割れが発生することから、低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径は20mm以下にすることが必要である。尚、低熱伝導金属充填部3の形状が擬似円形の場合は、この擬似円形の円相当径は下記の(5)式で算出される。
円相当径=(4×S/π)1/2 …(5)
但し、(5)式において、Sは低熱伝導金属充填部3の面積(mm2)である。
図1では、鋳造方向または鋳型幅方向に同一形状の低熱伝導金属充填部3を設置しているが、本発明では同一形状の低熱伝導金属充填部3を設置する必要はない。低熱伝導金属充填部3の直径または円相当径が2〜20mmの範囲内であれば、図4に示すように、直径の異なる低熱伝導金属充填部3を鋳造方向または鋳型幅方向に設置しても構わない(図4において、直径d1>直径d2)。この場合も、鋳型内での凝固シェルの不均一冷却に起因する鋳片表面割れを防止することが可能である。但し、低熱伝導金属充填部3の直径または円相当径が場所によって大幅に異なると、低熱伝導金属充填部3の面積率が局所的に高い領域で凝固が遅れ、その位置で表面割れが発生する危惧があるので、より好ましくは単一の直径または円相当径とする。図4は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、直径の異なる低熱伝導金属充填部が鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。
円形凹溝及び擬似円形凹溝に充填して使用する低熱伝導金属の熱伝導率は、銅の熱伝導率(約380W/(m・K))に対して30%以下である必要がある。銅の熱伝導率に対して30%以下の低熱伝導金属を使用することで、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果が十分となり、鋳片表面割れの発生しやすい高速鋳造時や中炭素鋼の鋳造時においても、鋳片表面割れの防止効果が十分に得られる。本発明において使用する低熱伝導金属としては、鍍金や溶射のしやすいニッケル(Ni、熱伝導率:約80W/(m・K))及びニッケル合金が好適である。
また、低熱伝導金属充填部3の充填厚み(H)は0.5mm以上とする必要がある。充填厚みを0.5mm以上とすることで、低熱伝導金属充填部3における熱流束の低下が十分となり、上記効果を得ることができる。
また、低熱伝導金属充填部3の充填厚みは低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径以下にする必要がある。充填厚みを低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径と同等、またはそれらよりも小さくするので、鍍金手段や溶射手段による円形凹溝及び擬似円形凹溝への低熱伝導金属の充填が容易となり、且つ、充填した低熱伝導金属と鋳型銅板との間に隙間や割れが生じることもない。低熱伝導金属と鋳型銅板との間に隙間や割れが生じた場合には、充填した低熱伝導金属の亀裂や剥離が生じ、鋳型寿命の低下、鋳片の割れ、更には拘束性ブレークアウトの原因となる。即ち、低熱伝導金属充填部3の充填厚みは、下記の(1)式を満足することが必要である。
0.5≦H≦d …(1)
但し、(1)式において、Hは、金属の充填厚み(mm)、dは、円形凹溝の直径(mm)または擬似円形凹溝の円相当径(mm)である。この場合、金属の充填厚みは円形凹溝或いは擬似円形凹溝の深さ以下とする。
尚、低熱伝導金属充填部3の充填厚み(H)の上限値は、円形凹溝の直径(d)で決まる。但し、充填厚み(H)が10.0mmを超えると上記効果は飽和するので、充填厚み(H)は、円形凹溝の直径(d)以下で且つ10.0mm以下とすることが好ましい。
本発明において、厚みが同一の低熱伝導金属充填部3を鋳造方向または鋳型幅方向に設置する必要はない。低熱伝導金属充填部3の厚みが上記(1)式の範囲内である限り、図5に示すように、厚みの異なる低熱伝導金属充填部3を鋳造方向または鋳型幅方向に設置しても構わない(図5において、厚みH1>厚みH2)。この場合も、鋳型内での凝固シェルの不均一冷却に起因する鋳片表面割れを防止することが可能である。但し、低熱伝導金属充填部3の厚みが場所によって大幅に異なると、低熱伝導金属充填部3の厚みが相対的に厚い領域で局所的に凝固が遅れ、その位置で表面割れが発生する危惧があるので、より好ましくは単一の厚みとする。図5は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、厚みの異なる低熱伝導金属充填部が鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図、及び、そのA−A’断面図、B−B’断面図である。
また、低熱伝導金属充填部同士の間隔は、低熱伝導金属充填部3の直径及び円相当径の0.25倍以上であることが好ましい。つまり、低熱伝導金属充填部同士の間隔は低熱伝導金属充填部3の直径または円相当径に対して下記の(2)式の関係を満足することが好ましい。
P≧0.25×d …(2)
但し、(2)式において、Pは、低熱伝導金属充填部同士の間隔(mm)、dは、低熱伝導金属充填部の直径(mm)または円相当径(mm)である。
ここで、低熱伝導金属充填部同士の間隔とは、図2に示すように、隣り合う低熱伝導金属充填部3の端部間の最短距離である。低熱伝導金属充填部同士の間隔を「0.25×d」以上とすることで、間隔が十分に大きく、低熱伝導金属充填部3における熱流束と銅部(低熱伝導金属充填部3が形成されていない部位)の熱流束との差が大きくなり、上記効果を得ることができる。低熱伝導金属充填部同士の間隔の上限値は特に規定しないが、この間隔が大きくなると、低熱伝導金属充填部3の面積率が低下するので「2.0×d」以下にすることが好ましい。
図1では、鋳造方向または鋳型幅方向に同一間隔で低熱伝導金属充填部3を設置しているが、本発明では同一間隔で低熱伝導金属充填部3を設置する必要はない。図6に示すように、低熱伝導金属充填部同士の間隔を変えて低熱伝導金属充填部3を鋳造方向または鋳型幅方向に設置しても構わない(図6において、間隔P1>間隔P2)。この場合も、低熱伝導金属充填部同士の間隔は(2)式の関係を満足することが好ましい。低熱伝導金属充填部同士の間隔が鋳造方向または鋳型幅方向で異なる場合でも、鋳型内での凝固シェルの不均一冷却に起因する鋳片表面割れを防止することが可能である。但し、低熱伝導金属充填部同士の間隔が一つの鋳型内で大きく異なると、低熱伝導金属充填部3の面積率が局所的に高い領域で凝固が遅れ、その位置で表面割れが発生する危惧があるので、より好ましくは単一の間隔とする。図6は、本発明に係る連続鋳造用鋳型の一部を構成する鋳型長辺銅板であって、低熱伝導金属充填部が、低熱伝導金属充填部同士の間隔を変えて鋳造方向及び鋳型幅方向に設置された鋳型長辺銅板を内壁面側から見た概略側面図である。
低熱伝導金属充填部3が形成された範囲内の銅鋳型内壁面における低熱伝導金属充填部3の占める面積率(ε)は10%以上であることが好ましい。この面積率(ε)を10%以上確保することで、熱流束の小さい低熱伝導金属充填部3の占める面積が確保され、低熱伝導金属充填部3と銅部との熱流束差が得られ、上記効果を安定して得ることができる。尚、低熱伝導金属充填部3の占める面積率(ε)の上限は特に規定しないが、前述したように、低熱伝導金属充填部同士の間隔を「0.25×d」以上とすることが好ましく、この条件を最大の面積率(ε)とすればよい。
また、鋳型下部の低熱伝導金属充填部3の形成されていない範囲の鋳造方向長さ、つまり、低熱伝導金属充填部3の下端位置から鋳型下端位置までの距離が、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に対して下記の(3)式の条件を満足することが好ましい。
L≧Vc×100 …(3)
但し、(3)式において、Lは、低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
低熱伝導金属充填部3の下端位置から鋳型下端位置までの距離(L)が(3)式を満足する場合は、緩冷却の領域が適度の範囲に抑えられ、特に、高速鋳造を行なう際にも鋳型から引き抜かれた時点での凝固シェルの厚みが確保され、鋳片のバルジング(溶鋼静圧によって凝固シェルが膨らむ現象)やブレークアウトの発生を防止することができる。
低熱伝導金属充填部3の配列は、図1に示すような千鳥配列が望ましいが、本発明において低熱伝導金属充填部3の配列は千鳥配列に限定されるものではなく、どのような配列であっても構わない。但し、上記の低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)及び低熱伝導金属充填部3の占める面積率(ε)が前述した条件を満足する範囲内の配列であることが好ましい。
尚、低熱伝導金属充填部3は、連続鋳造用鋳型の長辺鋳型銅板と短辺鋳型銅板の双方に設置することを基本とするが、スラブ鋳片のように鋳片短辺長さに対して鋳片長辺長さの比が大きい場合には、鋳片長辺側に表面割れが発生する傾向があり、低熱伝導金属充填部3を長片側のみに設置しても、本発明の効果を得ることができる。
また、図7に示すように、低熱伝導金属充填部3を形成させた銅鋳型内壁面に、凝固シェルによる磨耗や熱履歴による鋳型表面の割れを防止することを目的として、鍍金層4を設けることが好ましい。この鍍金層4は一般的に用いられるニッケル系合金、例えばニッケル−コバルト合金(Ni−Co合金)などを鍍金することで十分である。但し、鍍金層4の厚み(h)は2.0mm以下にすることが好ましい。鍍金層4の厚み(h)を2.0mm以下にすることで、熱流束に及ぼす鍍金層4の影響を少なくすることができ、低熱伝導金属充填部3による熱流束の周期的な変動の効果を十分に得ることができる。尚、図7は、銅鋳型内壁面に銅鋳型表面の保護のための鍍金層を設けた例を示す概略図である。
このように構成される連続鋳造用鋳型を用いて鋳片を連続鋳造する際に、鋳型内に添加するモールドパウダーとしては、結晶化温度が1100℃以下で、且つ、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.5〜1.2の範囲内のモールドパウダーであることが好ましい。ここで結晶化温度とは、溶融状態のモールドパウダーを急冷してガラス化させ、ガラス化したモールドパウダーを再度昇温する途上で、結晶が生成する温度である。これに対して、溶融状態のモールドパウダーを降温する途上で、モールドパウダーの粘度が急激な増加を示す温度を凝固温度という。従って、モールドパウダーにおいて、結晶化温度と凝固温度とは異なり、結晶化温度の方が凝固温度に比較して低い。
モールドパウダーの結晶化温度を1100℃以下とし且つ塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を1.2以下とすることで、鋳型壁へのモールドパウダー固着層の形成が防止され、低熱伝導金属充填部3による規則的で周期的な熱流束の変動に対するモールドパウダー層による影響を最小限に抑えることができる。つまり、低熱伝導金属充填部3による規則的で周期的な熱流束の変動を有効に凝固シェルに付加することができる。一方、モールドパウダーの塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))を0.5以上に確保することで、モールドパウダーの粘度は高くならず、鋳型と凝固シェルとの間隙へのモールドパウダーの流れ込み量が確保され、拘束性ブレークアウトを未然に防止することができる。
本発明で使用するモールドパウダーには、溶融特性を制御するために、Al23、Na2O、MgO、CaF2、Li2O、BaO、MnO、B23、Fe23、ZrO2などを添加してもよい。また、モールドパウダーの溶融速度を制御するための炭素を添加してもよく、更には、その他の不可避的不純物を含有してもよい。但し、モールドパウダーの結晶化を促進させる効果のあるフッ素(F)は10質量%未満、MgOは5質量%未満、ZrO2は2質量%未満とすることが好ましい。
以上説明したように、本発明によれば、複数の低熱伝導金属充填部3を、メニスカス位置を含んでメニスカス近傍の連続鋳造用鋳型の幅方向及び鋳造方向に設置するので、メニスカス近傍の鋳型幅方向及び鋳造方向における連続鋳造用鋳型の熱抵抗が規則的且つ周期的に増減する。これによって、メニスカス近傍、つまり、凝固初期での凝固シェルから連続鋳造用鋳型への熱流束が規則的且つ周期的に増減する。この熱流束の規則的且つ周期的な増減により、δ/γ変態による応力や熱応力が低減し、これらの応力によって生じる凝固シェルの変形が小さくなる。凝固シェルの変形が小さくなることで、凝固シェルの変形に起因する不均一な熱流束分布が均一化され、且つ、発生する応力が分散されて個々の歪量が小さくなる。その結果、凝固シェル表面における割れの発生が防止される。
尚、上記説明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に関して行ったが、本発明はスラブ鋳片用の連続鋳造用鋳型に限定されるものではなく、ブルーム鋳片用やビレット鋳片用の連続鋳造用鋳型においても上記に沿って本発明を適用することができる。
中炭素鋼(化学成分、C:0.08〜0.17質量%、Si:0.10〜0.30質量%、Mn:0.50〜1.20質量%、P:0.010〜0.030質量%、S:0.005〜0.015質量%、Al:0.020〜0.040質量%)を、内壁面に種々の条件で低熱伝導金属充填部が設置された水冷銅鋳型を用いて鋳造し、鋳造後の鋳片の表面割れを調査する試験を行った。用いた水冷銅鋳型は、長辺長さが1.8m、短辺長さが0.26mの内面空間サイズを有する鋳型である。
使用した水冷銅鋳型の上端から下端までの長さ(=鋳型長)は900mmであり、定常鋳造時のメニスカス(鋳型内溶鋼湯面)の位置を、鋳型上端から100mm下方位置に設定した。先ず、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より300mm下方の位置までの範囲(範囲長さ=220mm)に、鋳型内壁面に円形凹溝の加工を施した。次いで、この円形凹溝の内部に鍍金手段を用いてニッケル(熱伝導率:80W/(m・K))を充填させ、低熱伝導金属充填部を形成させた。その際、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より190mm下方の位置までの範囲と、鋳型上端より190mm下方の位置から鋳型上端より300mm下方の位置までの範囲とで、低熱伝導金属充填部の直径(d)、充填厚み(H)、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)を変化させた水冷銅鋳型も準備した。ニッケルの円形凹溝への充填深さは、円形凹溝の深さと同一とした。
また、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より750mm下方の位置までの範囲(範囲長さ=670mm)に、上記と同様の方法で低熱伝導金属充填部を形成させた水冷銅鋳型も準備した。
鋳型内のメニスカス位置を鋳型上端から100mm下方位置に設定したので、鋳型上端から300mm下方の位置までの範囲に低熱伝導金属充填部を設置した鋳型では、図1における距離(Q)が20mmで、距離(R)が200mmで、距離(L)が600mmとなり、鋳型上端から750mm下方の位置までの範囲に低熱伝導金属充填部を設置した鋳型では、距離(Q)が20mmで、距離(R)が650mmで、距離(L)が150mmとなる。
円形凹溝の孔深さが深い場合は、数回に亘って鍍金、表面研削を繰り返して行い、所望の形状の低熱伝導金属充填部を鋳型内壁面に形成させた。その後、鋳型内壁面の全面にNi−Co合金を鍍金して、鋳型上端での厚み0.5mm、鋳型下端での厚み1.0mmの鍍金層を施工した(低熱伝導金属充填部でのNi−Co鍍金層厚みは約0.6mm)。
また、比較のために、低熱伝導金属充填部を設置せず、鋳型内壁面に、鋳型上端での厚みが0.5mm、鋳型下端での厚みが1.0mmのNi−Co鍍金層を施工した水冷銅鋳型も準備した。
連続鋳造操業においては、モールドパウダーとして、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が1.1、凝固温度が1210℃、1300℃での粘性率が0.15Pa・sのモールドパウダーを使用した。このモールドパウダーは本発明の好適な範囲のものである。凝固温度とは、前述したように、溶融状態のモールドパウダーを降温する途上で、モールドパウダーの粘度が急激な増加を示す温度である。定常鋳造時での鋳型内のメニスカス位置は、鋳型上端から100mm下方位置とし、メニスカスが低熱伝導金属充填部の設置範囲内に存在するように制御した。また、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度は1.7〜2.2m/minとし、鋳片の表面割れを調査する鋳片は、全ての試験で、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度が1.8m/minの鋳片を対象とした。メニスカスから低熱伝導金属充填部の下端位置までの距離(R)は200mm以上であるので、全ての試験で、距離(R)と定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(Vc)との関係は(4)式を満足する。タンディッシュ内の溶鋼過熱度は25〜35℃とした。
連続鋳造が終了した後、鋳片長辺の表面を酸洗してスケールを除去し、表面割れの発生数を測定した。中炭素鋼鋳片の表面割れの発生状況を表1及び表2に示す。鋳片表面割れの発生状況は、鋳片の長さを分母とし、表面割れが発生した部位の鋳片の長さを分子として算出した値を用いて評価した。尚、表1及び表2の備考欄には、本発明の範囲内の試験を本発明例、低熱伝導金属充填部を有するものの本発明の範囲を満足しない水冷銅鋳型を使用した試験を比較例、低熱伝導金属充填部を有していない水冷鋳型を使用した試験を従来例と表示している。
Figure 0005655988
Figure 0005655988
試験No.1〜16は、低熱伝導金属充填部の直径(d)及び充填厚み(H)が本発明の範囲内であり、且つ、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)、低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、メニスカスから低熱伝導金属充填部の下端位置までの距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、及び、使用するモールドパウダーが本発明の好適な範囲内である。この試験No.1〜16では、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。つまり、試験No.1〜16では、鋳型に亀裂を発生させることなく、中炭素鋼のように表面割れの発生しやすい鋼についても、鋳片の表面割れを従来に比較して大幅に低減できることが確認できた。
試験No.17、19、21、22は、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)が10%以下であり、本発明の好適な範囲から外れる。但し、その他の条件は本発明の範囲内及び本発明の好適な範囲内であり、試験No.17、19、21、22では、鋳片に微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.18、20、23は、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)の低熱伝導金属充填部の直径(d)に対する関係が本発明の好適な範囲の下限値を外れる。但し、その他の条件は本発明の範囲内及び本発明の好適な範囲内であり、試験No.18、20、23では、鋳片に微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.24は、距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係が本発明の好適な範囲を外れているので、鋳型直下の凝固シェル厚みが薄くなり、鋳型直下でのバルジング量が大きくなった。しかし、鋳型直下以降の二次冷却帯にて、凝固シェルの表面が二次冷却水により冷却され、凝固シェル厚みが増加したので、二次冷却帯でのバルジング量は通常と同等となり、ブレークアウトには至らず、特に問題となることはなかった。その他の条件は本発明の範囲内及び本発明の好適な範囲内であり、鋳片に表面割れは発生せず、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.25は、低熱伝導金属充填部の設置範囲の上部110mmの範囲と下部110mmの範囲とで、低熱伝導金属充填部の直径(d)を本発明の範囲内で変化させた試験である。試験No.25では、低熱伝導金属充填部の充填厚み(H)が本発明の範囲内であり、且つ、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)、距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、及び、使用するモールドパウダーが本発明の好適な範囲内である。この試験No.25では、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。
試験No.26は、低熱伝導金属充填部の設置範囲の上部110mmの範囲と下部110mmの範囲とで、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)を本発明の好適な範囲内で変化させた試験である。試験No.26では、低熱伝導金属充填部の直径(d)及び充填厚み(H)が本発明の範囲内であり、且つ、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)、距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、及び、使用するモールドパウダーが本発明の好適な範囲内である。この試験No.26では、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。
試験No.27は、低熱伝導金属充填部の設置範囲の上部110mmの範囲と下部110mmの範囲とで、低熱伝導金属充填部の厚み(H)を本発明の範囲内で変化させた試験である。試験No.27では、低熱伝導金属充填部の直径(d)が本発明の範囲内であり、且つ、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)、距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、及び、使用するモールドパウダーが本発明の好適な範囲内である。この試験No.27では、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。
試験No.28〜37では、鋳型内壁面に低熱伝導金属充填部が形成されているものの、設置条件が本発明の範囲外であり、鋳片での表面割れ発生と鋳型での亀裂発生とを同時に達成することはできなかった。また、低熱伝導金属充填部が形成されていない試験No.38では、鋳片表面に割れが発生した。
中炭素鋼(化学成分、C:0.08〜0.17質量%、Si:0.10〜0.30質量%、Mn:0.50〜1.20質量%、P:0.010〜0.030質量%、S:0.005〜0.015質量%、Al:0.020〜0.040質量%)を、内壁面に種々の条件で低熱伝導金属充填部が設置された水冷銅鋳型を用い、種々の鋳造条件及び種々のモールドパウダーを使用して鋳造し、鋳造後の鋳片の表面割れを調査する試験を行った。用いた水冷銅鋳型は、長辺長さが1.8m、短辺長さが0.26mの内面空間サイズを有する鋳型である。
使用した水冷銅鋳型の上端から下端までの長さ(=鋳型長)は900mmであり、定常鋳造時のメニスカス位置を鋳型上端から100mm下方の位置に設定した。先ず、鋳型上端より80mm下方の位置から鋳型上端より140〜300mm下方の位置までの範囲の鋳型内壁面に円形凹溝の加工を施した。次いで、この円形凹溝の内部に鍍金手段を用いてニッケル(熱伝導率:80W/(m・K))を充填させて低熱伝導金属充填部を形成させた。円形凹溝の孔深さが深い場合は、数回に亘って鍍金、表面研削を繰り返して行い、所望の形状の低熱伝導金属充填部を鋳型内壁面に形成させた。
鋳型内のメニスカス位置を鋳型上端から100mm下方位置に設定したので、図1における距離(Q)は20mmで、距離(R)は40〜200mmで、距離(L)は600〜760mmとなる。
その後、鋳型内壁面の全面にNi−Co合金を鍍金して、鋳型上端での厚みが0.5mm、鋳型下端での厚みが1.0mmの鍍金層を施工した(低熱伝導金属充填部でのNi−Co鍍金層厚みは約0.6mm)。
連続鋳造操業においては、モールドパウダーとして、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.4〜1.8、結晶化温度が920〜1250℃のものを使用した。結晶化温度とは、前述したように、溶融状態から急冷してガラス化させたモールドパウダーを再度昇温する途上で、結晶が生成する温度である。また、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度は1.5〜2.4m/min、タンディッシュ内の溶鋼過熱度は20〜35℃とした。定常鋳造時のメニスカス位置は、鋳型上端から100mmとし、メニスカスが低熱伝導金属充填部の設置範囲内に存在し、且つ、定常鋳造時にメニスカスの上方20mmからメニスカスの下方40〜200mmの範囲に低熱伝導金属充填部が位置するように制御した。
連続鋳造が終了した後、鋳片長辺の表面を酸洗してスケールを除去し、表面割れの発生数を測定した。中炭素鋼鋳片の表面割れの発生状況を表3に示す。鋳片表面割れの発生状況は、低熱伝導金属充填部が設置されていない鋳型を使用して中炭素鋼鋳片を鋳造したときの鋳片表面割れ発生状況と比較して評価した。ここで、表面割れの発生及びデプレッション(凹み)の発生状況は、鋳片の長さを分母とし、表面割れまたはデプレッションが発生した部位の鋳片の長さを分子として算出した値を用いて評価した。
Figure 0005655988
表3に示すように、試験No.51〜66では、低熱伝導金属充填部の直径(d)、充填厚み(H)が本発明の範囲内であり、また、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)、低熱伝導金属充填部の占める面積率(ε)、距離(L)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係、及び、使用するモールドパウダーが本発明の好適な範囲内である。この試験No.51〜66では、鋳型に亀裂は発生せず、また、鋳片に表面割れは発生しなかった。つまり、試験No.51〜66では、鋳型に亀裂を発生させることなく、また、ブレークアウトを発生させることなく、中炭素鋼のように表面割れの発生しやすい鋼についても、鋳片の表面割れを従来に比較して大幅に低減できることが確認できた。
試験No.67、68、69は、低熱伝導金属充填部同士の間隔(P)が本発明の好適な範囲から外れた試験である。但し、その他の条件は本発明の範囲内、及び、本発明の好適な範囲内である。これらの試験では、鋳片に微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.70、71、75は、使用したモールドパウダーの結晶化温度及び塩基度が本発明の好適な範囲から外れた試験である。但し、その他の条件は本発明の範囲内、及び、本発明の好適な範囲内である。これらの試験では、鋳片に軽度のデプレッション及び微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.72は、使用したモールドパウダーの塩基度が本発明の好適な範囲から外れた試験である。但し、その他の条件は本発明の範囲内、及び、本発明の好適な範囲内である。この試験では、ブレークアウト警報が発生したが、ブレークアウトは発生しなかった。この試験では、鋳型に亀裂は発生せず、且つ、鋳片に表面割れは発生せず、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.73は、使用したモールドパウダーの塩基度が本発明の好適な範囲から外れた試験であり、試験No.74は、使用したモールドパウダーの結晶化温度が本発明の好適な範囲から外れた試験である。但し、その他の条件は本発明の範囲内、及び、本発明の好適な範囲内である。試験No.73、74では、鋳片に軽度のデプレッション及び微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
試験No.76〜78は、距離(R)と鋳片引き抜き速度(Vc)との関係が本発明の好適な範囲から外れた試験である。但し、その他の条件は本発明の範囲内、及び、本発明の好適な範囲内である。これらの試験では、鋳片に軽度のデプレッション及び微細な表面割れが発生したが、従来に比較して大幅に表面割れを低減できることが確認できた。
1 鋳型長辺銅板
2 円形凹溝
3 低熱伝導金属充填部
4 鍍金層
5 冷却水流路
6 バックプレート

Claims (10)

  1. 水冷式銅鋳型の内壁面であって、メニスカスよりも上方の任意の位置からメニスカスよりも20mm以上下方の位置までの内壁面の範囲に、銅の熱伝導率に対してその熱伝導率を30%以下とする金属が、前記内壁面に設けた円形凹溝または擬似円形凹溝の内部に充填されて形成された、直径2〜20mmまたは円相当径2〜20mmの複数個の低熱伝導金属充填部をそれぞれ独立して有し、且つ、前記低熱伝導金属充填部での前記金属の充填厚みは、前記円形凹溝または前記擬似円形凹溝の深さ以下であって前記低熱伝導金属充填部の直径または円相当径に対して下記の(1)式の関係を満足することとし、前記水冷式銅鋳型の内壁面には、厚みが2.0mm以下のニッケル合金の鍍金層が形成されており、前記低熱伝導金属充填部は前記鍍金層で覆われている連続鋳造用鋳型。
    0.5≦H≦d …(1)
    但し、(1)式において、Hは、金属の充填厚み(mm)、dは、低熱伝導金属充填部の直径(mm)または円相当径(mm)である。
  2. 前記低熱伝導金属充填部同士の間隔が、該低熱伝導金属充填部の直径または円相当径に対して下記の(2)式の関係を満足する、請求項1に記載の連続鋳造用鋳型。
    P≧0.25×d …(2)
    但し、(2)式において、Pは、低熱伝導金属充填部同士の間隔(mm)、dは、低熱伝導金属充填部の直径(mm)または円相当径(mm)である。
  3. 前記低熱伝導金属充填部同士の間隔が、上記(2)式の関係を満足する範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、請求項に記載の連続鋳造用鋳型。
  4. 前記低熱伝導金属充填部が形成された範囲内の銅鋳型内壁面における低熱伝導金属充填部の占める面積率が10%以上である、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  5. 鋳型下部の前記低熱伝導金属充填部の形成されていない範囲の鋳造方向長さであって、前記低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離が、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に対して下記の(3)式の条件を満足する、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
    L≧Vc×100 …(3)
    但し、(3)式において、Lは、低熱伝導金属充填部の下端位置から鋳型下端位置までの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
  6. 前記低熱伝導金属充填部の直径または円相当径が、2〜20mmの範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  7. 前記低熱伝導金属充填部の厚みが、上記(1)式の関係を満足する範囲内で前記鋳型の幅方向または鋳造方向で異なる、請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型。
  8. 請求項1ないし請求項の何れか1項に記載の連続鋳造用鋳型を用い、タンディッシュ内の溶鋼を前記連続鋳造用鋳型に注入して溶鋼を連続鋳造する、鋼の連続鋳造方法。
  9. 前記連続鋳造用鋳型には、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度に応じて下記の(4)式で算出される距離(R)以上にメニスカスよりも下方の位置までの範囲に前記低熱伝導金属充填部が形成されており、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度を0.6m/min以上の範囲内として、結晶化温度が1100℃以下で、且つ、塩基度((質量%CaO)/(質量%SiO2))が0.5〜1.2であるモールドパウダーを使用して連続鋳造する、請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
    R=2×Vc×1000/60 …(4)
    但し、(4)式において、Rは、メニスカスからの距離(mm)、Vcは、定常鋳造時の鋳片引き抜き速度(m/min)である。
  10. 前記溶鋼は、炭素含有量が0.08〜0.17質量%の中炭素鋼であり、該溶鋼を、鋳片厚みが200mm以上のスラブ鋳片として1.5m/min以上の鋳片引き抜き速度で連続鋳造する、請求項または請求項に記載の鋼の連続鋳造方法。
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